(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004655
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】廃棄物処理プラント及び廃棄物処理方法
(51)【国際特許分類】
B09B 3/60 20220101AFI20230110BHJP
B09B 5/00 20060101ALN20230110BHJP
【FI】
B09B3/00 A ZAB
B09B5/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106490
(22)【出願日】2021-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】508047738
【氏名又は名称】新和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000615
【氏名又は名称】弁理士法人Vesta国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安野 民雄
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA03
4D004AA04
4D004AA12
4D004AC05
4D004BA03
4D004BA04
4D004CA04
4D004CA08
4D004CA09
4D004CA13
4D004CA14
4D004CA19
4D004CA42
4D004CA45
4D004CA48
4D004CB04
4D004CB13
4D004CB15
4D004CB43
4D004CB44
4D004CB46
4D004CC07
(57)【要約】
【課題】過剰な水分の貯留を防止し低コスト化を図ることができること。
【解決手段】廃棄物処理プラントは、外部から空気が導入され、また、外部に空気が排出されて負圧に維持される室内で廃棄物1を含んだ被好気発酵処理物100を好気発酵させて乾燥する好気発酵乾燥装置121と、好気発酵乾燥装置121から排出された空気が入力され、当該空気の湿気を低下させて外部に出力されるエアプレナム室130と、エアプレナム室130から排出された空気を好気性微生物が含まれるバイオフィルタ142によって生物脱臭して外部に排気する生物脱臭装置140と具備し、エアプレナム室130で好気発酵乾燥装置120のハウジング121室内から排出される空気の湿気(湿度)を低下させてから、生物脱臭装置140に入力して外部に排気する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から空気が導入され、また、外部に空気が排出されて負圧に維持される室内で廃棄物を好気発酵させて乾燥する好気発酵乾燥設備と、
前記好気発酵乾燥設備から排出された空気が入力され、当該空気の湿気を低下させて外部に出力されるエアプレナム室と、
前記エアプレナム室から出力した空気を好気性微生物が含まれるバイオフィルタによって生物脱臭して外部に排気する脱臭設備と、
前記廃棄物を前記好気発酵している前記好気発酵乾燥設備から廃水を回収し、濾過したのち、前記好気発酵乾燥設備で前記好気発酵している前記廃棄物に散水する第1の循環水設備と、
前記脱臭設備の前記バイオフィルタに散水し、当該散水の余剰水を回収して、前記バイオフィルタの前記
散水に再使用する第2の循環水設備と
を具備することを特徴とする廃棄物処理プラント。
【請求項2】
前記第1の循環水設備は、前記好気発酵乾燥設備から前記回収した水が収容され、また、外部からの水を補充できる第1の貯水タンクを有し、前記第1の貯水タンクの水が前記廃棄物の前記散水に供給され、
前記第2の循環水設備は、前記脱臭設備から前記回収した水が収容され、また、外部からの水を補充できる第2の貯水タンクを有し、前記第2の貯水タンクの水が前記バイオフィルタの前記散水に供給されることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理プラント。
【請求項3】
前記好気発酵乾燥設備は、前記廃棄物が前記好気発酵している前記室内の空気を上方から吸気し、前記吸気した空気を前記室内の下方から送風して前記空気を循環させる空気循環部を有し、前記空気循環部で循環させる空気を前記外部から導入する空気と混合し、前記室内の下方から送風することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の廃棄物処理プラント。
【請求項4】
前記好気発酵乾燥設備の前記室内に導入される外部の空気は、前記好気発酵乾燥設備を格納した建屋内の空気であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の廃棄物処理プラント。
【請求項5】
前記エアプレナム室は、前記好気発酵乾燥設備を格納した建屋内の空気の取り入れによって、前記好気発酵乾燥設備から排出された空気の湿気を低下させることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の廃棄物処理プラント。
【請求項6】
外部から空気が導入され、また、外部に空気が排出されて負圧に維持される室内で廃棄物を好気発酵させて乾燥する好気発酵乾燥工程と、
前記廃棄物が前記好気発酵している前記室内から排出された空気の湿気を低下させる排気調節工程と、
前記排気調節工程で調湿した空気を好気性微生物が含まれるバイオフィルタにより生物脱臭して外部に排気する脱臭工程と
を具備し、
前記好気発酵乾燥工程では、前記室内から廃水を回収し、濾過したのち、前記室内で前記好気発酵している前記廃棄物に散水し、
前記脱臭工程では、前記バイオフィルタに散水し、当該散水の余剰水を回収して前記バイオフィルタの前記散水に再使用することを特徴とする廃棄物処理方法。
【請求項7】
前記好気発酵乾燥工程では、前記廃棄物が前記好気発酵している前記室内の空気を上方から吸気し、前記吸気した空気を前記室内の下方から送風して前記空気を循環すると共に、前記循環させる空気を前記外部から導入する空気と混合し前記室内の下方から送風することを特徴とする請求項6に記載の廃棄物処理方法。
【請求項8】
前記好気発酵乾燥工程では、前記廃棄物が前記好気発酵している前記室内に導入される外部の空気は、前記室内を格納した建屋内の空気であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の廃棄物処理方法。
【請求項9】
前記排気調節工程では、前記廃棄物が好気発酵している前記室内を格納した建屋内の空気の取り入れによって、前記廃棄物が好気発酵している前記室内から排出された空気の湿気を低下させることを特徴とする請求項6乃至請求項8の何れか1つに記載の廃棄物処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭、レストラン、料亭、ホテル、スーパーマーケット等で発生する生ごみ、紙、プラスチック等が混在した廃棄物を好気性発酵処理する廃棄物処理プラント及び廃棄物処理方法に関するものであり、特に、過剰な水分の貯留を防止し低コスト化を図ることができる廃棄物処理プラント及び廃棄物処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭や、レストラン、料亭、ホテル、スーパーマーケット等の飲食物提供を行なう産業や、学校や、その他の事業所から排出される生活ごみ等の多くは自治体により指定された方法で数種類に分別収集され、生野菜、果実、肉類、その他の生ごみ等の有機廃棄物は、焼却処分場において可燃物として他の可燃ごみと一緒に焼却処分されている。
しかし、近年では、環境負荷の観点から生ごみを資源として再利用することにより少しでも焼却量を減少させる努力がなされ、例えば、生ごみ等を好気的な環境下で発酵熟成させて堆肥化し、有機肥料としリサイクルする方法等が知られている。
【0003】
そこで、廃棄物のリサイクルに関し、特許文献1では、廃棄物を、可燃物と不燃物に分別する前処理設備と、上記前処理設備で分別された可燃物に、木質材と、発酵乾燥処理がなされた被処理物の一部が戻されたものである戻し発酵物とを混合して混合廃棄物を形成する混合設備と、上記混合設備で形成された混合廃棄物を好気性発酵により発熱させて乾燥を行う発酵ユニットと、この発酵ユニット内の空気を好気性発酵により脱臭する脱臭ユニットとを有する発酵乾燥設備とを備え、上記発酵乾燥設備の脱臭ユニットは、上記発酵ユニット内の空気を脱臭する際に凝縮水を生成し、上記混合設備は、上記発酵乾燥設備の脱臭ユニットで生成された凝縮水が供給され、供給された上記凝縮水を混合廃棄物に添加して所定の含水率に調整することを特徴とする都市ゴミのリサイクルプラントを紹介している。
この特許文献1のリサイクルプラントでは、微生物が発酵する際の熱を利用して生ごみ等の高含水率の廃棄物を乾燥している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のリサイクルプラントでは、脱臭ユニットにおいて醗酵ユニット内の空気を脱臭する際に凝縮水を生成する記載があり、脱臭ユニットで生成された凝縮水は混合廃棄物に添加され発酵乾燥設備に供される流れであることからして、生ごみ等の廃棄物から蒸発した水分(水蒸気)が大気に放出され難いものである。したがって、廃棄物の処理量が多いと、水分がプラント内に大量に貯留してくることになるから、その場合には、エネルギコストや設備コストのかかる大掛かりな排水の浄化設備を要することになる。貯水するにしても、そのタンク容量によって廃棄物の処理量が制限されてしまうことになる。
【0006】
そこで、本発明は、過剰な水分の貯留を防止し低コスト化を図ることができる廃棄物処理プラント及び廃棄物処理方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明の廃棄物処理プラントは、外部から空気が導入され、また、外部に空気が排出されて負圧に維持される室内で廃棄物を好気発酵させて乾燥する好気発酵乾燥設備と、前記好気発酵乾燥設備から排出された空気が入力され、当該空気の湿気(湿度)を低下させて外部に出力されるエアプレナム室と、前記エアプレナム室から出力された空気を好気性微生物が含まれるバイオフィルタによって生物脱臭して外部に排気する脱臭設備と、前記好気発酵乾燥設備の廃水を回収して濾過した後、前記好気発酵乾燥設備で好気発酵させている前記廃棄物に散水する第1の循環水設備と、前記脱臭設備のバイオフィルタに散水すると共に、前記散水の余剰水を回収して、前記バイオフィルタの散水に再使用する第2の循環水設備とを具備するものである。
【0008】
上記好気発酵乾燥設備は、換気可能とするも負圧に維持されて臭気の漏れを防止した気密な室内、例えば、室外の空気を取り入れ内部の空気を排出する換気構造が取り入れられコンクリート等で気密な空間を画成したハウジング室内で廃棄物を好気発酵し、その発酵熱で乾燥させるものである。好ましくは、廃棄物に空気を供給する送風によって廃棄物の好気発酵及び乾燥の進行を促進する。例えば、ファン(ブロア)等を備え、外部からの空気の導入及び外部へ空気の排出を可能とし負圧に制御した気密構造の室内とした好気発酵乾燥装置で構成される。
なお、上記廃棄物とは、家庭や事業所で排出された生ごみや紙屑等の燃やせるごみである家庭系一般廃棄物や事務系廃棄物、産業廃棄物としての食品廃棄物、動食物性残渣等の廃棄物である。
【0009】
上記エアプレナム室は、所定の容積空間を有し、前記好気発酵乾燥設備から排出される空気が入力され、また、前記好気発酵乾燥設備から排出される空気よりも相対的湿度が低い空気も入力されることにより、そこで、前記好気発酵乾燥設備から排出された空気と前記好気発酵乾燥設備から排出される空気よりも相対的湿度が低い空気とが混合された調湿によって、好気発酵乾燥設備から排出される空気の湿気を低下させ、好気発酵乾燥設備から排出される空気よりも相対的に湿度が低下した空気を前記生物脱臭設備に出力するものである。なお、上記好気発酵乾燥設備から排出される空気よりも相対的湿度が低い空気とは、前記好気発酵乾燥設備から排出される空気よりも常に湿気が少ないことまでを要求するものではなく、好気発酵乾燥設備から排出される湿気の高い空気を、エアプレナム室で湿気低下できていればよい。
【0010】
上記脱臭設備は、好気性微生物を付着した木材チップ等の担体または好気性微生物を付含有している土壌等からなるバイオフィルタに対し前記廃棄物を好気発酵している前記発酵乾燥設備から排出される空気を通風することでバイオフィルタに含まれる好気性微生物によって分解脱臭するものであり、例えば、好気性微生物を付着した木材チップ等の担体や土壌を充填した生物脱臭装置等から構成される。
