(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046539
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】電圧監視回路
(51)【国際特許分類】
G01R 19/165 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
G01R19/165 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155179
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】川田 進也
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 和実
【テーマコード(参考)】
2G035
【Fターム(参考)】
2G035AB02
2G035AC01
2G035AC18
2G035AD25
2G035AD27
2G035AD47
2G035AD56
(57)【要約】
【課題】コストの増加や基板実装面積の増加を抑制する電圧監視回路を提供する。
【解決手段】電圧監視回路は、入力された電圧が所定の範囲内の電圧であるか否かを判定する電圧判定回路と、入力された複数の電圧のうちいずれか一つを選択し、前記選択した電圧を前記電圧判定回路に入力する電圧選択回路と、入力された電圧をそれぞれ正規化し、前記正規化したそれぞれの電圧を前記電圧選択回路に入力する複数の電圧正規化回路とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された電圧が所定の範囲内の電圧であるか否かを判定する電圧判定回路と、
入力された複数の電圧のうちいずれか一つを選択し、前記選択した電圧を前記電圧判定回路に入力する電圧選択回路と、
入力された電圧をそれぞれ正規化し、前記正規化したそれぞれの電圧を前記電圧選択回路に入力する複数の電圧正規化回路と、
を備えることを特徴とする電圧監視回路。
【請求項2】
前記所定の範囲内から外れた所定の範囲外の電圧を生成し、生成した電圧を前記電圧選択回路に入力する電圧供給回路をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電圧監視回路。
【請求項3】
前記電圧供給回路は、前記所定の範囲外において、前記所定の範囲内の上限値を上回る上限側域外電圧と、前記所定の範囲内の下限値を下回る下限側域外電圧とを生成し、生成した前記上限側域外電圧及び前記下限側域外電圧を前記電圧選択回路に入力することを特徴とする請求項2に記載の電圧監視回路。
【請求項4】
前記電圧判定回路が、前記複数の電圧正規化回路からそれぞれ異なるタイミングで入力された電圧が前記所定の範囲内の電圧であると判定し、かつ前記電圧供給回路から入力された電圧が前記所定の範囲外の電圧であると判定する場合に、正常動作を示す信号を出力する電圧検査回路をさらに備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の電圧監視回路。
【請求項5】
前記電圧判定回路が、前記複数の電圧正規化回路からそれぞれ異なるタイミングで入力された電圧が前記所定の範囲外の電圧であると判定するか、又は前記電圧供給回路から入力された電圧が前記所定の範囲内の電圧であると判定する場合に、異常動作を示す信号を出力する電圧検査回路をさらに備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の電圧監視回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧を監視する電圧監視回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、制御装置において電源などの電圧を監視する電圧監視回路が知られている。
【0003】
