IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本ビソー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-揺れ抑制システム 図1
  • 特開-揺れ抑制システム 図2
  • 特開-揺れ抑制システム 図3
  • 特開-揺れ抑制システム 図4
  • 特開-揺れ抑制システム 図5
  • 特開-揺れ抑制システム 図6
  • 特開-揺れ抑制システム 図7
  • 特開-揺れ抑制システム 図8
  • 特開-揺れ抑制システム 図9
  • 特開-揺れ抑制システム 図10
  • 特開-揺れ抑制システム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046421
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】揺れ抑制システム
(51)【国際特許分類】
   E04G 3/28 20060101AFI20230329BHJP
   B66B 9/187 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
E04G3/28 301D
E04G3/28 302B
B66B9/187 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154981
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000229689
【氏名又は名称】日本ビソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】江頭 栄三
【テーマコード(参考)】
2E003
3F301
【Fターム(参考)】
2E003EA00
2E003EB06
3F301AA06
3F301BB09
3F301BB17
3F301DD08
(57)【要約】
【課題】揺れ抑制システムの使用性及び製造性を高めることが可能となる、揺れ抑制システムを提供すること。
【解決手段】揺れ抑制システム20は、昇降対象10に設けられる一対のガイドローラ30の各々を建物の壁部に略沿った水平方向に水平移動可能に支持しながら、昇降対象10の揺れを抑制するための揺れ抑制部60を備え、揺れ抑制部60は、一対のガイドローラ30のいずれか一方が水平方向のいずれか一方に水平移動した際に、一対のガイドローラ30のいずれか他方を水平方向のいずれか他方に水平移動させることによって、一対のガイドローラ30間の相互距離を変化させると共に、一対のガイドローラ30が対応するガイドレールを介して水平方向の外力をそれぞれ受ける際に、一対のガイドローラ30の水平移動を制限することによって、上記相互距離を保持する距離調整部70を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁部に取り付けられる長尺な一対のガイドレールであり、当該ガイドレールの長手方向が上下方向に略沿うように前記壁部にそれぞれ設けられる一対のガイドレールを介して昇降対象を昇降させる際に、前記昇降対象の揺れを抑制するための揺れ抑制システムであって、
前記昇降対象に設けられる一対のガイドローラであり、当該一対のガイドローラの各々が対応するガイドレールによってガイドされるようにそれぞれ配置された一対のガイドローラと、
前記一対のガイドローラの各々を前記壁部に略沿った水平方向に水平移動可能に支持しながら、前記昇降対象の揺れを抑制するための揺れ抑制手段と、を備え、
前記揺れ抑制手段は、
前記一対のガイドローラのいずれか一方が前記水平方向のいずれか一方に水平移動した際に、前記一対のガイドローラのいずれか他方を前記水平方向のいずれか他方に水平移動させることによって、前記一対のガイドローラ間の相互距離を変化させると共に、前記一対のガイドローラが対応する前記ガイドレールを介して前記水平方向の外力をそれぞれ受ける際に、前記一対のガイドローラの水平移動を制限することによって、前記相互距離を保持する距離調整手段を備える、
揺れ抑制システム。
【請求項2】
前記距離調整手段は、
前記一対のガイドローラのいずれか一方を前記水平方向に水平移動可能に支持する第1支持手段と、
前記一対のガイドローラのいずれか他方を前記水平方向に水平移動可能に支持する第2支持手段と、
前記一対のガイドローラのいずれか一方が前記水平方向のいずれか一方に水平移動した際に、前記第1支持手段が前記一対のガイドローラのいずれか一方を介して受ける力を前記第2支持手段に作用させると共に、前記一対のガイドローラが対応する前記ガイドレールを介して前記水平方向の外力をそれぞれ受ける際に、前記一対のガイドローラのいずれか一方を介して前記第1支持手段が受ける力と前記一対のガイドローラのいずれか他方を介して前記第2支持手段が受ける力とを相殺させる伝達手段と、を備える、
請求項1に記載の揺れ抑制システム。
【請求項3】
前記距離調整手段は、前記一対のガイドローラの少なくともいずれか一方の取付位置を調整するための第1取付位置調整手段を備える、
請求項2に記載の揺れ抑制システム。
【請求項4】
前記一対のガイドローラの少なくともいずれか一方は、
ガイドローラ本体と、
前記ガイドローラ本体を前記距離調整手段に取り付けるための取付手段であり、前記ガイドローラ本体を回転自在に支持する取付手段と、を備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の揺れ抑制システム。
【請求項5】
前記揺れ抑制手段の取付位置を調整するための第2取付位置調整手段を備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の揺れ抑制システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺れ抑制システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の窓又は外壁の清掃作業やメンテナンス作業等に用いられるゴンドラの揺れを抑制するためのシステムの一つとして、建物の外壁に相互に間隔を隔てて設けられた一対のガイドレールと、ゴンドラに対して相互に間隔を取り付けられた一対のガイドローラであって、各ガイドローラが対応するガイドレールのフランジに対して係合された状態でゴンドラの昇降に伴ってフランジの表面を転動可能な一対のガイドローラとを用いて、ゴンドラを昇降させると共に、ゴンドラの揺れを抑制するシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-160013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記従来のシステムにおいて、一対のガイドローラの両方が外壁に略沿った水平方向に水平移動ができないようにゴンドラに対して支持される場合に、一対のガイドレール間の相互距離と一対のガイドローラ間の相互距離と一致しない場合には、一対のガイドローラ間の相互距離を調整することが難しいことから、一対のガイドローラの使用性を低下させるおそれがあった。一方で、一対のガイドローラのいずれか一方のみが外壁に略沿った水平方向に水平移動できるようにゴンドラに対して支持されている場合には、一対のガイドローラが当該水平方向の外力を受ける際に、一対のガイドローラのいずれか他方のみが当該外力を受けやすくなるため、一対のガイドローラの強度を過度に増大させてしまう可能性があることから、一対のガイドローラの製造コストが過大になるおそれがあった。