(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004659
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】ケーブル配策器具
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20230110BHJP
B60R 16/04 20060101ALI20230110BHJP
H02G 3/22 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
B60R16/02 623A
B60R16/02 620C
B60R16/04 X
H02G3/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106495
(22)【出願日】2021-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】598059675
【氏名又は名称】株式会社ヴイテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】神林 英晴
(72)【発明者】
【氏名】河村 祥之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩二
(72)【発明者】
【氏名】田子 剛志
(72)【発明者】
【氏名】河上 泰章
【テーマコード(参考)】
5G363
【Fターム(参考)】
5G363AA16
5G363BA01
5G363CB08
5G363CB20
(57)【要約】
【課題】左側のサイドドアおよび右側のサイドドアの両方に容易に適用することが可能なケーブル配策器具を提供する。
【解決手段】ケーブル配策器具100は、車室内と車室外との間で車両用サイドドアの窓開口を介してケーブル150を配策させるためのものであり、車両用サイドドアのドアガラス204の上端部と、車両用サイドドアのドアサッシュ202との間の空間に配置され、空間を塞ぐように構成された本体部1と、本体部1に設けられ、ケーブル150が挿通されるケーブル挿通部2と、本体部1の下側に形成され、ドアガラス204の上端部が嵌合可能に構成された溝部3と、本体部1の上側に形成され、ドアサッシュ202のランチャンネル205に嵌合可能な突部4とを備える。本体部1、ケーブル挿通部2、溝部3および突部4は、一体的に設けられている。ケーブル配策器具100は、左右対称に形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内と車室外との間で車両用サイドドアの窓開口を介してケーブルを配策させるためのケーブル配策器具であって、
前記車両用サイドドアのドアガラスの上端部と、前記車両用サイドドアのドアサッシュとの間の空間に配置され、前記空間を塞ぐように構成された本体部と、
前記本体部に設けられ、前記ケーブルが挿通されるケーブル挿通部と、
前記本体部の下側に形成され、前記ドアガラスの上端部が嵌合可能に構成された溝部と、
前記本体部の少なくとも上側に形成され、前記ドアサッシュのランチャンネルに嵌合可能な突部とを備え、
前記本体部、前記ケーブル挿通部、前記溝部および前記突部は、一体的に設けられており、
左右対称に形成されていることを特徴とするケーブル配策器具。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブル配策器具において、
前記ケーブル挿通部は、前記本体部の厚み方向に間隔を隔てて配置された一対の仕切板を含み、
前記仕切板には、前記ケーブルが挿通される挿通孔が形成されるとともに、前記挿通孔の周囲に外側に張り出すリップ部が形成され、
前記挿通孔に前記ケーブルが挿通された場合に、前記リップ部が前記ケーブルの外周面に接触されるように構成されていることを特徴とするケーブル配策器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル配策器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バッテリを搭載した車両が知られている。このような車両において、バッテリと車外の機器とを接続するためのケーブルが車両用サイドドアの窓開口に配策される場合には、その窓開口を介して雨水が車室内に浸入することが考えられる。そこで、従来では、雨水の車室内への浸入を抑制するためのケーブル配策器具が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のケーブル配策器具は、遮蔽板と、係止部材と、防水リップ部材と、ケーブル挿通部とを備えている。遮蔽板は、車両用サイドドアのドアガラスの上端部と、車両用サイドドアのドアサッシュとの間の空間を塞ぐために設けられている。この遮蔽板は、上縁、前縁および後縁が、ドアサッシュのランチャンネルに嵌合可能に構成されている。係止部材は、蝶ねじを用いて遮蔽板に取り付けられ、遮蔽板に対して車室内側に配置されている。係止部材には、ドアガラスの上端部が係止されるようになっている。防水リップ部材は、遮蔽板の下縁に沿って設けられ、ドアガラスと遮蔽板との間の隙間を塞ぐように構成されている。
