(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046443
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】水処理装置
(51)【国際特許分類】
B01D 24/48 20060101AFI20230329BHJP
B01D 24/00 20060101ALI20230329BHJP
B01D 24/46 20060101ALI20230329BHJP
B01D 29/66 20060101ALI20230329BHJP
C02F 1/00 20230101ALI20230329BHJP
【FI】
B01D29/36 C
B01D29/08 520A
B01D29/08 530D
B01D29/08 540A
B01D29/38 510B
B01D29/38 520A
C02F1/00 L
C02F1/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155035
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】神田 陽平
(72)【発明者】
【氏名】榊原 崇
(72)【発明者】
【氏名】佐岡 美咲
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA22
4D116BA05
4D116DD01
4D116EE04
4D116EE10
4D116FF01A
4D116GG08
4D116GG09
4D116GG12
4D116KK04
4D116QA14B
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4D116QA60G
4D116QB41
4D116QC04A
4D116QC22A
4D116QC23A
4D116QC23B
4D116QC32A
4D116RR05
4D116RR15
4D116VV08
(57)【要約】
【課題】配管のき裂などによる水漏れを抑制した水処理装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る水処理装置1は、濾材を内包した濾過部2と、濾過部2に原水を流入させるための原水流入配管10と、原水流入配管10の経路内で薬剤を添加する薬剤供給部3と、濾過部2から濾過後の浄水を取り出すための浄水吐出配管20と、原水流入配管10、または、浄水吐出配管20の水圧を検知する検知部25と、を有し、検知部25は、原水流入配管10、または、浄水吐出配管20からの水漏れを抑制するために、水圧に応じて原水流入配管10に水を供給する電動ポンプの動作を制御することを特徴とする。検知部25は、原水流入配管10内の水圧を検知し、水圧に応じて原水流入配管10に水を供給する電動ポンプの動作を制御し、水処理装置1からの水漏れ量を抑制することが可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾材を内包した濾過部と、
前記濾過部に原水を流入させるための原水流入配管と、
前記原水流入配管の経路内で薬剤を添加する薬剤供給部と、
前記濾過部から濾過後の浄水を取り出すための浄水吐出配管と、
前記原水流入配管、または、前記浄水吐出配管の水圧を検知する検知部と、を有し、
前記検知部は、前記原水流入配管、または、前記浄水吐出配管からの水漏れを抑制するために、前記水圧に応じて前記原水流入配管に水を供給する電動ポンプの動作を制御することを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記薬剤供給部は、
前記薬剤供給部内に設けられ、前記薬剤を配置する薬剤載置部と、
前記薬剤載置部と前記薬剤供給部外とを連通する開口と、
前記開口を開閉する蓋部と、を有し、