以上のことから、システムの使用性及び製造性を高める観点からは、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記従来技術における課題を解決するためのものであって、揺れ抑制システムの使用性及び製造性を高めることが可能となる、揺れ抑制システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の揺れ抑制システムは、建物の壁部に取り付けられる長尺な一対のガイドレールであり、当該ガイドレールの長手方向が上下方向に略沿うように前記壁部にそれぞれ設けられる一対のガイドレールを介して昇降対象を昇降させる際に、前記昇降対象の揺れを抑制するための揺れ抑制システムであって、前記昇降対象に設けられる一対のガイドローラであり、当該一対のガイドローラの各々が対応するガイドレールによってガイドされるようにそれぞれ配置された一対のガイドローラと、前記一対のガイドローラの各々を前記壁部に略沿った水平方向に水平移動可能に支持しながら、前記昇降対象の揺れを抑制するための揺れ抑制手段と、を備え、前記揺れ抑制手段は、前記一対のガイドローラのいずれか一方が前記水平方向のいずれか一方に水平移動した際に、前記一対のガイドローラのいずれか他方を前記水平方向のいずれか他方に水平移動させることによって、前記一対のガイドローラ間の相互距離を変化させると共に、前記一対のガイドローラが対応する前記ガイドレールを介して前記水平方向の外力をそれぞれ受ける際に、前記一対のガイドローラの水平移動を制限することによって、前記相互距離を保持する距離調整手段を備える。
【0007】
請求項2に記載の揺れ抑制システムは、請求項1に記載の揺れ抑制システムにおいて、前記距離調整手段は、前記一対のガイドローラのいずれか一方を前記水平方向に水平移動可能に支持する第1支持手段と、前記一対のガイドローラのいずれか他方を前記水平方向に水平移動可能に支持する第2支持手段と、前記一対のガイドローラのいずれか一方が前記水平方向のいずれか一方に水平移動した際に、前記第1支持手段が前記一対のガイドローラのいずれか一方を介して受ける力を前記第2支持手段に作用させると共に、前記一対のガイドローラが対応する前記ガイドレールを介して前記水平方向の外力をそれぞれ受ける際に、前記一対のガイドローラのいずれか一方を介して前記第1支持手段が受ける力と前記一対のガイドローラのいずれか他方を介して前記第2支持手段が受ける力とを相殺させる伝達手段と、を備える。
【0008】
請求項3に記載の揺れ抑制システムは、請求項2に記載の揺れ抑制システムにおいて、前記距離調整手段は、前記一対のガイドローラの少なくともいずれか一方の取付位置を調整するための第1取付位置調整手段を備える。
【0009】
請求項4に記載の揺れ抑制システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の揺れ抑制システムにおいて、前記一対のガイドローラの少なくともいずれか一方は、ガイドローラ本体と、前記ガイドローラ本体を前記距離調整手段に取り付けるための取付手段であり、前記ガイドローラ本体を回転自在に支持する取付手段と、を備える。
【0010】
請求項5に記載の揺れ抑制システムは、請求項1から4のいずれか一項に記載の揺れ抑制システムにおいて、前記揺れ抑制手段の取付位置を調整するための第2取付位置調整手段を備える。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の揺れ抑制システムによれば、揺れ抑制手段が、一対のガイドローラのいずれか一方が水平方向のいずれか一方に水平移動した際に、一対のガイドローラのいずれか他方を水平方向のいずれか他方に水平移動させることによって、一対のガイドローラ間の相互距離を変化させると共に、一対のガイドローラが対応するガイドレールを介して水平方向の外力をそれぞれ受ける際に、一対のガイドローラの水平移動を制限することによって、相互距離を保持する距離調整手段を備えるので、一対のガイドローラのいずれか一方が上記水平方向のいずれか一方に移動した際には、相互距離を変化させることができる。よって、一対のガイドレール間の相互距離の誤差を吸収でき、揺れ抑制システムの使用性を高めることができる。また、一対のガイドローラが対応するガイドレールを介して上記水平方向の外力をそれぞれ受ける際には、相互距離を保持させることができる。よって、一対のガイドローラの両方が上記水平方向の外力を受けることができるので、一対のガイドローラの強度を過度に増大させることを回避でき、揺れ抑制システムの製造性を高めることができる。
【0012】
請求項2に記載の揺れ抑制システムによれば、距離調整手段が、一対のガイドローラのいずれか一方を水平方向に水平移動可能に支持する第1支持手段と、一対のガイドローラのいずれか他方を水平方向に水平移動可能に支持する第2支持手段と、一対のガイドローラのいずれか一方が水平方向のいずれか一方に水平移動した際に、第1支持手段が一対のガイドローラのいずれか一方を介して受ける力を第2支持手段に作用させると共に、一対のガイドローラが対応するガイドレールを介して水平方向の外力をそれぞれ受ける際に、一対のガイドローラのいずれか一方を介して第1支持手段が受ける力と一対のガイドローラのいずれか他方を介して第2支持手段が受ける力とを相殺させる伝達手段と、を備えるので、距離調整手段を比較的簡易に構成でき、距離調整手段の製造性を高めることができる。
【0013】
請求項3に記載の揺れ抑制システムによれば、距離調整手段が、一対のガイドローラの少なくともいずれか一方の取付位置を調整するための第1取付位置調整手段を備えるので、第2ガイドローラの取付位置を調整でき、一対のガイドローラの設置性を高めることができる。
【0014】
請求項4に記載の揺れ抑制システムによれば、一対のガイドローラの少なくともいずれか一方が、ガイドローラ本体と、ガイドローラ本体を距離調整手段に取り付けるための取付手段であり、ガイドローラ本体を回転自在に支持する取付手段と、を備えるので、取付手段によってガイドローラ本体を回転させることができ、当該回転を利用して一対のガイドレール間の相互距離の誤差を吸収することが可能となる。
【0015】
請求項5に記載の揺れ抑制システムによれば、揺れ抑制手段の取付位置を調整するための第2取付位置調整手段を備えるので、揺れ抑制手段の取付位置を調整でき、揺れ抑制手段の設置性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る揺れ抑制システム及び昇降対象を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図である。
図2】揺れ抑制システムを示す斜視図である。
図3】揺れ抑制システムを示す図であり、(a)は正面図、(b)平面図である。
図4】揺れ抑制システムを示す右側面図である。
図5図3(a)の伝達部周辺を示す拡大図であり、(a)は正面図、(b)はA-A矢視断面図、(c)はB-B矢視断面図である。
図6】距離調整部の第1動作を示す図であって、図2に対応する領域を示す図である。
図7】距離調整部の第2動作を示す図であって、図2に対応する領域を示す図である。
図8】距離調整部の第3動作を示す図であって、図2に対応する領域を示す図である。
図9】揺れ抑制システムの変形例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図である。
図10】距離調整部の変形例を示す平面図である。
図11】距離調整部の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る揺れ抑制システムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、建物の壁部に取り付けられる長尺な一対のガイドレールであり、当該ガイドレールの長手方向が上下方向に略沿うように壁部にそれぞれ設けられる一対のガイドレールを介して昇降対象を昇降させる際に、昇降対象の揺れを抑制するための揺れ抑制システムに関するものである。
【0019】
ここで、「建物」の具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、商業施設、オフィスビル、公共施設、アパートやマンションの如き集合住宅等を含む概念であるが、実施の形態では、オフィスビルとして説明する。
【0020】
