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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046658
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】財布
(51)【国際特許分類】
   A45C 1/08 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
A45C1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155368
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】518241436
【氏名又は名称】縄田 真悟
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】縄田 真悟
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045BA01
3B045CE07
3B045CE08
3B045DA31
3B045DA45
3B045FA01
3B045FC04
3B045FC05
(57)【要約】
【課題】コンパクトで薄い財布を提供する。
【解決手段】カード収納部7と硬貨収納部6とを備える財布である。カード収納部7と硬貨収納部6とは、仕切材10を介して仕切られている。仕切材10は、山形部を有する断面に形成され、山形部の内側となる溝をカード収納部7の側へ開口して配置される一方、山形部の外側となる山を硬貨収納部6の底部に配置される。シート状の第一片と第二片との隙間に仕切材が設けられるが、その各片への仕切材の縫合部10xは、カード収納部7にカード4が収納された状態でカード4の板面と対応する位置に配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード収納部と硬貨収納部とを備える財布であって、
前記カード収納部と前記硬貨収納部とは、仕切材を介して仕切られており、
前記仕切材は、山形部を有する断面に形成され、前記山形部の内側となる溝を前記カード収納部の側へ開口して配置される一方、前記山形部の外側となる山を前記硬貨収納部の底部に配置される
ことを特徴とする財布。
【請求項2】
シート状の第一片と第二片とが対面するように配置されると共に、前記各片間の隙間が前記仕切材を介して仕切られるように、前記山形部の開口両端部が前記各片に縫合されており、
前記各片への前記仕切材の縫合部は、前記カード収納部にカードが収納された状態でカードの板面と対応する位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の財布。
【請求項3】
シート状の第一片と第二片とが対面するように配置されて、下端辺部が互いに縫合されると共に、前記各片間の隙間が前記仕切材を介して左右に仕切られることで、前記カード収納部と前記硬貨収納部とが設けられ、
前記各片の上端辺部は、前記カード収納部の側がカードを出し入れするための開口部とされる一方、前記硬貨収納部の側が閉じられており、
前記各片の左右両端辺部の内、前記硬貨収納部の側は、硬貨を出し入れするための開口部とされると共に、この開口部には蓋が開閉可能に設けられており、
前記各片の左右両端辺部の内、前記カード収納部の側は、閉じられるか、他の部材によりカードの移動が規制される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の財布。
【請求項4】
前記カード収納部は、複数枚のカードを重ねて収納可能な大きさとされている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の財布。
【請求項5】
内面に紙幣を重ねて収納可能とされると共に二つ折り可能な外カバーを備え、
前記外カバーを開いた状態の内側左右いずれかに、前記各収納部が設けられており、
前記外カバーの内面に重ね合わされる紙幣の端部を、前記外カバーの内面と前記各収納部の裏面との間に挟んで保持可能とされた
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の財布。
【請求項6】
前記外カバーを開いた状態の内側左右の内、一方に舌片が設けられ、他方に、前記外カバーを二つ折りして前記舌片が着脱可能に差し込まれる係合穴が形成されており、
前記舌片および前記係合穴は、前記外カバーが二つ折りされた際に内側となる位置に設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の財布。
【請求項7】
前記外カバーが二つ折りされることで、その二つ折りされる屈曲部にて前記硬貨収納部の蓋の開放が規制される
