(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046591
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
G01L5/00 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155272
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕和
(72)【発明者】
【氏名】古田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】村山 勝
(72)【発明者】
【氏名】穂苅 敬浩
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA01
2F051AB06
(57)【要約】
【課題】小型化を図ることができる新規の構造を有するセンサ装置を提供する。
【解決手段】センサ装置1における第一締結部材14は、導電性を有し、シールド端子ホール25aおよび第一スルーホール36に挿通された第一軸部71を有し、かつ、第一軸部71を挿通した状態で電極シート11を多層基板12に締結するように構成される。第一締結部材14が締結した状態において、第一電極用シールド層23とシールド配線34とが、第一締結部材14および第一スルーホール36を介して電気的に接続される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力を検出するセンサ本体を備えるセンサ装置であって、
前記センサ本体は、
可撓性を有する電極シートと、
多層基板と、
前記電極シートの裏面と前記多層基板の表面との間に挟まれて配置される絶縁シートと、
前記電極シートを前記多層基板に締結するための第一締結部材と、
を備え、
前記電極シートは、
シート裏面に配置される第一電極層と、
前記第一電極層の表面側に積層される第一電極用絶縁層と、
前記第一電極用絶縁層の表面側に積層され、前記第一電極用絶縁層を挟んで前記第一電極層に対向して配置される第一電極用シールド層と、
前記第一電極用シールド層に電気的に接続され、前記第一電極用シールド層から層方向に延在し、積層方向の投影において前記第一電極層と重ならない領域に形成され、かつ、シールド端子ホールが貫通形成されたシールド端子と、
を備え、
前記多層基板は、
基板表面に配置され、かつ、前記絶縁シートを挟んで前記第一電極層に対向して配置される第二電極層と、
前記第一電極用シールド層のためのシールド電位を有するシールド配線と、
前記第一電極層に電圧を印加するための印加配線と、
前記多層基板の積層方向に貫通形成され、前記シールド配線に電気的に接続され、積層方向の投影において前記シールド端子ホールと重なる位置に形成された第一スルーホールと、
を備え、
前記第一締結部材は、導電性を有し、前記シールド端子ホールおよび前記第一スルーホールに挿通された第一軸部を有し、かつ、前記第一軸部を挿通した状態で前記電極シートを前記多層基板に締結するように構成され、
前記第一締結部材が締結した状態において、前記第一電極用シールド層と前記シールド配線とが、前記第一締結部材および前記第一スルーホールを介して電気的に接続される、センサ装置。
【請求項2】
前記センサ本体は、さらに、前記電極シートを前記多層基板に締結するための第二締結部材、を備え、
前記電極シートは、さらに、前記第一電極層に電気的に接続され、前記第一電極層から層方向に延在し、積層方向の投影において前記第一電極用シールド層と重ならない領域に形成され、かつ、第一電極端子ホールが貫通形成された第一電極端子、を備え、
前記多層基板は、さらに、前記多層基板の積層方向に貫通形成され、前記印加配線に電気的に接続され、積層方向の投影において前記第一電極端子ホールと重なる位置に形成された第二スルーホール、を備え、
前記第二締結部材は、前記第一電極端子ホールおよび前記第二スルーホールに挿通された第二軸部を有し、かつ、前記第二軸部を挿通した状態で前記電極シートを前記多層基板に締結するように構成され、
前記第二締結部材が締結した状態において、前記第一電極層と前記印加配線とが、前記第二スルーホールを介して電気的に接続される、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記第一締結部材は、
前記第一軸部と、
前記第一軸部の一方端に配置され、前記第一電極用シールド層の表面に接触する第一表座部と、
前記第一軸部の他方端に配置され、前記第一スルーホールの端に接触する第一裏座部と、
を備え、
前記第一締結部材により締結された状態において、前記第一電極用シールド層と前記シールド配線とが、前記第一表座部、前記第一軸部、前記第一裏座部、および、前記第一スルーホールを介して電気的に接続される、請求項1または2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記第一電極端子は、積層方向の投影において前記絶縁シートと重ならない領域に形成され、
前記第二締結部材により締結された状態において、前記第一電極層と前記第二スルーホールの端とが接触することにより、前記第一電極層と前記印加配線とが前記第二スルーホールを介して電気的に接続される、請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記シールド電位は、グランド電位である、請求項1~4のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記多層基板は、さらに、前記第二電極層の裏面側に配置され、前記第二電極層に対向して配置される第二電極用シールド層、を備える、請求項1~5のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記第二電極用シールド層は、前記第一電極層に印加される電圧と同電圧が印加されるアクティブガード層、および、グランド電位に接続される静電シールド層の少なくとも一方を備える、請求項6に記載のセンサ装置。
【請求項8】
さらに、前記センサ本体を収容する筐体を備え、
前記筐体は、
前記電極シートの表面を露出させる窓開口部と、
底面に設けられ、前記窓開口部に対向して設けられ、前記多層基板が載置される台座と、
を備え、
前記第一電極層および前記第二電極層の対向領域は、積層方向の投影において、前記窓開口部および前記台座に重なる領域に設けられる、請求項1~7のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記第二電極層は、層方向に配列された複数の電極群により構成される、請求項8に記載のセンサ装置。
