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特開2023-46633使用済み衛生用品の処理システム及び処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046633
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】使用済み衛生用品の処理システム及び処理方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 5/00 20060101AFI20230329BHJP
   C05F 7/02 20060101ALI20230329BHJP
   C05G 5/20 20200101ALI20230329BHJP
   C10L 5/40 20060101ALI20230329BHJP
   C10L 3/08 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
B09B5/00 Z ZAB
C05F7/02
C05G5/20
C10L5/40
C10L3/08
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155334
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】507394639
【氏名又は名称】株式会社サムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪田 勇
(72)【発明者】
【氏名】岡野 公美
(72)【発明者】
【氏名】鴨沢 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】阪田 乾仁
(72)【発明者】
【氏名】阪田 光子
(72)【発明者】
【氏名】山田 稔
【テーマコード(参考)】
4D004
4H015
4H061
【Fターム(参考)】
4D004AA06
4D004AA07
4D004AA12
4D004BA03
4D004BA04
4D004BA07
4D004BA09
4D004CA07
4D004CA12
4D004CA13
4D004CA15
4D004CA40
4D004CA46
4D004CC03
4D004CC11
4H015AA04
4H015AA16
4H015AA17
4H015AB01
4H015BA01
4H015BA03
4H015BA13
4H015BB04
4H015BB10
4H015CB01
4H061AA03
4H061CC53
4H061EE02
4H061FF02
4H061GG13
4H061GG16
4H061GG43
4H061GG61
(57)【要約】
【課題】本発明は、使用済み衛生用品を構成する素材をリサイクル資源として回収することができて、最終的に自然界に放出しなければならない処理後の残渣中に含まれるマイクロプラスチックの量を可能な限り低減することができる使用済み衛生用品の処理システム及び処理方法を提供する。
【解決手段】本発明の使用済み衛生用品の処理システム15は、使用済み衛生用品を破砕・破断することなく使用済み衛生用品を形成する複数種の部材2、3、4、5、6のまま分解処理液により処理する分離機16、及びこの分離機16により分解処理され、脱水処理された複数種の部材2、3、4、5、6を選別する選別機17を備えた処理部18と、分離機16により分解処理されて複数種の部材2、3、4、5、6が混在した分解処理液からリサイクル資源を回収し、回収したリサイクル資源を再利用するリサイクル資源回収・再利用部19とからなる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済み衛生用品を処理する処理システムであって、
使用済み衛生用品を破砕・破断することなく使用済み衛生用品を形成する複数種の部材のまま分解処理液により処理する分離機、及び該分離機により分解処理され、脱水処理された複数種の部材を選別する選別機を備えた処理部と、
前記分離機により分解処理されて複数種の部材が混在した分解処理液からリサイクル資源を回収し、回収した前記リサイクル資源を再利用するリサイクル資源回収・再利用部とからなることを特徴とする使用済み衛生用品の処理システム。
【請求項2】
前記リサイクル資源回収・再利用部は、前記分離機により分解処理され複数種の部材が混在した処理排液から前記リサイクル資源として少なくともパルプを回収するとともに、前記選別機で選別されたリサイクル資源を回収する資源回収部と、
前記資源回収部から回収されたリサイクル資源から段ボール原料、肥料、バイオマス燃料、固形燃料を製造する資源再利用部とからなることを特徴とする請求項1に記載の使用済み衛生用品の処理システム。
【請求項3】
前記資源回収部は、前記分離機により破砕・破断することなく複数種の部材に分解処理された複数種の部材が混在する処理排液からリサイクル資源としてのパルプを少なくとも回収する第1パルプ回収装置と、
前記分離機から前記使用済み衛生用品を形成する複数種の部材が混在した処理排液を回収する液肥回収部と、前記処理排液に含まれる固形成分であるスカマーを回収するスカマー回収装置と、
前記選別機により選別されたパルプを回収する第2パルプ回収装置と、パルプが付着したプラスチックを回収するプラパル回収部とを有することを特徴とする請求項2に記載の使用済み衛生用品の処理システム。
【請求項4】