【0004】
ケーブル挿通部は、遮蔽板に形成された孔と、孔に装着されたグロメットとによって構成されている。グロメットは、ケーブルが挿通されるケーブル挿通孔を有する。グロメットは、円錐台状に形成され、遮蔽板の孔に容易に挿入可能に構成されている。ケーブルは、一端が車室内のコンセントに接続されるとともに、他端が外部の電気負荷に接続されており、バッテリから電気負荷に給電することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記した従来のケーブル配策器具では、蝶ねじを取り外して遮蔽板に対する係止部材の位置を変更することにより、左側のサイドドアおよび右側のサイドドアの両方に適用することが可能である。しかしながら、遮蔽板および係止部材などを組み立て直す必要があるので、手間がかかるという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、左側のサイドドアおよび右側のサイドドアの両方に容易に適用することが可能なケーブル配策器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるケーブル配策器具は、車室内と車室外との間で車両用サイドドアの窓開口を介してケーブルを配策させるためのものであり、車両用サイドドアのドアガラスの上端部と、車両用サイドドアのドアサッシュとの間の空間に配置され、空間を塞ぐように構成された本体部と、本体部に設けられ、ケーブルが挿通されるケーブル挿通部と、本体部の下側に形成され、ドアガラスの上端部が嵌合可能に構成された溝部と、本体部の少なくとも上側に形成され、ドアサッシュのランチャンネルに嵌合可能な突部とを備える。本体部
、ケーブル挿通部、溝部および突部は、一体的に設けられている。ケーブル配策器具は、左右対称に形成されている。
【0009】
このように、左右対称に形成されることにより、左側のサイドドアおよび右側のサイドドアの両方に容易に適用することができる。
【0010】
上記ケーブル配策器具において、ケーブル挿通部は、本体部の厚み方向に間隔を隔てて配置された一対の仕切板を含み、仕切板には、ケーブルが挿通される挿通孔が形成されるとともに、挿通孔の周囲に外側に張り出すリップ部が形成され、挿通孔にケーブルが挿通された場合に、リップ部がケーブルの外周面に接触されるように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のケーブル配策器具によれば、左側のサイドドアおよび右側のサイドドアの両方に容易に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態によるケーブル配策器具が車両用サイドドアに取り付けられた状態を車室外側から見た図である。
【
図2】
図1のケーブル配策器具を示した斜視図である。
【
図4】第2実施形態のケーブル配策器具を示した側面図である。
【
図5】
図4のケーブル配策器具を示した底面図である。
【
図6】
図4のケーブル配策器具のケーブル挿通部を拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0014】
(第1実施形態)
まず、
図1および
図3を参照して、本発明の第1実施形態によるケーブル配策器具100が適用される車両用サイドドア200の構成について説明する。
【0015】
車両用サイドドア200は、たとえば、車両側面に配置されるリアサイドドアであり、車室に対するユーザの乗降口であるドア開口を開閉するように構成されている。車両用サイドドア200は、
図1に示すように、箱状のドア本体201と、ドア本体201の上側に設けられたドアサッシュ202と、ドアサッシュ202によって形成された窓開口203と、窓開口203を開閉するドアガラス204とを備えている。
【0016】
ドア本体201の内部空間にはウィンドウレギュレータ(図示省略)などが収容され、ウィンドウレギュレータはドアガラス204を昇降させるように構成されている。ドアサッシュ202は、窓開口203を取り囲むように枠状に形成されている。すなわち、ドアサッシュ202は、上枠部202aと、前枠部202bと、後枠部202cとを有する。上枠部202aは、車両前後方向(X1およびX2方向)に延びるように形成されている。前枠部202bは、車両前方側(X1方向側)に配置され、ドア本体201から上方に延びるように形成されている。前枠部202bの上端部は、上枠部202aの前端部と連結されている。後枠部202cは、車両後方側(X2方向側)に配置され、ドア本体201から上方に延びるように形成されている。後枠部202cの上端部は、上枠部202aの後端部と連結されている。
