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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046460
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】野鳥忌避の方法と装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/32 20110101AFI20230329BHJP
【FI】
A01M29/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155063
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】598080509
【氏名又は名称】下 村 治 夫
(74)【代理人】
【識別番号】100091834
【弁理士】
【氏名又は名称】室田 力雄
(72)【発明者】
【氏名】下村 治夫
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA07
2B121BB32
2B121BB40
2B121EA21
2B121FA13
(57)【要約】
【課題】本物の捕食動物を利用して、1回セットすると、その後は人の手を借りることなく長期間に亘って良好に効き目を継続させることができる斬新な野鳥忌避の方法と装置の提供を課題とする。
【解決手段】捕食動物Eがその中を往来できるようにした人工暗路管体10を用い、人工暗路管体10を捕食動物Eが行動する行動路から忌避対象の野鳥Bが営む高所場所Hまで短絡するように設置し、これにより捕食動物Eが行動路から人工暗路管体10内を通って外から見えることなく野鳥Bのいる高所場所Hまで侵入することが可能な状態とする野鳥忌避の方法である。捕食動物Eが行動する行動路から野鳥Bが営む高所場所Hへ短絡して設置される人工暗路管体10を備え、人工暗路管体10は、その中を往来する捕食動物Eの滑り止め手段12を施した不透明管11を1乃至複数本接続して構成した野鳥忌避の装置である。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
忌避対象の野鳥或いはその卵を捕食する捕食動物が、その中を往来できるようにした人工暗路管体を用い、該人工暗路管体を、前記捕食動物が行動する行動路から前記忌避対象の野鳥が営む高所場所まで、短絡するように設置し、これによって捕食動物が行動路から人工暗路管体内を通って外から見えることなく野鳥のいる高所場所まで侵入することが可能な状態とすることを特徴とする野鳥忌避の方法。
【請求項2】
捕食動物が行動する行動路は道路側溝を含む地面とし、野鳥が営む高所場所は高架を含む建造物の高所とし、地面から高架を含む建造物の高所まで人工暗路管体を短絡して設置することを特徴とする請求項1に記載の野鳥忌避の方法。
【請求項3】
野鳥が営む高所場所は木の上とし、木の下の道路側溝を含む地面から木の上まで人工暗路管体を短絡して設置することを特徴とする請求項1に記載の野鳥忌避の方法。
【請求項4】
人工暗路管体は、忌避対象の野鳥の天敵となる捕食動物に応じた内径のものを用いることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の野鳥忌避の方法。
【請求項5】
捕食動物が行動する行動路から野鳥が営む高所場所へ短絡して設置される人工暗路管体を備え、該人工暗路管体は、1乃至複数本の不透明管を嵌脱自在に接続して構成すると共に、不透明管の内面には、往来する捕食動物が滑るのを防止して移動し易くするための滑り止め手段を施して構成してあることを特徴とする野鳥忌避の装置。
【請求項6】
滑り止め手段はプラスチックス製のスポンジ又はグラスウールであることを特徴とする請求項5に記載の野鳥忌避の装置。
【請求項7】
人工暗路管体の下端部には、地面からの入口部と地面への設置部を設け、人工暗路管体の上端部には、高所場所への出口部と引掛け部を設けてあることを特徴とする請求項5又は6に記載の野鳥忌避の装置。
【請求項8】
