(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046713
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】無人運搬ロボットを利用した物流システム
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
B65G61/00 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155451
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】521418791
【氏名又は名称】田中 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中直樹
(57)【要約】
【課題】 荷物保管所を無人運搬ロボットの運搬基地として利用し、少ない無人運搬ロボットを効率的に活用して荷物の運搬を行うのに好適な物流システムを提供することにある。
【解決手段】 届先が特定された荷物を集積するための、人が常勤管理する荷物集積センターと、荷物集積センターから荷積みして一度にN個以上の荷物を運搬する運搬車と、荷物集積センターから到着した運搬車からのN個の荷物を保管するための、保管する人が常勤管理しない荷物保管所と、前記荷物保管所を基地とし、荷物保管所から荷積みして一度にM個(N>M≧2)の荷物を運搬可能で、複数個所を巡回してその荷物の定められた届け先に荷物を届ける無人運搬ロボットとを有する物流システムを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
届け先が特定された荷物を集積するための、人が常勤管理する荷物集積センターと、荷物集積センターから荷積みして一度にN個以上の荷物を運搬する運搬車と、荷物集積センターから到着した運搬車からのN個の荷物を保管するための、保管する人が常勤管理しない荷物保管所と、前記荷物保管所を基地とし、荷物保管所から荷積みして一度にM個(N>M≧2)の荷物を運搬可能で、複数個所を巡回してその荷物の定められた届け先に荷物を届ける無人運搬ロボットと、を有する物流システム。
【請求項2】
荷物保管所は、N個の荷物を収容可能な、届け先と一対一に対応可能(一のインデックスが定まると一の届け先が定まるという意味)なインデックス情報で識別されるインデックス型の荷物置場であり、インデックスに従って無人運搬ロボットが荷物をピックアップ可能な構造であるインデックス型荷物置場を有する請求項1に記載の物流システム。
【請求項3】
無人運搬ロボットに対してピックアップすべきインデックス型荷物置場のインデックスを示す情報であるインデックス情報と、そのインデックス情報で示されるインデックスの位置の荷物置場の荷物を届ける届け先を示す情報である届先情報と、その荷物を配送すべき無人運搬ロボットを識別する情報である無人運搬ロボット識別情報と、を関連付けた情報である配送情報を保持する配送情報保持部と、配送情報保持部に保持されるインデックス情報と、これに関連付けられている届先情報とを含む配送情報を、それらに関連付けられている無人運搬ロボット識別情報で識別される無人運搬ロボットに送信する配送命令送信部と、を有する配送命令装置をさらに有し、無人運搬ロボットは、配送情報を受信する配送情報受信部と、受信した配送情報に基づいて複数個所を巡回するように運行制御する巡回配送制御部と、を有する請求項2に記載の物流システム。
【請求項4】
配送命令送信部は、配送情報として、これに含まれる届先情報で示される届け先の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を含めた配送情報を無人運搬ロボットに送信する巡回方法情報付配送情報送信手段を有する請求項3に記載の物流システム。
【請求項5】
前記巡回配送制御部は、受信した配送情報に基づいて複数個所の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を生成する巡回方法情報生成手段をさらに有する無人運搬ロボットであることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の物流システム。
【請求項6】
無人運搬ロボットは、動力源に対するエネルギー蓄積部と、エネルギー蓄積部に対して外部からエネルギーの供給を受けるエネルギー供給受部と、をさらに有し、荷物保管所は、無人運搬ロボットのエネルギー供給受部に対してエネルギーを供給するエネルギー供給装置をさらに有する請求項1から請求項5のいずれか一に記載の物流システム。
【請求項7】
届け先が特定された荷物を集積するための、人が常勤管理する荷物集積センターに荷物を集積する荷物集積ステップと、荷物集積センターから荷積みして一度にN個以上の荷物を運搬車によって運搬する運搬ステップと、荷物集積センターから到着した運搬車からのN個の荷物を保管するための、保管する人が常勤管理しない荷物保管所に保管する荷物保管ステップと、前記荷物保管所を基地とし、荷物保管所から荷積みして一度にM個(N>M≧2)の荷物を運搬可能で、複数個所を無人運搬ロボットによって巡回してその荷物の定められた届け先に荷物を届ける荷物配送ステップと、を有する物流システムの運用方法。
【請求項8】
荷物保管所にインデックス型荷物置場 荷物保管ステップは、N個の荷物を収容可能な、届け先と一対一に対応可能なインデックス情報で識別されるインデックス型の荷物置場に、インデックスに従って無人運搬ロボットが荷物をピックアップ可能に保管するインデックス型荷物保管サブステップを有する請求項7に記載の物流システムの運用方法。
【請求項9】
無人運搬ロボットに対してピックアップすべきインデックス型荷物置場のインデックスを示す情報であるインデックス情報と、そのインデックス情報で示されるインデックスの位置の荷物置場の荷物を届ける届け先を示す情報である届先情報と、その荷物を運搬すべき無人運搬ロボットを識別する情報である無人運搬ロボット識別情報と、を関連付けた情報である配送情報を保持する配送情報保持ステップと、配送情報保持ステップにて保持されるインデックス情報と、これに関連付けられている届先情報とを含む配送情報を、それに関連付けられている無人運搬ロボット識別情報で識別される無人運搬ロボットに送信する配送命令送信ステップと、を有する配送命令ステップをさらに有し、無人運搬ロボットは、配送情報を受信する配送情報受信ステップと、受信した配送情報に基づいて複数個所を巡回するように運行制御する巡回配送制御ステップと、を有する請求項7又は請求項8に記載の物流システムの運用方法。
【請求項10】
配送命令送信ステップは、配送情報として、これに含まれる届先情報で示される届け先の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を含めた配送情報を無人運搬ロボットに送信する巡回方法情報付配送情報送信サブステップを有する請求項9に記載の物流システムの運用方法。
【請求項11】
前記巡回配送制御ステップは、受信した配送情報に基づいて複数個所の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を生成する巡回方法情報生成サブステップをさらに有する無人運搬ロボットであることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の物流システムの運用方法。
【請求項12】
無人運搬ロボットは、動力源に対するエネルギー蓄積ステップと、エネルギー蓄積ステップで利用できるように外部からエネルギーの供給を受けるエネルギー供給受ステップとを有し、荷物保管所は、無人運搬ロボットのエネルギー供給受ステップ時に、エネルギーを供給するエネルギー供給ステップをさらに有する請求項7から請求項11のいずれか一に記載の物流システムの運用方法。
【請求項13】
荷物保管所を基地とし、荷物保管所へ荷物回収先から荷積みして荷物保管所に運搬する無人運搬ロボットであって、一度にM個(N>M≧2)の荷物を運搬可能で、複数個所を巡回して定められた回収先から荷物を回収する無人運搬ロボットと荷物集積センターへ運搬するために、回収された荷物を運搬車に引き渡すためのN個の荷物が保管可能な荷物保管所であって、無人運搬ロボットから回収した荷物を運搬車に引き渡すための、保管する人が常勤管理しない荷物保管所と、荷物保管所から荷積みして荷物集積センターに運搬するために一度にN個以上の荷物を運搬する運搬車と、運搬車が運搬する荷物を集積する機能を有する、人が常勤管理する荷物集積センターと、からなる無人運搬ロボットを利用した物流システム。
【請求項14】
荷物保管所は、N個の荷物を収容可能な、荷物回収先と一対一に対応可能(一のインデックスが定まると一の届け先が定まるという意味)なインデックス情報で識別されるインデックス型の荷物置場であり、インデックスに従って無人運搬ロボットが回収した荷物を保管可能な構造である、インデックス型荷物置場を有する請求項13に記載の物流システム。
【請求項15】
無人運搬ロボットに対してインデックス情報で示されるインデックスの位置の荷物置場へ載置すべき荷物を回収する回収先を示す情報である回収情報と、回収した荷物を載置すべきインデックス型荷物置場のインデックスを示す情報であるインデックス情報と、その荷物を回収すべき無人運搬ロボットを識別する情報である無人運搬ロボット識別情報と、を関連付けた情報である回収情報を保持する回収情報保持部と、回収情報保持部に保持されるインデックス情報と、これに関連付けられている回収先情報とを含む回収情報を、それに関連付けられている無人運搬ロボット識別情報で識別される無人運搬ロボットに送信する回収情報送信部と、を有する回収命令装置をさらに有し、無人運搬ロボットは、回収情報を受信する回収情報受信部と、受信した回収情報に基づいて複数個所を巡回するように運行制御する巡回回収制御部と、を有する請求項14に記載の物流システム。
【請求項16】
回収情報送信部は、回収情報として、これに含まれる回収情報で示される回収先の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を含めた回収情報を無人運搬ロボットに送信する巡回方法情報付回収情報送信手段を有する請求項15に記載の物流システム。
【請求項17】
前記巡回回収制御部は、受信した回収情報に基づいて複数個所の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を生成する巡回方法情報生成手段をさらに有する無人運搬ロボットであることを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の物流システム。
【請求項18】
無人運搬ロボットは、動力源に対するエネルギー蓄積部と、エネルギー蓄積部に対して外部からエネルギーの供給を受けるエネルギー供給受部と、をさらに有し、荷物保管所は、無人運搬ロボットのエネルギー供給受部に対してエネルギーを供給するエネルギー供給装置をさらに有する請求項13から請求項17のいずれか一に記載の物流システム。
【請求項19】
荷物保管所を基地とし、荷物保管所へ荷物回収先から荷積みして荷物保管所に運搬する無人運搬ロボットであって、一度にM個(N>M≧2)の荷物を運搬可能で、複数個所を無人運搬ロボットにより巡回して定められた回収先から荷物を回収する荷物回収ステップと、荷物集積センターへ運搬するために、回収された荷物を運搬車に引き渡すためのN個の荷物保が管可な能荷物保管所であって、無人運搬ロボットから回収した荷物を運搬車に引き渡すための、保管する人が常勤管理しない荷物保管ステップと、荷物保管所から荷積みして荷物集積センターに運搬するために一度にN個以上の荷物を運搬車により運搬する運搬ステップと、運搬車が運搬する荷物を集積する機能を有する、人が常勤管理する荷物集積場所に集積する荷物集積ステップと、からなる無人運搬ロボットを利用した物流システムの運用方法。
【請求項20】
荷物保管ステップは、N個の荷物を収容可能な、荷物回収先と一対一に対応可能なインデックス情報で識別されるインデックス型の荷物置場であり、インデックスに従って無人運搬ロボットが回収した荷物を保管可能にする、インデックス型荷物保管サブステップを有する請求項20に記載の物流システムの運用方法。
【請求項21】
