(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046613
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
B05C 5/02 20060101AFI20230329BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
B05C5/02
B05C11/10
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155306
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】夏 貞雄
(72)【発明者】
【氏名】横山 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】岩成 賢治
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA02
4F041AA12
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA32
4F041BA36
4F041CA03
4F041CA16
4F041CA17
4F042AA02
4F042AA22
4F042AB00
4F042BA04
4F042BA07
4F042BA25
4F042CA01
4F042CA09
4F042CB03
4F042CB08
4F042CB10
(57)【要約】
【課題】 塗液収容部内における塗液を、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に間欠的に塗布するにあたり、被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させる速度を速くした場合においても、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗液を間欠的に短い間隔で簡単に塗布できるようにする。
【解決手段】 塗布用ノズル10における塗液収容部11内に収容させた塗液Pを塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口12から被塗布体Wに吐出させると共に、塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置において、塗液収容部内で回転する回転部材13をスリット状吐出口に沿って設け、この回転部材から半径方向外方に突出するように前記のスリット状吐出口を閉塞させる複数のシャッター突条13aを設けた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布用ノズルにおける塗液収容部内に収容させた塗液を塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置において、前記の塗液収容部内で回転する回転部材をスリット状吐出口に沿って設け、この回転部材から半径方向外方に突出するように前記のスリット状吐出口を閉塞させる複数のシャッター突条を設けたことを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布装置において、前記の回転部材を回転させて、前記の各シャッター突条によってスリット状吐出口を開閉させ、前記の塗液収容部内における塗液を、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に間欠的に塗布させることを特徴とする塗布装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の塗布装置において、前記の塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整する圧力調整手段を設け、前記の圧力調整手段により、塗液収容部内における塗液に加わる圧力を一定圧に保った状態で、塗液収容部内における塗液を前記のスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布することを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
請求項3に記載の塗布装置において、前記の圧力調整手段は、前記の塗液収容部内に気体を供給して、塗液収容部内における塗液に加わる圧力が一定圧になるように調整することを特徴とする塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に収容させた塗液を塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置に関するものである。特に、前記のような塗布装置において、塗液収容部内における塗液を、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に間欠的に塗布するにあたり、被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させる速度を速くした場合においても、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗液を間欠的に短い間隔で簡単に塗布できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示されるようなスリット状吐出口を備えた塗布ノズルを用い、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に収容させた塗液を塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置が使用されており、またこのような塗布装置において、前記のスリット状吐出口を通して塗液を間欠的に被塗布体の表面に吐出させて、塗液を被塗布体の表面に間欠的に塗布することが行われている。
