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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046612
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20230329BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
B05C5/02
B05C11/10
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155305
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】夏 貞雄
(72)【発明者】
【氏名】横山 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】岩成 賢治
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA02
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA12
4F041BA22
4F041BA32
4F041BA36
4F041BA38
4F041CA03
4F041CA17
4F041CA18
4F042AA02
4F042BA07
4F042BA08
4F042BA12
4F042BA25
4F042CA01
4F042CA09
4F042CB03
4F042CB08
4F042CB10
4F042CB11
4F042CB19
(57)【要約】
【課題】 塗液収容部内における塗液を塗布用ノズルのスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布させる動作と、塗液収容部内に塗液を供給する動作とが同時に行えるようにする。
【解決手段】 塗布用ノズル10の塗液収容部11内における塗液Pを、スリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に塗布するにあたり、塗液収容部内を第1塗液収容部13aと第2塗液収容部13bとに分割する移動可能な分割部材13を移動させて、第1塗液収容部と第2塗液収容部との一方がスリット状吐出口と連通されるようにし、第1塗液収容部と第2塗液収容部に塗液を供給する第1塗液供給管14aと第2塗液供給管14bとを設けると共に、第1塗液収容部と第2塗液収容部とにおける塗液に加わる圧力を調整する第1圧力調整手段16aと第2圧力調整手段16bとを設けた。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布用ノズルにおける塗液収容部内に塗液を供給し、この塗液収容部内における塗液を吐出させる塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を被塗布体の上に配置させ、前記の被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させて、前記の塗液収容部内における塗液を、前記のスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布する塗布装置において、前記の塗液収容部内を第1塗液収容部と第2塗液収容部とに分割する分割部材を塗液収容部内に移動可能に設け、前記の分割部材を移動させて、第1塗液収容部と第2塗液収容部との一方が前記のスリット状吐出口と連通されるようにし、前記の第1塗液収容部に塗液を供給する第1塗液供給管と、前記の第2塗液収容部に塗液を供給する第2塗液供給管とを設けると共に、第1塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整する第1圧力調整手段と、第2塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整する第2圧力調整手段とを設けたことを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布装置において、前記のスリット状吐出口と連通された一方の塗液収容部において、前記の圧力調整手段により塗液収容部内における塗液に加わる圧力を一定圧に保った状態で、前記の塗液収容部内における塗液を前記のスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布する一方、スリット状吐出口と連通されていない他方の塗液収容部内に前記の塗液供給管を通して塗液を供給するようにし、前記の分割部材を塗液収容部内で移動させて、前記のスリット状吐出口と連通される塗液収容部を切り換えることを特徴とする塗布装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の塗布装置において、前記の塗液収容部を円筒状に形成すると共に、前記の分割部材に塗液収容部の内壁面に接触して塗液収容部内を第1塗液収容部と第2塗液収容部とに分割させる分離凸条を2つ設け、前記の分割部材を塗液収容部内において回転させて、前記のスリット状吐出口と連通させる第1塗液収容部と第2塗液収容部との切り換えを行うことを