無人運搬ロボットに対してインデックス情報で示されるインデックスの位置の荷物置場へ載置すべき荷物を回収する回収先を示す情報である回収情報と、回収した荷物を載置すべきインデックス型荷物置場のインデックスを示す情報であるインデックス情報と、その荷物を回収すべき無人運搬ロボットを識別する情報である無人運搬ロボット識別情報と、を関連付けた情報である回収情報を保持する回収情報保持ステップと、回収情報保持ステップに保持されるインデックス情報と、これに関連付けられている回収先情報とを含む回収情報を、それに関連付けられている無人運搬ロボット識別情報で識別される無人運搬ロボットに送信する回収命令送信ステップと、を有する回収命令装置をさらに有し、無人運搬ロボットは、回収情報を受信する回収情報受信ステップと、受信した回収情報に基づいて複数個所を巡回するように運行制御する巡回回収制御ステップと、を有する請求項21に記載の物流システムの運用方法。
【請求項22】
回収命令送信ステップは、回収情報として、これに含まれる回収情報で示される回収先の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を含めた回収情報を無人運搬ロボットに送信する巡回方法情報付回収情報送信サブステップを有する請求項22に記載の物流システムの運用方法の運用方法。
【請求項23】
前記巡回回収制御ステップは、受信した回収情報に基づいて複数個所の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を生成する巡回方法情報生成サブステップをさらに有する無人運搬ロボットであることを特徴とする請求項22に記載の物流システムの運用方法。
【請求項24】
無人運搬ロボットは、動力源に対するエネルギー蓄積ステップと、エネルギー蓄積部に対して外部からエネルギーの供給を受けるエネルギー供給受ステップと、をさらに有し、 荷物保管所は、無人運搬ロボットのエネルギー供給受ステップ時に、エネルギーを供給するエネルギー供給ステップをさらに有する請求項20から請求項24のいずれか一に記載の物流システムの運用方法。
【請求項25】
請求項1から6に記載のいずれか一、及び請求項13から18に記載のいずれか一の物流システムが複数個ネットワーク接続された物流システムネットワークであり、荷物集積センター間で荷物を運搬する集積センター間荷物運搬体をさらに有し、該荷物に関連付けて少なくとも荷物の届け先を配下に置く荷物集積センターの識別情報を含む運搬情報を保持する運搬情報保持部と、運搬情報保持部に保持されている運搬情報を利用して集積センター間荷物運搬体が届け先が属する荷物集積センターに送るように構成されたことを特徴とする物流システムネットワーク。
【請求項26】
配送・回収情報を管理する配送・回収情報管理サーバをさらに有するとともに、荷物保管所と、無人運搬ロボットとは、前記配送・回収情報管理サーバと直接的に通信ができない環境の物流システムネットワークであって、荷物保管所又は/及び無人運搬ロボットは、自身の管轄する領域における配送・回収情報をスケジュールとして保持する配送・回収スケジュール保持部と、運搬車が次回以降に荷物保管所に来る際に配送荷物として受け取ることができる荷物の最大個数を少なくとも含む運搬車配送・回収情報を配送・回収スケジュールに基づいて運搬車に出力する運搬車向出力部と、運搬車から荷物保管所の管轄する領域の少なくとも今回追加される配送荷物の情報を含む保管所配送・回収情報を取得する運搬車由来取得部と、運搬車から取得した保管所配送・回収情報に基づいて配送・回収スケジュールを取得する配送・回収スケジュール取得部とを有し、運搬車は、配送・回収情報管理サーバと通信をするための運搬車サーバ通信部と、配送・回収情報管理サーバからの配送・回収情報を取得する配送・回収情報サーバ由来取得部と、取得した配送・回収情報に基づいて保管所配送・回収情報を取得する保管所配送・回収情報取得部と、取得した保管所配送・回収情報を保持する保管所配送・回収情報保持部と、保持されている保管所配送・回収情報を保管所に出力する保管所配送・回収情報出力部と、保管所又は/及び無人運搬ロボットから運搬車配送・回収情報を取得する運搬車配送・回収情報取得部と、取得した運搬車配送・回収情報を保持する運搬車配送・回収情報保持部と、取得した運搬車配送・回収情報を配送・回収情報管理サーバに出力する運搬車配送・回収情報出力部と、を有する請求項25に記載の物流システムネットワーク。
【請求項27】
請求項7から12に記載のいずれか一、及び請求項20から25に記載のいずれか一の物流システムが複数個ネットワーク接続された物流システムネットワークであり、荷物集積センター間で荷物を運搬する集積センター間荷物運搬体をさらに有し、該荷に物関連付けて少なくとも荷物の届け先を配下に置く荷物集積センターの識別情報を含む運搬情報を保持する運搬情報保持ステップと、運搬情報保持ステップで保持された運搬情報を利用して集積センター間荷物運搬体が届け先を配下に置く荷物集積センターに送る集積センター間荷物運搬ステップを有することを特徴とする物流システムネットワークの運用方法。
【請求項28】
配送・回収情報を管理する配送・回収情報管理サーバをさらに有するとともに、荷物保管所と、無人運搬ロボットとは、前記配送・回収情報管理サーバと直接的に通信ができない環境の物流システムネットワークであって、荷物保管所又は/及び無人運搬ロボットは、自身の管轄する領域における配送・回収情報をスケジュールとして保持する配送・回収スケジュールステップと、運搬車が次回以降に荷物保管所に来る際に配送荷物として受け取ることができる荷物の最大個数を少なくとも含む運搬車配送・回収情報を配送・回収スケジュールに基づいて運搬車に出力する運搬車向出力ステップと、運搬車から荷物保管所の管轄する領域の少なくとも今回追加される配送荷物の情報を含む保管所配送・回収情報を取得する運搬車由来取得ステップと、運搬車から取得した保管所配送・回収情報に基づいて配送・回収スケジュールを取得する配送・回収スケジュール取得ステップとを有し、運搬車は、配送・回収情報管理サーバと通信をするための運搬車サーバ通信部と、配送・回収情報管理サーバからの配送・回収情報を取得する配送・回収情報サーバ由来取得ステップと、取得した配送・回収情報に基づいて保管所配送・回収情報を取得する保管所配送・回収情報取得ステップと、取得した保管所配送・回収情報を保持する保管所配送・回収情報保持ステップと、保持されている保管所配送・回収情報を保管所に出力する保管所配送・回収情報出力ステップと、保管所又は/及び無人運搬ロボットから運搬車配送・回収情報を取得する運搬車配送・回収情報取得ステップと、取得した運搬車配送・回収情報を保持する運搬車配送・回収情報保持ステップと、取得した運搬車配送・回収情報を配送・回収情報管理サーバに出力する運搬車配送・回収情報出力ステップと、を有する請求項27に記載の物流システムネットワーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人運搬ロボットを利用した物流システムに関し、特に中間荷物保管所として無人の荷物保管所を備え、この無人の荷物保管所を基地とする無人運搬ロボットを効率的に活用して荷物の運搬を行うのに好適な物流システムに関する。
【背景技術】
【0002】
日本などの先進国においては少子高齢化が進行し、急激に地方の過疎化を進んでいる。例えば北海道など広大な地域をカバーするJRや第三セクター、路線バス、タクシーの営業などの廃止が進行していることからもこの事実が首肯できる。
一般にそのような地域では代替輸送手段が導入され地域のコミュニティの維持を図ろうとするが、これにも限界がある。
このような環境におかれた地方では、若者が加速的に都会に移住し、高齢者や体の不自由な者が置き去りにされる現象が起こる。しかしながら、高齢者や体の不自由な人たちの生活を守ることも重要であり、公共的なサービスを提供する者にとっては重要な責務であるとも言える。
公共的なサービスの提供とは、インフラストラクチャーや、ライフラインに関連したサービスの提供を指し、前者では水道やガス、電気、通信などが該当し、後者では食料、燃料、飼料、農薬などが該当する。
前者は公共機関が行うサービスであるのである程度は採算を度外視できるが、後者に関しては私企業によるサービスの提供であるので、採算性を度外視するわけにはゆかない。
例えば燃料の配送を考えると、所定の需要者密度(人口密度)を下回った場合には単位燃料代あたりの配送コストが大きくなりすぎて利益を得ることが困難となるために、そのような地方からの配送サービスの撤退が生じることとなる。
【0003】
例えば、北海道地域のような届け先の家(家屋)と家(家屋)とが離れている場所において人手による宅配サービスでは、配送効率(運搬効率)が悪いという課題がある。
【0004】
そこで、そのような課題を解決するため、無人による荷物の運搬の自動化が試みられている。無人による宅配サービス手段として無人運搬ロボットが試験的に利用され始めている。無人運搬ロボットとしては、例えば自動運搬車両やドローンが利用することができる。
【0005】
無人運搬ロボットを利用した物流システム(配送システム)としては、例えば特開2017-200847号公報(特許文献1)が挙げられる。この例では、配送先(届け先)に配送される配送ボックス(荷物)を積載する配送車両と、その配送車両を搭載する母車両とを備えた配送システム(物流システム)において、母車両に複数の配送ボックスを自動倉庫に収納し、配送元から配送先までの配送ルート上の中継地点に到着すると、自動倉庫の制御により配送先に対応する配送ボックス(荷物)を積載した配送車両を降車させ、母車両は移動中継基地として機能し、降車させた配送車両は無人で配送先まで配送ボックスを運搬するように構成されている。
【0006】
また、ドローンを利用した物流システム(配送システム)の例としては、例えば特開2016-153337号公報(特許文献2)が挙げられる。この例では、配送車に配達すべき荷物と共に複数のドローンを搭載し、搭載した複数のドローンと共に移動し、目的の宅配地域において、ここを移動配送基地としてドローンを運行して宅配するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-200847号公報
【特許文献2】特開2016-153337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1においては、母車両や配送車両を移動配送基地として利用し、その移動配送基地から複数の無人運搬ロボット(無人配送車両)により荷物の運搬を行っている。母車両と子車両(配送車両)とからなる配送システムとする趣旨は、母車両にて比較的長距離を移動して中継地点にいたり、中継地点近辺に分散している配送先までの比較的短い距離をそれほど移動能力の高くない子車両(配送車両)にて荷物を配送する、というものであると推察される。
しかしながら、母車両は、原則的に子車両(配送車両)によって、中継地点近辺に分散している配送先への全ての配送が完了しなければ次の中継地点に移動できず、結果として最終の中継地点に至るまでの時間が子車両(配送車両)の全ての配送の完了までに費やす時間に依存してしまう。結果として配送の完了に多大な時間がかかるという問題を抱える。
なお、特許文献1には、ある中継地点において子車両(配送車両)による配送が完了しなくても母車両は次の中継地点に移動し、子車両(配送車両)は、前の中継地点での配送が完了した後に次の中継地点の母車両に追いつく、というアイデアが記載されている。
しかし、このような解決策であると、移動能力がそれほど高くない子車両(配送車両)に対して比較的長距離の移動を強いることとなり、母車両と子車両(配送車両)とからなるシステムの設計趣旨に反するものである。つまり、このようなことができるのであれば母車両を導入せずにすべて子車両(配送車両)のみによって比較的長距離での配送作業を実施することと基本的には変わらないこととなってしまう。
したがって、このような解決は実際には導入できないので、前述の通り配送の完了に多大な時間がかかる、という問題が依然として本文献に記載の発明では解決されていない。特許文献2にも同様の問題がある。
【0009】
本発明は、荷物保管所を無人運搬ロボットの運搬基地として利用し、少ない無人運搬ロボットを効率的に活用して荷物の運搬を行うのに好適な物流システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の無人運搬ロボットを利用した物流システムを提供する。
【0011】
すなわち、本発明における第1の発明は、届け先が特定された荷物を集積するための、人が常勤管理する荷物集積センターと、