【0011】
上記第1の循環水設備は、前記好気発酵乾燥設備からの廃水、即ち、前記好気発酵乾燥設備で好気発酵している前記廃棄物から染み出た浸出液や散水の余剰水を回収し、それに含まれた異物をフィルタで除去したのち、前記好気発酵乾燥設備で好気発酵させている前記廃棄物に散水するものであり、例えば、前記好気発酵設備から廃水を出力し前記好気発酵設備に戻す循環路、濾過フィルタ、ポンプや、散水装置等から構成される。
【0012】
また、上記第2の循環水設備は、前記脱臭設備のバイオフィルタに対しに散水により水分を供給すると共に、前記散水の余剰水を回収して、前記散水に再使用するものであり、例えば、前記脱臭設備から散水の余剰水を出力し前記脱臭設備に戻す循環路、ポンプ、散水装置等から構成される。
【0013】
請求項2の発明の廃棄物処理プラントの前記第1の循環水設備は、前記好気発酵乾燥設備から回収した水が収容され、また、外部からの水を補充できる第1の貯水タンクを有し、前記第1の貯水タンクの水が前記廃棄物の前記散水に供給され、前記第2の循環水設備は、前記脱臭設備から回収した水が収容され、また、外部からの水を補充できる第2の貯水タンクを有し、前記第2の貯水タンクの水が前記バイオフィルタの前記散水に供給されるものである。
上記第1の貯水タンクや上記第2の貯水タンクでは、散水の余剰水のみを収容する場合もあれば、散水の余剰水に外部からの新しく水を補充してそれと混合される場合もある。
【0014】
請求項3の発明の廃棄物処理プラントの前記好気発酵乾燥設備は、前記廃棄物を好気発酵し乾燥させている前記室内の空気を上方から吸気し、前記吸気した空気を前記室内の下方から送風して前記空気を循環させる空気循環部を有し、前記空気循環部で循環させる空気を前記室内に外部から導入する空気と合流させ、前記室内の下方から送風するものである。
【0015】
請求項4の発明の廃棄物処理プラントの前記好気発酵乾燥設備の前記室内に導入される外部の空気は、前記好気発酵乾燥設備を格納した建屋内の空気としたものであり、外気ではなく、外気温よりも温度変化を少なくできる建屋内の空気を前記廃棄物が好気発酵されている室内に取り入れることで、外気よりも温度変化の少ない空気を取り入れるものである。なお、上記格納とは、前記好気発酵乾燥設備の全体が格納されていることまでを要求するものではなく、一部であってもよく、前記好気発酵乾燥設備の搬入搬出口が建屋内に存在し、建屋と連続して設けられていればよい。
【0016】
請求項5の発明の廃棄物処理プラントの前記エアプレナム室は、前記好気発酵乾燥設備を格納した建屋内の空気の取り入れによって、前記好気発酵乾燥設備から排出された空気の湿気を低下させるものであり、前記好気発酵乾燥設備から排出された空気よりも通常は湿気の低い建屋内の空気と、前記好気発酵乾燥設備から排出された空気との混合によって、前記好気発酵乾燥設備から排出された空気の湿気を低下させるものである。また、外気ではなく、外気温よりも温度変化を少なくできる建屋内の空気を取り入れることで、外気よりも温度変化の少ない空気を取り入れるものである。
【0017】
請求項6の発明の廃棄物処理方法は、好気発酵乾燥工程で、外部から空気が導入され、また、外部に空気が排出されて負圧に維持される好気発酵乾燥設備の室内で廃棄物を好気発酵させて乾燥し、排気調節工程で、前記廃棄物を好気発酵している前記好気発酵乾燥設備から排出された空気の湿気を低下させ、脱臭工程で、前記排気調節工程で調湿された空気を好気性微生物が含まれるバイオフィルタにより生物脱臭して外部に排気するものであり、前記好気発酵乾燥工程では、前記好気発酵乾燥設備の前記室内から廃水を回収し、濾過したのち、前記好気発酵乾燥設備の前記室内で前記好気発酵している前記廃棄物に対して散水し、前記脱臭工程では、前記バイオフィルタに散水すると共に、前記散水の余剰水を回収して前記散水に再使用するものである。
【0018】
上記好気発酵乾燥工程は、換気可能とするも負圧に維持されて臭気の漏れを防止した気密な室内、例えば、室外の空気を取り入れ内部の空気を排出する換気構造が取り入れられコンクリート等で気密な空間を画成したハウジング室内で廃棄物を好気発酵し、その発酵熱で乾燥させるものである。好ましくは、廃棄物に空気を供給する送風によって廃棄物の好気発酵及び乾燥の進行を促進する。
そして、上記好気発酵乾燥工程では、好気発酵させている前記廃棄物から染み出た廃水(浸出液)を回収し、濾過したのち、前記廃棄物に対し散水するものである。即ち、好気発酵させている前記廃棄物から染み出た浸出液や散水の余剰水を回収し、それに含まれた異物をフィルタで除去したのち、好気発酵させている前記廃棄物に散水するものである。
なお、上記廃棄物とは、家庭や事業所で排出された生ごみや紙屑等の燃やせるごみである家庭系一般廃棄物や事務系廃棄物、産業廃棄物としての食品廃棄物、動食物性残渣等の廃棄物である。
【0019】
上記排気調節工程は、前記被好気発酵処理物を好気発酵している前記室内から排出された空気と、当該空気よりも相対的湿度が低い空気との混合により、前記被好気発酵処理物を好気発酵している前記室内から排出された空気の湿気を低下させて調湿する工程であり、その混合された調湿空気が前記生物脱臭工程に供されるものである。
【0020】
上記脱臭工程は、好気性微生物を付着した木材チップ等の担体または好気性微生物を含んだ土壌等からなるバイオフィルタに対し前記被好気発酵処理物を好気発酵している室内の空気を通風することでバイオフィルタに含まれる好気性微生物によって分解脱臭する工程である。そして、この脱臭工程では、前記バイオフィルタに対しに散水により水分を供給すると共に、前記散水の余剰水を回収して、前記散水に再使用している。
【0021】
請求項7の発明の廃棄物処理方法の前記好気発酵乾燥工程では、前記廃棄物を好気発酵乾燥させている前記室内の空気を上方から吸気し、前記吸気した空気を前記室内の下方から送風して循環させると共に、前記循環させる空気を前記室内に外部から導入する空気と合流し、前記室内の下方に送風するものである。
【0022】
請求項8の発明の廃棄物処理方法の前記好気発酵乾燥工程では、前記廃棄物を好気発酵させている前記室内に導入される外部の空気は、前記室内を格納した建屋内の空気としたものであり、外気ではなく、外気温よりも温度変化を少なくできる建屋内の空気を前記廃棄物が好気発酵されている室内に取り入れることで、外気よりも温度変化の少ない空気を取り入れるものである。なお、上記格納とは、前記室内の全体が格納されていることまでを要求するものではなく、一部であってもよく、前記室内の搬入搬出口が建屋内に存在し、建屋と連続して設けられていればよい。
【0023】
請求項9の発明の廃棄物処理プラントの前記エアプレナム室は、前記廃棄物を好気発酵させている前記室内を格納した建屋内の空気の取り入れによって、前記廃棄物を好気発酵させている前記室内から排出された空気の湿気を低下させるものであり、前記廃棄物を好気発酵させている前記室内から排出された空気よりも通常は湿気の低い建屋内の空気と、前記廃棄物を好気発酵させている前記室内から排出された空気との混合によって、前記廃棄物を好気発酵させている前記室内から排出された空気の湿気を低下させるものである。また、外気ではなく、外気温よりも温度変化を少なくできる建屋内の空気を取り入れることで、外気よりも温度変化の少ない空気を取り入れるものである。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明に係る廃棄物処理プラントによれば、外部から空気が導入され、また、外部に空気が排出されて負圧に維持される室内で廃棄物を好気発酵させて乾燥する好気発酵乾燥設備と、前記好気発酵乾燥設備から排出された空気が入力され、当該空気の湿気を低下させて外部に出力されるエアプレナム室と、前記エアプレナム室から出力した空気を好気性微生物が含まれるバイオフィルタによって生物脱臭して外部に排気する脱臭設備と、前記好気発酵乾燥設備の廃水を回収して濾過した後、前記好気発酵乾燥設備で好気発酵させている前記廃棄物に散水する第1の循環水設備と、前記脱臭設備のバイオフィルタに散水すると共に、前記散水の余剰水を回収して、前記バイオフィルタの散水に再使用する第2の循環水設備とを具備し、第1の循環水設備によって、廃棄物を好気発酵し乾燥させる好気発酵設備の廃水を回収して廃棄物の散水に循環させており、また、第2の循環水設備によって、生物脱臭設備のバイオフィルタに散水した余剰水も回収してバイオフィルタの散水に循環させており、散水に使用する外部からの水の使用量を抑えることが可能である。
【0025】
特に、請求項1の発明の廃棄物処理プラントによれば、好気発酵乾燥設備から排出された空気が、安価に設置できるエアプレナム室で好気発酵乾燥設備から排出される空気よりも相対的湿度が低い乾いた空気と混合されて湿気(湿度)を低下させてから、脱臭設備に入力され、外部に排気されるから、好気発酵乾燥設備から排気された水蒸気が脱臭設備内で凝縮し排気水として排出され難く、外部に排気する水分量を多くできる。よって、脱臭設備や第2の循環水設備内に水分が過剰に溜まり難いものである。したがって、廃棄物の処理量が多くても、水分が過剰に貯留し難い構成であり、排水の浄化設備の不要化を可能とする。即ち、過剰な水分の貯留を防止し低コスト化を図ることができる。
【0026】
また、請求項2の発明に係る廃棄物処理プラントによれば、第1の循環水設備は、好気発酵設備から回収した水が収容され、また、外部からの水を補充できる第1の貯水タンク有し、前記第1の貯水タンクの水が前記廃棄物の前記散水に供給され、第2の循環水設備は、脱臭設備から回収した水が収容され、また、外部からの水を補充できる第2の貯水タンクを有し、前記第2の貯水タンクの水が前記バイオフィルタの前記散水に供給される。
【0027】
したがって、第1の貯水タンクや第2の貯水タンクで貯水し、それら貯水タンクの水が少なくなってきたとき、或いは欠乏したときに外部から水を補充すればよいから、請求項1に記載の効果に加え、外部からの水の補充を最小限に抑え、過剰な水分の貯留をより防止できる。
【0028】
更に、請求項3の発明に係る廃棄物処理プラントは、前記好気発酵乾燥設備の室内の空気を上方から吸気し、吸気した空気を前記室内の下方から送風して循環させる空気循環部を有し、前記循環させる空気を前記室内に外部から導入する空気と混合し、前記室内の下方から送風するものである。
【0029】
したがって、請求項3の発明の廃棄物処理プラントによれば、空気循環部により、好気発酵乾燥設備の室内に堆積した廃棄物において下方から上方に向かって空気が流れる空気の通り道が形成され、廃棄物を攪拌することなく廃棄物に対する空気供給の均等化によって廃棄物の好気発酵及び乾燥の処理効率を良くできる。
特に、好気発酵乾燥設備の室内では廃棄物が好気性微生物により好気発酵され、その発酵熱及び通気によって水分が蒸発することにより湿気が上昇し、室内の上方から吸気した空気は湿気が多くなるのに対し、その循環させる空気を、外部の空気と混合することで、室内に導入する空気は相対的に湿気が少ない空気となる。即ち、空気循環部で循環させる室内の上方から吸気した空気を外部の空気と合流して室内の下方から送風することで、室内の上方から吸気した空気よりも相対的湿度が低下した空気が、室内の下方から上方に向かって廃棄物を通過することになる。よって、廃棄物を通気する空気によって、廃棄物の水分を気化させやすくできる。これより廃棄物の乾燥効率、水分の蒸発量を向上させることができ、廃棄物の処理量が多くても水分を蒸発させやすい構成である。故に、請求項1または請求項2に記載の効果に加え、第1の循環水設備での過剰な水分の貯留を防止できる。
【0030】
請求項4の発明に係る廃棄物処理プラントによれば、前記好気発酵乾燥設備の室内に導入される外部の空気は、前記好気発酵乾燥設備を格納した建屋内の空気であるから、外気温の影響を受け難いものである。即ち、冬場等の外気温が低いときでも、好気発酵乾燥設備の室内に冷気が導入されることなく、水分の気化効率の低下を防止できる。よって、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加え、第1の循環水設備での過剰な水分の貯留をより防止できる。
【0031】
請求項5の発明に係る廃棄物処理プラントによれば、前記エアプレナム室は、前記好気発酵乾燥設備を格納した建屋内の空気の取り入れによって、前記好気発酵乾燥設備から排出された空気の湿気を低下させるから、外気温の影響を受け難いものである。即ち、冬場等の外気温が低いときでも、エアプレナム室の室内に冷気が導入されることなく、排気水の排出を防止でき、生物脱臭設備から放出させる水分量の低下を防止できる。よって、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加え、第2の循環水設備での過剰な水分の貯留をより防止できる。
