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  • 特開-画像シートの繋ぎ合せ方法 図1
  • 特開-画像シートの繋ぎ合せ方法 図2
  • 特開-画像シートの繋ぎ合せ方法 図3
  • 特開-画像シートの繋ぎ合せ方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004651
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】画像シートの繋ぎ合せ方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 7/00 20060101AFI20230110BHJP
   G09F 7/18 20060101ALI20230110BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
G09F7/00 Z
G09F7/18 Z
B65H37/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106486
(22)【出願日】2021-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】591243893
【氏名又は名称】株式会社フォトクラフト社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】松本 巖
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108HA02
3F108HA11
(57)【要約】
【課題】画像シートの繋ぎ間隔を適正に規定することで、画像の視認性を低下させることなく、強風時の風圧に起因した繋ぎ用シートの剥がれや破れなどが防止された大型の画像シートの製作を可能にする。
【解決手段】複数の画像シート11を、繋ぎ合せる画像シート11の端縁11aを突合せた状態で、それらの突合せ端部11Aにわたる繋ぎ用シート12を溶着して繋ぎ合せる画像シートの繋ぎ合せ方法において、画像シート11の繋ぎ間隔Wが、繋ぎ用シート12による画像シート11の繋ぎ合せ箇所11Aでの強度に基づく上限繋ぎ間隔以下で、かつ、画像シート11における画像の視認性に基づく下限繋ぎ間隔以上に規定されている。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像シートを、繋ぎ合せる前記画像シートの端縁を突合せた状態で、それらの突合せ端部にわたる繋ぎ用シートを溶着して繋ぎ合せる画像シートの繋ぎ合せ方法であって、
前記画像シートの繋ぎ間隔が、前記繋ぎ用シートによる前記画像シートの繋ぎ合せ箇所での強度に基づく上限繋ぎ間隔以下で、かつ、前記画像シートにおける画像の視認性に基づく下限繋ぎ間隔以上に規定されている画像シートの繋ぎ合せ方法。
【請求項2】
前記画像シートの前記繋ぎ間隔が2~4mに規定されている請求項1に記載の画像シートの繋ぎ合せ方法。
【請求項3】
前記画像シートにおける前記繋ぎ合せ箇所の表裏両面に前記繋ぎ用シートが溶着されている請求項1又は2に記載の画像シートの繋ぎ合せ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告や装飾などの目的で建物や駅構内の壁面などに設置される画像表示パネルに使用される画像シートの繋ぎ合せ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、広告パネルや装飾パネルなどの画像表示パネルにおいては、遠方からの視認性を高めるなどのためにパネルの大型化が図られている。これに対し、画像シートは、印刷技術などの点から横幅が制限されているため、大型の画像表示パネルに使用可能な大型の画像シートを製作するためには、複数の画像シートを横幅方向で繋ぎ合せる必要がある。
そこで、画像シートの繋ぎ合せ方法として、2つの画像シートの縁部を突合せ、半透明の繋ぎ用シートを2つの画像シートにわたってその裏面のみにはりつけてそれら2つの画像シートを繋ぎ合せる方法がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3871436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の画像シートの繋ぎ合せ方法においては、複数の画像シートを繋ぎ用シートで繋ぎ合せて大型の画像シートを製作するにあたり、画像シートの繋ぎ間隔は考慮されていなかった。