【0017】
また、ドアサッシュ202の内部には、ドアガラス204を案内するランチャンネル205(
図3参照)が設けられている。ランチャンネル205は、たとえば断面がU字状に形成され、ドアガラス204が嵌合可能に構成されている。ランチャンネル205は、上辺部205aと、前辺部(図示省略)と、後辺部(図示省略)とを有する。上辺部205aは、上枠部202aの内部に配置され、ドアガラス204の上端部が嵌合可能に構成されている。前辺部は、前枠部202bの内部に配置され、ドアガラス204の前端部を案内するように構成されている。後辺部は、後枠部202cの内部に配置され、ドアガラス204の後端部を案内するように構成されている。
【0018】
-ケーブル配策器具-
次に、
図1~
図3を参照して、第1実施形態によるケーブル配策器具100の構成について説明する。
【0019】
ケーブル配策器具100は、
図1に示すように、車室内と車室外との間で車両用サイドドア200の窓開口203を介してケーブル150を配策させるためのものである。すなわち、ケーブル配策器具100は、窓開口203を介してケーブル150を、車室内から車室外に引き出したり、車室外から車室内に引き込んだりするためのものである。
【0020】
ケーブル150は、たとえば電力ケーブルであり、車両に搭載されたバッテリ(図示省略)と車外の機器とを電気的に接続するように構成されている。そして、車両のバッテリと外部の電気負荷(図示省略)とがケーブル150によって接続された場合には、バッテリから電気負荷に給電することが可能になる。また、車両のバッテリと外部電源(図示省略)とがケーブル150によって接続された場合には、外部電源を用いてバッテリを充電することが可能になる。
【0021】
ケーブル配策器具100は、たとえば樹脂やゴムなどの弾性変形可能な材料を用いて一体的に形成されるとともに、左右対称に形成されている。具体的に、ケーブル配策器具100は、前方側から見た場合に、左右方向における中心を通る垂直軸を対称軸として線対称に形成されている。つまり、ケーブル配策器具100の左右方向における一方側(Y1方向側)と、ケーブル配策器具100の左右方向における他方側(Y2方向側)とが、同様に構成されている。
【0022】
このケーブル配策器具100は、
図3に示すように、本体部1と、ケーブル挿通部2と、溝部3と、突部4とを備えている。すなわち、本体部1、ケーブル挿通部2、溝部3および突部4は、一部材によって構成されている。
【0023】
本体部1は、
図2に示すように、ほぼ長方形状に形成され、窓開口203の上端部に装着可能に構成されている。本体部1は、ケーブル配策器具100が車両用サイドドア200に取り付けられる場合に、ドアガラス204の上端部とドアサッシュ202との間の空間に配置され、その空間を塞ぐように構成されている。すなわち、本体部1は、窓開口203におけるドアガラス204によって閉じられていない部分を閉塞するように構成されている。
【0024】
ケーブル挿通部2は、本体部1の長手方向(X1およびX2方向)の中間部に配置されている。ケーブル挿通部2は、本体部1の両面から左右方向(Y1およびY2方向)に膨出するように形成されるとともに、下方に延びるように形成されている。ケーブル挿通部2には、
図3に示すように、ケーブル150が挿通される挿通孔21が形成されている。
【0025】
挿通孔21は、たとえば円孔であり、車室内と車室外とを連通するように構成されている。このため、挿通孔21は、車室外側の開口21aと、車室内側の開口21bとを有す
る。そして、挿通孔21は、U字状に延びるように形成されており、開口21aおよび21bが下方を向くように配置されている。
【0026】
溝部3は、本体部1の下端面に設けられ、本体部1の長手方向に延びるように形成されている。溝部3は、ドアガラス204の上端部が嵌合可能に構成されている。このため、ケーブル配策器具100が車両用サイドドア200に取り付けられる場合には、ドアガラス204の上端部が溝部3に嵌め込まれるようになっている。
【0027】
突部4は、本体部1に形成され、ドアサッシュ202のランチャンネル205に嵌合可能に構成されている。この突部4は、