「昇降対象」とは、例えば一対のガイドレールを用いて昇降される対象を意味し、例えば、ゴンドラ、クレーン用吊り金具、窓清掃装置等を含む概念であるが、実施の形態では、ゴンドラとして説明する。
【0021】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0022】
(構成)
最初に、実施の形態に係る揺れ抑制システム20の構成と、揺れ抑制システム20が設置される昇降対象10の構成と、昇降対象10を昇降させるためのガイドレール1の構成とについて説明する。
【0023】
(構成-ガイドレール)
まず、ガイドレール1の構成について説明する。
【0024】
以下の説明では、図1のX方向を揺れ抑制システム20の左右方向(-X方向を揺れ抑制システム20の左方向、+X方向を揺れ抑制システム20の右方向)、図1のY方向を揺れ抑制システム20の前後方向(+Y方向を揺れ抑制システム20の前方向、-Y方向を揺れ抑制システム20の後方向)、図1のZ方向を揺れ抑制システム20の上下方向(+Z方向を揺れ抑制システム20の上方向、-Z方向を揺れ抑制システム20の下方向)と称する。
【0025】
ガイドレール1(図1では想像線で示す)は、昇降対象10の昇降をガイドするためのものである。このガイドレール1は、例えば公知の昇降用のガイドレールを用いて構成されている。具体的には、図1に示すように、横断面形状が略コ字状となるように形成された長尺なガイドレールで構成されている。より具体的には、左側に位置する左側レール片と、右側に位置する右側レール片と、左側レール片と右側レール片とを接続する接続レール片と、左側レール片及び右側レール片の各々の先端部から左右方向の内側に向けて突出した抑制レール片であり、後述のガイドローラ30がガイドレール1から脱落することを抑制するための抑制レール片と、を備えている。
【0026】
また、ガイドレール1は、建物の壁部(図示省略)において2つ取り付けられている(すなわち、一対のガイドレール1が壁部に取り付けられている)。具体的には、図1に示すように、一対のガイドレール1は、各ガイドレール1の長手方向が上下方向に略沿うようにそれぞれ設けられていると共に、相互に間隔を隔てて左右方向に沿って並設されており、壁部に対して固定具等によってそれぞれ固定されている。
【0027】
なお、実施の形態では、ガイドレール1は、建物の壁部に既設されているものとして説明するが、これに限らず、例えば、昇降対象10を昇降する際に仮設されるものであってもよい。
【0028】
また、以下では、必要に応じて、一対のガイドレール1のうち、図1の左側に位置するガイドレール1aを「第1ガイドレール1a」と称し、図1の右側に位置するガイドレール1bを「第2ガイドレール1b」と称する。
【0029】
(構成-昇降対象)
次に、昇降対象10の構成について説明する。
【0030】
昇降対象10は、例えば公知のゴンドラ等(一例として、後述の吊り材を接続する吊り材接続部16を備えるゴンドラ)を用いて構成されている。具体的には、図1に示すように、上端が開放状である鋼製の箱状体にて構成されており、より具体的には、左側に位置する左側昇降面部11と、右側に位置する右側昇降面部12と、左側昇降面部11と右側昇降面部12とを接続し、且つ前側(壁部側)に位置する前側昇降面部13と、左側昇降面部11と右側昇降面部12とを接続し、且つ後側(壁部とは反対側)に位置する後側昇降面部14と、底側に位置する底側昇降面部15とを備えている。
【0031】
また、昇降対象10は、巻き上げ機(図示省略)によって吊り材(図示省略)を介して吊るされた状態で、壁部の近傍に設けられており、具体的には、図1に示すように、壁部と間隔を隔てて、揺れ抑制システム20を介して一対のガイドレール1に対して昇降可能に設けられている。
【0032】
(構成-揺れ抑制システム)
次に、揺れ抑制システム20の構成について説明する。
【0033】
揺れ抑制システム20は、一対のガイドレール1を介して昇降対象10を昇降させる際に、昇降対象10の揺れを抑制するためのシステムである。この揺れ抑制システム20は、図1に示すように、昇降対象10に設けられており、図2に示すように、一対のガイドローラ30及び揺れ抑制部60を備えている。
【0034】
(構成-揺れ抑制システム-ガイドローラ)
一対のガイドローラ30は、一対のガイドレール1において昇降対象10をスライド移動させるためのものである。これら一対のガイドローラ30は、昇降対象10よりも壁部側(図1では、前方)において、当該一対のガイドローラ30の各々が対応するガイドレール1によってガイドされるようにそれぞれ配置されている。具体的には、図2図3に示すように、一対のガイドローラ30は、相互に間隔を隔てて左右方向に略沿って並設配置されていると共に、一対のガイドローラ30の一方は、第1ガイドレール1aによってガイドされるように配置され、且つ一対のガイドローラ30の他方は、第2ガイドレール1bによってガイドされるように配置されている。
【0035】
なお、以下では、必要に応じて、一対のガイドローラ30のうち、第1ガイドレール1aによってガイドされるガイドローラ31を「第1ガイドローラ31」と称し、第2ガイドレール1bによってガイドされるガイドローラ32を「第2ガイドローラ32」と称する。
【0036】
また、一対のガイドローラ30の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、図3図4に示すように、一対のガイドローラ30の各々が、ガイドローラ本体40及び取付部50を備えている。
【0037】
(構成-揺れ抑制システム-ガイドローラ-ガイドローラ本体)
図3に戻り、ガイドローラ本体40は、ガイドローラ30の基本構造体である。このガイドローラ本体40は、例えば公知のガイドローラ部材を用いて構成されている。具体的には、図3図4に示すように、上下方向に沿って複数の並設された第1ローラ体41であり、ガイドレール1を摺動するための第1ローラ体41と、第1ローラ体41よりも上方及び下方に設けられた第2ローラ体42であって、壁部に略沿った水平方向の力(図3では、左右方向の力)を受けるための第2ローラ体42と、第1ローラ体41及び第2ローラ体42を支持する第1本体部43と、第1本体部43と取付部50とを接続する第2本体部44とを備えている。
【0038】
また、このガイドローラ本体40は、図3図4に示すように、複数の第1ローラ体41の並設方向が上下方向に略沿うように設けられていると共に、当該ガイドローラ本体40の第1ローラ体41及び第2ローラ体42がガイドローラ30内に嵌め込まれるように設けられている。
【0039】
(構成-揺れ抑制システム-ガイドローラ-取付部)
図3に戻り、取付部50は、ガイドローラ本体40を後述の距離調整部70に取り付けるための取付手段である。この取付部50は、例えばガイドローラ本体40を回転自在に支持可能な公知の取付部材を用いて構成されている。具体的には、図3図4に示すように、第2本体部44をY軸回りに回転可能に支持する第1取付部51と、第1取付部51を後述の距離調整部70(具体的には、後述の第1支持部80又は後述の第2支持部90)に対して左右方向に略沿って摺動可能に接続する第2取付部52とを備えている。
【0040】
また、図3図4に示すように、取付部50は、ガイドローラ本体40と後述の距離調整部70との相互間に設けられており、具体的には、第1取付部51が第2本体部44に対して固定具等によって回転可能に接続されていると共に、第2取付部52が後述の第1支持部80(又は後述の第2支持部90)に対して図示しない摺動部材(例えば、公知のローラ部材等)によって左右方向に略沿って摺動可能に接続されている。
【0041】
このようなガイドローラ30により、取付部50によってガイドローラ本体40を回転させることができ、当該回転を利用して一対のガイドレール1間の相互距離の誤差を吸収することが可能となる。
【0042】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部)