荷物集積センターから荷積みして一度にN個以上の荷物を運搬する運搬車と、
荷物集積センターから到着した運搬車からのN個の荷物を保管するための、保管する人が常勤管理しない荷物保管所と、
前記荷物保管所を基地とし、荷物保管所から荷積みして一度にM個(N>M≧2)の荷物を運搬可能で、複数個所を巡回してその荷物の定められた届け先に荷物を届ける無人運搬ロボットと、を有する物流システム(請求項1対応)。
【0012】
本発明における第2の発明は、荷物保管所を基地とし、荷物保管所へ荷物回収先から荷積みして荷物保管所に運搬する無人運搬ロボットであって、一度にM個(N>M≧2)の荷物を運搬可能で、複数個所を巡回して定められた回収先から荷物を回収する無人運搬ロボットと荷物集積センターへ運搬するために、回収された荷物を運搬車に引き渡すためのN個の荷物保が管可な能荷物保管所であって、無人運搬ロボットから回収した荷物を運搬車に引き渡すための、保管する人が常勤管理しない荷物保管所と、荷物保管所から荷積みして荷物集積センターに配送するために一度にN個以上の荷物を運搬する運搬車と、運搬車が運搬する荷物を集積する機能を有する、人が常勤管理する荷物集積センターと、からなる無人運搬ロボットを利用した物流システム(請求項13対応)。
【0013】
本発明における第3の発明は、請求項1から6に記載のいずれか一、及び請求項13から18に記載のいずれか一の物流システムが複数個ネットワーク接続された物流システムネットワークであり、荷物集積センター間で荷物を運搬する集積センター間荷物運搬体をさらに有し、該荷物に関連付けて少なくとも荷物の届先を配下に置く荷物集積センターの識別情報を含む運搬情報を保持する運搬情報保持部と、運搬情報保持部に保持されている運搬情報を利用して集積センター間荷物運搬体が届け先が属する荷物集積センターに送るように構成されたことを特徴とする物流システムネットワーク(請求項25対応)。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、荷物保管所を無人運搬ロボットの運搬基地として利用し、少ない無人運搬ロボットを効率的に活用して荷物の運搬を行うのに好適な物流システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態1から6の物流システムの機能構成を示すブロック図
【
図3】実施形態3の配送命令装置と、無人運搬ロボットの構成を示すブロック図
【
図4】実施形態6の荷物保管所と無人運搬ロボットの構成を示すブロック図
【
図5】本発明の物流システムの配送時の一例を示すネットワーク図
【
図7】無人運搬ロボットの一例であるドローンを示す図
【
図8】無人運搬ロボットの一例である自動運転車両を示す図
【
図10】インデックス型荷物置場の外観の一例を示す図
【
図12】ドローンに電力供給する場合の一例を示す図
【
図13】実施形態7から12の物流システムの機能構成を示すブロック図
【
図14】荷物集積センターのネットワークの一例を示す図
【
図16】注文データベースのデータの流れを示すデータフロー図
【
図17】実施形態13の配送情報送信装置の構成を示すブロック図
【
図18A】実施形態9の回収命令装置の機能構成を示すブロック図
【
図18B】実施形態10の回収命令装置の機能構成を示すブロック図
【
図19A】実施形態9の無人運搬ロボットの機能構成を示すブロック図
【
図19B】実施形態11の無人運搬ロボットの機能構成を示すブロック図
【
図20】本発明の物流システムの回収時の一例を示すネットワーク図
【
図21】実施形態14の運搬車及び荷物保管所の構成を示すブロック図
【
図23】本発明のハードウェア基本構成を示すブロック図
【0016】
<本発明を構成し得るハードウェアについて>
本発明は、荷物集積センターと、荷物保管所と、運搬車と、無人運搬ロボットが協働して実現される物流システムであるが、各部で行われる制御の一部または全部は、CPUを搭載したコンピュータまたは組み込みシステム上でプログラムとして実現される場合がある。
図23は、コンピュータまたは組み込みシステムの代表的なハードウェアの構成であり、後出する配送命令装置、回収命令装置、運搬車、荷物保管所、無人運搬ロボット、配送・回収情報管理サーバに搭載・設置される。CPU2310は、メインメモリ2320からプログラムを読み出し、実行することで所定の制御を実現している。ブリッジ2340は高速なアクセスが可能なCPUと、比較的低速な周辺機器との間に配置されアクセス速度の各部のアクセスを調停するものである。メインメモリは、CPUが直接プログラム読み出して実行するための一時保記憶で、OSやデバイスドライバなどの基本機能に加えて、CPUが実行するプログラムを必要に応じて、不揮発性メモリからプログラム領域にコピーされる。ブートプログラム2330は、起動から周辺回路の設定、OSの立ち上げなど、OSが立ち上がってユーザープログラムが実行できる状態になるまでの処理を行い、ROMに記録されている。不揮発性メモリがフラッシュメモリの場合は、ブートプログラムも併せて格納される場合もある。不揮発性メモリ2350は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリが一般的であるが、不揮発性メモリであれば他を用いても構わない。外部インタフェース2360は、外部機器とデータをやりとりするための機能で、本発明では、LANや無線通信が適宜実装される。
【0017】
<本発明の自然法則の利用性の充足>
本発明は、コンピュータと通信設備とソフトウェアとの協働で機能するものである。従来、個人宅からの荷物の回収や配送は人手による煩雑な作業を必要としたが、ロボット技術を応用したシステムにより、課題を解決しているので、いわゆるビジネスモデル特許として成立するものである。請求項や明細書に記載された事項と、それらの事項に関係する技術常識に基づいて判断すれば、本願発明は自然法則を利用したものであることとなる。
【0018】
<特許法で求められる自然法則の利用の意義>
特許法で求められる自然法則の利用とは、法目的に基づいて、発明が産業上利用性を有し、産業の発達に寄与するものでなければならないとの観点から、産業上有用に利用することができる発明であることを担保するために求められるものである。つまり、産業上有用であること、すなわち出願に際して宣言した発明の効果がその発明の実施によってある一定の確実性の下再現できることを求めるものである。この観点から自然法則利用性とは、発明の効果を発揮するための発明の構成である発明特定事項(発明構成要件)のそれぞれが発揮する機能が自然法則を利用して発揮されるものであればよい、と解釈される。さらに言えば、発明の効果とはその発明を利用する利用者に所定の有用性を提供できる可能性があればよいのであって、その有用性を利用者がどのように感じたり、考えたりするかという観点で見るべきではない。したがって、利用者が本システムによって得る効果が心理的な効果であったとしても、その効果自体は求められる自然法則の利用性の対象外の事象である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1 主に請求項1に関する 概要 全体像>
実施形態1は、届け先が特定された荷物を集積するための、人が常勤管理する荷物集積センターと、荷物集積センターから荷積みして一度にN個以上の荷物を運搬する運搬車と、荷物集積センターから到着した運搬車からのN個の荷物を保管するための、保管する人が常勤管理しない荷物保管所と、前記荷物保管所を基地とし、荷物保管所から荷積みして一度にM個(N>M≧2)の荷物を運搬可能で、複数個所を巡回してその荷物の定められた届け先に荷物を届ける無人運搬ロボットと、を有する物流システムである。
【0020】
<実施形態1 概要 荷物集積センターと荷物保管所の役割>
ここで重要なのは、荷物集積センターから荷物保管所に対して運搬車により大量に荷物を運搬するのであるが、その運搬先である荷物保管所より先の届け先に対しては、運搬車による大量の運搬ではなく、無人運搬ロボットによる効率的な運搬を実現する点にある。例えば、荷物集積センターから荷物保管所へのアクセスは、到着地点が決められた「荷物保管所」1か所であるから1つの車両等で大量に運ぶのが効率的であるのに対して、その先の届け先は多数に及ぶことから、1つの車両等による配送ではむしろ効率が悪い。そのため、複数に分けて効率的に配送することを実現することが望ましいところ、本発明は、それを「無人運搬ロボット」により行うことに最大の特徴がある。それにより、人件費等の削減につながるし、届け先からすれば、早期に荷物を受け取ることができ、効率的な配送につながる。
【0021】
<実施形態1 概要 運搬車と無人運搬ロボット>
図1は、本発明における流れの概要を示す図である。物流システム0100は、図にあるように、地点としては「荷物集積センター0110」「荷物保管所0120」「届け先130」が存在し、「荷物集積センター」と「荷物保管所」との間を運搬車0140により運搬し、「荷物保管所」には複数の届け先に対する荷物が保管される。そして、「荷物保管所」と「届け先」との間を一以上の無人運搬ロボット0150により配送することにより、複数かつ多岐にわたる届け先に対して効率的に配送することができるという具合である。
【0022】
<実施形態 概要 配送の流れ>
図5は、「荷物集積センター0510」「荷物保管所0521、0522、0523、0524」「届け先」の間での配送関係に関する図である。図にあるように、「荷物集積センター」を出発した運搬車は、「荷物保管所」に荷物を届ける。基本的には、1つの運搬車は、1回に1つ以上の荷物保管所に荷物を運搬するという具合である。もちろん、運搬車は、運搬後に一度荷物集積センターに戻ってきた後に再度荷積みして別の荷物保管所に荷物を運搬することはあり得る。ただし、直接的に届け先に個別に届けるという従来から当たり前に存在していた手法は想定されていない。「荷物保管所」に保管されている届け先に配送すべき荷物については、無人運搬ロボット0551、0552、0554が配送する。実施形態4及び5にて後記するように、その配送方法は、可能な限り効率的な配送方法かつルートであることが望ましい。例えば、配送の場合、荷物を積載した状態で巡回を開始するため、近い届け先から配送するほうが、エネルギー消費が少なくなるものと考えられる。なお、届け先に記載してある済の記載は配送済を意味し、未の記載は未配送を意味する。配送ルート上に示す無人運搬ロボットが通過した届け先は配送済となり、まだ通過していない届け先は未配送となっている。
【0023】
<実施形態1 各構成の説明>
本発明における各地点と運搬媒体の機能は、以下のとおりであるが、上記の目的を達成し得る範囲で限定されるものではない。
【0024】
<実施形態1 各構成の説明 荷物集積センター>
<荷物集積センターの構成>
「荷物集積センター」とは、荷物を集積する人が常勤管理する場所である。「常勤管理」とは、休日や非稼働時を除いて人が常に滞在し、その人に与えられた仕事をそこで行うことを言う。荷物集積センターでの勤務なので基本的には荷物の集積と、集積された荷物の配送に関する作業を行う。もちろんこれに付随する業務として、総務的業務、経理的業務、法務的業務、人事的業務を行う人が勤務することを妨げるものではない。荷物集積センターには、各地の集荷拠点から、この荷物集積センターと関連付けられている荷物保管所の無人運搬ロボットの配送範囲にある荷物が集められてくる。各地の集荷拠点は、各地の荷物集積センターであってもよい。例えば、北海道に荷物集積センターとして、札幌、函館、小樽、室蘭、旭川、釧路、帯広、北見、夕張、岩見沢、網走、留萌、苫小牧、稚内、があった場合に、道内の集荷拠点も同じく札幌、函館、小樽、室蘭、旭川、釧路、帯広、北見、夕張、岩見沢、網走、留萌、苫小牧、稚内、であってよい。従って、道内の各集積センターには、各集積センター機能を有する各集荷拠点から荷物が集積されることとなる。もちろん、道外の集積センターである各集荷拠点からの荷物も集積される。なお、集積センターのさらにハブとなるハブ拠点があってもよい。ハブ拠点は、例えば10から20の集積センターの集積集荷拠点として機能する。
<実施形態1 各構成の説明 荷物集積センター>
<荷物集積センターの機能>