【請求項10】
さらに、前記窓開口部を介して、前記圧力を付与する対象物と前記電極シートの表面との間に配置されるクッション材を備え、
前記クッション材は、前記クッション材が前記対象物から圧力を付与されていない初期状態において、前記電極シートの露出面に対する予圧縮量が、前記露出面の周囲に対する予圧縮量よりも大きく設定されている、請求項8または9に記載のセンサ装置。
【請求項11】
前記筐体および前記センサ本体は、前記クッション材であるシートクッションにおいて着座者から圧力を受ける受圧面の裏側に位置する反受圧面の側に設けられ、
前記センサ本体は、前記着座者による着座状態において前記シートクッションの前記受圧面から前記シートクッションを介して伝達される圧力を検出することにより、前記着座者の着座状態または前記着座者の生体情報を検出し、
前記シートクッションは、前記着座者が着座していない初期状態において、前記電極シートの露出面に対する予圧縮量が、前記露出面の周囲に対する予圧縮量よりも大きく設定されている、請求項10に記載のセンサ装置。
【請求項12】
前記センサ装置は、シートベルトのうち着座者の側の面に取り付けられ、
前記センサ本体は、前記着座者による着座状態において前記クッション材を介して伝達される圧力を検出することにより、前記着座者の着座状態または前記着座者の生体情報を検出し、
前記クッション材は、前記着座者が着座していない初期状態において、前記電極シートの露出面に対する予圧縮量が、前記露出面の周囲に対する予圧縮量よりも大きく設定されている、請求項10に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表面が誘電部材によって覆われた固定電極と、外部からの圧力を受けることにより表面が誘電部材の表面に部分的に接し、その圧力の大きさに応じた静電容量を固定電極との間に生じる可動電極とを備える感圧センサが記載されている。特許文献2には、フレキシブル基板の表面に形成された電極層と、フレキシブル基板の裏面に形成された導電層と、電極層と導電層とを電気的に接続する複数のスルーホールとを備えるトモグラフィ計測センサが記載されている。
【0003】
特許文献3には、2つの基板の間に孔を有する誘電体が挟まれ、誘電体の孔に圧縮導体が差し込まれ、一方の基板に形成された導体と他方の基板に形成された導体とが、誘電体の孔に差し込まれた圧縮導体を介して電気的に接続されることが記載されている。特許文献4には、センサが、シートフレームとシートクッションとの間に挟んで配置されることが記載されている。特許文献5には、圧電センサが、シートクッションの中に配置されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-315875号公報
【特許文献2】特開2020-16445号公報
【特許文献3】特許第3708789号公報
【特許文献4】特許第6409466号公報
【特許文献5】特許第5887875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、小型化を図ることができる新規の構造を有するセンサ装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、圧力を検出するセンサ本体を備えるセンサ装置であって、
前記センサ本体は、
可撓性を有する電極シートと、
多層基板と、
前記電極シートの裏面と前記多層基板の表面との間に挟まれて配置される絶縁シートと、
前記電極シートを前記多層基板に締結するための第一締結部材と、
を備え、
前記電極シートは、
シート裏面に配置される第一電極層と、
前記第一電極層の表面側に積層される第一電極用絶縁層と、
前記第一電極用絶縁層の表面側に積層され、前記第一電極用絶縁層を挟んで前記第一電極層に対向して配置される第一電極用シールド層と、
前記第一電極用シールド層に電気的に接続され、前記第一電極用シールド層から層方向に延在し、積層方向の投影において前記第一電極層と重ならない領域に形成され、かつ、シールド端子ホールが貫通形成されたシールド端子と、
を備え、
前記多層基板は、
基板表面に配置され、かつ、前記絶縁シートを挟んで前記第一電極層に対向して配置される第二電極層と、
前記第一電極用シールド層のためのシールド電位を有するシールド配線と、
前記第一電極層に電圧を印加するための印加配線と、
前記多層基板の積層方向に貫通形成され、前記シールド配線に電気的に接続され、積層方向の投影において前記シールド端子ホールと重なる位置に形成された第一スルーホールと、
を備え、
前記第一締結部材は、導電性を有し、前記シールド端子ホールおよび前記第一スルーホールに挿通された第一軸部を有し、かつ、前記第一軸部を挿通した状態で前記電極シートを前記多層基板に締結するように構成され、
前記第一締結部材が締結した状態において、前記第一電極用シールド層と前記シールド配線とが、前記第一締結部材および前記第一スルーホールを介して電気的に接続される、センサ装置にある。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、第一締結部材が、電極シートと多層基板とを締結する。詳細には、第一締結部材の第一軸部が、電極シートのシールド端子ホールと多層基板の第一スルーホールとに挿通されて、第一締結部材が、電極シートと多層基板とを締結する。ここで、第一締結部材は、導電性を有する。そして、第一締結部材が締結した状態において、電極シートの第一電極用シールド層と多層基板のシールド配線とが、第一締結部材および第一スルーホールを介して電気的に接続される。つまり、第一締結部材が、第一スルーホールと共に、電気的な導通経路の一部を構成する。
【0008】
従って、第一締結部材は、電極シートと多層基板とを締結するための機能を有すると共に、電極シートの第一電極用シールド層と多層基板のシールド配線とを導通するための機能を有する。このように、第一締結部材が、締結機能および導通機能を兼用することにより、センサ装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】センサ装置のうちクッション材を除く複数の部材についての分解斜視図である。
【
図4】(a)は、
図3に示す電極シートのA-A断面図であり、(b)は、
図3に示す電極シートのB-B断面図であり、(c)は、
図3に示す電極シートのC-C断面図である。
【
図6】
