(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046601
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 21/00 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
H01H21/00 330B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155289
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】潮田 弘之
(72)【発明者】
【氏名】荻野 竣太
【テーマコード(参考)】
5G219
【Fターム(参考)】
5G219FU14
5G219GS22
5G219HT01
5G219HW05
5G219NS02
(57)【要約】
【課題】導電材料(例えば金属材料)の使用量を抑制して、軽量化および低コスト化を図ることができるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】スイッチ装置1は、固定端子部材4と可動端子部材5と備え、固定端子部材4と可動端子部材5とを電気的に接続する接続状態と、接続状態を解除する解除状態とに切り替え可能である。スイッチ装置1は、解除状態とする第1位置と、接続状態とする第2位置とに回動可能な操作部材2と、操作部材2を回動可能に支持する第1支持部31と、可動端子部材5を回動可能に支持する第2支持部32と、第1支持部31と可動端子部材5とに係合し、操作部材2が第2位置から第1位置に回動する方向に、可動端子部材5と操作部材2を付勢する付勢部材7とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電材料で構成された固定端子部材と、
導電材料で構成され、前記固定端子部材に対して、接近、離間可能に回動する可動端子部材と、備え、
前記固定端子部材に前記可動端子部材を接触させて、前記固定端子部材と前記可動端子部材とを電気的に接続する接続状態と、前記固定端子部材から前記可動端子部材を離間させて、前記接続状態を解除する解除状態とに切り替え可能であり、
前記解除状態とする第1位置と、該第1位置から押圧操作されることにより前記接続状態とする第2位置とに回動可能な操作部材と、
前記操作部材を回動可能に支持する第1支持部と、
前記第1支持部と異なる位置に設けられ、前記可動端子部材を回動可能に支持する第2支持部と、
前記第1支持部と前記可動端子部材とに係合し、前記操作部材が前記第2位置から前記第1位置に回動する方向に、前記可動端子部材と前記操作部材を付勢する付勢部材と、を備えるスイッチ装置。
【請求項2】
前記第1支持部および前記第2支持部の突出方向から見たとき、前記第1支持部と、前記接続状態で前記固定端子部材と前記可動端子部材とが接触する接点部の間に前記第2支持部が配置される、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記接続状態で前記固定端子部材と前記可動端子部材とが接触する方向から見たとき、前記第1支持部と、前記接続状態で前記固定端子部材と前記可動端子部材とが接触する接点部の間に前記第2支持部が配置される、請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
樹脂材料で構成され、前記固定端子部材および前記可動端子部材を収納するケースを備え、
前記第1支持部および前記第2支持部は、それぞれ、前記ケースから柱状に一体的に突出形成されている、請求項3に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記付勢部材は、コイル部と、該コイル部の両端部からそれぞれ突出するアーム部と、を有するねじりコイルバネであり、
前記コイル部が前記第1支持部に係合し、一方の前記アーム部が前記可動端子部材に係合し、他方の前記アーム部が前記ケースに係合する、請求項4に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記可動端子部材は、バーリング加工により貫通して形成され、前記第2支持部が挿通する挿通孔を有し、
前記挿通孔の縁部には、前記バーリング加工により変形して立ち上がった立上部が形成されている、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記第2支持部と前記立上部と間に嵌合するリング状のリング部を有し、導電材料で構成された部材を備える、請求項6に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記固定端子部材および前記可動端子部材を収納するケースを備え、
