(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046562
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】車両電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20230329BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20230329BHJP
B60R 16/033 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02J7/02 H
B60R16/033 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155218
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000143639
【氏名又は名称】株式会社今仙電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】山野上 耕一
(72)【発明者】
【氏名】服部 誠
【テーマコード(参考)】
5G503
5H730
【Fターム(参考)】
5G503AA07
5G503BA03
5G503BB01
5G503DA04
5G503GB03
5G503HA02
5H730AS05
5H730AS17
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD04
5H730DD16
5H730FD01
5H730FD31
5H730FG01
5H730XX03
5H730XX15
5H730XX23
5H730XX35
(57)【要約】 (修正有)
【課題】上側電池と下側電池とのバランスを取ることができる車両電源装置を提供する。
【解決手段】車両電源装置は、高電圧側の上側電池E1と、アース側に接続された下側電池E2と、上側電池と下側電池との接続点CPと、上側電池E1と下側電池E2にPID制御50により電力を供給するFET1、FET2と、を備える。そして、更に、PID制御50によるI(積分制御)よりも長い時間のフィードバック制御60を付加する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧側の上側電池と、低電圧側の下側電池とに分割された電池と、
前記上側電池と前記下側電池に、予め設定された出力制限内で電力を供給するDC-DCコンバータ、とを備える車両用電源装置であって
前記DC-DCコンバータの出力の長時間平均値と目標値との差をフィードバックするフィードバック制御を付加したことを特徴とする車両用電源装置。
【請求項2】
請求項1の車両用電源装置であって、
前記DC-DCコンバータはP(比例制御)I(積分制御)D(微分制御)制御により電力を供給し、
前記フィードバック制御の長時間平均値は、前記PID制御のI(積分制御)制御よりも長い時間の平均値である。
【請求項3】
請求項2の車両用電源装置であって、
前記上側電池は高電圧側に接続され、前記下側電池はアース側に接続され、
前記DC-DCコンバータは、前記高電圧側と前記上側電池と前記下側電池との接続点間、及び、前記接続点と前記アース側との間に電力を供給し、前記フィードバック制御は、前記DC-DCコンバータの出力の長時間平均値と目標値との差を前記DC-DCコンバータの入力側に加える。
【請求項4】
請求項1の車両用電源装置であって、
前記上側電池と前記下側電池の電圧はほぼ等しい。
【請求項5】
請求項1の車両用電源装置であって、
前記上側電池の電圧は、前記下側電池の電圧よりも高い。
【請求項6】
請求項5の車両用電源装置であって
前記長時間平均値は演算処理によって求められる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分割された電池を介して複数の電圧を供給する車両電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、蓄電池を直列に接続して形成した高圧電源から、蓄電池を選択的に低圧電源負荷へ接続することによって電力変換を行う車両電源装置を開示している。
【0003】