人工暗路管体の入口部と出口部とは、それぞれ地面と高所場所とに対して直角未満のなだらかな角度で開口するように、曲げられていることを特徴とする請求項7に記載の野鳥忌避の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は野鳥が飛来するのを嫌がって避けるようにする、野鳥忌避の方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
野鳥の中には、集団とならずに行動する鳥もいる一方、ハト、ムクドリ、サギ、カワウ、カラス等のように営巣地や食事地等の場所に群れをなして飛来し、生活を営む鳥も多い。それらの鳥が人の生活場所の近くで生活を営むときには、糞害、食害を始めとする種々の被害を人にもたらすことになる。
このような野鳥による被害をなくすために、例えば野鳥の群れを脅かしたりして追い払う等、野鳥が飛来してこないようにする方法や装置に関する技術が古くから多数提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012―67479号公報
【特許文献2】特開2019―30284号公報
【特許文献3】特開2014-30420号公報
【特許文献4】特開2012-223180号公報
【特許文献5】実開平1-149968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は野生動物用道路横断トンネルに関し、自動車用道路等の下を横断するトンネル20を設けることで、交通を妨げることなく、トンネル20を通って野生動物が道路の向う側にも行けるようにした技術が開示されている。この発明はトンネルを通って動物が道路の向こうに移動できるようにしたものであるが、野鳥を忌避するといった目的とは異なる目的によるものである。
上記特許文献2は鳴き声と羽ばたきをする鷹・鷲等の猛禽類の剥製又は模型を利用したドローンに関し、鷹・鷲等の猛禽類の剥製又は模型による姿と鳴き声とで、ハトやカラス等を追い払うようにした技術が開示されている。
上記特許文献3は鳥類追払装置に関し、所定範囲に追払音(超音波)を発して鳥類を追い払うようにした技術が開示されている。
上記特許文献4は鳥獣追い払い装置及び方法に関し、閃光を発生させて鳥獣を追い払うようにした技術が開示されている。
上記特許文献5は鳥害防止用シートに関し、張設された集風シート1に目玉等の絵3と警鳴孔4を設けて、絵と音によって鳥害を防止する技術が開示されている。
【0005】
本発明は上記特許文献2~5に開示された野鳥の忌避技術とは大きく発想を転換し、本物の捕食動物を利用して、1回セットすると、その後は人の手を借りることなく、しかも長期間に亘って良好な効き目を継続させることができる斬新な野鳥忌避の方法と装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の野鳥忌避の方法は、忌避対象の野鳥或いはその卵を捕食する捕食動物が、その中を往来できるようにした人工暗路管体を用い、該人工暗路管体を、前記捕食動物が行動する行動路から前記忌避対象の野鳥が営む高所場所まで、短絡するように設置し、これによって捕食動物が行動路から人工暗路管体内を通って外から見えることなく野鳥のいる高所場所まで侵入することが可能な状態とすることを第1の特徴としている。
また本発明の野鳥忌避の方法は、上記第1の特徴に加えて、捕食動物が行動する行動路は道路側溝を含む地面とし、野鳥が営む高所場所は高架を含む建造物の高所とし、地面から高架を含む建造物の高所まで人工暗路管体を短絡して設置することを第2の特徴としている。
また本発明の野鳥の忌避方法は、上記第1の特徴に加えて、野鳥が営む高所場所は木の上とし、木の下の道路側溝を含む地面から木の上まで人工暗路管体を短絡して設置することを第3の特徴としている。
また本発明の野鳥忌避の方法は、上記第1~第3の何れかの特徴に加えて、人工暗路管体は、忌避対象の野鳥の天敵となる捕食動物に応じた内径のものを用いることを第4の特徴としている。
一方、本発明の野鳥忌避の装置は、捕食動物が行動する行動路から野鳥が営む高所場所へ短絡して設置される人工暗路管体を備え、該人工暗路管体は、1乃至複数本の不透明管を嵌脱自在に接続して構成すると共に、不透明管の内面には、往来する捕食動物が滑るのを防止して移動し易くするための滑り止め手段を施して構成してあることを第5の特徴としている。
また本発明の野鳥忌避の装置は、上記第5の特徴に加えて、滑り止め手段はプラスチックス製のスポンジ又はグラスウールであることを第6の特徴としている。