【0003】
そして、このようにスリット状吐出口を通して塗液を被塗布体の表面に間欠的に塗布するにあたり、特許文献2においては、シリンジポンプにより塗液を塗布用ダイに塗布液を供給し、長尺のシート状の被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させて、塗布用ダイの先端面に設けられたスリット状吐出口から塗液を被塗布体の表面に所定長さ供給した後、前記のシリンジポンプによる塗布用ダイへの塗液の供給を停止させ、このような操作を繰り返して、塗液を被塗布体の表面に間欠的に塗布するようにした間欠塗布装置が示されている。
【0004】
また、近年においては、被塗布体の無駄を減らすため、間欠部分(塗液を塗布しない区間)をできるだけ短くしたいという要望がある。
【0005】
しかし、特許文献2に示されるようにすると、シリンジポンプによる塗布用ダイへの塗液の供給と停止との切り換えを繰り返して行い、塗液を被塗布体の表面に間欠的に塗布する場合、シリンジポンプによって塗布用ダイへの塗液の供給と停止とを切り換えしたときに、塗液供給管内での圧力の伝達に時間がかかり、被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させる速度を速くした場合に、塗布用ノズルの先端部に設けたスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗液をキレ良く間欠的に短い間隔で塗布させることができなかった。
【0006】
また、近年においては、特許文献3に示すように、塗液供給管を通して塗液が供給される塗布用ノズルにおける塗液収容部内に、回転して塗布用ダイの先端面に設けられたスリット状吐出口との間の開閉を行うシャッター部材として、棒状体の外周部に軸方向に沿った案内用切欠き部を設けて断面がD型状になったものを設け、前記のシャッター部材を回転させ、前記の案内切欠き部を前記のスリット状吐出口の位置に導いて、塗液収容部とスリット状吐出口との間を連通させ、塗液収容部内における塗液に直接圧力をかけて、案内切欠き部からスリット状吐出口を通して被塗布体の表面にキレ良く塗布させるようにしたものが提案されている。
【0007】
しかし、特許文献3に示すように、棒状体の外周部に軸方向に沿った案内用切欠き部が設けられて断面がD型状になったシャッター部材を一方向に回転させ、案内切欠き部を前記のスリット状吐出口の位置に導いて、塗液収容部内における塗液を案内切欠き部からスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布させる場合においても、シャッター部材によって塗液収容部とスリット状吐出口との間を閉塞させる周長が長いため、塗液を塗布できない時間が長くなり、被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させる速度を速くした場合に、前記の特許文献2の場合と同様に、塗布用ノズルの先端部に設けたスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗液を間欠的に短い間隔で塗布することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7-132267号公報
【特許文献2】特許第4260199号公報
【特許文献3】特許第6873586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に収容させた塗液を塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布するようにした塗布装置における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0010】
すなわち、本発明においては、前記のような塗布装置において、塗液収容部内における塗液を、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に間欠的に塗布するにあたり、被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させる速度を速くした場合においても、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗液を間欠的に短い間隔で簡単に塗布できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る塗布装置においては、前記のような課題を解決するため、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に収容させた塗液を塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置において、前記の塗液収容部内で回転する回転部材をスリット状吐出口に沿って設け、この回転部材から半径方向外方に突出するように前記のスリット状吐出口を閉塞させる複数のシャッター突条を設けた。