前記資源再利用部は、前記第1パルプ回収装置により回収されたパルプから段ボール原料を製造する段ボール原料製造装置と、
前記分離機から排出された処理排液から液体肥料を製造する液肥製造装置と、
前記スカマー回収装置により回収されたスカマーから肥料を製造する肥料製造装置と、
前記スカマー回収装置により回収されたスカマーからバイオマス燃料を製造するバイオマス燃料製造装置と、
前記分離機から排出された処理排液から発酵原料回収部が回収した発酵原料でメタンガスを生成するメタンガス発酵装置と、
前記プラパル回収部から回収されたプラパルプで固形燃料を製造する固形燃料製造装置とを備えていることを特徴とする請求項3に記載の使用済み衛生用品の処理システム。
【請求項5】
前記分解処理液は、殺菌・消毒剤と、石灰と、水とからなることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の使用済み衛生用品の処理システム。
【請求項6】
使用済み衛生用品を処理する処理方法であって、
使用済み衛生用品を破砕・破断することなく使用済み衛生用品を形成する複数種の部材のまま分解処理液で分解するとともに、分解処理液で分解されて脱水された複数種の部材を選別する選別機とを備えた処理部で処理し、
前記処理部で分解処理され選別された複数種の部材、排液からリサイクル資源を資源回収部で回収し、
前記資源回収部で回収されたリサイクル資源である、排液、パルプ、スカマー、プラパルを資源再利用部で製品に再利用することを特徴とする使用済み衛生用品の処理方法。
【請求項7】
使用済み衛生用品を処理する処理方法であって、
使用済み衛生用品を破砕・破断することなく使用済み衛生用品を形成する複数種の部材のまま処理部において分解処理液で分離機により分解処理し、
前記分離機により前記分解処理液と混合している複数種の部材を脱水し、脱水後の固形物である複数種の部材は処理部において選別機で選別し、
分解処理した使用済み衛生用品を脱水した後に、前記分離機から排出された排液から資源回収部でパルプ、スカマー、発酵原料を回収し、
前記資源回収部で回収された第1パルプ、スカマー、発酵原料を資源再利用部で、前記第1パルプから段ボール原料を製造し、前記スカマーから肥料、バイオマス燃料を製造し、前記発酵原料からメタンガスを製造し、前記分離機から排出された排液から液肥を製造し、
前記分離機で分解処理し脱水した後に選別機で選別された複数種の部材から資源回収部でパルプ、プラパルを回収し、
資源回収部で回収されたパルプ、プラパルを資源再利用部で、前記パルプから段ボール原料を製造し、前記プラパルから固形燃料を製造することを特徴とする使用済み衛生用品の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済み衛生用品を処理し、使用済み衛生用品からリサイクル資源を回収し、回収したリサイクル資源を再利用する使用済み衛生用品の処理システム及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化により使用が増加する紙おむつは、使用後に廃棄されるとその多くは自治体の清掃施設等で焼却処分されている。清掃施設等で使用済み紙おむつを処分することは、廃棄物処理経費の高騰、二酸化炭素排出量の増大、助燃剤の使用量の増大、最終処分場の逼迫といった問題を引き起こしている。
【0003】
紙おむつを形成する素材は、上質パルプ、プラスチックの他に高分子吸収材から構成されている。高分子吸収材が水分を多量に吸収してしまうことから、これまで紙おむつのリサイクルは多量に吸収している雑菌等が含まれる水分の処理を行うため、衛生面の確保が担保されないこともあり進展しなかった。また、ある紙おむつメーカーによると、紙おむつの素材構成比は、50%以上がプラスチックとなっている。
【0004】
しかしながら、近年、紙おむつをリサイクルする事業者も現れはじめ、環境省は使用済み紙おむつのリサイクルの導入検討を進める自治体に対し、令和2年3月にガイドラインを策定した。一方、使用済み紙おむつはビニール袋に入れられ収集されているので、特許文献1に記載されているように、リサイクル工程においては破砕工程が必須となる。また、国交省が進める使用済み紙おむつの下水道受入プランにおいても破砕後に下水処理場へと流す仕組みである。リサイクル工程において使用済み紙おむつを破砕すると、プラスチックも破砕されることになり、5mm以下のマイクロプラスチックが発生する。
【0005】
マイクロプラスチックに関する資料によると下水処理場(流域人口50万人)で一日あたり10億個(年間3,900億個)のマイクロプラスチックが放出されていると言われており、また高分子吸収材(ポリマー)自体が0.1mmサイズであるため、紙おむつを破砕・破断し処理、リサイクルすることがマイクロプラスチックの流出を増大させていると推測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-146632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
石油を原料とするプラスチックは世界で年間3億トン生産されているが、プラスチックは自然分解されずに半永久的に残るという特徴があり、海に流される5mm以下のサイズになったものをマイクロプラスチックと呼んでいる。これにより、想定される被害として生態系を含めた海洋環境への影響や沿岸域居住環境への影響が懸念される。特に紙おむつは高分子吸収材(ポリマー)自体が非常に小さく、さらに破砕してしまうとさらに極小化する恐れがあり、海洋中に流出する懸念が高まる。