これに関し、特許文献1には、電源回路ごとに電源回路の出力電圧を監視し、出力電圧の異常を検出した場合に異常信号を出力する複数の個別電圧監視回路を備える電圧監視回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、電源回路ごとに電圧監視回路を設ける必要があるため、電源回路ごとに監視回路のための回路部材が必要となり、コストの増加や基板実装面積の増加を招くという問題があった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、コストの増加や基板実装面積の増加を抑制できる電圧監視回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第一態様に係る電圧監視回路は、入力された電圧が所定の範囲内の電圧であるか否かを判定する電圧判定回路と、入力された複数の電圧のうちいずれか一つを選択し、前記選択した電圧を前記電圧判定回路に入力する電圧選択回路と、入力された電圧をそれぞれ正規化し、前記正規化したそれぞれの電圧を前記電圧選択回路に入力する複数の電圧正規化回路とを備える。
【0008】
また、本発明の第二態様に係る電圧監視回路は、前記所定の範囲内から外れた所定の範囲外の電圧を生成し、生成した電圧を前記電圧選択回路に入力する電圧供給回路をさらに備える。
【0009】
また、本発明の第三態様に係る電圧監視回路では、前記電圧供給回路は、前記所定の範囲外において、前記所定の範囲内の上限値を上回る上限側域外電圧と、前記所定の範囲内の下限値を下回る下限側域外電圧とを生成し、生成した前記上限側域外電圧及び前記下限側域外電圧を前記電圧選択回路に入力する。
【0010】
また、本発明の第四態様に係る電圧監視回路は、前記電圧判定回路が前記複数の電圧正規化回路からそれぞれ異なるタイミングで入力された電圧が前記所定の範囲内の電圧であると判定し、かつ前記電圧供給回路から入力された電圧が前記所定の範囲外の電圧であると判定する場合に、正常動作を示す信号を出力する電圧検査回路をさらに備える。
【0011】
また、本発明の第五態様に係る電圧監視回路は、前記電圧判定回路が前記複数の電圧正規化回路からそれぞれ異なるタイミングで入力された電圧が前記所定の範囲外の電圧であると判定するか、又は前記電圧供給回路から入力された電圧が前記所定の範囲内の電圧であると判定する場合に、異常動作を示す信号を出力する電圧検査回路をさらに備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コストの増加や基板実装面積の増加を抑制することができる電圧監視回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る電圧監視回路の一例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るシフトレジスタの一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る電圧監視回路における各信号の電位の遷移を示すタイミングチャートである。
【
図4】本発明の実施形態に係る電圧監視回路における一連の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素及びステップに対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る電圧監視回路1の一例を示す図である。
図1に示すように、電圧監視回路1は、複数の電圧正規化回路10と、電圧選択回路20と、電圧供給回路30と、電圧判定回路40と、電圧検査回路50と、制御回路60とを含んで構成される。電圧監視回路1は、例えば、ロボット制御やモータ制御に用いられる各種電気回路に搭載され、電気回路中の各電圧(例えば電源電圧)が正常であるか否かを監視する。なお、本実施形態において、電圧正規化回路10は、4個設けられているものとする。
【0016】
電圧正規化回路10は、外部から供給される電圧を所定の範囲を基準としてスケーリングすることによって正規化する回路である。電圧正規化回路10は、電圧監視回路1に複数設けられ、それぞれに対して供給される電圧V1~V4に対して正規化を行い、該正規化を行った電圧をそれぞれ正規化電圧Vnorm1~Vnorm4として、正規化電圧Vnorm1~Vnorm4を電圧選択回路20に入力する。電圧正規化回路10は、例えば、分圧回路11を含んで構成される。この場合、電圧正規化回路10は、外部から供給される電圧を電圧正規化回路10毎に設定された所定の分圧比で分圧することによって、正規化を行う。
【0017】
分圧回路11は、外部から供給される電圧を分圧回路11ごとに設定された所定の分圧比で分圧し、分圧した電圧を正規化電圧Vnormとして、正規化電圧Vnormを電圧選択回路20に入力する。
【0018】