また本発明の野鳥忌避の装置は、上記第5又は第6の特徴に加えて、人工暗路管体の下端部には、地面からの入口部と地面への設置部を設け、人工暗路管体の上端部には、高所場所への出口部と引掛け部を設けてあることを第7の特徴としている。
また本発明の野鳥忌避の装置は、上記第7の特徴に加えて、人工暗路管体の入口部と出口部とは、それぞれ地面と高所場所とに対して直角未満のなだらかな角度で開口するように、曲げられていることを第8の特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の野鳥忌避の方法によれば、人工暗路管体を用意して、作業者がこの人工暗路管体を、捕食動物の行動路から忌避対象の野鳥が営む高所場所まで短絡するように設置する。捕食動物は夜等に自身が行動する行動路から、偶然であれ、人工暗路管体内に入る。そしてその人工暗路管体内を人や野鳥に発見されることなく進むことで、捕食動物は野鳥が営む高所場所までこっそりと、且つごく短時間で侵入することができる。よって捕食動物にとっては野鳥を獲物として捕獲し易い。一方、野鳥にとっては、捕食動物が外から見えない人工暗路管体内を通って突然に侵入してくるので、逃げ難く、被害が大きく、且つ恐怖も大きい。従って一度被害にあった野鳥は、捕食動物の侵入を十分見張ることができないような危険な場所には寄り付かなくなる。
また請求項1の野鳥忌避の方法によれば、人工暗路管体を捕食動物の行動路から野鳥が営む高所場所へ設置するだけでよく、作業者等が自ら追い払い作業する必要もなければ、電池等の動力源も全く不要である。特に、野鳥にとって侵入してくる捕食動物は、本物の天敵動物であるので、慣れることがなく、忌避の効果を長時間に亘って持続させることができる。
更に捕食動物にとっては、自身の行動路から野鳥のいる高所場所に行く途中において、野鳥に発見されないのみならず、人間等にも見つけられずに人工暗路管体内を移動することができる。よって捕食動物は、自身の安全を確保しながら捕獲行動を行うことができ、頻繁に侵入を図ることから、野鳥に対する忌避効果が高く、且つ長く継続する。
【0008】
請求項2に記載の野鳥忌避の方法によれば、上記請求項1に記載の構成による作用効果に加えて、捕食動物が行動する行動路は道路側溝を含む地面とし、野鳥が営む高所場所は高架を含む建造物の高所とし、地面から高架を含む建造物の高所まで人工暗路管体を短絡して設置するようにしている。よって、捕食動物は、自身が日常的に行動している安全な道路側溝を含む地面から野鳥が集まり易い高架を含む建造物の高所へと、誰にも見つかることなく、且つ素早く移動して侵入し、野鳥を突然襲うことが可能となる。従ってこれまでは忌避効果の少なかった高架等の建造物の高所に集まる野鳥に対しても、大きな恐怖心を与える状態を可能とし、一度襲われたところでは、人工暗路管体が設置されていること自体が大きな忌避効果をもたらす。
【0009】
請求項3に記載の野鳥忌避の方法によれば、上記請求項1に記載の構成による作用効果に加えて、野鳥が営む高所場所は木の上とし、木の下の側溝を含む地面から木の上まで人工暗路管体を短絡して設置するようにしている。よって、捕食動物が、側溝を含む地面から人工暗路管体を通って野鳥が集まり易い木の上まで、誰にも見つかることなく素早く侵入して野鳥を襲うことが可能となるとなる。よって突然襲われた野鳥にとっての恐怖心は、少なくとも人工暗路管体が設置されている間においては大きく残り、木に巣くう野鳥に対して長期に亘る忌避効果が期待できる。
【0010】
請求項4に記載の野鳥忌避の方法によれば、上記請求項1~請求項3の何れかに記載の構成による作用効果に加えて、人工暗路管体は、忌避対象の野鳥の天敵となる捕食動物に応じた内径のものを用いるようにしている。よって集まる鳥の天敵に適した人工暗路管体を用いることで、天敵の捕食動物がより容易に、素早く、野鳥のいる高所場所に侵入することができ、忌避効果を一層高めることができる。
【0011】
請求項5に記載の野鳥忌避の装置によれば、捕食動物が行動する行動路から野鳥が営む高所場所へ短絡して設置される人工暗路管体を備え、該人工暗路管体は、1乃至複数本の不透明管を嵌脱自在に接続して構成すると共に、不透明管の内面には、往来する捕食動物が滑るのを防止して移動し易くするための滑り止め手段を施して構成してある。