前記原水流入配管に水を供給する前記電動ポンプが動作中に、前記薬剤供給部は、前記蓋部が開き、前記開口が開状態になると、前記開口から前記原水流入配管を流れる水が排出されることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記原水流入配管の経路内であって、前記原水が蓄えられている水源と前記薬剤供給部との間の第一分岐部で分岐し、前記薬剤供給部をバイパスし、前記薬剤供給部と前記濾過部との間の第二分岐部に接続されるバイパス配管と、
前記濾過部の上部には、前記原水流入配管、前記浄水吐出配管、または逆洗ドレン管と、前記濾過部内の流入口または流出口とが接続され、前記濾過部内の前記流入口および前記流出口との連通が切り替えられる切替弁と、を有し、
濾過処理時には、
前記第一分岐部は、前記水源と前記薬剤供給部とを連通させ、
前記第二分岐部は、前記薬剤供給部と前記切替弁とを連通させ、
前記切替弁は、前記薬剤供給部と前記濾過部の前記流入口と、および前記濾過部の前記流出口と前記浄水吐出配管とを連通させ、
逆洗処理時には、前記第一分岐部は、前記水源と前記バイパス配管とを連通させ、
前記第二分岐部は、前記バイパス配管と前記切替弁とを連通させ、
前記切替弁は、前記薬剤供給部と前記濾過部の前記流出口、および前記濾過部の前記流入口と前記逆洗ドレン管を連通させ、
前記検知部は、前記電動ポンプと前記第一分岐部との間、または前記第二分岐部と前記切替弁との間の水圧を検知することを特徴とする請求項1または2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記検知部は、前記原水流入配管内の水流方向において前記第一分岐部より上流側の水圧を検知することを特徴とする請求項3に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記検知部は、前記原水流入配管内の水圧が所定の値以下に下がると前記電動ポンプの動作を停止する圧力スイッチであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過と薬剤添加によって水を浄化する水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の水処理装置101は、
図6に示す通り、濾材を内包した濾過部102と、濾過部102に原水を流入させる原水流入配管103と、濾過部102から濾過後の浄水を取り出す浄水吐出配管104という構成になっている。水処理装置101の原水流入配管103には、井戸水等の源水が、電動ポンプ105によって送水される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような水処理装置においては、配管部や濾過部などにき裂が発生した場合など、内圧が上昇しない状態でもポンプを運転し続けてしまい、水処理装置から水漏れが発生してしまうという課題があった。
【0005】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、水処理装置内部において、配管内部の水圧によって配管に水を供給するポンプの動作を制御することで、装置からの水漏れを抑制することができる水処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る水処理装置は、濾材を内包した濾過部と、
前記濾過部に原水を流入させるための原水流入配管と、前記原水流入配管の経路内で薬剤を添加する薬剤供給部と、前記濾過部から濾過後の浄水を取り出すための浄水吐出配管と、前記原水流入配管、または、前記浄水吐出配管の水圧を検知する検知部と、を有し、前記検知部は、前記原水流入配管、または、前記浄水吐出配管からの水漏れを抑制するために、前記水圧に応じて前記原水流入配管に水を供給する電動ポンプの動作を制御するという構成により、所期の目的を達成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水処理装置において、装置内の配管内部の水圧によって配管に水を供給するポンプの動作を制御することにより、水処理装置からの水漏れを抑制するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1の水処理装置の全体構成の概略図
【