図7は、従来技術の車両電源装置310を示している。
電池は、高電圧VB側に接続された上側電池E1と、アースEA側に接続された下側電池E2とに分割されている。上側電池E1と下側電池E2との接続点CPから電流Ioutが出力される。高電圧VB側から高電圧が供給される。上側電池E1、下側電池E2はバランス回路240によって充電が成される。バランス回路240は制御部230によって制御される。
【0004】
図8(A)は、
図7中のバランス回路、上側電池E1、下側電池E2の等価回路を示す。FET1、FET2には、デュティ50%の制御信号が加えられ、FET1はコイルLを介して上側電池E1を充電し、FET2はコイルLを介して下側電池E2を充電する。
【0005】
図8(A)の回路構成は、
図8(B)に示す構成と等価である。即ち、V/2の理想電源と出力インピーダンスRとを組み合わせた構成と等価である。
【0006】
図8(B)の構成は、
図8(C)に示す構成と等価である。ここで、負荷電流Iを負荷に対して流すと、上側電池E1は[V/2+IR]となり、下側電池E2は[V/2-IR]となりアンバランスになる。
【0007】
図9は、FET1、FET2にP(比例制御)I(積分制御)D(微分制御)制御を加える従来技術のDCDCコンバータの構成を示す。FET1、FET2の接続点CPから12Vの出力電圧が、V/2の基準電圧とオペアンプOPIで比較され、微分回路136で微分されて加算ノードANに加えられる。同様に、12Vの出力電圧が、V/2の基準電圧とオペアンプOPPで比較され、加算ノードANに加えられる。12Vの出力電圧が、V/2の基準電圧とオペアンプOPDで比較され、積分回路138で積分されて加算ノードANに加えられる。加算ノードANからの出力が、FET1、FET2にフィードバックされる。
【0008】
図10は、
図9に示す回路の入力電圧(10(A))、出力電流(10(B))、出力電圧(
図10(C))を示す。DCDCコンバータの電流制限以上の電流が流れる過電流時、出力電圧は低下する。
【0009】
図11(A)は、
図8(A)に示す回路に、
図9に示すP(比例制御)I(積分制御)D(微分制御)制御を加えた構成を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
車両電源装置では、例えば、電動パワーステアリングのモータを急回転させる際に、規定出力電流以上の出力が発生する場合が生じる。このような際に、
図11(A)の構成の出力電流を表す
図11(B)中に示されるように、実線で示される下側電池E2の電圧が、破線で示される下側電池E2の平均電圧を下回るようになる。即ち、リアルタイムのP(比例制御)I(積分制御)D(微分制御)制御では、電池の電圧印加時間と化学反応の遅れ時間によって、下側電池E2の電圧が低下し(2/VよりもΔV[
図8(C)中のIR]だけ低い)、上側電池E1の電圧が上昇し(2/VよりもΔVだけ高い)、上側電池と下側電池とのバランスが悪くなり、電池が消耗して、寿命が短くなる。
【0012】
本発明の目的は、上側電池と下側電池とのバランスを取ることができる車両電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る車両電源装置は、高電圧側の上側電池と、低電圧側の下側電池とに分割された電池と、前記上側電池と前記下側電池に、予め設定された出力制限内で電力を供給するDC-DCコンバータとを備える。更に、前記DC-DCコンバータの出力の長時間平均値と目標値との差をフィードバックするフィードバック制御を付加したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
従来技術のP(比例制御)I(積分制御)D(微分制御)制御のI(積分制御)の積分項には、現時点での出力電値圧を出力指示電圧に保つための設定がなされている。このため、従来技術のP(比例制御)I(積分制御)D(微分制御)制御のI(積分制御)の積分項の時定数を大きくした場合、目標指示電圧への応答が悪くなり、出力させたい電圧値と異なった電圧が出力されることになる。
【0015】
請求項1の車両電源装置は、長い時間のフィードバック制御が付加される。このため、長期間においても電池のバランスを取るように制御が行える。
【0016】