【0008】
紙おむつを仮にそのまま海洋に投棄したとすると分解されるまでに実に450年かかるといったデータもある。SDGsが定められ、国際的なプラスチック資源環境が進められる中で、バヌアツ国は紙おむつの使用禁止の政策を打ち出した。国際的に紙おむつの使用抑制が出てくれば、高齢化社会に突入する国にとって別な負担が発生してくる。すなわち、高齢者介護にとって紙おむつは使用不可欠のものであり、布おむつでは交換回数が多く、臭いなどの問題が発生する。
【0009】
そこで、本発明は、使用済み紙おむつ等の使用済み衛生用品を処分する際に、使用済み衛生用品を構成する素材をリサイクル資源として回収することができて、最終的に自然界に放出しなければならない処理後の残渣中に含まれるマイクロプラスチックの量を可能な限り低減することができる使用済み衛生用品の処理システム及び処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1の態様は、使用済み衛生用品を処理する処理システムであって、使用済み衛生用品を破砕・破断することなく使用済み衛生用品を形成する複数種の部材のまま分解処理液により処理する分離機、及び該分離機により分解処理され、脱水処理された複数種の部材を選別する選別機を備えた処理部と、前記分離機により分解処理されて複数種の部材が混在した分解処理液からリサイクル資源を回収し、回収した前記リサイクル資源を再利用するリサイクル資源回収・再利用部とからなることを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の態様は、前記リサイクル資源回収・再利用部は、前記分離機により分解処理され複数種の部材が混在した処理排液からリサイクル資源として少なくともパルプを回収するとともに、前記選別機で選別されたリサイクル資源を回収する資源回収部と、前記資源回収部から回収されたリサイクル資源から段ボール原料、肥料、バイオマス燃料、固形燃料を製造する資源再利用部とからなることを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の態様は、前記資源回収部は、分離機により破砕・破断することなく複数種の部材に分解処理された複数種の部材が混在する処理排液からリサイクル資源としてのパルプを少なくとも回収する第1パルプ回収装置と、前記分離機から前記使用済み衛生用品を形成する複数種の部材が混在した処理排液を回収する液肥製造装置と、前記処理排液に含まれる固形成分であるスカマーを回収するスカマー回収装置と、前記選別機により選別されたパルプを回収する第2パルプ回収装置と、パルプが付着したプラスチックを回収するプラパル回収部とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の第4の態様は、前記資源再利用部は、前記第1パルプ回収装置により回収されたパルプから段ボール原料を製造する段ボール原料製造装置と、前記分離機から排出された処理排液から液体肥料を製造する液肥製造装置と、前記スカマー回収装置により回収されたスカマーから肥料を製造する肥料製造装置と、前記スカマー回収装置により回収されたスカマーからバイオマス燃料を製造するバイオマス燃料製造装置と、前記分離機から排出された処理排液から発酵原料回収部が回収した発酵原料でメタンガスを生成するメタンガス発酵装置と、前記プラパル回収部から回収されたプラパルプで固形燃料を製造する固形燃料製造装置とを備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明の第5の態様は、前記分解処理液は、殺菌・消毒剤と、石灰と、水とからなることを特徴とする。
【0015】
本発明の第6の態様は、使用済み衛生用品を処理する処理方法であって、使用済み衛生用品を破砕・破断することなく使用済み衛生用品を形成する複数種の部材のまま分解処理液で分解するとともに、分解処理液で分解されて脱水された複数種の部材を選別する選別機とを備えた処理部で処理し、前記処理部で分解処理され選別された複数種の部材、排液からリサイクル資源を資源回収部で回収し、前記資源回収部で回収されたリサイクル資源である、排液、パルプ、スカマー、プラパルを資源再利用部で製品に再利用することを特徴とする。
【0016】
本発明の第7の態様は、使用済み衛生用品を処理する処理方法であって、使用済み衛生用品を破砕・破断することなく使用済み衛生用品を形成する複数種の部材のまま処理部において分解処理液で分離機により分解処理し、前記分離機により前記分解処理液と混合している複数種の部材を脱水し、脱水後の固形物である複数種の部材は処理部において選別機で選別し、分解処理した使用済み衛生用品を脱水した後に、前記分離機から排出された排液から資源回収部で第1パルプ、スカマー、発酵原料を回収し、前記資源回収部で回収された第1パルプ、スカマー、発酵原料を資源再利用部で、前記第1パルプから段ボール原料を製造し、前記スカマーから肥料、バイオマス燃料を製造し、前記発酵原料からメタンガスを製造し、前記分離機から排出された排液から液肥を製造し、前記分離機で分解処理し脱水した後に選別機で選別された複数種の部材から資源回収部で第2パルプ、プラパルを回収し、資源回収部で回収された第2パルプ、プラパルを資源再利用部で、前記第2パルプから段ボール原料を製造し、前記プラパルから固形燃料を製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、使用済み衛生用品を破砕・破断することなく使用済み衛生用品を形成する複数種の部材ごとに分離機内で分解処理液により処理し、複数種の部材が混在した分解処理液からリサイクル資源回収・再利用部でリサイクル資源を回収し、再利用する。