前記ケースは、前記挿通孔からの前記第2支持部の抜けを防止する抜止部を有する、請求項6に記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記抜止部は、前記第2支持部に向かって筒状に突出形成され、その内側に前記第2支持部の端部が挿入される、請求項8に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車には、ハンドルバーに設けられるハンドルスイッチに、ホーン(警音器)を操作するスイッチ装置等が設置されたものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のホーンスイッチは、自動二輪車の運転者によって押圧操作される押しボタンと、導電性材料で構成され、押しボタンに一体的に結合されたブラケットと、ブラケットを押しボタンごと回動可能に支持する枢軸と、押しボタンが押圧操作された際にブラケットの可動接点と電気的に接続される、導電性材料で構成された固定接点と、を備える。
【0003】
ところで、自動二輪車に設置されたホーンスイッチの押しボタンは、例えば、運転者の手に装着された厚手のグローブを介して押圧操作されることがある。この場合、運転者にとっては、押しボタンが押圧操作により移動する際の移動ストロークが、長い方が好ましい。例えば、押しボタンの移動ストロークが短い場合、厚手のグローブを装着して押しボタンを押圧操作しても、その操作感覚が得にくい。一方、押しボタンの移動ストロークが長ければ、厚手のグローブの装着の有無に関わらず、押しボタンを確実に押圧操作したという感覚が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のホーンスイッチでは、押しボタンの移動ストロークを長くしようとした場合、押しボタンを回動可能に支持する枢軸と、固定接点との離間距離を、移動ストロークに比例して、長く確保する必要がある。この離間距離が長くなればなるほど、ブラケットの長さも増大することとなる。その結果、ブラケットを構成する導電材料(例えば金属材料)の使用量が増大して、ホーンスイッチの重量が増大する。重量が増大したホーンスイッチは、その重量の程度によっては、自動二輪車用としては、適さなくなるおそれがある。また、ホーンスイッチを製造する際の製造コスト(特に材料費)の増加も懸念される。
【0006】
本発明は、導電材料(例えば金属材料)の使用量を抑制して、軽量化および低コスト化を図ることができるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のスイッチ装置は、導電材料で構成された固定端子部材と、導電材料で構成され、固定端子部材に対して、接近、離間可能に回動する可動端子部材と、備え、固定端子部材に可動端子部材を接触させて、固定端子部材と可動端子部材とを電気的に接続する接続状態と、固定端子部材から可動端子部材を離間させて、接続状態を解除する解除状態とに切り替え可能であり、解除状態とする第1位置と、第1位置から押圧操作されることにより接続状態とする第2位置とに回動可能な操作部材と、操作部材を回動可能に支持する第1支持部と、第1支持部と異なる位置に設けられ、可動端子部材を回動可能に支持する第2支持部と、第1支持部と可動端子部材とに係合し、操作部材が第2位置から第1位置に回動する方向に、可動端子部材と操作部材を付勢する付勢部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、導電材料(例えば金属材料)の使用量を抑制して、軽量化および低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1に示すスイッチ装置の分解斜視図である。
【
図4】
図3に示す状態から操作部材を押圧操作したときの図である。
【
図5】
図3に示すスイッチ装置(一部を省略)の分解斜視図である。
【
図7】
図6に示すスイッチ装置(一部を省略)の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について
図1~
図7を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の実施形態に記載されている構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は実施形態に記載されている構成によって限定されることはない。なお、
図1~
図5中の上側を「上(または上方)」、下側を「下(または下方)」と言うことがある。
【0011】
図1に示すスイッチ装置1は、例えば、ハンドルバーを備える自動二輪車等の各種の車体に搭載可能である。この場合、例えば、スイッチ装置1は、ホーン(警音器)を操作するホーンスイッチとして機能させることができる。なお、スイッチ装置1は、自動二輪車に搭載される場合に限らず、自動二輪車以外も含む鞍乗り型車両にも搭載可能である。「鞍乗り型車両」とは、乗員が車体に跨って乗車する車両全般を含み、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両、その他、スノーモービル等を含む車両である。また、スイッチ装置1は、水上オートバイク(水上バイク)等の船舶や、車室を有する自動車にも搭載可能である。本実施形態では、互いに直交する3つの軸をそれぞれX軸、Y軸およびZ軸として設定する(想定する)。X軸方向は、スイッチ装置1の全長方向となり、Y軸方向は、スイッチ装置1の幅方向となり、Z軸方向は、スイッチ装置1の厚さ方向(高さ方向)となる。また、各方向の矢印が向く方向を「正側」、その反対方向を「負側」と言うことがある。