電圧選択回路20は、制御回路60の制御に従って、入力された複数の電圧のうちいずれか一つを選択し、選択した電圧を電圧判定回路40に入力する。電圧選択回路20は、例えば、シフトレジスタ21と、ラッチ22と、論理和回路ORと、論理否定回路INVと、短絡制御素子SW1~SW7とを含んで構成される。
【0019】
シフトレジスタ21は、クロック端子CKに入力されるクロックCLKが交番する度に、入力端子SIに入力される入力信号INが示すデータを取り込むとともに保持し、クロックCLKが交番する度に該保持したデータを出力端子QA、QB、QC及びQDの順に対応する出力端子から出力する。ここで、出力端子QA~QDから出力される信号は、それぞれ制御信号CT1~CT4となる。また、シフトレジスタ21は、リセット端子RSTに入力されるテスト信号TESTの状態が“ロウ状態”である場合、上述した動作を行う一方で、テスト信号TESTの状態が“ハイ状態”である場合、保持しているデータを消去するとともに、入力信号INが示すデータの取り込みを停止する。
【0020】
ラッチ22は、制御信号CT4が示すデータを保持し、該保持したデータをデータ信号LDATAとして、データ信号LDATAを制御回路60に送信する。また、ラッチ22は、テスト信号TESTの状態が“ロウ状態”である場合、上述した動作を行う一方で、テスト信号TESTの状態が“ハイ状態”の場合、保持しているデータを消去するとともに、制御信号CT4が示すデータの取り込みを停止する。この際、ラッチ22は、データ信号LDATAの状態を“ロウ状態”として、データ信号LDATAを制御回路60に出力する。
【0021】
論理和回路ORは、制御回路60から出力される初期化信号INIと制御信号CT4とに対して論理和演算を行い、該演算の結果を入力信号INとして、入力信号INをシフトレジスタ21の入力端子SIに入力する。
【0022】
論理否定回路INVは、例えば、インバータ回路であり、制御回路60から出力される上限側選択信号ERR+に対して論理否定演算を行い、該演算の結果を下限側選択信号ERR-として、下限側選択信号ERR-を短絡制御素子SW6の制御端子に入力する。
【0023】
短絡制御素子SW1~SW7は、例えば、トランジスタやスイッチ素子であり、制御端子に入力される信号に従って、両端を短絡又は開放する。
【0024】
具体的には、一方で、短絡制御素子SW1~SW4は、それぞれ制御信号CT1~CT4の状態が“ハイ状態”の場合、両端を短絡し、対応する電圧正規化回路10からそれぞれ供給される正規化電圧Vnorm1~Vnorm4を電圧判定回路40に供給する。他方で、短絡制御素子SW1~SW4は、それぞれ制御信号CT1~CT4の状態が“ロウ状態”の場合、両端を開放し、対応する電圧正規化回路10からそれぞれ供給される正規化電圧Vnorm1~Vnorm4の電圧判定回路40への供給を停止する。
【0025】
また、一方で、短絡制御素子SW5は、制御回路60から入力されるテスト信号TESTの状態が“ハイ状態”の場合、両端を短絡し、電圧供給回路30から供給される上限側域外電圧Verr+又は下限側域外電圧Verr-を電圧判定回路40に供給する。他方で、短絡制御素子SW5は、テスト信号TESTの状態が“ロウ状態”の場合、両端を開放し、電圧供給回路30から供給される上限側域外電圧Verr+又は下限側域外電圧Verr-の電圧判定回路40への供給を停止する。
【0026】
また、一方で、短絡制御素子SW6は、下限側選択信号ERR-の状態が“ハイ状態”の場合、両端を短絡し、電圧供給回路30から供給される下限側域外電圧Verr-を短絡制御素子SW5に供給する。他方で、短絡制御素子SW6は、下限側選択信号ERR-の状態が“ロウ状態”の場合、両端を開放し、電圧供給回路30から供給される下限側域外電圧Verr-の短絡制御素子SW5への供給を停止する。
【0027】
また、一方で、短絡制御素子SW7は、上限側選択信号ERR+の状態が“ハイ状態”の場合、両端を短絡し、電圧供給回路30から供給される上限側域外電圧Verr+を短絡制御素子SW5に供給する。他方で、短絡制御素子SW7は、上限側選択信号ERR+の状態が“ロウ状態”の場合、両端を開放し、電圧供給回路30から供給される上限側域外電圧Verr+の短絡制御素子SW5への供給を停止する。
【0028】