【0032】
請求項6の発明に係る廃棄物処理方法は、好気発酵乾燥工程にて外部から空気が導入され、また、外部に空気が排出されて負圧に維持される室内で廃棄物を好気発酵させて乾燥し、排気調節工程にて前記廃棄物を好気発酵している前記室内から排出された空気の湿気を低下させ、脱臭工程にて前記排気調節工程で調湿した空気を好気性微生物が含まれるバイオフィルタにより生物脱臭して外部に排気するものであり、前記好気発酵乾燥工程では、前記室内から廃水を回収し、濾過したのち、前記室内で前記好気発酵している前記廃棄物に散水し、前記脱臭工程では、前記バイオフィルタに散水し、前記散水の余剰水を回収して前記バイオフィルの散水に再使用するから、廃棄物やバイオフィルタに散水に使用する外部からの水の使用量を抑えることが可能である。
【0033】
特に、請求項6の発明の廃棄物処理方法によれば、廃棄物を好気発酵させている室内から排出された空気が、当該空気よりも相対的湿度が低い乾いた空気と混合されて湿気(湿度)を低下させてから、脱臭に供され、外部に排気されるから、廃棄物を好気発酵させている室内から排気された水蒸気が脱臭を行う脱臭設備内で凝縮し排気水として排出され難く、外部に排気する水分量を多くできる。よって、脱臭を行う脱臭設備やそこで散水を循環させている設備内に水分が過剰に溜まり難いものである。したがって、廃棄物の処理量が多くても、水分が過剰に貯留し難い構成であり、排水の浄化設備の不要化を可能とする。即ち、過剰な水分の貯留を防止し低コスト化を図ることができる。
【0034】
請求項7の発明に係る廃棄物処理方法によれば、好気発酵乾燥工程では、前記廃棄物を好気発酵乾燥させている室内の空気を上方から吸気し、吸気した空気を前記室内の下方から送風して循環させると共に、前記循環させる空気を前記外部の空気と混合し、前記室内の下方から送風するから、室内で好気発酵乾燥させている廃棄物において下方から上方に向かって空気が流れる空気の通り道が形成され、廃棄物を攪拌することなく廃棄物に対する空気供給の均等化によって廃棄物の好気発酵及び乾燥の処理効率を良くできる。
特に、廃棄物を好気発酵乾燥させている室内では廃棄物が好気性微生物により好気発酵され、その発酵熱及び通気によって水分が蒸発することにより湿気が上昇し、室内の上方から吸気した空気は湿気が多くなるのに対し、その循環させる空気を、外部の空気と混合することで、室内に導入する空気は相対的に湿気が少ない空気となる。即ち、室内の上方から吸気した循環させる空気を外部の空気と合流して室内の下方から送風することで、室内の上方から吸気した空気よりも相対的湿度が低下した空気が、室内の下方から上方に向かって廃棄物を通過することになる。よって、廃棄物を通気する空気によって、廃棄物の水分を気化させやすくできる。これより廃棄物の乾燥効率、水分の蒸発量を向上させることができ、廃棄物の処理量が多くても水分を蒸発させやすい構成である。故に、請求項6に記載の効果に加え、廃棄物への散水を循環させている設備内に過剰に水分が貯留するのを防止できる。
【0035】
請求項8の発明に係る廃棄物処理方法によれば、好気発酵乾燥工程では、前記廃棄物を好気発酵乾燥させている室内に導入される外部の空気は、前記廃棄物を好気発酵乾燥させている室内を格納した建屋内の空気であるから、外気温の影響を受け難いものである。即ち、冬場等の外気温が低いときでも、廃棄物を好気発酵乾燥させている室内に冷気が導入されることなく、水分の気化効率の低下を防止できる。よって、請求項6または請求項7に記載の効果に加え、廃棄物への散水を循環させている設備での過剰な水分の貯留をより防止できる。
【0036】
請求項9の発明に係る廃棄物処理方法によれば、前記排気調節工程では、前記廃棄物を好気発酵乾燥させている室内を格納した建屋内の空気の取り入れによって、前記廃棄物を好気発酵乾燥させている室内から排出された空気の湿気を低下させるから、外気温の影響を受け難いものである。即ち、冬場等の外気温が低いときでも、冷気が導入されることなく、排気水の排出を防止でき、生物脱臭を行う生物脱臭設備から放出させる水分量の低下を防止できる。よって、請求項6乃至請求項8の何れか1つに記載の効果に加え、生物脱臭を行う生物脱臭設備やバイオフィルタへの散水を循環させている設備内に過剰に水分が貯留するのをより防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は本発明の実施の形態に係る廃棄物処理プラントにおける廃棄物処理工程のフローチャートである。
【
図2】
図2は本発明の実施の形態に係る廃棄物処理プラントにおける廃棄物処理の概念図である。
【
図3】
図3は本発明の実施の形態に係る廃棄物処理プラントにおける好気発酵処理後の後処理工程の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
【0039】
まず、本発明の実施の形態の廃棄物処理プラントにおける廃棄物処理の全体の概略流れを、主に
図1のフローチャートを参照して説明する。本実施の形態1の廃棄物処理は、廃棄物1を固形燃料や堆肥(コンポスト)等にリサイクル(再資源化)する廃棄物リサイクルに適用されるものである。
家庭内または事業所で生ゴミ、紙屑等の燃やせるごみとして排出され、塵収集車11で収集、搬送されてきた家庭系または事業系一般廃棄物や、産業廃棄物としての食品廃棄物や動植物性残渣等の廃棄物1が建屋110内に入ると、まず、ステップS1の破砕工程で破砕機14によって廃棄物1の生ごみ、紙、プラスチック類等を収容していた塵袋が破られる。また、粗破砕や押し潰し等によって減容化される。
破袋された廃棄物1は、続くステップS2の嵩密度調節工程で、廃棄物1の堆積物内に通気の空隙を多く形成するために嵩増しをする木材チップ等の嵩密度調節材2及び好気性微生物が付着した発酵残渣細粒物等の微生物付着体3と混合され、所定の荷重を加えたときの嵩密度が所定の範囲内となるように調節され被好気発酵処理物100を形成する。
【0040】
次に、所定の嵩密度に調節された被発酵処理物100は、建屋110内に全体あるいは一部が格納された好気発酵乾燥設備における好気発酵乾燥装置120のコンクリート製のハウジング121内に積み込まれ、そこで、ステップ3の発酵乾燥工程として所定の日数、好気発酵され、また、乾燥される。
このとき、発酵乾燥装置120では、ハウジング121内の被好気発酵処理物100に散水(噴霧)を行っている。特に、本実施の形態では、建屋110内やハウジング121内に排出された廃水、即ち、廃棄物1や被好気発酵処理物100から染み出た廃水等を回収し、フィルタ172で濾過し、その濾過した水をハウジング121内への散水(噴霧)に使用している。更に、好気発酵乾燥装置120のハウジング121では、空気(臭気)の排出と建屋110内の新鮮な空気の取り入れとの入れ替えを行うことによって酸素を補充し、また、ハウジング121内を所定の温度及び負の気圧に制御している。
【0041】
ここで、本実施の形態では、ハウジング121から排出された湿気を多く含む空気(臭気)は、ステップS5の排気調節工程として、エアプレナム室130に導入され、そこで、ハウジング121の室外の建屋110内から取り入れた導入空気と混合された後、建屋110の屋外に設置された脱臭設備の生物脱臭装置140に送られる。
そして、ステップS70の生物脱臭工程として、エアプレナム室130からの混合空気は、それに含まれていた臭気成分が生物脱臭装置140にて、好気性微生物が付着した木材チップ等の担体を堆積してなるバイオフィルタ142を通過することでバイオフィルタ172内の好気性微生物によって分解脱臭され、外部、即ち、屋外の大気中へと排気(放出)される。
このとき、生物脱臭装置140では、バイオフィルタ172に対し散水を行っており、散水の余剰水は回収し、再び散水として再利用している。
【0042】
一方、好気発酵乾燥装置120で好気発酵、乾燥を終えた好気発酵乾燥処理物200は、後処理工程としてステップS4の選別工程で、磁気選別等によって不燃物230及び赤外線選別等によって塩化ビニル240を除去し、また、例えば、寸法や重力(比重)等の基準で、固形燃料原料210及び/または堆肥原料220と、上述したステップS2の嵩密度調節工程で混合した木材チップ等の嵩密度調節材2と、好気性微生物が付着した微生物付着体3として使用される好気発酵残渣細粒物とに分別される。
【0043】
こうして、本実施の形態の廃棄物処理プラントは、生ごみ、プラスチック、紙、布等が混在している廃棄物1を好気発酵し乾燥させることにより、固形燃料原料21や堆肥原料22等としてリサイクルするものである。即ち、プラスチック、紙、布等が混在している廃棄物1を好気発酵、乾燥させることにより固形燃料原料21や堆肥原料22を生成するものである。
【0044】
特に、本実施の形態の廃棄物処理プラントでは、建屋110内やハウジング121内に排出された廃水を回収し、フィルタ172で濾過したのちハウジング121内への散水(噴霧)に再利用し、また、生物脱臭装置140のバイオフィルタ172の散水の水も、余剰水を回収して再利用しており、外部へ廃水を排出しない構造である。
そして、本実施の形態の廃棄物処理プラントでは、好気乾燥発酵設備の好気乾燥発酵装置120から排出した空気をエアプレナム室130で建屋110内から取り入れた空気と混合する排気調節をしてから生物脱臭装置140に送り込まれる構造であり、好気乾燥発酵設備の好気乾燥発酵装置120から排出した高湿気が生物脱臭装置140内で排気水として排出されるのを防止して、生物脱臭装置140から排気される水分量を高めて、水分が貯留し難い構造としている。
【0045】
次に、本実施の形態の廃棄物処理プラントの全体構成及び廃棄物処理の全体の流れの詳細を、
図2及び
図3を参照して説明する。
塵収集車11で集められた家庭系または事業系一般廃棄物としての燃やせるごみや、産業廃棄物としての食品廃棄物、動植物性残渣等の廃棄物1は、廃棄物処理プラントの建屋110内の受入ヤードY1に下され、建屋110内に受け入れられる。そこから、ホイールローダー12等が中継し、ベルトコンベア13等を介して破砕機14のホッパーに投入される。この破砕機14では、生ゴミ、プラスチック、紙、布等を収容した塵袋の破袋を行う。即ち、破砕機14は外力を加えることにより少なくとも破袋するもので、具体的には、低速回転する破砕機14では、受入れ廃棄物1に対して、多段減容、均一化と破袋を行うという破袋機能及び押し潰し機能を有する。よって、この破砕機14で処理した結果の廃棄物1は、受け入れられた廃棄物1が破袋され、減容化されたものである。なお、本発明を実施する場合には、破砕機14は、少なくとも破袋機能があればよく、その破砕方式も、例えば、衝撃、せん断力、回転力、圧縮力等の何れであってもよい。
【0046】
破砕機14で破袋された廃棄物1は、ホイールローダー12等が中継し建屋110内の廃棄物ストックヤードY2に収集する。廃棄物ストックヤードY2に収集した廃棄物1は、再度ホイールローダー12等が中継し、混合作業部の混合機15のホッパーに投入される。混合機15では、投入された所定量の廃棄物1に加え、木材チップ等の嵩密度調節材2や、好気発酵残渣細粒物等の好気性微生物が付着されている微生物付着体3が所定量投入される。
そして、本実施の形態では、好気発酵乾燥設備としての好気発酵乾燥装置120のハウジング121内に蓄える前に、混合機15で混合した混合物を建屋110内の混合作業部の嵩密度調節ヤードY3に収集し、そこで、ホイールローダー等によってそれら混合物が均一に混合されるように、必要回数混ぜ合わせたのち、上からプラスチック製、木製、または金属製のパレット17等により荷重をかけ、2000kg/m2の荷重をかけたときの嵩密度が0.40kg/m3以上、0.60kg/m3以下の範囲内、より好ましくは、0.41kg/m3以上、0.59kg/m3以下の範囲内、更に好ましくは、0.42kg/m3以上、0.58kg/m3以下の範囲内となるように嵩密度を調節し、所定の嵩密度とした被好気発酵処理物100を作成する。
【0047】
ここで、破袋された廃棄物1に混合する嵩密度調節材2としては、好気発酵させる被好気発酵処理物100の堆積物を嵩増しして、堆積物内に通気の空隙を形成できる所定寸法の有機材料であればよく、好ましくは、吸水性、吸湿性があり微生物を担持できる有機材料、例えば、木材チップ等の木質資材や、好気発酵乾燥処理物200から選別した固形燃料原料210を固形燃料化してなる固形燃料のRDF(Refuse Derived Fuel)やRPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)等が使用できる。