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の財布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード収納部と硬貨収納部とを備える財布に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、カード収納部と硬貨収納部とを備える二つ折りの財布が知られている。この種の財布は、コンパクトで薄いものが望まれる。従来技術のように、カード収納部と硬貨収納部とを別個に設けていたのでは、財布をコンパクトで薄く構成することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3201862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、コンパクトで薄い財布を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、カード収納部と硬貨収納部とを備える財布であって、前記カード収納部と前記硬貨収納部とは、仕切材を介して仕切られており、前記仕切材は、山形部を有する断面に形成され、前記山形部の内側となる溝を前記カード収納部の側へ開口して配置される一方、前記山形部の外側となる山を前記硬貨収納部の底部に配置されることを特徴とする財布である。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、カード収納部と硬貨収納部とを仕切材を介して隣接して設けることで、両収納部をコンパクトに構成することができる。また、仕切材は、山形部を有する断面に形成され、山形部の溝をカード収納部の側へ開口して配置される一方、山形部の山を硬貨収納部の底部に配置される。山形部の頂角(開き具合)の調整により、カードの枚数(ひいては全体の厚み)の変更に、容易に対応することができる。さらに、仕切材は、山形部の山を硬貨収納部の底部に配置されるので、硬貨収納部の底部の厚さ方向両端部に溝(隙間)ができることになる。そこで、大きな硬貨でも、一部をその溝に落とし込むことで収納することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、シート状の第一片と第二片とが対面するように配置されると共に、前記各片間の隙間が前記仕切材を介して仕切られるように、前記山形部の開口両端部が前記各片に縫合されており、前記各片への前記仕切材の縫合部は、前記カード収納部にカードが収納された状態でカードの板面と対応する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の財布である。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、対面するよう配置された第一片と第二片との隙間に仕切材が配置され、その仕切材の山形部の開口両端部が各片に縫合される。そして、この縫合部は、カード収納部にカードが収納された状態でカードの板面と対応する位置に配置されている。仕切材の断面を山形にして各片への縫合部をカードの板面に逃がして、コンパクトな構成とすることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、シート状の第一片と第二片とが対面するように配置されて、下端辺部が互いに縫合されると共に、前記各片間の隙間が前記仕切材を介して左右に仕切られることで、前記カード収納部と前記硬貨収納部とが設けられ、前記各片の上端辺部は、前記カード収納部の側がカードを出し入れするための開口部とされる一方、前記硬貨収納部の側が閉じられており、前記各片の左右両端辺部の内、前記硬貨収納部の側は、硬貨を出し入れするための開口部とされると共に、この開口部には蓋が開閉可能に設けられており、前記各片の左右両端辺部の内、前記カード収納部の側は、閉じられるか、他の部材によりカードの移動が規制されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の財布である。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、シート状の第一片と第二片とを用い、所要箇所を閉じると共に、各片間の隙間を仕切材で仕切ることで、袋状(ポケット状)のカード収納部と硬貨収納部とを構成することができる。カード収納部は、上端辺部に開口部を有する構成とされ、この開口部からカードを出し入れすることができる。硬貨収納部は、片方の側端辺部が開口されて蓋で開閉可能とされる一方、もう片方の側端辺部が仕切材による底部とされる。このようにして、簡易な構成で、コンパクトで薄い財布を構成することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記カード収納部は、複数枚のカードを重ねて収納可能な大きさとされていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の財布である。