人工暗路管体が設置されることにより、捕食動物は、自身の行動路から野鳥が営む高所場所へ、人工暗路管体を通って、誰に見つかることなく、且つ素早く侵入して、突然襲うことが可能となる。よって本物の捕食動物が突然侵入してくることから、人工暗路管体を設置することによる野鳥に対する恐怖心と忌避の効果は大きく、長いものとなる。
人工暗路管体は1乃至複数本の不透明管を嵌脱自在に接続して構成しているので、必要な設置高さに応じて調整することができる。
特に人工暗路管体は不透明管で構成されるので、外から中が見えず、その中を通る捕食動物にとっては、捕獲目的の野鳥に見つかることなく、よって逃げられることなく、また人間にも見つかることなく、目的の高所場所へと素早く移動して目的を達成することができる。
更に人工暗路管体は、その内面には、往来する捕食動物が滑るのを防止して移動し易くするための滑り止め手段を施して構成しているので、捕食動物にとって急な登り下りの往来であっても、滑ることなく、速やかに確実に往来して、獲物を捕獲し、また捕獲した獲物を運ぶことができる。
【0012】
請求項6に記載の野鳥忌避の装置によれば、上記請求項5に記載の構成による作用効果に加えて、滑り止め手段はプラスチックス製のスポンジ又はグラスウールであるので、不透明管がプラスチック製であっても、また金属製であっても確実に接着等して施すことができる。しかもプラスチック製のスポンジ、グラスウールは表面が通常において細かく粗面化された状態になっているので、捕食動物にとって往来するのに十分にスリップし難い状態にすることができる。
【0013】
請求項7に記載の野鳥忌避の装置によれば、上記請求項5又は6に記載の構成による作用効果に加えて、人工暗路管体の下端部には、地面からの入口部と地面への設置部を設け、人工暗路管体の上端部には、高所場所への出口部と引掛け部を設けてあるので、人工暗路管体の下端部に設けた設置部で地面に設置すると共に、上端部の引掛け部で所望の高所場所に引っ掛けることで、人工暗路管体を安定して地面から目的の高所場所に設置することができる。
加えて、人工暗路管体の下端部に設けた入口部から地面にいる捕食動物を容易に受け入れ、また人工暗路管体の上端部の出口部から捕食動物を高所場所に送り出すことができる。
【0014】
請求項8に記載の野鳥忌避の装置によれば、上記請求項7に記載の構成による作用効果に加えて、人工暗路管体の入口部と出口部とは、それぞれ地面と高所場所とに対して直角未満のなだらかな角度で開口するように、曲げられている。よって捕食動物にとっては、なだらかな角度で開口する入口部を介して地面から出入りし易く、またなだらかな角度で開口する出口部を介して高所場所に出入りし易い。そして捕らえた獲物を容易に人工暗路管体を通って運んで行くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る野鳥忌避の装置の正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る野鳥忌避の装置の右側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る野鳥忌避の装置の下端部付近の斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る野鳥忌避の装置の上端部付近の斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る野鳥忌避の方法を説明する図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る野鳥忌避の方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、各図面を参照して、本発明の実施形態の野鳥忌避の方法と装置を説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は特許請求の範囲に記載の本発明を限定するものではない。
【0017】
先ず図1図4を参照して、本発明の実施形態に係る野鳥忌避の装置は、人工暗路管体10を備える。この人工暗路管体10を、捕食動物が行動する行動路から野鳥が営む高所場所へ短絡するように設置することで、野鳥忌避の装置として機能させることができる。
【0018】