木材チップや固形燃料は低コストであり、好気性微生物を担持しやすいことで繰り返しの再使用で効率の良い好気発酵処理を促進できる。よって、低コストで好気発酵の促進を可能とする。特に、固形燃料のRDFでは、生ゴミの分解物の含有量が多いことで好気性微生物の好気性発酵による発熱(発酵熱)が期待でき、被好気発酵処理物100の好気発酵、乾燥の進行の促進効果を期待できる。
【0048】
こうした被好気発酵処理物100の堆積物内に所定の空隙を形成するための木材チップや固形燃料等の嵩密度調節材2は、例えば、直径が20mm以上、50mm未満、より好ましくは、20mm以上、48mm以下、更に好ましくは、22mm以上、48mm以下の範囲内で、長さが20mm以上、250mm以下、より好ましくは、50mm以上、230mm以下、更に好ましは、80mm以上、200mm以下の範囲内が好適である。寸法が大きすぎるものでは、選択残留物10A及びメタン発酵残渣110の処理量が少なくなるから不経済な運転となったり、また均等な空隙を確保できず部分的な発酵不足が生じやすくなったりする。一方、寸法が小さすぎるものでは、堆積物の下部で所定の空隙を確保できずに通気不足となりやすいことで処理速度が遅くなり、発酵及び乾燥の処理効率が低下する。寸法が当該範囲内であれば、堆積物の下部であっても所定の空隙を確保し酸欠不足を防止できて効率的な発酵、乾燥処理ができ、かつ、経済的な運転となる。よって、能率の良い処理を可能とする。
【0049】
また、好気性微生物を付着した微生物付着体3を混合することで好気発酵の処理効率を高めている。この微生物付着体3としては、好気発酵済みの好気発酵乾燥処理物200であれば好気性微生物が多く付着していることから、好気発酵乾燥処理物200から固形燃料原料210や堆肥原料220を選別したときの残りの好気発酵残渣細粒物や木材チップ等の嵩密度調節材2を微生物付着体3として戻して使用することができる。したがって、好気発酵処理された後の木材チップ等の嵩密度調節材2は微生物付着体3としても機能する。勿論、好気性微生物を付着した別の担体を使用してもよい。
【0050】
こうして、嵩密度調節ヤードY3において、廃棄物1、嵩密度調節材2及び微生物付着体3を混合しパレット17等により所定の荷重をかけた結果としての、2000kg/m2の荷重をかけたときの嵩密度で0.4kg/m3以上、0.6kg/m3以下の範囲内の被好気発酵処理物100を作成する。そして、その所定の嵩密度に調節した被好気発酵処理物100を好気発酵乾燥装置120のハウジング121内に移送し、そこで好気発酵及び乾燥処理を行う。
【0051】
このように、2000kg/m2の荷重をかけたときの嵩密度で0.4kg/m3以上、0.6kg/m3以下の範囲内の嵩密度に調節された被好気発酵処理物100によれば、通気のための空隙量が十分に確保されるから、難分解性の不純物が多少混在していても、好気性微生物を活発に動作させることができる。
即ち、好気発酵させる被好気発酵処理物100の嵩密度が、2000kg/m2の荷重をかけたときの嵩密度で0.4kg/m3以上、0.6kg/m3以下の範囲内であれば、予め所定荷重をかけた嵩密度の調節により、また、予め所定荷重をかけたときの原料の水分過剰部分の排出により、後述するように好気発酵乾燥処理装置120のハウジング121内の天井側からの散水による水滴の重さが加わっても、また、堆積物のうちの上部の荷重がかかる下部であっても、嵩密度の変化が生じ難く、堆積した被好気発酵処理物100内の通気を可能とする空隙量が確保され、通気不足による酸欠が防止される。したがって、攪拌しなくとも均等に酸素が供給されることで、嫌気性細菌の動きが抑えられ、被好気発酵処理物100の全体を均等に好気性微生物による好気性発酵を優勢に進行させ能率良く好気発酵及び乾燥させることができ、難分解性の不純物が多少混在していても、発酵不足が防止され短時間で好気発酵及び乾燥の処理が可能となる。
【0052】
また、本実施の形態では、後述するように空気循環部163によってハウジング121の上部から室内空気を吸気すると共に、ハウジング121内に堆積した被好気発酵処理物100に対し下部から空気を噴出させ、下部から上部に向かって空気流を形成していることで、被好気発酵処理物100を所定の嵩密度に調節することにより形成した内部の空隙を通過する空気流によって、酸素供給効率が高められることで好気発酵の処理効率が高められ、また乾燥の処理効率が高められる。更に、空気流によって微生物の均一な分布を可能とすることでも被好気発酵処理物100の全体の均等な好気発酵を可能とする。
【0053】
次に、このようにして建屋110内の嵩密度調節ヤードY3で所定の嵩密度に調節された被好気発酵処理物100は、建屋110内に搬入搬出口を有し建屋110と連続して設置された発酵乾燥装置120のハウジング121の室内にホイールローダー等によって搬入され、そこで好気発酵及び乾燥処理される。
【0054】
ここで、発酵乾燥装置120のハウジング121は、例えば、コンクリート製で形成され、室内と室外の空気流を結果的に遮断できる程度の封止状態を維持して、室外温度に一致しない程度に室内温度を制御自在とする構成であればよい。
ハウジング121は、通常、搬入搬出口がその室内と室外の空気流を遮断できる扉で開閉自在とされる。なお、仮に、搬入搬出口と扉との間に隙間があっても、室内側が負圧で室内から室外方向の空気流が防止され、室外から室内方向の空気流であれば許容される。扉は被好気発酵処理物100の積み込み及び好気発酵乾燥処理物200の積み出し時にのみ開けられ、処理工程時には常に閉じられた状態にある。
発酵乾燥装置120のハウジング121の台数は、複数台が好ましいが1台であってもよく、複数台の場合には、バッチ処理によって運転され、稼働日数及び処理量から、その容量及び台数を決定できる。なお、ハウジング121の全体形状は、特に問われず、底面及び両側面と天井面を形成する断面四角形の筒状であってもよいし、ドーム型の筒状であってもよい。
【0055】
本実施の形態の発酵乾燥装置120では、ハウジング121の上部から室内空気をファン(ブロア)165で吸気し、その空気を圧縮してハウジング121の下面から噴出することでハウジング121内の空気を循環させる空気循環部163を形成し、ハウジング121内に積み込まれた被好気発酵処理物100に対し通気を行っている。
また、ハウジング121の室内空気を排出する空気排出部162と、ハウジング121の室内にハウジング121室外の建屋110内の空気を導入する空気導入部161が形成されており、ハウジング121の室内を常に負圧に維持する通気を行っている。
【0056】
本実施の形態の発酵乾燥装置120においては、ハウジング121室外の建屋110内の空気をハウジング121室内に取り込む空気導入部161のハウジング121室内への入力と、ハウジング121の上部から吸気した空気を下部から噴出して循環させる空気循環部163のハウジング121室内への入力とをまとめており、それら空気導入部161及び空気循環部163の合流した経路にファン(ブロア)165を配設し、ファン165の吸い込みによってハウジング121の上部から出力した空気とハウジング121室外の建屋110内から取り入れた空気とをまとめてハウジング121の下面から噴出させている。
【0057】
特に、本実施の形態の発酵乾燥装置120では、ファン165の入力側(吸気側)であって空気導入部161及び空気循環部163の合流前の経路で、空気導入部161においてハウジング121室外の建屋110内から導入する空気量を調節できるダンパ(流量調節のバルブ)166aが配設されている。また、空気導入部161の合流前の経路で空気循環部163にもハウジング121の上部から吸気する空気量を調節するダンパ166bが配設されている。これより、空気導入部161による新鮮な空気の入力と、空気循環部163による循環させる空気の入力との切替えを行うことなく、ダンパ166a及びダンパ166bによって両者の入力量を個別に調節することでハウジング121室内の温度、酸素量及び負圧に維持する圧力の調節を可能とする。
【0058】
したがって、本実施の形態の発酵乾燥装置120では、空気導入部161及び空気循環部163の合流経路に配設したファン165の駆動によって、空気循環部163においてハウジング121の上部から室内の空気が吸気され、また、空気導入部161においてハウジング121の室外の建屋110内から空気が吸気されて、空気導入部161及び空気循環部163の合流経路でそれらハウジング125から出力した空気と、ハウジング121の室外の建屋110内から取り込まれた空気とが混合され、それがファン165から吹き出され圧縮空気としてハウジング121の下面から噴出される。
即ち、ハウジング121の下面から噴出させてハウジング121内に入力する圧縮空気は、空気循環部163におけるハウジング121の上部から吸気した空気と、空気導入部161におけるハウジング121室外の建屋110内から取り込んだ空気とが混合された空気としている。
こうして、ハウジング121の下面から、空気導入部161におけるハウジング121の室外の建屋110内から取り込んだ新鮮な空気がハウジング121に供給されることで、ハウジング121内に酸素が補充される。
【0059】
そして、本実施の形態では、このように空気循環部163におけるハウジング121の上部から吸気した空気と、空気導入部161におけるハウジング121室外の建屋110内から取り込んだ導入空気との混合空気をハウジング121室内の下部から被好気発酵処理物100に対し送風し供給していることで、その混合空気では、ハウジング121の上部から吸気した空気よりも相対的に湿気が低下しているから、被好気発酵処理物100内を上から下に通過する際に被好気発酵処理物100内の水分を蒸発させやすいものとなる。
【0060】
即ち、空気循環部163においてハウジング121室内の上部から吸気した空気は、被好気発酵処理物100からの水分や散水による水分が蒸発した湿気を多く含む一方で、通常、ハウジング121室外の建屋110内から取り込んだ空気は相対的に湿気が少ないものとなるから、両者を混合してハウジング121の下面から噴出し、被好気発酵処理物100に通気させる空気は、ハウジング121の上部から出力した空気よりも相対的に湿度が低下したものになる。よって、被好気発酵処理物100に通気させる空気により被好気発酵処理物100中の水分を乾燥させる乾燥効率を高めることが可能である。
【0061】
更に、通常、臭気対策から通気に乏しい構造とする建屋110では、冬場であっても外気温の影響を受けにくいものとなるところ、空気導入部161では、外気ではなく建屋110内の空気を取り込むことで、冬場であっても空気導入部161からの導入空気の温度低下が抑えられ、好気性微生物への負荷も少なく、好気発酵及び乾燥の処理効率の低下を抑えることができる。即ち、外気温の変化に大きく影響されずに空気導入部161からの導入空気の温度変化が抑えられることで、好気性微生物への負荷も少なく、好気発酵及び乾燥の処理効率を維持することが可能である。
【0062】
また、本実施の形態では、ファン165が動作した状態では、空気循環部163及び空気導入部161の空気流は停止することなく、空気導入部161により被好気発酵処理物100に常に酸素が供給されることで、好気性微生物による被好気発酵処理物100の好気的発酵及び乾燥の処理効率が高いものとなる。なお、被好気発酵処理物100の搬入時及び好気発酵乾燥処理物200の搬出時を含めファン165を常に動作させることにより、ハウジング121内の吸引及び排気口の目詰まりを防止することもできる。必要に応じファン165をインバータ制御による速度制御することによって風量を調節してもよいし、回転速度を落として省エネルギ運転を行うことも可能である。バッチ処理する複数のハウジング121を設ける場合には、ファン165はハウジング121の1台毎の配設が好ましい。
更に、本実施の形態の発酵乾燥装置120では、ハウジング121内の空気を循環させる空気循環部163のハウジング121内への入力と、建屋110内からの空気を導入する空気導入部161のハウジング121内への入力とをまとめているから、部品点数を少なく安価に構成することができる。
【0063】
そして、本実施の形態の発酵乾燥装置120では、ハウジング121の室内空気を外部に排出する空気排出部162が形成され、また、そこにハウジング121内から排出する空気量を調節するダンパ163cが配設されている。したがって、ダンパ166a、166b、166cによって空気排出部162の外部に排気する空気量(m3/min)と空気導入部161の建屋110内から導入する空気量(m3/min)を制御することによって、ハウジング121の室内を負圧に維持してハウジング121の室内の臭気が室外に漏れ出さないようにし、また、ハウジング121の室内の温度、酸素量等の調節を可能としている。
