(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046580
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 43/30 20060101AFI20230329BHJP
B65B 43/18 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
B65B43/30 A
B65B43/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155250
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】段 良雄
【テーマコード(参考)】
3E030
【Fターム(参考)】
3E030AA04
3E030BA02
3E030BB02
3E030BC02
3E030CA01
3E030CA02
3E030CB01
3E030CC01
3E030DA01
3E030DA02
3E030EA01
3E030EB01
3E030GA02
3E030GA04
(57)【要約】
【課題】本発明は、開口時、袋にしわや傷が発生しにくい包装機を提供する。
【解決手段】
所定の袋を把持する把持ユニット20と、この把持ユニット20に把持された袋を開口させる開口ユニット30とを具備し、前記把持ユニット20は、前記袋Hの両側縁部をそれぞれ把持する一対の把持爪26と、この把持爪26をそれぞれ接近、離反する方向に往復旋回移動させる旋回機構21とを備える包装機10による。これにより、袋の縁部を把持する把持爪が往復旋回移動し、結果、袋の把持箇所周辺にしわや傷等が生じ難くなる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の袋を把持する把持ユニットと、この把持ユニットに把持された袋を開口させる開口ユニットとを具備し、
前記把持ユニットは、前記袋の縁部を把持する一対の把持爪と、この把持爪をそれぞれ接近、離反する方向に往復旋回移動させる旋回機構を有することを特徴とする包装機。
【請求項2】
前記把持爪は、袋の所定の角部を中心に旋回することを特徴とする請求項1に記載の包装機。
【請求項3】
前記旋回機構は、袋と直交する方向に延びる支軸と、この支軸を中心に回転する回転ロッドとを有しており、
前記把持爪は、それぞれ旋回機構の回転ロッドに支持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の包装機。
【請求項4】
前記支軸には、それぞれ他方の支軸に向かい延びる腕部が固定されており、一方の腕部の先端には連結部材が設けられるとともに、他方の腕部にはその長手方向へ延びる長穴が形成され、
前記長穴には、連結部材が移動自在かつ回転自在に挿通していることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の包装機。
【請求項5】
前記把持ユニットは、基台上に設置され、間欠回転可能な回転テーブルに所定の角度毎に設置されており、
前記機台には、把持ユニットに袋を供給する供給ユニットと、この供給ユニットにより供給された袋を開口する前記開口ユニットと、この開口ユニットにより開口された袋に所望のワークを投入する投入ユニットと、ワークが投入された袋の開口部を封止する封止ユニットとが設けられており、
前記供給ユニットと、開口ユニットと、投入ユニットと、投入ユニットは、回転テーブルの回転による把持ユニットの移動経路上に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の包装機。
【請求項6】
前記基台には、前記連結部材と常時当接する当接部が設けられており、
前記当接部は、中段部および中段部より低く構成される下段部を有し、
前記中段部は、供給ユニットと相対する把持ユニットの連結部材に当接する位置に設けられており、前記下段部は、開口ユニットおよび投入ユニットと相対する把持ユニットの連結部材に当接する位置に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給された袋を開口して、所望部品を投入後、当該袋を封止する包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の袋に部品等を投入する包装機として、特許文献1に開示されたものが知られている。この包装機は、供給された所定の袋を把持する把持ユニットと、把持ユニットに把持された袋を開口する開口ユニットを有しており、これらにより、所定の位置で開口する袋にワークを投入するように構成されている。このような包装機において、前記把持ユニットは、