図2に示すように、上側突部4aと、前側突部4bと、後側突部4cとを有する。上側突部4aは、本体部1の上端面から上方に突出するように形成され、本体部1の長手方向に延びるように形成されている。前側突部4bは、本体部1の前端面から前方に突出するように形成され、上下方向に延びるように形成されている。前側突部4bの上端部は、上側突部4aの前端部と接続されている。後側突部4cは、本体部1の後端面から後方に突出するように形成され、上下方向に延びるように形成されている。後側突部4cの上端部は、上側突部4aの後端部と接続されている。そして、ケーブル配策器具100が車両用サイドドア200に取り付けられる場合には、上側突部4aがランチャンネル205の上辺部205aに嵌め込まれ、前側突部4bがランチャンネル205の前辺部に嵌め込まれ、後側突部4cがランチャンネル205の後辺部に嵌め込まれるようになっている。
【0028】
-車両用サイドドアに対するケーブル配策器具の取付方法-
次に、車両用サイドドア200に対するケーブル配策器具100の取付方法の一例について説明する。
【0029】
まず、ドアガラス204を下降させることにより、窓開口203が開かれる。また、ケーブル挿通部2の挿通孔21にケーブル150が挿通される。次に、突部4がランチャンネル205に嵌め込まれ、ケーブル配策器具100が窓開口203の上端部に配置される。そして、ドアガラス204を上昇させることにより、ドアガラス204の上端部が溝部3に嵌め込まれる。これにより、ケーブル配策器具100が車両用サイドドア200に取り付けられる。つまり、ドアガラス204とドアサッシュ202との間にケーブル配策器具100が上下方向において挟み込まれるとともに、本体部1の周縁部がドアガラス204またはドアサッシュ202と車幅方向において係合されている。その後、車両用サイドドア200がロックされる。
【0030】
-効果-
第1実施形態では、上記のように、ケーブル配策器具100が弾性を有して左右対称に形成されることによって、左側のサイドドアおよび右側のサイドドアの両方に容易に適用することができる。また、ドアガラス204の上端部とドアサッシュ202との間の空間が本体部1によって塞がれるとともに、ケーブル150が挿通される挿通孔21の開口21aおよび21bが下方を向くことによって、雨水の車室内への浸入を抑制することができる。また、ドアガラス204の上端部が溝部3に嵌合されるとともに、ドアサッシュ202のランチャンネル205に突部4が嵌合されることによって、ケーブル配策器具100が外部から取り外されにくくなるので、防犯性の向上を図ることができる。
【0031】
また、第1実施形態では、本体部1、ケーブル挿通部2、溝部3および突部4が一部材で構成されることによって、部品点数の削減を図ることができる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、
図4~
図8を参照して、第2実施形態によるケーブル配策器具100aの構成に
ついて説明する。
【0033】
ケーブル配策器具100aは、弾性変形可能であり、左右対称に形成されている。具体的に、ケーブル配策器具100aは、前方側から見た場合に、左右方向における中心を通る垂直軸を対称軸として線対称に形成されている。つまり、ケーブル配策器具100aの左右方向における一方側(Y1方向側)と、ケーブル配策器具100aの左右方向における他方側(Y2方向側)とが、同様に構成されている。
【0034】
このケーブル配策器具100aは、
図4および
図5に示すように、本体部1aと、ケーブル挿通部5と、溝部3と、突部4とを備えている。溝部3および突部4は、第1実施形態と同様に構成されているため、説明を省略する。
【0035】
本体部1aは、ほぼ矩形板状に形成されている。この本体部1aには、ドアガラス204(
図3参照)の上端部を溝部3(
図5参照)にガイドするためのガイド片11が形成されている。ガイド片11は、本体部1aの下端部に配置され、本体部1aから外側(Y1およびY2方向側)に突出するように形成されている。このガイド片11は、本体部1aの長手方向(X1およびX2方向)に所定の間隔を隔てて複数設けられている。
【0036】
また、本体部1aの前方側(X1方向側)には、U字状の切欠部12が形成されている。切欠部12は、上側突部4aにわたって形成され、上方が開放されるように構成されている。そして、本体部1aには、切欠部12を塞ぐようにケーブル挿通部5が設けられている。本体部1aおよびケーブル挿通部5は、たとえば樹脂やゴムなどの弾性変形可能な材料を用いて形成されており、一体的に組み付けられている。なお、本体部1aのその他の構成は、上記した本体部1と同様である。
【0037】
ケーブル挿通部5は、
図7および
図8に示すように、本体部1aの厚み方向(Y1およびY2方向)に間隔を隔てて配置された一対の仕切板51を含んでいる。すなわち、一対の仕切板51は、左右方向(Y1およびY2方向)において対向するように配置されるとともに、左右方向における両端部にそれぞれ配置されている。なお、一対の仕切板51の上端部における左右方向の寸法は、たとえば上側突部4aと同じに設定されており、ランチャンネル205の上辺部205a(
図3参照)に嵌合可能に構成されている。
【0038】
仕切板51には、