【0018】
したがって、使用済み衛生用品を構成する素材をリサイクル資源として回収することができて、使用済み衛生用品を破砕・破断することがないので、最終的に自然界に放出しなければならない処理後の残渣中に含まれるマイクロプラスチックの量を可能な限り低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る使用済み衛生用品の処理システムを示すブロック図。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る使用済み衛生用品の処理システムによって処理される紙おむつを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係る使用済み衛生用品の処理システム及び処理方法について説明する。本実施の形態における衛生用品としての紙おむつは、市販されている公知のものが用いられている。紙おむつは、パンツタイプ、テープタイプ、フラットタイプ、パッドタイプ、軽失禁パッド等の種類がある。これらの紙おむつ1は、図2に示すように、一般的に、表面素材2と、内側素材3と、吸水材・防水材4と、ギャザー5と、その他の素材6とで形成されている。
【0021】
表面素材2は、ポリオレフィン・ポリエステル不織布等からなり、表面材7として使用されている。図2に示すように、表面材7は紙おむつ1の外側部分、体に接触する内側の表面部分に用いられている。内側素材3は、吸水材8、防水材9として使用されている。吸水材8は、吸水紙10と、綿状パルプ11と、高分子吸収材12とで構成されている。この吸水材8は、吸水紙10により広がった尿が綿状パルプ11を通り、高分子吸収材12に送り込まれる。
【0022】
防水材9は、ポリオレフィンフィルム等からなる防水シートであり、吸収した尿が外部に漏れるのを防止する。ギャザー5は、ポリオレフィンフィルム等で形成され、吸水材8が吸収した尿が太ももとの間から漏れるのを防止する。その他の素材6は、伸縮材や、紙おむつ1を構成する部材(パーツ)を結合する結合材に使用されている。伸縮材はポリウレタン等が用いられ、結合材はスチレン系エラストマー合成樹脂からなり、ホットメルトで各部材を粘着している。続けて、上記の紙おむつを使用した後の紙おむつ(使用済み紙おむつ)を処理する処理システム15について以下に説明する。
【0023】
本実施形態の使用済み衛生用品の処理システム(以下「処理システム」という)15は、使用済み衛生用品としての使用済み紙おむつを破砕・破断することなく使用済み紙おむつを形成する複数種の部材のまま分解処理液により処理する分離機16、及びこの分離機16により分解処理され、脱水処理された複数種の部材を選別する選別機17を備えた処理部18と、分離機16により分解処理されて複数種の部材が混在した分解処理液からリサイクル資源を回収し、回収したリサイクル資源を再利用するリサイクル資源回収・再利用部19とから構成されている。
【0024】
図1に示すように、一般家庭や病院、施設等から収集された使用済み紙おむつは、処理システム15が設置された処理施設の処理部18に搬入され、処理部18に設けられた分離機16内に投入される。本実施の形態における使用済み紙おむつの収集では、溶解性の回収袋が用いられている。溶解性の回収袋としては、例えばPVA(ポリビニルアルコール)を主成分にした水溶性フィルムで形成されたソルバッグ(株式会社 アイセロ製)が用いられている。この溶解性回収袋は、温水(例えば、70℃以上)で溶けるフィルムから作られており、細菌、ウイルス等を通さない性質を持っている。この溶解性回収袋に少量の使用済み紙おむつを収納させて収集する。
【0025】
このように、少量の使用済み紙おむつを収納した複数個の溶解性回収袋を病院、施設等から回収する個別回収では、少量の使用済み紙おむつを収納した複数個の溶解性回収袋を搬送時のみ使用する大袋内に収容し、この大袋を収集トラック等によって処理施設まで搬送した後に、処理部18の分離機16内に、大袋内から取り出した使用済み紙おむつを投入する。この際、少量の使用済み紙おむつが収納された溶解性回収袋ごと投入することができる。
【0026】
従来、一般家庭や病院、施設等から使用済み紙おむつを収集する場合、一般的には、防水性を備えたプラスチック製の比較的大きな回収袋や回収ボックス内に大量の使用済み紙おむつを収納し、これらの大量の使用済み紙おむつを収納した回収袋をラック等によって搬送用のトラックに積み込んで処理施設まで搬送する。その後、回収袋から作業者が使用済み紙おむつを取り出して分離機16内に投入している。すなわち、回収袋をそのまま分離機16内に投入することができないので、人力によって回収袋から使用済み紙おむつを一々取り出し、分離機16内に投入している。なお、使用済み紙おむつの収集には、パッカー車、平ボディ車、脱着装置付コンテナ車などにゴミ袋のまま積み込んで、処理施設に搬入する場合もある。
【0027】
