(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046678
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】ボックス状カート構成体、およびこれを用いたボックス状カート
(51)【国際特許分類】
B62B 3/02 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
B62B3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155400
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】508124394
【氏名又は名称】株式会社ヤマコー
(71)【出願人】
【識別番号】521418975
【氏名又は名称】株式会社草津倉庫
(74)【代理人】
【識別番号】100121418
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 修
(72)【発明者】
【氏名】北川 一登
(72)【発明者】
【氏名】平井 勉
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB01
3D050BB03
3D050BB04
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG05
(57)【要約】
【課題】 汎用の平台車等を基礎として、種々の荷物を運ぶことができ、取り扱いも容易なボックス状カートを構築する。
【解決手段】 一般的な平台車や片袖式台車4上に立設されるボックス状カート構成体1であって、固定構造によって、前記台車4等の荷台2上に固定された底板5と、該底板5の上に立設された背板6および両側板7A・7B等を備え、前記背板6の両側縁に形成された折曲線部8Aを介して前記両側板7A・7Bが折り畳み自在となされており、また必要に応じて前記両側板7A・7B間に前記背板6と対向する前板11が立設されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車の荷台上に固定される底板と、該底板上に立設される、背板および両側板を備え、前記背板の両側縁に形成された折曲線部を介して前記両側板が折り畳み自在となされている、ボックス状カート構成体。
【請求項2】
背板に対して、折曲線部を介して折り畳まれた両側板同士が面ファスナーによって接着自在となされている、請求項1記載のボックス状カート構成体。
【請求項3】
背板および/または両側板に、一または複数の開口部が形成されている、請求項1または請求項2記載のボックス状カート構成体。
【請求項4】
更に、両側板の前縁部間に、一または複数本の帯状体が架設されている、請求項1~請求項3のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体。
【請求項5】
更に、背板と対向する前板が底板上に立設されている、請求項1~請求項3のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体。
【請求項6】
前板の両側縁に折曲線部を介して側壁板が延成され、面ファスナーを介して前記側壁板と両側板が接着自在となされている、請求項5記載のボックス状カート構成体。
【請求項7】
前板の上下端部間に、水平方向に伸びる折曲線部が設けられ、該折曲線部の上側部分が下方に折り曲げ自在となされている、請求項5または請求項6記載のボックス状カート構成体。
【請求項8】
更に、前板、背板および左右側板によって形成される上部開口を塞ぐ蓋体を有する、請求項5~請求項7のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体。
【請求項9】
底板、前板、背板、左右側板および蓋体の各内面に断熱材が付設されている、請求項5~請求項8のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体。
【請求項10】
底板に対して背板および両側板の各下端が凹凸嵌合されることで、底板上に背板および両側板が固定される、請求項1~請求項9のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体。
【請求項11】
底板に対して前板の下端が凹凸嵌合されることで、底板上に前板が固定されている、請求項5~請求項10のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体。
【請求項12】
底板、背板、両側板、或いは更に前板がプラスチック製段ボールである、請求項1~請求項11のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体。
【請求項13】
台車の荷台に凹所が形成され、底板に形成された上下動自在な舌片状部の下面に底板の前記凹所に嵌め入れられる凸部が形成され、底板の前後両縁部には横断面L字状の係止縁が形成されて、該係止縁と底板とによって嵌合凹溝が形成され、該嵌合凹溝に台車の荷台の前後縁部が摺動自在に嵌め入れられるようになされており、底板の前記嵌合凹溝に荷台の前後縁部を摺動嵌合させると共に、荷台の前記凹所に底板の前記凸部を嵌め入れることで、底板が台車の荷台上に固定されるようになされている、請求項1~請求項12のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体。