【0064】
即ち、本実施の形態の発酵乾燥装置120においては、ハウジング121室外の建屋110内からハウジング121室内に導入する空気量と、ハウジング121の上部から吸気してハウジング121の下部に戻す循環の空気量と、ハウジング121から外部に排気する空気量とをダンパ166a、166b、166cでそれぞれ個別に調節できるようにし、ハウジング121室内が正圧にならないようにし、つまり、室内側が負圧で室内から室外方向の空気流を防止してハウジング121室外に室内の臭気が出ないようにし、また、ハウジング121室内を好気性微生物の生育に適した温度及び酸素環境や乾燥を促進させる通風量に制御している。
なお、後述するように、ハウジング121室内の空気を排出する空気排出部162はエアプレナム室130に繋がっており、そこで、ハウジング121室外の建屋内110からの導入空気と混合されたのち、生物脱臭装置140で脱臭処理され、外気(大気)へと排出される。
【0065】
また、本実施の形態の発酵乾燥装置120では、ハウジング121の上部からハウジング121の室内に水を噴霧している。これにより、被好気発酵処理物100を好気性発酵する好気性微生物の活性、生育に必要な水分を均一に付加できるから、好気発酵の処理効率を高めることができる。
【0066】
特に、本実施の形態では、ハウジング121内から排出される廃水、即ち、ハウジング121内に積み込まれた被好気発酵処理物100中の廃棄物1から浸出した浸出液や散水の余剰水、更には、建屋110内のハウジング121以外の他の場所で排出(生成)される廃水、例えば、廃棄物1から浸出した浸出液や設備の洗浄水等の廃水、それらを回収、収集し、バイオフィルタ172で異物等を濾過した後、ハウジング121の室内に噴霧する散水に使用している。
【0067】
即ち、本実施の形態では、ハウジング121から排出される廃水、更には、ハウジング121以外の建屋110内から排出される廃水を回収し、それらをハウジング121室内に積み込んだ被好気発酵処理物100に噴霧する第1の循環水設備171を形成している。
【0068】
ハウジング121では、その底部に排水溝を形成し、そこから被好気発酵処理物100に含まれていた水や噴霧した余剰水の廃水がハウジング121室外に排出されて回収され、廃水に含まれている異物等をフィルタ172で取り除いたのち、その濾過した水をハウジング121室内に戻し、室内の上部からハウジング121室内を加湿する散水として噴霧する。
また、ハウジング121室外の建屋110内でも、廃水を回収する集水構造を設け、ハウジング121から回収した廃水と同様に、その回収した廃水からフィルタ172で異物等を取り除いた後、その濾過した水をハウジング121の室内の上部からハウジング121室内を加湿する散水として噴霧する。
つまり、本実施の形態の第1の循環水設備171では、ハウジング121から排出される廃水及びハウジング121とは別途の場所から排出される廃水をも回収し、それをフィルタ172で濾過したのち、ハウジング121の天井側に設けた散水ノズルでハウジング121室内に水滴として噴霧する。
【0069】
この第1の循環水設備171には、ハウジング121から排出される廃水やハウジング121以外の場所で排出される廃水がまとめられる貯水タンク173Aと、貯水タンク173Aからポンプ等で加圧して出力した水を濾過するフィルタ172と、フィルタ172を通過した清浄水を貯留する貯水タンク173Bとが配設されており、貯水タンク173Bにまとめられた水がポンプ等で加圧されて、ハウジング121室内に設けた噴霧ノズルに圧送され、噴霧ノズルから噴霧される。なお、フィルタ172は、廃水に含まれているごみ、砂、微粒子等を除去するものであればよく、好気性微生物は通してよいものである。
また、本実施の形態では、後述する生物脱臭装置140に散水した水を回収して再利用する第2の循環水設備181からの水もバルブ等を介しての第1の循環水設備171の貯水タンク173Aに導入できるように供給路174を設けている。更に、工業用水や飲用水等の外部からの水もバルブ等を介して貯水タンク173Bに導入できるようにしている。
【0070】
したがって、ハウジング121から排出された水と、ハウジング121以外の建屋110内等の場所で生成した水とが、貯水タンク173Aでまとめられる。そして、貯水タンク173Aに収集した水は、ポンプ等によって、フィルタ172に圧送され、そこで、異物等が取り除かれたのち、貯水タンク173Bに入力される。そして、貯水タンク173Bに収集した水が、ポンプ等で加圧しハウジング121の室内に設けた噴霧ノズルに圧送され、噴霧ノズルから噴霧される。
【0071】
こうして、本実施の形態の廃棄物処理プラントでは、被好気発酵処理物100に含まれていた水分、またハウジング121室内に噴霧された水の余剰水も含め、ハウジング121室内に排出された廃水は、ハウジング121の底部に形成した排水溝からハウジング121室外に排出され、貯水タンク173A、フィルタ172、貯水タンク173Bを介して、散水として利用されることで、外部に排出しない構造である。更に、ハウジング121以外の場所で生成した廃水についても、それ回収し、それを被好気発酵処理物100への散水に利用し、外部に排出しない構造としている。
【0072】
また、本実施の形態の第1の循環水設備171では、貯水タンク173A、173Bを設けていることで、水分量の変動にも対応でき、貯水タンク173A、173B内の水が不足する場合に、第2の循環水設備181からの水や外部から水を補充することで、過剰な水分の貯留を防止してコストを抑えることができる。
【0073】
そして、このように第1の循環水設備171により、ハウジング121室内からの廃水を回収して、更には、ハウジング121以外の建屋110内から生じた廃水をも回収して、それをハウジング121室内に噴霧することで、好気発酵乾燥装置120のハウジング121室内で好気発酵させている被好気発酵処理物100に対し水分供給の均等化及び水分補給を可能とするから、好気発酵及び乾燥の偏在が防止され被好気発酵処理物100全体で好気発酵の均一化が可能で、好気発酵及び乾燥の効率的な処理を可能とする。
【0074】
特に、好気発酵乾燥装置120においてハウジング121室内で被好気発酵処理物100から染み出した廃水を外部に排出することなくフィルタ172で異物を除去したのち被好気発酵処理物100に散水し、また、その散水の余剰水も含めて廃水を回収し繰り返し散水に使用するものであり、ハウジング121内で生じた廃水は好気性微生物を含むから、それを水滴として噴霧する水にも、好気性微生物が含まれることで、被好気発酵処理物100に対して好気性微生物を均一に分布させて好気性発酵による処理効率を高めることができる。即ち、水滴の噴霧により、好気性微生物を上から下に移動させることにもなり、効率のよい好気発酵処理を可能とする。
【0075】
更に、ハウジング121室内からの廃水及びハウジング121以外の建屋110内から生じた廃水をも回収して散水に使用するから効率的な好気発酵処理のための好気性微生物に必要な水分を低コストでまかなうことができ、また、廃水を外部に排出しないものであるから排水のための浄化を不要化できる。
【0076】
なお、ハウジング121の排水溝に落下した水の排出は、所定量に収集されたタイミングでポンプ等で吸引し、貯水タンク173Aに集水してもよいし、排水が所定以上溜まったときに貯水タンク173A側に流れるようにしてもよい。また、ハウジング121の排水の構成部品とハウジング121室内に空気を入力する構成部品とを兼用させてもよい。即ち、第1の循環水設備171においてハウジング121の下部に設けた排水溝から排出された水を貯水タンク側に流す排水の管路と、空気導入部161や空気循環部163のハウジング121に導入する空気を上記管路を介して排水溝側から導入するものとしてもよい。この場合には、排水された水を吸引ポンプ等で貯水タンク173A側に流すときには、空気の導入を中止するソフトウエアの切り替えで行えばよいから、部品点数を少なくできる。勿論、別途で構成することも可能である。
【0077】
こうして、本実施の形態の好気発酵乾燥装置120では、被好気発酵処理物100が積み込まれたハウジング121室内に第1の循環水設備171によって水滴が噴霧され、また、空気導入部161によるハウジング121室外の建屋110内の空気の導入によって常に酸素が補充されることで、微生物付着体3を含んだ被好気発酵処理物100中の好気性微生物が活性化され、好気性微生物による被好気発酵処理物100の好気性発酵が進行する。
【0078】
特に、本実施の形態の好気発酵乾燥装置120では、空気排出部162によるハウジング121室内の空気を排気する排気量、空気導入部161によるハウジング121室外からの空気の導入量及び空気循環部163によるハウジング121室内を循環させる空気量の調節による温度、圧力、酸素量の制御によって、主に好気性微生物の活発化、生育に適した環境を維持することで効率的な好気性発酵処理を可能としている。そして、本実施の形態では、こうした好気発酵乾燥装置120の情報をコンピュータで管理し、制御している。例えば、ハウジング121の少なくとも室内温度及び室内圧力の情報や、ハウジング121室外の建屋110内の温度の情報や、空気排出部162のハウジング121室内から排出される空気の温度の情報や、第1の循環水設備171によりハウジング121内に噴霧する水温の情報等がセンサで検出されてコンピュータCOMPに入力される。こうしたコンピュータCOMPに入力された情報は、空気導入部161のダンパ166a、空気循環部163のダンパ166b、空気排出部162のダンパ166c、ファン165等の制御に使用される。
なお、こうしたコンピュータ制御により各工程の自動制御が可能で、例えば、好気発酵乾燥装置120での通気制御も可能であり、センサによる温度、湿度、酸素濃度、或いは二酸化炭素濃度をモニタできる。これによって最終製品の品質保証が可能となる。水分量、酸素濃度、工程変数の制御が自動化され、高効率化され、しかも、安全な均一処理であるばかりか、ロット毎の処理記録が残り、自治体の諸規制に対する適合性の証明もできる。
【0079】
ここで、本実施の形態の好気発酵乾燥装置120における微生物による発酵過程では、まず、初期の数日間には、被好気発酵処理物100中の易分解性の有機物質、例えば、たんぱく質、アミノ酸、糖質等をバクテリア、糸状菌等が積極的に分解し、被好気発酵処理物100、延いてはハウジング121室内の温度を上昇させる。易分解性の物質が消費され温度が高温になると、高温性好気性の放線菌等が有機物の分解に携わるようになり、ヘミセルロースやセルロースの分解が始まり、温度は最高60℃~80℃になる。この高温環境によって雑菌類が死滅することで処理物の衛生化が図れる。好ましくは、65℃以上、48時間以上で病原菌等が殺菌される。続いて30℃~50℃の中温域を維持し、有機物の分解を更に促進させる。その後、ハウジング121室外から取り入れる空気導入部161の空気量を増やして、冷却及び乾燥を促進させる。
【0080】
こうして、本実施の形態の好気発酵乾燥装置120では、好気性微生物による被好気発酵処理物100の分解、好気発酵が進み、また、発酵熱、通気による乾燥が進む。即ち、この好気発酵乾燥工程(ステップS3)では、バクテリア、糸状菌等の好気性微生物によって、酸素及び被好気発酵処理物100の有機物が消費されて二酸化炭素及びエネルギ(熱)が生産され、ここで発生した熱は、被好気発酵処理物100の温度を上昇させ、被好気発酵処理物100を乾燥させる。
【0081】
特に、本実施の形態では、好気発酵乾燥装置120のハウジング121室内に新鮮な空気を取り入れる空気導入部161では、外気ではなくハウジング121室外の建屋110内の空気を取り入れ、ハウジング121室内に導入している。このとき、本実施の形態では、空気導入部161と空気循環部163を合流させて、空気循環部163のハウジング121室内の上部から出力した空気と、ハウジング121室外の建屋110内の空気とを混合させ、ハウジング121室内の下部から入力して、その混合空気を被好気発酵処理物100に送風、通気させる構成であるから、被好気発酵処理物100の内部にも均一に酸素が補充され、好気発酵及び乾燥が効率的に進行する。
【0082】
ここで、ハウジング121室内が散水によって加湿され、また、好気発酵により温度が上昇することで空気循環部163のハウジング121室内の上部から出力した空気は湿気及び温度が高くなる一方、空気導入部161のハウジング121室外の建屋110内から取り入れる空気は、相対的に湿度及び温度が低く乾いたものである。