【0012】
図1に示すように、スイッチ装置1は、矢印αで示すZ軸方向負側に向かって押圧操作される操作部材2と、操作部材2を支持するケース3と、を備える。また、
図2~
図5に示すように、スイッチ装置1は、ケース3内に収納、配置された固定端子部材4、可動端子部材5、中継部材6、付勢部材7を備える。
【0013】
図2に示すように、操作部材2は、本体部21と、後述するケース3の第1支持部31(軸部312)が挿入される軸受け部22と、可動端子部材5が係合する係合部23と、を有する。なお、操作部材2の構成材料としては、特に限定されず、例えば、硬質の樹脂材料を用いることができる。
【0014】
本体部21は、例えば本実施形態ではブロック状をなし、その上面211のX軸方向正側の部分が、操作部材2を操作するときに運転者の指先で主に押圧される押圧操作点212(
図1参照)となっている。
【0015】
本体部21の下面側には、軸受け部22および係合部23がそれぞれ本体部21と一体的に突出形成されている。軸受け部22は、X軸方向負側、すなわち、押圧操作点212と反対側に配置されている。この軸受け部22は、ケース3の第1支持部31が挿入され、嵌合する貫通孔221を有する。これにより、操作部材2は、ケース3に対して回動可能となり、ケース3から最も突出する第1位置(
図3参照)と、第1位置から矢印α方向に押圧操作されることにより、第1位置よりもケース3に没入する第2位置(
図4参照)とに変位することができる。なお、軸受け部22の配置数は、本実施形態では2つであるが、これに限定されない。
【0016】
係合部23は、軸受け部22に対し、X軸方向正側に配置されている。この係合部23は、板状に突出した突出片で構成されている。
【0017】
図2に示すように、ケース3は、組立可能な2つの部材で構成されており、本実施形態では、操作部材2が配置されるケース本体30Aと、ケース本体30AにY軸方向正側から装着される蓋体30Bとで構成されている。なお、ケース3の構成材料としては、操作部材2と同様に、硬質の樹脂材料を用いることができる。
【0018】
図2~
図5に示すように、ケース3は、操作部材2を回動可能に支持する第1支持部31と、可動端子部材5を回動可能に支持する第2支持部32と、固定端子部材4を固定する固定部33と、を有する。また、
図6に示すように、ケース3は、可動端子部材5の挿通孔51からの第2支持部32の抜けを防止する抜止部34を有する。
【0019】
図6に示すように、第1支持部31は、ケース本体30AからY軸方向正側に向かって円柱状に一体的に突出形成された軸部311と、蓋体30Bから円柱状に一体的に突出形成された軸部312とに分割されている。軸部311と軸部312とは、同軸上に配置されており、端面同士が接していてもよいし、離間していてもよい。軸部312は、操作部材2の軸受け部22の貫通孔221を挿通する。これにより、操作部材2を、Y軸と平行な軸部312回りに回動可能に支持することができる。一方、軸部311は、後述する付勢部材7のコイル部71に挿入される。これにより、ケース3内での付勢部材7の位置決めがなされる。
【0020】
図3に示すように、第2支持部32は、第1支持部31と異なる位置、本実施形態では第1支持部31に対してX軸方向正側に設けられている。なお、Z軸方向において、第2支持部32の位置は、本実施形態では第1支持部31の位置よりも負側であるが、これに限定されない。第2支持部32は、ケース3から円柱状に一体的に突出形成された軸部321で構成されている。軸部321は、可動端子部材5の挿通孔51を挿通する。これにより、可動端子部材5を、Y軸と平行な軸部321回りに回動可能に支持することができる。
【0021】
第1支持部31および第2支持部32のうち、操作部材2が操作された際に力がより加わるの方は、第1支持部31である。従って、第2支持部32の直径は、第1支持部31の直径よりも小さくすることができ、第2支持部32を設けてもスイッチ装置1の大型化を招きにくい。
【0022】
以上のような回動支持部となる第1支持部31および第2支持部32は、それぞれ、樹脂製のケース3と一体的に形成された部分となっている。この構成は、例えば第1支持部31および第2支持部32をそれぞれ金属製とし、ケース3と別体で構成した場合に比べて、金属材料の使用量を低減することができる。これにより、スイッチ装置1の軽量化を図ることができる。また、スイッチ装置1の製造時の低コスト化も図ることができ、特に材料費を抑えることができる。
【0023】
図5に示すように、固定部33は、第2支持部32のX軸方向正側に隣り合って設けられている。固定部33は、固定端子部材4の板片状の端子台41を差し込み可能に構成されている。これにより、固定端子部材4を固定することができる。
【0024】