図1におけるセンサ装置の一部分を示す部分断面図であり、特に、多層基板の電極領域の部分を示す部分断面図であって、多層基板を厚み方向に誇張して表現した図である。
【
図7】センサ本体の断面図であって、第一締結部材に関連する部分のみを抽出した図である。
【
図8】センサ本体の断面図であって、第二締結部材に関連する部分のみを抽出した図である。
【
図9】センサ装置をシートに適用した場合の説明図である。
【
図10】センサ装置をシートベルトに適用した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.センサ装置1の構成
センサ装置1の構成について、
図1および
図2を参照して説明する。センサ装置1は、検出対象としての圧力を検出するセンサユニットである。センサ装置1は、例えば、座位姿勢または臥位姿勢における人の姿勢の変化、人の生体情報(呼吸、脈動、心拍)などを検出対象とすることができる。センサ装置1は、シート、座布団、寝具などに設けることにより、対象者の姿勢の変化、対象者の生体情報などを検出することができる。また、センサ装置1は、上記のシートなどの他に、対象者に接触できる部材に設けることにより、対象者の生体情報などを検出することができる。
【0011】
図1および
図2に示すように、センサ装置1は、センサ本体2、筐体3、および、クッション材4を備える。
【0012】
センサ本体2は、扁平状に形成されており、扁平の一方面に付与された検出対象としての圧力を検出する。センサ本体2は、静電センサまたは圧電センサにより構成される。センサ本体2が静電センサを構成する場合には、センサ本体2は、圧力を受けた場合に圧力の大きさに対応して変化する静電容量を検出し、静電容量に対応する物理量を出力する。センサ本体2が圧電センサを構成する場合には、センサ本体2が、圧力を受けた場合に圧力の大きさに対応する電圧を出力する。
【0013】
また、センサ本体2は、演算処理回路を備えるように構成しても良いし、演算処理回路を備えないように構成しても良い。センサ本体2が演算処理回路を備える場合には、センサ本体2は、検出した物理量を用いて所望の出力データを生成することができる。センサ本体2が演算処理回路を備えない場合には、検出した物理量そのものを出力する。
【0014】
センサ本体2は、
図1に示すように、扁平状(シート状や板状とも称する)に形成されている。センサ本体2は、扁平状における一方の面、すなわち
図1における上面が検出面を構成する。センサ本体2は、扁平状における他方の面、すなわち
図1における下面が、筐体3の底面に載置される面を構成する。
【0015】
センサ本体2は、電極シート11、多層基板12、絶縁シート13、第一締結部材14、第二締結部材15、および、複数の基板締結部材16を備える。ここで、センサ本体2を構成する多層基板12、絶縁シート13、および、電極シート11は、記載順に積層されている。以下において、積層方向とは、特に断らない限り、センサ本体2を構成する電極シート11、絶縁シート13および多層基板12の積層方向として用いる。
【0016】
電極シート11は、可撓性を有しており、シート状(膜状)に形成されている。電極シート11は、センサ本体2の表面(
図1の上面)を構成する。電極シート11は、少なくとも、シート裏面に配置された第一電極層21を備える。第一電極層21は、静電センサまたは圧電センサにおける一対の電極の一方を構成する。本形態においては、第一電極層21は、1枚の電極により構成されている。
【0017】
多層基板12は、電極シート11とは別体に構成されており、電極シート11の裏面に対向して配置される。多層基板12は、基板の中間層となる部分にプリントパターンが形成されている。さらに、本形態においては、多層基板12は、スルーホールを備える。スルーホールは、多層基板12の表裏に貫通され、導電性を有する内壁を有するように構成される。多層基板12は、スルーホールに加えて、適宜、導電性を有しないノンスルーホールを有するようにしても良い。また、多層基板12は、基板表面および基板裏面にコーティングを施すようにしても良い。
【0018】
多層基板12は、少なくとも、基板表面(
図1の上面)に配置された第二電極層31を備える。第二電極層31は、電極シート11を構成する第一電極層21に対して距離を隔てて対向して配置される。つまり、第一電極層21と第二電極層31とは、積層方向の投影において、重なるように配置されている。第二電極層31は、静電センサまたは圧電センサにおける一対の電極の他方を構成する。
【0019】
また、本形態においては、第二電極層31は、複数の電極群により構成されており、複数の電極群を構成する各電極が、電極シート11を構成する1枚の第一電極層21に対向するように層方向に配列される。本形態においては、
図2に示すように、例えば、第二電極層31は、4行×4列に配列された16個の第二電極により構成される。ただし、第二電極層31を構成する第二電極群の数は、任意に設定できる。また、多層基板12は、第二電極層31の他に、プリントパターンを備える。
【0020】
絶縁シート13は、電極シート11の裏面に積層され、かつ、多層基板12の表面に積層される。つまり、絶縁シート13は、電極シート11の裏面と多層基板12の表面との間に挟まれて配置される。また、絶縁シート13は、電極シート11および多層基板12とは別体に構成されている。
【0021】
センサ本体2が静電センサを構成する場合には、絶縁シート13は、弾性変形可能な誘電材料により形成される。センサ本体2に構成部材11,12,13の積層方向への圧縮力が付与された場合に、絶縁シート13が圧縮変形することにより、電極シート11と多層基板12との離間距離が短くなる。つまり、絶縁シート13が圧縮変形することにより、電極シート11を構成する第一電極層21と多層基板12を構成する第二電極層31との離間距離が短くなり、第一電極層21と第二電極層31との間の静電容量を変化させる。
【0022】
センサ本体2が圧電センサを構成する場合には、絶縁シート13は、圧電材料により構成される。センサ本体2に構成部材11,12,13の積層方向への圧縮力が付与された場合に、圧電材料により構成される絶縁シート13が、圧縮力に応じた電圧を発生する。
【0023】
第一締結部材14および第二締結部材15は、電極シート11と多層基板12との間に絶縁シート13を挟んだ状態で、電極シート11を多層基板12に締結するための部材である。ただし、第一締結部材14および第二締結部材15により締結される部位には、絶縁シート13は、電極シート11と多層基板12との間に挟まれていない。つまり、第一締結部材14および第二締結部材15は、電極シート11と多層基板12とを直接接触させるようにして締結する。