図2】同水処理装置の逆洗処理時の水の流れを示す概略図
【
図3】同水処理装置のリンス処理時の水の流れを示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0010】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る水処理装置1は、井戸水または貯水槽に蓄えた水を原水とし、この原水に含まれる金属イオンや濁質成分を除去する濾過処理と、濾過処理によって系内に蓄積された金属イオンの凝集物、濁質成分を系外へ排出する逆洗処理を行うものである。
【0011】
図1は、本実施の形態の水処理装置1の全体構成を示すとともに、濾過処理時における水の流れを示した概略図となっている。
【0012】
図1に示すように、水処理装置1は、濾材を内包した濾過部2と、原水に対して薬剤を添加する薬剤供給部3を有し、濾過部2、薬剤供給部3を後述するように配管で接続して構成される。濾過部2は、原水から金属イオンや濁質成分を除去し、原水を浄化するものであり、いわば、水処理装置1の心臓部である。濾過部2に溜まった汚れは、逆洗処理、リンス処理を行って装置外へと排出し、濾過部2を綺麗に保ち、繰り返し使用することが可能にしている。逆洗処理とは、濾過部2内で原水を逆流する方向に流し、汚れを排出する処理である(
図2)。リンス処理とは、逆洗処理を行った後、濾過部2内に濾過方向に原水を流して分離した汚れを装置外へ排出するものである(
図3)。この濾過部2に対して、原水を送る側の配管を原水流入配管10とし、濾過部2で浄化された水を濾過部2から送出する配管を浄水吐出配管20とし、逆洗とリンス運転で汚れを排出する配管を逆洗ドレン管40とする。浄化された水は、水処理装置1外部に設けられる浄水タンク6などに貯められ、必要な時に生活水として使われることになる。
【0013】
水処理装置1に対しては、原水流入配管10の入口側(濾過部2の反対側)に接続された電動ポンプ4によって原水が送られる。なお、電動ポンプ4を使用する代わりに、原水を蓄えた貯水槽を高所に設け、貯水槽と水処理装置1との高低差によって原水を水処理装置1に送る方法でもよい。また、地域などで共同運営している水道水を直接接続してもよい。本実施の形態では、井戸、貯水槽、水道等に加え、原水を送り出す装置類を含めて水源とする。
【0014】
電動ポンプ4は、井戸水または貯水槽へ蓄えた水を吸い上げ、吐出する電動機で駆動するポンプであって、例えば、渦巻きポンプ、タービンポンプなどの遠心ポンプや、渦流ポンプ(カスケードポンプ)、ジェットポンプ、軸流ポンプ、斜流ポンプなどが用いられる。また、井戸水位が低い場合は、吸い上げ型のポンプではなく、サブマーシブルポンプ等、水中ポンプを用いると良い。一般家庭で用いる場合、井戸の深さは、浅井戸であれば1メートルから10メートル程度、深井戸であれば10メートルから30メートル以上吸い上げる必要がある。後段の配管や水処理装置の損失水頭を考慮すると、20メートル以上の揚程があるものがよく、渦流ポンプやジェットポンプなどがより好ましい。電動式ポンプで吐出する流量は、例えば5リットルから100リットル毎分程度であるが、一般家庭用であれば5リットルから50リットル毎分程度の流量特性をもつものがより好ましい。
【0015】
原水流入配管10、浄水吐出配管20は、電動ポンプ4の水圧に耐えられる材質、構造であればよい。具体的には、耐久性、加工のしやすさから、例えば、塩化ビニル樹脂や鋼管、あるいは、これらの複合材料を用いた直管や配管継手が使用できる。なお、呼び径は損失水頭が低くなるよう大きい方が好ましく、例えば呼び径13から50ミリメートル、厚みは1から5ミリメートル程度のものが好ましい。電動ポンプ4の最大圧に耐えうる部材選定が困難な場合は、電動ポンプ4と水処理装置1の間に減圧弁や調圧弁、逃し弁を取り付けると良い。
【0016】
薬剤供給部3は、原水流入配管10の経路内に設けられている。薬剤供給部3は、原水に対して酸化剤を添加し、原水に含まれる金属イオンを水に難溶な物質として凝集させ、濾過部2において捕集しやすくする働きをする。
【0017】