図1に戻り、揺れ抑制部60は、一対のガイドローラ30の各々を上記水平方向(図1では、左右方向)に水平移動可能に支持しながら、昇降対象10の揺れを抑制するための揺れ抑制手段である。この揺れ抑制部60は、図1に示すように、ガイドローラ30と昇降対象10との相互間に設けられており、図2、3に示すように、距離調整部70及び支持部120を備えている。
【0043】
ここで、「昇降対象10の揺れ」とは、実施の形態では、昇降対象10の水平方向の揺れ(具体的には、図1の前後方向の揺れ、図1の左右方向の揺れ等)が該当する。
【0044】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部)
距離調整部70は、一対のガイドローラ30のいずれか一方が上記水平方向(図3では、左右方向)のいずれか一方に水平移動した際に、一対のガイドローラ30のいずれか他方を上記水平方向のいずれか他方に水平移動させることによって、一対のガイドローラ30間の相互距離を変化させると共に、一対のガイドローラ30が対応するガイドレール1を介して上記水平方向の外力をそれぞれ受ける際に、一対のガイドローラ30の水平移動を制限することによって、相互距離を保持する距離調整手段である。この距離調整部70は、図3図5に示すように、第1支持部80、第2支持部90、伝達部100、及び第1取付位置調整部110を備えている。
【0045】
ここで、「上記水平方向の外力」とは、例えば、上記水平方向の地震力、風力、及び人力等が該当する。
【0046】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部-第1支持部)
図3に戻り、第1支持部80は、一対のガイドローラ30のいずれか一方(具体的には、第1ガイドローラ31)を上記水平方向に水平移動可能に支持する第1支持手段であり、図3に示すように、第1ガイドローラ31の近傍に設けられており、第1移動部81、第1回動部82、及び第1ガイド部83を備えている。
【0047】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部-第1支持部-第1移動部)
第1移動部81は、第1ガイドローラ31を上記水平方向に水平移動させるためのものである。この第1移動部81は、例えば公知のチェーン部材(一例として、長尺な略環状のチェーン部材)を用いて構成されており、図3に示すように、第1移動部81の長手方向が左右方向に略沿うように設けられており、第1ガイドローラ31の第2取付部52に対して係合構造又は固定具等によって接続されている。
【0048】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部-第1支持部-第1回動部)
第1回動部82は、第1移動部81を回動させるためのものである。この第1回動部82は、例えば公知のスプロケット部材(一例として、第1回動本体82cと、第1回動本体82cを回転させる第1回転軸部82dとを有するスプロケット部材)を用いて構成されており、図3に示すように、第1移動部81の内縁側において相互に間隔を隔てて左右方向に略沿って2つ並設されている。具体的には、各第1回動部82の第1回動本体82cが第1移動部81によって巻き付けられるように設けられていると共に、各第1回動部82の第1回転軸部82dが第1ガイド部83に対して当該第1ガイド部83に取り付けられた第1支持部材82eによって回転自在に設けられている。
【0049】
なお、以下では、必要に応じて、2つの第1回動部82のうち、距離調整部70の左右方向の内側に位置する第1回動部82aを「内側第1回動部82a」と称し、距離調整部70の左右方向の外側に位置する第1回動部82bを「外側第1回動部82b」と称する。
【0050】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部-第1支持部-第1ガイド部)
第1ガイド部83は、第1ガイドローラ31の上記水平方向への水平移動をガイドするためのものである。この第1ガイド部83は、例えば公知のガイド材(一例として、断面形状が略コ字状である長尺なガイド材)を用いて構成されており、第1ガイド部83の長手方向が左右方向に略沿うように設けられていると共に、第1ガイドローラ31の第2取付部52が摺動部材を介して当該第1ガイド部83に嵌合されるように設けられている。
【0051】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部-第2支持部)
第2支持部90は、一対のガイドローラ30のいずれか他方(具体的には、第2ガイドローラ32)を上記水平方向(図3では、左右方向)に水平移動可能に支持する第2支持手段であり、図3に示すように、第2ガイドローラ32の近傍に設けられており、第2移動部91、第2回動部92、及び第2ガイド部93を備えている。
【0052】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部-第2支持部-第2移動部)
第2移動部91は、第2ガイドローラ32を上記水平方向に水平移動させるためのものである。この第2移動部91は、例えば公知のチェーン部材(一例として、長尺な略環状のチェーン部材)を用いて構成されており、図3に示すように、第2移動部91の長手方向が左右方向に略沿うように設けられており、第2ガイドローラ32の第2取付部52に対して係合構造又は固定具等によって接続されている。
【0053】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部-第2支持部-第2回動部)
第2回動部92は、第2移動部91を回動させるためのものである。この第2回動部92は、例えば公知のスプロケット部材(一例として、第2回動本体92cと、第2回動本体92cを回転させる第2回転軸部92dとを有するスプロケット部材)を用いて構成されており、図3に示すように、第2移動部91の内縁側において相互に間隔を隔てて左右方向に略沿って2つ並設されている。具体的には、各第2回動部92の第2回動本体92cが第2移動部91によって巻き付けられるように設けられていると共に、各第2回動部92の第2回転軸部92dが第2ガイド部93に対して当該第2ガイド部93に取り付けられた第2支持部材92eによって回転自在に設けられ、且つ第2回動本体92cに対して固定具等によって接続されている。
【0054】
なお、以下では、必要に応じて、2つの第2回動部92のうち、距離調整部70の左右方向の内側に位置する第2回動部92aを「内側第2回動部92a」と称し、距離調整部70の左右方向の外側に位置する第2回動部92bを「外側第2回動部92b」と称する。
【0055】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部-第2支持部-第2ガイド部)
第2ガイド部93は、第2ガイドローラ32の上記水平方向への水平移動をガイドするためのものである。この第2ガイド部93は、例えば公知のガイド材(一例として、断面形状が略コ字状である長尺なガイド材)を用いて構成されており、第2ガイド部93の長手方向が左右方向に略沿うように設けられていると共に、第2ガイドローラ32の第2取付部52が摺動部材を介して当該第2ガイド部93に嵌合されるように設けられている。
【0056】
なお、第2ガイド部93の形成方法については任意であるが、実施の形態では、第1ガイド部83及び第2ガイド部93を一体に形成しているが、これに限らず、例えば、第1ガイド部83及び第2ガイド部93を別体に形成してもよい。
【0057】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部-伝達部)