【0024】
第一締結部材14および第二締結部材15は、ボルトおよびナットや、リベットなどにより構成される。第一締結部材14および第二締結部材15は、適宜、ワッシャなどを含むようにしても良い。第一締結部材14は、導電性を有しており、電極シート11と多層基板12との間を電気的に接続する機能を有する。
【0025】
複数の基板締結部材16は、多層基板12を筐体3に締結するための部材である。基板締結部材16は、例えば、ボルト、ねじなどにより構成される。
図2に示すように、例えば、4個の基板締結部材16により、多層基板12の四隅を筐体3に締結する。
【0026】
筐体3は、センサ装置1の外側のケース部分を構成する。筐体3は、センサ本体2を収容する。本形態においては、筐体3は、第一筐体部材41と、第二筐体部材42と、複数の筐体締結部材43とを備える。第一筐体部材41は、容器形状に形成されており、第二筐体部材42は、蓋形状に形成されている。ただし、第一筐体部材41と第二筐体部材42との境界位置は、任意に設定できる。また、第一筐体部材41と第二筐体部材42とを一体とする形状に形成しても良い。
【0027】
本形態においては、第一筐体部材41は、上述したように、容器形状に形成される。第一筐体部材41は、底部51、周壁部52、台座53、および、複数の基板締結座54を備える。底部51は、例えば、矩形の平板状に形成されている場合を例に挙げるが、任意の形状とすることができる。周壁部52は、底部51の周縁から立設されており、底部51の周縁全周に亘って設けられている。本形態においては、周壁部52は、直方体の隣接する四面を構成する。第一筐体部材41の底部51および周壁部52により形成される内部領域に、センサ本体2が収容される。
【0028】
台座53は、第一筐体部材41の底面、すなわち底部51の内側面(
図1の上面)から上方に向かって突出して設けられている。台座53の座面上には、多層基板12が載置される。特に、台座53は、多層基板12の中央部分を下方から支持する。
【0029】
そして、台座53の座面上には、多層基板12、絶縁シート13、および、電極シート11が、記載順で積層されている。つまり、台座53の座面は、積層方向の投影において、絶縁シート13に重なる領域設けられており、さらには、第一電極層21と第二電極層31とが対向する領域に重なる領域に設けられている。
【0030】
複数の基板締結座54は、第一筐体部材41の底面、すなわち底部51の内側面から上方に向かって突出して設けられ、台座53の周囲に設けられている。複数の基板締結座54の上面には、多層基板12が載置される。特に、複数の基板締結座54は、多層基板12の裏面のうち周縁部分を下方から支持する。多層基板12を挟んだ状態で複数の基板締結部材16が複数の基板締結座54に締結されることで、多層基板12が第一筐体部材41に位置決めされる。
【0031】
第二筐体部材42は、上述したように、蓋形状に形成される。第二筐体部材42は、第一筐体部材41の開口の一部を閉塞する。つまり、第二筐体部材42の外周縁が、第一筐体部材41の周壁部52の頂面に接合する。さらに、第二筐体部材42は、中央付近に、窓開口部42aを有する。つまり、第二筐体部材42は、窓開口部42aを形成するための窓枠42bを構成する。本形態においては、窓開口部42aは、矩形の開口であって、窓枠42bは、矩形枠である。
【0032】
窓開口部42aは、第一筐体部材41の台座53に対向して設けられている。つまり、積層方向の投影において、窓開口部42aの外形は、台座53の外形に近似する形状となる。第二筐体部材42は、窓開口部42aにおいて、センサ本体2を構成する電極シート11の表面の一部を露出させる。
【0033】
そして、第一電極層21と第二電極層31との対向領域は、積層方向の投影において、台座53および窓開口部42aに重なる領域に設けられている。さらには、絶縁シート13は、積層方向の投影において、台座53および窓開口部42aに重なる領域に設けられている。従って、第二筐体部材42の窓開口部42aは、電極シート11の表面のうち、第一電極層21と第二電極層31とが対向する領域であって、絶縁シート13が位置する領域を露出させる。
【0034】
そして、第二筐体部材42を構成する窓枠42bの内周縁が、センサ本体2を積層方向に僅かに押し付けた状態で、センサ本体2の表面に接触する。つまり、センサ本体2を構成する電極シート11、多層基板12、および、絶縁シート13は、第一筐体部材41を構成する台座53と第二筐体部材42を構成する窓枠42bの内周縁との間に挟まれる。このようにして、センサ本体2が、積層方向において、筐体3に位置決めされる。
【0035】
複数の筐体締結部材43は、第一筐体部材41と第二筐体部材42とを締結する。例えば、
図2に示すように、複数の筐体締結部材43は、ボルトやねじなどにより構成されており、第一筐体部材41の四隅と第二筐体部材42の四隅とをそれぞれ締結する。
【0036】
クッション材4は、発泡樹脂などの弾性材料により形成される。クッション材4は、センサ本体2の露出面、および、筐体3の表面(
図1の上面)に配置される。クッション材4において、筐体3およびセンサ本体2とは反対側の面が、圧力を受ける受圧面91である。クッション材4の受圧面91が、圧力を付与する対象物と接触する部位となる。
【0037】
クッション材4は、受圧面91の裏側に、基準座面92、押圧凸部93、および、凹溝94を有する。基準座面92は、平面状の面を形成し、クッション材4の受圧面91の裏側面の外周部分を構成する。基準座面92は、第二筐体部材42を構成する窓枠42bの表面に接触する。クッション材4が対象物から圧力が付与されていない初期状態において、基準座面92は、圧縮されていない。ただし、基準座面92は、当該初期状態において、僅かに予圧縮された状態としても良い。
【0038】
押圧凸部93は、クッション材4の受圧面91の裏面側の中央部分を構成する。押圧凸部93は、基準座面92よりも、受圧面91とは反対側に向かって突出する。押圧凸部93は、単一のばね定数を有する弾性層により構成されるようにしても良いし、異なるばね定数を有する複数の弾性層により構成されるようにしても良い。
【0039】
押圧凸部93の先端面は、筐体3の窓開口部42aに挿入されて、センサ本体2の露出面に接触する。つまり、押圧凸部93は、窓開口部42aを介して、圧力を付与する対象物(図示せず)とセンサ本体2の電極シート11の表面との間に配置される。