図6に示すように、抜止部34は、蓋体30Bに一体的に設けられている。この抜止部34は、第2支持部32に向かって円筒状(筒状)に突出形成されており、第2支持部32と同軸上に配置される。また、抜止部34の内側には、第2支持部32の端部が挿入される。これにより、軸部321が可動端子部材5の挿通孔51から抜けようとしても、可動端子部材5を抜止部34で押さえ付けて、可動端子部材5と軸部321との位置関係を規制することができる。これにより、可動端子部材5の挿通孔51からの軸部321の抜けを防止することができる。よって、可動端子部材5が軸部321回りに安定して回動可能に支持される。
【0025】
固定端子部材4、可動端子部材5および中継部材6は、それぞれ、導電材料で構成された部材である。導電材料としては、特に限定されず、例えば、真鍮、銅、錫、アルミニウム、金、銀またはそれらの合金、めっき材等のような金属材料が挙げられる。なお、固定端子部材4、可動端子部材5および中継部材6は、それぞれ、同じ導電材料で構成されていてもよいし、異なる導電材料で構成されていてもよい。
【0026】
図5に示すように、固定端子部材4は、所定形状の金属板材を折り曲げてなる金属加工品である。固定端子部材4は、端子台41と、端子台41から下方に向かって延びる延出部42と、を有する。前述したように、端子台41は、ケース3の固定部33に差し込まれる。また、端子台41には、導電材料で構成された端子部43が固定されている。延出部42は、スイッチ装置1が搭載される車体の制御部(図示せず)や、駆動する電装品(図示せず)と電気的に接続される。
【0027】
可動端子部材5も、所定形状の金属板材を折り曲げてなる金属加工品である。可動端子部材5は、中継部材6を介して、前記制御部と電気的に接続される。
図3や
図7に示すように、可動端子部材5は、貫通して形成された挿通孔51を有する。挿通孔51には、第2支持部32(軸部321)が挿通する。これにより、可動端子部材5は、前述したように第2支持部32回りに回動可能に支持されることとなり、固定端子部材4に対して、接近、離間することができる。また、可動端子部材5は、挿通孔51の反対側に設けられた板片状の端子部52を有する。端子部52は、付勢部材7の付勢力によって操作部材2の係合部23に係合する。これにより、操作部材2を押圧操作した際、その押圧力が係合部23を介して端子部52に伝達されて、可動端子部材5を連動して回動させることができる。また、このとき、可動端子部材5の端子部52が固定端子部材4の端子部43に接近する。
【0028】
スイッチ装置1は、可動端子部材5の端子部52を固定端子部材4の端子部43に接触させて、固定端子部材4と可動端子部材5とを電気的に接続する接続状態と、固定端子部材4の端子部43から可動端子部材5の端子部52を離間させて、接続状態を解除する解除状態とに切り替え可能である。なお、操作部材2が第1位置にあるとき、解除状態となる。(
図3参照)。また、操作部材2が第2位置にあるとき、接続状態となる(
図4参照)。そして、接触状態では、ホーンが作動して、警報音が発せられ、解除状態では、ホーンの作動が停止する。
【0029】
中継部材6も、所定形状の金属板材を折り曲げてなる金属加工品である。中継部材6は、ケース3(ケース本体30A)に対して固定されている。
図3や
図7に示すように、中継部材6は、貫通して形成された挿通孔61を有する。挿通孔61には、第2支持部32が挿通する。そして、
図6に示すように、この中継部材6に可動端子部材5が重ねて配置される。これにより、可動端子部材5は、回動の有無に関わらず、中継部材6と接することとなる。また、中継部材6は、挿通孔61よりも下部に、下方に向かって延びる延出部62を有する。延出部62は、前記制御部と電気的に接続される。
【0030】
付勢部材7は、操作部材2が第2位置から第1位置に回動する方向(
図3中の矢印β方向)に、可動端子部材5と操作部材2とを一括して付勢する部材である。
図2~
図5に示すように、付勢部材7は、ねじりコイルバネで構成されており、コイル状に巻回されたコイル部71と、コイル部71の一端部から突出するアーム部(一方のアーム部)72と、他端部から突出するアーム部(他方のアーム部)73と、を有する。なお、付勢部材7は、本実施形態ではねじりコイルバネで構成されているが、これに限定されず、例えば、板バネ等で構成されていてもよい。
【0031】
コイル部71には、第1支持部31の軸部311が挿通する。これにより、コイル部71と第1支持部31の軸部311とが係合する。また、アーム部72には、その端部が折り曲げられた折曲部721が形成されている。折曲部721は、可動端子部材5の挿通孔51と端子部52との間の中間部53に係合している。また、アーム部73は、直線状に延び、その端部731が、ケース3のケース本体30Aの内壁部に係合している。
【0032】
以上のような係合状態(以下単に「係合状態」と言う)により、付勢部材7は、可動端子部材5および操作部材2を矢印β方向に安定して付勢することができる。なお、矢印α方向への操作部材2の押圧操作は、付勢部材7の付勢力に抗して行われることとなる。
【0033】
また、