したがって、本実施の形態では、空気循環部163のハウジング121室内の上部から出力した空気と、ハウジング121室外の建屋110内から取り入れた導入空気とを混合し、ハウジング121室内の下部から入力していることで、被好気発酵処理物100に対し下方から上方に通気させる空気は、空気循環部163のハウジング121室内の上方から出力した空気よりも相対的に湿度の低い空気である。よって、被好気発酵処理物100を通気させる空気は、被好気発酵処理物100中の水分の蒸発、即ち、乾燥の促進を可能とする。そして、空気排出部163から排出する湿気量を多くできる。
【0083】
特に、空気導入部161では、外気ではなくハウジング121室外の建屋110内の空気を取り入れるから、外気と比較し、外気温の影響を受け難い。即ち、負圧に維持して臭気の漏れを防止している気密性の高い建屋110内では、冬場でも外気に比べ温度を高く維持可能であり、外気温と比較し一年を通して少ない温度変化に制御も可能である。したがって、冬場であってもハウジング121室内に外気の冷気が取り込まれることなく、建屋110内の比較的暖かい空気をハウジング121室内に取り入れていることが可能であり、外気温の変化があっても、ハウジング121室内に積み入れた被好気発酵処理物100の好気発酵及び乾燥処理の効率を維持できるものとなる。即ち、冬場であっても空気導入部161の空区と空気循環部163の空気と温度差を小さくでき、空気導入部161の空気がハウジング121室内から出力された空気と混合したときに水分の凝縮を生じ難く被好気発酵処理物100中の水分の蒸発、即ち、乾燥を促進できる。また、空気導入部161で建屋110内の空気をハウジング121室内に取り入れるものでは、冷たい外気が導入されないことで、微生物への負荷も少なく、ハウジング121室内の温度制御が容易で微生物の活性も低下し難く、効率的に発酵及び乾燥を進行させることができる。
【0084】
好気発酵乾燥装置120において、好気性微生物により好気発酵され、その発酵熱及び通気(送風)によって乾燥された好気発酵乾燥処理物220は、ホイールローダー12等が中継し次の選別工程(ステップS4)の建屋110内にある後処理設備に搬出される。
図3に示したように、本実施の形態の後処理設備では、磁気選別や近赤外線選別等で不燃物230や塩化ビニル240を除去し、また、粒度及び重量選別によって、例えば、所定のオーバーサイズ重量物として選別される嵩密度調節材2と、所定のオーバーサイズ軽量物として選別される固形燃料原料210と、所定のアンダーサイズ細粒物として選別される堆肥原料220または微生物付着体3としての発酵残渣細粒物とに分別される。
【0085】
例えば、本実施の形態の後処理設備においては、最初に粒度及び重量選別機151で所定の空気流による浮力及び所定サイズのメッシュの篩(フルイ)で比重、重量、粒子の大きさで選別する。なお、このとき選別機151に導入した空気流は、サイクロン152に導き、渦流で塵芥を下に落として除去し、サイクロン152の上部から塵芥を除去した空気を排出している。サイクロン152の出力側にもファンで吸引するのが効果的である。
【0086】
この選別機151では主に大きな木材チップ(木辺)等の嵩密度調節材2を含む所定のオーザーサイズ及び所定重量以上の重量物と、主に紙やプラスチック等が含まれる所定のオーザーサイズで所定の重量未満の軽量物と、主に生ごみの分解物が含まれる所定のアンダーサイズの細粒物とに分別する。
【0087】
選別機151で選別された所定のオーバーサイズで所定重量以上の重量物は、主に、大きな木材チップ等の嵩密度調節材2を含むから、磁気選別機153による磁気選別または手選別等によって鉄類、磁気等の不燃物230を除去したのち、嵩密度調節ヤードY3に返送され、嵩密度調節材2として再利用される。
また、選別機151で選別した所定のアンダーサイズの細粒物は、磁気選別機153による磁気選別等によって鉄類、磁気等の不燃物230を除去したのち、堆肥原料220及び/または発酵残渣細粒物である微生物付着体3として利用される。即ち、堆肥原料220としてもよいし、発酵残渣細粒物は好気性微生物を多く付着するから嵩密度調節ヤードY3に返送され、種菌の微生物付着体3として使用してもよい。
更に、選別機151で選別した所定のオーザーサイズで所定重量未満の軽量物は、紙、プラスチック等を含むから、赤外線選別機154による赤外線選別によって塩化ビニル240を除去したのち、固形燃料製造原料210とされる。
【0088】
固形燃料原料210は、固形燃料製造工程で、例えば、乾いたプラスチック、木質材、紙、布等の熱量調整材と混合され、また、粉砕機で粉砕され、更に、鉄や石等の不燃物230を除去し、成形機で成形されることによって固形燃料化され、固形燃料211となる。なお、成形工程では、必要に応じ腐敗防止剤等の添加材が添加される。また、このときの固形燃料製造工程、特に成形工程で生じた臭気、水蒸気等は、生物脱臭装置140に送給し、そこで脱臭した後、外へ排気している。
こうして成形された固形燃料211は、輸送性、貯蔵性に優れ、燃料として扱いやすくなり、多用途(暖房、発電等)に使用できる。
なお、固形原料燃料210はベーラー(圧縮梱包機)で圧縮梱包することによって固形燃料製造工程への移送を容易にすることができる。
また、堆肥原料220は、別途の熟成床で、上述の好気発酵乾燥のときと同様、散水と通気を行いながら、数日から数週間寝かせて熟成させ、その後、用途や使用条件に合わせた篩分けや、必要があれば更なる熟成を経て、高品位な堆肥221を得ることができる。
【0089】
ところで、本実施の形態の廃棄物処理プラントでは、発酵乾燥装置120において空気導入部161及び空気循環部163のハウジング121室内に入力する空気量よりも、空気排出部162のハウジング121室内から排出する空気量を大きく設定し、ハウジング121室内を負圧に維持することでハウジング121室外に臭気が出る可能性を皆無としているが、空気排出部162のハウジング121室内から排出した空気(臭気)は、生物脱臭装置140で脱臭処理してから外部に排気している。
【0090】
特に、本実施の形態の廃棄物処理プラントにおいては、ハウジング121室内の排出した空気の風路を形成する空気排出部162がエアプレナム室130に繋がっており、そのエアプレナム室130ではハウジング121室外の建屋110内の空気も導入していることで、そこで、ハウジング121室内から排出した空気とハウジング121室外の建屋110内の空気とが混合される。そして、そのエアプレナム室130の室内空気が生物脱臭装置140に送給される。
【0091】
なお、本実施の形態の廃棄物処理プラントでは、ハウジング121室外の建屋110内からエアプレナム室130に空気を導入する経路には、ダンパ136Aやファン(図示せず)等が配設し、エアプレナム室130に入れる建屋110内からの空気量を調節できるようにし、また、エアプレナム室130に入るハウジング121室内から排出した空気量もダンパ166cによって調節できるようにし、両者の調節によって、エアプレナム室130の湿度が所定以下となるように制御できるようにしている。
また、エアプレナム室130から生物脱臭装置140までの空気の経路には、ファン135及びダンパ136Bが配設されており、エアプレナム室130からの空気はファン(ブロア)135で加圧されて生物脱臭装置140に送給され、また、ダンパ136Cによってエアプレナム室130から生物脱臭装置140に送給する空気量を調節できるようにしている。なお、建屋110内からエアプレナム室130に空気を導くファンやエアプレナム室130から生物脱臭装置140に空気を導くファン135は、回転数制御ができるようにインバータ制御することで、必要に応じて回転速度を落として省エネルギ運転を行うようにしてもよい。
【0092】
本発明を実施する場合には、必要に応じ、エアプレナム室130から生物脱臭装置140まで経路の途中にはスクラバー装置137を配設し、エアプレナム室130からの空気に含まれる有害物質等を除去してから、生物脱臭装置140に供給するようにしてもよい。更には、化学脱臭装置を設けることも可能である。化学脱臭装置では、フィルタ媒体中を強制通過させ、そこで、ガス中に含まれる水溶性の化合物がフィルタ媒体を覆っている湿潤状態のバイオフィルムに溶解吸収される。なお、バイオフィルムは、水分と多糖類、バクテリアのエコシステムに起因する物質や微生物に由来する物質で構成された薄い層であり、気流中のガスがバイオフィルムの中に入ると、汚染物質は、微生物と接触し、化合物が分解されることになる。
【0093】
エアプレナム室130からの空気が導入される脱臭設備を構成する生物脱臭装置(バイオフィルタ装置)140は、通常、建屋110の屋外に設置され、例えば、木材チップ、堆肥床、土壌、ビート等の好気性微生物が付着あるいは自然状態で好気性微生物が存在している担体からなるバイオフィルタ142を上方が開放されている収容槽141内に堆積して収容してなる。なお、バイオフィルタ142としては、好ましくは、吸湿性、調湿性を有し、所定の寸法形状の充填によって通気を確保できる木材チップが好適である。
詳細には、生物脱臭装置140では、収容槽141の底面から所定高さの位置で上下に空間を区画し通気孔を有する床材143を設置し、その床材143の上に、木材チップ等の担体を堆積しバイオフィルタ142を形成する。そして、エアプレナム室130からの空気は、収容槽141の下方の床材143で区画された下の空間に導入され、床材143の通気孔を通って、木材チップ等の担体が堆積されたバイオフィルタ142内を下から上に通って流れ、収容槽141の上方から大気へと放出される。
【0094】
そして、収容槽141の下方から入力された空気がバイオフィルタ142内を下から上に向かって通り抜ける際に、空気に含まれていた臭気成分が、バイオフィルタ142の木材チップ等の担体に付着している好気性微生物の好気的発酵により消費(分解、消化)される。
【0095】
こうして、好気発酵乾燥装置120から排気された臭気を含んだ空気は、エアプレナム室130で建屋110内から取り入れた導入空気と混合された後、生物脱臭装置(バイオフィルタ装置)140に入力され、そこでバイオフィルタ172により生物脱臭され、大気に放出される。
なお、このような好気性微生物の生物的処理による消化によって脱臭を行う生物脱臭装置140では、好気発酵乾燥装置120から排気された悪臭ガスが、例えばCO2やH2Oのような無害な物質や、SO4
-やNO3
-のような無機イオンに分解されて放出されるが、このとき、後処理が必要な残渣を発生することもなく、また、焼却するものでもないから、CO2やNOXの排出も最小限に抑えられる。
【0096】
このとき、生物脱臭装置(バイオフィルタ装置)140では、木材チップ等の担体が堆積してなるバイオフィルタ142に対して収容槽141の上方から散水を行っている。これにより、収容槽141の下方から入力された臭気を分解、消費する木材チップ等の担体に付着した好気性微生物の活性、生育に必要な水分を均一に付加、補充できるから、安定した脱臭効率が得られる。
【0097】
特に、本実施の形態では、散水の余剰水を回収、収集し、それを再び散水に再利用している。即ち、本実施の形態では、収容槽141の上方から散水され、底部に落下した余剰水を回収しそれを再び収容槽141の上方から散水する第2の循環水設備181を形成している。
【0098】
収容槽141内では、散水の余剰水が床材143の通過孔を通って床材の下の空間に流下し、そこから、収容槽141の外に排出されて、貯水タンク183に集水され、貯水タンク183からポンプ等によって、収容槽141の上側に設けた噴霧ノズルに圧送し、噴霧ノズルからバイオフィルタ142に水滴として噴霧される。
また、第2の循環水設備181では、工業用水や飲用水等の外部からの水をバルブ等を介して貯水タンク183に補充できるようにしている。
なお、本実施の形態では、第1の循環水設備171においてハウジング121室内に噴霧する水の供給量が不足する場合等には、バルブ等を設けた供給路174を介して第2の循環水設備181の貯水タンク183に収集した水を第1の循環水設備171の貯水タンク173Aに供給できるようにしている。
【0099】
こうして、第2の循環水設備181により、バイオフィルタ172に散水によって水を供給し、また、その散水した余剰水を排出、回収してそれをバイオフィルタ172への散水に再利用することで、バイオフィルタ172に対し好気性微生物の発酵、生育に必要な水分の補給及び水分供給の均等化を可能とし、安定した脱臭処理効率を得ることができる。特に、バイオフィルタ172を通過して回収された散水の余剰水は好気性微生物を含むから、それを水滴として噴霧する水にも、好気性微生物が含まれることで、バイオフィルタ172に対して好気性微生物を均一に分布させて好気性発酵による消化効率を高めることができる。即ち、水滴の噴霧により、好気性微生物を上から下に移動させることにもなり、効率の良い臭気処理が可能となる。