荷物集積センターの機能は、集積された荷物集積センターの配送領域に存在する荷物保管所へ配送すべき荷物を一時保管する機能と、一時保管された荷物を運搬車に積載して所定の荷物保管所に対して送り出す機能を有する。また荷物集積センターにて荷物保管所に送り出すべき荷物は、他の荷物集積センターから送られてきたものである。従って荷物集積センターは原則的に、回収した荷物が荷物保管所から送られてきた場合には、その回収された荷物を配送すべき領域を管理する他の荷物集積センターへ荷物を送りだす役割をも担う。また、荷物集積センターには配送される荷物に関する情報を管理するサーバ装置が配置されていてもよい。またさらに、自身の管轄下の荷物保管所ごとに荷物を集める仕分装置があってもよい。さらに仕分装置で仕分けされた荷物を後述する運搬車に荷積みするための荷積装置があてもよく、この荷積装置は運搬車に所定のルールで荷積みするように構成されていてもよい。所定のルールとは、荷積順位を定められた順にする場合や、荷物運搬車の荷積スペース定められた所定の位置に荷積みするように構成されていてもよい。なお、荷物にはICタグやコード情報などによって荷物の集荷元や、荷物の配送先、あるいは運搬車に対する荷積みルール(順番、位置、その他)荷物の種類などの情報が書き込まれていることが望ましい。また荷積み装置は、この情報を読み取る機能を有し、読み取った内容と前記サーバからの指示などに基づいて荷積みをするように構成することが望ましい。
【0025】
<実施形態1 各構成の説明 運搬車>
「運搬車」とは、荷物集積センターから荷積みして一度にN個以上の荷物を運搬する車両である。ここでは、通常、複数の届け先に対する荷物が混在して運搬されていることが想定される。ただし、もちろん、荷物が1つの場合には、運搬車で運搬する荷物の最終届け先は1か所であるが、その場合であっても、それだけをもって本発明の技術的思想に属さないということになるわけではない。
運搬車は、荷物保管所で荷物を保管する際にインデックスに従って荷物を配置しなければならないために複雑な作業を担う。従って、本件発明においては人が運転し、また荷物保管所にてインデックスに従って荷物を配置する能力のある作業者が同乗する車両であることを想定している。ただし、運転者と前記作業者が同一人物であることを妨げない。
また運搬車は情報端末を積載したものであることが好ましい。情報端末は荷物保管所に配送してインデックス配置すべき荷物の情報を閲覧することができ、場合によって前記作業者が保持するモバイル端末に対してその情報を出力することが出来るように構成されていることが好ましい。前記作業者は荷物保管所に到着すると、その荷物保管所で行うべき作業内容をその運搬車に搭載されている端末から自身が保持するモバイル端末に送信しておき、運搬車から降車して作業をする際にそのモバイル端末のディスプレイに表示されている情報に従った作業をするように仕組むことができる。
【0026】
図6は、運搬車の一例を示す図である。多くの荷物を荷物集積センターから荷物保管所に運搬することが想定されている。ただし、その日ごとに運搬する荷物の数に違いが生じることは当然であるから、ここでの「多くの荷物」という前提は、あくまで想定しているという話であり、たまたま1個の荷物である日があったからといって、そのことのみをもって本発明の対象外になるわけではない。構造についても図のような形に限定されるわけではないが、例えば、運搬車であるトラックの荷台にロボットアーム0611が備え付けられており、そのロボットアームが荷物0612を所定のルールに基づいて集積するという具合である。所定のルールとは、例えば、荷物保管所にて荷下ろしをする際に、無人運搬ロボットが荷物を受け取るのに適したインデックス態様で積めるように、配置することなどが考えられる。
なお、運搬車は、その荷台を荷物保管所の荷物保管装置に連結することが出来るように構成されていてもよく、自動で荷物保管所の所定の位置に荷物が配置されるように構成することも可能である。この場合にはあらかじめ荷物集積センターで荷物を運搬車に積載する際に荷物保管所にて所定の保管配置になるように積込を行うように構成する。この荷物集積センターでの運搬車に対するインテリジェントな荷物積載は、荷物集積センターに配置される運搬車自動積込システムと荷物ローダー、荷物アンローダーによって行われてもよい。運搬車自動積込システムはコンピュータから構成され荷物情報に基づいて上記処理を行うように構成される。なお荷物集積センターは、自動倉庫システムによって運営されていてもよい。
【0027】
<実施形態1 各構成の説明 荷物保管所 概要>
「荷物保管所」とは、荷物集積センターから到着した運搬車からのN個の荷物を保管するための、保管する人が常勤管理しない場所である。次に述べるように、届け先への配送については、無人運搬ロボットにより行うので、保管する人が常勤管理する必要がないのである。届け先に関する情報については、インターネット等の通信機能を用いて管理サーバより取得し、無線インタフェース等で無人運搬ロボットに入力することが可能であるので、都度、荷物保管所にて常勤管理の上で届け先を入力することを要しない。また、荷物保管所は、有線通信、または移動体通信により接続されることが望ましいが、山間部など通信インフラが整っていない環境では、管理サーバと直接通信ができない場合が想定される。運搬車が荷物だけではなく、届け先に関する情報も運ぶ役割を担う場合がある。
【0028】
<実施形態1 各構成の説明 荷物保管所 機能>
「荷物保管所の機能」としては、運搬車から運ばれてきた荷物を保管し、荷物保管所を基地とする無人運搬ロボットにその荷物の配送を行わせる機能を有する。運搬車から運ばれた荷物は、運搬車に同乗する作業者によって荷物保管所に所定の配置で保管されるように構成することもできるが、荷物保管所からの荷物の届け先へ届けるための無人運搬ロボットへの積載は荷物保管所と無人運搬ロボットとの協働作業によって行われる。この作業は無人で行われる。従って、荷物保管所のコンピュータと無人運搬ロボットとが無線通信ないしは有線通信にてコミュニケーションをとりながらこの積載作業が実行される。荷物保管所では荷物集積センターないしは運搬車の作業員のモバイル端末から荷物に関する情報を受信してその荷物を保管する。この情報の中には、配送タイミングに関する情報が含まれていてもよい。配送タイミングに関する情報は定められた届け先に配置されているないしは、届け先の住人などが利用するスマートフォンなどの端末からの情報に応じて定められるように構成することができる。届け先の住人が利用するパソコンやスマートフォンなどの端末には、この無人運搬ロボットを利用した物流システム用のアプリケーションが利用可能となっていたり、ブラウザを介してこの無人運搬ロボットを利用した物流システムの専用ホームページを開き、登録されているパスワードなどを入力することによって荷物に関する種々の情報を本システムに伝えたり、本システムから伝えられるように構成することができる。この中には荷物の現在の所在地や、届け先に届けることができるタイミングなどに関する情報のやり取りができるように構成される。無人運搬ロボットは、最もあり得る形態では空を飛ぶドローンなどであるので、道路事情に制約を受けることが少ないので時間調整をすることが容易である。道路事情による制約とは、降雪による通行不能や、大雨による路面浸水などである。
【0029】
<実施形態1 各構成の説明 荷物保管所 構成>
荷物保管所の構成は、荷物保管所を基地とする無人運搬ロボットの種類によって異なる場合がある。例えば、無人運搬ロボットが飛行ドローンの場合には、荷物は、上空からアクセスする飛行ドローンによってドローンに把持、積載、保管等が可能なように構成される。従って荷物保管所の荷物の上側は、少なくとも飛行ドローンが荷物を配送しようとして荷物を把持等する際には開いている必要がある。通常は蓋がされており、ドローンの配送タイミングにてその蓋が解放されるように構成してもよい。またドローンが把持等しやすいように、対象となる荷物が昇降機などによって部分的に又は全体的に上方に押し上げられるように構成することもできる。また無人運搬ロボットが地上を走行する自動運転車両である場合には、飛行ドローンとは別に、荷物の下側に入り込んで荷物を荷台に降下させ載置するような構成が考えられる。従って、荷物保管所の下側に自動運転車両が入り込み、所定の位置に自動運転車両の荷台が配置されたタイミングで荷物保管所に保管されている荷物が降下して自動運転車両の荷台に載置されるように荷物保管所を構成する。なお、全体として注意すべき点は、保管されている荷物が盗難にあわないように盗難防止の仕組みを設けることである。盗難防止の仕組みとは、荷物保管所に無人運搬ロボット以外の車両や、人が容易に侵入できないように侵入防止構造を設けることや、監視カメラを設けて録画をしたり、中央監視室を設けて常時カメラの映像を監視するように構成することが好ましい。この中央監視室は、遠隔地であってもよく、また、外注することも考えられる。例えば、大手の警備保障会社に外注することが考えられる。さらに、人感センサや、その他のセンサを設けて、不審な動きが周辺でないか監視することが考えられる。不審な動きがあった場合には、警報を現場で発して、不審者に警告するとともに、警備保障会社などに自動的に通報するように構成することもできる。
【0030】
また、荷物保管所は、無人運搬ロボットの基地としての構造を有することが必要である。無人運搬ロボットは、電動とするのが環境などの観点から好ましいが、この電力の供給機能を荷物保管所が有していることが好ましい。電力源としては荷物保管所に配置される太陽電池や風力発電を利用することも考えられるし、太陽電池や風力発電は副次的な電力源として、主電力源を燃料電池とすることも考えられる。燃料電池の燃料としては、水素が効率的であるが、アルコールやその他の燃料を発電の燃料とすることも考えられる。この場合には発電装置の他に燃料貯蔵施設が必要となるが、この燃料貯蔵施設に対する燃料の供給は、運搬車が必要に応じて行うように構成することができる。従って運搬車の機能としては、荷物保管所の燃料貯蔵施設に対する燃料の供給機能が備えられていることが好ましい。なお、荷物保管所は、荷物集積センターや、情報管理センター(初出)などと荷物保管センターの各種機能に関する通信を行って、センターによって常時その状態が監視されるように構成することが好ましい。これは前述したセキュリティに関するものも同様である。そして、貯蔵されている発電用燃料が消費されている状況に基づいて、荷物集積センターを出発する運搬車に対して燃料供給のスケジュールを通知し、作業員や運転者に対してもその必要性を告知するように構成する。従って作業員や運転者は、荷物集積センターからの荷物を荷物保管所に運搬する役割の他に荷物保管所の燃料貯蔵施設に対して運搬車に積載されている燃料の供給作業を行う。運搬車の燃料タンクに充填された燃料は、荷物保管所の燃料貯蔵施設の燃料受け入れ口に対して接続され燃料が安全に供給されるように構成する。なお、燃料の消費状況等に関するデータは、通信によって適宜センター側に通知するような燃料消費状況通知部を荷物保管所が有していてもよいが、通信が困難な山間部などの場合には、保管されているデータを運搬車に対して送信して、運搬車が情報の橋渡し役となるように構成することもできる。この橋渡し機能は、運搬車と荷物保管所の情報保持部とが自動的に行うように構成するとともに、運搬車が荷物集積センターに帰還した場合には、同様に荷物集積センターに備えられている情報取得装置(例えば前述した荷物の情報管理をするサーバのようなものやサーバに接続可能な端末のようなもの)が自動作動して、運搬車が持ち帰ったあらゆる種類の情報を吸い上げるように構成することが好ましい。なお無人運搬ロボットに対する電力の供給は、荷物保管所に無人運搬ロボット用の車庫やドローン倉庫があって、無人運搬ロボットが休憩状態となり、これらの車庫や倉庫に収まっている際に、自動的に電力供給が行われるように構成することが好ましい。電力の供給方法としては、無人運搬ロボットと、荷物保管所の電力供給端子とが自動的に連結されて優先で電力供給するように構成してもよいし、非接触型の電力供給装置によって荷物保管所の電力が無人運搬ロボットに供給されるように構成してもよい。なお無人運搬ロボットは、これらのやり取りを効率的に実行するために自身の電力状況を荷物保管所に対して無線通信などで告知するように構成することができる。荷物保管所の電力供給設備がすべての無人運搬ロボットの各々に対して準備できない場合には、複数の無人運搬ロボットに対して電力供給スケジュールを荷物保管所のコンピュータが通知して電力の供給スケジュールにそった無人運搬ロボットの運航を行うように調整することが好ましい。電力の供給を受けない無人運搬ロボットは、車庫や倉庫に待機しているか、又は作業をさせるように構成することが好ましい。その他、荷物保管所は無人運搬ロボットの基地として機能することから無人運搬ロボットの故障診断機能や、故障と診断された場合に部品交換などを自動的に行う修復機能を有していることが好ましい。修復機能は修復デッキに無人運搬ロボットを迎えいれると、故障とされる部品を正常な部品と交換することが行われるよう構成することが好ましい。そして、故障部品は、運搬車に積載して荷物集積センターで修理させるように構成することが好ましい。この予備部品に関して在庫管理を荷物保管所で行い、その在庫情報が荷物集積センターにて慣例され運搬車に対する交換部品荷積みを自動化して、運搬車に指示を出したり、運搬車に搭乗する運転者や作業者の端末に対してその指示を表示させたりすることが好ましい。