本実施の形態における収集の方法では、温水により溶ける溶解性回収袋を用いることにより、病院や施設から回収した使用済み紙おむつを溶解性回収袋により少量で、個別に回収する少量個別回収することで、溶解性回収袋に収納したまま分離機16内に投入することが可能となり、作業者が使用済み紙おむつに触れることがなく、使用済み紙おむつの処理に関して衛生上良好な作業環境で使用済み紙おむつの処理作業を行うことができる。また、溶解性回収袋で少量個別回収することで、使用済み紙おむつが密閉状態で回収され、嵩が下がることにより、処理部の分離機16内への投入量を増やすことができ、処理量を増やすことが可能となる。
【0028】
病院や施設等から上記のように少量個別回収により収集された使用済み紙おむつは、処理施設に設置された処理システム15により処理される。処理システム15は、上記したように、処理部18と、リサイクル資源回収・再利用部19とで構成され、処理部18には、分離機16と、選別機17とが設けられている。
【0029】
分離機16は、外胴分離槽と、この外胴分離槽内に回転可能に設けられた内胴分離槽と、内胴分離槽内に、処理液を供給する供給手段と、内胴分離槽を外胴分離槽内で回転駆動させる駆動手段とで構成されている。内胴分離槽内には、上記溶解性回収袋内に個別回収された使用済み紙おむつが、溶解性回収袋ごと投入され、供給された処理液とともに攪拌される。この内胴分離槽による攪拌によって、溶解性回収袋が溶解し、内部の使用済み紙おむつが内胴分離槽内で攪拌される。なお、分解するための処理液は、本実施の形態では、殺菌・消毒剤と、石灰と、水とを用いている。
【0030】
内胴分離槽内で使用済み紙おむつが処理液とともに攪拌されると、使用済み紙おむつは、各部材(パーツ)である表面素材2と、内側素材3と、吸収材・防水材4と、ギャザー5と、その他の素材6とに分離されるとともに、各部材中に含まれるパルプ、プラスチック、その他の部材に分解される。分離機16の処理液中でパルプ、プラスチック、その他の部材に分解した後に、分離機16によって脱水され、液体である排液は、リサイクル資源回収・再利用部19に送られ、分離機16中に残った固体であるプラスチック、その他部材もリサイクル資源回収・再利用部19に送られる。
【0031】
リサイクル資源回収・再利用部19は、分離機16により分解処理されたパルプ、プラスチック、その他の部材が混在した処理排液からリサイクル資源として少なくともパルプを回収するとともに、選別機17で選別されたリサイクル資源を回収する資源回収部20と、資源回収部20から回収されたリサイクル資源から段ボール原料、肥料、バイオマス燃料、固形燃料を製造する資源再利用部21とからなる。
【0032】
資源回収部20は、分離機16により破砕・破断することなく複数種の部材に分解処理されたパルプ、プラスチック、その他の部材が混在する処理排液からリサイクル資源としてのパルプを少なくとも回収する第1パルプ回収装置22と、分離機16から使用済み紙おむつを形成するパルプ、プラスチック、その他の部材が混在した処理排液を回収する液肥回収部23と、処理排液に含まれる固形成分であるスカマーを回収するスカマー回収装置24と、分離機16からの排液を回収し発酵原料とする発酵原料回収部31と、選別機17により選別されたパルプを回収する第2パルプ回収装置25と、パルプが付着したプラスチックを回収するプラパル回収部26とを有する。
【0033】
資源再利用部21は、第1パルプ回収装置22により回収されたパルプから段ボール原料を製造する段ボール原料製造装置27と、分離機16から排出された処理排液から液体肥料を製造する液肥製造装置28と、スカマー回収装置に24により回収されたスカマーから肥料を製造する肥料製造装置29と、スカマー回収装置24により回収されたスカマーからバイオマス燃料を製造するバイオマス燃料製造装置30と、分離機16から排出された処理排液から発酵原料回収部31が回収した発酵原料でメタンガスを生成するメタンガス発酵装置32と、プラパル回収部26から回収されたプラパルプで固形燃料を製造する固形燃料製造装置33とを備えている。
【0034】
次に、本実施の形態に係る使用済み衛生用品の処理システムによる使用済み紙おむつの処理方法について説明する。病院や施設、一般家庭で溶解性回収袋に少量個別回収された使用済み紙おむつが収集された後に、処理施設に搬送される。少量個別回収された使用済み紙おむつは、処理施設に設けられた処理部18に搬入され、分離機16内に投入される。この場合、溶解性回収袋に少量個別回収された状態で、溶解性回収袋ごと分離機16内に投入される。
【0035】
分離機16内には、加温された分解処理液が供給され、内胴分離槽が回転することで、分解処理液によって溶解性回収袋が溶けて、収容されている使用済み紙おむつが分離機16内に放出されて攪拌され、分解処理液により紙おむつを形成する部材(表面素材2と、内側素材3と、吸水材・防水材4と、ギャザー5と、その他の素材6)に分離されるとともに、各部材に含まれるパルプ、プラスチック、その他の部材に分解される。
【0036】
この場合、本実施の形態の処理方法では、分離機16内で使用済み紙おむつを破砕・破断することなく紙おむつを形成する複数種の部材のまま処理部18において分解処理液で分離するので、プラスチックは、成形した状態のままで処理液中に存在する。このため、処理液中には、破砕・破断する際に生じる5mm以下の極小のプラスチック(マイクロプラスチック)が存在することがない。
【0037】
また、紙おむつを形成する複数種の部材は、処理部18において、分離されるとともに各部材に含まれるパルプ、プラスチック、その他の部材に分解され、分解処理液中に混在しており、分離機16により脱水することで分解処理液(排液)と、固形のプラスチック、その他の部材に分けられる。脱水した後に分離機16から取り出された分解処理液(排液)中には、分解処理液に溶解したパルプが含まれている。また、脱水後に分離機16内に残ったプラスチック、その他の部材には、分解処理液に溶解しなかったパルプが付着している。