以上のように構成される電圧選択回路20は、制御回路60から入力される初期化信号INIに従って、各電圧正規化回路10から供給される正規化電圧Vnorm1~Vnorm4の電圧判定回路40への供給を開始する。電圧選択回路20は、制御回路60から入力されるクロックCLKの交番に従って、信号の状態を“ハイ状態”としてさらに“ロウ状態”とする制御を制御信号CT1~CT4に対して順番に行うことによって、正規化電圧Vnorm1~Vnorm4を順番に電圧判定回路40に供給する。また、電圧選択回路20は、正規化電圧Vnorm4を電圧判定回路40に供給した際、正規化電圧Vnorm4を電圧判定回路40に供給したことを示すデータ信号LDATAを制御回路60に送信する。また、電圧選択回路20は、制御回路60から入力される上限側選択信号ERR+に従って、電圧供給回路30から供給される上限側域外電圧Verr+又は下限側域外電圧Verr-を選択し、制御回路60から入力されるテスト信号TESTに従って、該選択した電圧を電圧判定回路40に供給する。
【0029】
電圧供給回路30は、所定の範囲の上限値を上回る電圧である上限側域外電圧Verr+と、所定の範囲の下限値を下回る電圧である下限側域外電圧Verr-とを生成し、生成した上限側域外電圧Verr+及び下限側域外電圧Verr-を電圧選択回路20に入力する。電圧供給回路30は、例えば、電圧生成回路31と、分圧回路32とを含んで構成される。
【0030】
電圧生成回路31は、例えば、電圧源であり、上限側域外電圧Verr+を上回る電圧を生成し、生成した電圧を分圧回路32に供給する。
【0031】
分圧回路32は、電圧生成回路31から供給される電圧を上限側域外分圧比及び下限側域外分圧比で分圧し、上限側域外分圧比で分圧した電圧を上限側域外電圧Verr+として、下限側域外分圧比で分圧した電圧を下限側域外電圧Verr-として、上限側域外電圧Verr+及び下限側域外電圧Verr-をそれぞれ電圧選択回路20に入力する。
【0032】
電圧判定回路40は、入力された電圧が所定の範囲内の電圧であるか否かを判定し、判定した結果を比較信号CMPとして、比較信号CMPを電圧検査回路50に出力する。具体的には、電圧判定回路40は、入力された電圧を制御回路60から入力される上限側基準電圧Vref+及び下限側基準電圧Vref-と比較し、入力された電圧が下限側基準電圧Vref-以上かつ上限側基準電圧Vref+以下である場合に入力された電圧が所定の範囲内の電圧である(PASS判定)と判定する一方、入力された電圧が下限側基準電圧Vref-を下回るか又は上限側基準電圧Vref+を上回る場合に入力された電圧が所定の範囲外の電圧である(FAIL判定)と判定し、当該判定結果を比較信号CMPとして、比較信号CMPを電圧検査回路50に出力する。
【0033】
電圧検査回路50は、制御回路60の制御に従って、電圧監視回路1が監視する電圧V1~V4並びに電圧監視回路1自体が正常に動作しているか否かを検査し、該検査結果を出力信号OUTとして、出力信号OUTを出力する。具体的には、一方、電圧検査回路50は、比較信号CMPが正規化電圧Vnorm1~Vnorm4の判定結果を“PASS”と示し、かつ比較信号CMPが上限側域外電圧Verr+及び下限側域外電圧Verr-の判定結果を“FAIL”と示す場合に、電圧監視回路1が監視する対象の電圧V1~V4並びに電圧監視回路1が正常であると判定し、該判定結果に従って出力信号OUTの状態を“ハイ状態”として出力信号OUTを出力する。他方、電圧検査回路50は、比較信号CMPが正規化電圧Vnorm1~Vnorm4の判定結果を“FAIL”と示すか、又は比較信号CMPが上限側域外電圧Verr+及び下限側域外電圧Verr-の判定結果を“PASS”と示す場合に、電圧監視回路1が監視する対象の電圧V1~V4あるいは電圧監視回路1が異常であると判定し、該判定結果に従って出力信号OUTの状態を“ロウ状態”として出力信号OUTを出力する。
【0034】
制御回路60は、各電圧正規化回路10、電圧選択回路20、電圧供給回路30、電圧判定回路40及び電圧検査回路50を制御する回路である。具体的には、制御回路60は、内部のタイマーなどに従ってクロックCLKを生成する。また、制御回路60は、テスト信号TESTを生成し、ラッチ22からデータ信号LDATAに従ってテスト信号TESTの状態を“ハイ状態”とする一方で、内部のタイマーなどに従ってテスト信号TESTの状態を“ロウ状態”とする。また、制御回路60は、内部のタイマーなどに従って、初期化信号INIを生成する。また、制御回路60は、上限側選択信号ERR+を生成する。制御回路60は、生成した各種信号を電圧選択回路20に出力する。また、制御回路60は、電圧検査回路50に比較信号CMPの判定を開始するタイミングを送信する。また、制御回路60は、電圧供給回路30及び複数の電圧正規化回路10の各分圧比を設定し、設定した分圧比に応じた上限側基準電圧Vref+及び下限側基準電圧Vref-を生成し、生成した上限側基準電圧Vref+及び下限側基準電圧Vref-を電圧判定回路40に供給する。