【0031】
<実施形態1 各構成の説明 無人運搬ロボット>
「無人運搬ロボット」とは、前記荷物保管所を基地とし、荷物保管所から荷積みして一度にM個(N>M≧2)の荷物を運搬可能で、複数個所を巡回してその荷物の定められた届け先に荷物を届けるためのロボットである。複数個所を巡回するということから、ここでは荷物の数を2個以上としている。ただし、その日ごとに運搬する荷物の数に違いが生じることは当然であるから、ここでの「N>M≧2」というのは、あくまでシステム上の想定であり、たまたま1個の荷物しかない日があったからといって、そのことのみをもって、本発明の対象外になるわけではないことは当然である。また、無人運搬ロボットが飛行ドローンの場合には、積載ないしは把持する荷物の飛行ドローンでの位置を変更できるように構成することも考えられる。荷物の位置を飛行ドローンの推力重心下付近に調整するためである。飛行ドローンの場合には複数の推力源の推力調整によって推力重心を調整することもできるが、推力調整幅にも限界があるために荷物の配置によっても調整できるように構成した方が好ましい。また荷物には無人運搬ロボットが荷物を運搬することが容易になるように無人運搬ロボットの荷物把持機構が利用する荷物係止機構が利用可能に付属していることが好ましい。この荷物係止機構は、荷物と一体化されており、配送先に荷物を載置する際も荷物ごと載置されるような荷物係止機構でも良いし、荷物とは着脱可能で荷物の配送先に荷物を載置する際には荷物と分離するような荷物係止機構でもよい。前者の場合には荷物係止機構は、最初に荷物を集荷する家の人が荷物に取り付ける必要があるが、後者の場合には荷物保管所に準備されていて荷物運搬車が荷物保管所に荷物を保管した際に、荷物に装着されるように構成されていてもよい。なお、無人運搬ロボットは、一つの荷物保管所に複数台配備されていることが好ましい。そして、複数台配備されている無人運搬ロボットは、すべてが同一種類の無人運搬ロボットである必要はなく、それぞれ運搬する荷物に適した種類の無人運搬ロボットが配備されていることが好ましい。例えば重量物専用の無人運搬ロボットであったり、大型荷物専用の無人運搬ロボットであったり、長距離用の無人運搬ロボットであったり、短距離用の無人運搬ロボットであったり、昼間専用の無人運搬ロボットであったり、夜間専用の無人運搬ロボットであったり、荷物の冷蔵や冷凍の機能を有した無人運搬ロボットであったり、水陸両用の無人運搬ロボットであったりなどである。なお、荷物は定型性を有するものとは限られず、液体や気体である場合には、液体タンクや気体タンクを備えて直接的に配送先のタンクにこれらを注入する機能を有するような無人運搬ロボットであってもよい。なお、無人運搬ロボットは、急病人などを運搬したり、医者を運搬することのできる搭乗機能付きの無人運搬ロボットであってもよい。なお、無人運搬ロボットは管轄する荷物保管所が原則的には一つであるが、これに必ずしも限定されるものではない。隣接地にある荷物保管所の場合には複数の荷物保管所が複数の無人運搬ロボットを共有するように構成されてもよい。例えば無人運搬ロボットで高度な作業をするために専用に作られた高価なものがある場合などには、その高価な無人運搬ロボットを複数の荷物保管所で共有することも考えられる。また一の荷物保管所の無人運搬ロボットに故障などの不測の事態が生じた場合には隣接する荷物保管所などから緊急的に無人運搬ロボットを回してもらい緊急避難的にその無人運搬ロボットを運行させるようにすることも考えられる。これらの処理は、荷物集積所に配置された無人運搬ロボット運用サーバや、複数の荷物集積所の情報を中央処理する中央情報処理センターに設置されるサーバなどによって情報処理され命令が送信されるように構成することが出来る。命令送信は、このようなサーバから荷物保管所を中継して無人運搬ロボットに送信されるように構成することが出来る。
【0032】
<実施形態1 各構成の説明 無人運搬ロボット=飛行ドローン>
図7は、無人運搬ロボットがドローン0701であった場合の一例を示す図である。図のように、ドローンの場合には「飛行」手段による運搬になる。飛行であるので、障害物等を効率的に避けつつ迅速な運搬が可能となることから、急ぎの運搬には向いている。他方、重い荷物を大量に運ぶことが困難であったり、あるいは万が一の荷物の落下等の危険にも配慮して荷物の固定方法を工夫する必要があるところが難点である。無人運搬ロボットがドローンである場合には飛行の安定性が必要となることから荷物の重量バランスに関する情報処理が必要となる。事前にドローンに積載する荷物の重量や重心位置に関する情報を取得し、ドローンの加重バランスができるだけドローンの推力中心に位置するようにする。ただし、ドローンは複数のモーターでプロペラを回して飛行する者であるからプロペラの回転バランスをとることによって推力中心を移動させることができる。従って、アンバランスな荷物積載状態となっている場合には、その荷物の重心位置上方に推力中心が位置するようにモーターの出力を制御するように構成することが好ましい。なお、この種類のドローンは高出力なモーターを利用する必要があり、電力消費量が大きくなるので発電機を備えたドローンであってもよい。発電機の燃料は環境負荷の観点からは水素燃料やアルコール燃料であることが好ましい。また高出力のモーターに大量の電気を供給する必要性から発電機はタービン発電機であると効率的である。また発電機を高出力にするために発電機にはハルバッハ発電機を用いることが好ましい。この観点からドローンである無人運搬ロボットは積載荷重のバランス情報を取得するための重量センサ―を備えていることが好ましい。複数の届け先に荷物を届ける場合には、バランスが崩れる度合が少なくなるようにルートを選定することも考えられる。ルートの選定は、バランスと総飛行距離とを勘案して決定される。原則的には荷物保管所から取得する情報によってあらかじめ飛行ルートなどを定めるが、荷物を回収する場合には、荷物に関する情報が不足しているので、回収した荷物と届けるべき荷物の情報を総合してルートを適宜ダイナミックに変更したり更新したりするようにコンピュータが計算することが好ましい。このコンピュータはドローンに積載されているか荷物保管所又は荷物集積センターのコンピュータと通信をして計算結果を取得するように構成できる。ただし、通信は、山間部などでは必ずしも良好であるとは限らないので、ドローン自体に計算用のコンピュータを積載しておくことが好ましい。なお、荷物保管所や荷物集積センターのコンピュータと通信の必要がある場合には、山間部などでの通信が妨げられないように通信の中継のための専用のドローンを飛行させることも考えられる。中継無人ドローンを高い高度にホバリングさせることによって荷物保管所や荷物集積センターとの通信が可能となる。
【0033】
<実施形態1 各構成の説明 無人運搬ロボット=自動運転車両>
図8は、無人運搬ロボットが自動運転車両0800であった場合の一例を示す図である。一例として、開閉式のシャッター内0803(集積空間内)に荷物0806が複数入れられるようになっており、集積空間内の底面がベルトコンベア0804になっており、無人運搬を実現するために車両上部にはカメラ0801やGPSセンサ0802が搭載されているという具合の構造が考えられる。そして、運搬時には、開閉式のシャッターが閉じられており、他方、配達時には、開閉式のシャッターが開けられて、ベルトコンベアが動いて車両外に特定の荷物を排出するという具合である。ここで重要なのが、ベルトコンベアによる場合には、自動で順番通りに排出されることから、複数の荷物を集積する時点と配送方法(配送する届け先の順番)が一致していることが前提となる。
【0034】
<実施形態1 各構成の説明 無人運搬ロボット 届け先での作業>
図9は、「届け先」での受け取り方法の一例を示す図である。ここでは、無人運搬ロボットが、ドローン0904であることを想定している。図にあるように、例えば、無人運搬ロボットであるドローンがピックアップしている荷物を収納する収納ボックス0902が届け先0901の家の外壁に存在していてもいい。ドローンが、収納ボックスを引き出し、そこに所定の荷物を収納するという具合である。収納ボックスを引出す方法としては、センサ等で予め設定された特定のドローンが所定範囲に近づいた際に自動で引き出されるという方法なども考えられる。ドローンなどの無人運搬ロボットからの荷物の届け先の所定位置への投入であるが、上記の他にドローンが画像認識して荷物配置ターゲットであると判別できるマークなどを描いたシートを利用することも考えられる。例えば弓道の的に描かれているようなマークを配したシートを庭に配置し、ドローンの画像認識によって、その場所を荷物配置ターゲットとして飛行したり、走行したりするように構成する。また夜間はわかりにくい可能性があるので、そのシートを照明で照らすことも考えられる。またレーザービーコンを利用することも考えられる。レーザービーコンとは、所定の信号をレーザーで繰り返し出力させ、これを無人運搬ロボットに読み取らせてそのレーザーの発信地近辺を荷物配置のターゲットとするものである。レーザーは、無人運搬ロボットからの通信によって発信開始するように構成されることが好ましい。つまり無人運搬ロボットのGPS、準天頂衛星みちびきなどの機能によって届け先近辺に近づいたと判断できた場合に無指向性の電波によってレーザービーコン発振装置に対してレーザービーコンの発信命令を出力する。レーザービーコン発振装置は、その命令を受信してレーザーを発信する。など将来的に複数の無人運搬ロボットが近接して活動するような混雑状態も考えられるので、無人運搬ロボットからはレーザービーコン発振装置に対してレーザーの照射パターンをユニークにできるような信号を送ることも考えられる。つまり、レーザービーコンが複数発信されているような空域や地域では、無人運搬ロボットに対して一対一にユニークなレーザー発振パターンをレーザービーコン発振装置に対して出力させるように構成することが好ましい。なお、レーザービーコン発振装置に対して出力される無指向性のレーザービーコン発振命令は、遠距離まで届く無線であってはならずせいぜい数十メートル程度の伝送範囲のものでよい。また、届け先に届けたのちに告知することなく帰還する無人運搬ロボットであってもよいが、例えば、ホーンを鳴らす等して荷物の配達を届け先に知らせたり、あるいは、無人運搬ロボットが到着する直前3分以内程度に届け先の住人等の利用するスマートフォンに告知メールを出したり、告知の自動音声電話を掛けたりするように構成することもできる。この自動音声電話は、無人運搬ロボットが届け先の所定範囲内に入域した場合に、荷物保管所に設置されている自動案内装置から架電されるように構成してもよいし、あるいは荷物集積センターから架電されるように構成してもよい。
【0035】
以上が本発明の構造であるが、これを運用方法若しくはプログラムとして実現する場合も本発明の範囲内である。すなわち、届け先が特定された荷物を集積するための、人が常勤管理する荷物集積センターに荷物を集積する「荷物集積ステップ」と、荷物集積センターから荷積みして一度にN個以上の荷物を運搬車によって運搬する「運搬ステップ」と、荷物集積センターから到着した運搬車からのN個の荷物を保管する人が常勤管理しない荷物保管所に保管する「保管ステップ」と、前記荷物保管所を基地とし、荷物保管所から荷積みして一度にM個(N>M≧2)の荷物を運搬可能で、複数個所を無人運搬ロボットによって巡回してその荷物の定められた届け先に荷物を届ける「荷物配送ステップ」とからなる物流システムの運用方法やプログラムも本発明の範囲内である。各ステップの内容については、前記の各構造の説明と同様である。
【0036】
<実施形態2 主に請求項2に関する 概要>