伝達部100は、一対のガイドローラ30のいずれか一方が上記水平方向のいずれか一方に水平移動した際に、第1支持部80又は第2支持部90のいずれか一方が一対のガイドローラ30のいずれか一方を介して受ける力を第1支持部80又は第2支持部90のいずれか他方に作用させると共に、一対のガイドローラ30が対応するガイドレール1を介して上記水平方向の外力をそれぞれ受ける際に、一対のガイドローラ30のいずれか一方を介して第1支持部80が受ける力と一対のガイドローラ30のいずれか他方を介して第2支持部90が受ける力とを相殺させる(打ち消す)伝達手段である。この伝達部100は、図3に示すように、第1伝達部101及び第2伝達部102を備えている。
【0058】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部-伝達部-第1伝達部)
第1伝達部101は、伝達部100の基本構造体の一部である。この第1伝達部101は、例えば公知のギア材を用いて構成されており、具体的には、第1伝達部101の第1回動本体82cの径を、内側第1回動部82aの第1回動本体82cの径よりも大きく設定できるギア材を用いて構成されている。また、図3図5に示すように、第1伝達部101は、内側第1回動部82aの近傍において、内側第1回動部82aの第1回転軸部82dの回転に伴って回転可能に設けられている。具体的には、内側第1回動部82aの第1回転軸部82dが第1伝達部101に形成された第1挿通孔(図示省略)に挿通されるように配置され、第1回転軸部82dに対して固定具等によって接続されている。
【0059】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部-伝達部-第2伝達部)
図3に戻り、第2伝達部102は、伝達部100の基本構造体の他の一部である。この第2伝達部102は、例えば公知のギア材を用いて構成されており、具体的には、第2伝達部102の第2回動本体92cの径を、内側第2回動部92aの第2回動本体92cの径よりも大きく、且つ第1伝達部101と当接可能な大きさ(より具体的には、第1伝達部101の第1回動本体82cの径と略同一の大きさ)に設定できるギア材で構成されている。また、図3図5に示すように、第2伝達部102は、内側第2回動部92aの近傍において、内側第2回動部92aの第2回転軸部92dの回転に伴って回転可能に設けられていると共に、第1伝達部101と当接可能な位置に設けられている。具体的には、内側第2回動部92aの第2回転軸部92dが第2伝達部102に形成された第2挿通孔(図示省略)に挿通されるように配置されている。
【0060】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部-第1取付位置調整部)
第1取付位置調整部110は、一対のガイドローラ30の少なくともいずれか一方の取付位置(具体的には、第2ガイドローラ32の取付位置)を調整するための第1取付位置調整手段である。この第1取付位置調整部110は、図5に示すように、第2伝達部102に設けられ、第2回動部92の第2回転軸部92dと第2伝達部102との位相を変更可能に構成されており、具体的には、係合部111及び被係合部112を備えている。
【0061】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部-第1取付位置調整部-係合部)
係合部111は、第2回転軸部92dに対する第2伝達部102の回転を拘束するために、被係合部112を係合する係合手段である。この係合部111は、第2伝達部102に形成された係合孔で構成されており、図5に示すように、第2伝達部102のうち第2挿通孔の近傍部分に複数設けられている。
【0062】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部-第1取付位置調整部-被係合部)
被係合部112は、第2回転軸部92dに対する第2伝達部102の回転を拘束するために、係合部111に係合される被係合手段である。この被係合部112は、例えば公知のクサビ材を用いて構成され、図5に示すように、各係合部111に着脱自在にそれぞれ挿通されていることで(すなわち、複数の被係合部112が設けられていることで)、第2伝達部102の回転が拘束されている。
【0063】
このような第1取付位置調整部110により、第2ガイドローラ32の取付位置を調整でき、一対のガイドローラ30の設置性を高めることができる。特に、実施の形態では、すべての被係合部112を対応する係合部111から取り外した状態で、第2伝達部102を第2回転軸部92dに対して回転させることにより、第2回転軸部92dと第2伝達部102との位相を変更できることから、第2ガイドローラ32の取付位置を簡易に調整できる。
【0064】
以上のような距離調整部70により、距離調整部70を比較的簡易に構成でき、距離調整部70の製造性を高めることができる。
【0065】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部-具体的な動作)
また、距離調整部70の具体的な動作については任意であるが、実施の形態では、第1動作と、第2動作と、第3動作とに大別されるので、以下では各動作の詳細について説明する。
【0066】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部-具体的な動作-第1動作)
まず、第1動作について説明する。
【0067】
第1動作は、一対のガイドローラ30のいずれか一方が上記水平方向(図6では、左右方向)のいずれか一方に水平移動した際に、一対のガイドローラ30間の相互距離が広がるように動作することを意味する。
【0068】
例えば、図6に示すように、第1ガイドローラ31が左方向の外力Pを受けることで左方向に水平移動しようとすると、当該水平移動に伴って第1移動部81が回動(図6では、時計回りに回動)することにより、2つの第1回動部82及び第1伝達部101が回転する。
【0069】
次に、上記第1伝達部101の回転によって、上記外力Pが第2伝達部102に作用することにより(つまり、第1支持部80が第1ガイドローラ31を介して受けた力が第2支持部90に作用することにより)、第2伝達部102が回転する。
【0070】
そして、上記第2伝達部102の回転に伴って内側第2回動部92aが回転すると、第2移動部91が回動(図6では、反時計回りに回動)すると共に、外側第2回動部92bが回転することにより、第2ガイドローラ32が右方向に水平移動するので、一対のガイドローラ30間の相互距離が広がることになる(なお、第2ガイドローラ32が右方向の外力Pを受ける場合の動作についても略同様とする)。
【0071】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部-具体的な動作-第2動作)
次に、第2動作について説明する。
【0072】
第2動作は、一対のガイドローラ30のいずれか一方が上記水平方向のいずれか他方に水平移動した際に、一対のガイドローラ30間の相互距離が狭まるように動作することを意味する。
【0073】
例えば、図7に示すように、第1ガイドローラ31が右方向の外力Pを受けることで右方向に水平移動しようとすると、当該水平移動に伴って第1移動部81が回動(図7では、反時計回りに回動)することにより、2つの第1回動部82及び第1伝達部101が回転する。
【0074】
次に、上記第1伝達部101の回転によって、上記外力Pが第2伝達部102に作用することにより、第2伝達部102が回転する。
【0075】
そして、上記第2伝達部102の回転に伴って内側第2回動部92aが回転すると、第2移動部91が回動(図7では、時計回りに回動)すると共に、外側第2回動部92bが回転することにより、第2ガイドローラ32が左方向に水平移動するので、一対のガイドローラ30間の相互距離が狭まることになる(なお、第2ガイドローラ32が左方向の外力Pを受ける場合の動作についても略同様とする)。
【0076】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-距離調整部-具体的な動作-第3動作)
続いて、第3動作について説明する。
【0077】