人工暗路管体10は、その中を捕食動物が往来できるようにした管体である。この人工暗路管体10は不透明管11を用いて構成される。不透明管11の内面には、捕食動物が往来する際に滑るのを防止して移動し易くするため、滑り止め手段12を施している。
【0019】
人工暗路管体10を不透明管11で構成する理由は、野鳥や人が、人工暗路管体10の外からは、人工暗路管体10内を往来する捕食動物を見ることができないようにするためである。
人工暗路管体10の内径は、その内面に前記滑り止め手段12を施した状態で、往来を期待される捕食動物がスムーズに移動できる径とする。しかし大きければよいというものではなく、人工暗路管体10の持ち運び性、設置の容易性、強度等も考慮して選択することになる。
前記不透明管11は、直管状不透明管11aのみを用い、これを1乃至複数本接続することで、直管状の人工暗路管体10として構成することもできる。しかし必要に応じて、曲管状不透明管11bを前記直管状不透明管11aに組み合わせて構成することもできる。
本実施形態では2本の直管状不透明管11aと2本の曲管状不透明管11bとを接続して人工暗路管体10としている。
前記曲管状不透明管11bは主として人工暗路管体10の上端部と下端部に用いることができる。前記曲管状不透明管11bは、例えばエルボーと称される角度をつけた接続用の短管を用いることができる。
前記各不透明管11の接続は嵌脱自在として、地面から高所場所までの高さに応じて、人工暗路管体10の高さ(長さ)調節ができるようにしている。
不透明管11は、例えば塩化ビニル等の不透明プラスチック管を用いることができるが、金属管を用いてもよい。また防水加工を施した紙製の管も軽くてよく、短期には可能である。
【0020】
前記滑り止め手段12は、人工暗路管体10内を往来する捕食動物が滑るのを防止して移動し易くするために、不透明管11内面に施される。この滑り止め手段12としては、プラスチック製等のスポンジ又はグラスウールを好ましく用いることができる。スポンジやグラスウールの表面は十分な粗面を提供することができるので、捕食動物が滑るのを十分に防止することができる。ただし捕食動物の足がスポンジやグラスウールに過剰に引っ掛かり、動き難くならないように、目の細かいスポンジやグラスウールが好ましい。
勿論、滑り止め手段12は前記スポンジやグラスウールに限るものではなく、不透明管11の内面そのものに対する粗面加工であってもよい。
【0021】
人工暗路管体10の下端部には、地面からの入口部13を設けることができる。また人工暗路管体10の上端部には、高所場所への出口部14を設けることができる。
前記入口部13は、捕食動物が地面から人工暗路管体10内へスムーズに侵入して行けるように(或いは人工暗路管体10内から地面へとスムーズに出て行けるように)、工夫したものとすることができる。例えば入口部13は地面に対して直角未満のなだらかな角度で開口するように構成することができる。これにはエルボーと称される短い曲管状不透明管11bを用いて、直管状不透明管11aの下端に接続することで得ることができる。
前記出口部14は、捕食動物が人工暗路管体10内から高所場所にスムーズに出て行けるように(或いは高所場所から人工暗路管体10内へとスムーズに入って行けるように)、工夫したものとすることができる。これには前記入口部13の場合と同様、例えばエルボーと称される短い曲管状の不透明管11bを人工暗路管体10の上端付近に位置する直管状不透明管11aの上端に接続することで得ることができる。
【0022】
人工暗路管体10の下端部には、地面への設置部15を設けることができる。また人工暗路管体10の上端部には、高所場所への引掛け部16を設けることができる。
前記設置部15は、例えば人工暗路管体10の下端部付近の不透明管11(主に曲管状不透明管11b)に嵌め合わせる等して固定される基部15aと、該基部15aの両側に設けられる一対の脚部15b、15bとで構成することができる。設置部15の一対の脚部15bが地面に接地することで、人工暗路管体10の地面への設置が安定する。
一方、前記引掛け部16は、例えば人工暗路管体10の上端部付近を不透明管11(主に曲管状不透明管11b)に嵌め合わせる等して固定される基部16aと、該基部16aから延設される一対の爪部16b、16bとで構成することができる。引掛け部16の一対の爪部16bが高所場所に引っ掛かることで、人工暗路管体10の高所場所への設置が安定する。
【0023】