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、カード収納部には、複数枚のカードを重ねて収納可能とされる。カード面間に間仕切りがない分だけ、財布を薄く構成することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、内面に紙幣を重ねて収納可能とされると共に二つ折り可能な外カバーを備え、前記外カバーを開いた状態の内側左右いずれかに、前記各収納部が設けられており、前記外カバーの内面に重ね合わされる紙幣の端部を、前記外カバーの内面と前記各収納部の裏面との間に挟んで保持可能とされたことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の財布である。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、二つ折り可能な外カバーに各収納部を設けて、二つ折りの財布とすることができる。その際、外カバーの内面に紙幣を重ねて収納することができ、その紙幣の端部を外カバーの内面と各収納部の裏面との間に挟んで保持することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、前記外カバーを開いた状態の内側左右の内、一方に舌片が設けられ、他方に、前記外カバーを二つ折りして前記舌片が着脱可能に差し込まれる係合穴が形成されており、前記舌片および前記係合穴は、前記外カバーが二つ折りされた際に内側となる位置に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の財布である。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、財布を二つ折りした際、係合穴に舌片を係合することで、二つ折り状態を保持することができる。舌片と係合穴とは、外カバーが二つ折りされた際に内側となる位置に設けられており、外部に露出しないので、見栄えよく折畳状態を維持することができる。
【0017】
さらに、請求項7に記載の発明は、前記外カバーが二つ折りされることで、その二つ折りされる屈曲部にて前記硬貨収納部の蓋の開放が規制されることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の財布である。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、外カバーを二つ折りすれば、硬貨収納部の蓋の開放を規制できるので、硬貨収納部からの硬貨の脱落を防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コンパクトで薄い財布を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施例の財布を示す概略図であり、財布を閉じた状態を示している。
図2図1の財布を開いた状態を示す図であり、硬貨収納部の蓋を閉じた状態を示している。
図3図1の財布を開いた状態を示す図であり、硬貨収納部の蓋を開いた状態を示している。
図4図1の財布の主要構成部材を示す概略分解図である。
図5図1の財布を閉じた状態を拡大して示す概略平面図である。
図6図1の財布の使用状態を示す概略斜視図であり、財布を開いての使用状態を示している。
図7図1の財布の使用状態を示す概略斜視図であり、財布を閉じての使用状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1から図3は、本発明の一実施例の財布1を示す概略図であり、図1は財布1を閉じた状態(折畳状態)、図2および図3は財布1を開いた状態(展開状態)を示している。なお、図2および図3では、紙幣2、硬貨3、カード4を収納した使用状態を示している。
【0022】
以下、図2の展開状態において、財布1の長手方法を左右方向とし、財布1の短手方法を上下方向とし、紙面と直交方向を前後方向(手前側が前方)として説明するが、説明の便宜上の方向であり、財布1の使用時の姿勢を限定する趣旨ではない。
【0023】
図1および図2から明らかなとおり、本実施例の財布1は、二つ折り可能な財布1である。つまり、図2において、左右方向中央部で内側に折り曲げて、二つ折り可能とされる。
【0024】
図2に示すように、財布1は、紙幣2を収納するための紙幣収納部5と、硬貨3を収納するための硬貨収納部6と、カード4を収納するためのカード収納部7とを備える。カード4は、周知の所定規格サイズ(いわゆるカードサイズ)のカードであり、たとえば、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカードとされる。但し、場合により、これら以外のプリペイドカードやポイントカードなどであってもよい。また、カードサイズの運転免許証、マイナンバーカード、診察券などであってもよい。
【0025】