図7の(a)に示すように袋Hの両側縁部それぞれを把持する一対の把持爪26′,26′を有しており、これら把持爪26′,26′を前記開口ユニットが
図7の(b)に示すように袋Hを開口するに合わせて接近させるように構成されている。このため、袋Hの開口時にその開口部が突っ張らず、円滑に開くことが可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の包装機は、
図6の(b)に示すように袋Hを把持する把持爪26′,26′が袋Hの底部に対して平行に接近するように構成されていた。これにより、アルミニウム等の金属製の袋やチャック付き袋等、比較的変形し難い袋を開口させると、把持爪26′,26′に把持され、鉛直な状態の部分と、当該部分より底側に位置し、底部の角H1を基準に傾斜する部分との境界に屈曲H4が発生していた。この屈曲H4がしわや傷として残ると袋Hが不良品なる問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて創生されたものであり、袋にしわや傷ができにくい包装機の提供を目的とする。この目的を達成するために本発明は、所定の袋を把持する把持ユニットと、この把持ユニットに把持された袋を開口させる開口ユニットとを具備し、前記把持ユニットは、前記袋の縁部を把持する一対の把持爪と、この把持爪をそれぞれ接近、離反する方向に往復旋回移動させる旋回機構を有することを特徴とする。なお、前記把持爪は、袋の所定の角部を中心に旋回することが好ましい。また、前記旋回機構は、袋と直交する方向に延びる支軸と、この支軸を中心に回転する回転ロッドとを有しており、前記把持爪は、それぞれ旋回機構の回転ロッドに支持されていることが好ましい。さらに、前記支軸には、それぞれ他方の支軸に向かい延びる腕部が固定されており、一方の腕部の先端には連結部材が設けられるとともに、他方の腕部にはその長手方向へ延びる長穴が形成され、前記長穴には、連結部材が移動自在かつ回転自在に挿通していることが好ましい。また、前記把持ユニットは、基台上に設置され、間欠回転可能な回転テーブルに所定の角度毎に設置されており、前記機台には、把持ユニットに袋を供給する供給ユニットと、この供給ユニットにより供給された袋を開口する前記開口ユニットと、この開口ユニットにより開口された袋に所望のワークを投入する投入ユニットと、ワークが投入された袋の開口部を封止する封止ユニットが設けられており、前記供給ユニットと、開口ユニットと、投入ユニットと、投入ユニットは、回転テーブルの回転による把持ユニットの移動経路上に配置されていることが好ましい。さらに、前記基台には、前記連結部材と常時当接する当接部が設けられており、前記当接部は、中段部および中段部より低く構成される下段部を有し、前記中段部は、供給ユニットと相対する把持ユニットの連結部材に当接する位置に設けられており、前記下段部は、開口ユニットおよび投入ユニットと相対する把持ユニットの連結部材に当接する位置に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の包装機は、袋の縁部を把持する把持爪が往復旋回移動するため、開口時に屈曲が起こらず、袋にしわや傷等が生じ難くなる等の利点がある。なお、把持爪が袋の角部を中心に旋回する際、把持爪による袋の把持箇所が角部と一定の距離を保ち回転するため、よりしわや傷等が生じ難くなる等の利点もある。また、前記旋回機構が支軸と、回転ロッドとを有しており、前記把持爪が回転ロッドに支持されているため、当該回転ロッドを交換することで様々な形状の袋に対応できる等の利点もある。さらに、腕部およびこの腕部を連結させる連結部材により、対となる支軸および把持爪の回転が同期するため、袋の撓み形状を毎回ほぼ同じ形状にすることができ、開口動作後の部品の投入動作等の精度が向上する等の利点もある。また、把持ユニットが回転テーブルに複数個所定の角度毎に設置され、当該把持ユニットの移動経路上に供給ユニットと、開口ユニットと、投入ユニットと、封止ユニットが配置されているため、複数の袋に対して異なる作業を実施でき、サイクルタイムが向上する等の利点もある。さらに、前記連結部材と常時当接する当接部を有しており、当該当接部が中段部および下段部を有する段付き形状であるため、別途駆動源を設けること無く前記把持爪を旋回動作させることが可能等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る包装機の構造を示す平面概略図である。
【
図2】
図1からの状態から次の状態へ移行する動作を示す平面概略図である。
【
図3】本発明に係る包装機の把持部の構造を示す要部拡大平面図であり、(a)は把持爪が閉じた状態を示す平面図であり、(b)は把持爪が開いた状態を示す平面図である。
【