第3動作は、一対のガイドローラ30が上記水平方向の外力Pをそれぞれ受ける際に、一対のガイドローラ30間の相互距離が保持されるように動作することを意味する。
【0078】
例えば、図8に示すように、第1ガイドローラ31及び第2ガイドローラ32の各々が右方向の外力Pを受けることで右方向に水平移動しようとすると、第1ガイドローラ31の水平移動に伴って第1移動部81が回動(図8では、反時計回りに回動)することで、2つの第1回動部82及び第1伝達部101が回転しようとすると共に、第2ガイドローラ32の水平移動に伴って第2移動部91が回動(図8では、時計回りに回動)することにより、2つの第2回動部92及び第2伝達部102が回転しようとする。
【0079】
この場合において、上記第1伝達部101の回転と上記第2伝達部102の回転とが相殺されるので(つまり、上記第1ガイドローラ31が受けた外力Pと上記第2ガイドローラ32が受けた外力Pとが相殺されるので)、第1移動部81の回動及び2つの第1回動部82の回転が停止されると共に、第2移動部91の回動及び2つの第2回動部92の回転が停止される。これにより、一対のガイドローラ30の水平移動が制限されることから、一対のガイドローラ30間の相互距離が保持されることになる(なお、第1ガイドローラ31及び第2ガイドローラ32の各々が左方向の外力Pを受ける場合の動作についても略同様とする)。
【0080】
(構成-揺れ抑制システム-揺れ抑制部-支持部)
図3に戻り、支持部120は、距離調整部70を支持するための支持手段である。この支持部120は、前端が略開放状である長尺な鋼製の箱状体にて構成されている。具体的には、図3図4に示すように、左側に位置する左側支持片121、右側に位置する右側支持片122、後側に位置する後側支持片123、上側に位置する上側支持片124、及び下側に位置する下側支持片125を備えている。
【0081】
また、図1に示すように、支持部120は、距離調整部70と昇降対象10との相互間に設けられている。具体的には、支持部120の前端部が第1ガイド部83及び第2ガイド部93の各々に取り付けられた取付部50と当接するように設けられていると共に、後側支持片123が後側昇降面部14と当接するように設けられている。そして、支持部120が、第1ガイド部83、第2ガイド部93、及び昇降対象10の各々に対して固定具等によって接続されている。
【0082】
このような揺れ抑制システム20により、一対のガイドローラ30のいずれか一方が上記水平方向のいずれか一方に移動した際には、相互距離を変化させることができる。よって、一対のガイドレール1間の相互距離の誤差を吸収でき、揺れ抑制システム20の使用性を高めることができる。また、一対のガイドローラ30が対応するガイドレール1を介して上記水平方向の外力Pをそれぞれ受ける際には、相互距離を保持させることができる。よって、一対のガイドローラ30の両方が上記水平方向の外力Pを受けることができるので、一対のガイドローラ30の強度を過度に増大させることを回避でき、揺れ抑制システム20の製造性を高めることができる。
【0083】
(揺れ抑制システムの作用について)
続いて、このように構成された揺れ抑制システム20の作用について説明する。
【0084】
揺れ抑制システム20の作用は、設置作用と、昇降作用と、第1揺れ作用と、第2揺れ作用とに大別されるので、以下では各作用の詳細について説明する。
【0085】
(揺れ抑制システム20の作用について-設置作用)
まず、設置作用について説明する。
【0086】
設置作用は、一対のガイドローラ30を一対のガイドレール1に設置する際の作用を意味する。
【0087】
例えば、一対のガイドローラ30を一対のガイドレール1に設置する際に、一対のガイドローラ30間の相互距離が一対のガイドレール1間の相互距離よりも短い場合には、一対のガイドローラ30のいずれか一方に上記水平方向(具体的には、左右方向)のいずれか一方への人力等を作用させると、距離調整部70が第1動作することで一対のガイドローラ30間の相互距離を広げることができる。これにより、一対のガイドローラ30間の相互距離を調整することにより、一対のガイドローラ30を一対のガイドレール1にフィットするように設置できる。
【0088】
また、一対のガイドローラ30間の相互距離が一対のガイドレール1間の相互距離よりも長い場合には、一対のガイドローラ30のいずれか一方に上記水平方向のいずれか他方への人力等を作用させると、距離調整部70が第2動作することで一対のガイドローラ30間の相互距離を狭めることができる。これにより、一対のガイドローラ30間の相互距離を調整することにより、一対のガイドローラ30を一対のガイドレール1にフィットするように設置できる。
【0089】
(揺れ抑制システムの作用について-昇降作用)
次に、昇降作用について説明する。
【0090】
昇降作用は、一対のガイドローラ30が一対のガイドレール1に設置された状態で、巻き上げ機を用いて昇降対象10を昇降させる際の作用を意味する。
【0091】
例えば、巻き上げ機を用いて昇降対象10を昇降させる際には、一対のガイドローラ30の各々の第1ローラ体41が対応するガイドレール1の接続レール片をそれぞれ摺動することにより、昇降対象10を壁部に略沿って昇降させることができる。
【0092】
(揺れ抑制システムの作用について-第1揺れ作用)
次に、第1揺れ作用について説明する。
【0093】
第1揺れ作用は、一対のガイドローラ30が一対のガイドレール1に設置された状態で、巻き上げ機によって吊り下げられた昇降対象10が左右方向に揺れる際の作用を意味する。
【0094】
例えば、昇降対象10に対して右方向の風力が作用した際に、昇降対象10が右方向に水平移動することに伴って一対のガイドローラ30も右方向に水平移動する。
【0095】
この場合において、第1ガイドローラ31の第2ローラ体42と第1ガイドレール1aの右側レール片との距離と、第2ガイドローラ32の第2ローラ体42と第2ガイドレール1bの右側レール片との距離とが等しい場合には、第1ガイドローラ31の第2ローラ体42と第1ガイドレール1aの右側レール片との接触と、第2ガイドローラ32の第2ローラ体42と第2ガイドレール1bの右側レール片との接触とが同時に行われることにより、距離調整部70が第3動作することで一対のガイドローラ30間の相互距離を保持できる。これにより、一対のガイドローラ30の両方が上記風力を受けることで、昇降対象10の左右方向の揺れを抑制できる(なお、昇降対象10に左方向の風力が作用した場合についても略同様とする)。
【0096】
また、第1ガイドローラ31の第2ローラ体42と第1ガイドレール1aの右側レール片との距離と、第2ガイドローラ32の第2ローラ体42と第2ガイドレール1bの右側レール片との距離とが等しくない場合には、第1ガイドローラ31の第2ローラ体42と第1ガイドレール1aの右側レール片との接触、又は第2ガイドローラ32の第2ローラ体42と第2ガイドレール1bの右側レール片との接触のいずれか一方が行われた後に、距離調整部70が第1動作(又は第2動作)する。その後、第1ガイドローラ31の第2ローラ体42と第1ガイドレール1aの右側レール片との接触、又は第2ガイドローラ32の第2ローラ体42と第2ガイドレール1bの右側レール片との接触のいずれか他方が行われると、距離調整部70が第3動作することで一対のガイドローラ30間の相互距離を保持できる。これにより、第1ガイドローラ31の第2ローラ体42と第1ガイドレール1aの右側レール片との距離と、第2ガイドローラ32の第2ローラ体42と第2ガイドレール1bの右側レール片との距離とが等しい場合と同様に、一対のガイドローラ30の両方が上記風力を受けることで、昇降対象10の左右方向の揺れを抑制できる(なお、昇降対象10に左方向の風力が作用した場合についても略同様とする)。
【0097】
(揺れ抑制システムの作用について-第2揺れ作用)
続いて、第2揺れ作用について説明する。
【0098】