図4は、本実施例の財布1の主要構成部材を示す概略分解図である。この図に示すように、本実施例の財布1は、主として、シート状の第一片8と第二片9の他、仕切材10や外カバー11を備える。図4では、第二片9に仕切材10を設けた状態を示しており、第二片9の上方には、その平面図も示している。
【0026】
本実施例では、財布1(主要構成部材8~11)は牛革を用いて構成されるが、その他の天然皮革を用いることもできる。また、天然皮革に限らず、合成皮革の他、ポリ塩化ビニル(PVC)のような合成樹脂や、樹脂加工された帆布などを用いることもできる。
【0027】
第一片8は、略矩形状のシートに、延出片や切欠きなどが形成されてなる。具体的には、第一片8は、外カバー11の略半分の大きさの略矩形状部を備え、その下端辺部に下方延出片8aが連接され、左端辺部に側方延出片8bが連接され、上端辺部には切欠き8cが形成され、この切欠き8cの左側に上方延出片8dが上方へ延出して設けられる。言い換えれば、第一片8は、これら延出片8a,8b,8d(さらには後述の係合片8e)付きの形状に切り抜かれたシートから構成される。
【0028】
上方延出片8dの延出先端部には、第二片9の切込み9aへの係合片8eが設けられている。また、第一片8の上端辺部には、前述したように、上方延出片8dの基端部に隣接して、切欠き8cが形成されている。この切欠き8cがあることで、カード収納部7に対するカード4の出し入れが容易となる。
【0029】
上方延出片8dには、上下に離隔して、貫通穴12が形成されている。各貫通穴12は、図示例では、略矩形状の穴の左右両端部が略半円形状とされることで、全体として略長円形状とされている。後述するように、上方延出片8dは、下向き略U字形状に屈曲されるが、その屈曲状態において、前後に対応する位置に、同一形状の貫通穴12が配置される。
【0030】
第二片9は、第一片8と同様に、略矩形状のシートに、延出片や切欠きなどが形成されてなる。但し、第二片9には、第一片8のような下方延出片(8a)や上方延出片(8d)は設けられない。また、第二片9の側方延出片9bは、やや長めに延出して、硬貨収納部6の蓋とされる。第二片9の上端辺部に設けられる切欠き9cは、第一片8の切欠き8cよりも浅く形成されている。
【0031】
第一片8と第二片9とが対面するように配置されて、下端辺部が互いに縫合されて閉じられる。具体的には、図4において、第二片9の前面に第一片8の後面を重ね合わせるように配置すると共に、第一片8の下方延出片8aを略U字形状に後方へ巻き込んで、第二片9の下端辺部と重ね合わせ、第一片8の下方延出片8aと第二片9の下端辺部とを左右方向へ沿って縫合して一体化される。また、第一片8の上方延出片8dを下向きの略U字形状に屈曲して、延出先端部を第二片9の後面に重ね合わせ、係合片8eを第二片9の切込み9aと係合して接着する。この状態では、上方延出片8dに形成した二つの貫通穴12が、前後に対応した位置に配置される。
【0032】
第一片8と第二片9との隙間を左右に仕切るように、仕切材10が設けられる。仕切材10は、山形部10aを有する断面の部材であり、典型的には、横断面が略U字形状または略V字形状に形成された細長い部材である。いずれにしても、仕切材10の開口両端部(略U字などの屈曲部を挟んだ開放両端部)10bは、第一片8または第二片9に重ね合わせて縫合しやすいように、互いに平行に配置される形状とされるのがよい。
【0033】
仕切材10は、長手方向を上下方向へ沿って配置される。本実施例では、仕切材10よりも右側がカード収納部7とされ、仕切材10よりも左側が硬貨収納部6とされる。仕切材10は、山形部10aの内側となる溝をカード収納部7の側(図4で右側)へ開口して配置される一方、山形部10aの外側となる山を硬貨収納部6の底部(図4で左側)に配置されて、山形部10aの開口両端部(図4で前後一対の端部)10bが前記各片8,9に縫合されて設けられる(縫合部10x)。
【0034】
なお、図示例では、各片8,9への仕切材10の縫合部(上下方向へ沿う縫合線)10xと略対応した位置よりも硬貨収納部6の側に、上方延出片8d(カード保持部14)が設けられる。つまり、図2の状態で、縫合線10xと略対応した位置に、カード保持部14の右端部(切欠き8cの左端部)が配置される。また、仕切材10は、第二片9の上端辺と下端辺とを隙間なく架け渡す必要はなく、上下に多少の隙間(最も小径の硬貨が通過しない隙間)があってもよい。
【0035】
仕切材10付きの第一片8および第二片9(言い換えればカード収納部7および硬貨収納部6)は、外カバー11の内側に設けられる。外カバー11は、内面(前面)に紙幣を重ねて収納可能とされるが、収納しようとする各種紙幣の内、最も大きな紙幣(1万円札)よりも大きく形成される。
【0036】