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の塗布装置において、前記の圧力調整手段は、塗液が供給された前記の塗液収容部内に気体を供給して、塗液収容部内における塗液に加わる圧力が一定圧になるように調整することを特徴とする塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に塗液を供給し、この塗液収容部内における塗液を吐出させる塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を被塗布体と対向するように配置させ、前記の被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させて、前記の塗液収容部内における塗液を、前記のスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布する塗布装置に関するものである。特に、前記のような塗布装置において、塗液収容部内における塗液を、塗布用ノズルの先端部に設けたスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布させる動作と、塗液収容部内に塗液を供給する動作とが同時に行えるようにして、被塗布体の表面に塗液を塗布する操作の切り換えが速やかに行えると共に、塗液を被塗布体の表面に均一な厚みになるように簡単に塗布できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、塗液を被塗布体の表面に塗布する塗布装置が使用されており、このような塗布装置としては、特許文献1に示されるようなスリット状吐出口を備えた塗布ノズルを用い、特許文献2に示されるように、塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を塗布用ノズルに供給させると共に、この塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を被塗布体に対向させるようにして、塗布用ノズルを被塗布体の上に配置させ、前記の塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を塗布用ノズルに所定の圧力で供給して、この塗液をスリット状吐出口から被塗布体の表面に吐出させながら、被塗布体の上において塗布用ノズルを塗布方向に移動させ、被塗布体の表面に塗液を塗布させるようにしたものが広く利用されている。
【0003】
ここで、前記のように塗液供給装置から塗液を塗布用ノズルに所定の圧力で供給して、この塗液をスリット状吐出口から被塗布体の表面に吐出させる場合、塗液供給装置から塗液供給管を通して塗液を塗液収容部に供給する際に、配管圧損(圧力損失)等か生じて、速やかに所定量の塗液をスリット状吐出口から被塗布体の表面に吐出させることができず、塗布開始時から被塗布体の表面に塗布される塗液の膜厚が徐々に増加して、被塗布体の表面に塗布される塗液の膜厚が一定になるまでに所定の時間を要し、また被塗布体の表面への塗液の塗布を停止させるにあたり、塗液供給装置から塗布用ノズルに供給する塗液に加わる圧力を減圧させて塗布用ノズルから塗液が吐出されないようにする場合にも、塗布用ノズルから塗液が吐出されなくなるまでに時間を要し、被塗布体の表面に塗布される塗液の膜厚が徐々に減少するようになり、塗布の開始時と停止時においては、塗液を被塗布体の表面に均一な厚みに塗布することができなかった。
【0004】
このため、近年においては、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に液供給管を通して塗液を供給し、前記の塗液収容部内に供給された塗液を、前記のスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布するにあたり、特許文献3に示されるように、前記の塗液収容部内で回転して塗液収容部と前記のスリット状吐出口との間の開閉を行うシャッター部材を設け、前記のシャッター部材を回転させて、塗液収容部とスリット状吐出口との間を開閉させるようにしたものが提案されている。
【0005】
そして、この特許文献3においては、前記の塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整する圧力調整手段を設け、圧力調整手段により塗液収容部内に収容された塗液に加わる圧力を一定圧に保った状態で、前記のシャッター部材を回転させて、塗液収容部とスリット状吐出口との間を開閉させるようにし、塗液収容部とスリット状吐出口との間を開口させた場合には、塗液収容部内に収容された塗液が一定した圧力でスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に供給されて、相対的に移動する被塗布体の表面に塗液が一定した厚みで塗布されるようにする一方、シャッター部材を回転させて塗液収容部とスリット状吐出口との間を閉塞させた場合には、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗液が供給されるのが速やかに停止されるようにすることも提案されている。
【0006】
