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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046641
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】発酵飲料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12C 5/02 20060101AFI20230329BHJP
   C12C 11/00 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
C12C5/02
C12C11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155342
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】青野 一志
(72)【発明者】
【氏名】寺野 真維
【テーマコード(参考)】
4B128
【Fターム(参考)】
4B128CP16
4B128CP21
4B128CP31
4B128CP38
4B128CP39
(57)【要約】
【課題】軽快でフルーティーな醸造香が感じられる新たな飲料及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】未発芽の穀類を含む原料を発酵させて得られたものであり、ジアセチル類(t-VDK)濃度が0.05~0.5ppmである、発酵飲料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未発芽の穀類を含む原料を発酵させて得られたものであり、
ジアセチル類(t-VDK)濃度が0.05~0.5ppmである、
発酵飲料。
【請求項2】
前記原料中の麦芽使用比率が5%以下である、請求項1に記載の発酵飲料。
【請求項3】
2-エチル-3-メチルピラジン濃度が0.03ppb以下である、請求項1又は2に記載の発酵飲料。
【請求項4】
前記未発芽の穀類が、大麦を含む、請求項1~3のいずれかに記載の発酵飲料。
【請求項5】
色度が5°EBC以下である、請求項1~4のいずれかに記載の発酵飲料。
【請求項6】
苦味価が1~15BUである、請求項1~5のいずれかに記載の発酵飲料。
【請求項7】
ホップを含有しない、請求項1~6のいずれかに記載の発酵飲料。
【請求項8】
未発芽の穀類を含む原料液を調製する工程と、
前記原料液を発酵させ、発酵液を調製する工程と、
前記発酵液を用いて、ジアセチル類(t-VDK)濃度が0.05~0.5ppmである発酵飲料を調製する工程と、
を備える、発酵飲料の製造方法。
【請求項9】
更に、前記原料液を調製する工程と、前記発酵液を調製する工程との間に、前記原料液を煮沸する工程を備え、
前記煮沸する工程において、煮沸時間が1分~15分となるように、前記原料液が煮沸される、
請求項8に記載の発酵飲料の製造方法。
【請求項10】
前記発酵飲料を調製する工程は、
前記発酵液を熟成させる工程と、
前記発酵液を熟成させる工程の後に、前記発酵液を濾過する工程とを備え、
前記熟成させる工程は、前記発酵液中のジアセチル類(t-VDK)濃度が0.05~0.5ppmになるような期間、実施される、
請求項8又は9に記載の発酵飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発酵飲料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールは、一般に、麦芽を原料として麦汁を調製し、麦汁を発酵させ、熟成させることにより製造される。一方で、麦芽を使用することなく、ビールに似た飲料を提供しようという技術も知られている。例えば、特許文献1(特開2004-24151号公報)には、実質的に麦芽を原料として用いず、特定の群から選ばれる1種以上の麦澱粉原料を含む澱粉原料を用い、外来酵素を添加して糖化した後、発酵させて得ることを特徴とするビールテイスト飲料の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-24151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
麦芽を使用したビールには、麦芽由来の穀物香があり、これにより味感の重さが感じられる。本発明者らは、そのような重い味感を有するビールのような飲料ではなく、軽快でフルーティーな醸造香が感じられる新たな飲料を提供できないかと考えている。
そこで、本発明の課題は、軽快でフルーティーな醸造香が感じられる新たな飲料及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、以下の手段を採用することによって、上記課題が解決できることを見出した。
[1]未発芽の穀類を含む原料を発酵させて得られたものであり、ジアセチル類(t-VDK)濃度が0.05~0.5ppmである、発酵飲料。