図4に示すように、外カバー11(本体部11a)を開いた状態で、左端部には略矩形状の札押え11bが設けられている。札押え11bも、外カバー11の本体部11aと同様にシート状の部材から形成され、上下寸法は外カバー11の本体部11aと対応している。外カバー11の本体部11aの左端部に札押え11bを重ね合わせて、左端辺部と下端辺部とにおいて、札押え11bが外カバー11の本体部11aに縫合される(縫合線11x,11y)。なお、札押え11bの右上角部は、斜めに切り落とされており、本体部11aと札押え11bとの間に紙幣2の一端部を挟み込みやすくしている。一方、外カバー11の右端部には、手前側への折返し部11cを有する。折返し部11cは、略台形状に形成されている。
【0037】
第一片8と第二片9とが仕切材10を介して重ね合わされたもの(カード収納部7と硬貨収納部6)は、外カバー11の右側に配置され、右端辺部が外カバー11の折返し部11cで覆われる。つまり、カード収納部7の右端辺部(各片8,9の右端辺部)は互いに縫合されることなく、外カバー11の本体部11a(右側端部)と折返し部11cとの間に挟まれて固定される。具体的には、第一片8と折返し部11cとは、折返し部11cの先端辺部に沿って、縫合されて一体化される(縫合線11z)。このようにして、第一片8と第二片9の右端辺部は、外カバー11の折返し部11cの基端辺(本体部11aとの連接部)に近接して配置される。
【0038】
このように、シート状の第一片8と第二片9とが対面するように配置されて、下端辺部が互いに縫合されると共に、各片8,9間の隙間が仕切材10を介して左右に仕切られることで、略矩形状のカード収納部7と硬貨収納部6とが設けられる。そして、各片8,9の上端辺部は、カード収納部7の側がカードを出し入れするための開口部とされる一方、硬貨収納部6の側が上方延出片8dにより閉じられる。また、各片8,9の左右両端辺部の内、硬貨収納部6の側(左端辺部)は、硬貨3を出し入れするための開口部とされると共に、この開口部には蓋9bが開閉可能に設けられる。具体的には、第二片9には左側へ延出して蓋9bが連接されており、その蓋9bを略U字形状に屈曲させて、先端部を硬貨収納部6の開口部(第一片8の裏側)へはめ込むことで、硬貨収納部6の開口部を開閉自在に閉じることができる。さらに、各片8,9の左右両端辺部の内、カード収納部7の側(右端辺部)は、外カバー11の折返し部11cで覆われることで、事実上閉じられる。但し、場合により、第一片8と第二片9の右端辺部同士を、直接に、あるいは他の部材を介して縫合するなどして閉じてもよい。
【0039】
このようにして、硬貨収納部6は、実質的には、左端辺部へのみ開口した袋状(ポケット状)とされ、その開口部は蓋9bで開閉可能とされる。また、カード収納部7は、実質的には、上方へのみ開口した袋状(ポケット状)とされ、後述するカード保持部14により脱落を防止できる。カード収納部7は、本実施例では最大6枚のカード4を重ね合わせて収納可能な大きさとされる。カード収納部7へのカード4の収納状態では、カード4は、ほぼ整列して重ね合わされた状態を維持できるように、カード4の大きさよりも一まわり大きく形成される。カード収納部7には、一枚から複数枚、所望に応じた枚数が収納される。
【0040】
ところで、カード収納部7の開口部の一側部(左側部)には、カード保持部14が設けられている。カード保持部14は、カード収納部7に収納されたカード4の角部を係止してカード4の脱落を防止すると共に、前記係止を解除するよう弾性変形可能とされている。本実施例では、カード保持部14は、カード収納部7に収納されたカード4の角部を係止してカード4の脱落を防止する係止部14aと、カード収納部7よりも外側(硬貨収納部6の側)に設けられて押し潰されることで係止部14aによるカード4の係止を解除する操作部14bとを備える。
【0041】
具体的には、前述したとおり、上方延出片8dが下向きの略U字形状に屈曲されることで、係止部14aと操作部14bとが連続的に設けられる。図2のカード収納状態において、カード4の一端辺(左端辺)と対応した位置までが係止部14aとされ、それよりも外方(左側)が操作部14bとされる。係止部14a(図2においてカードを覆っている部分)の左右方向寸法は、典型的には2~5mm、本実施例では3~4mmとされる。操作部14bには、前後の対応位置に貫通穴12が形成されるのが好ましい。この貫通穴12の一部は、係止部14aにかかってもよい。なお、操作部14bの押し潰しにより、係止部14aによるカード4の係止を一時的に解除可能であれば、係止部14aや操作部14bの構成は適宜に変更可能である。たとえば、貫通穴12の形状、位置、個数を変更してもよい。
【0042】
前述したとおり、図2において、左右方向中央部を境に、財布1を二つ折りすることができる。その折畳状態を維持するために、次のような構成を備えるのが好ましい。すなわち、外カバー11を開いた状態の内側左右の内、一方に舌片15が設けられ、他方に、外カバー11を二つ折りして舌片15が着脱可能に差し込まれる係合穴13が形成されるのがよい。
【0043】