実施形態2は、実施形態1の特徴に加えて、荷物保管所は、N個の荷物を収容可能な、届け先と一対一に対応可能なインデックス情報で識別されるインデックス型の荷物置場であり、インデックスに従って無人運搬ロボットが荷物をピックアップ可能な構造であるインデックス型荷物置場を有する請求項1に記載の物流システムである。このインデックス荷物置場は、無人運搬ロボットが荷物を搬送のためにピックアップする際に用いるもので、インデックス化されていることから荷物に関する情報と実際の荷物との相関が確保されるというメリットを有する。
【0037】
<実施形態2 各構成の説明>
実施形態2は、実施形態1の基本的構成の全てを含みさらに、荷物保管所にインデックス型荷物置場を有するものである。インデックス型荷物置場以外に関しては実施形態1で説明済みであるので、ここでは特徴的な構成であるインデックス型荷物置場に関連する事項に関して重点的に説明する。
図2は、
図1のうちの「荷物保管所」とその周辺のみを取り出して、本実施形態の荷物保管所の概要を示す図である。図のように、荷物保管所には、インデックス型荷物置場0210が存在し、このインデックス型荷物置場は、運搬車が荷物の搬入のために利用し、無人運搬ロボットが荷物の届け出のために利用する。
【0038】
「インデックス型荷物置場」とは、N個の荷物と届け先の情報とを関連付けて処理するためのものであり、届け先(経度緯度情報、GPS情報、準天頂衛星「みちびき」の利用する情報)などと一対一に対応したインデックス型の荷物置場であって、それにより、インデックスに従って無人運搬ロボットが荷物をピックアップし、配送可能とするものである。具体的には、荷物保管所には、多数の届け先への荷物が混在しているところ、その混在している荷物を無人運搬ロボットがピックアップして届け先へと配送することとなる。そのときに、効率的かつ確実に無人運搬ロボットが荷物をピックアップし易いよう、荷物保管所での保管場所について、インデックスに従って、すなわち順序だてて保管されていることにより、無人運搬ロボットによる回収が効率的になり、時間や費用の削減につながる。また、無人運搬ロボットへの情報入力の煩雑さも軽減できる。情報の入力は荷物保管所のコンピュータが少なくともインデックス型荷物置場のインデックス情報と、これに関連付けてその荷物の届け出先の地理的情報とを無人運搬ロボットに通信により告知する。無人運搬ロボットは、その告知に従ってインデックス型荷物置場のインデックスに着地ないしはホバリングないしは停車して荷物を把持等するとともに、関連付けられている地理的情報に従って移動し、その荷物を届ける。なお、無人運搬ロボットは、荷物の把持ユニットを複数有する、ないしは、荷物の積載位置を複数分有するので、インデックス型荷物置場の各インデックスに従って把持ないし積載した荷物の把持ユニット番号などを保持しておく必要がある。把持ユニットが複数あるので、届け出先に巡回航行する際に、どの巡回地点でどの把持ユニットに把持されている荷物を載置したらよいのかを判断するためである。
【0039】
図11は、各種データベースのインデックス化の具体例の一例を示す図である。あくまで概念的に示すものであり、この例に限られるものではない。例えば、「お客様データベース1102」「注文データベース1101」「配送データ1103」「お客様配送データ1104」という4種類が存在することを想定する。「お客様データベース」とは、要するに、届け先の場所を正確に把握するための情報である。東経(度)・北緯(度)などで表すことが考えられる。その情報と、お客様のIDなどが関連付けられていることになる。「注文データベース」とは、要するに、注文内容を届先IDや品種IDや数量などを注文IDなどという単位で紐づけして管理するデータベースである。「配送データ」とは、要するに、注文データベースにて管理されている実際の注文データを運搬車に伝えるためのデータベースである。ここでは、例えば、「注文ID 103」のもの(「WEAR」という商品)は「INDEX A4」に存在するということを示している。これに基づいて、無人運搬ロボットがインデックスに基づいて効率よく把持し配送する。
「お客様配送データ」とは、「A4」に入っていた「注文ID 103」の商品は、東経「a1」北緯「b1」に所在する届け先に配送することが命令されるという具合である。東経「a1」北緯「b1」というものは、お客様データベースに登録されているものなので、正確に荷物を配送することができる。
【0040】
図10は、無人運搬ロボットがインデックス型の荷物置場から荷物をピックアップする状況の一例を示す図である。ここでは、無人運搬ロボットがドローンであることを想定している。ドローンが「A4ID1240」「B4ID1245」の荷物をピックアップするようにとの配送情報に関する命令を荷物保管所のコンピュータから受信した場合、インデックス化されて荷物収納場所が設けられている場所からピックアップを行い、それに対応する届け先に荷物を配送するという具合である。この図の例では、「A4ID1240」というのは、「A4」がピックアップすべき荷物のおかれているインデックスの値で、アルファベット列が「A」の列で、かつ、数字列が「4」の列の交差点にピックアップすべき荷物が存在していることを示しており、「ID1240」が座標(a1、b1)(ここは「山田家」である。)の届け先座標を意味するものである。「B4ID01245」というのは、「B4」がピックアップすべき荷物が「B」の「4」に存在していることを示しており、「ID1245」が届け先の座標である(a2、b2)(ここは「鈴木家」である。)という届け先を意味するものである。このようにインデックス型荷物置場を利用することにより無人運搬ロボットによる、ピックアップについてもコンピュータのみによって無人にて行うことができる。なお、当然であるが、インデックス型荷物置場の各インデックス位置に対して無人運搬ロボットは正しく着地、ホバリング、停車できるように構成されている必要がある。このために例えばインデックスを無人運搬ロボットが認識できるように各荷物の置場にコードを表示し、コードを無人運搬ロボットが読み取ることによって正しくインデックス位置を認識できるように構成することが考えられる。つまり、無人運搬ロボットにカメラを搭載し、カメラにとらえられたコードを認識することで無人運搬ロボットがアクセスすべき荷物位置を知ることが出来るように構成するのである。
【0041】
<実施形態2 運用方法、動作方法、動作プログラム>
以上が本発明の構造であるが、これを運用方法若しくはプログラムとして実現する場合も本発明の範囲内である。すなわち、実施形態1で説明した特徴に加えて、荷物保管ステップは、N個の荷物を収容可能な、届け先と一対一に対応可能なインデックス情報で識別されるインデックス型の荷物置場に、インデックスに従って無人運搬ロボットが荷物をピックアップ可能に保管するインデックス型荷物保管サブステップを有する物流システムの運用方法やプログラムも本発明の範囲内である。各ステップの内容については、前記の各構造の説明と同様である。
【0042】
<実施形態2 その他の例 請求項では請求されていない発明>
以上、実施形態1を基本として、荷物保管所にインデックス型荷物置場を有する実施形態に関して説明した。この他に無人運搬ロボットが荷物保管所の荷物を荷物の配送情報と関連付けて把握する手段としては、荷物保管所において、無人運搬ロボットが把持等すべき次の荷物が収納されている収納ボックス等を無人運搬ロボットが認識できるような信号を出力するように構成することである。認識できるような信号としては、収納ボックス等を無人運搬ロボットに認識できるよなLEDなどの照明を点灯する、あるいは点滅させるなどである。荷物保管所のコンピュータが無人運搬ロボットに次に把持等させたい荷物が収納されている収納ボックスに近接して所定位置関係で設置されているLEDなどに点灯命令を出力し、所定の収納ボックスのLEDのみを点灯又は点滅させてその収納位置に無人運搬ロボットを誘導するというものである。この場合には無人運搬ロボットと荷物保管所のコンピュータとの協働作業となるために荷物保管所が、荷物のピックアップをすべき無人運搬ロボットが近接位置にいることを確認し、荷物保管所のコンピュータから荷物ピックアップの作業の開始通知を無人運搬ロボットに対して出力し、例えば飛行ドローンの場合には、上空にホバリングして、収納ボックスに対してそれぞれ所定位置に配置されたLEDなどの照明(光るものであればLEDに限定されず、有機EL、フラッシュライト、レーザー光源、等であってもよい。)の全てを認識できる状態に移動する。そしてホバリングしながらどのLEDが点灯、ないしは点滅するかを観測し、点灯ないしは点滅したLEDを認識するとそのLEDにて規定される収納ボックスに荷物のピックアップをしに移動する、というものである。運搬車の場合にも同様である。例えばLEDは点灯、点滅するものが一か所であっては収納ボックスや、移動すべき正確な位置が認識しづらいので、複数、できれば一つの収納ボックスを認識するために3以上のLEDを点灯させることが好ましい。またLEDの点灯、点滅色を複数種類にしてより位置情報量を増やしたり、点滅速度を複数種類として位置情報量を増やすことが考えられる。
【0043】
<実施形態3 主に請求項3に関する 概要>
実施形態3は、実施形態2を基本としてこれらの特徴に加えて、無人運搬ロボットに対してピックアップすべきインデックス型荷物置場のインデックスを示す情報であるインデックス情報と、そのインデックス情報で示されるインデックスの位置の荷物置場の荷物を届ける届け先を示す情報である届先情報と、その荷物を配送すべき無人運搬ロボットを識別する情報である無人運搬ロボット識別情報と、を関連付けた情報である配送情報を保持する配送情報保持部と、配送情報保持部に保持されるインデックス情報と、これに関連付けられている届先情報と、を含む配送情報を、それらに関連付けられている無人運搬ロボット識別情報で識別される無人運搬ロボットに送信する配送命令送信部と、を有する配送命令装置をさらに有し、無人運搬ロボットは、配送情報を受信する配送情報受信部と、受信した配送情報に基づいて複数個所を巡回するように運行制御する巡回配送制御部と、を有する物流システムである。
この配送命令装置は、荷物集積センターにあってもよいし、荷物保管所にあってもよいし、これらとは独立に設けられていてもよい。また、一つの機能を有する配送命令装置は、その機能部分に分かれて分散配置され、全体で一つの配送命令装置として機能するように設計され運用されてもよい。
【0044】
<実施形態3 各構成の説明>
本実施形態の物流システムは、実施形態2を基本として実施形態2の特徴に加えて、「配送命令装置300」が存在し、そこでは「配送情報保持部0311」と「配送命令送信部0312」の機能を有する。また、無人運搬ロボットにおいては、配送情報に0301含まれる「インデックス情報」及び「届け先情報」を少なくとも受信する「配送情報受信部0321」と「巡回配送制御部0322」が存在する。
以下、各機能について説明する。
【0045】
<実施形態3 各構成要件の説明 配送命令装置>
配送命令装置は、配送命令保持部と配送命令送信部とを少なくとも有する。以下、配送命令装置が有している上記二つの構成に関して順に説明する。
≪実施形態3 各構成の説明 配送命令装置の配送情報保持部≫