図3に示すように、第1支持部31および第2支持部32の突出方向(Y軸方向)から見たとき、ケース3内では、第1支持部31と、接続状態で固定端子部材4が可動端子部材5と接触する端子部43(接点部)の間に、第2支持部32が配置される。また、見る方向を変えるならば、例えば、接続状態で固定端子部材4と可動端子部材5とが接触する方向(Z軸方向)から見たときにも、ケース3内では、第1支持部31と端子部43の間に第2支持部32が配置される。以下、このような位置関係を「ケース内位置関係」と言う。付勢部材7は、係合状態により、ケース内位置関係を変更せずに、可動端子部材5および操作部材2を付勢することができる。
【0034】
そして、ケース内位置関係により、第1支持部31と端子部43との距離は、第2支持部32と端子部43との距離よりも長くなる。これにより、操作部材2が押圧操作により移動する際の移動ストローク(押し込み量)を十分に確保しつつ、可動端子部材5の全長を抑えることができる。
【0035】
ところで、スイッチ装置1が自動二輪車のホーンを操作するホーンスイッチとして用いられる場合、操作部材2は、例えば、運転者の手に装着された厚手のグローブを介して押圧操作されることがある。この場合、運転者にとっては、操作部材2の移動ストロークが、長い方が好ましい。なぜならば、操作部材2の移動ストロークが短い場合、厚手のグローブを装着して操作部材2を押圧操作しても、その操作感覚が得にくい。これに対し、操作部材2の移動ストロークが長い場合、厚手のグローブの装着の有無に関わらず、操作部材2を確実に押圧操作したという感覚が得られるからである。
【0036】
スイッチ装置1では、操作部材2の移動ストロークが十分に確保されていることにより、操作部材2を確実に押圧操作したという感覚が得られる。また、可動端子部材5の全長を抑えることができることにより、可動端子部材5を構成する導電材料(例えば金属材料)の使用量を低減する(抑制する)ことができる。これにより、前述した第1支持部31および第2支持部32がそれぞれ樹脂材料で構成されていることと相まって、スイッチ装置1の軽量化および製造時の低コスト化を図ることができる。
【0037】
また、仮に付勢部材7のコイル部71に第2支持部32が挿通した構成を想定すると、この構成は、付勢部材7のコイル部71に第1支持部31が挿通した本実施形態の構成(ケース内位置関係)に比べて、アーム部72の全長が短くなる。この場合、スイッチ装置1組立時にアーム部72と可動端子部材5とを係合させる際の作業性が悪くなるおそれがある。
【0038】
さらに、第1支持部31と第2支持部32とがケース3に設けられるため、操作部材2や可動端子部材5、付勢部材7等の構成部材をケース3に対し組み付けることができる。また、ケース本体30Aと蓋体30Bとを係合するだけで各構成部品の組立が完了するため、生産性を向上することができる。
【0039】
前述したように、可動端子部材5は、挿通孔51を有する。この挿通孔51は、バーリング加工により形成されている。これにより、
図6、
図7に示すように、挿通孔51の縁部には、バーリング加工により変形して立ち上がったリング状の立上部54が形成される。
【0040】
また、中継部材6は、挿通孔61を有する。この挿通孔61も、挿通孔51と同様に、バーリング加工により形成されている。これにより、挿通孔61の縁部にも、バーリング加工により変形して立ち上がったリング状の立上部(リング部)64が形成される。また、立上部64(挿通孔61)の直径は、立上部54(挿通孔51)の直径よりも小さい。さらに、立上部54の立ち上がり高さは、立上部54の立ち上がり高さよりも大きい。このような立上部64は、第2支持部32と立上部54と間に嵌合した状態となる。
【0041】
例えば、可動端子部材5の挿通孔51を形成する際、バーリング加工を用いずに、単なるパンチングプレスを用いた場合、挿通孔51の縁部(内周面)には、破断面が生じた状態となる。この破断面には、例えば鋭利な微小な突起が多数形成されていることがある。この場合、可動端子部材5が回動した際には、前記突起によって、中継部材6の立上部64の外周面541が摩耗してしまう。そして、摩耗が過剰になると、可動端子部材5の円滑な回動が阻害されるおそれがある。
【0042】
これに対し、前述したように、挿通孔51は、バーリング加工で加工されて、挿通孔51の縁部に立上部54が形成されている。立上部54の内周面541は、滑らかな面となっている。これにより、可動端子部材5の回動による立上部64の過剰な摩耗が防止される。また、立上部54についても同様に、過剰な摩耗が防止される。このような摩耗防止により、可動端子部材5が長期にわたって円滑に回動することができる。また、第1支持部31と、可動端子部材5の挿通孔51形成による破断面とを直接当接するのを防止することができる。これにより、第1支持部31の損耗を抑制することができるとともに、第1支持部31の構成材料に金属材料を使用しなくてもよくなる。
【符号の説明】
【0043】
1 スイッチ装置
2 操作部材
3 ケース
31 第1支持部
32 第2支持部
4 固定端子部材
43 端子
5 可動端子部材
52 端子部
7 付勢部材