【0035】
以上のように構成される電圧監視回路1は、外部から供給される電圧V1~V4に対して所定の範囲を基準としてスケーリングすることによって正規化を行い、それぞれ正規化電圧Vnorm1~Vnorm4を生成する。また、電圧監視回路1は、所定の範囲の上限を上回る電圧である上限側域外電圧Verr+と、所定の範囲の下限を下回る電圧である下限側域外電圧Verr-とを生成する。電圧監視回路1は、正規化電圧Vnorm1~Vnorm4が所定の範囲内の電圧であるか否かを順番に判定した後に、生成した上限側域外電圧Verr+及び下限側域外電圧Verr-が所定の範囲外の電圧であるか否かを順番に判定する。一方で、電圧監視回路1は、正規化電圧Vnorm1~Vnorm4が所定の範囲内の電圧であり、かつ上限側域外電圧Verr+及び下限側域外電圧Verr-が所定の範囲外の電圧であると判定する場合、電圧V1~V4と電圧監視回路1とが正常であると判定する。他方で、電圧監視回路1は、正規化電圧Vnorm1~Vnorm4が所定の範囲外の電圧である、又は上限側域外電圧Verr+及び下限側域外電圧Verr-が所定の範囲内の電圧であると判定する場合、電圧V1~V4あるいは電圧監視回路1が異常であると判定する。
【0036】
図2は、本発明の実施形態に係るシフトレジスタ21の一例を示す図である。
図2に示すように、シフトレジスタ21は、緩衝増幅回路BUF1~BUF6と、出力制御回路FF1~FF4とを含んで構成される。
【0037】
緩衝増幅回路BUF1~BUF6は、例えば、バッファ回路であり、入力される信号に対して波形整形や電流増強などの処理を行い、該処理を行った信号を出力する。
【0038】
具体的には、緩衝増幅回路BUF1は、入力端子SIを介して入力される入力信号INに対して波形整形や電流増強などの処理を行い、該処理を行った信号を出力制御回路FF1の入力端子Dに入力する。
【0039】
また、緩衝増幅回路BUF2は、クロック端子CKを介して入力されるクロックCLKに対して波形整形や電流増強などの処理を行い、該処理を行ったクロックを出力制御回路FF1~FF4のクロック端子Cに入力する。
【0040】
また、緩衝増幅回路BUF3~BUF6は、対応する出力制御回路FF1~FF4の出力端子Qから出力される信号に対して波形整形や電流増強などの処理を行い、該処理を行った信号をそれぞれ制御信号CT1~CT4として、それぞれ出力端子QA~QDを介して制御信号CT1~CT4を出力する。
【0041】
出力制御回路FF1~FF4は、例えば、D型フリップフロップであり、クロック端子Cに入力されるクロックに従って、入力端子Dに入力される信号が示すデータを保持し、該保持したデータを示す信号を出力端子Qから出力する。また、出力制御回路FF1~FF4は、リセット端子Rに入力される信号に従って、該保持したデータを消去する。
【0042】
ここで、出力制御回路FF1~FF4は、出力端子Qから出力される信号が次段の入力端子Dに入力されるように出力制御回路FF1~FF4の順に直列に接続される。出力制御回路FFnは、クロックCLKが交番するたびに、前段の出力制御回路FFn-1の出力端子Qから出力される信号が示すデータを次段の出力制御回路FFn+1の入力端子Dへと伝達する。(ここで、nは、正の整数とする。)また、出力制御回路FF1~FF4は、リセット端子Rに入力されるテスト信号TESTに従って、該保持したデータを消去するとともに、入力端子Dから入力される信号が示すデータの保持を停止する。
【0043】
図3は、本発明の実施形態に係る電圧監視回路1における各信号の電位の遷移を示すタイミングチャートである。なお、本図において、電圧V1~V4並びに電圧監視回路1は、正常であるものとする。
【0044】