本実施例では、財布1を開いた状態で、左端部の上下方向中央部に、略三角形状の舌片15が設けられている。舌片15は、基端辺を外カバー11の本体部11aや札押え11bの各左端辺と揃えた状態で、これら部材と縫合されて固定されており(縫合線11x)、右側へ行くに従って上下寸法が小さくなるように先細りに形成されている。一方、財布1を開いた状態で、右端部の上下方向中央部には、上下に細長い(たとえば略三角形状または略長円形状)係合穴13が形成されている。この係合穴13は、外カバー11の折返し部11cに形成されており、上下寸法は、舌片15の基端部の上下寸法よりも大きい。
【0044】
図5は、財布1を二つ折りした状態を拡大して示す概略平面図である。図2および図5に示すように、財布1を閉じた際、係合穴13に舌片15を差し込んで、舌片15と係合穴13とを係合することができる。係合状態で、舌片15は、外カバー11の折返し部11cの後面と第一片8の前面との隙間に差し込まれることになる。舌片15および係合穴13は、外カバー11が二つ折りされた際に、内側(つまり二つ折りされた際に対面する部位)に設けられるので、図1に示すように、係合部15,16が外部に露出せず、デザイン性を高めた状態で、折畳状態を保持することができる。
【0045】
次に、本実施例の財布1の使用について説明する。
図6および図7は、本実施例の財布1の使用状態を示す概略斜視図であり、カード保持部14を操作して、カード4を出し入れする際の状態を示している。
【0046】
図2に示すように、カード収納部7にカード4を完全に収納した状態では、カード収納部7の開口部の一側部に設けたカード保持部14により、カード4の脱落が防止される。具体的には、下向き略U字形状の係止部14aがカード4の角部を上方から覆うように配置されることで、カード収納部7のカード4が上方へ移動することが規制され、カード4の脱落が防止される。
【0047】
袋状(ポケット状)のカード収納部7に複数枚のカード4を重ねて収納する場合、カード面間に間仕切りがない分だけ、財布1を薄く構成することができる。一方で、複数枚のカード4を重ねて収納可能な大きさのカード収納部7の場合(しかも折畳状態で開口部が外部へ露出する場合)、カード4の収納枚数によってはカード収納部7とカード4との間に余裕ができるので、カード4が脱落しやすくなる。ところが、本実施例の財布1によれば、カード保持部14を設けることで、カード4の収納枚数に関わらず、カード収納部7からのカード4の脱落を防止することができる。そして、カード保持部14の操作により、カード4を容易に出し入れすることができる。
【0048】
カード収納部7に対しカード4を出し入れするには、図6に示すように、カード保持部14の操作部14bを操作して、係止部14aによる係止を解除すればよい。具体的には、カード保持部14の操作部14bを指で下方へ押し潰すと、図6に示すように、係止部14aも弾性変形して一側部(左側)へ移動するので、カード4を出し入れすることができる。カード保持部14は、弾性変形により一時的に変形しているだけなので、カード収納部7内にカード4を完全に入れ込むと共に、カード保持部14の押し潰しを解除すれば、カード保持部14は自然に元の形状に復帰して図2の状態に戻ることになる。カード保持部14に貫通穴12を設けておくことで、カード保持部14による係止の有無を容易に切り替えることができる。
【0049】
ところで、外カバー11を開いた状態でも閉じた状態でも、カード4の係止を解除可能な位置に、カード保持部14が設けられるのがよい。本実施例では、カード保持部14は財布1の上端部に配置されるので、図6に示すように財布1を開いた状態でも、図7に示すように財布1を閉じた状態でも、カード保持部14を操作してカード4の出し入れができる。そのため、たとえばコンビニエンスストアなどで、カード4の出し入れを容易にスマートに行うことができる。
【0050】
硬貨収納部6には、硬貨(小銭・コイン)3を収納することができる。カード収納部7と硬貨収納部6とを仕切材10を介して隣接して設けることで、両収納部6,7をコンパクトに構成することができる。本実施例では、対面するよう配置された第一片8と第二片9との隙間に仕切材10が配置され、その仕切材10の山形部10aの開口両端部10bが各片8,9に縫合される。そして、この縫合部10xは、カード収納部7にカード4が収納された状態でカード4の板面と対応する位置に配置されている。仕切材10の断面を山形にして各片8,9への縫合部10xをカード4の板面に逃がして、コンパクトな構成とすることができる。
【0051】
また、仕切材10は、山形部10aを有する断面に形成され、山形部10aの溝をカード収納部7の側へ開口して配置される一方、山形部10aの山を硬貨収納部6の底部に配置される。山形部10aは、革などを折り曲げて構成されるので、その頂角(開き具合)を変更可能である。山形部10aの頂角(開き具合)の調整により、カード4の枚数(ひいては全体の厚み)の変更に、容易に対応することができる。
【0052】