ここで、この特許文献3において、前記のように塗液収容部内に収容された塗液を一定した圧力でスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に供給して、被塗布体の表面に塗液を塗布させた場合において、塗液収容部内に収容された塗液がなくなった場合には、塗布動作を停止して、塗液収容部内に所定量の塗液を供給(補充)することが必要になり、塗布動作を再開させるまでの待機時間が長くなり、塗布動作を効率よく行うことができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7-132267号公報
【特許文献2】特許第4344381号公報
【特許文献3】特許第6873586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に塗液を供給し、この塗液収容部内における塗液を吐出させる塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を被塗布体と対向するように配置させ、前記の被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させて、前記の塗液収容部内における塗液を、前記のスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布するようにした塗布装置における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0009】
すなわち、本発明においては、前記のような塗布装置において、塗液収容部内における塗液を、塗布用ノズルの先端部に設けたスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布させる動作と、塗液収容部内に塗液を供給する動作とが同時に行えるようにして、被塗布体の表面に塗液を塗布する操作の切り換えか速やかに行えると共に、塗液を被塗布体の表面に均一な厚みになるように簡単に塗布できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明における塗布装置においては、前記のような課題を解決するため、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に塗液を供給し、この塗液収容部内における塗液を吐出させる塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を被塗布体の上に配置させ、前記の被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させて、前記の塗液収容部内における塗液を、前記のスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布する塗布装置において、前記の塗液収容部内を第1塗液収容部と第2塗液収容部とに分割する分割部材を塗液収容部内に移動可能に設け、前記の分割部材を移動させて、第1塗液収容部と第2塗液収容部との一方が前記のスリット状吐出口と連通されるようにし、前記の第1塗液収容部に塗液を供給する第1塗液供給管と、前記の第2塗液収容部に塗液を供給する第2塗液供給管とを設けると共に、第1塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整する第1圧力調整手段と、第2塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整する第2圧力調整手段とを設けた。
【0011】
そして、本発明の塗布装置においては、塗液が収容された一方の塗液収容部を前記のスリット状吐出口と連通させ、この塗液収容部内における塗液に加わる圧力を前記の圧力調整手段により一定圧に保った状態で、前記の塗液収容部内における塗液を前記のスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布する一方、スリット状吐出口と連通されていない他方の塗液収容部内に前記の塗液供給管を通して塗液を供給することができる。これにより、一方の塗液収容部内における塗液を、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布させながら、他方の塗液収容部内に塗液を供給させることができ、また前記の分割部材を塗液収容部内で移動させて、前記のスリット状吐出口と連通される塗液収容部を切り換えることにより、前記のような動作を繰り返して交互に行えるようになり、塗液の供給(補充)のための待機時間が殆どなくなって、生産効率を向上することができる。
【0012】
また、本発明の塗布装置においては、前記のように塗液収容部内における塗液に加わる圧力を前記の圧力調整手段により一定圧に保った状態で、前記の塗液収容部内における塗液を前記のスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布するようにしたため、塗液が一定した圧力でスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に供給されて、相対的に移動する被塗布体の表面に塗液が一定した厚みで塗布されるようになる。
【0013】