請求項2の車両電源装置は、P(比例制御)I(積分制御)D(微分制御)制御により電力を供給する電源回路に、更に、PID制御のI(積分制御)制御よりも長い時間のフィードバック制御が付加される。このため、短期間で見た場合、目標出力電圧とほぼ同じ電圧が出力でき、長期間で見た場合、電池のバランスを取るように制御が行える。
【0017】
更に、リアルタイムのP(比例制御)I(積分制御)D(微分制御)制御のみでは、電池の電圧印加時間と化学反応の遅れ時間によって、下側電池の電圧が低下し、上側電池と下側電池とのバランスが悪くなるが、PID制御のI(積分制御)制御よりも長い時間のフィードバック制御が付加されることで、電池の電圧印加時間と化学反応の遅れ時間に対応させ、上側電池と下側電池とのバランスを取ることで、電池の消耗を低減し、電池寿命を延ばすことができる。
【0018】
請求項3の車両電源装置は、フィードバック制御でDC-DCコンバータの出力の長時間平均値と目標値との差をDC-DCコンバータの入力側に加える。このため、短期間で見た場合、目標出力電圧とほぼ同じ電圧が出力でき、長期間で見た場合、電池のバランスを取るように制御が行える。
【0019】
請求項4の車両電源装置は、上側電池と下側電池の電圧はほぼ等しいため、電源回路は、50-50の簡易なデュ-ティで上側電池と下側電池とを充電することができる。
【0020】
請求項5の車両電源装置は、上側電池の電圧は下側電池の電圧よりも高い。電源回路は、デュ-ティ比を電圧に合わせて調整することで上側電池と下側電池とを充電することができる。
【0021】
請求項6の車両電源装置は、長時間平均値は演算処理によって求められため、例えば、1時間程度の長時間の平均を正確に求めることができ、電池の電圧印加時間と化学反応の遅れ時間に対応させ、上側電池と下側電池とのバランスを取ることで、電池の消耗を低減し、電池寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る車両電源装置のバランス回路、上側電池、下側電池の等価回路を示す図。
【
図2】第1実施形態の車両電源装置のPID制御の内容を示す図。
【
図3】
図3(A)は第1実施形態の車両電源装置の出力電流を、
図3(B)は時定数の長い積分制御が付加されない場合の出力電圧を、
図3(C)は時定数の長い積分制御が付加された場合の出力電圧を示す。
【
図5】本発明の第1実施形態の改変例に係る車両電源装置の回路図。
【
図7】第1実施形態及び従来技術の車両電源装置の構成を示す図。
【
図8】従来技術の車両電源装置のバランス回路、上側電池、下側電池の等価回路を示す図。
【
図9】FETにPID制御を加える従来技術のDCDCコンバータの構成を示す図。
【
図11】
図11(A)は従来技術のDCDCコンバータの構成を示し、
図11(B)は、
図11(A)のDC-CDコンバータの出力電圧を表す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
図7は、第1実施形態に係る車両電源装置10の構成を示す。
電池は、24Vの高電圧VB側に接続された上側電池E1と、アースEA側に接続された下側電池E2とに分割されている。上側電池E1の電圧と、下側電池E2の電圧は共に12Vである。上側電池E1と下側電池E2との接続点CPから12Vの電流Ioutが出力される。高電圧VB側から24Vの高電圧が供給される。上側電池E1、下側電池E2はバランス回路40によって充電が成される。バランス回路40は制御部30によって制御される。制御部30及びバランス回路40はDC-DCコンバータを構成する。
【0024】
制御部30は、予め設定された定格出力容量を超える出力電流が長時間流れないようにし、出力異常時に安全に動作を行うため、出力電流Ioutに対して電流制限を加える。即ち、制御部30は、出力電流(電流Iout)をモニターして異常な電流を検出した場合、それ以上出力電流が流れないように電流制限を加える。なお、定格出力容量を超える出力電流が流れるのは、全体の時間の間の極短時間だけである。例えば、電動パワーステアリングをロック状態まで操作した場合、極短い時間(2秒程度)、大きな出力電流が流れる。なお、電動パワーステアリングのロック状態が発生する頻度は、ほとんどなく、多くても1時間に1回程度と想定される。
【0025】
図1中に、