【0040】
さらに、クッション材4が対象物から圧力が付与されていない初期状態において、押圧凸部93は、センサ本体2の電極シート11の露出面に対して予圧縮されている。特に、押圧凸部93による電極シート11の露出面に対する予圧縮量は、基準座面92による窓枠42b(電極シート11の露出面の周囲に相当)に対する予圧縮量よりも十分に大きく設定されている。
【0041】
凹溝94は、基準座面92と押圧凸部93との境界に全周に亘って形成されている。凹溝94は、センサ本体2および筐体3に非接触状態で配置される。従って、基準座面92の予圧縮量と押圧凸部93の予圧縮量とが異なるとしても、凹溝94によって予圧縮量の差を吸収することができる。つまり、基準座面92による予圧縮量と押圧凸部93による予圧縮量との差を確実につけることができる。
【0042】
なお、クッション材4は、本形態においては、筐体3に取り付けられている専用部品としての例にあげたが、これに限られるものではない。例えば、クッション材4は、シートの座面や背面におけるクッション材、寝具におけるクッション材、座布団におけるクッション材などを用いることもできる。
【0043】
2.静電センサとしてのセンサ本体2の基本動作
センサ本体2が静電センサを構成する場合に、第一電極層21、および、第二電極層31を構成する複数の第二電極群の基本動作について説明する。
【0044】
センサ本体2が静電センサを構成する場合において、第一電極層21は、印加電圧が印加される電極として用いられる。センサ本体2が静電センサを構成する場合において、第二電極層31は、電圧計測用の電極として用いられる。
【0045】
例えば、第二電極層31を構成する複数の第二電極群のうち、1つの第二電極のみを電圧計測用とし、他の第二電極をグランド電位に接続した状態で、第一電極層21に印加電圧が印加する。このときに、電圧計測用の1つの第二電極の電圧を計測する。計測された第二電極の電圧は、当該第二電極と第一電極層21との対向領域に付与されている圧力に応じた大きさとなる。電圧計測用の第二電極を順次変更していくことで、全ての第二電極と第一電極層21との対向領域に付与されている圧力を検出することができる。
【0046】
3.クッション材4の作用
クッション材4の作用について説明する。初期状態において、クッション材4における押圧凸部93には、他の部位に比べて大きな応力が生じている。押圧凸部93は、センサ本体2の電極シート11の露出面の法線方向に予圧縮されている。従って、クッション材4においては、押圧凸部93において最も大きな応力が生じており、押圧凸部93からクッション材4の受圧面91までの範囲において他の部位に比べて大きな応力が生じている。そのため、センサ本体2の電極シート11には、初期状態において、既に押圧凸部93から圧力を受けていることになる。
【0047】
そして、対象物により、クッション材4の受圧面91に圧力が付与されたとする。そうすると、クッション材4が対象物から付与される圧力に応じて変形する。初期状態に比べて、クッション材4に生じる応力の大きさは変化する。ただし、対象物から圧力が付与された状態においても、クッション材4においては、押圧凸部93において最も大きな応力が生じており、押圧凸部93からクッション材4の受圧面91までの範囲において他の部位に比べて大きな応力が生じている。
【0048】
センサ本体2の電極シート11の露出面が、クッション材4の押圧凸部93から圧力を受けることにより、センサ装置1が、対象物から付与される圧力を検出する。しかし、クッション材4は、対象物から付与される圧力を吸収する。そのため、対象物からクッション材4の受圧面91に圧力が付与されたとしても、クッション材4が全てを吸収してしまうと、センサ装置1が対象物から付与される圧力を検出することができない。
【0049】
しかし、上述したように、センサ本体2の電極シート11の露出面には、初期状態において、クッション材4の押圧凸部93による予圧縮が付与されている。そして、クッション材4は、初期状態において、センサ本体2の電極シート11の露出面に対する予圧縮量が、電極シート11の露出面の周囲に対する予圧縮量よりも大きく設定されている。
【0050】
このように、センサ本体2の電極シート11の露出面に対する予圧縮量が周囲よりも大きく設定されることで、対象物からクッション材4に付与される圧力が極めて小さいとしても、当該圧力が、センサ本体2の電極シート11の露出面に伝達される。従って、センサ本体2の電極シート11の露出面は、クッション材4に付与される微小な圧力の変化を検出できる。
【0051】
つまり、対象物から付与される圧力の変化が僅かであったとしても、センサ本体2の電極シート11の露出面は、伝達される微小な圧力変化を検出することができる。従って、高精度に、対象物から付与される圧力を検出することができる。
【0052】
特に、上述したように、初期状態において、クッション材4においては、押圧凸部93において最も大きな応力が生じており、押圧凸部93からクッション材4の受圧面91までの範囲において他の部位に比べて大きな応力が生じている。そのため、初期状態において応力が生じている領域は、他の領域に比べて、力の伝達感度が高くなる。
【0053】
従って、クッション材4の受圧面91に付与される力が微小であったとしても、微小な力が、クッション材4の受圧面91から押圧凸部93を介してセンサ本体2の電極シート11の露出面に至る範囲を、高感度に伝達される。その結果、高精度に、対象物から付与される圧力を検出することができる。
【0054】
4.電極シート11の詳細構成
電極シート11の詳細構成について
図3および
図4を参照して説明する。電極シート11は、第一電極層21、第一電極用絶縁層22、第一電極用シールド層23、第一電極端子24、および、シールド端子25を備える。
【0055】
第一電極層21は、電極シート11の裏面(シート裏面)に配置される。第一電極層21は、例えば、矩形状に形成される。第一電極用絶縁層22は、第一電極層21の表面側に積層される。第一電極用絶縁層22は、第一電極層21よりも大きな形状を有する。本形態においては、第一電極用絶縁層22は、第一電極層21よりも一回り大きな矩形状の部分22aと、当該矩形状の一辺から2箇所延在する耳部22b,22cとを備える。2か所の耳部22b,22cには、貫通孔が形成されている。
【0056】
第一電極用シールド層23は、第一電極用絶縁層22の表面側に積層される。第一電極用シールド層23は、第一電極用絶縁層22を挟んで第一電極層21に対向して配置される。第一電極用シールド層23は、第一電極層21と同様に、例えば矩形状に形成される。そして、第一電極用シールド層23は、第一電極層21よりも一回り大きく形成される。