図5図6も参照して、野鳥忌避の装置の更なる説明と、野鳥忌避の方法の説明を進める。
図5は、人工暗路管体10を用いて、該人工暗路管体10を捕食動物Eが行動する行動路の地面Gから、野鳥Bが営む高架を含む建造物の上の高所場所Hまで、短絡して設置した状態を示す。ここにおいて、地面Gは土やその他の人工物からなる地上表面を含み、更に捕食動物Eが生活圏として移動し易い道路の側溝も地面Gに含むものとする。
なお図5において、人工暗路管体10は断面で示している。
人工暗路管体10は1乃至複数本の直管状不透明管11aとその両端に短管からなる曲管状不透明管11bを、それぞれ接続して入口部13と出口部14としたものを用いている。また設置部15と引掛け部16は用いていないが、それらを一緒に用いることもできる。
一方、上記野鳥Bとしては、ハト、ムクドリ、サギ、カワウ、カラス、その他の鳥が該当する。また捕食動物Eとしては、イタチ、猫、アライグマ、ハクビシン、タヌキ、テン、その他が該当する。
【0024】
今、高架の上を高所場所Hとし、そこに集まる野鳥Bをハトとし、ハトの忌避に都合のよい捕食動物Eをイタチとすると、イタチがその中を好適に移動できる大きさの内径の人工暗路管体10を用いることになる。この人工暗路管体10を地面Gから高架上の高所場所Hに短絡するように設置する。
上記のように設置しておくと、何時間か何日か経た夜或いは捕食動物Eの行動時間帯に、イタチはもとより、それより小さい捕食動物Eやその人工暗路管体10を通り抜けることができる他の捕食動物Eが、行動路の地面Gから人工暗路管体10内に入る機会を得て、不透明管11により外から見つけられることなく、また滑り止め手段12により管内の坂を滑ることなくスムーズに移動して、短時間で高所場所Hまで駆け上がって侵入を果たすことができる。
一方、高所場所HにいるハトBは、人工暗路管体10内を通って侵入してくるイタチEを発見することができないので、突然目の前に侵入してきたイタチEに捕獲されたり、卵を取られたり、負傷を負わせられたりして、大きな被害と恐怖とを受けることになる。
よって一度襲撃を受けたハトBや周りにいたハトBの恐怖は大きく、以後その高所場所Hには近寄らなくなる。
勿論、その後、イタチEが来なくても、一度襲撃を受けたハトBにとってはイタチEが何時来るかわからない恐怖は大きく、強い忌避効果が長く続くことになる。
【0025】
図6は、人工暗路管体10を用いて、木の上に集まる野鳥Bが集まらないように忌避させる場合を示す。
今、木の上を高所場所Hとし、そこに集まる野鳥Bをムクドリとし、ムクドリの忌避に都合のよい捕食動物Eをネコとすると、ネコがその中を好適に移動できる大きさの内径の人工暗路管体10を用いて、地面Gから木の上の高所場所Hまで設置する。
人工暗路管体10は、1乃至複数本の直管状不透明管11aとその両端に短管の曲管状不透明管11bをそれぞれ接続して、なだらかな入口部13と出口部14とを構成したものを用いる。また下端部に設置部15を設け、上端部には引掛け部16を設けたものを用いている。
人工暗路管体10を、その下端部の設置部15で地面Gに確りと設置すると共に、上端部の引掛け部16を木の上の高所場所Hに確りと引っ掛けて安定させる。このとき入口部13と出口部14とが、それぞれ地面Gと高所場所Hに対して直角未満の平行乃至低い角度でなだらかに配置されるようにする。
【0026】
上記のように設置しておくと、ネコEや人工暗路管体10を通り抜けることができる他の捕食動物Eが、行動路の地面Bから人工暗路管体10内を、見つけられることなく素早く駆け上がって、ムクドリBや他の野鳥Bが集まる木の上の高所場所Hに侵入することができる。
木の上に集まるムクドリBや他の野鳥Bは、本物の天敵の捕食動物Eに突然襲われることとなるため、恐怖心が大きく残り、その後はその木には寄りつかなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は野鳥忌避の方法と装置として、産業上利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
10 人工暗路管体
11 不透明管
11a 直管状不透明管
11b 曲管状不透明管
12 滑り止め手段
13 入口部
14 出口部
15 設置部
16 引掛け部
B 野鳥
E 捕食動物
G 地面
H 高所場所
図1
図2
図3
図4
図5
図6