第2揺れ作用は、一対のガイドローラ30が一対のガイドレール1に設置された状態で、巻き上げ機によって吊り下げられた昇降対象10が前後方向に揺れる際の作用を意味する。
【0099】
例えば、昇降対象10に対して前方向の風力が作用した際に、昇降対象10が前方向に水平移動することに伴って一対のガイドローラ30も前方向に水平移動する。この場合において、一対のガイドローラ30の各々の第1ローラ体41と対応するガイドレール1の接続レール片とが接触することから、一対のガイドローラ30の両方が上記風力を受けることで、昇降対象10の前後方向の揺れを抑制できる。
【0100】
また、昇降対象10に対して後方向の風力が作用した際に、昇降対象10が後方向に水平移動することに伴って一対のガイドローラ30も後方向に水平移動する。この場合において、一対のガイドローラ30の各々の第1ローラ体41と対応するガイドレール1の抑制レール片とが接触することから、一対のガイドローラ30の両方が上記風力を受けることで、昇降対象10の前後方向の揺れを抑制できる。
【0101】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、揺れ抑制部60が、一対のガイドローラ30のいずれか一方が水平方向のいずれか一方に水平移動した際に、一対のガイドローラ30のいずれか他方を水平方向のいずれか他方に水平移動させることによって、一対のガイドローラ30間の相互距離を変化させると共に、一対のガイドローラ30が対応するガイドレール1を介して水平方向の外力をそれぞれ受ける際に、一対のガイドローラ30の水平移動を制限することによって、相互距離を保持する距離調整部70を備えるので、一対のガイドローラ30のいずれか一方が上記水平方向のいずれか一方に移動した際には、相互距離を変化させることができる。よって、一対のガイドレール1間の相互距離の誤差を吸収でき、揺れ抑制システム20の使用性を高めることができる。また、一対のガイドローラ30が対応するガイドレール1を介して上記水平方向の外力をそれぞれ受ける際には、相互距離を保持させることができる。よって、一対のガイドローラ30の両方が上記水平方向の外力を受けることができるので、一対のガイドローラ30の強度を過度に増大させることを回避でき、揺れ抑制システム20の製造性を高めることができる。
【0102】
また、距離調整部70が、一対のガイドローラ30のいずれか一方を水平方向に水平移動可能に支持する第1支持部80と、一対のガイドローラ30のいずれか他方を水平方向に水平移動可能に支持する第2支持部90と、一対のガイドローラ30のいずれか一方が水平方向のいずれか一方に水平移動した際に、第1支持部80が一対のガイドローラ30のいずれか一方を介して受ける力を第2支持部90に作用させると共に、一対のガイドローラ30が対応するガイドレール1を介して水平方向の外力をそれぞれ受ける際に、一対のガイドローラ30のいずれか一方を介して第1支持部80が受ける力と一対のガイドローラ30のいずれか他方を介して第2支持部90が受ける力とを相殺させる伝達部100と、を備えるので、距離調整部70を比較的簡易に構成でき、距離調整部70の製造性を高めることができる。
【0103】
また、距離調整部70が、一対のガイドローラ30の少なくともいずれか一方の取付位置を調整するための第1取付位置調整部110を備えるので、第2ガイドローラ32の取付位置を調整でき、一対のガイドローラ30の設置性を高めることができる。
【0104】
また、一対のガイドローラ30の少なくともいずれか一方が、ガイドローラ本体40と、ガイドローラ本体40を距離調整部70に取り付けるための取付部50であり、ガイドローラ本体40を回転自在に支持する取付部50と、を備えるので、取付部50によってガイドローラ本体40を回転させることができ、当該回転を利用して一対のガイドレール1間の相互距離の誤差を吸収することが可能となる。
【0105】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0106】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0107】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0108】
(揺れ抑制システムについて)
上記実施の形態では、揺れ抑制システム20が、一対のガイドローラ30及び揺れ抑制部60を備えていると説明したが、これに限らない。例えば、図9に示すように、一対のガイドローラ30及び揺れ抑制部60に加えて、第2取付位置調整部130をさらに備えてもよい。
【0109】
第2取付位置調整部130は、揺れ抑制部60の取付位置を調整するための第2取付位置調整手段である。この第2取付位置調整部130は、図9に示すように、支持部120と昇降対象10との相互間に設けられており、調整用ガイド部131、調整用ローラ部132、及び移動制限部(図示省略)を備えている。
【0110】
このうち、調整用ガイド部131は、揺れ抑制部60の取付位置を調整する際に揺れ抑制部60の移動をガイドするためのものである。この調整用ガイド部131は、例えば公知のガイド材(一例として、断面形状が略コ字状である長尺なガイド材)を用いて構成され、図9に示すように、支持部120と昇降対象10との相互間において、調整用ガイド部131の長手方向が左右方向に略沿うように設けられており、昇降対象10の前側昇降面部13に対して固定具等によって固定されている。
【0111】
また、調整用ローラ部132は、調整用ガイド部131において揺れ抑制部60をスライド移動させるためのものである。この調整用ローラ部132は、例えば公知のローラ材を用いて構成され、図9に示すように、支持部120の上側支持片124及び下側支持片125の各々において、支持部120の長手方向(図9では、左右方向)に沿って相互に間隔を隔てて複数並設されると共に、調整用ガイド部131内に嵌め込まれるように設けられており、当該上側支持片124又は当該下側支持片125に対して固定具又は溶接等によって接続されている。
【0112】
また、移動制限部は、揺れ抑制部60のスライド移動を制限する移動制限手段である。この移動制限部は、例えば公知の移動制限材(一例として、ピン材、摩擦ブレーキ材等)を用いて構成され、調整用ガイド部131と支持部120の上側支持片124又は/及び下側支持片125との相互間において着脱自在に設けられている。
【0113】
このような第2取付位置調整部130により、移動制限部による揺れ抑制部60のスライド移動の制限を解除することにより、揺れ抑制部60をスライド移動させることできる。よって、揺れ抑制部60の取付位置を調整でき、揺れ抑制部60の設置性を高めることができる。
【0114】
(ガイドローラについて)
上記実施の形態では、ガイドローラ30が、ガイドローラ本体40を回転自在に支持可能な取付部50を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、ガイドローラ本体40を回転不能に支持可能な取付部50を備えてもよい。
【0115】
(距離調整部について)
上記実施の形態では、距離調整部70が、第2伝達部102に設けられた第1取付位置調整部110を備えていると説明したが、これに限らない。例えば、第1伝達部101に設けられる第1取付位置調整部110をさらに備えてもよく、あるいは、第1取付位置調整部110を省略してもよい。
【0116】
また、上記実施の形態では、第1支持部80が第1移動部81、第1回動部82、及び第1ガイド部83を備え、第2支持部90が第2移動部91、第2回動部92、及び第2ガイド部93を備え、伝達部が第1伝達部101及び第2伝達部102を備えていると説明したが、これに限らない。
【0117】
例えば、図10に示すように、第1支持部80は、例えば公知の長尺なラック部材で構成され、当該第1支持部80の長手方向が左右方向に沿うように配置されてもよい。また、第2支持部90は、例えば公知の長尺なラック部材で構成され、当該第2支持部90の長手方向が左右方向に沿うように配置され、且つ第1支持部80よりも後方に位置するように設けられてもよい。また、伝達部100は、例えば公知のピニオン部材で構成され、第1支持部80と第2支持部90との相互間において、第1支持部80及び第2支持部90の各々と当接するように設けられてもよい。