【0057】
第一電極端子24は、第一電極層21に電気的に接続され、第一電極層21から層方向に延在される。つまり、第一電極端子24は、第一電極用絶縁層22の裏面に積層されている。第一電極端子24は、第一電極用絶縁層22の一方の耳部22bの裏面に積層されている。さらに、第一電極端子24は、積層方向の投影において、第一電極用シールド層23と重ならない領域に形成されている。第一電極端子24は、耳部22bの貫通孔に連続して貫通形成された第一電極端子ホール24aを有する。
【0058】
シールド端子25は、第一電極用シールド層23に電気的に接続され、第一電極用シールド層23から層方向に延在される。シールド端子25は、第一電極用絶縁層22の表面に積層されている。シールド端子25は、第一電極用絶縁層22の他方の耳部22cの表面に積層されている。さらに、シールド端子25は、積層方向の投影において、第一電極層21と重ならない領域に形成されている。シールド端子25は、耳部22cの貫通孔に連続して貫通形成されたシールド端子ホール25aを有する。
【0059】
5.多層基板12の詳細構成
多層基板12の詳細構成について
図5および
図6を参照して説明する。
図5に示すように、多層基板12は、電極領域Ar1と、回路領域Ar2とを備える。多層基板12における電極領域Ar1は、第二電極層31が形成される領域である。つまり、電極領域Ar1は、電極シート11の第一電極層21に対向する領域であって、積層方向の投影において、筐体3の台座53および窓開口部42aに重なる領域である。
【0060】
多層基板12の表面には、
図5に示すように、電極領域Ar1に、第二電極層31を構成する複数の第二電極群が形成されている。本形態においては、4行×4列の第二電極により構成されているが、任意の数の第二電極とすることができる。
【0061】
多層基板12における回路領域Ar2は、電気回路が構成される領域である。多層基板12の回路領域Ar2には、電源回路、スイッチ回路、計測回路などが形成されている。多層基板12の回路領域Ar2の表面には、例えば、スイッチ回路を構成する素子32が実装されている。
【0062】
多層基板12における回路領域Ar2には、印加電圧回路に接続される印加配線33が形成されている。印加配線33における印加電圧は、圧力計測のために、電極シート11を構成する第一電極層21に印加される電圧である。つまり、印加配線33は、第一電極層21に圧力計測のために、電圧を印加するための配線である。本形態においては、印加配線33は、多層基板12の中間層となる部分に形成されている場合を例にあげるが、多層基板12の表面または裏面に形成されるようにしても良い。
【0063】
また、多層基板12における回路領域Ar2には、各回路においてグランド電位に接続されるグランド配線34が形成されている。本形態においては、グランド配線34は、多層基板12の中間層となる部分に形成されている場合を例にあげるが、多層基板12の表面または裏面に形成されるようにしても良い。
【0064】
また、多層基板12の表面には、第二電極層31を構成する複数の第二電極群のそれぞれと、回路領域Ar2における回路とを接続する計測配線35が形成されている。さらに、多層基板12は、表裏に貫通された第一スルーホール36および第二スルーホール37を備える。第一スルーホール36および第二スルーホール37は、導電性を有する内壁を有するように構成される。特に、第一スルーホール36および第二スルーホール37における両端部分は、多層基板12の表面および裏面における導電パターンに電気的に接続されている。
【0065】
第一スルーホール36は、多層基板12の中間層部分において、グランド配線34に接続されている。また、第二スルーホール37は、多層基板12の中間層部分において、印加配線33に接続されている。
【0066】
さらに、多層基板12の四隅には、複数の取付用孔38が形成されている。取付用孔38には、多層基板12を筐体3に締結するための基板締結部材16が挿通される。
【0067】
図6に示すように、多層基板12は、電極領域Ar1において、表面から、第二電極層31および計測配線35(
図5に示す)、第一基板61、アクティブガード層62、第二基板63、静電シールド層64、第三基板65、グランド層66、第四基板67が積層されて構成される。
【0068】
本形態においては、多層基板12は、第二電極用シールド層として、アクティブガード層62および静電シールド層64を備える場合を例にあげる。つまり、第二電極用シールド層として、アクティブガード層62および静電シールド層64は、第二電極層31の裏面側に配置され、第二電極層に対向して配置される。ただし、第二電極用シールド層として、アクティブガード層62のみを備えるようにしても良いし、静電シールド層64のみを備えるようにしても良い。
【0069】
第二電極層31および計測配線35は、第一基板61の表面に配置される。第二電極層31を構成する複数の第二電極群は、絶縁シート13を挟んで電極シート11の第一電極層21に対向して配置される。
【0070】
アクティブガード層62は、第一基板61の裏面と第二基板63の表面との間に形成される。アクティブガード層62は、多層基板12の回路領域Ar2における印加配線33に接続される。つまり、アクティブガード層62には、第一電極層21に印加される電圧と同電圧が印加される。従って、アクティブガード層62は、第二電極用シールド層として機能することになる。なお、アクティブガード層62は、印加配線33と同一層に形成されると良い。
【0071】
静電シールド層64は、第二基板63の裏面と第三基板65の表面との間に形成される。静電シールド層64は、グランド電位(シールド電位)に接続される。従って、静電シールド層64は、多層基板12の回路領域Ar2におけるグランド配線34に接続される。従って、静電シールド層64は、アクティブガード層62と共に、第二電極用シールド層として機能することになる。
【0072】
グランド層66は、第三基板65の裏面と第四基板67の表面との間に形成される。グランド層66は、例えば、多層基板12に形成されたスルーホール(図示せず)を介して、筐体3に電気的に接続することにより、グランド電位を確保している。グランド層66は、多層基板12の回路領域Ar2におけるグランド配線34に接続されている。
【0073】
6.第一締結部材14による締結構造
第一締結部材14による締結構造について