[2]前記原料中の麦芽使用比率が5%以下である、[1]に記載の発酵飲料。
[3]2-エチル-3-メチルピラジン濃度が0.03ppb以下である、[1]又は[2]に記載の発酵飲料。
[4]前記未発芽の穀類が、大麦を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の発酵飲料。
[5]色度が5°EBC以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の発酵飲料。
[6]苦味価が1~15BUである、[1]~[5]のいずれかに記載の発酵飲料。
[7]ホップを含有しない、[1]~[6]のいずれかに記載の発酵飲料。
[8]未発芽の穀類を含む原料液を調製する工程と、前記原料液を発酵させ、発酵液を調製する工程と、前記発酵液を用いて、ジアセチル類(t-VDK)濃度が0.05~0.5ppmである発酵飲料を調製する工程と、を備える、発酵飲料の製造方法。
[9]更に、前記原料液を調製する工程と、前記発酵液を調製する工程との間に、前記原料液を煮沸する工程を備え、前記煮沸する工程において、煮沸時間が1分~15分となるように、前記原料液が煮沸される、[8]に記載の発酵飲料の製造方法。
[10]前記発酵飲料を調製する工程は、前記発酵液を熟成させる工程と、前記発酵液を熟成させる工程の後に、前記発酵液を濾過する工程とを備え、前記熟成させる工程は、前記発酵液中のジアセチル類(t-VDK)濃度が0.05~0.5ppmになるような期間、実施される、[8]又は[9]に記載の発酵飲料の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、軽快でフルーティーな醸造香が感じられる新たな飲料及びその製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係る飲料は、未発芽の穀類を含む原料を発酵させて得られる発酵飲料である。この発酵飲料は、ジアセチル類(t-VDK)濃度が0.05~0.5ppmである。このような構成を採用することによって、軽快であり、ワインのようなフルーティーな香りを有する発酵飲料が得られる。
【0008】
未発芽の穀類としては、未発芽であればよく、特に限定されるものではない。例えば、穀類として、大麦、オーツ麦、小麦、及びとうもろこし等を用いることができ、好ましくは大麦が用いられる。未発芽の穀類を原料として使用することにより、軽快な飲料を得ることができる。
【0009】
原料中における未発芽穀類の使用比率(水以外の原料に占める未発芽の穀類の割合)は、例えば50質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。
【0010】
本明細書において、ジアセチル類(t-VDK)とは、ジアセチルと2,3-ペンタンジオンの総称である。すなわち、t-VDK濃度とは、ジアセチル及び2,3-ペンタンジオンの合計濃度を意味する。
【0011】
t-VDK濃度が0.05ppm以上であることによって、ワインのような醸造香が感じられやすくなる。また、t-VDK濃度が0.5ppm以下であれば、不快な臭いも感じられ難い。
【0012】
t-VDK濃度は、後述する実施例に記載の方法により、測定することができる。
【0013】
t-VDKは、発酵に使用される原料由来の成分であってもよいし、発酵後に外部から添加された成分であってもよい。
例えば、穀類を含む原料液を酵母により発酵させると、アミノ酸(バリンやロイシン)が酵母に取り込まれ、代謝され、t-VDKが生成する。一方で、発酵後の液を熟成させると、t-VDK濃度は下がっていく。よって、発酵工程の後、熟成期間の長さを調整することにより、t-VDK濃度を所望する値になるように制御することができる。
【0014】
原料中には、麦芽等の発芽穀類が含まれていてもよい。
但し、原料中の麦芽使用比率(水以外の原料に占める麦芽の割合)は、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下、最も好ましくは麦芽不使用である。麦芽使用比率を少なくすることで、穀物香による味感の重さが抑えられ、軽快な飲料を得ることができる。
【0015】
好ましい態様においては、飲料中の2-エチル-3-メチルピラジン濃度が、0.03ppb以下である。2-エチル-3-メチルピラジン濃度は、麦芽等を原料に使用した場合に飲料に含まれる成分であり、味感の重さに関係する。2-エチル-3-メチルピラジン濃度が0.03ppb以下であることにより、味感の重さが抑えられ、軽快な飲料を得ることができる。
【0016】
好ましい態様において、飲料は、5°EBC以下の色度を有する。本実施形態に係る飲料は、ビールを想起させる飲料ではなく、ワインのようなフルーティな香りを有する飲料となる。色度が5°EBC以下であることにより、ビールとは異なる外観となり、味感に調和した外観となる。色度は、好ましくは3.5°EBC以下、より好ましくは1~3.5°EBCである。