(濾過部)
次に濾過部関連部品である、濾過部2と切替弁5に関して
図4を用いて説明する。
【0018】
濾過部2は、濾材や集水管70を内部に有するもので、原水を通過させて浄化するものである。濾過部2の内部の濾材は、主として汚れを濾過するための上層71と、整流作用を有する下層72とで構成されている。上層71に用いられる濾材は、活性炭やマンガン砂、アンスラサイト等であって、原水水質に合わせ1~4種類程度を層状にして使用する。本実施の形態の濾過部2は、この上層71を中心に濾過の作用が働く。下層72に用いられる濾材は、集水管から出入りする水を分散するための砂利や穴が粗い樹脂等で構成されている。そして、下層72では、最下層に比較的粒径の大きい砂利層を設け、水の流れを良くするとともに、集水管70の下部から濾材が流出しないようにしている。なお、下層72の濾材量は、濾過部2の直径の1/2~1倍程度にするとよい。また、上層71と下層72を合わせた濾材の充填量は、濾過部2の内容積の1/4~4/5倍程度になるようにするとよい。
【0019】
濾過部2は、上部において、外部配管(原水流入配管10、浄水吐出配管20、逆洗ドレン管40)と接続されている。濾過部2内部には、開口となる流入口73と流出口74が設けられ、流出口74は、集水管70と接続されている。
【0020】
濾過部2の上部には、切替弁5が取り付けられており、外部配管(原水流入配管10、浄水吐出配管20、逆洗ドレン管40)と濾過部2内の流入口73と流出口74が接続され、その操作によって外部配管と流入口73、流出口74との連通が切り替えられる。切替弁5内には、流路を切り替える流路切替コマ75を備えており、流路切替コマ75を回転させることによって、接続された配管、開口との連通方向を変更する。流路切替コマ75は、外部の取っ手で回転させる、あるいは、外部モータ等で動かすことが出来る。
【0021】
濾過処理時には、流路切替コマ75の操作によって、原水流入配管10と流入口73、流出口74と浄水吐出配管20を連通させる。一方、逆洗処理時には、流路切替コマ75の操作によって、原水流入配管10と流出口74、流入口73と逆洗ドレン管40を連通させる。また、リンス処理時には、流路切替コマ75の操作によって、原水流入配管10と流入口73、流出口74と逆洗ドレン管40を連通させる。
【0022】
なお、切替弁5に接続する配管の種類によって様々な運転が可能である。例えば、原水流入配管10と浄水吐出配管20を接続することで、原水を直接浄水タンク6に送ることが出来る。
【0023】
なお、本実施の形態では、切替弁5を用いたが、切替弁5を使用する以外にも複数のバルブを使用することでも流路を切り替えることが出来る。
【0024】
このような構成において、濾過処理時、逆洗処理時の水の流れについて説明する。濾過処理時には、濾過部2内では、濾過処理時には以下のように水が流れ、流出口74から浄化された水が得られる。
【0025】
[濾過処理時の濾過部2内の流路]
流入口73→上層71→下層72→集水管70→流出口74
なお、リンス処理時においても、濾過部2内では濾過処理時と同じように水が流れるが、後述する逆洗処理後の汚れを含んだ水が流出口74から流出する。そのため、流出口74は逆洗ドレン管40に連通され、外部へ排出される。
【0026】
また、濾過部2には濾過処理で溜まった汚れを逆洗処理で排出することが出来る。逆洗処理時には以下のように水が流れ、流出口74から汚れが排出される。
【0027】
[逆洗処理時の濾過部2内の流路]
流出口74→集水管70→下層72→上層71→流入口73
(薬剤供給部)
薬剤供給部3は、原水流入配管10の経路内に設けられている。薬剤供給部3は、原水に対して酸化剤を添加し、原水に含まれる金属イオンを水に難溶な物質として凝集させ、濾過部2において捕集しやすくする働きをする。
【0028】
また、薬剤供給部3に備えられている薬剤は、原水に溶出して徐々に減少するため、定期的に薬剤を補充する必要がある。
【0029】
薬剤の補充は、薬剤供給部3の内側と外側を遮断する蓋部35を取り外し、開口から新しい薬剤を薬剤載置部33に設置することで行う(