【0118】
また、図11に示すように、第1支持部80及び第2支持部90は、例えば公知のボールねじ部材で構成され、左右方向に沿って間隔を隔てて設けられている。また、伝達部100は、第1支持部80に挿通された第1伝達部101(例えば、公知の右巻きネジ材)と、第2支持部90に挿通された第2伝達部102(例えば、公知の左巻きネジ材)と、右巻きネジ材と左巻きネジ材とを連結する連結部103とを備えてもよい。
【0119】
(付記)
付記1の揺れ抑制システムは、建物の壁部に取り付けられる長尺な一対のガイドレールであり、当該ガイドレールの長手方向が上下方向に略沿うように前記壁部にそれぞれ設けられる一対のガイドレールを介して昇降対象を昇降させる際に、前記昇降対象の揺れを抑制するための揺れ抑制システムであって、前記昇降対象に設けられる一対のガイドローラであり、当該一対のガイドローラの各々が対応するガイドレールによってガイドされるようにそれぞれ配置された一対のガイドローラと、前記一対のガイドローラの各々を前記壁部に略沿った水平方向に水平移動可能に支持しながら、前記昇降対象の揺れを抑制するための揺れ抑制手段と、を備え、前記揺れ抑制手段は、前記一対のガイドローラのいずれか一方が前記水平方向のいずれか一方に水平移動した際に、前記一対のガイドローラのいずれか他方を前記水平方向のいずれか他方に水平移動させることによって、前記一対のガイドローラ間の相互距離を変化させると共に、前記一対のガイドローラが対応する前記ガイドレールを介して前記水平方向の外力をそれぞれ受ける際に、前記一対のガイドローラの水平移動を制限することによって、前記相互距離を保持する距離調整手段を備える。
【0120】
付記2の揺れ抑制システムは、付記1に記載の揺れ抑制システムにおいて、前記距離調整手段は、前記一対のガイドローラのいずれか一方を前記水平方向に水平移動可能に支持する第1支持手段と、前記一対のガイドローラのいずれか他方を前記水平方向に水平移動可能に支持する第2支持手段と、前記一対のガイドローラのいずれか一方が前記水平方向のいずれか一方に水平移動した際に、前記第1支持手段が前記一対のガイドローラのいずれか一方を介して受ける力を前記第2支持手段に作用させると共に、前記一対のガイドローラが対応する前記ガイドレールを介して前記水平方向の外力をそれぞれ受ける際に、前記一対のガイドローラのいずれか一方を介して前記第1支持手段が受ける力と前記一対のガイドローラのいずれか他方を介して前記第2支持手段が受ける力とを相殺させる伝達手段と、を備える。
【0121】
付記3の揺れ抑制システムは、付記2に記載の揺れ抑制システムにおいて、前記距離調整手段は、前記一対のガイドローラの少なくともいずれか一方の取付位置を調整するための第1取付位置調整手段を備える。
【0122】
付記4の揺れ抑制システムは、付記1から3のいずれか一項に記載の揺れ抑制システムにおいて、前記一対のガイドローラの少なくともいずれか一方は、ガイドローラ本体と、前記ガイドローラ本体を前記距離調整手段に取り付けるための取付手段であり、前記ガイドローラ本体を回転自在に支持する取付手段と、を備える。
【0123】
付記5の揺れ抑制システムは、付記1から4のいずれか一項に記載の揺れ抑制システムにおいて、前記揺れ抑制手段の取付位置を調整するための第2取付位置調整手段を備える。
【0124】
(付記の効果)
付記1に記載の揺れ抑制システムによれば、揺れ抑制手段が、一対のガイドローラのいずれか一方が水平方向のいずれか一方に水平移動した際に、一対のガイドローラのいずれか他方を水平方向のいずれか他方に水平移動させることによって、一対のガイドローラ間の相互距離を変化させると共に、一対のガイドローラが対応するガイドレールを介して水平方向の外力をそれぞれ受ける際に、一対のガイドローラの水平移動を制限することによって、相互距離を保持する距離調整手段を備えるので、一対のガイドローラのいずれか一方が上記水平方向のいずれか一方に移動した際には、相互距離を変化させることができる。よって、一対のガイドレール間の相互距離の誤差を吸収でき、揺れ抑制システムの使用性を高めることができる。また、一対のガイドローラが対応するガイドレールを介して上記水平方向の外力をそれぞれ受ける際には、相互距離を保持させることができる。よって、一対のガイドローラの両方が上記水平方向の外力を受けることができるので、一対のガイドローラの強度を過度に増大させることを回避でき、揺れ抑制システムの製造性を高めることができる。
【0125】
付記2に記載の揺れ抑制システムによれば、距離調整手段が、一対のガイドローラのいずれか一方を水平方向に水平移動可能に支持する第1支持手段と、一対のガイドローラのいずれか他方を水平方向に水平移動可能に支持する第2支持手段と、一対のガイドローラのいずれか一方が水平方向のいずれか一方に水平移動した際に、第1支持手段が一対のガイドローラのいずれか一方を介して受ける力を第2支持手段に作用させると共に、一対のガイドローラが対応するガイドレールを介して水平方向の外力をそれぞれ受ける際に、一対のガイドローラのいずれか一方を介して第1支持手段が受ける力と一対のガイドローラのいずれか他方を介して第2支持手段が受ける力とを相殺させる伝達手段と、を備えるので、距離調整手段を比較的簡易に構成でき、距離調整手段の製造性を高めることができる。
【0126】
付記3に記載の揺れ抑制システムによれば、距離調整手段が、一対のガイドローラの少なくともいずれか一方の取付位置を調整するための第1取付位置調整手段を備えるので、第2ガイドローラの取付位置を調整でき、一対のガイドローラの設置性を高めることができる。
【0127】
付記4に記載の揺れ抑制システムによれば、一対のガイドローラの少なくともいずれか一方が、ガイドローラ本体と、ガイドローラ本体を距離調整手段に取り付けるための取付手段であり、ガイドローラ本体を回転自在に支持する取付手段と、を備えるので、取付手段によってガイドローラ本体を回転させることができ、当該回転を利用して一対のガイドレール間の相互距離の誤差を吸収することが可能となる。
【0128】
付記5に記載の揺れ抑制システムによれば、揺れ抑制手段の取付位置を調整するための第2取付位置調整手段を備えるので、揺れ抑制手段の取付位置を調整でき、揺れ抑制手段の設置性を高めることができる。
【符号の説明】
【0129】
1 ガイドレール
1a 第1ガイドレール
1b 第2ガイドレール
10 昇降対象
11 左側昇降面部
12 右側昇降面部
13 前側昇降面部
14 後側昇降面部
15 底側昇降面部
16 吊り材接続部
20 揺れ抑制システム
30 ガイドローラ
31 第1ガイドローラ
32 第2ガイドローラ
40 ガイドローラ本体
41 第1ローラ体
42 第2ローラ体
43 第1本体部
44 第2本体部
50 取付部
51 第1取付部
52 第2取付部
60 揺れ抑制部
70 距離調整部
80 第1支持部
81 第1移動部
82 第1回動部
82a 内側第1回動部
82b 外側第1回動部
82c 第1回動本体
82d 第1回転軸部
82e 第1支持部材
83 第1ガイド部
90 第2支持部
91 第2移動部
92 第2回動部
92a 内側第2回動部
92b 外側第2回動部
92c 第2回動本体
92d 第2回転軸部
92e 第2支持部材
93 第2ガイド部
100 伝達部
101 第1伝達部
102 第2伝達部
103 連結部
110 第1取付位置調整部
111 係合部
112 被係合部
120 支持部
121 左側支持片
122 右側支持片
123 後側支持片
124 上側支持片
125 下側支持片
130 第2取付位置調整部
131 調整用ガイド部
132 調整用ローラ部
P 外力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11