「配送情報保持部」は、配送命令を保持する。ここで「配送命令」とは、「インデックス情報」、「届先情報」、「無人運搬ロボット識別情報」とを関連付けた情報である。なお、これらに加えて荷物保管所の識別情報が関連付けられていてもよい。これは無人運搬ロボットが自身の識別情報とこの荷物保管所識別情報とを関連付けて保持し、その関連付けられている荷物保管所識別情報を含む又は関連付けられている配送情報に関してのみ無人運搬ロボットは情報処理をするように構成するとより確実な情報処理が可能となるからである。「インデックス情報」は、無人運搬ロボットに対してピックアップすべき荷物が収納されている荷物保管所のインデックス型荷物置場のインデックスを示す情報である。「届先情報」とは、そのインデックス情報で示されるインデックスの位置の荷物置場の荷物を届ける届け先を示す情報である。経度緯度情報や、これに置き換えられるGPS情報、準天頂衛星「みちびき」によって与えられる位置情報などが相当するがこれに限定されるものではない。例えば地形情報や、ランドマーク情報、矢の的のようなアイコンなどがこれらに代わってあるいはこれらに加えて利用されるように構成されていてもよい。「無人運搬ロボット識別情報」とは、上記インデックス情報で示される位置に収納されている荷物を上記届先情報で特定される届先に配送すべき無人運搬ロボットを識別する情報である。これらの情報は、注文データベースに受付けられる注文情報(注文主特定情報、注文品特定情報、注文品注文数量、届先特定情報などのいずれか一以上から構成されるがこれらに限定されるものでなくこれ以外の情報を含むことを妨げない。)を起源として生成される情報である。なお、原則として荷物の運搬は無人運搬ロボットの単位で実行されるが、特別に大きな荷物などの場合には、一の荷物を複数の無人運搬ロボットで運搬するような場合もある。この場合には、一の配送情報の中に複数の無人運搬ロボット識別情報が含まれうる。そして、それぞれの無人運搬ロボットにゆだねられる荷物の運搬役割などもこの配送情報に含まれるように構成されてもよい。配送命令装置は、この注文情報と、その届先の領域を管轄している荷物保管所の情報に基づいて、その届先の荷物保管所のコンピュータなどから無人運搬ロボットの稼働状況や稼働スケジュールを取得し、適切な利用すべき無人運搬ロボットの選定を行う。この選定によって、上記注文品を届先に配送すべき無人運搬ロボットの識別情報が取得される。この取得された無人運搬ロボット識別情報を、関連付けた情報が配送情報として保持される。配送情報に付随して、運搬スケジュール情報などが生成され、運搬車の運航スケジュールや、運搬車による荷物の運搬先である荷物保管所の保管インデックス情報などが生成されるとともに、自動的に利用される無人運搬ロボットの運航スケジュールもフィックスされる。なお、これらのスケジュールは、ダイナミックに変更されるように構成されるのが好ましい。逐次的に受付けられる後発の運搬されるべき荷物の量や、種類に応じて柔軟な計画変更、最適化がされるべきだからである。これらは、天候の予測情報や、届け先の荷物の必要性の大小、届け先の希望最終届け時間などに応じて最適化される。これらの天候に関する情報や、前記必要性の大小や、前記希望最終届け時間などに関しては、インターネットや、各種情報サービス機関、届け先の住人等が利用するスマートフォンからの情報入力などに基づいて取得される。
【0046】
図3では、実施形態3の機能的構成のうち、配送情報保持部に収納されている情報のうち「配送情報0301」の内容が示されている。図のように、「配送情報」とは、インデックス情報0302と届先情報0303と無人運搬ロボット識別情報0304とを少なくとも含み、それらを関連付けた情報である。ここで「インデックス情報」とは、無人運搬ロボットに対してピックアップすべきインデックス型荷物置場のインデックスを示す情報をいう。ここで「届先情報」とは、インデックス情報で示されるインデックスの位置の荷物置場の荷物を届ける届け先を示す情報をいう。ここで「無人運搬ロボット識別情報」とは、荷物を運搬すべき無人運搬ロボットを識別する情報をいう。
【0047】
≪配送命令送信部≫
「配送命令送信部0312」とは、配送情報保持部に保持されるインデックス情報と、これに関連付けられている届先情報とを含む配送情報を、それに関連付けられている無人運搬ロボット識別情報で識別される無人運搬ロボットに送信する機能である。無人運搬ロボット識別情報は複数の文字列から構成され、各桁がその無人運搬ロボットの属性を示すように構成されていてもよい。無人運搬ロボット運用サーバなどにおいて無人運搬ロボットの検索をする際に高速に処理が可能となるからである。例えば最初の二けたは無人運搬ロボットの種類、次の三桁は無人運搬ロボットの機能、次の四けたは無人運搬ロボットの製造番号などと構成することができる。なお、割当はこれに限定されず、順位も限定されなくてもよい。
【0048】
図3では、実施形態3の機能的構成のうち、配送命令送信部に収納されている情報のうち「無人運搬ロボット識別情報」の内容が示されている。図のように、「無人運搬ロボット識別情報」とは、インデックス情報と届先情報とを少なくとも含むものである。これらは、関連付けられて保持されており、全体で「配送情報」を構成している。「インデックス情報」と「届先情報」の定義は、前述のとおりである。配送命令送信部では、この「インデックス情報」と「届先情報」を含む配送情報について、それに関連付けられている無人運搬ロボット識別情報で識別される無人運搬ロボットに送信するという機能を果たす。これにより、荷物保管所に常駐管理する者がいなくとも、通信手段を用いることにより、無人運搬ロボットに対して、届先情報や対象の荷物について指定することができることとなる。
【0049】
<実施形態3 無人運搬ロボット>
前記のように、本実施形態における無人運搬ロボットは、配送情報受信部0321と、巡回配送制御部0322とを有する。
【0050】
「配送情報受信部」とは、配送情報を受信する機能である。これは前記配送命令装置の配送命令送信部にて送信された配送命令(インデックス情報と届先情報を含む。)を受信するという機能である。これにより、後記する巡回配送の制御に用いられる情報を無人運搬ロボットにおいて受信することができ、それに基づいて、正しく荷物を届け先に配送することができるようになるので、巡回配送の前提となる機能である。
【0051】
「巡回配送制御部」とは、受信した配送情報に基づいて複数個所を巡回する機能である。配送情報にはインデックス情報及び届先情報が含まれているので、配送情報に基づいて制御つまりコントロールして巡回をさせることにより、正しい運搬を実現することができる。巡回は原則的に一筆書きとなるように経路を設定するのが好ましく、受信した配送情報に基づいて一筆書きとなる経路を自動生成するように無人運搬ロボットが構成されていることが好ましい。なお、無人運搬ロボットには少なくとも自己が管轄する領域に関しては何らかの地理的情報を保持していることが前提となる。原則的には自律航行できるように無人運搬ロボットは構成されていることが好ましい。ただし、何らかの不具合や、想定外の出来事が発生した場合には中央側に助けを求めて経路指示を仰ぐように構成されていることが好ましい。例えば中央側は衛星画像などに基づいて普段は利用しない経路を設定して無人運搬ロボットに指示するような構成が考えられる。
【0052】
<実施形態3 ハードウェア構成>
本実施形態における物流システムのハードウェア構成について説明する。
本発明の配送命令装置及び無人運搬ロボットの一部構成は、コンピュータまたは組み込みシステム上で動作するプログラムとして構成可能である。
配送命令装置には、無人運搬ロボットに対してピックアップすべきインデックス型荷物置場のインデックスを示す情報であるインデックス情報と、そのインデックス情報で示されるインデックスの位置の荷物置場の荷物を届ける届け先を示す情報である届先情報と、その荷物を運搬すべき無人運搬ロボットを識別する情報である無人運搬ロボット識別情報と、を関連付けた情報である配送情報を保持する「配送情報保持プログラム」と、配送情報保持部に保持されるインデックス情報と、これに関連付けられている届先情報とを含む配送情報を、それに関連付けられている無人運搬ロボット識別情報で識別される無人運搬ロボットに送信する「配送命令送信プログラム」と、があり、無人運搬ロボットには、配送情報を受信する「配送情報受信プログラム」と、受信した配送情報に基づいて複数個所を巡回する「巡回配送制御プログラム」とがあり、各プログラムは、
図23に示す不揮発性メモリ内に記録され、適宜メインメモリにロードされてからCPUにより読み出されて実行される。
【0053】
<実施形態3 運用方法、動作方法、動作プログラム>
以上を運用方法若しくはプログラムとして実現する場合も本発明の範囲内である。すなわち、実施形態1又は2で説明した特徴に加えて、無人運搬ロボットに対してピックアップすべきインデックス型荷物置場のインデックスを示す情報であるインデックス情報と、そのインデックス情報で示されるインデックスの位置の荷物置場の荷物を届ける届け先を示す情報である届先情報と、その荷物を運搬すべき無人運搬ロボットを識別する情報である無人運搬ロボット識別情報と、を関連付けた情報である配送情報を保持する配送情報保持ステップと、配送情報保持ステップにて保持されるインデックス情報と、これに関連付けられている届先情報と、を含む配送情報を、それに関連付けられている無人運搬ロボット識別情報で識別される無人運搬ロボットに送信する配送命令送信ステップと、を有する配送命令ステップをさらに有し、 無人運搬ロボットは、配送情報を受信する配送情報受信ステップと、受信した配送情報に基づいて複数個所を巡回するように運行制御する巡回配送制御ステップと、を有する物流システムの運用方法やプログラムも本発明の範囲内である。各ステップの内容については、前記の各構造の説明と同様である。
【0054】
<実施形態4 主に請求項4に関する 概要>
実施形態4は、実施形態3の特徴に加えて、配送命令送信部は、配送情報として、これに含まれる届先情報で示される届け先の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を含めた配送情報を無人運搬ロボットに送信する巡回方法情報付配送情報送信手段を有する物流システムである。
【0055】
<各構成の説明>
本実施形態の物流システムは、実施形態3に加えて、「配送命令装置」における「配送命令送信部」が巡回方法情報付配送情報送信手段を有する。
以下、その機能について説明する。
【0056】
≪配送命令送信部 巡回方法情報付配送情報送信手段≫
「配送命令送信部」とは、配送情報保持部に保持されるインデックス情報と、これに関連付けられている届先情報とを含む配送情報を、それに関連付けられている無人運搬ロボット識別情報で識別される無人運搬ロボットに送信する機能である。そして、本実施形態では、配送情報として、これに含まれる届先情報で示される届け先の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を含めた配送情報を無人運搬ロボットに送信する「巡回方法情報付配送情報送信手段」を有している。
【0057】
巡回方法情報とは、配送効率が高くなるルートを示す情報である。無人運搬ロボットは、前記のように、複数の届け先に対する配送を行うところ、その巡回ルートによっては、例えば通行した道を逆走して戻るなどを繰り返すことにより迂遠なルートになり兼ねない。それでも、最終的には正しく配送はされるのであるが、さらに、正しいだけではなく効率的に配送できれば、無人運搬ロボットが消費するエネルギーも極力抑えられ、かつ配送時間の短縮にもつながる。そのため、配送先と荷物を関連付けた情報で制御するのみならず、その巡回ルートについての情報も生成ないし取得して、その情報を含めて無人運搬ロボットに送信することが望ましい。また配送効率を高めるという観点の他に、荷物を下ろす順番によって荷物の荷重重心が偏るような場合にはできるだけ偏りが少なくなるルートを選択することも考えられる。飛行又は走行距離を最短にする観点、荷物の荷重重心が偏らないようにする観点が重要であるが、さらに、届先の荷物受取タイミングが指定されているような場合には、いわゆるジャストインタイム(受取時刻に合わせた配送)に荷物を下ろせるように運行ルートを選択することも必要である。さらに、移動範囲が広大で移動範囲内で異なる天候予想がされるような場合にはできるだけ悪天候の領域を避けるように移動することが好ましい。従って、天気予報の情報なども利用して配送ルートを決定するようにすると好ましい。特に飛行ドローンの場合には、雨や風、落雷確率などによって飛行に大きな影響が出るために悪天候の領域を外して運行するようにルート決定をすることが好ましい。
【0058】
前述の
図5を用いて説明すると、荷物集積所(基地)に存在する無人運搬ロボットが「山田家 ID1240」や「鈴木家 ID1245」を巡回して荷物を配送することとした場合、図のように、まずは山田家に配送し、次に鈴木家に配送し、その後は図のとおりの巡回ルートを辿ることによって最も効率的な巡回を実現することができる。
【0059】
「巡回方法情報付配送情報送信手段」については、このように距離などの地理的な要素に基づいて巡回方法を決定する方法もあれば、その時点での渋滞などの交通情報等から最も効率的なルートを判断することも考えられる。
【0060】
<実施形態4 ハードウェア構成>
本実施形態における物流システムのハードウェア構成について説明する。前記の実施形態と重複する部分については省略する。
【0061】
配送命令装置には、「配送命令送信プログラム」があるところ、その中には、配送情報として、これに含まれる届先情報で示される届け先の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を含めた配送情報を無人運搬ロボットに送信する「巡回方法情報付配送情報送信サブプログラム」が存在している。配送命令送信プログラムと巡回方法情報付配送情報送信サブプログラムは、