図5)。
【0030】
[濾過処理時の薬剤供給部3内の流路]
原水流入配管10→流入路31→薬剤載置部33(原水が薬剤34に接触)→流出路32
→原水流入配管10
(配管構成)
上述のとおり、本実施の形態の水処理装置1は、濾過部2と、原水流入配管10と、浄水吐出配管20と、逆洗ドレン管40を備えている。原水流入配管10は、入口側を水源となる電動ポンプ4の吐出口と配管接続され、出口側は濾過部2の切替弁5に接続されている。原水流入配管10の経路内には、薬剤供給部3が設けられ、さらに、薬剤供給部3を迂回するバイパス配管14が設けられている。このバイパス配管14は、薬剤供給部3の上流側の原水流入配管10で分岐(第一分岐部12)し、薬剤供給部3を迂回して、薬剤供給部3の下流側で原水流入配管10に合流(第二分岐部13)する。また、バイパス配管14内を流れる流量を調整するバイパスバルブ15が設けられている。つまり、バイパスバルブ15は、バイパスバルブ15内を流れる流量を調整可能(バイパスバルブ15内の水路を開放または閉鎖可能)である。
【0031】
濾過部2は2つの出口を有しており、一方の出口には、内部で浄化された水を取り出す浄水吐出配管20が接続されている。他方の出口には、逆洗処理時、リンス処理時に、濾過部2で捕集された粒状物質(よごれ、濁質成分、金属凝集物など)を系外へ排出する逆洗ドレン管40が接続されている。
【0032】
次に、
図1~4を用いて、水処理装置1内の配管構成と、濾過処理、逆洗処理における水の流れを説明する。
図4は、濾過部2の断面概略図で、
図4(a)は濾過処理時の全体図、
図4(b)は逆洗処理時の切替弁5の状態、
図4(c)はリンス処理時の切替弁5の状態を示すものである。
【0033】
まず、
図1と
図4(a)を用いて濾過処理時の水の流れを説明する。
【0034】
濾過処理時において、濾過部2では、原水流入配管10と流入口73とが連通し、流出口74と浄水吐出配管20とが連通するように、切替弁5を操作して、接続を切り替える。浄水吐出配管20の経路内には、絞り部24を設けている。これは、所望の濾過性能を得るため、濾過部2の能力によって設定された流量になるように濾過処理時における流量を抑える必要があるためである。この絞り部24と電動ポンプ4との組み合わせによって、濾過処理時の流量を所望の設計値にすることができる。このような絞り部24を通る経路では、後述の逆洗処理時の経路と比べて配管の圧力損失が大きく、原水流入配管10内の圧力が高くなる。また、濾過処理時には浄水タンク6まで送水する必要があり、浄水タンク6の設置位置が高いほど原水流入配管10内の圧力は高くなる。原水流入配管10内の圧力が高くなり所定の圧力Pを超えると、バイパスバルブ15によってバイパス配管14が閉塞され、原水流入配管10は、水源側の原水入口11から薬剤供給部3を経由して濾過部2へと接続する。
【0035】
このような配管構成において、濾過処理時には、以下のように水が流れることになる。
【0036】
[濾過処理時の流路]
原水入口11→(原水流入配管10)→第一分岐部12→薬剤供給部3→第二分岐部13→切替弁5→濾過部2→切替弁5→(浄水吐出配管20)→浄水出口21
なお、浄水吐出配管20の経路内には、逆止弁62を設けている。浄水出口21から取り出した浄水は、高所に設けた浄水タンク6へと配管接続される場合が多い。逆止弁62は、高所に設けられた浄水タンク6からの浄水の逆流を制止し、濾過部2内への水の逆流入を防ぐものである。
【0037】
次に、
図2と
図4(b)を用い逆洗処理時の水の流れを説明する。
【0038】
逆洗処理時において、濾過部2では、原水流入配管10と流出口74とが連通し、流入口73と逆洗ドレン管40とが連通するように、切替弁5を操作して、接続を切り替える。
【0039】
このとき、濾過部2内では、濾過処理時とは水の流れが逆になる。本実施の形態による水処理装置1では、切替弁5を切り替えることによって水源(電動ポンプ4)をひとつにして、濾過処理、逆洗処理を行うことができる。
【0040】
逆洗処理時には、以下のように水が流れることになる。
【0041】