図7中のバランス回路、上側電池E1、下側電池E2の等価回路が示される。FET1、FET2には、デュティ50%の制御信号が加えられ、FET1はコイルLを介して上側電池E1を充電し、FET2はコイルLを介して下側電池E2を充電する。
【0026】
FET1、FET2の入力側には、P(比例制御)I(積分制御)D(微分制御)制御を行うPID制御50が設けられている。PID制御の内容は
図2に示される。FET1、FET2の接続点CPから12Vの出力電圧が、V/2の基準電圧とオペアンプOPIで比較され、微分回路36で微分されて第1加算ノードAN1に加えられる。同様に、12Vの出力電圧が、V/2の基準電圧とオペアンプOPPで比較され、第1加算ノードAN1に加えられる。12Vの出力電圧が、V/2の基準電圧と第1オペアンプOPD1で比較され、積分回路38で積分されて第1加算ノードAN1に加えられる。第1加算ノードAN1からの出力が、FET1、FET2にフィードバックされる。
【0027】
第1実施形態の車両電源装置10では、PID制御50に加え、PID制御50の積分回路38によるI制御よりも長い時間の平均値を求める平均化手段68によるフィードバック制御60が付加されている。平均化手段68の平均時間は、積分回路38の時定数よりも少なくとも10倍以上長いことが好適であり、100倍以上長いことが更に望ましい。
平均化手段68でPID制御50の積分回路38によるI制御よりも長い時間の平均値が求められ、求められた平均値がV/2の基準電圧(目標値)と第2オペアンプOPD2で比較され、差分が第2加算ノードAN2に加えられる。第2加算ノードAN2からの出力が、PID制御50の一方の入力端子に加えられる。PID制御50の他方の入力端子には12Vの出力電圧が加えられる。
【0028】
図3(A)は第1実施形態の出力電流を、
図3(B)はフィードバック制御が付加されない場合の出力電圧を、
図3(C)はフィードバック制御が付加された場合の出力電圧を示している。
【0029】
図3(B)に示されるフィードバック制御が付加されない場合、出力電流が車両電源装置の電流制限を超える際に、上述したように出力電流(電流Iout)をモニターしている制御部30は、異常な電流を検出し、それ以上出力電流が流れないように電流制限を加える。これにより、実線で示される下側電池E2の電圧が、破線で示される下側電池E2の平均電圧を下回るようになる。
【0030】
図3(C)に示されるフィードバック制御が付加された場合、出力電流が車両電源装置の電流制限を超える際に、実線で示される下側電池E2の電圧が、破線で示される下側電池E2の平均電圧を下回るようになるが、出力電流が電流制限内になると、しばらくの間、実線で示される下側電池E2の電圧が、破線で示される下側電池E2の平均電圧を上回る。即ち、実線で示される下側電池E2の電圧が、破線で示される下側電池E2の平均電圧を下回るようになった矩形の面積と、実線で示される下側電池E2の電圧が、破線で示される下側電池E2の平均電圧を上回った台形の面積とが等しくなる。
【0031】
従来技術のP(比例制御)I(積分制御)D(微分制御)制御のI(積分制御)の積分項には、現時点での出力電値圧を出力指示電圧に保つための設定がなされている。このため、従来技術のP(比例制御)I(積分制御)D(微分制御)制御のI(積分制御)の積分項の時定数を大きくした場合、目標指示電圧への応答が悪くなり、出力させたい電圧値と異なった電圧が出力されることになる。
【0032】
第1実施形態の車両電源装置10は、P(比例制御)I(積分制御)D(微分制御)制御により電力を供給する電源回路(FET1、FET2)に、更に、PID制御の積分回路38のI制御よりも長い時間の平均化手段68によるフィードバック制御60が付加される。このため、短期間で見た場合、目標出力電圧とほぼ同じ電圧が出力でき、長期間で見た場合、電池のバランスを取るように制御が行える。更に、PID制御のI(積分制御)制御よりも長い時間のフィードバック制御が付加されることで、電池の電圧印加時間と化学反応の遅れ時間に対応させ、上側電池と下側電池とのバランスを取ることで、電池の消耗を低減し、電池寿命を延ばすことができる。
【0033】