更に、散水の余剰水を回収して再使用するから安定した脱臭効率のための好気性微生物に必要な水分を低コストでまかなうことができ、また、散水の余剰水を外部に排出しないものであるから排水のための浄化を不要化できる。
【0100】
なお、収容槽141内において、床材143と底面との間の空間に落下した水の排出は、所定量に収集されたタイミングでポンプ等で吸引し、貯水タンク183に集水してもよいし、排水が所定以上溜まったときに貯水タンク183側に流れるようにしてもよい。また、ここでは、収容槽141内に床材143と底面との間の空間に入力されて床材143の通気孔を通ってバイオフィルタ172に入る空気の風路と、バイオフィルタ172に散水され、床材143の通気孔を通って床材143と底面との間の空間に落下した水の通路を供給していることで、部品点数を少なくできるが、別途で構成することも可能である。
【0101】
特に、本実施の形態では、上述したように、空気排出部162で好気発酵乾燥装置120のハウジング121室内から排出した空気は、エアプレナム室130で、ハウジング121室外の建屋110内の空気と混合されてから、生物脱臭装置140に入力され、そこから外気へと排気させている。
【0102】
ここで、好気発酵乾燥装置120のハウジング121室内は散水によって加湿され、また、好気発酵により温度が上昇することで、ハウジング121の室内上部から排出しエアプレナム室130に入力される空気排出部163の空気は、温度と湿気が高くなる一方、別途エアプレナム室130に入力されるハウジング121室外の建屋110内の空気は、相対的に湿度や温度が低く乾いた空気である。
【0103】
したがって、本実施の形態の廃棄物処理プラントでは、エアプレナム室130において、ハウジング121室内の上部から排出された空気排出部162の空気と、ハウジング121室外の建屋110内の空気とが混合されることで、エアプレナム室130から生物脱臭装置140に送給する空気は、ハウジング121の上部から排出された空気排出部162の空気よりも相対的に湿度や温度が低下したものとすることができる。
【0104】
このため、エアプレナム室130で湿気を低下させた混合空気では、それが入力される生物脱臭装置140内で空気の湿気が凝縮し難いものとなり、ハウジング121室内から排出された湿気の水分が、生物脱臭装置140で排気水として生成して第2の循環水設備181の水分として滞留し難く、ハウジング121室内から排出された湿気の水分量を大気中に放出しやすいものである。即ち、大気中に放出する水分量を多くできる。
【0105】
よって、本実施の形態の廃棄物処理プラントでは、第1の循環水設備171や第2の循環水設備172に水分が貯留し難い構成であり、格別排水用の浄化設備を設けなくとも、廃棄物1からの水分量を大気中に放出して消費できるから、排水処理のエネルギコストを抑えることが可能である。
【0106】
更に、通常、臭気対策から通気に乏しい構造とする建屋110では、冬場であっても外気温の影響を受けにくいものとなるところ、エアプレナム室130では、外気ではなく建屋110内の空気を取り込むことで、冬場であってもエアプレナム室130への導入空気の温度低下が抑えられることで、エアプレナム室130の混合空気が送給される生物脱臭装置140のバイオフィルタ142に含まれる好気性微生物への負荷も少なくでき、脱臭効率の低下を抑えることができる。即ち、外気温の変化に大きく影響されずにエアプレナム室130からの混合空気の温度変化が抑えられることで、バイオフィルタ142の好気性微生物への負荷も少なく、脱臭効率の安定化が可能である。
【0107】
このように本実施の形態の廃棄物処理プラントでは、生ごみ、プラスチック、紙等が混在した廃棄物1を嵩増しする嵩密度調節材2及び好気性微生物を付着した微生物付着体3と混合して、被好気発酵処理物100とし、それを好気発酵し、発酵の熱や通気を利用して乾燥させることにより、固形燃料原料210や堆肥原料220として再資源化するものである。
このとき、本実施の形態の廃棄物処理プラントでは、常に負圧に保たれる建屋110内で廃棄物1の処理が行われ、建屋110内に格納された好気発酵乾燥装置120において室外よりも高い陰圧に保たれて室外から室内の空気流を遮断し臭気漏れを防止しているハウジング121室内で被好気発酵廃棄物100の好気発酵、乾燥が行われている。そして、ハウジング121室内の空気は、エアプレナム室130を介して屋外に設置された生物脱臭装置140において槽141内に充填された木質チップ等の担体からなるバイオフィルタ142を通ることで脱臭処理され、大気中へ排気される。したがって、悪臭の排出、制御不能な臭い漏れのないものである。
【0108】
特に、本実施の形態では、好気発酵乾燥装置120のハウジング121室内から排出された空気が、エアプレナム室130で建屋110内から取り入れた導入空気と混合されてから、生物脱臭装置140に供給され、そこで生物脱臭されて外部に排気される。
ここで、エアプレナム室130に入力される空気排出部162のハウジング121の上部から排出した空気は、ハウジング121室内が散水によって加湿され、また、温度が高くなることで、湿気の高い空気となる。一方、別途エアプレナム室130に入力されるハウジング121室外の建屋110内の空気は、相対的に湿度が低く乾いた空気である。
したがって、本実施の形態では、空気排出部162のハウジング121室内から排出された空気と、ハウジング121の室外の建屋110内の空気とがエアプレナム室130において混合されることで、エアプレナム室130から生物脱臭装置140に圧送される空気では、空気排出部162のハウジング121室内から排出された空気よりも相対的に湿度が低下したものとなる。
【0109】
即ち、本実施の形態の廃棄物処理プラントによれば、ハウジング121室内から排出した高湿気の空気を、エアプレナム室130でハウジング121室外の建屋110内から取り入れた導入空気との混合によって相対的に湿度を低下させ、その湿気を低下させた混合空気を、生物脱臭装置140に供給し、バイオフィルタ142の下から上へ通過させて外部へ排気する。よって、ハウジング121室内から排出した空気の湿気が生物脱臭装置140内で凝縮水(排気水)として排出されるのが抑制され、外気に放出する水分量を多くできる。故に、生物脱臭装置140の水分を扱う第2の循環水設備181に過剰に水分が溜まり難いものとなる。
即ち、本実施の形態の廃棄物処理プラントによれば、廃棄物1の処理量が多くても、水分を大気中に排気しやすい構成で、第2の循環水設備181での過剰な水分の貯留を防止でき、排水のための浄化を不要とする。
【0110】
特に、エアプレナム室130では、外気ではなく、好気発酵乾燥装置120を格納した建屋110内の空気の取り入れによって、好気発酵乾燥装置120から排出された空気の湿気を低下させるから、外気温の影響を受け難いものである。即ち、冬場等の外気温が低いときでも、エアプレナム室130の室内に冷気が導入されることなく、排気水の排出を防止でき、生物脱臭装置140から放出させる水分量の低下を防止できる。よって、第2の循環水設備181での過剰な水分の貯留をより防止できる。また、エアプレナム室130の混合空気が送給される生物脱臭装置140のバイオフィルタ142に含まれる好気性微生物への負荷も少なくでき、脱臭効率の低下を抑えることができる。即ち、外気温の変化に大きく影響されずにエアプレナム室130からの混合空気の温度変化が抑えられることで、バイオフィルタ142の好気性微生物への負荷も少なく、脱臭効率の安定化が可能である。
【0111】
こうして、本実施の形態では、好気発酵による発酵熱及び通気によって水分を乾燥し、その水分が生物脱臭装置141や第2の循環水設備181で排気水として排出されるのを防止し、大気中に放出する水分量を多くできることで、廃棄物1からの水分を乾燥除去でき、廃水が溜り難い構造である。したがって、廃棄物1からの水分を大気に放出させやすいことで、廃棄物1を多量に処理する場合であっても、プラント内に水分が貯留し難く、廃棄物1からの水分を外部に排出処理する排水設備の不要化を可能とし、低コスト化を図ることができる。
【0112】
また、本実施の形態では、第1の循環水設備171によって、被好気発酵処理物100を好気発酵している好気発酵乾燥装置120の被好気発酵処理物100から染み出た廃水を回収し、フィルタ172で濾過して異物を除去したのち、好気発酵乾燥装置120で好気発酵させている被好気発酵処理物100に散水するから、好気発酵乾燥装置120からの廃水を外部に排出しない構成であり、排水のための浄化を設けない。即ち、第1の循環水設備171は、好気発酵乾燥装置120から回収した水が収容され、また、外部からの水を補充できる貯水タンク173A,173B有し、更に、第1の循環水設備171及び第2の循環水設備181は、貯水タンク183の水を貯水タンク173A,173Bの水に供給自在な供給路175を設けており、貯水タンク173A,173Bで貯水し、貯水タンク173A,173B内の水が欠乏した場合や少量となった場合に第2の貯水タンク183または外部から補充すればよいから、外部からの水分の補給を最小限に抑え、過剰な水分の貯留を防止し、コストを抑えると共に、排水のための浄化を不要とする。
【0113】
更に、第1の循環水設備171によって、被好気発酵処理物100を好気発酵している好気発酵乾燥装置120の被好気発酵処理物100から染み出た廃水を回収し、フィルタ172で濾過して異物を除去したのち、好気発酵乾燥装置120で好気発酵させている被好気発酵処理物100に散水するから、被好気発酵処理物100において好気性微生物に必要な水分の均等供給を可能とし、好気発酵の偏在を防止して、好気発酵及び乾燥の処理効率を高くすることができる。
【0114】
特に、本実施の形態では、好気発酵乾燥装置120のハウジング121室内の上方から吸気した空気をハウジング121室内の下方から送風して循環させる空気循環部163と、ハウジング121室内に建屋110内の空気を取り入れる空気導入部161とが合流し、空気循環部163でハウジング121室内の上から吸気した空気と空気導入部161でハウジング121室外の建屋110内から取り入れた導入空気との混合空気をハウジング121室内の下方から被好気発酵処理物100に送風する。
【0115】
したがって、本実施の形態の廃棄物処理プラントによれば、空気循環部163で循環させるハウジング121室内の上方から吸気した高湿気の空気を、空気導入部161でハウジング121室外の建屋110内から取り入れた導入空気との混合によって相対的に湿度を低下させ、その湿気を低下させた混合空気を、ハウジング121室内の下方から被好気発酵処理物100に対して供給し、被好気発酵処理物100の下から上へ通過させる。よって、被好気発酵処理物100に通気させる空気が被好気発酵処理物100中の水分を気化させやすいものとなる。故に、被好気発酵処理物100の乾燥の処理効率を向上させることができる。
【0116】
このとき、好気乾燥発酵乾装置120のハウジング121室内に導入する空気導入部161の空気は、外気ではなく、臭気漏れを防止するために負圧に維持して気密性を高くした建屋110内の空気であるから、冬場等の外気温が低いときでも、空気導入部161からハウジング121室内に冷気が導入されることなく比較的温度が高い空気が維持されるから、空気循環部163の空気との混合で凝縮水が生じるのが防止され、水分の気化効率、即ち、乾燥効率を維持できる。
【0117】
したがって、本実施の形態の廃棄物処理プラントによれば、被好気発酵処理物100の乾燥の高い処理効率が維持され、廃棄物1の処理量が多くても、水分を蒸発させやすい構成で、第1の循環水設備171での過剰な水分の貯留を防止でき、排水のための浄化を不要とする。
【0118】
以上説明してきたように、本実施の形態の廃棄物処理プラントは、外部から空気が導入され、また、外部に空気が排出されて負圧に維持される室内で廃棄物1を含んだ被好気発酵処理物100を好気発酵させて乾燥する好気発酵乾燥装置121から構成される好気発酵乾燥設備と、好気発酵乾燥装置121から排出された空気が入力され、当該空気の湿気を低下させて外部に出力されるエアプレナム室130と、エアプレナム室130から排出された空気を好気性微生物が含まれるバイオフィルタ142によって生物脱臭して外部に排気する生物脱臭装置140から構成される脱臭設備と、廃棄物1を含んだ被好気発酵処理物100を好気発酵している好気発酵乾燥装置120から廃水を回収し、フィルタ172で濾過したのち、好気発酵乾燥装置121で好気発酵している廃棄物1を含んだ被好気発酵処理物100に散水する第1の循環水設備181と、生物脱臭装置140のバイオフィルタ142に散水し、その散水の余剰水を回収して、バイオフィルタ142の散水に再使用する第2の循環水設備182とを具備するものである。