ここで、本発明の塗布装置においては、前記の塗液収容部を円筒状に形成すると共に、前記の分割部材に塗液収容部の内壁面に接触して塗液収容部内を第1塗液収容部と第2塗液収容部とに分割させる分離凸条を2つ設け、前記の分割部材を塗液収容部内において回転させて、前記のスリット状吐出口と連通させる第1塗液収容部と第2塗液収容部との切り換えるようにすることができる。このようにすると、分割部材を塗液収容部内で移動させて、スリット状吐出口と連通される塗液収容部を切り換える操作が簡単に行えるようになる。
【0014】
また、本発明の塗布装置においては、前記の圧力調整手段により、塗液が供給された前記の塗液収容部内に気体を供給して、塗液収容部内における塗液に加わる圧力が一定圧になるように調整することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明における塗布装置においては、前記のように塗液が収容された一方の塗液収容部を、塗液を吐出させるスリット状吐出口と連通させ、この塗液収容部内における塗液に加わる圧力を圧力調整手段により一定圧に保った状態で、前記の塗液収容部内における塗液を前記のスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布する一方、スリット状吐出口と連通されていない他方の塗液収容部内に塗液供給管を通して塗液を供給することにより、一方の塗液収容部内における塗液を、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布させながら、他方の塗液収容部内に塗液を供給させることができ、また分割部材を塗液収容部内で移動させて、前記のスリット状吐出口と連通される塗液収容部を切り換えることにより、前記のような動作を繰り返して交互に行えるようになる。
【0016】
それにより、塗布装置に塗液を供給(補充)するための待機時間を殆どなくすことができ、生産効率を向上できる。
【0017】
また、本発明の塗布装置においては、前記のように塗液収容部内における塗液に加わる圧力を前記の圧力調整手段により一定圧に保った状態で、前記の塗液収容部内における塗液を前記のスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布するようにしたため、塗液が一定した圧力でスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に供給されて、相対的に移動する被塗布体の表面に塗液が一定した厚みで塗布されるようになる。
【0018】
この結果、本発明の塗布装置においては、塗液収容部内における塗液を、塗布用ノズルの先端部に設けたスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布させる動作と、前記の塗液収容部内に塗液を供給する動作とが同時に行え、被塗布体の表面に塗液を塗布する操作の切り換えか速やかに行え、従来のような塗布装置に塗液を供給(補充)するための待機時間を殆どなくすことができ、生産効率が向上すると共に、塗液を被塗布体の表面に均一な厚みになるように簡単に塗布できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る塗布装置において、塗布動作を行う前の状態を示した概略断面説明図である。
図2】前記の実施形態に係る塗布装置において、(A)は、分割部材における分離凸条により塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を閉じた状態で塗液を第1塗液収容部内に収容させる状態を示した概略断面説明図、(B)は、分割部材を回転させて、第1塗液収容部をスリット状吐出口と連通させ、第1塗液収容部に収容された塗液を一定圧に保った状態でスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布する一方、スリット状吐出口と連通されていない第2塗液収容部に塗液を供給する状態を示した概略断面説明図、(C)は、第1塗液収容部に収容された塗液が減少した場合に、分割部材を回転させて、第1塗液収容部に収容された塗液を被塗布体の表面に塗布する動作を停止させた状態を示した概略断面説明図、(D)は、分割部材を回転させて、第2塗液収容部をスリット状吐出口と連通させ、第2塗液収容部に収容された塗液を一定圧に保った状態でスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布する一方、スリット状吐出口と連通されていない第1塗液収容部に塗液を供給する状態を示した概略断面説明図、である。
図3】本発明の第2実施形態に係る塗布装置を示した概略断面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る塗布装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明の塗布装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0021】
図1に示す実施形態における塗布装置においては、塗布用ノズル10の内部に塗液Pを収容させる円筒状になった塗液収容部11を設けると共に、前記の塗布用ノズル10の先端部に前記の塗液収容部11内に収容された塗液Pを吐出させるスリット状吐出口12を塗液収容部11と連通するように設けている。
【0022】