図4】本発明に係る包装機の把持部の動作を示す展開図であり、左から連結部材が中段部に当接している状態を示す背面図、連結部材が下段部に当接している状態を示す背面図、連結部材が上段部に当接している状態を示す背面図である。
【
図5】本発明に係る包装機包装機がチャック付き袋を把持した時の把持部の動作を示す展開図であり、左から連結部材が中段部に当接している状態を示す背面図、連結部材が下段部に当接している状態を示す背面図である。
【
図6】本発明に係る包装機の把持部の移動による袋の変形を示す概略図であり、(a)は変形前の袋の形状を示す概略正面図であり、(b)は把持部が旋回しながら接近した時の袋の形状を示す概略正面図である。
【
図7】従来の包装機の把持部の移動による袋の変形を示す概略図であり、(a)は変形前の袋の形状を示す概略正面図であり、(b)は把持爪が平行に接近した時の袋の形状を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1および
図2において10は、矩形の袋Hに所定の部品(図示せず)を投入する包装機である。この包装機10は、
図1に示すように基台11上に固定された駆動モータ12と、この駆動モータ12の駆動を受けて間欠回転可能な回転テーブル13とを備えている。また、回転テーブル13には、袋Hを把持する把持ユニット20が複数組円周方向に沿って所定の間隔で設けられており、前記基台11上には、
図1に示すように前記回転テーブル13による把持ユニット20の間欠回転停止位置に袋Hを供給する供給ユニット30と、袋Hを開口する開口ユニット40と、開口された袋Hに所望の部品を投入する投入ユニット50と、部品を内包する袋Hの開口部を閉鎖する封止ユニット60と、開口部が閉鎖された袋Hを排出する排出ユニット70とが配設されている。さらに、包装機10は、制御部(図示せず)を備えており、この制御部により各ユニットの駆動が制御されている。
【0009】
前記袋Hは、その一辺を開口可能にした矩形の平袋であり、内部に部品を貯留可能な容量に設定されている。この袋Hは、アルミニウムからなる外層と、熱可塑性樹脂の一例であるポリプロピレンからなる内層からなる二層構造を成しており、加熱されることで内層のポリプロピレンが溶着され、当該加熱箇所を封止可能に構成されている。
【0010】
前記把持ユニット20は、
図3の(a)に示すよう左右一対の旋回機構21,21と、この旋回機構21,21それぞれに支持される一対の把持爪26,26とを有している。この旋回機構21は、前記回転テーブル13に固定された支持ブロック22と、この支持ブロック22を回転自在に挿通する支軸23と、この支軸23の回転テーブル13の径方向外側端部に固定される回転ロッド24とを備えている。この回転ロッド24は、支軸23から鉛直上向きに延びるよう設定されており、その上端部には、前記把持爪26が固定されている。このため、把持爪26は、前記支軸23を中心とした所定の円弧に沿って旋回可能となる。また、
図4に示すように前記支軸23の回転テーブル13の径方向内側端部には、それぞれ他方の支軸23に向かい伸びる腕部25a,25bが設けられており、一方の腕部25aの先端には、軸部251とカムフォロア252からなる連結部材250が装着されるとともに、他方の腕部25bの先端には、前記連結部材250の軸部251を回転自在かつ当該腕部25の長手方向へ移動自在に保持する長穴25b1が形成されている。このため、
図4に示すように連結部材250が当初高さより下降すると両方の支軸23,23が前記回転ロッド24の上側を接近させる方向に回転し、連結部材250が当初高さより上昇すると両方の支軸23,23が前記回転ロッド24の上側を離反させる方向に回転する。
【0011】
また、前記基台11には、前記回転テーブル13より下側に、前記連結部材250の移動経路に沿って延び、当該連結部材250のカムフォロア252と常時当接する当接部14が形成されている。この当接部14は、前記前記連結部材250を回転ロッド24が鉛直となる所定の高さで支持する中段部141と、当該中段部141より下側に設けられる下段部142および中段部141より上側に設けられる上段部143とを有する段付き形状に構成されている。
図1および
図2に示すように前記下段部142は前記開口ユニット40および投入ユニット50と相対する位置に設けられている一方、上段部143は前記封止ユニット60と相対する位置に設けられている。これらにより、回転テーブル13の回転駆動により前記把持ユニット20が移動すると、連結部材250は、
図4に示すように当接部14に沿って移動しながら昇降する。この連結部材250の昇降により、前記支軸23および回転ロッド24が回転するとともに回転ロッドに連動して把持ユニット20が旋回することとなる。なお、対となる回転ロッド24の間には、引張りばね241が設けられており、この引張りばね241は、常時回転ロッド24の上側を接近させる方向に付勢している。この引張りばね241により、前記連結部材250は、常時下側に付勢され、当接部14に押し付けられることとなっている。