【0005】
そのため、例えば、画像シートの繋ぎ間隔を狭くすると、繋ぎ用シートによる画像シートの繋ぎ合せ箇所が多くなることから、大型の画像シートの製作に要する手間が多くなるとともに、画像シートの繋ぎ合せ箇所が見物者の視界に入り易くなって目立ち易くなることから、画像の視認性が低下する不都合を招き易くなる。
【0006】
逆に、画像シートの繋ぎ間隔を広くすると、繋ぎ間隔が広いほど、台風などの強風発生時に各画像シートにかかる風圧が大きくなって、繋ぎ用シートによる画像シートの繋ぎ合せ箇所にかかるせん断力が大きくなり、そのせん断力で繋ぎ用シートが剥がれる、又は破れるといった不都合が生じる虞が高くなる。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、画像シートの繋ぎ間隔を適正に規定することで、画像の視認性を低下させることなく、強風時の風圧に起因した繋ぎ用シートの剥がれや破れなどが防止された大型の画像シートの製作を可能にする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、複数の画像シートを、繋ぎ合せる前記画像シートの端縁を突合せた状態で、それらの突合せ端部にわたる繋ぎ用シートを溶着して繋ぎ合せる画像シートの繋ぎ合せ方法であって、
前記画像シートの繋ぎ間隔が、前記繋ぎ用シートによる前記画像シートの繋ぎ合せ箇所での強度に基づく上限繋ぎ間隔以下で、かつ、前記画像シートにおける画像の視認性に基づく下限繋ぎ間隔以上に規定されている点にある。
【0009】
本発明によると、画像の視認性に問題のない範囲で画像シートの繋ぎ間隔を狭くすることにより、台風などの強風発生時に各画像シートにかかる風圧を小さくすることができ、これに応じて、繋ぎ用シートによる画像シートの繋ぎ合せ箇所にかかるせん断力が小さくなることから、そのせん断力で繋ぎ用シートが剥がれる、又は破れるといった不都合が生じる虞を低くすることができる。
その結果、画像の視認性を低下させることなく、強風時の風圧に起因した繋ぎ用シートの剥がれや破れなどが防止された大型の画像シートを製作することができる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、前記画像シートの前記繋ぎ間隔が2~4mに規定されている点にある。
【0011】
本発明によると、画像シートの繋ぎ間隔が2m未満に狭くなることで、繋ぎ用シートによる画像シートの繋ぎ合せ箇所が見物者の視界に入り易くなって目立ち易くなることを防止しながら、画像シートの繋ぎ間隔が4mを超えることで、台風などの強風発生時に各画像シートにかかる風圧が大きくなるとともに、繋ぎ用シートによる画像シートの繋ぎ合せ箇所にかかるせん断力が大きくなることに起因して、繋ぎ用シートが剥がれる、又は破れるといった不都合が生じる虞が高くなるのを防止することができる。
その結果、画像の視認性を低下させることなく、強風時の風圧に起因した繋ぎ用シートの剥がれや破れなどが防止された大型の画像シートをより具体的に製作することができる。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、前記画像シートにおける前記繋ぎ合せ箇所の表裏両面に前記繋ぎ用シートが溶着されている点にある。
【0013】
本発明によると、画像シートにおける繋ぎ合せ箇所の表裏いずれか一方のみに繋ぎ用シートが溶着される場合に比較して繋ぎ合せ箇所の強度を高くすることができ、これにより、画像シートの繋ぎ間隔をより広くすることができ、繋ぎ用シートによる画像シートの繋ぎ合せ箇所が見物者の視界に入り難くなる。
その結果、画像シートの繋ぎ間隔が狭くなることに起因した大型の画像シートにおける画像の視認性の低下をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】複数の画像シートを繋ぎ合せて使用した画像表示パネルの全体正面図
図2】画像シートの繋ぎ合せ箇所などを示す要部の正面図
図3】画像シートの繋ぎ合せ箇所を示す要部の断面図