なお、色度は、EBC(European Brewery Convention)のAnalytica-EBC標準法、又はこれに準じた方法により測定できる。EBCとは、ビールの分析での色度の単位で、ビールの色の濃淡を数値(EBC色度の9つのガラスディスクを持ったコンパレーターにより目視で測定する、若しくは波長430nmでの吸光度を基に算出する。)であらわしたものである。
【0017】
好ましい態様において、飲料は、1~15BUの苦味価を有する。苦味価は、より好ましくは1~5BUである。苦味価が1~15であることにより、飲み応えが向上する。
苦味価は、例えばEBC法(ビール酒造組合:「ビール分析法」8.15 1990年)により測定することができる。具体的には、サンプルに酸を加えた後イソオクタンで抽出し、遠心分離処理後に得られたイソオクタン層の、純粋なイソオクタンを対照に測定した275nmにおける吸光度に定数(50)を乗じた値(B.U.)として得ることができる。
【0018】
好ましい態様において、飲料は、ホップを含有しない。ホップを含まないことにより、ドリンカビリティが向上し、かつ日本酒様、ワイン様の飲み応えを有する。
【0019】
好ましい態様において、飲料は、アルコール飲料である。飲料のアルコール度数は、例えば3.0~6.0vol%、好ましくは4.0~5.5vol%である。
【0020】
好ましい態様において、飲料は、炭酸飲料である。
【0021】
続いて、本実施形態に係る飲料の製造方法について、一例を挙げて説明する。
本実施形態に係る飲料の製造方法は、未発芽の穀類を含む原料液を調製する工程と、原料液を発酵させ、発酵液を調製する工程と、発酵液を用いて、ジアセチル類(t-VDK)濃度が0.05~0.5ppmである発酵飲料を調製する工程とを備えている。以下に、各工程について説明する。
【0022】
(1)原料液の調製
まず、未発芽の穀類、及び必要に応じて他の成分を含む原料を用意し、水と混合する。更に、必要に応じて混合物に酵素剤を添加し、原料を糖化させる。例えば、糖化反応が進行するような温度に混合物を加温することにより、原料を糖化させることができる。糖化後、必要に応じて濾過を行う。これにより、原料液を得ることができる。
【0023】
好ましくは、原料液の調製後、原料液を煮沸する。但し、長時間の煮沸は避けることが好ましい。煮沸時間を短時間とすることにより、穀物由来のネガな香味が抽出されるのを避け、すっきりとした味感となる。
煮沸時間は、例えば1~15分、好ましくは1~10分である。
【0024】
煮沸後、好ましくは、原料液から固形成分を取り除く。例えば、ワールプール(旋回分離槽)を使用することにより、原料液から固形成分を取り除くことができる。
【0025】
(2)発酵
続いて、原料液を発酵させ、発酵液を調製する。例えば、酵母を原料液に添加することで、原料液を発酵させることができる。
【0026】
(3)発酵飲料の調製
続いて、発酵液を利用して、目的の発酵飲料を得る。
好ましくは、発酵液を熟成させる。例えば、密封された容器内にて、低温(例えば8.0℃~11.0℃)で発酵液を熟成させる。既述のように、熟成させることにより、発酵液中のt-VDK濃度は下がっていく。そこで、ジアセチル類(t-VDK)濃度が0.05~0.5ppmの範囲内に維持されるような期間、熟成を行う。熟成期間は、例えば、3~13日、好ましくは5~10日である。
【0027】
熟成後、発酵液を濾過し、容器に充填する。容器に充填後、必要に応じて、加熱処理を行ってもよい。これにより、発酵飲料が得られる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態によれば、原料として未発芽の穀類が使用されているため、ビールのような味の重さが感じられず、軽快な飲料が得られる。また、0.05ppm以上の濃度でt-VDKが含まれているため、フルーティーな醸造香を得ることができる。すなわち、軽快でありつつ、フルーティーな醸造香が感じられる発酵飲料を得ることができる。
【実施例0029】
以下に、本発明についてより詳細に説明するため、実施例について説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定して解釈されるべきものではない。
【0030】
(試作品の調製)
未発芽の大麦60kgと、酵素剤0.8kgとを水160Lに添加し、60℃程度で混合物を糖化させた。その後、76℃で酵素失活を行った。得られた原料液(麦汁)を濾過した。濾過後、麦汁を煮沸釜に入れ、180Lになるように水を加えた後、5分間煮沸した。煮沸後、麦汁をワールプール(旋回分離槽)に導入し、固液分離した。固液分離後、熱交換器によって麦汁を冷却した。冷却後、麦汁に酵母を添加し、発酵させ、発酵液を得た。発酵後、発酵液を熟成タンクに投入し、8.0℃で7日間、熟成させた。熟成後、発酵液を濾過し、清澄化した。清澄された発酵液を容器に充填し、65℃、10分間の加熱処理を実施した。これにより、試作品(実施例2)に係る発酵飲料を得た。
得られた発酵飲料の色度は、3.0±0.5°EBCであった。苦味価は、1~5BUの範囲内であった。アルコール度数は、3~6vol%の範囲内であった。炭酸ガス圧は、0.22~0.26MPaの範囲内であった。
