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  • 特開-両面センサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046617
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】両面センサ
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20230329BHJP
   G02C 11/00 20060101ALI20230329BHJP
   H04N 23/54 20230101ALI20230329BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20230329BHJP
【FI】
G01B11/00 B
G02C11/00
G01B11/00 H
H04N5/225 300
H04N5/225 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155312
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 大貴
【テーマコード(参考)】
2F065
2H006
5C122
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA06
2F065AA17
2F065CC16
2F065FF01
2F065FF48
2F065JJ03
2F065JJ18
2F065JJ26
2F065LL22
2H006CA00
5C122EA54
5C122FB17
5C122FC06
5C122FH11
5C122FH14
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】スマートグラスに好適に適用できる両面センサを提供する。
【解決手段】両面センサ1は、絶縁性及び遮光性を有する第一面101と、絶縁性及び遮光性を有し、第一面101に対し非平行かつ非垂直な位置関係にある第二面102とを有する支持部100と、第一面101上に設けられた第一センサ10と、第二面102上に設けられた第二センサ50とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性及び遮光性を有する第一面と、絶縁性及び遮光性を有し、前記第一面に対し非平行かつ非垂直な位置関係にある第二面とを有する支持部と、
前記第一面上に設けられた第一センサと、
前記第二面上に設けられた第二センサと、
を備える、
両面センサ。
【請求項2】
前記第一センサは、光電変換素子及び回折格子を有して測距可能に構成され、
前記第二センサは、IRパスフィルタを有して赤外センサとして動作可能に構成されている、
請求項1に記載の両面センサ。
【請求項3】
前記第一面と前記第二面とが隣り合っており、両者のなす角度が0°より大きく90°未満である、
請求項1または2に記載の両面センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面センサ、より詳しくは、表面と裏面で異なる機能を発揮する両面センサに関する。
【背景技術】
【0002】
メガネに撮像や測距等の各種機能を付与したスマートグラスの実用化が進みつつある。測距技術としては、LiDAR(Light-Detection And Ranging)スキャナに代表される赤外線を発信して反射光を受信する方法や、撮像装置を複数搭載し、各装置が取得した画像の解析等により距離情報を取得する方法等が知られているが、赤外線を発信するモジュールや、複数の撮像モジュールを必要とするため、今のところスマートグラスに適用することは現実的ではない。
また、機能を増やすほどモジュールの数が増え、スマートグラスの重量やデザインが制限される。
【0003】
この問題に関連して、特許文献1には、表面側に第1受光面が形成され、裏面側に第2受光面が形成された両面センサが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-44555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の両面センサは、両面でセンシングを行えるため、スマートグラスに適用することにより、重量増加を抑えつつ機能を増やせる可能性がある。
詳細は後述するが、発明者は、両面センサをスマートグラスに適用するにあたり、新たな問題点を見出し、これを解決して本発明を完成させた。
【0006】
本発明は、スマートグラスに好適に適用できる両面センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、絶縁性及び遮光性を有する第一面と、絶縁性及び遮光性を有し、第一面に対し非平行かつ非垂直な位置関係にある第二面とを有する支持部と、第一面上に設けられた第一センサと、第二面上に設けられた第二センサとを備える両面センサである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スマートグラスに好適に適用できる両面センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る両面センサの模式断面図である。