図7を参照して説明する。第一締結部材14は、電極シート11を多層基板12に締結する機能を有する。さらに、第一締結部材14は、電極シート11を構成する第一電極用シールド層23と多層基板12のグランド配線34とを電気的に接続する機能を有する。
【0074】
図7に示すように、第一締結部材14は、ボルトナット構造の場合を例にあげる。ただし、第一締結部材14は、リベットなどを適用することもできる。第一締結部材14は、ボルトを構成する第一軸部71および第一表端部72、ナットを構成する第一裏端部73、第一表ワッシャ74、第一裏ワッシャ75を備える。第一締結部材14を構成する各部は、全て導電性を有する。ここで、第一表端部72および第一表ワッシャ74が、第一軸部71の一方端に配置される第一表座部を構成する。また、第一裏端部73および第一裏ワッシャ75が、第一軸部71の他方端に配置される第一裏座部を構成する。
【0075】
第一軸部71は、シールド端子ホール25aおよび第一スルーホール36に挿通される。第一表端部72は、第一軸部71と一体成形部材である。ナットである第一裏端部73は、第一軸部71に螺合される。第一表ワッシャ74は、第一表端部72と電極シート11の表面との間に介在される。第一裏ワッシャ75は、第一裏端部73と多層基板12の裏面との間に介在される。
【0076】
従って、第一軸部71がシールド端子ホール25aおよび第一スルーホール36に挿通された状態において、第一締結部材14は、電極シート11および多層基板12を挟むことにより、電極シート11を多層基板12に締結する。
【0077】
さらに、シールド端子25の表面が、第一表ワッシャ74に接触することにより、第一表ワッシャ74に電気的に接続される。第一表ワッシャ74は、第一表端部72に接触することにより、第一表端部72に電気的に接続される。第一表端部72は、第一軸部71と一体部材であるため、第一軸部71に電気的に接続される。第一軸部71は、第一裏端部73に接触することにより、第一裏端部73に電気的に接続される。第一裏端部73は、第一裏ワッシャ75に接触することにより、第一裏ワッシャ75に電気的に接続される。第一裏ワッシャ75は、第一スルーホール36の裏端に接触することにより、第一スルーホール36に電気的に接続される。第一スルーホール36は、多層基板12において、グランド配線34に接続される。
【0078】
つまり、
図7の矢印にて示す経路にて、シールド端子25とグランド配線34とが電気的に接続されている。シールド端子25は、第一電極用シールド層23に電気的に接続されている。従って、第一締結部材14が電極シート11を多層基板12に締結した状態において、第一電極用シールド層23とグランド配線34(シールド配線)とが、第一締結部材14および第一スルーホール36を介して電気的に接続される。
【0079】
7.第二締結部材による締結構造
第二締結部材15による締結構造について
図8を参照して説明する。第二締結部材15は、電極シート11を多層基板12に締結する機能を有する。さらに、第二締結部材15は、電極シート11を構成する第一電極層21と多層基板12の印加配線33とを電気的に接続する機能を有する。
【0080】
図8に示すように、第二締結部材15は、ボルトナット構造の場合を例にあげる。ただし、第二締結部材15は、リベットなどを適用することもできる。第二締結部材15は、ボルトを構成する第二軸部81および第二表端部82、ナットを構成する第二裏端部83、第二表ワッシャ84、第二裏ワッシャ85を備える。第二締結部材15を構成する各部は、全て導電性を有する。ここで、第二表端部82および第二表ワッシャ84が、第二軸部81の一方端に配置される第二表座部を構成する。また、第二裏端部83および第二裏ワッシャ85が、第二軸部81の他方端に配置される第二裏座部を構成する。
【0081】
第二軸部81は、第一電極端子ホール24aおよび第二スルーホール37に挿通される。第二表端部82は、第二軸部81と一体成形部材である。ナットである第二裏端部83は、第二軸部81に螺合される。第二表ワッシャ84は、第二表端部82と電極シート11の表面との間に介在される。第二裏ワッシャ85は、第二裏端部83と多層基板12の裏面との間に介在される。
【0082】
従って、第二軸部81が第一電極端子ホール24aおよび第二スルーホール37に挿通された状態において、第二締結部材15は、電極シート11および多層基板12を挟むことにより、電極シート11を多層基板12に締結する。
【0083】
さらに、印加配線33は、多層基板12において、第二スルーホール37に電気的に接続されている。第二スルーホール37の表端が、第一電極端子24の裏面に接触することにより、第一電極端子24に電気的に接続される。第一電極端子24は、第一電極層21に電気的に接続されている。つまり、
図8の矢印にて示す経路にて、印加配線33と第一電極層21とが電気的に接続されている。従って、第二締結部材15が電極シート11を多層基板12に締結した状態において、第一電極層21と印加配線33とが、第二スルーホール37を介して電気的に接続される。
【0084】
8.センサ本体2の構成による作用
本形態のセンサ本体2によれば、第一締結部材14が、電極シート11と多層基板12とを締結する。詳細には、第一締結部材14の第一軸部71が、電極シート11のシールド端子ホール25aと多層基板12の第一スルーホール36とに挿通されて、第一締結部材14が、電極シート11と多層基板12とを締結する。
【0085】
ここで、第一締結部材14は、導電性を有する。そして、第一締結部材14が締結した状態において、電極シート11の第一電極用シールド層23と多層基板12のグランド配線34(シールド配線)とが、第一締結部材14および第一スルーホール36を介して電気的に接続される。つまり、第一締結部材14が、第一スルーホール36と共に、電気的な導通経路の一部を構成する。
【0086】
従って、第一締結部材14は、電極シート11と多層基板12とを締結するための機能を有すると共に、電極シート11の第一電極用シールド層23と多層基板12のグランド配線34とを導通するための機能を有する。このように、第一締結部材14が、締結機能および導通機能を兼用することにより、センサ装置1の小型化を図ることができる。
【0087】
特に、第一締結部材14により締結された状態において、第一電極用シールド層23とグランド配線34とが、第一軸部71、第一表端部72、第一裏端部73、第一表ワッシャ74、第一裏ワッシャ75、および、第一スルーホール36を介して電気的に接続される。このような構成により、確実に、電気的に接続する経路を確保することができる。