そして、この実施形態における塗布装置においては、前記の塗液収容部11内を第1塗液収容部11aと第2塗液収容部11bとに分割させるにあたり、円筒状になった塗液収容部11内において回転可能に設けた分割部材13に放射状に半径方向に伸びた2つの分離凸条13aを設け、この2つの分離凸条13aの先端を塗液収容部11の内周面に接触させて、塗液収容部11内を第1塗液収容部11aと第2塗液収容部11bとに分割させるようにし、またこの分離凸条13aによって塗布用ノズル10の先端部に設けたスリット状吐出口12との間を閉塞できるようにしている。
【0023】
また、この実施形態における塗布装置においては、前記の第1塗液収容部11aに対して塗液Pを供給する第1塗液供給管14aにバルブ15aを設けると共に、前記の第2塗液収容部11bに対して塗液Pを供給する第2塗液供給管14bにバルブ15bを設け、前記のバルブ15aとバルブ15bの開閉を制御して、第1塗液収容部11aと第2塗液収容部11bとに対する塗液Pの供給と停止とを行うようにしている。
【0024】
また、この実施形態における塗布装置においては、前記の第1塗液収容部11a内における塗液Pに加わる圧力を調整する第1圧力調整手段16aとして、第1塗液収容部11a内に空気(気体)Airを供給する第1空気供給管161aにバルブ162aを設けると共に、第1塗液収容部11a内における空気Airを排気させる第1排気管163aにバルブ164aを設け、また前記の第2塗液収容部11b内における塗液Pに加わる圧力を調整する第2圧力調整手段16bとして、第2塗液収容部11b内に空気Airを供給する第2空気供給管161bにバルブ162bを設けると共に、第2塗液収容部11b内における空気Airを排気させる第2排気管163bにバルブ164bを設けている。なお、図面においては、前記の各バルブ15a,バルブ15b,バルブ162a,バルブ162b,バルブ164a,バルブ164bを開けた場合を白抜きで、閉じた場合を黒塗りで示した。
【0025】
また、前記の各圧力調整手段16a,16bにおける圧力調整とは、前記の各空気供給管161a,161bに設けた各バルブ162a,162bの開度を変更することによる圧力の調整の他に、各バルブ162a,162bを閉じて圧力をゼロにすることも含まれる。
【0026】
ここで、この実施形態における塗布装置において、被塗布体Wの表面に塗液Pを塗布するにあたっては、例えば、最初は、図2(A)示すように、前記の分割部材13における分離凸条13aにより塗布用ノズル10の先端部におけるスリット状吐出口12を閉じた状態で、前記の第1塗液供給管14aに設けたバルブ15aを開けると共に、前記の第1空気供給管161aに設けたバルブ162aを閉じた状態で、第1排気管163aに設けたバルブ164aを開け、前記の第1塗液供給管14aを通して塗液Pを第1塗液収容部11a内に供給すると共に、第1塗液収容部11a内における空気Airを、第1排気管163aを通して排気させるようにする。なお、最初であるため、第2塗液収容部11bは空の状態になっている。
【0027】
このようにして、最初に、前記の第1塗液収容部11a内に所定量の塗液Pを収容させた後は、図2(B)に示すように、前記の分割部材13を、図では反時計方向に回転させて、スリット状吐出口12を閉じていた前記の分離凸条13aを第2塗液収容部11bの方向に移動させて、第1塗液収容部11aを前記のスリット状吐出口12と連通させるようにする。
【0028】
そして、前記の第1塗液収容部11aにおいては、第1塗液供給管14aに設けたバルブ15aを閉じると共に、前記の第1排気管163aに設けたバルブ164aを閉じる一方、前記の第1空気供給管161aに設けたバルブ162aを開けて空気Airを第1塗液収容部11a内に供給して圧力をかけ、前記の第1塗液収容部11a内に収容された塗液Pに加わる圧力を調整し、第1塗液収容部11a内に収容された塗液Pを一定圧に保った状態で、前記のスリット状吐出口12を通して移動する被塗布体Wの表面に塗布させるようにする。
【0029】
一方、前記の第2塗液収容部11bにおいては、前記の第2塗液供給管14bに設けたバルブ15bを開けると共に、前記の第2空気供給管161bに設けたバルブ162bを閉じた状態で、第2排気管163bに設けたバルブ164bを開け、前記の第2塗液供給管14bを通して塗液Pを第2塗液収容部11b内に供給すると共に、第2塗液収容部11b内における空気Airを、第2排気管163bを通して排気させるようにする。
【0030】
また、このようにして第1塗液収容部11a内に収容された塗液Pを、前記のスリット状吐出口12を通して移動する被塗布体Wの表面に塗布させた結果、第1塗液収容部11a内に収容された塗液Pの量が減少した場合には、図2(C)に示すように、前記の分割部材13を、図では時計方向に回転させて、前記の分離凸条13aによりスリット状吐出口12を閉じると共に、前記の第1空気供給管161aに設けたバルブ162aを閉じて、前記の第1塗液収容部11a内に収容された塗液Pがスリット状吐出口12から被塗布体Wの表面に供給されないようにし、また、前記の第2塗液供給管14bを通して第2塗液収容部11b内に供給された塗液Pの量が所定量に達すると、前記の第2塗液供給管14bに設けたバルブ15bを閉じて、第2塗液収容部11b内に塗液Pを供給するのを停止させると共に、前記の第2排気管163bに設けたバルブ164bを閉じるようにする。
【0031】