【0012】
そして、本発明に係る塗布装置においては、前記の回転部材を回転させて、前記の各シャッター突条によってスリット状吐出口を開閉させ、前記の塗液収容部内における塗液を、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に間欠的に塗布させるようにする。このようにすると、回転部材の回転速度やシャッター突条の幅や間隔に応じて、被塗布体の表面に塗液を間欠的に塗布する間隔で簡単に調整できるようになる。
【0013】
また、本発明に係る塗布装置においては、前記の塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整する圧力調整手段を設け、前記の圧力調整手段により、塗液収容部内における塗液に加わる圧力を一定圧に保った状態で、塗液収容部内における塗液を前記のスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗布させるようにすることが好ましい。
【0014】
このようにすると、回転部材を回転させて、各シャッター突条によりスリット状吐出口を開閉させるにあたって、スリット状吐出口が開口された場合には、塗液収容部内に収容された塗液が一定した圧力でスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に供給されて、相対的に移動する被塗布体の表面に塗液が一定した厚みで塗布される一方、シャッター突条によりスリット状吐出口が閉塞されると、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗液が供給されるのが速やかにキレ良く停止されるようになる。
【0015】
また、本発明に係る塗布装置においては、前記の圧力調整手段により、塗液が供給された前記の塗液収容部内に気体を供給して、塗液収容部内における塗液に加わる圧力が一定圧になるように調整することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明における塗布装置においては、塗液収容部内に収容させた塗液を塗布用ノズルの先端部のスリット状吐出口から被塗布体に供給して被塗布体の表面に塗液を塗布するにあたり、塗液収容部内で回転する回転部材を前記のスリット状吐出口に沿って設けると共に、前記の回転部材から半径方向外方に突出するようにスリット状吐出口を閉塞させる複数のシャッター突条を設け、回転部材を回転させて、各シャッター突条によりスリット状吐出口を開閉させ、塗液収容部内における塗液を、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に間欠的に塗布させるようにしている。
【0017】
この結果、本発明における塗布装置においては、前記の回転部材を回転させる回転速度や、回転部材から半径方向外方に突出するように設けた各シャッター突条のスリット状吐出口と対向する部分の幅や、各シャッター突条間の間隔等に応じて、被塗布体の表面に塗液を間欠的に塗布する間隔を簡単に調整することができるようになり、被塗布体と塗布用ノズルとを相対的に移動させる速度を速くした場合においても、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に塗液を間欠的に短い間隔で簡単に塗布できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る塗布装置において、塗液収容部内で回転する回転部材を停止させ、回転部材から半径方向外方に突出した1つのシャッター突条により塗液収容部内の塗液を吐出させるスリット状吐出口を閉塞させた状態を示し、(A)は、塗液収容部内における空気を排気させながら、塗液収容部内に塗液を供給する状態を示した概略断面説明図、(B)は、塗液収容部内に適当量の塗液が供給された状態で、塗液収容部内に空気を供給して、塗液収容部内における塗液に加わる圧力を調整する状態を示した概略断面説明図である。
【
図2】前記の実施形態に係る塗布装置において、(A)~(C)は、塗液収容部内における塗液に加わる圧力を一定に調整しながら、前記の回転部材を回転させて、塗液収容部内における塗液を、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に間欠的に塗布する状態を示した概略断面説明図である。
【
図3】本発明の他の実施形態に係る塗布装置において、(A)~(C)は、塗液収容部内に塗液を充填させた状態で、塗液収容部内に充填された塗液に加わる圧力を一定に調整しながら塗液を供給し、前記の回転部材を回転させて、塗液収容部内における塗液を、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に間欠的に塗布する状態を示した概略断面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る塗布装置を、添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明における塗布装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0020】