【0119】
こうして、本実施の形態の廃棄物処理プラントによれば、第1の循環水設備171によって、廃棄物1を含んだ被好気発酵処理物100を好気発酵し乾燥させる好気発酵装置121の廃水を回収して被好気発酵処理物100の散水に循環させており、また、第2の循環水設備181によって、生物脱臭装置140のバイオフィルタ142に散水した余剰水も回収してバイオフィルタ142の散水に循環させており、散水に使用する外部からの水の使用量を抑えることが可能である。
【0120】
特に、本実施の形態の廃棄物処理プラントによれば、好気発酵乾燥装置120から排出された空気が、安価に設置できるエアプレナム室130で好気発酵乾燥装置120から排出される空気よりも相対的湿度が低い乾いた空気と混合され湿気(湿度)を低下させてから、生物脱臭装置140に入力されて外部に排気されるから、好気発酵乾燥装置120から排気された水蒸気が生物脱臭装置140内で凝縮して排気水として排出され難く、外部に排気する水分量を多くできる。よって、生物脱臭装置140や第2の循環水設備181内に水分が過剰に溜まり難いものである。
したがって、廃棄物1の処理量が多くても、水分が過剰に貯留し難い構成であり、排水の浄化設備の不要化を可能とする。即ち、過剰な水分の貯留を防止し低コスト化を図ることができる。
【0121】
更に、本実施の形態の廃棄物処理プラントによれば、エアプレナム室130では、好気発酵乾燥装置120を格納した建屋110内の空気の取り入れによって、好気発酵乾燥装置120から排出された空気の湿気を低下させるから、外気温の影響を受け難いものである。即ち、冬場等の外気温が低いときでも、エアプレナム室130の室内に冷気が導入されることなく、排気水の排出を防止でき、生物脱臭設備から放出させる水分量の低下を防止できる。よって、第2の循環水設備181での過剰な水分の貯留をより防止できる。
【0122】
また、本実施の形態の廃棄物処理プラントは、第1の循環水設備171は、好気発酵乾燥装置120から回収した水が収容され、また、外部からの水を補充できる貯水タンク173A,173Bを有し、貯水タンク173A,173Bの水が廃棄物1を含んだ被好気発酵処理物100への散水に供され、第2の循環水設備181は、脱臭装置140から回収した水が収容され、また、外部からの水を補充できる貯水タンク183を有し、貯水タンク183の水が廃棄物1を含んだ被好気発酵処理物100への散水に供される。更に、第1の循環水設備171及び第2の循環水設備181は、第2の貯水タンク183の水を第1の貯水タンク173A,173の水に供給自在な供給路175を設けているものである。
【0123】
したがって、貯水タンク173A,173Bや貯水タンク183で水を貯水し、貯水タンク173A,173B内の水が欠乏したとき或いは少なくなった際には貯水タンク183または外部から補充すればよいから、また、貯水タンク183の水が欠乏したときに或いは少なくなった際には外部から補充すればよいから、外部からの水分の補充を最小限に抑え、過剰な水分の貯留を防止し、コストを抑えることができる。
【0124】
更に、本実施の形態の廃棄物処理プラントは、好気発酵乾燥装置120は、ハウジング121室内の空気を上方から吸気し、吸気した空気をハウジング121室内の下方から送風して循環させる空気循環部163を有し、空気循環部163で循環させる空気と外部から導入する導入空気を混合し、ハウジング121室内の下方に送風するものである。
【0125】
したがって、本実施の形態の廃棄物処理プラントによれば、空気循環部163により、好気発酵乾燥装置120のハウジング121室内で好気発酵、乾燥させる廃棄物1を含んだ被好気発酵処理物100において下方から上方に向かって空気が流れる空気の通り道が形成され、被好気発酵処理物100を攪拌することなく被好気発酵処理物100に対する通気の供給の均等化によって被好気発酵処理物100の発酵及び乾燥の処理効率を良くできる。
特に、ハウジング121室内では、廃棄物1を含んだ被好気発酵処理物100が好気性微生物により好気発酵され、その発酵熱及び通気によって水分が蒸発することにより湿気が上昇し、ハウジング121室内の上方から吸気した空気は湿気が多くなるのに対し、外部からハウジング121室内に導入する空気は相対的に湿気が少ない空気である。したがって、空気循環部163で循環させるハウジング121の上方から吸気した空気を外部からの導入空気と合流させて、ハウジング121室内の下方から送風することで、ハウジング121室内の上方から吸気した空気よりも相対的湿度が低下した空気が、下方から上方に向かって被好気発酵処理物100を通過することになるから、被好気発酵処理物100を通気する空気によって被好気発酵処理物100中の水分を気化させやすくできる。
よって、被好気発酵処理物100の乾燥の処理効率を向上させることができ、廃棄物1の処理量が多くても、水分を蒸発させやすい構成で、第1の循環水設備171での過剰な水分の貯留を防止できる。
【0126】
そして、本実施の形態の廃棄物処理プラントは、好気乾燥発酵乾装置120のハウジング121の室内に導入される外部の空気は、好気発酵乾燥装置120を格納し負圧に維持される建屋110内の空気であるから、外気温の影響を受け難いものである。したがって、冬場等の外気温が低いときでも、好気発酵乾燥装置120内に冷気が導入されることなく温度変化の少ない空気を導入できることで、水分の高い気化効率を維持できる。故に、低コストで第1の循環水設備171での過剰な水分の貯留を防止できる。
【0127】
また、上記実施の形態は、外部から空気が導入され、また、外部に空気が排出されて負圧に維持される好気発酵乾燥装置120のハウジング121の室内で被好気発酵処理物100の廃棄物1を好気発酵させて乾燥する好気発酵乾燥工程(ステップS3)と、廃棄物1を好気発酵しているハウジング121の室内から排出された空気を、当該排出された空気よりも相対的湿度が低い導入空気と混合することにより、被好気発酵処理物100の廃棄物1を好気発酵している室内から排出された空気の湿気を低下させる排気調節工程(ステップS5)と、排気調節工程(ステップS5)で混合された空気を好気性微生物が含まれるバイオフィルタ142により生物脱臭して外部に排気する脱臭工程(ステップS6)とを具備し、好気発酵乾燥工程(ステップS3)では、被好気発酵処理物100を好気発酵している室内から廃水を回収し、フィルタ172で濾過したのち、好気発酵している廃棄物1を含んだ被好気発酵処理物100に散水して循環させ、脱臭工程(ステップS6)では、バイオフィルタ172に散水すると共に、散水の余剰水を回収してバイオフィルタ172の散水に再使用して循環させる廃棄物処理方法の発明と捉えることもできる。
【0128】
こうした本実施の形態の廃棄物処理方法によれば、好気発酵乾燥工程(ステップS3)で、被好気発酵処理物100の廃棄物1を好気発酵し乾燥させる好気発酵乾燥装置120のハウジング121室内の廃水を回収して廃棄物1を含んだ被好気発酵処理物100の散水に循環させており、また、バイオフィルタ142に散水した余剰水も回収してバイオフィルタ142の散水に循環させており、散水に使用する外部からの水の使用量を抑えることが可能である。
【0129】
特に、本実施の形態の廃棄物処理方法によれば、排気調節工程(ステップS5)で好気発酵乾燥装置120のハウジング121室内から排出された空気が、当該空気よりも相対的湿度が低い乾いた空気と混合されて、湿気を低下させた後に、脱臭工程(ステップS6)で生物脱臭され外部に排気されるから、好気発酵乾燥装置120のハウジング121室内から排気された水蒸気がバイオフィルタ142を備えた生物脱臭装置140内で排気水として排出され難く、外部に排気する水分量を多くできる。よって、生物脱臭装置140及び第2の循環水設備181内に水分が過剰に溜まり難いものである。
したがって、廃棄物1の処理量が多くても、水分が過剰に貯留し難い構成であり、排水の浄化設備の不要化を可能とする。即ち、過剰な水分の貯留を防止し低コスト化を図ることができる。
【0130】
更に、本実施の形態の廃棄物処理方法によれば、排気調節工程(ステップS5)では、好気発酵乾燥装置120を格納した建屋110内の空気の取り入れによって、好気発酵乾燥装置120から排出された空気の湿気を低下させるから、外気温の影響を受け難いものである。即ち、冬場等の外気温が低いときでも、エアプレナム室130の室内に冷気が導入されることなく、排気水の排出を防止でき、生物脱臭設備から放出させる水分量の低下を防止できる。よって、第2の循環水設備181での過剰な水分の貯留をより防止できる。また、エアプレナム室130の混合空気が送給される生物脱臭装置140のバイオフィルタ142に含まれる好気性微生物への負荷も少なくでき、脱臭効率の低下を抑えることができる。
【0131】
また、本実施の形態の廃棄物処理方法によれば、好気発酵乾燥工程(ステップS3)では、被好気発酵処理物100の廃棄物1を好気発酵乾燥させているハウジング121室内の空気を上方から吸気し、吸気した空気をハウジング121室内の下方から送風して循環させると共に、その循環させる空気を外部からの導入空気と混合し、ハウジング121の室内の下方から送風するから、好気発酵乾燥装置120のハウジング121室内で好気発酵させる廃棄物1を含んだ被好気発酵処理物100において下方から上方に向かって空気が流れる空気の通り道が形成され、被好気発酵処理物100を攪拌することなく被好気発酵処理物100に対する通気の供給の均等化によって被好気発酵処理物100の発酵及び乾燥の処理効率を良くできる。
特に、ハウジング121室内では、廃棄物1を含んだ被好気発酵処理物100が好気性微生物により好気発酵され、その発酵熱及び通気によって水分が蒸発することにより湿気が上昇し、ハウジング121室内の上方から吸気した空気は湿気が多くなるのに対し、外部からハウジング121室内に導入する空気は相対的に湿気が少ない空気である。したがって、空気循環部163で循環させるハウジング121の上方から吸気した空気を外部からの導入空気と合流させて、ハウジング121室内の下方から送風することで、ハウジング121室内の上方から吸気した空気よりも相対的湿度が低下した空気が、下方から上方に向かって被好気発酵処理物100を通過することになるから、被好気発酵処理物100を通気する空気によって被好気発酵処理物100中の水分を気化させやすくできる。
よって、被好気発酵処理物100の乾燥の処理効率を向上させることができ、廃棄物1の処理量が多くても、水分を蒸発させやすい構成で、第1の循環水設備171での過剰な水分の貯留を防止できる。
【0132】
更に、本実施の形態の廃棄物処理方法によれば、好気発酵乾燥工程(ステップS3)では、好気発酵乾燥装置121のハウジング121室内に導入される外部の空気は、好気発酵乾燥装置121を格納し負圧に維持される建屋110内の空気であるから、外気温の影響を受け難いものである。したがって、冬場等の外気温が低いときでも、好気発酵乾燥装置120のハウジング121室内に冷気が導入されることなく、温度変化の少ない空気を導入できることで、水分の高い気化効率を維持できる。故に、低コストで第1の循環水設備171での過剰な水分の貯留を防止できる。
こうして本実施の形態の廃棄物処理プラント及び廃棄物処理方法によれば、第1の循環水設備171や第2の循環水設備172での過剰な水分の貯留を防止し、コストを抑えることができる。
【0133】
なお、上記好気発酵では、好気性微生物の使用を前提として説明してきたが、嫌気性微生物の付着が皆無であることを意味するものではなく、好気性微生物の働く環境を作ることを意味するものである。
本発明を実施するに際しては、廃棄物処理プラント及び廃棄物処理方法のその他の部分の構成、成分、配合、製造方法等については、上記実施例に限定されるものではない。また、本発明の実施の形態及び実施例で挙げている数値は、その全てが臨界値を示すものではなく、ある数値は実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を許容値内で若干変更してもその実施を否定するものではない。
【符号の説明】
【0134】
1 廃棄物
2 嵩密度調節材
3 微生物付着体
100 被好気発酵処理物
110 建屋
120 好気発酵乾燥装置
130 エアプレナム室
140 生物脱臭装置
142 バイオフィルタ
171 第1の循環水設備
181 第2の循環水設備
200 好気発酵乾燥処理物
210 固形燃料原料
220 堆肥原料
Y3 嵩密度調節ヤード(嵩密度調節作業部)