【0038】
分離機16内から排出された分解処理液(排液)は、資源回収部20の第1パルプ回収装置22によりパルプが回収される。また、分離機16内から排出された分解処理液(排液)及び第1パルプ回収装置から排出された排液はスカマー回収装置24によって排液に含まれているスカマー成分が取り出される。さらに、分離機16内から排出された分解処理液(排液)は、発酵原料回収部31によって発酵原料として回収される。
【0039】
分離機16内に残った固形成分であるプラスチック、その他の部材は選別機17により付着しているパルプが資源回収部20の第2パルプ回収装置25より回収され、少量のパルプが付着しているプラスチックがプラパル回収部26により回収される。
【0040】
そして、第1パルプ回収装置22により回収されたパルプは、資源再利用部21で段ボール原料製造装置27によって段ボール原料として再利用され、分離機16からの排液は、液肥製造装置28により液肥として再利用され、さらに、分離機16からの排液は、スカマー回収装置24によって回収されたスカマーが肥料製造装置29によって固形の肥料として再利用され、バイオマス燃料製造装置30によってバイオマス燃料として再利用される。
【0041】
さらに、分離機16からの排液は、発酵原料回収部31によって回収されて、メタンガス発酵装置32にて発酵原料として再利用される。また、選別機17から排出された乾燥風から第2パルプ回収装置25により回収されたパルプは、段ボール原料製造装置27により段ボール原料として再利用され、パルプが付着したプラパルプはプラパル回収部26によって回収された後に、固形燃料製造装置33によって固形燃料として再利用される。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態の使用済み衛生用品の処理システム及び処理方法によれば、使用済み衛生用品としての使用済み紙おむつを破砕・破断することなく使用済み紙おむつを形成する複数種の部材ごとに分離機内で分解処理液により処理し、複数種の部材が混在した分解処理液からリサイクル資源回収・再利用部でリサイクル資源を回収し、再利用する。
【0043】
したがって、使用済み紙おむつを構成する素材をリサイクル資源として回収することができて、使用済み衛生用品を破砕・破断することがないので、最終的に自然界に放出しなければならない処理後の残渣中に含まれるマイクロプラスチックの量を可能な限り低減することができる。
【0044】
以下に、分離機16内で使用済み紙おむつを分解処理した後の排液中に含まれるマイクロプラスチックの個数の測定結果について説明する。なお、本実施の形態において、使用済み紙おむつ280Kgを処理した場合の排液中に含まれるプラスチックの小片の数量を測定した。分離機16から排出された排液を顕微鏡下で観察すると、球体のものが確認され、この球体の個数を計測すると、排液中に含まれる球体(マイクロプラスチック)の計数結果は、1回目の計数結果が338±91個/mlであり、2回目の計数結果が382個/mlであった。また、2回目の計数結果における球体の材質別の個数は、ポリウレタンは83個/ml、ポリエステルは0個/ml、ナイロンは33個/ml、塩化ビニル樹脂は0個/ml、ポリアクリル酸ナトリウムは266個/mlであった。これらの測定は、三洋テクノマリン株式会社にて行い、同社保有の顕微FT-IR(LUMOSII、Bruker社製)にて測定した。また、最終排液中に含まれる球体は、紙おむつに用いられている高分子吸収材であった。
【0045】
このように、使用済み紙おむつを破砕・破断することなく、使用済み紙おむつを、使用済み紙おむつを構成する部材ごとに分解処理することで、処理した後の排液中には、少量のマイクロプラスチックが混在しているだけなので、処理後の処理液中に含まれるマイクロプラスチックの量を可能な限り低減することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、PVAフィルムからなる溶解性回収袋を用いて、使用済み紙おむつを少量個別回収することで、溶解性回収袋ごと分離機16の内胴分離槽内に使用済み紙おむつを投入することができるので、作業者が使用済み紙おむつに直接触れることがない。したがって、使用済み紙おむつに付着している菌類等が作業者に付着することがないので、衛生上の作業環境が向上する。
【0047】
また、本実施の形態では、使用済み紙おむつを破砕・破断することがなく、プラスチックは成形した状態で使用済み紙おむつから部材として分離し、分離したプラスチックを資源再利用部21にて固形燃料やバイオマス燃料として再利用するので、自然界にマイクロプラスチックを放出することがなく、自然環境の悪化を抑制することが可能となる。
【0048】
また、本発明は、使用済み紙おむつに含まれるプラスチックを、成形したままの状態で回収し、回収したプラスチックを再利用するので、プラスチックが自然界に放出されることがない。すなわち、人工的に製造したプラスチックを自然界に放出すると、放出されたプラスチックが分解されて土壌等になるまで長い年月がかかる。その間に動植物内にプラスチックが取り込まれて自然破壊が生じ、動植物に悪影響を与える。したがって、一度成形したプラスチックは、破砕・破壊することなく成形した状態のまま回収し、回収した状態で再利用することで、自然界にプラスチックが放出されないので、自然環境の悪化を招くことがない。