図1(A),(B)及び
図2(A)~(C)に示す実施形態の塗布装置においては、塗布用ノズル10の内部に塗液Pを収容させる塗液収容部11を設けると共に、先端部に前記の塗液収容部11内に収容された塗液Pを吐出させるスリット状吐出口12を設けている。
【0021】
そして、この実施形態の塗布装置においては、前記の塗液収容部11内で回転する回転部材13を前記のスリット状吐出口12に沿って設けると共に、この回転部材13から半径方向外方に突出するようにしてスリット状吐出口12を閉塞させるシャッター突条13aを、回転部材13の周方向に所要間隔を介して複数(図に示す例では6つ)設けている。なお、前記の回転部材13に設けるシャッター突条13aの数は、複数であれば特に限定されず、また前記のシャッター突条13aにおいて、スリット状吐出口12を閉塞させる部分の幅は、スリット状吐出口12の幅より大きくなっていれば特に限定されず、回転部材13の回転速度等に応じて、被塗布体Wの表面に塗液Pを間欠的に塗布する条件に応じて適宜決定することができる。
【0022】
ここで、実施形態の塗布装置においては、
図1(A)に示すように、前記の塗液収容部11に塗液供給管14を通して塗液Pを圧力P
1をかけて供給すると共に、塗液収容部11内における塗液Pに加わる圧力を一定に調整する圧力調整手段の空気供給管15におけるバルブ15aを閉じた状態で、排気管16におけるバルブ16aを開けて、前記の塗液収容部11内における空気(気体)Airを外部に排気させるようにしている。また、圧力調整手段の圧力調整は、バルブ15aの開度で決めてもよいが、その上流に減圧弁(図示せず)等を設けてもよい。なお、図面においては、前記のバルブ15a、バルブ16aを開けた場合を白抜きで、閉じた場合を黒塗りで示した。
【0023】
また、前記のようにして塗液収容部11内に適当量の塗液Pが供給されると、
図1(B)に示すように、前記の排気管16におけるバルブ16aを閉じる一方、空気供給管15におけるバルブ15aを開けて、空気(気体)Airを、上記の塗液供給管14による塗液Pの圧力P
1よりも高い圧力P
2をかけて塗液収容部11内に供給して、塗液収容部11内に供給される塗液Pに加わる圧力を一定圧に保つようにしている。
【0024】
そして、この実施形態における塗布装置において、被塗布体Wの表面に塗液Pを間欠的に塗布するにあたっては、前記のように塗液供給管14を通して塗液Pを塗液収容部11に圧力P
1をかけて供給すると共に、空気供給管15を通して空気Airを、上記の圧力P
1よりも高い圧力P
2をかけて塗液収容部11内に供給して、塗液収容部11内に供給される塗液Pに加わる圧力を一定圧に保つようにし、
図2(A)~(C)に示すように、塗布用ノズル10に対して被塗布体Wを前記のスリット状吐出口12と直交する方向に移動させると共に、塗液収容部11内に設けた前記の回転部材13を回転させるようにする。
【0025】
ここで、前記のように回転部材13が回転され、
図2(A)に示すように、回転部材13におけるシャッター突条13aがスリット状吐出口12から離れて、スリット状吐出口12が開口されると、塗液収容部11内における塗液Pが一定した圧力でスリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に供給されて、被塗布体Wの表面に塗液Pが一定した厚みで塗布されるようになる。そして、回転部材13をさらに回転されて、
図2(B)に示すように、回転部材13におけるシャッター突条13aがスリット状吐出口12の位置に導かれると、スリット状吐出口12がシャッター突条13aにより閉塞されて、被塗布体Wの表面に塗液Pが塗布されなくなる。その後、回転部材13がさらに回転されて、
図2(C)に示すように、回転部材13におけるシャッター突条13aがスリット状吐出口12から離れて、スリット状吐出口12が開口されると、塗液収容部11内における塗液Pが一定した圧力でスリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に再び供給されて、被塗布体Wの表面に塗液Pが一定した厚みで塗布されるようになる。
【0026】
そして、前記のように被塗布体Wを前記のスリット状吐出口12と直交する方向に移動させながら、塗液収容部11内に設けた前記の回転部材13を一方向に回転させると、前記の動作が繰り返して行われ、被塗布体Wの表面に塗液Pが一定した厚みになるようにして間欠的に塗布されるようになる。
【0027】
ここで、この実施形態の塗布装置においては、前記の回転部材13を回転させる回転速度や、回転部材13から半径方向外方に突出するように設けるシャッター突条13aの数や間隔、またスリット状吐出口12を閉塞させるシャッター突条13aの幅を変更させることにより、被塗布体Wの表面に塗液Pを間欠的に塗布する間隔を簡単に調整することができるようになり、被塗布体Wと塗布用ノズル10を相対的に移動させる速度を速くした場合においても、塗液収容部11内における塗液Pを、スリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に短い間隔で間欠的に塗布することが簡単に行えるようになる。