【請求項14】
底板の前後縁に横断面L字状の係止縁が形成されて、該係止縁と底板とによって、台車荷台の前後縁に摺動嵌合される嵌合凹溝が形成され、底板の中央寄り部分から左右両側に上下動する舌片状部が形成され、該舌片状部の先端に設けられた爪体が台車荷台に掛け止められるようになされている、請求項1~請求項12のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体。
【請求項15】
両側板の前縁下端部に前板の両側下端を受ける前板受部が形成されている、請求項5~請求項9記載のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体。
【請求項16】
請求項1~請求項15のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体を、台車の荷台上に有するボックス状カート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車の荷台上に立設されるボックス状カート構成体、およびこれを用いたボックス状カートに関する。
【背景技術】
【0002】
台車としては、一般的には、荷台の下面四隅に車輪が付いた平台車や該平台車の左右一側または両側に手押し用ハンドルが取り付けられた片袖式または両袖式の台車、更には前記平台車の荷台上における前後左右に網板が周設されたカゴ台車等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-227096号公報
【特許文献2】特開2016-088280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
台車を使用する場合、搬送する荷物の形状や重量等々の物性に応じて、それぞれ最適な台車を選定して使用することとなる。そのため、搬送する種々の荷物に合わせて複数種類の台車を用意する必要がある。そのため、用意する台車のコストや保管スペースの確保といった問題を生ずる。
【0005】
また、平台車以外の台車は、構造が複雑であったり、重量が重いために、取扱いに困難性を伴うことが多かった。
【0006】
本発明の目的は、汎用の平台車等を基礎として、種々の荷物を運ぶことができ、取り扱いも容易なボックス状カート構成体、およびこれを用いたボックス状カートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明は、台車の荷台上に固定される底板と、該底板上に立設される、背板および両側板を備え、前記背板の両側縁に形成された折曲線部を介して前記両側板が折り畳み自在となされているボックス状カート構成体である。
【0008】
本発明のボックス状カート構成体の構成材料は、特に限定されず、プラスチック製段ボールや、二枚のプラスチック製シート間に発泡体が挟み込まれたサンドイッチパネル、プラスチック製ボード、紙製段ボール等々、種々のものが使用される。
【0009】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載のボックス状カート構成体について、その背板に対して、折曲線部を介して折り畳まれた両側板同士が面ファスナーによって接着自在となされていることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載のボックス状カート構成体について、その背板および/または両側板に、一または複数の開口部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1~請求項3のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体について、更に、両側板の前縁部間に、一または複数本の帯状体が架設されているものである。
【0012】
請求項5記載の本発明は、前記請求項1~請求項3のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体について、更に、背板と対向する前板が底板上に立設されているものである。
【0013】
請求項6記載の本発明は、前記請求項5記載のボックス状カート構成体について、その 前板の両側縁に折曲線部を介して側壁板が延成され、面ファスナーを介して前記側壁板と両側板が接着自在となされていることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の本発明は、前記請求項5または請求項6記載のボックス状カート構成体について、前板の上下端部間に、水平方向に伸びる折曲線部が設けられ、該折曲線部の上側部分が下方に折り曲げ自在となされていることを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の本発明は、前記請求項5~請求項7のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体について、更に、前板、背板および左右側板によって形成される上部開口を塞ぐ蓋体が設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の本発明は、前記請求項8記載のボックス状カート構成体について、底板、前板、背板、左右側板および蓋体の各内面に断熱材が付設されているものである。