図2】同両面センサを適用したスマートグラスの正面図である。
図3】同スマートグラスおよび装着者を上方から見た図である。
図4】同スマートグラスおよび装着者を側方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図1から図4を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る両面センサ1の模式断面図である。両面センサ1は、第一センサ10と、第二センサ50と、第一センサ10および第二センサ50が取り付けられた支持部100とを備えている。
【0011】
第一センサ10および第二センサ50は、固体撮像素子としての基本構造を有し、それぞれ異なるセンシング機能を発揮する。
第一センサ10は、複数の光電変換素子PDを有する基板11と、基板11上に形成された配線層12と、配線層12上に配置されたカラーフィルタ13と、カラーフィルタ13上に配置されたIRカットフィルタ14と、IRカットフィルタ14上に配置された低屈折率層15と、低屈折率層15上に配置された回折格子16とを備えている。
【0012】
基板11としては、光電変換素子PDを形成したシリコンウェハ基板を使用できる。
配線層12としては、公知の立体配線構造を適用できる。立体配線は、第一センサ10の平面視において、各光電変換素子PDの受光面の周囲に配置され、配線が配置されない部分は、光を透過できるように透明に形成する。
【0013】
カラーフィルタ13は、複数種類の色フィルタを含む。色フィルタの色の種類や数、および位置関係等は、適宜決定でき、公知のものを採用してもよい。例えば、赤、緑、青の三色を用いたベイヤ配列などを例示できる。第一センサ10の平面視において、各色フィルタは、光電変換素子PDの1つと重なっている。
【0014】
IRカットフィルタ14および低屈折率層15も、公知のものを適宜選択して使用できる。
低屈折率層15として、透明樹脂に中空フィラーが分散した構造のものを使用できる。この構造は、フィラーの含有率を変更することにより、屈折率を比較的容易に調節できる利点がある。低屈折率層15の屈折率は、空気の屈折率である1以上が好ましく、1.25以上1.33以下であることがより好ましい。1.33より大きいと低屈折率層としての機能が十分でない場合があるが、使用する回折格子16との関係では使用できる場合もあるため、完全には排除されない。
【0015】
回折格子16は、第一センサ10に測距機能を付与するためのものであり、公知の各種構造を採用できる。
【0016】
上記のように構成された第一センサ10は、スマートグラスに搭載することにより、光電変換素子PDに入射した可視光を光電変換することによる撮像機能と、回折格子16により生じる光の位相差を利用した測距機能との2つの機能付与に寄与できる。IRカットフィルタ14は、光電変換素子PDへの赤外光の入射を抑制することにより、測距におけるノイズ低減に寄与する。
【0017】
第二センサ50は、複数の光電変換素子PDを有する基板51と、基板51上に形成された配線層52と、配線層52上に配置されたIRパスフィルタ53と、IRパスフィルタ53上に配置された保護層54とを備えている。
【0018】
基板51および配線層52は、それぞれ第一センサ10の基板11および配線層12と同様の構成とできるが、基板11と基板51とで、光電変換素子PDの平面視寸法及び形状が異なっていてもよく、その結果、光電変換素子PDの密度(すなわち撮像素子としての解像度)が異なっていてもよい。
【0019】
IRパスフィルタ53は、所定波長域の赤外光を透過し、それ以外の可視光や紫外光等をカットする。これにより、第二センサ50は、入射する光に含まれる赤外波長域の光のみが光電変換素子PDに到達するように構成されている。IRパスフィルタ53における赤外波長域の透過特性は、第二センサ50の用途等に応じて適宜設定できる。
保護層54は、透明で堅牢な材料からなることが好ましく、アクリル樹脂やガラス等を材質として例示できる。
【0020】
上記のように構成された第二センサ50は、赤外センサとして機能する。ヒトの目において、虹彩と瞳孔とでは赤外線透過率が異なっているため、第二センサ50をヒトの目に向けると、自然光が目で反射した反射光に基づいて瞳孔の位置を特定できる。したがって、第二センサ50をスマートグラスに搭載することにより、視線の向きを特定するアイトラッキング機能を付与できる。
【0021】
支持部100は、第一面101と、第一面101と非平行かつ非垂直な位置関係にある第二面102とを有する。このような支持部の典型的な形状は、図1に示す面100aを底面とする三角柱状である。底面が直角三角形でない三角柱においては、外周面の一つを第一面とすると、残りの2つの外周面はいずれも第二面に該当する。底面が直角三角形である三角柱においては、斜辺に対応する外周面を第一面とすると、残りの2つの外周面はいずれも第二面に該当する。