さらに、仕切材10は、山形部10aの山を硬貨収納部6の底部に配置されるので、硬貨収納部6の底部の厚さ方向(図2の前後方向)両端部に溝(隙間)ができることになる。そこで、大きな硬貨でも、一部をその溝に落とし込むことで収納することができる。その分だけ、硬貨収納部6の深さ(図2における左右寸法)を小さくして、コンパクトな構成とすることができる。究極的には、収納しようとする硬貨3の内、最大径の硬貨(500円玉)について、底部側(図2の右側)が硬貨収納部6の底部の前記溝(仕切材10と第一片8との隙間、仕切材10と第二片9との隙間)に落とし込まれる一方、開口部側(図2の左側)が硬貨収納部6の開口部やその直前まで配置される大きさまで、硬貨収納部6の大きさを小さくすることができる。言い換えれば、たとえば、仕切材10を完全に二つ折りして、その折り目に500円玉の一端を当てて収納した状態で、500円玉の他端が開口部に丁度配置されて、硬貨収納部6に丁度収納されるか、それよりも少し小さいサイズに硬貨収納部6を構成できることになる。
【0053】
紙幣収納部5には、財布1を開けた状態で、紙幣2を折り畳まずに収納することができる。その際、紙幣2の一端部(図2の左端部)を、外カバー11の本体部11aと札押え11bとの間に挟む一方、紙幣2の他端部(図2の右端部)を、外カバー11の本体部11aの内面(図2の前面)と各収納部6,7の裏面(図2の後面)との間に挟んで、外カバー11(本体部11a)の内面に沿って紙幣2を収納することができる。
【0054】
財布1は、持ち運びする際や使用しないときは、二つに折り畳んでおくことができる。前述したとおり、係合穴13に舌片15を係合することで、二つ折り状態を保持することができる。しかも、その保持機構が外部から見えず、デザイン性を高めることができる。
【0055】
なお、図2に示すように、財布1の展開状態において、硬貨収納部6の蓋9bは、外カバー11の左右方向中央部において開閉される。そのため、外カバー11(言い換えれば財布1)が二つ折りされることで、その二つ折りされる屈曲部にて硬貨収納部6の蓋9bの開放を規制することができる。しかもその規制状態を、前記舌片15と係合穴13との係合によりロックすることもできる。
【0056】
本発明の財布1は、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。特に、(a)カード収納部7と硬貨収納部6とを備える財布1であって、(b)カード収納部7と硬貨収納部6とは、仕切材10を介して仕切られており、(c)仕切材10は、山形部10aを有する断面に形成され、山形部10aの内側となる溝をカード収納部7の側へ開口して配置される一方、山形部10aの外側となる山を硬貨収納部6の底部に配置されるのであれは、その他の構成は適宜に変更可能である。
【0057】
たとえば、前記実施例では、カード収納部7にはカード保持部14が設けられたが、カード保持部14(特に係止部14a)の構成や設置の有無は、変更可能である。
【0058】
また、前記実施例では、図2において、カード収納部7の左側に硬貨収納部6を設けたが、仕切材14の設置位置を変えて、カード収納部7の右側に硬貨収納部6を設けてもよい。その他、カード収納部7と硬貨収納部6とを左右に配置する以外に、上下に配置してもよい。つまり、カード収納部7と硬貨収納部6とは、仕切材10で仕切られるのであれば、その配置は変更可能である。
【0059】
また、前記実施例では、カード4の短辺部をカード収納部7の開口部に配置する構成としたが、場合により、カード4の長辺部をカード収納部7の開口部に配置するようにしてもよい。たとえば、図2において、カード4およびカード収納部7は、横長に配置されてもよい。
【0060】
また、前記実施例では、図2において、外カバー11を開いた状態の内側の右側に、カード収納部7や硬貨収納部6を設けたが、場合により、外カバー11を開いた状態の内側の左側に、カード収納部7や硬貨収納部6を設けてもよい。
【0061】
また、前記実施例における縫合箇所は、場合により、接着その他の接合により行ってもよい。さらに、前記実施例では、カード収納部7と硬貨収納部6の他に、紙幣収納部5を設けたが、カード収納部7と硬貨収納部6とを備えるのであれば、その他の構成は変更可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 財布
2 紙幣
3 硬貨
4 カード
5 紙幣収納部
6 硬貨収納部
7 カード収納部
8 第一片(8a:下方延出片、8b:側方延出片、8c:切欠き、8d:上方延出片、8e:係合片)
9 第二片(9a:切込み、9b:蓋、9c:切欠き)
10 仕切材(10a:山形部、10b:開口両端部、10x:縫合線)
11 外カバー(11a:本体部、11b:札押え、11c:折返し部、11x~11z:縫合線)
12 貫通穴
13 係合穴
14 カード保持部(14a:係止部、14b:操作部)
15 舌片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7