【0028】
例えば、スリット状吐出口12を閉塞させるシャッター突条13aの幅(周長)が小さければ、被塗布体Wの相対移動速度が速くても、間欠部分(塗液Pを塗布しない区間)を短くできる。
【0029】
また、この実施形態の塗布装置においては、スリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に塗液Pを間欠的に塗布するにあたり、被塗布体Wを移動させるようにしたが、塗布用ノズル10を被塗布体Wに沿って移動させるようにすることもできる。
【0030】
なお、本発明の塗布装置は前記の実施形態に示したものに限定されない。
【0031】
ここで、
図3(A)~(C)に示す実施形態の塗布装置においては、前記の実施形態のものと同様に、塗布用ノズル10の内部に塗液Pを収容させる塗液収容部11を設けると共に、先端部に前記の塗液収容部11内に収容された塗液Pを吐出させるスリット状吐出口12を設け、さらに前記の塗液収容部11内で回転する回転部材13を前記のスリット状吐出口12に沿って設けると共に、この回転部材13から半径方向外方に突出するようにしてスリット状吐出口12を閉塞させるシャッター突条13aを、回転部材13の周方向に所要間隔を介して複数設けている。
【0032】
一方、この実施形態の塗布装置においては、前記の塗布用ノズル10における塗液収容部11内に塗液供給管14からシリンジポンプ(図示せず)等によって圧力をかけて塗液Pを供給して、塗液収容部11内に塗液Pを充填させ、この塗液収容部11内における塗液Pが一定した圧力になるようにしている。
【0033】
そして、この実施形態の塗布装置においては、前記のように塗液収容部11内における塗液Pが一定した圧力になるようにして塗液供給管14を通して塗液Pを供給しながら、
図3(A)~(C)に示すように、塗布用ノズル10に対して被塗布体Wを前記のスリット状吐出口12と直交する方向に移動させると共に、塗液収容部11内に設けた前記の回転部材13を回転させるようにする。
【0034】
ここで、
図3(A)に示すように、回転部材13におけるシャッター突条13aがスリット状吐出口12の位置に導かれると、スリット状吐出口12がシャッター突条13aにより閉塞されて、塗液収容部11内における塗液Pが被塗布体Wの表面に塗布されなくなり、この状態から、回転部材13が回転されて、
図3(B)に示すように、回転部材13におけるシャッター突条13aがスリット状吐出口12から離れ、スリット状吐出口12が開口されると、塗液収容部11内における塗液Pが一定した圧力でスリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に供給されて、被塗布体Wの表面に塗液Pが一定した厚みで塗布されるようになり、その後、回転部材13がさらに回転されて、
図3(C)に示すように、回転部材13におけるシャッター突条13aがスリット状吐出口12の位置に導かれると、スリット状吐出口12がシャッター突条13aにより閉塞されて、塗液収容部11内における塗液Pが被塗布体Wの表面に塗布されなくなる。
【0035】
そして、前記のように被塗布体Wを前記のスリット状吐出口12と直交する方向に移動させながら、塗液収容部11内に設けた前記の回転部材13を一方向に回転させると、前記の動作が繰り返して行われ、前記の実施形態のものと同様に、被塗布体Wの表面に塗液Pが一定した厚みになるようにして間欠的に塗布されるようになる。
【0036】
また、この実施形態の塗布装置においても、前記の実施形態の塗布装置と同様に、塗布用ノズル10を被塗布体Wに沿って移動させることができると共に、前記の回転部材13を回転させる回転速度や、回転部材13から半径方向外方に突出するように設けるシャッター突条13aの数や間隔、さらにスリット状吐出口12を閉塞させるシャッター突条13aの幅を変更させることにより、被塗布体Wの表面に塗液Pを間欠的に塗布する間隔を簡単に調整することができるようになり、被塗布体Wと塗布用ノズル10を相対的に移動させる速度を速くした場合においても、塗液収容部11内における塗液Pを、スリット状吐出口12を通して被塗布体Wの表面に短い間隔で間欠的に塗布することが簡単に行えるようになる。
【0037】
なお、前記の実施形態における塗布装置においては、被塗布体Wの表面に塗液Pを塗布するにあたり、前記のように塗液供給管14を通して塗液Pを塗液収容部11に圧力P1をかけて供給すると共に、空気供給管15を通して空気Airを上記の圧力P1よりも高い圧力P2をかけて塗液収容部11内に供給するようにしたが、塗液供給管14にバルブ(図示せず)を設け、このバルブを開いた状態で塗液Pを塗液収容部11内に供給し、その後、このバルブを閉じた状態で、空気供給管15を通して空気Airを塗液収容部11内に供給して上記の圧力P2をかけるようにしてもよい。そのようにすれば、被塗布体Wの表面に塗液Pを塗布している途中で、塗液Pが塗液供給管14に逆流することがない。
【符号の説明】
【0038】
10 :塗布用ノズル
11 :塗液収容部
12 :スリット状吐出口
13 :回転部材
13a :シャッター突条
14 :塗液供給管
15 :空気供給管
15a :バルブ
16 :排気管
16a :バルブ
Air :空気
P :塗液
W :被塗布体