【0012】
前記把持爪26は、前記回転ロッド24に固定され、前記支軸23と平行に伸びる固定爪261と、この固定爪261に対して開閉する開閉爪262とを有している。この開閉爪262は、前記固定爪261を貫通する止めねじ263を中心に回転するよう構成されており、固定爪261から離反する側の端部に連結軸27が固定されている。この連結軸27は、その両端に回転軸受けを有しており、固定爪261と逆側の端部には、開閉操作部28が連結されている。この開閉操作部28は、前記固定爪261を貫通する第二の止めねじ281を中心に回転自在に構成された棒材であり、連結軸27とは逆側の端部に回転軸受けからなる係合部282が設けられている。このため、
図3の(b)に示すように係合部282を回転テーブル13の径方向外側に移動させることで、開閉操作部28が回転し、前記連結軸27を回転テーブル13の径方向内側に引き込むこととなる。これにより、連結軸27に引かれた前記開閉爪262が固定爪261から離れる方向に回転駆動する。また、前記開閉操作部28には、前記連結軸27側の端部に閉鎖ばね29が取り付けられている。この閉鎖ばね29は、
図3の(a)に示すように前記連結軸27を回転テーブル13の径方向外側に向かい付勢しており、前記開閉爪262を常時閉じる方向に付勢している。
【0013】
また、前記基台11上には、前記把持爪26,26を開閉駆動させる開閉駆動源の一例として開閉シリンダ15が設けられている。この開閉シリンダ15は、
図1および
図2に示すように前記把持ユニット20が前記供給ユニット30および排出ユニット70と相対する位置に配置されており、この開閉シリンダ15の可動部には、前記係合部282と係合し、これを回転テーブル13の径方向外側に付勢可能な係合板16が固定されている。これにより、この開閉シリンダ15が駆動すると、係合板16が係合部282を回転テーブル13の径方向外側に付勢する。これにより、開閉操作部28が回転することで、開閉爪262が固定爪261から離れる方向に回転し、把持爪26が開くことなる。
【0014】
前記供給ユニット30は、前記袋Hを収納可能なマガジン31を備えている。このマガジン31は、上側に開口した箱形状に構成されており、その内部には、水平姿勢の袋Hが複数枚重ねられている。このマガジン31の上方には、供給シリンダ32が設けられており、この供給シリンダ32の駆動部先端には、供給用吸着パッド33が設けられている。この供給用吸着パッド33には、供給用吸気手段(図示せず)が連続しており、この供給用吸気手段が作動することにより、供給用吸着パッド33に袋Hを吸着保持できる。また、前記供給シリンダ32は、水平方向に延びる回転軸34を中心に前記把持ユニット20に向けて90度回転可能かつ、前記供給用吸着パッド33をマガジン31および把持ユニット20に向けて往復駆動可能に構成されている。これら構造により、供給用吸着パッド33は、袋Hを吸着保持しながら、供給シリンダ32の駆動により回転軸34と接近、離反する方向に往復駆動可能かつ回転軸34の駆動により旋回して、把持ユニット20に袋Hを受け渡し可能となる。なお、当該供給ユニット20は、前記把持ユニット20の支軸23の回転軸の延長線上に袋Hの底側角部H1が位置するよう所定の高さで袋Hを供給可能に構成されている。また、袋Hは、供給シリンダ32の回転時に水平姿勢から90度向きを変えた鉛直姿勢となるため、前記マガジン31内では、鉛直姿勢になった際、開口部が上方に向くよう揃えられている。
【0015】
前記開口ユニット40は、前記把持ユニット20とほぼ同じ高さに設けられており、前記把持爪26,26に把持された袋Hの表裏面それぞれに当接する一対の開口用吸着パッド41,41およびこの開口用吸着パッド41,41を袋Hと直交方向に往復駆動させる開口駆動部(図示せず)を備える。開口用吸着パッド41には、開口用吸気手段(図示せず)が連続しており、この開口用吸気手段が作動することにより、開口用吸着パッド41が袋Hを吸着可能となる。
【0016】
前記投入ユニット50は、前記把持ユニット20より、上側に設けられた投入シュート51と、この投入シュート51を昇降させる投入駆動部(図示せず)とから構成されている。この投入シュート51の上側には、外部の部品供給装置(図示せず)が連続しており、部品供給装置から供給された部品を任意の個数ずつ袋H内に供給可能に構成されている。
【0017】
前記封止ユニット60は、袋Hの開口箇所付近を挟持するよう配置された一対のヒータ部材61,61と、このヒータ部材61,61を袋Hと直交方向に往復駆動させる封止駆動部(図示せず)とから構成されており、このヒータ部材61,61は、常時袋Hを溶着可能な温度にまで加熱されている。