【0017】
請求項10記載の本発明は、前記請求項1~請求項9のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体について、底板に対して背板および両側板の各下端が凹凸嵌合されることで、底板上に背板および両側板が固定されることを特徴とするものである。
【0018】
請求項11記載の本発明は、前記請求項5~請求項10のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体について、 底板に対して前板の下端が凹凸嵌合されることで、底板上に前板が固定されていることを特徴とする。
【0019】
請求項12記載の本発明は、前記請求項1~請求項11のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体について、底板、背板、両側板、或いは更に前板がプラスチック製段ボールで構成されているものである。
【0020】
請求項13記載の本発明は、前記請求項1~請求項12のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体について、台車の荷台に凹所が形成され、底板に形成された上下動自在な舌片状部の下面に底板の前記凹所に嵌め入れられる凸部が形成され、底板の前後両縁部には横断面L字状の係止縁が形成されて、該係止縁と底板とによって嵌合凹溝が形成され、該嵌合凹溝に台車の荷台の前後縁部が摺動自在に嵌め入れられるようになされており、前記嵌合凹溝に荷台の前後縁部を摺動嵌合させると共に、荷台の前記凹所に底板の前記凸部を嵌め入れることで、底板が台車の荷台上に固定されるようになされていることを特徴とする。
【0021】
請求項14記載の本発明は、前記請求項1~請求項12のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体について、底板の前後縁に横断面L字状の係止縁が形成されて、該係止縁と底板とによって、台車荷台の前後縁に摺動嵌合される嵌合凹溝が形成され、底板の中央寄り部分から左右両側に上下動する舌片状部が形成され、該舌片状部の先端に設けられた爪体が台車荷台に掛け止められるようになされていることを特徴とする。
【0022】
請求項15記載の本発明は、前記請求項5~請求項9記載のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体について、両側板の前縁下端部に前板の両側下端を受ける前板受部が形成されていることを特徴とする。
【0023】
請求項16記載の本発明は、前記請求項1~請求項15のうちのいずれか一項記載のボックス状カート構成体を、台車の荷台上に有するボックス状カートである。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るボックス状カート構成体は、市販されている平台車や片袖式・両袖式の台車等の上に、簡単に組み立てることができ、種々の荷物を運ぶことが可能であるため、従来のように、運ぶ荷物に応じて複数種類の台車を用意する必要もなく、またこれに伴って台車保管スペースの削減も可能となる。
【0025】
また、本発明に係るボックス状カート構成体をプラスチック製段ボール等の軽量素材で構成することで、従来の台車の重量増加の問題も解消され、移動操作を向上させることもできる。
【0026】
また、前記請求項1記載の本発明に係るボックス状カート構成体では、台車上に固定された底板の上に背板を立てて、その両側の側板を拡開させるだけで、所謂、コンテナに相当するものが簡単に構築され、また前記両側板間に、背板と対向する前板を立設することで荷崩れし易い荷物も簡単且つ確実の搬送することができる。
【0027】
更に、上部に蓋体を備えた本発明に係るボックス状カート構成体によれば、搬送荷物の密閉性が確保され、また、底板、前板、背板、左右側板および蓋体の各内面に断熱材が付設された本発明に係るボックス状カート構成体によれば、内部の断熱性も確保され得る。
【0028】
この他、背板および左右側板、或いは更に前板に、開口部を設けたものは、ボックス状カート構成体の内部を視認することができ、市販のカゴ台車と同様の機能を具備するものとすることもできる。
【0029】
また、前板を有する本発明に係るボックス状カート構成体について、その前板の上下端部間に、水平方向に伸びる折曲線部が設けられ、該折曲線部の上側部分が下方に折り曲げ自在となされているものは、前板を取り外すことなく、当該ボックス状カート構成体内に収容されている荷物を取り出すことができるという実用的利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】台車上に組み立てられた本発明の実施形態に係るボックス状カート構成体の斜視図である。
【
図2】
図1のボックス状カート構成体における前板の上側部分を下方に折り曲げた状態の斜視図である。
【
図3】
図1のボックス状カート構成体の上部開口に蓋体を装着した状態の斜視図である。
【
図4】台車上に固定された底板の上に、背板および両側板を立設した斜視図である。
【
図5】
図4のボックス状カート構成体における両側板の折り畳み状態を示す斜視図である。
【
図6】ボックス状カート構成体における前板の側壁板と両側板との接着構造を示す斜視図である。
【