その後、図2(D)に示すように、前記の分割部材13を、図では時計方向に回転させて、スリット状吐出口12を閉じていた前記の分離凸条13aを第1塗液収容部11aの方向に移動させて、塗液Pが供給された前記の第2塗液収容部11bを前記のスリット状吐出口12と連通させると共に、前記の第2空気供給管161bに設けたバルブ162bを開けて空気Airを第2塗液収容部11b内に供給して圧力をかけ、前記の第2塗液収容部11b内に収容された塗液Pに加わる圧力を調整し、第2塗液収容部11b内に収容された塗液Pを一定圧に保った状態で、前記のスリット状吐出口12を通して移動する被塗布体Wの表面に塗布させることを再開させるようにする。
【0032】
一方、前記の第1塗液収容部11aにおいては、前記の第1塗液供給管14aに設けたバルブ15aを開けると共に、前記の第1空気供給管161aに設けたバルブ162aを閉じた状態で、第1排気管163aに設けたバルブ164aを開け、前記の第1塗液供給管14aを通して塗液Pを第1塗液収容部11a内に供給すると共に、第1塗液収容部11a内における空気Airを、第1排気管163aを通して排気させるようにする。
【0033】
その後は、前記の図2(B)~(D)に示すように、第1塗液収容部11a内に収容された塗液Pを、スリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に塗布させながら、第2塗液収容部11b内に塗液Pを供給する動作と、第2塗液収容部11b内に収容された塗液Pを、スリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に塗布させながら、第1塗液収容部11a内に塗液Pを供給する動作とを、交互に繰り返して行うことにより、従来に比べて、被塗布体Wの表面に塗液Pを塗布する操作を繰り返して行うことが短時間で速やかに行え、従来のような塗布装置に塗液Pを供給(補充)するための待機時間を殆どなくすことができ、生産効率を向上できるようになる。
【0034】
また、前記のように第1塗液収容部11a内や第2塗液収容部11b内における塗液Pに加わる圧力を一定圧に保った状態で、第1塗液収容部11a内や第2塗液収容部11b内における塗液Pを、スリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に塗布するようにしたため、塗液Pが一定した圧力でスリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に供給されて、移動する被塗布体Wの表面に塗液Pが一定した厚みで塗布されるようになる。
【0035】
なお、この実施形態においては、スリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に塗液Pを塗布するにあたり、被塗布体Wを移動させるようにしたが、塗布用ノズル10を被塗布体Wに沿って移動させるようにすることもできる。
【0036】
また、この実施形態においては、第1塗液収容部11aと第2塗液収容部11bとに供給する塗液Pを同じにして、被塗布体Wの表面に塗液Pを塗布する操作を繰り返して行うようにしたが、第1塗液収容部11aと第2塗液収容部11bとに供給する塗液Pの種類を異ならせて、第1塗液収容部11aと第2塗液収容部11bとから異なる塗液Pを塗布させるようにすることもできる。
【0037】
なお、便宜上、上記では図2(B),図2(C),図2(D)の順で説明したが、図2(C)の状態は、塗布を一旦停止させたい場合に用いてもよい。図2(C)の状態の後、第1塗液収容部11a内に収容された塗液Pが、さほど減少していなければ、分割部材13を反時計方向に回転させて、図2(B)の状態に戻して塗布を再開してもよい。
【0038】
また、図2(C)の状態で分割部材13の回転を止めるように説明したが、図2(B)の状態から分割部材13の回転を止めずに、図2(D)の状態に素早く切替えしてもよい。そのようにすれば、塗工がほぼ途絶えることなく連続して行うことができる。
【0039】
さらに、この実施形態においては、前記のように円筒状になった塗液収容部11内において回転可能に設けた分割部材13に放射状に半径方向に伸びた2つの分離凸条13aを設け、この2つの分離凸条13aにより塗液収容部11内を第1塗液収容部11aと第2塗液収容部11bとに分割させるようにしたが、図3の第2の実施形態に示すように、塗液収容部11の形状を変更し、分割部材13を、図中において矢印で示すように、スリット状吐出口12の長手方向と直交する方向に往復移動させるようにして、塗液収容部11内を第1塗液収容部11aと第2塗液収容部11bとに分割させるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0040】
10 :塗布用ノズル
11 :塗液収容部
11a :第1塗液収容部
11b :第2塗液収容部
12 :スリット状吐出口
13 :分割部材
13a :分離凸条
14a :第1塗液供給管
14b :第2塗液供給管
15a :バルブ
15b :バルブ
16 :第1圧力調整手段
16b :第2圧力調整手段
161a :第1空気供給管
161b :第2空気供給管
162a :バルブ
162b :バルブ
163a :第1排気管
163b :第2排気管
164a :バルブ
164b :バルブ
Air :空気
P :塗液
W :被塗布体
図1
図2
図3