時刻t10で、制御回路60は、内部のタイマーを動作させクロックCLKを交番させており、クロックCLKを出力する。また制御回路60は、上限側選択信号ERR+の状態を“ロウ状態”として、テスト信号TESTの状態を“ロウ状態”として、初期化信号INIの状態を“ロウ状態”として、これらの信号を出力する。時刻t10で、論理否定回路INVは、下限側選択信号ERR-の状態を“ハイ状態”として、下限側選択信号ERR-を出力する。時刻t10で、電圧選択回路20は、データ信号LDATAの状態を“ロウ状態”として、データ信号LDATAを出力している。また、時刻t10で、電圧選択回路20は、制御信号CT1の状態を“ハイ状態”とする一方で、制御信号CT2~CT4の状態を“ロウ状態”とする。すなわち、時刻t10で、電圧選択回路20は、正規化電圧Vnorm1を選択し、正規化電圧Vnorm1を電圧判定回路40に入力する。時刻t10で、電圧判定回路40は、正規化電圧Vnorm1が所定の範囲内の電圧であるか否かを判定し、比較信号CMPの状態を肯定判定である“ハイ状態”として、比較信号CMPを出力する。
【0045】
時刻t11~t13で、電圧選択回路20は、時刻t10と同様に、対応する制御信号CTnの状態をそれぞれ“ハイ状態”とし、それ以外の制御信号の状態を“ロウ状態”する。すなわち、時刻t11~t13で、電圧選択回路20は、対応する正規化電圧Vnormnを選択し、対応する正規化電圧Vnormnを電圧判定回路40に入力する。時刻t11~t13で、電圧判定回路40は、対応する正規化電圧Vnormnが所定の範囲内の電圧であるか否かを判定し、比較信号CMPの状態を肯定判定である“ハイ状態”として、比較信号CMPを出力する。(ここで、nは、正の整数である。)
【0046】
また、時刻t13で、電圧選択回路20は、データ信号LDATAの状態を“ハイ状態”として、データ信号LDATAを制御回路60に出力する。すなわち、時刻t13で、電圧選択回路20は、正規化電圧Vnorm1~Vnorm4が所定の範囲内の電圧であるか否かを全て判定したことを制御回路60に伝達する。
【0047】
時刻t14及びt15で、電圧選択回路20は、時刻t10と同様に、対応する制御信号CTnの状態をそれぞれ“ハイ状態”とし、それ以外の制御信号の状態を“ロウ状態”する。すなわち、時刻t14及びt15で、電圧選択回路20は、対応する正規化電圧Vnormnを選択し、対応する正規化電圧Vnormnを電圧判定回路40に入力する。時刻t14及びt15で、電圧判定回路40は、対応する正規化電圧Vnormnが所定の範囲内の電圧であるか否かを判定し、比較信号CMPの状態を肯定判定である“ハイ状態”として、比較信号CMPを出力する。(ここで、nは、正の整数である。)
【0048】
時刻t16で、制御回路60は、テスト信号TESTの状態を“ハイ状態”として、テスト信号TESTを出力する。これにより、時刻t16で、電圧選択回路20は、下限側域外電圧Verr-を選択し、下限側域外電圧Verr-を電圧判定回路40に入力する。時刻t16で、電圧判定回路40は、下限側域外電圧Verr-が所定の範囲内の電圧であるか否かを判定し、比較信号CMPの状態を否定判定である“ロウ状態”として、比較信号CMPを出力する。
【0049】
時刻t17で、制御回路60は、上限側選択信号ERR+の状態を“ハイ状態”として、上限側選択信号ERR+を出力する。これにより、時刻t17で、論理否定回路INVは、下限側選択信号ERR-の状態を“ロウ状態”として、下限側選択信号ERR-を出力する。また、時刻t17で、電圧選択回路20は、上限側域外電圧Verr+を選択し、上限側域外電圧Verr+を電圧判定回路40に入力する。時刻t17で、電圧判定回路40は、上限側域外電圧Verr+が所定の範囲内の電圧であるか否かを判定し、比較信号CMPの状態を否定判定である“ロウ状態”として、比較信号CMPを出力する。
【0050】
時刻t18で、制御回路60は、内部のタイマーの動作を停止させることによって、クロックCLKの交番を停止させる。
【0051】
時刻t19で、制御回路60は、上限側選択信号ERR+の状態を“ロウ状態”として、上限側選択信号ERR+を出力する。これにより、時刻t19で、論理否定回路INVは、下限側選択信号ERR-の状態を“ハイ状態”として、下限側選択信号ERR-を出力する。また、時刻t19で、電圧選択回路20は、下限側域外電圧Verr-を選択し、下限側域外電圧Verr-を電圧判定回路40に入力する。時刻t19で、電圧判定回路40は、下限側域外電圧Verr-が所定の範囲内の電圧であるか否かを判定し、比較信号CMPの状態を否定判定である“ロウ状態”として、比較信号CMPを出力する。さらに、時刻t19で、制御回路60は、初期化信号INIの状態を“ハイ状態”として、初期化信号INIを電圧選択回路20に出力する。また、制御回路60は、これにより、時刻t19で、電圧選択回路20は、データ信号LDATAの状態を“ロウ状態”として、データ信号LDATAを制御回路60に出力する。