[逆洗処理時の流路]
原水入口11→(原水流入配管10)→第一分岐部12→(バイパス配管14)→バイパスバルブ15→(バイパス配管14)→第二分岐部13→切替弁5→濾過部2→切替弁5→逆洗ドレン管40
なお、本実施の形態の水処理装置1は、逆洗処理時に配管内に残った異物を排出するための「リンス処理」を行うことができる。このリンス処理について、
図3と
図4(c)を用いて説明する。リンス処理は切替弁5の流路を変更することで可能である。切替弁5は、原水流入配管10と流入口73を連通し、流出口74と逆洗ドレン管40とを連通するように切り替える。このような状態では、濾過部2内では、濾過処理と同方向に通水し、濾過部2を通過した水は逆洗ドレン管40を通って排出される。また、絞り部24を通らず、径の大きい逆洗ドレン配管から排出されるため、原水流入配管10内の圧力は逆洗処理時と同程度に低くなり、バイパスバルブ15は開放された状態となる。
【0042】
このようなバルブ操作によって、リンス処理時には、以下のように水が流れることになる。
【0043】
[リンス処理時の流路]
原水入口11→(原水流入配管10)→第一分岐部12→(バイパス配管14)→第二分岐部13→切替弁5→濾過部2→切替弁5→逆洗ドレン管40
逆洗処理が終わった直後には、濾過部2内、あるいは、水処理装置1の配管内には、濾過部2の逆洗によって洗い出された異物が残っている。そのため、リンス処理によって、異物を排出することができる。
【0044】
次に、本実施の形態の最も特徴的な部分について説明する。
【0045】
図1~4に示すように、本実施の形態の水処理装置1は、濾材を内包した濾過部2と、濾過部2に原水を流入させるための原水流入配管10と、原水流入配管10の経路内で薬剤を添加する薬剤供給部3と、濾過部2から濾過後の浄水を取り出すための浄水吐出配管20と、を備えている。本実施形態における特徴は、原水流入配管10、または、浄水吐出配管20の水圧を検知する検知部25を有し、検知部25は、原水流入配管10、または、浄水吐出配管20からの水漏れを抑制するために、水圧に応じて原水流入配管10に水を供給する電動ポンプ4の動作を制御する点である。
【0046】
濾過処理時、逆洗処理時、リンス処理時に関わらず、原水流入配管10、または浄水吐出配管20は、常に水で満たされている。ここで、配管(原水流入配管10または浄水吐出配管20)に、き裂が発生した状態で、電動ポンプ4が動作すると、き裂から水処理装置1の外部に水漏れしてしまう。そこで、原水流入配管10、薬剤供給部3、または浄水吐出配管20から水漏れの発生を検知した場合、電動ポンプ4の動作を停止させるという制御機能を有している検知部25を設けるとよい。
【0047】
具体的には、検知部25は、検知部25が検知する原水流入配管10内の水圧が、所定の値よりも下がると、原水流入配管10、薬剤供給部3、または浄水吐出配管20から水漏れが発生したと判断し、電動ポンプ4の運転を停止する。
【0048】
この構成によれば、検知部25が、電動ポンプ4の運転を停止することによって、配管内の水圧が上昇しないため、配管から水処理装置1の外部への水の流出を抑制することができる。
【0049】
検知部25の一例は、圧力スイッチである。圧力スイッチは、圧力スイッチが水圧を検知し、検知した圧力が所定の値より大きい場合には、圧力スイッチと電気的に接続された電動ポンプ4を運転させ、圧力スイッチが検知した圧力が所定の値以下の場合には、圧力スイッチと電気的に接続された電動ポンプ4を停止させることが出来る構成である。つまり、水漏れ時は、水処理装置1の通水経路の水圧が減少するため、検知部25が、原水流入配管10内の水圧が所定の値以下に下がると電動ポンプ4の動作を停止する圧力スイッチであると容易に水漏れを検知することが可能になる。
【0050】
また、薬剤供給部3は、薬剤供給部3内に設けられ、薬剤34を配置する薬剤載置部33と、薬剤載置部33と薬剤供給部3外とを連通する開口(図示せず)と、開口を開閉する蓋部35と、を有している(