【0018】
前記排出ユニット70は、前記袋Hに対して十分な広さを有する中空筒状部材から構成されており、その上側開口端が前記把持ユニット20に把持された袋Hより下方に位置するよう配設されている。
【0019】
次に、上記のように構成された包装機10の作用を説明する。
駆動信号が入力されると、制御部が前記開閉シリンダ15を作動させ、前記供給ユニット30と相対する把持ユニット20の係合部282を回転テーブル13の径方向外側に移動させる。これにより、前記開閉爪262が固定爪261から離れる方向に回転し、把持爪26が開かれる。把持爪26が開かれると前記供給ユニット30が駆動し、前記マガジン31から袋Hを1枚抜き出して把持爪26に供給する。袋Hが供給されると前記開閉シリンダ15が逆方向に作動する。これにより、開閉爪262は、前記閉鎖ばね29の駆動を受けて固定爪261側に向かい回転し、把持爪26が閉じられる。このため、袋Hは、
図6の(a)に示されるようにその両側縁部を把持爪26に把持された状態で吊下げ支持される。なお、この時、連結部材250は、当接部14の中段部141に当接しており、回転ロッド24は、鉛直方向を向いている。袋Hが把持爪26に把持されると制御部は、回転テーブル13を回転させ、把持ユニット20および袋Hを開口ユニット40に向かい移動させる。この時、把持ユニット20が供給ユニット30から開口ユニット40に向かうに連れて、前記連結部材250が当接部14の中段部141から下段部142へ徐々に下がっていく。これに連動して回転ロッド24および把持爪26は、
図6の(b)に示すようにその上側が接近する方向に徐々に傾斜していく。このため、
図4に示すように、把持爪26に把持された袋Hの開口部が徐々に撓んでいく。この時、前記把持爪26が前記支軸23を中心に回転しながら傾斜する構造であり、当該支軸23の回転軸の延長線上に袋Hの底側角部H1が位置するよう配置されてことにより、袋Hの把持爪26に把持される把持箇所は、底側角部H1付近を中心とする円弧状に移動することとなる。このため、把持爪26,26が接近しても、
図7の(b)に示す従来の包装機のように袋Hに屈曲H4が発生することがない。結果、アルミニウム等の金属からなる比較的固い袋であっても把持箇所と底側角部H1との間にしわや傷ができることなく、円滑に撓ませることが可能となる。
【0020】
制御部は、把持爪26が開口ユニット40と相対する位置に達すると、回転テーブル13を停止させるとともに、前記開口駆動部を駆動させ、開口用吸着パッド41,41を互いに接近させる。互いに接近した開口用吸着パッド41,41が袋Hの表裏面それぞれに当接すると、制御部は、前記開口用吸気手段が駆動させるとともに開口駆動部を再度駆動させて開口用吸着パッド41,41を互いに離反させる。これにより、袋Hは、表裏面がそれぞれ異なる方向に引っ張られて開口する。この時、上述のように袋Hの開口部に撓みが生じているため、袋Hを円滑に開口することが可能となる。結果、当該開口時に開口用吸着パッド41,41が袋Hから外れ、十分に開口しないこと等が防止される。制御部は、袋Hが開口すると、前記開口用吸気手段を停止させるとともに、開口用吸着パッド41,41を袋Hから外す。制御部は、開口用吸着パッド41,41が袋Hから外れると、回転テーブル13を再度回転させ、把持ユニット20および袋Hを投入ユニット50に向かい移動させる。
【0021】
制御部は把持爪26が投入ユニット50の下方に達すると回転テーブル13を停止させるとともに、前記投入駆動部を駆動させて、投入シュート51を袋Hの開口部に挿入する。投入シュート51が袋Hに挿入されると、前記部品供給装置が駆動し、袋H内に部品を投入する。部品が所定量投入されると、制御部は、投入駆動源を複動させて投入シュート51を袋Hから抜去し、回転テーブル13を再度回転させ、把持ユニット20および袋Hを封止ユニット60に向かい移動させる。この時、把持ユニット20が投入ユニット50から封止ユニット60に向かうに連れて、前記連結部材250が当接部14の低い下段部142から高い上段部143へ移動して徐々に上がっていく。このため、連結部材250に連動して回転ロッド24および把持爪26は、その上側が離反する方向に徐々に傾斜していく。このため、