【0049】
なお、上記実施の形態では、使用済み紙おむつを少量個別回収する溶解性回収袋としてソルバッグを用いたが、細菌やウイルスを遮断し、温水に完全に溶解することができるものであれば、ソルバッグ以外のものでも良い。また、本実施の形態の処理システム15を用いた処理施設を下水処理場内に設けることにより、下水処理場内で処理され河川や海等に放流される再生水を用いて使用済み紙おむつを処理しても良い。また、下水処理場内に、段ボール原料製造装置27、液肥製造装置28、肥料製造装置29、バイオマス燃料製造装置30、メタンガス発酵装置32、固形燃料製造装置33を設けることで、下水処理場内で、段ボール原料、液肥、肥料、バイオマス燃料、メタンガス、固形燃料を製造しても良い。
【0050】
上述の通り、本発明の実施の形態を開示したが、当業者によって本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が請求項に含まれることが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る使用済み衛生用品の処理システム及び処理方法は、使用済み紙おむつの処理以外に、尿取りパッド等パルプとプラスチックを原料とし、高分子吸収材を用いた衛生用品の処理に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 紙おむつ
2 表面素材
3 内側素材
4 吸水材・防水材
5 ギャザー
6 その他の素材
15 使用済み衛生用品の処理システム
16 分離機
17 選別機
18 処理部
19 リサイクル資源回収・再利用部
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1の態様は、使用済み衛生用品を処理する処理システムであって、水溶性フィルムで形成され温水で溶解する溶解性回収袋に収納されて収集された使用済み衛生用品が投入され、該使用済み衛生用品を破砕・破断することなく使用済み衛生用品を形成する複数種の部材のまま分解処理液により処理する分離機、及び該分離機により分解処理され、脱水処理された複数種の部材を選別する選別機を備えた処理部と、前記分離機により分解処理されて複数種の部材が混在した分解処理液からリサイクル資源を回収し、回収した前記リサイクル資源を再利用するリサイクル資源回収・再利用部とからなることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
使用済み衛生用品を処理する処理システムであって、
水溶性フィルムで形成され温水で溶解する溶解性回収袋に収納されて収集された使用済み衛生用品が投入され、該使用済み衛生用品を破砕・破断することなく使用済み衛生用品を形成する複数種の部材のまま分解処理液により処理する分離機、及び該分離機により分解処理され、脱水処理された複数種の部材を選別する選別機を備えた処理部と、
前記分離機により分解処理されて複数種の部材が混在した分解処理液からリサイクル資源を回収し、回収した前記リサイクル資源を再利用するリサイクル資源回収・再利用部とからなることを特徴とする使用済み衛生用品の処理システム。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1の態様は、使用済み衛生用品を処理する処理システムであって、水溶性フィルムで形成され温水で溶解する溶解性回収袋に収納されて収集された使用済み衛生用品が投入され、該使用済み衛生用品を破砕・破断することなく使用済み衛生用品を形成する複数種の部材のまま分解処理液により処理する分離機、及び該分離機により分解処理され、脱水処理された複数種の部材を選別する選別機を備えた処理部と、前記分離機により分解処理されて複数種の部材が混在した分解処理液からリサイクル資源を回収し、回収した前記リサイクル資源を再利用するリサイクル資源回収・再利用部とからなり、前記リサイクル資源回収・再利用部は、前記分離機により分解処理され複数種の部材が混在した処理排液から前記リサイクル資源として少なくともパルプを回収するとともに、前記選別機で選別された前記リサイクル資源を回収する資源回収部と、前記資源回収部から回収された前記リサイクル資源から段ボール原料、肥料、バイオマス燃料、固形燃料を製造する資源再利用部とからなり、前記資源回収部は、前記分離機により破砕・破断することなく分解処理された複数種の部材が混在する処理排液から前記リサイクル資源としてのパルプを少なくとも回収する第1パルプ回収装置と、前記分離機から前記使用済み衛生用品を形成する複数種の部材が混在した処理排液を回収する液肥回収部と、前記処理排液に含まれる固形成分であるスカマーを回収するスカマー回収装置と、前記選別機により選別されたパルプを回収する第2パルプ回収装置と、パルプが付着したプラスチックを回収するプラパル回収部とを有することを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の第の態様は、前記資源再利用部は、前記第1パルプ回収装置により回収されたパルプから段ボール原料を製造する段ボール原料製造装置と、前記分離機から排出された前記処理排液から液体肥料を製造する液肥製造装置と、前記スカマー回収装置により回収されたスカマーから肥料を製造する肥料製造装置と、前記スカマー回収装置により回収されたスカマーからバイオマス燃料を製造するバイオマス燃料製造装置と、前記分離