図6に示すように、ケーブル150(
図8参照)が挿通される挿通孔52が形成されている。挿通孔52は、円孔であり、仕切板51を厚み方向に貫通するように形成されている。なお、一方の仕切板51に形成された挿通孔52と、他方の仕切板51に形成された挿通孔52とは、左右方向(Y1およびY2方向)において対応する位置に配置されている。
【0039】
また、仕切板51には、上下方向に延びるスリット53が形成されている。スリット53は、挿通孔52の上端部から上方に延びるように形成されるとともに、挿通孔52の下端部から下方に延びるように形成されている。このスリット53は、仕切板51の上端部に達するまで形成されており、ケーブル150を挿通孔52に差し込むために設けられている。このため、ケーブル挿通部5の上方からケーブル150を押し下げることにより、スリット53を介してケーブル150を挿通孔52に挿通させることが可能である。
【0040】
そして、仕切板51には、挿通孔52およびスリット53をシールするためのリップ部54が形成されている。リップ部54は、挿通孔52およびスリット53の周囲に、仕切板51から外側に張り出すように形成されている。すなわち、リップ部54は、挿通孔52およびスリット53に臨む仕切板51の縁部に形成され、前後方向(X1およびX2方向)において対向するように設けられている。
【0041】
具体的には、リップ部54は、スリット53に沿って上下方向に延びる部分と、挿通孔52に沿って円弧状に延びる部分とを有する。リップ部54の上下方向に延びる部分は、
図7に示すように、前後方向において突き合わされており、スリット53を塞ぐように構成されている。リップ部54の円弧状に延びる部分は、
図8に示すように、挿通孔52にケーブル150が挿通された場合に、ケーブル150の外周面と接触されるように構成されている。すなわち、リップ部54の円弧状に延びる部分は、挿通孔52の内周面とケーブル150の外周面との間の隙間を塞ぐように構成されている。
【0042】
-効果-
第2実施形態では、上記のように、仕切板51に挿通孔52が形成され、挿通孔52の周囲にリップ部54が設けられることによって、雨水の車室内への浸入を抑制することができる。また、一対の仕切板51が左右方向に対向配置されることによって、雨水が二段階で堰き止められるので、シール性の向上を図ることができる。
【0043】
また、第2実施形態では、ガイド片11が設けられることによって、ドアガラス204の上端部を溝部3に嵌め込みやすくすることができる。
【0044】
また、第2実施形態では、挿通孔52に繋がるスリット53が仕切板51に形成されることによって、ケーブル150を挿通孔52に挿通させやすくすることができる。
【0045】
なお、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0046】
(他の実施形態)
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0047】
たとえば、第1実施形態では、車両用サイドドア200の一例としてリアサイドドアを示したが、これに限らず、車両用サイドドアがフロントサイドドアなどであってもよい。
【0048】
また、第1実施形態では、前側突部4bおよび後側突部4cが設けられる例を示したが、これに限らず、前側突部および後側突部が設けられていなくてもよい。すなわち、突部は、本体部の少なくとも上側に形成されていればよい。
【0049】
また、第1実施形態では、突部4がランチャンネル205に嵌め込まれた後に、ドアガラス204が上昇されてその上端部が溝部3に嵌め込まれる例を示したが、これに限らず、ドアガラスの上端部に溝部を嵌め合した後に、ドアガラスをケーブル配策器具とともに上昇させて、突部がランチャンネルに嵌め込まれるようにしてもよい。
【0050】
また、第1実施形態では、ケーブル配策器具100が車両用サイドドア200に組み付けられる前に、ケーブル150が挿通孔21に挿通される例を示したが、これに限らず、ケーブル配策器具が車両用サイドドアに組み付けられた後に、ケーブルが挿通孔に挿通されるようにしてもよい。
【0051】
なお、上記した第1実施形態の変形例は、第2実施形態にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、車室内と車室外との間で車両用サイドドアの窓開口を介してケーブルを配策
させるためのケーブル配策器具に利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1、1a 本体部
2、5 ケーブル挿通部
3 溝部
4 突部
51 仕切板
52 挿通孔
54 リップ部
100、100a ケーブル配策器具
150 ケーブル
200 車両用サイドドア
202 ドアサッシュ
203 窓開口
204 ドアガラス
205 ランチャンネル