図7】片袖式台車の荷台と実施形態に係るボックス状カート構成体における底板との嵌合関係を示す斜視図である。
【
図8】ボックス状カート構成体における底板を片袖式台車の荷台に装着した状態の斜視図である。
【
図9】台車上に装着された底板の上に背板の下端部を嵌め入れる構造を示す斜視図である。
【
図10】台車上に装着された底板の上に側板の下端部を嵌め入れる構造を示す斜視図である。
【
図11】台車上に装着された底板の上に、前板の下端部を嵌め入れる構造を示す斜視図である。
【
図12】同実施形態において、台車のハンドルを立てた状態の斜視図である。
【
図13】同実施形態において、底板の舌片状部の凸部と台車の荷台の凹所との係脱関係を示す要部拡大断面図である。
【
図14】底板の他の実施形態を示す分解平面側斜視図である。
【
図15】同実施形態の底板を示す分解底面側斜視図である。
【
図17】
図16の底板における舌片状部を上げた状態の斜視図である。
【
図19】
図18の底板における舌片状部を下げた状態の斜視図である。
【
図20】
図17の底板を台車に固定した状態の平面側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。そして、本実施形態に係るボックス状カート構成体1は、全体がプラスチック製段ボールで構成されているものである。
【0032】
図1および
図2に示すように、本実施形態に係るボックス状カート構成体1は、後述する一般的な市販の片袖式台車4上に立設されるものであって、後述の固定構造によって、前記台車4の荷台2上に固定された底板5と、該底板5上に立設された前板11、背板6および両側板7A・7Bで構成されている。
【0033】
また、
図3に示すように、前述したボックス状カート構成体1は、その上部に該部の開口を塞ぐ蓋体13を装着する場合もある。
【0034】
図1~
図6に示すように、前述したボックス状カート構成体1の詳細について説明すると、本実施形態において、前記両側板7A・7Bは、折曲線部8Aを介して背板6の両側に折り畳み自在に設けられ、両側板7A・7B同士は、面ファスナーF1・F2によって接着自在となされている。また、前記背板6、両側板7A・7Bには、それぞれ円形の開口部9が上下方向に列設されている。
【0035】
そして、前記前板11は、前記背板6と対向して、前記両側板7A・7B間を塞ぐように底板5上に立設されるものであり、前板11の上下端部間(本実施形態では高さ中央部分)には、水平方向に伸びる折曲線部8Bが設けられ、該折曲線部8Bの上側部分11aが下方に折り曲げ自在となされている。
【0036】
また、前板11の両側縁には折曲線部8Cを介して上下に二分割された側壁板12が延成され、面ファスナーF2・F3を介して前記側壁板12内面と両側板7A・7B外面が接着自在となされている。また、該前板11にも前述した円形開口部9が同様に形成されている。
【0037】
更に、両側板7A・7Bは、それらの前縁下端部分に、前記前板11の両側下端を受ける前板受部7aが突設されている。
【0038】
更に、前述した通り、本発明に係るボックス状カート構成体1では、前板11、背板6および左右両側板7A・7Bによって形成される上部開口を塞ぐ蓋体13が装着され、また、当該ボックス状カート構成体1を構成する前述した底板5、前板11、背板6、左右両側板7A・7Bおよび蓋体13の各内面に断熱材(図示せず)が付設される場合もある。
【0039】
なお、本発明において、蓋体13は必須のものではなく、該蓋体13が省略される場合もある。
【0040】
更に、前述した前板11も必須のものではなく、該前板11が省略される場合もあり、また
図4に示すように、該前板11に代えて、左右両側板7A・7B間にバックル(図示せず)付きのベルト22を架け渡す場合もある。
【0041】
図7~
図13に示すように、本実施形態に係るボックス状カート構成体1が立設されている片袖式台車4は、平板状の荷台2と、該荷台2の下面四隅に取り付けられた車輪3と、前記荷台2の一側にヒンジ機構部Jによって、起立自在に設けられたハンドルHを有するものであって、市販の片袖式台車と同様のものである。そして、後述する固定手段によって、前記台車4の荷台2上に底板5が固定されている。
【0042】
すなわち、本実施形態では、台車4の荷台2に凹所14(本実施形態では透孔)が形成され、底板5に形成された上下動自在な舌片状部15の下面に底板5の前記凹所14に嵌め入れられる凸部10が形成されている。また、底板5の前後両縁部には横断面L字状の係止縁16が形成されて、該係止縁16と底板5とによって、該底板5の下側に嵌合凹溝21が形成され、該嵌合凹溝21に台車4の荷台2の前後縁部が摺動自在に嵌め入れられるようになされている。そして、底板5の前記嵌合凹溝21に荷台2の前後縁部を摺動嵌合させると共に、荷台2の前記凹所14に底板5の前記凸部10を嵌め入れることで、底板5が台車4の荷台2上に固定される。
【0043】
前記舌片状部15は、本実施形態では、底板5の中央部分において、平面から見て略コ字形の切り込みをいれることで形成されており、図中5aに示した手挿入用の開口から使用者が手を入れて舌片状部15の先端部を掴んで上下動させることにより、該舌片状部15の凸部10が底板4の荷台2の凹所14内に嵌入したり、外れたりするようになされている。
【0044】