【0031】
試作品(実施例2)について、後述する方法により、2-エチル3-メチルピラジン濃度及びt-VDK濃度を測定した。表1に結果を示す。試作品の2-エチル3-メチルピラジン濃度は、0.016ppbであった。試作品のt-VDK濃度は0.25ppmであった。
【0032】
(比較例1及び実施例1)
試作品(実施例2)に対して、VDK還元酵素を添加した。これにより、t-VDK濃度を減少させ、t-VDK濃度が異なる比較例1及び実施例1に係る飲料を得た。各飲料の2-エチル3-メチルピラジン濃度及びt-VDK濃度を測定したところ、表1の通りであった。
【0033】
(実施例3及び比較例2)
試作品(実施例2)に対して、t-VDKを添加し、t-VDK濃度を増加させた。これにより、t-VDK濃度が異なる実施例3及び比較例2に係る飲料を得た。各飲料の2-エチル3-メチルピラジン濃度及びt-VDK濃度を測定したところ、表1の通りであった。
【0034】
(官能評価)
実施例1~3及び比較例1~2に係る飲料について、ビール類専門パネリスト6名により、官能評価を行った。評価項目は、「味感の重さ」、及び、「醸造香の強さ」とし、それぞれ「1」~「5」の5段階で評価した。
なお、評価にあたっては、市販のビール(アサヒスーパードライ)を対照として使用した。すなわち、対照の評点を「3」として、「味感の重さ」については、数字が大きいほど、味感が重いことを意味し、「醸造香の強さ」については、数字が大きいほど、醸造香の強さが強く感じられることを意味するものとした。
官能評価の結果得られた6名のパネリストによる評点の平均値を結果とした。得られたコメントともに結果を表1に示す。
【0035】
表1に示されるように、t-VDK濃度が0.05~0.5ppmの範囲にある実施例1~3に係る飲料は、味感の重さが3を下回っており、対照であるビールよりも軽快な飲料であった。一方で、醸造香の強さは3.0以上であった。すなわち、軽快でありながらも、フルーティな醸造香を有する飲料であった。また、否定的なコメントは特に得られなかった。
これに対して、t-VDK濃度が0.05を下回る比較例1では、醸造香が弱かった。また、頼りない、物足りない、水っぽいなどといった否定的なコメントが得られた。
また、t-VDK濃度が0.5ppmを超える比較例2では、味感の重さが3.0を超えており、バランス悪い、漬物的、冷や飯臭といった否定的なコメントが得られた。
【0036】
(t-VDK濃度の分析)
t-VDK濃度については、「BCOJビール分析法(2004.11.1 改訂版) 8.16 ダイアセチル 8.16.2 ガスクロマトグラフィー法」の項に記載の方法に従って測定した。具体的には、ダイアセチル、2,3-ペンタンジオン、及びそれぞれの前駆体をガスクロマトグラフィーで測定し、クロマトグラムのピーク高さに基づいてt-VDKの総量を計測した。前駆体は、前処理として試料を通気した後、60°Cで加熱してジケトン体とした後に測定した。
【0037】
(2-エチル-3-メチルピラジンの分析方法)
2-エチル-3-メチルピラジン濃度は、サンプルの前処理を伴うガスクロマトグラフ質量分析法(GC-MS)という方法により測定した。具体的には、以下の条件を用いて、測定した。
[前処理]
内部標準液(2-methyl-3-propylpyrazine)を加えたサンプルとInertSep SAX固相カラム(ジーエルサイエンス社製)を用いて固相抽出を行った。その素通り画分を回収し、クエン酸ナトリウム緩衝液を用いてpH4.5~5.0に合わせた。
[抽出]
前処理液に対してNaCl、5gとジクロロメタン5mlを加えて振とうし、液々抽出を行った。遠心分離後、ジクロロメタン層を回収し、水層部分に対してジクロロメタン5mlを加えた。次いで、振とうによる液々抽出を行い、ジクロロメタン層を回収した。この一連の操作を計2回実施した。回収したジクロロメタン層に無水硫酸ナトリウムを加え、脱水後窒素パージにより濃縮した。
[GC/MS条件]
・ガスクロマトグラフィー:GC-6890(Agilent Technologies社製)
・検出器:MS-5973(Agilent Technologies社製)
・カラム:DB-17(長さ:30m、内径:0.25mm、膜厚0.5μm)(Agilent Technologies社製)
・オーブン昇温条件:40°C(5分)→5°C/分→220°C(0分)→10°C/分→280°C(5分)
・注入口温度:230°C
・注入条件:注入量:1μl、パルスドスプリットレスモード
・流量:1.0ml/分(キャリアガス:He)
・イオン化条件:70 eV
・測定モード:シングルイオン-モニタリングモード(single ion-monitoring(SIM) mode)
・定量:表2に記載の通りの当該香気成分と内部標準品のターゲットイオン(T.I)とクオリファヤーイオン(Q.I)によるピークエリア面積を用いて標準添加法を準拠し、実施する。
【0038】
【表1】
【表2】