【0052】
時刻t20で、制御回路60は、内部のタイマーの状態を初期化する。
【0053】
時刻t21で、制御回路60は、内部のタイマーを動作させクロックCLKの交番を再開させる。また、時刻t21で、制御回路60は、テスト信号TESTの状態を“ロウ状態”として、テスト信号TESTを電圧選択回路20に出力する。これにより、時刻t21で、電圧選択回路20は、制御信号CT1の状態を“ハイ状態”とする一方で、制御信号CT2~CT4の状態を“ロウ状態”とする。すなわち、時刻t21で、電圧選択回路20は、正規化電圧Vnorm1を選択し、正規化電圧Vnorm1を電圧判定回路40に入力する。時刻t21で、電圧判定回路40は、正規化電圧Vnorm1が所定の範囲内の電圧であるか否かを判定し、比較信号CMPの状態を肯定判定である“ハイ状態”として、比較信号CMPを出力する。
【0054】
時刻t22で、制御回路60は、初期化信号INIの状態を“ロウ状態”として、初期化信号INIを電圧選択回路20に出力する。
【0055】
図4は、本発明の実施形態に係る電圧監視回路1における一連の処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、以下のステップの順番及び内容は、適宜、変更することができる。
【0056】
(ステップSP10)
制御回路60は、電圧選択回路20が、各正規化電圧Vnorm1~Vnorm4、並びに上限側域外電圧Verr+及び下限側域外電圧Verr-のうちいずれか一つの電圧を選択するように制御する。そして、処理は、ステップSP12に移行する。
【0057】
(ステップSP12)
制御回路60は、電圧判定回路40に上限側基準電圧Vref+及び下限側基準電圧Vref-を供給し、電圧選択回路20が選択した電圧が所定の範囲内の電圧であるか否かを電圧判定回路40に判定させる。そして、処理は、ステップSP14に移行する。
【0058】
(ステップSP14)
一方で、制御回路60は、各正規化電圧Vnorm1~Vnorm4、並びに上限側域外電圧Verr+及び下限側域外電圧Verr-の全てに対して所定の範囲内の電圧であるか否かを判定したか否かを判定する。当該判定が肯定の場合、処理は、ステップSP16に移行する。他方で、当該判定が否定の場合、処理は、ステップSP10に移行する。
【0059】
(ステップSP16)
制御回路60は、電圧検査回路50を動作させ、電圧検査回路50に正規化電圧Vnorm1~Vnorm4、並びに上限側域外電圧Verr+及び下限側域外電圧Verr-の判定結果を検査させることによって、各電圧V1~V4並びに電圧監視回路1が正常に動作しているか否かを監視する。
【0060】
以上、本実施形態では、電圧監視回路1は、入力された電圧が所定の範囲内の電圧であるか否かを判定する電圧判定回路40と、入力された複数の電圧のうちいずれか一つを選択し、選択した電圧を電圧判定回路40に入力する電圧選択回路20と、入力された電圧をそれぞれ正規化し、正規化したそれぞれの電圧を電圧選択回路20に入力する複数の電圧正規化回路10とを備える。
【0061】
この構成によれば、電圧監視回路1は、入力された複数の電圧を正規化し、該正規化した複数の電圧のうちいずれ一つの電圧に対して所定の範囲内の電圧であるか否かを判定するため、異なる複数の電圧を監視できる。この結果、電圧毎に電圧監視回路を用意する必要がなく電圧監視回路を一元化できるため、コストの増加や基板実装面積の増加を抑制できる。
【0062】
また、本実施形態では、電圧監視回路1は、所定の範囲内から外れた所定の範囲外の電圧を生成し、生成した電圧を電圧選択回路20に入力する電圧供給回路30をさらに備える。
【0063】
この構成によれば、電圧監視回路1は、所定の範囲外の電圧を生成し、該所定の範囲外の電圧が所定の範囲内の電圧であるか否かを判定するため、電圧監視回路1自体が正常に動作しているか否かを監視できる。
【0064】
また、本実施形態では、電圧供給回路30は、所定の範囲外において、所定の範囲内の上限値を上回る上限側域外電圧Verr+と、所定の範囲内の下限値を下回る下限側域外電圧Verr-とを生成し、生成した上限側域外電圧Verr+及び下限側域外電圧Verr-を電圧選択回路20に入力する。
【0065】