図4】別実施形態での画像シートの繋ぎ合せ箇所を示す要部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態の一例を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1には、広告や装飾などの目的で建物や駅構内の壁面などに設置される画像表示パネル1の一例が示されている。この画像表示パネル1には、本発明に係る画像シートの繋ぎ合せ方法にて大型の矩形に製作された画像シート10と、画像表示パネル1の枠部を形成する矩形のパネル枠20と、画像シート10に張力を付与する状態で画像シート10の外周部をパネル枠20の枠内に取り付けるシート取付ユニット30などが備えられている。
【0017】
図1~3に示すように、大型の画像シート10は、例えば使用可能なシート幅が最大5mに設定されたロールトゥロール方式のインクジェットプリンタ(図示せず)などを使用して画像が印刷された複数(本実施形態では4枚)の画像シート11を、繋ぎ合せる画像シート11の端縁11aを突合せた状態で、それらの突合せ端部11Aにわたる帯状の繋ぎ用シート12を溶着して繋ぎ合せることで製作されている。
【0018】
各画像シート11は、不燃性で光反射性と透光性のいずれか一方又は双方を有するシート基材における表裏いずれかの片面又は両面に画像が印刷されることで、外部からの太陽光などを反射させることで画像シート11の画像を視認可能に表示する反射型、又は、画像表示パネル1に備えられバックライト(図示せず)からの光を透過させることで画像シート11の画像を視認可能に表示する透過型、あるいは、周囲の環境が明るい昼間などは前述した反射型となり、周囲の環境が暗い夜間などは前述した透過型となる反射・透過両用型に製造されている。
【0019】
尚、各画像シート11は、前述したシート基材における表裏いずれかの片面又は両面に画像フィルムが積層して貼り付けられるなどの製造方法にて前述した反射型や透過型又は反射・透過両用型に製造されたものであってもよい。
【0020】
各繋ぎ用シート12は、不燃性や難燃性で透光性を有する透明のシート基材からなり、高周波ウェルダ(図示せず)を使用して、図1~3に示すように、画像シート11の繋ぎ合せ箇所となる突合せ端部11Aの表裏両面に溶着されている。
【0021】
図1~2に示すように、パネル枠20には、この大型の画像シート10を支持する支持フレーム21と、画像シート10の外周部やシート取付ユニット30などを前方及び外側方から覆い隠す化粧パネル22とが備えられている。支持フレーム21には、シート取付ユニット30が係合される係合用周縁部21Aが備えられている。
【0022】
シート取付ユニット30には、画像シート10の各端縁部が巻き掛けられる複数のフラットバー31と、その端縁部が巻き掛けられたフラットバー31を保持する複数の保持具32と、各保持具32から支持フレーム21に向けて延びる複数のボルト33と、支持フレーム21の係合用周縁部21Aに係合支持される複数の係合具34と、各ボルト33にねじ込み可能な複数のナット35などが備えられている。各係合具34には、ボルト33が挿し通される貫通孔(図示せず)が備えられている。
【0023】
これにより、画像シート10の各端縁部を複数のフラットバー31に巻き掛けた後、それらのフラットバー31を複数の保持具32で保持し、各保持具32から延びるボルト33を、支持フレーム21の係合用周縁部21Aに係合支持された係合具34の貫通孔に差し通して、それらのボルト33にナット35をねじ込むことにより、画像シート10の外周部を支持フレーム21に取り付けることができる。そして、各ボルト33に対する各ナット35のねじ込み量を調節して、支持フレーム21に対するフラットバー31の取り付け間隔を調整することで、画像シート10に適度な張力を付与した状態で、パネル枠20に対する適正位置に画像シート10を取り付けることができる。
【0024】
シート取付ユニット30の各保持具32は、大型の画像シート10における各画像シート11の繋ぎ合せ方向においては、各画像シート11の繋ぎ合せ箇所11Aが支持フレーム21に取り付けられるように、それらの配置間隔が設定されている。
【0025】
尚、矩形のパネル枠20に対する画像シート10の取り付けは、上記のシート取付ユニット30を使用する方法以外に種々の方法を採用することができ、例えば、画像シート取り付け用のロープを、画像シート10の外周部にその周方向に所定間隔を置いて取り付けられた複数の鳩目に順次通しながら、画像シート10の外周部を支持するパネル枠20の支持フレームに巻き付けて、ロープの両端側を支持フレームに結び付けることで、画像シート10の外周部を、画像シート10に張力を付与する状態で、パネル枠20に取り付けるようにしてもよい。