支持部の形状は三角柱状には限られず、他の多角柱状でもよい。また、三角柱の角部をわずかに切り落としたり丸めたりした略三角柱状であってもよい。
【0022】
本実施形態においては、第一センサ10が支持部100の第一面101に取り付けられ、第二センサ50が第二面102に取り付けられる。取り付ける方法については、特に制限はなく、接着等を例示できる。
【0023】
第一面101および第二面102は、いずれも絶縁性および遮光性を有する。したがって、両面センサ1においては、支持部100に取り付けられた第一センサ10と第二センサ50との非導通の状態が確保され、さらに、一方のセンサに入射した光が他方のセンサに入射しない状態が確保されている。
第一面101および第二面102に絶縁性を付与する手段は特に制限されず、導体からなる支持体の第一面および第二面に絶縁層を設ける方法や、支持体全体をプラスチック等の絶縁体で形成する方法等を例示できる。
【0024】
両面センサ1の適用例について説明する。
図2は、両面センサ1を搭載したスマートグラス200の正面図である。スマートグラス200における両面センサ1の取り付け位置は、特に限定されないが、図1に示すように、フレーム201に取り付けると、装着者の視野を妨げることがなく、好ましい。図2では、フレーム201の上部と側部に取り付けた例を示している。
【0025】
両面センサ1は、第一センサ10が前側となるように、スマートグラス200に取り付けられる。例えば、フレーム201の一部を前後方向にくり抜き、両面センサ1をはめ込むとともに、別途設けた配線や端子等を介してフレーム201内に配置された他の動作機構と接続することにより、両面センサ1をスマートグラス200に組み込むことができる。組み込み後に、両面センサ1の前後を透明樹脂で封止して、両面センサ1の破損や汚損を防止する構成としてもよい。
【0026】
両面センサ1をレンズ202(図1参照)の左右いずれかの側に取り付ける場合は、支持部100の外周面のうち、いずれのセンサも取り付けられていない第三面103を、図3に示すように、レンズ202と反対側に向けて両面センサ1を取り付ける。このようにすると、第一面101と第二面102とがなす角度θ(図1参照)に基づき、第一センサ10の受光面を正面に向けつつ、第二センサ50の受光面の法線をスマートグラス200の装着者の目に向けることができる。その結果、装着者前方の撮像や測距と、装着者のアイトラッキングとの両方を、両面センサ1により好適に実行できる。
【0027】
両面センサ1をフレーム201の上部に取り付ける場合は、図4に示すように、第三面103を上側にして取り付ける。これにより、第二センサ50の受光面を真後ろよりもやや下方に向けることができ、第二センサ50の受光面の法線をスマートグラス200の装着者の目に向けることが可能になる。
【0028】
このように、両面センサ1は、第一面101と第二面102とが角度をなす支持部100に取り付けられていることにより、フレーム201のどこに取り付けられても、第一センサ10および第二センサ50の両方を好適に動作させることができる。第一センサの受光面と、第二センサの受光面とが平行な位置関係にある両面センサでは、スマートグラスのフレームのどこに取り付けても、第一センサおよび第二センサの両方を好適に動作させることは困難である。
その上、フレームの厚さによっては、フレームから突出しないようにフレーム内に配置することも十分可能であるため、スマートグラスの外観を損ないにくく、スマートグラスの外観デザインの自由度も向上できる。
【0029】
両面センサ1を取り付けたスマートグラス200においては、例えば視線で指定した対象物との測距を行ったり、一定時間目を閉じることで撮像を指示したりする等の、撮像や測距と、アイトラッキングとを組み合わせた動作制御が実現でき、高性能なスマートグラスの実現に寄与できる。
【0030】
本実施形態において、支持部の第一面と第二面とがなす角度θは、取り付け位置等に応じて0°<θ<90°の範囲内で適宜設定できる。
【0031】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。以下にいくつか変更を例示するが、これらはすべてではなく、それ以外の変更も可能である。これらの変更が2以上適宜組み合わされてもよい。
【0032】
・IRカットフィルタと低屈折率層との間にマイクロレンズアレイを設け、光電変換素子への集光を向上させてもよい。
【0033】
・第一センサおよび第二センサの具体的構成は、それぞれのセンサに発揮させる機能に応じて、適宜変更できる。各センサに発揮させる機能も、上述した測距、撮像、アイトラッキングには限られない。
【符号の説明】
【0034】
1 両面センサ
10 第一センサ
50 第二センサ
100 支持部
101 第一面
102 第二面
図1
図2
図3
図4