この構成によれば、電圧監視回路1は、所定の範囲外の電圧として、所定の範囲の上限値を上回る上限側域外電圧Verr+と、所定の範囲の下限値を下回る下限側域外電圧Verr-とを生成するため、所定の範囲の上限側及び下限側の両方の電圧に対して、電圧監視回路1自体が正常に動作しているか否かを監視できる。
【0066】
また、本実施形態では、電圧監視回路1は、電圧判定回路40が複数の電圧正規化回路10からそれぞれ異なるタイミングで入力された電圧が所定の範囲内の電圧であると判定し、かつ電圧供給回路30から入力された電圧が所定の範囲外の電圧であると判定する場合に、正常動作を示す信号を出力する電圧検査回路50をさらに備える。
【0067】
この構成によれば、電圧監視回路1は、電圧V1~V4と電圧監視回路1自体との監視結果をまとめた結果を出力することができる。
【0068】
また、本実施形態では、電圧監視回路1は、電圧判定回路40が複数の電圧正規化回路10からそれぞれ異なるタイミングで入力される電圧が所定の範囲外の電圧であると判定するか、又は電圧供給回路30から入力される電圧が所定の範囲内の電圧であると判定する場合に、異常動作を示す信号を出力する電圧検査回路50をさらに備える。
【0069】
この構成によれば、電圧監視回路1は、電圧V1~V4と電圧監視回路1自体との監視結果をまとめた結果を出力することができる。
【0070】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記の実施形態に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上記実施形態及び後述する変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0071】
例えば、上記実施形態では、電圧選択回路20がシフトレジスタ21によって正規化電圧Vnorm1~Vnorm4を順番に選択した後に、テスト信号TEST及び上限側選択信号ERR+によって上限側域外電圧Verr+及び下限側域外電圧Verr-を順番に選択する場合を説明したが、電圧選択回路20は、マルチプレクサなどの選択回路によって各電圧を選択しても良い。
【0072】
この構成によれば、電圧選択回路20は、マルチプレクサと、マルチプレクサの制御に用いる制御信号とによって電圧を選択するため、監視対象の電圧の数が少ない場合に回路部材の数を抑えて異なる複数の電圧を監視できる。この結果、コストの増加や基板実装面積の増加を抑制できる。
【0073】
また、上記実施形態では、制御回路60が上限側基準電圧Vref+及び下限側基準電圧Vref-を生成し、上限側基準電圧Vref+及び下限側基準電圧Vref-を電圧判定回路40に供給したが、電圧供給回路30が上限側基準電圧Vref+及び下限側基準電圧Vref-を生成し、上限側基準電圧Vref+及び下限側基準電圧Vref-を電圧判定回路40に供給しても良い。
【0074】
この構成によれば、電圧供給回路30によって、上限側基準電圧Vref+、下限側基準電圧Vref-、上限側域外電圧Verr+及び下限側域外電圧Verr-を生成するため、回路部材の数を抑えて電圧監視回路1自体が正常に動作しているか否かを検査できる。
【0075】
また、上記実施形態では、電圧正規化回路10は、外部から供給される電圧を電圧正規化回路10ごとに設定された分圧比によって分圧することによって正規化を行ったが、これに限られるものではなく、スイッチングレギュレータなど他の降圧回路によって正規化を行っても良い。
【0076】
この構成によれば、電圧監視回路1は、分圧回路11を用いる構成と比べて、貫通電流を抑えて異なる複数の電圧を監視できる。この結果、貫通電流を抑えてコストの増加や基板実装面積の増加を抑制できる。
【0077】
また、上記実施形態では、電圧供給回路30は、電圧生成回路31によって生成した電圧を上限側域外分圧比及び下限側域外分圧比によって分圧することによって、上限側域外電圧Verr+及び下限側域外電圧Verr-を生成したが、電圧生成回路31を2つ設けることよって上限側域外電圧Verr+及び下限側域外電圧Verr-を生成しても良い。
【0078】
この構成によれば、電圧監視回路1は、分圧回路11を用いる構成と比べて、貫通電流を抑えて異なる複数の電圧を監視できる。この結果、貫通電流を抑えてコストの増加や基板実装面積の増加を抑制できる。
【符号の説明】
【0079】
1…電圧監視回路、10…電圧正規化回路、20…電圧選択回路、40…電圧判定回路