本実施形態では、前記底板5の両側縁部に互いに対向する起立壁17が形成され、該起立壁17には前後方向に隣り合う2つの嵌合用両側長穴18A・18Bが形成され、更に、前記起立壁17の内面前後端部と前記両側板7A・7Bの外面前縁下端部には、これらを接着するための面ファスナーF5・F6が貼着されている。そして、両側板7A・7Bの下端には、前述した底板5の嵌合用両側長穴18A・18Bに嵌め入れられる前後一対の両側突起25が形成されている。
【0045】
更に、底板5の前後縁における左右方向中央部分には、背板6および前板11の各下端部に形成された前後突起20A・20Bが嵌め込まれる嵌合用前後長穴19A・19Bが形成されている。
【0046】
また、
図12に示すように、前述したボックス状カート構成体1が立設された片袖式台車3について、ヒンジ機構部Jを操作してハンドルHを荷台2の一側に立設した状態とすることもできる。
【0047】
本発明において、底板5上に、背板6、両側板7A・7Bおよび前板11を立設するための前述した凹凸嵌合や穴嵌合は一実施形態であって、係る構造に限定されるものではない。すなわち、例えば両側板7A・7Bの嵌合構造を前板11や背板6に適用し、前述した前板11や背板6の嵌合構造を両側板7A・7Bに適用しても良い。
【0048】
次に、以上述べた本実施形態に係るボックス状カート構成体1の組立方法について説明すると、先ず底板5の前後縁の嵌合凹溝21に台車4の荷台2を摺動嵌合させ、また台車4の荷台2の凹所14に、底板5における舌片状部15の凸部10を嵌め入れることで、底板5を台車4の荷台2上に固定し(
図7、
図8参照)、その後、底板5の後側の嵌合用後長穴19Bに背板6下端の後突起20Bを落とし込む(
図9参照)と共に該背板6と一体の両側板7A・7Bを、折曲線部8Aを介して両側方向へ拡開させて、両側板7A・7B下端の両側突起25を底板5両側の嵌合用両側長穴18A・18Bに嵌め入れる(
図10参照)ことで、最終的に、底板5上に背板6、両側板7A・7Bを立設固定する。
【0049】
その後、前板11を取り付ける場合には、底板5の前長穴19Aに前板11下端の前突起20Aを落とし込む(
図11)ことで、底板5上に前板11が立設され、またこの際、両側板7A・7Bの前縁下端部に設けられた前板受部7a上に前板11の両側前縁下端が当接して前板11が両側板7A・7Bで受けられる構造となされている。その後、前板11の側壁板12を両側板7A・7Bの外面側へ折り曲げて面ファスナーF2・F3同士を接着させることで前板11の装着が完了する。
【0050】
なお、前述した面ファスナーF1・F2同士の接着は、前述した通り、両側板7A・7Bを折り畳んだ際に行われ、また、面ファスナーF2・F3同士の接着は、前板11を底板5上に立設して前板11の側壁板12を両側板7A・7Bの前縁部分に被せた際に行われ、更に面ファスナーF5・F6同士の接着は、前述した通り、底板5上に背板6を立設した状態で両側板7A・7Bを拡開した際に行われる。
【0051】
次に、
図14~
図20に示すように、底板5の台車荷台2への固定構造に関する他の実施形態について説明する。この実施形態では、前記底板5は、リベットや接着剤、面ファスナー等の接着手段を介して、積層される上板5Aと下板5Bの二部材で構成され、下板5Bの下面前後縁部には、前記実施形態と同様に横断面L字状の係止縁16が形成されて該係止縁16と下板5Bとによって、該下板5Bの下側に嵌合凹溝21が形成されている。また、下板5Bの前後縁には前記実施形態における嵌合用前後長穴19A・19Bが同様に設けられ、更に、下板5Bの両側縁には前記実施形態の起立壁17が立設され、該起立壁17にはその長さ中央部分に嵌合用両側長穴18が形成されている。
【0052】
一方、上板5Aの左右中央寄り部分から両側には、先端に爪体31を有する上下動自在な舌片状部35が設けられている。舌片状部35は、より詳細には、それらの基部の折曲線部36を介して上下動するものであり、これに伴って舌片状部35の爪体31が嵌合用両側長穴18内を挿通して台車4の荷台2に掛け止められ、これによって、上板5Aと下板5Bが台車4の荷台2上に固定される。
【0053】
そして、前述した上板5Aと下板5Bを、接着手段を介して重ね合わせることにより、前記実施形態の底板5に相当するものとなる。
【0054】
すなわち、以上のような底板5A・5Bの構成によれば、下板5Bの前記嵌合凹溝21を台車荷台2の前後縁に摺動嵌合させると共に、上板5Aにおける両舌片状部35の爪体31を台車荷台2の両側縁に掛け止めることで、二部材構成の底板5A・5Bが台車荷台2内に固定されるのである。
【0055】
なお、本実施形態では、前記実施形態とは異なり、嵌合用両側長穴18が起立壁17の中央部分の一箇所であるため、前記両側板7A・7Bの両側突起25も対応して中央一箇所となる。また、図中36は、上板5Aの前後縁長さ中央部分において、下板5Bの前後長穴18に対応する切欠を示す。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係るボックス状カート構成体1は、前述した通り、市販されている一般的な台車の荷台上に簡単に組み立てることができ、その結果、市販の台車を容易にボックス状カートとすることができるため、幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0057】
1 ボックス状カート構成体
2 台車の荷台
3 台車の車輪
4 台車
5 底板
6 背板
7A・7B 両側板
F1~F6 面ファスナー