機から排出された前記処理排液から発酵原料回収部が回収した発酵原料でメタンガスを生成するメタンガス発酵装置と、前記プラパル回収部から回収されたプラパルプで固形燃料を製造する固形燃料製造装置とを備えていることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明の第の態様は、前記分解処理液は、殺菌・消毒剤と、石灰と、水とからなることを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明の第の態様は、使用済み衛生用品を処理する処理方法であって、使用済み衛生用品を破砕・破断することなく使用済み衛生用品を形成する複数種の部材のまま処理部において分解処理液で分離機により分解処理し、前記分離機により前記分解処理液と混合している複数種の部材を脱水し、脱水後の固形物である複数種の部材は処理部において選別機で選別し、分解処理した使用済み衛生用品を脱水した後に、前記分離機から排出された排液から資源回収部でパルプ、スカマー、発酵原料を回収し、前記資源回収部で回収された第1パルプ、スカマー、発酵原料を資源再利用部で、前記第1パルプから段ボール原料を製造し、前記スカマーから肥料、バイオマス燃料を製造し、前記発酵原料からメタンガスを製造し、前記分離機から排出された排液から液肥を製造し、前記分離機で分解処理し脱水した後に選別機で選別された複数種の部材から前記資源回収部で第2パルプ、プラパルを回収し、前記資源回収部で回収された第2パルプ、プラパルを前記資源再利用部で、前記パルプから段ボール原料を製造し、前記プラパルから固形燃料を製造することを特徴とする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済み衛生用品を処理する処理システムであって、
水溶性フィルムで形成され温水で溶解する溶解性回収袋に収納されて収集された使用済み衛生用品が投入され、
該使用済み衛生用品を破砕・破断することなく使用済み衛生用品を形成する複数種の部材のまま分解処理液により処理する分離機、及び該分離機により分解処理され、脱水処理された複数種の部材を選別する選別機を備えた処理部と、
前記分離機により分解処理されて複数種の部材が混在した分解処理液からリサイクル資源を回収し、回収した前記リサイクル資源を再利用するリサイクル資源回収・再利用部とからなり、
前記リサイクル資源回収・再利用部は、前記分離機により分解処理され複数種の部材が混在した処理排液から前記リサイクル資源として少なくともパルプを回収するとともに、前記選別機で選別された前記リサイクル資源を回収する資源回収部と、
前記資源回収部から回収された前記リサイクル資源から段ボール原料、肥料、バイオマス燃料、固形燃料を製造する資源再利用部とからなり、
前記資源回収部は、前記分離機により破砕・破断することなく分解処理された複数種の部材が混在する処理排液から前記リサイクル資源としてのパルプを少なくとも回収する第1パルプ回収装置と、
前記分離機から前記使用済み衛生用品を形成する複数種の部材が混在した処理排液を回収する液肥回収部と、前記処理排液に含まれる固形成分であるスカマーを回収するスカマー回収装置と、
前記選別機により選別されたパルプを回収する第2パルプ回収装置と、パルプが付着したプラスチックを回収するプラパル回収部とを有することを特徴とする使用済み衛生用品の処理システム。
【請求項2】
前記資源再利用部は、前記第1パルプ回収装置により回収されたパルプから段ボール原料を製造する段ボール原料製造装置と、
前記分離機から排出された前記処理排液から液体肥料を製造する液肥製造装置と、
前記スカマー回収装置により回収されたスカマーから肥料を製造する肥料製造装置と、
前記スカマー回収装置により回収されたスカマーからバイオマス燃料を製造するバイオマス燃料製造装置と、
前記分離機から排出された前記処理排液から発酵原料回収部が回収した発酵原料でメタンガスを生成するメタンガス発酵装置と、
前記プラパル回収部から回収されたプラパルプで固形燃料を製造する固形燃料製造装置とを備えていることを特徴とする請求項に記載の使用済み衛生用品の処理システム。
【請求項3】
前記分解処理液は、殺菌・消毒剤と、石灰と、水とからなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の使用済み衛生用品の処理システム。
【請求項4】
使用済み衛生用品を処理する処理方法であって、
使用済み衛生用品を破砕・破断することなく使用済み衛生用品を形成する複数種の部材のまま処理部において分解処理液で分離機により分解処理し、
前記分離機により前記分解処理液と混合している複数種の部材を脱水し、脱水後の固形物である複数種の部材は処理部において選別機で選別し、
分解処理した使用済み衛生用品を脱水した後に、前記分離機から排出された排液から資源回収部でパルプ、スカマー、発酵原料を回収し、
前記資源回収部で回収された第1パルプ、スカマー、発酵原料を資源再利用部で、前記第1パルプから段ボール原料を製造し、前記スカマーから肥料、バイオマス燃料を製造し、前記発酵原料からメタンガスを製造し、前記分離機から排出された排液から液肥を製造し、
前記分離機で分解処理し脱水した後に選別機で選別された複数種の部材から前記資源回収部で第2パルプ、プラパルを回収し、
前記資源回収部で回収された第2パルプ、プラパルを前記資源再利用部で、前記パルプから段ボール原料を製造し、前記プラパルから固形燃料を製造することを特徴とする使用済み衛生用品の処理方法。