【0026】
大型の画像シート10は、画像シート11の繋ぎ間隔W(図1参照)が、繋ぎ用シート12による画像シート11の繋ぎ合せ箇所11Aでの強度に基づく上限繋ぎ間隔以下で、かつ、画像の視認性に基づく下限繋ぎ間隔以上に規定されている。具体的には、画像シート11や繋ぎ用シート12に使用されるシート基材の材質などによって多少は異なるが、画像シート11の繋ぎ間隔Wが、前述したインクジェットプリンタで使用可能な最大シート幅(5m)ではなく、敢えて、その最大シート幅よりも狭い2~4mに規定されており、より好適には、画像シート11の繋ぎ間隔Wが3.1~3.2mに規定されている。
【0027】
尚、画像シート11の繋ぎ合せ箇所11Aでの強度としては、画像シート11と繋ぎ用シート12との溶着部でのせん断耐力や繋ぎ用シート12の耐荷重などがあり、これらのうちの強度が最も低い値に基づいて上限繋ぎ間隔が規定されている。
【0028】
つまり、画像の視認性に問題のない範囲で画像シート11の繋ぎ間隔Wを狭くすることにより、台風などの強風発生時に各画像シート11にかかる風圧を小さくすることができ、これに応じて、繋ぎ用シート12による画像シート11の繋ぎ合せ箇所11Aにかかるせん断力が小さくなることから、そのせん断力で繋ぎ用シート12が剥がれる、又は破れるといった不都合が生じる虞を低くすることができる。
その結果、画像の視認性を低下させることなく、強風時の風圧に起因した繋ぎ用シート12の剥がれや破れなどが防止された大型の画像シート10を製作することができる。
【0029】
特に、画像シート11の繋ぎ間隔Wが2~4mに規定されていると、画像シート11の繋ぎ間隔Wが2m未満に狭くなることで、繋ぎ用シート12による画像シート11の繋ぎ合せ箇所11Aが見物者の視界に入り易くなって目立ち易くなることを防止しながら、画像シート11の繋ぎ間隔Wが4mを超えることで、台風などの強風発生時に各画像シート11にかかる風圧が大きくなるとともに、繋ぎ用シート12による画像シート11の繋ぎ合せ箇所11Aにかかるせん断力が大きくなることに起因して、繋ぎ用シート12が剥がれる、又は破れるといった不都合が生じる虞が高くなるのを防止することができる。
【0030】
しかも、画像シート11における繋ぎ合せ箇所11Aの表裏両面に繋ぎ用シート12が溶着されていることにより、画像シート11における繋ぎ合せ箇所11Aの表裏いずれか一方のみに繋ぎ用シート12が溶着される場合に比較して繋ぎ合せ箇所11Aの強度を高くすることができ、これにより、画像シート11の繋ぎ間隔Wをより広くすることができ、繋ぎ用シート12による画像シート11の繋ぎ合せ箇所11Aが見物者の視界に入り難くなる。
その結果、繋ぎ間隔Wが狭くなることに起因した大型の画像シート10における画像の視認性の低下をより確実に防止することができる。
【0031】
尚、画像シート11の繋ぎ間隔Wは一定間隔に規定する必要はなく、例えば、画像に応じて、画像シート11の繋ぎ合せ箇所11Aが画像の視認性に影響を及ぼし難い位置になるように、2~4mの範囲内で任意に規定するようにすれば、複数の画像シート11を繋ぎ用シート12にて繋ぎ合せることに起因した画像の視認性の低下をより好適に防止することができる。
【0032】
〔別実施形態〕
本発明の別実施形態について説明する。
尚、以下に説明する各別実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、上記の実施形態や他の別実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0033】
(1)上記の実施形態においては、画像シートの繋ぎ合せ方法として、画像シート11における繋ぎ合せ箇所11Aの表裏両面に繋ぎ用シート12が溶着されるものを例示したが、これに限らず、例えば、図4の(a),(b)に示すように、画像シート11における繋ぎ合せ箇所11Aの表面のみ又は裏面のみに繋ぎ用シート12が溶着されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0034】
11 画像シート
11A 突合せ端部(繋ぎ合せ箇所)
11a 端縁
12 繋ぎ用シート
W 繋ぎ間隔
図1
図2
図3
図4