図4に示すように把持爪26に把持された袋Hの開口部が徐々に張る。この後、移動する把持爪26が封止ユニット60の下方に達すると制御部は回転テーブル13を停止させるとともに、前記封止駆動部を駆動させてヒータ部材61、61互いに接近させる。このように互いに接近したヒータ部材61,61が袋Hの表裏面それぞれに当接することで、袋Hの開口部付近がヒータ部材61,61の熱で溶着される。この時、前述のように袋Hの開口部が張っているため、当該封止箇所に撓みやしわ等が形成されない。特に、上側が開口するように傾斜することで、部品の投入時等で、袋Hが把持爪26の当初位置からずれた場合においても開口部に張りを持たせることができ、封止された袋Hに撓みやしわ等の不良が発生し難くなる。その後、制御部は、封止駆動部を複動させて、ヒータ部材61,61を袋Hの表裏面から離反させるとともに、回転テーブル13を再度回転させ、把持ユニット20および袋Hを排出ユニット70に向かい移動させる。把持爪26が排出ユニット70の上方に達すると制御部は回転テーブル13を停止させるとともに、前記開閉シリンダ15を駆動させて係合部282を回転テーブル13の径方向外側に移動させる。これにより、把持爪26が開かれ、袋Hが排出ユニット70内に落下する。その後制御部は、回転テーブル13を再度回転させ、把持ユニット20を供給ユニット30に向かい移動させ、次段の袋Hを受け取る。なお、把持ユニット20は、排出ユニット70から供給ユニット30に向かうに連れて、前記連結部材250が当接部14の上段部143から中段部141へ徐々に下がり当初高さに復帰する。
【0022】
上述のような駆動時、連結部材250が当接部14に沿って摺動することで、前記把持爪26が支軸23を中心に旋回する構造であるため、回転テーブル13を回転させる回転駆動源以外に別途把持爪26を旋回駆動させる駆動源を設ける必要がないため、制御部の構成が単純で良くなる。また、把持爪26を開閉駆動させる開閉シリンダ15が基台11上に配置されているため、回転テーブル13上に駆動源を配置する必要がない。これらのように回転テーブル13上に駆動源を配置しない構造により、回転駆動時、電気配線やエア配管等が絡まることなく把持爪26の開閉、旋回動作が可能となる。
【0023】
なお、本発明に係る包装機10は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、前記当接部14は、把持ユニット20が開口ユニット40と相対した際、開口ユニット40が袋Hを開口するに従い、前記連結部材250を徐々に下降させる昇降シリンダ(図示せず)を備えていても良い。また、前記開閉シリンダ15は、把持ユニット20が開口ユニット40と相対する位置にも配置されても良い。この際、当該開閉シリンダ15周辺に不良排出部(図示せず)が設けられていることが好ましく、開口ユニット40により、所定の回数以上開閉動作を行われても袋Hが開口しない場合に当該袋Hを不良と判断して不良排出部に排出することが可能となる。このため、不良の袋Hに対してずっと開口動作を行うことがなく、効率的に作業可能となる。さらに、本願発明の要部である袋Hを把持する把持爪26が往復旋回駆動する構成は、所定の袋Hを把持する把持ユニット20と、この把持ユニット20に把持された袋Hを開口させる開口ユニット40とを具備する包装機であれば適用可能であり、上記包装機10のように回転テーブル13で袋Hを回転搬送する構成に限定されることなく、その他構成の包装機等に適用されても何ら問題ない。もちろん、開口ユニット40,投入ユニット50,封止ユニット60,排出ユニット70が他の構成のものに変更されても何ら問題ない。しかも、前記回転ロッド24を変更することで異なる長さの袋に容易に対応できるとともに、支持ブロック22の間隔を変更することで異なる大きさの袋に容易に対応可能である。
【0024】
また、上記実施形態において、袋Hは上側一辺が開口する矩形の平袋であったため、その底側角部H1が支軸23の延長線上に位置するように供給されていたが、その他形状の袋であっても良い。例えば、
図5に示すように比較的変形し難いチャックH2を有するチャック付き袋H′に部品を投入する場合、当該チャックH2の角部H3を支軸23の延長線上に配置することで、把持爪26が当該チャックH2の角部H3を中心に旋回可能となり、袋に傷等が生じ難くなる。なお、矩形以外の袋(図示せず)を開口させる場合も前述のように、当該袋の所定の角部を支軸23の延長線上に配置することで容易にしわや傷が付かないように開口させることが可能となる。この時、袋の縁部が傾斜していれば、把持爪26を当該縁部の傾斜と平行になるよう傾斜させることが好ましい。これにより、把持爪26が旋回する際に袋の縁に均一に力が加えることができ、より傷等を生じさせ難くなる。
【符号の説明】
【0025】
10 … 包装機
13 … 回転テーブル
14 … 当接部
141… 中段部
142… 下段部
20 … 把持ユニット
21 … 旋回機構
23 … 支軸
24 … 回転ロッド
25a,25b … 腕部
250… 連結部材
25b… 長穴
26 … 把持爪
30 … 供給ユニット
40 … 開口ユニット
50 … 投入ユニット
60 … 封止ユニット
70 … 排出ユニット