【0088】
さらに、本形態のセンサ本体2によれば、第一締結部材14に加えて、第二締結部材15が、電極シート11と多層基板12とを締結する。詳細には、第二締結部材15の第二軸部81が、電極シート11の第一電極端子ホール24aと多層基板12の第二スルーホール37とに挿通されて、第二締結部材15が、電極シート11と多層基板12とを締結する。そして、第二締結部材15が締結した状態において、第一電極層21と印加配線33とが、第二スルーホール37を介して電気的に接続される。
【0089】
従って、第二締結部材15は、電極シート11と多層基板12とを締結するための機能を有すると共に、第一電極層21と第二スルーホール37とを接触させて電気的に接続させる機能を有する。このように、第二締結部材15が、締結機能、および、第一電極層21と第二スルーホール37とを導通させる機能を兼用することにより、センサ装置1の小型化を図ることができる。
【0090】
9.用途
9-1.シート
センサ装置1の用途として、シート100について、
図9を参照して説明する。シート100は、シート座面部101、シート背面部102、ヘッドレスト103を備える。ただし、シート100は、シート座面部101のみにより構成されるようにしても良いし、シート座面部101およびシート背面部102のみにより構成されるようにしても良い。
【0091】
シート座面部101は、座面シートフレーム111、座面シートクッション112、および、座面表皮部材113を備える。座面シートフレーム111は、例えば、金属や硬質樹脂などの硬質材料により形成されており、設置面に取り付けられる。座面シートフレーム111は、板状、棒状などに形成される。
【0092】
座面シートクッション112は、上述したセンサ装置1を構成するクッション材4として機能する。座面シートクッション112は、発泡樹脂などの弾性材料により形成される。座面シートクッション112は、座面シートフレーム111の上面に積層して取り付けられる。座面シートクッション112の上面が、着座者の臀部により圧力を受ける面(受圧面)112aとなる。つまり、座面シートクッション112の下面、すなわち受圧面112aの裏側の面である反受圧面112bが、座面シートフレーム111に対向する。座面表皮部材113は、座面シートクッション112を被覆する。座面表皮部材113は、座面シートクッション112の少なくとも受圧面112aを被覆する。座面表皮部材113は、布、革などの材料により形成されている。
【0093】
シート背面部102は、背面シートフレーム121、背面シートクッション122、および、背面表皮部材123を備える。背面シートフレーム121は、例えば、金属や硬質樹脂などの硬質材料により形成されている。背面シートフレーム121は、板状、棒状などに形成される。例えば、シート100にリクライニング機能を設ける場合には、背面シートフレーム121は、座面シートフレーム111に揺動可能に支持される。もちろん、背面シートフレーム121は、座面シートフレーム111に一体的に固定されるようにしても良い。
【0094】
背面シートクッション122は、発泡樹脂などの弾性材料により形成される。背面シートクッション122は、背面シートフレーム121の前方面に積層して取り付けられる。背面シートクッション122の前方面が、着座者の背部により圧力を受ける面(受圧面)となる。つまり、背面シートクッション122の後方面である反受圧面が、背面シートフレーム121に対向する。背面表皮部材123は、背面シートクッション122を被覆する。背面表皮部材123は、背面シートクッション122の少なくとも受圧面を被覆する。背面表皮部材123は、布、革などの材料により形成されている。
【0095】
ヘッドレスト103は、シート背面部102の上端に配置される。ヘッドレスト103は、クッション131および表皮部材132を備える。ここで、
図9においては、シート座面部101とシート背面部102とを別体としたが、一体としても良い。また、シート背面部102とヘッドレスト103とを別体としたが、一体としても良い。
【0096】
センサ装置1を構成するセンサ本体2および筐体3は、座面シートフレーム111と座面シートクッション112の反受圧面112bとの間に配置される。ここで、着座者がシート100に着座することにより、着座者の臀部から座面シートクッション112の受圧面112aに圧力が付与され、当該圧力が座面シートクッション112を介して座面シートクッション112の反受圧面112bに伝達される。そして、座面シートクッション112の反受圧面112bからセンサ本体2が圧力を受ける。つまり、センサ本体2は、着座者による着座状態において、座面シートクッション112の受圧面112aから座面シートクッション112を介して伝達される圧力を検出する。そして、センサ本体2は、検出した圧力に基づいて、着座者の着座状態または着座者の生体情報を検出する。
【0097】
ここで、センサ本体2および筐体3は、シート座面部101に配置したが、シート背面部102に配置しても良い。この場合、センサ本体2および筐体3は、背面シートフレーム121と背面シートクッション122との間に配置される。そして、センサ本体2および筐体3は、着座者による着座状態において、背面シートクッション122の受圧面112aから背面シートクッション122を介して伝達される圧力を検出する。そして、センサ本体2および筐体3は、検出した圧力に基づいて、着座者の着座状態または着座者の生体情報を検出することができる。
【0098】
9-2.シートベルト
センサ装置1の用途として、シートベルト200について、
図10を参照して説明する。センサ装置1は、シートベルト200のうち着座者の側の面に取り付けられる。特に、センサ装置1は、ショルダーベルトに取り付けられる。センサ本体2は、着座者による着座状態においてクッション材4を介して伝達される圧力を検出することにより、着座者の着座状態または着座者の生体情報を検出する。
【0099】
9-3.その他
センサ装置1の用途として、シート100、シートベルト200の他に、座布団やベッドなどとすることができる。
【符号の説明】
【0100】
1 センサ装置
2 センサ本体
3 筐体
11 電極シート
12 多層基板
13 絶縁シート
14 第一締結部材
21 第一電極層
22 第一電極用絶縁層
23 第一電極用シールド層
25 シールド端子
25a シールド端子ホール
31 第二電極層
33 印加配線
34 グランド配線(シールド配線)
36 第一スルーホール
71 第一軸部