図5)。原水流入配管10に水を供給する電動ポンプ4が動作中に、薬剤供給部3は、蓋部35が開き、開口が開状態になると、開口から原水流入配管を流れる水が漏れる構成である。通常、新たな薬剤34を薬剤供給部3に追加する場合には、電動ポンプ4を停止し、蓋部35が開いた状態で行う。一方、誤って電動ポンプ4を運転した状態で、新たな薬剤を薬剤供給部3に追加するために蓋部35を開くと、開口から原水流入配管10を流れる水が漏れる。薬剤供給部3の蓋部35が取り外された状態で電動ポンプ4が運転されているときも、検知部25によって電動ポンプ4を停止させることが好ましい。
【0051】
以上の構成によって、誤って電動ポンプ4を運転した状態で、新たな薬剤を薬剤供給部3に追加するために蓋部を開くと、開口から原水流入配管10を流れる水が漏れ、原水流入配管10内の水圧が減少するので、所定の値以下に下がると電動ポンプ4の動作を停止する。結果として、蓋部35が取り外された状態、すなわち薬剤載置部33と薬剤供給部3の外部が連通している状態で電動ポンプ4の動作による、水位上昇と薬剤供給部3の外部への水の流出を抑制することができる。
【0052】
また、原水流入配管10の経路内には、原水が蓄えられている水源と薬剤供給部3との間の第一分岐部12で分岐し、薬剤供給部3をバイパスし、薬剤供給部3と濾過部2との間の第二分岐部13に接続されるバイパス配管14を有しており、さらに、濾過部2の上部には、原水流入配管10、浄水吐出配管20、または逆洗ドレン管40と、濾過部2内の流入口73または流出口とが接続され、濾過部内の流入口73および流出口74との連通が切り替えられる切替弁5と、を有している。
【0053】
濾過処理時には、第一分岐部12は、水源と薬剤供給部3とを連通させ、第二分岐部13は、薬剤供給部3と切替弁5とを連通させ、切替弁5は、薬剤供給部3と濾過部2の流入口73と、および濾過部2の流出口74と浄水吐出配管20とを連通させる。逆洗処理時には、第一分岐部12は、水源とバイパス配管14とを連通させ、第二分岐部13は、バイパス配管14と切替弁5とを連通させる。切替弁5は、薬剤供給部3と濾過部2の流出口74、および濾過部2の流入口73と逆洗ドレン管40を連通させる。
【0054】
検知部25は、電動ポンプ4と第一分岐部12の間に設けるのが好ましい。
【0055】
この構成によれば、濾過処理、逆洗処理、リンス処理に関わらず、電動ポンプ4と第一分岐部12の間、または第二分岐部13と切替弁5の間には水が流れ、水漏れを検知することができるため、いかなる経路に水が流れる場合でも水漏れによる電動ポンプ4の制御が可能になる。
【0056】
なお、検知部25は、第二分岐部13と切替弁5の間に設けてもよい。
また、検知部25は、原水流入配管10内の水流方向において第一分岐部12より上流側に設けたほうがよい。
【0057】
この構成によれば、第一分岐部12より上流側は、いかなる運転モードにおいても水が流れ、運転状態によらず水圧を検知することができるので、検知部25は、水漏れの検知精度を向上させるために薬剤供給部3より上流側の水圧を検知するような仕様にした方がよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明にかかる水処理装置は、検知部と連動させて電動ポンプを制御することが可能で、従来品と比較し、機器外部への水漏れを抑制が可能な水処理装置であるため、井戸水や貯留水の浄化に使用される家庭用小型水処理装置等として有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 水処理装置
2 濾過部
3 薬剤供給部
4 電動ポンプ
5 切替弁
6 浄水タンク
10 原水流入配管
11 原水入口
12 第一分岐部
13 第二分岐部
14 バイパス配管
15 バイパスバルブ
20 浄水吐出配管
21 浄水出口
24 絞り部
25 検知部
31 流入路
32 流出路
33 薬剤載置部
34 薬剤
35 蓋部
40 逆洗ドレン管
62 逆止弁
70 集水管
71 上層
72 下層
73 流入口
74 流出口
75 流路切替コマ
101 水処理装置
102 濾過部
103 原水流入配管
104 浄水吐出配管
105 電動ポンプ