ここで、使用される出力電流よりも十分に大きな容量をDC-DCコンバータに設定する、即ち、ハードウエアの強化によって、出力電圧の低下を無くし、平均電圧を保つ方法も考え得る。しなしながら、DC-DCコンバータの出力容量を上げると、車両電源装置が大型化すると共に、高価になるという問題が生じる。これに対して、第1実施形態の車両電源装置10ではフィードバック制御によって長期的に電池のバランスを取り、電池の消耗を低減し、電池の活用時間を延ばすことができる。
【0034】
図4は、マイコン(デジタル回路)で構成した平均化手段68での処理を示すフローチャートである。
ステップ12で、変数iを1にして、平均値を算出する途中のVsumを0に初期化する。
ステップ14で、変数iが合計積分時間xより小さいかを判断する。合計積分時間としては例えば1時間が設定されている。変数iが合計積分時間xより小さい場合(S14:Yes)、ステップ16へ移行する。
【0035】
ステップ16で、Viに1が加えられ、VsumがVsum+Viに、即ち、前回のVsumに今回の電圧値Viが加算される。変数iに1が加えられる。ステップ16では、V1~Vxの過去の電圧値データをずらして、合計値が計算される。
【0036】
ステップ14で、変数iが合計積分時間xより小さいかを判断する。変数iが合計積分時間xより大きい、または、等しい場合(S14:No)、ステップ18へ移行する。
【0037】
ステップ18で、VxはVout(現時点の出力電圧値)とされ、平均値を算出する途中のVsumはVsum+Voutとされ、目標電圧値Vtargetはx分の電圧値を足し込んだVsum/xとして求められる。即ち、最新の電圧値を合計し、平均値が算出される。
【0038】
第1実施形態の車両電源装置は、付加されるフィードバック制御は、長時間平均の制御であるため、電池の電圧印加時間と化学反応の遅れ時間に対応させ、上側電池と下側電池とのバランスを取ることで、電池の消耗を低減し、電池寿命を延ばすことができる。
【0039】
第1実施形態の車両電源装置は、長時間平均値は演算処理によって求められため、例えば、1時間程度の長時間の平均を正確に求めることができ、電池の電圧印加時間と化学反応の遅れ時間に対応させ、上側電池と下側電池とのバランスを取ることで、電池の消耗を低減し、電池寿命を延ばすことができる。
【0040】
第1実施形態の車両電源装置は、上側電池E1と下側電池E2の電圧はほぼ等しいため、電源回路は、50-50の簡易なデュ-ティで上側電池と下側電池とを充電することができる。
【0041】
[第1実施形態の改変例]
図5は第1実施形態の改変例に係る車両電源装置110の構成を示す。
電池は、48Vの高電圧VB側に接続された上側電池E1と、アースEA側に接続された下側電池E2に分割されている。上側電池E1の電圧は36V、下側電池E2の電圧は12Vである。上側電池E1と下側電池E2との接続点CPから12Vの電流Ioutが出力される。高電圧VB側から48Vの高電圧が供給される。上側電池E1、下側電池E2はPID制御50によって充電が成される。FET1には、デュティ25%の制御信号が加えられ、コイルLを介して上側電池E1を充電する。FET2には、デュティ75%の制御信号が加えられ、コイルLを介して下側電池E2を充電する。
【0042】
第1実施形態の改変例に係る車両電源装置では、上側電池E1の電圧は下側電池E2の電圧よりも高い。FET1、FET2のデュ-ティ比を電圧に合わせて調整することで、上側電池E1と下側電池E2とを充電することができる。
【0043】
[第2実施形態]
図6は第2実施形態に係る車両電源装置210の構成を示す。
デュ-ティ制御150により、FET1に50%のデュ-ティ信号が加えられ、コイルLを介して上側電池E1が充電される。デュ-ティ制御150により、FET2に50%のデュ-ティ信号が加えられ、コイルLを介して下側電池E2が充電する。
フィードバック制御60で長い時間の平均値を求める平均化手段68による平均値が求められ、求められた平均値がV/2の基準電圧(目標値)と第2オペアンプOPD2で比較され、差分が第2加算ノードAN2に加えられる。差分に基づき、デュ-ティ制御150が、FET1への50%のデュ-ティ信号、FET2への50%のデュ-ティ信号を加算/減算することで、長期間においても電池のバランスを取るように制御が行える。
【符号の説明】
【0044】
10 車両電源装置
36 微分回路
38 積分回路
50 PID制御
60 フィードバック制御
68 平均化手段
EA アース
VB 高電圧
E1 上側電池
E2 下側電池