図23のコンピュータの基本構成で示す、不揮発性メモリ内に記録され、適宜メインメモリにロードされCPUにより読み出されて実行される。
【0062】
<実施形態4 運用方法、動作方法、動作プログラム>
以上を運用方法若しくはプログラムとして実現する場合も本発明の範囲内である。すなわち、実施形態3で説明した特徴に加えて配送命令送信ステップは、配送情報として、これに含まれる届先情報で示される届け先の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を含めた配送情報を無人運搬ロボットに送信する巡回方法情報付配送情報送信サブステップを有する物流システムの運用方法やプログラムも本発明の範囲内である。各ステップの内容については、前記の各構造の説明と同様である。
【0063】
<実施形態5 主に請求項5に関する 概要>
実施形態5は、実施形態3又は4の特徴に加えて、前記巡回配送制御部は、受信した配送情報に基づいて複数個所の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を生成する巡回方法情報生成手段をさらに有する無人運搬ロボットであることを特徴とする物流システムである。
【0064】
<各構成の説明>
本実施形態の物流システムは、実施形態1又は2に加えて、「無人運搬ロボット」における「無人運搬ロボットの巡回配送制御部」が巡回方法情報生成手段を有する。
以下、その機能について説明する。
【0065】
≪巡回配送制御部 巡回方法情報生成手段≫
「巡回配送制御部」とは、受信した配送情報に基づいて複数個所を巡回する機能である。そして、本実施形態では、受信した配送情報に基づいて複数個所の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を生成する「巡回方法情報生成手段」を有している。
【0066】
巡回方法情報は、実施形態4の説明で述べたとおりである。実施形態4では、その巡回方法情報を配送命令装置にて生成又は取得していたのに対して、本実施形態では巡回方法情報を無人運搬ロボットにて生成するというところに特徴がある。それによる効果は、基本的には、実施形態4で述べたとおりであるが、基本的には荷物集積センターという膨大な荷物について管理する場所が管理する実施形態4に比べて、無人運搬ロボットは当該ロボットが配送する届け先の巡回方法を計算すればよいので、1機あたりにかかる容量や負荷は分散されることとなる。また、荷物集積センターにて通信トラブル等が生じた場合にも、それによる障害を最小限にとどめることもできる。
【0067】
<実施形態5 ハードウェア構成>
本実施形態における物流システムのハードウェア構成について説明する。前記の実施形態と重複する部分については省略する。
【0068】
無人運搬ロボットには、「巡回配送制御プログラム」があるところ、その中には、受信した配送情報に基づいて複数個所の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を生成する「巡回方法情報生成サブプログラム」が存在している。巡回配送制御プログラムと巡回方法情報生成サブプログラムは、
図23に示すコンピュータのハードウェア構成に示す不揮発性メモリ内に記録され、適宜メインメモリにロードされてからCPUにより読み出されて実行される。
【0069】
<実施形態5 運用方法、動作方法、動作プログラム>
以上を運用方法若しくはプログラムとして実現する場合も本発明の範囲内である。すなわち、実施形態3又は4で説明した特徴に加えて、無人運搬ロボットの巡回配送制御ステップは、受信した配送情報に基づいて複数個所の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を生成する巡回方法情報生成サブステップをさらに有する無人運搬ロボットであることを特徴とする物流システムの運用方法やプログラムも本発明の範囲内である。各ステップの内容については、前記の各構造の説明と同様である。
【0070】
<実施形態6 主に請求項6に関する 概要>
実施形態6は、実施形態1から5のいずれか一の特徴に加えて、無人運搬ロボットは、動力源に対するエネルギー蓄積部と、エネルギー蓄積部に対して外部からエネルギーの供給を受けるエネルギー供給受部と、をさらに有し、荷物保管所は、無人運搬ロボットのエネルギー供給受部に対してエネルギーを供給するエネルギー供給装置をさらに有する物流システムである。
【0071】
<各構成の説明>
本実施形態の物流システムは、実施形態1から5のいずれか一の特徴に加えて、
図4に示すように、「無人運搬ロボット」が、「エネルギー蓄積部0422」と「エネルギー供給受部0421」を有する。また、「荷物保管所」が、「エネルギー供給装置0411」を有する。
以下、各機能について説明する。
【0072】
<実施形態6 無人運搬ロボット>
無人運搬ロボットは、インデックス情報と届先情報を少なくとも含む「配送情報」を配送命令送信部から受信する。その受信するのが、配送情報受信部である。そして、無人にて複数の届け先に配送を行うという具合である。これらを機械によって行うのであるから、当然、エネルギー0401が必要であり、継続的な運搬を考えると、エネルギーの供給を受けて、それを蓄積する必要がある。そのため、エネルギーの供給を受けるための「エネルギー供給受部」と、動力源0425に対するエネルギーを蓄積する「エネルギー蓄積部」が存在する。
【0073】
≪エネルギー供給受部≫
「エネルギー供給受部」とは、エネルギー蓄積部に対して外部からエネルギーの供給を受ける機能である。
エネルギーとしては、電力が最も一般的である。この場合、エネルギー供給受部は、非接触であることが好ましく、例えば、非接触充電のレシーバとして構成されることが考えられる。
【0074】
≪エネルギー蓄積部≫
「エネルギー蓄積部」とは、動力源に対するエネルギーを蓄積する機能である。エネルギーが電気の場合、リチウムイオン電池が一般的である。無人運搬ロボットが燃料電池を搭載している場合は、水素であってもよい。 水素はガスの場合と液体の場合が考えられるが、エネルギー蓄積部としては、タンクの構造が考えられる。この場合、エネルギー供給受部から供給される液体や気体をタンクに格納してもよいし、エネルギー供給受部でタンクごと交換するような構成にしても良い。
【0075】
<実施形態6 荷物保管所(エネルギー供給装置)>
前記のようなエネルギー供給受部での「外部」とは、基本的には、安定したエネルギー供給を受けることが望ましい。無人運搬ロボットは、毎回異なる届け先に荷物を配送するものであるが、荷物の収集場所である「荷物保管所」は特定されている(1つに限らないが、必ず、いずれかの荷物保管所にはいくことになる。)。そして、荷物保管所は、基本的には、本システムを運用する側の管理に属する空間である。そこで、安定して確実にエネルギー供給を実現しようとした場合には、荷物保管所にてエネルギー供給を実現することが望ましい。
荷物保管所に存在する「エネルギー供給装置」とは、無人運搬ロボットのエネルギー供給受部に対してエネルギーを供給する装置である。その背景には、上記のような事情がある。また、荷物保管所は、無人で運用されているので人手を介さずに、エネルギー供給を受ける必要がある。従って、荷物の配送を行わない時間は、無人運搬ロボットは格納庫に格納されたり、発着ポートに停止したりしていることが考えられるが、この時、非接触により充電が行われるように構成しておくことが好ましい。もちろん、人手を介す必要がなく着脱可能な構成であれば、接触式の充電でも構わない。また、電気に限らず水素ガスやガソリンなどの液体燃料をエネルギーとして用いても構わない。
【0076】
図12はエネルギー供給装置と、そこからエネルギー供給を受ける無人運搬ロボットの一例を示す図である。無人運搬ロボット1200はドローンであり、エネルギー蓄積部であるバッテリーパック1201を内蔵し、エネルギー供給受部であるレシーバ1202が下部に配置してある。荷物を運搬中でないドローンは、荷物保管所に設置された格納場所1210に自ら着地し、格納状態となる。この時、格納場所に設置された、エネルギー供給装置である送電ユニット1211から電磁誘導により送電される。この時ドローンでは、レシーバで電力を受け、バッテリーパックを充電する。このように、無人運搬ロボットは使用されないときは、決まった格納場所に自ら停止し、充電状態となり、次の運搬に備える。
【0077】
<実施形態6 運用方法、動作方法、動作プログラム>
以上を運用方法若しくはプログラムとして実現する場合も本発明の範囲内である。すなわち、実施形態1から5のいずれか一で説明した特徴に加えて、
無人運搬ロボットは、動力源に対するエネルギー蓄積ステップと、エネルギー蓄積ステップで利用できるように外部からエネルギーの供給を受けるエネルギー供給受ステップとを有し、荷物保管所は、無人運搬ロボットのエネルギー供給受ステップ時に、エネルギーを供給するエネルギー供給ステップをさらに有する物流システムの運用方法やプログラムも本発明の範囲内である。各ステップの内容については、前記の各構造の説明と同様である。
【0078】
<実施形態7 主に請求項13に関する 概要 全体像>
荷物保管所を基地とし、荷物保管所へ荷物回収先から荷積みして荷物保管所に運搬する無人運搬ロボットであって、一度にM個(N>M≧2)の荷物を運搬可能で、複数個所を巡回して定められた回収先から荷物を回収する無人運搬ロボットと荷物集積センターへ運搬するために、回収された荷物を運搬車に引き渡すためのN個の荷物保が管可な能荷物保管所であって、無人運搬ロボットから回収した荷物を運搬車に引き渡すための、保管する人が常勤管理しない荷物保管所と、荷物保管所から荷積みして荷物集積センターに運搬するために一度にN個以上の荷物を運搬する運搬車と、運搬車が運搬する荷物を集積する機能を有する、人が常勤管理する荷物集積センターと、からなる無人運搬ロボットを利用した物流システムである。これにより、複数の荷物回収先からは無人運搬ロボットで荷物保管所に荷物を集め、荷物の数がまとまったら運搬車で荷物集積センターにまとめて運んで、回収した荷物を集積するので、効率的な荷物回収をおこなうことができる。
【0079】
図13は、荷物の回収を目的とした物流システム1300の構成を示す機能ブロック図であり、荷物回収先1303から無人運搬ロボット1304で一度にM個の荷物を収集して一旦荷物保管所に集めてから、運搬車1305で一度にN個以上の荷物を荷物集積センター1301に運ぶ。従って、荷物集積センターを中心として、そこが担当する顧客から荷物を回収して、荷物集積センターに集積されるという流れである。
【0080】
<実施形態7 概要 回収命令の流れ>
お客様(荷物回収先)から荷物の回収依頼があるとその回収依頼は一旦その荷物回収先の地域担当の荷物集積センターに配信される。お客様からの荷物の回収依頼は、例えばウエブページなどから受付けられるように構成され、ウエブページに受付けられた情報は荷物の情報管理を一元的に行っている荷物情報収集センターなどの荷物情報サーバ装置にて管理される。荷物の回収の受付のウエブページには、所定の記入欄があり、未登録のお客様は、初回に住所や同居人の氏名、電話番号、メールアドレスなどを入力させる。そしてユーザー名とパスワードなどを割り当てる。その後は、ユーザー名とパスワードなどでアクセスすると、それに関連づけて保持されている住所や氏名をコンピュータが取得する。そして、アクセスが荷物の回収依頼である場合には、登録されている住所を管轄する荷物集積センターを荷物集積センターデータベースから取得して、その荷物集積センターに関連付けられているコンピュータに対してその荷物回収依頼を出力するように構成する。回収依頼には、回収先のお客様ID、届け先のお客様ID、荷物の種別、重量、サイズなどの情報が含まれ、注文IDで管理される。荷物集積センターは、回収依頼を受けると、回収先が含まれる荷物保管所に対して、回収先のお客様IDを含む荷物の回収情報を送信する。荷物の回収情報を受けた荷物保管所は、お客様IDに対応した回収位置情報(お客様の自宅等)と、保管場所に関する情報、例えば荷物保管所のインデックス情報や、インデックスを利用可能な時間情報を関連づけて、無人運搬ロボットに対して回収命令を発行する。この明細書を通じて共通であるが、各保管所は、自身のインデックス型荷物保管所の各インデックスの利用スケジュールを保持していてもよい。ある時間帯には、所定のインデックスの荷物保管場所はこれから配送される荷物の配送待ちで占有されているが、それから所定時間経過後は、無人運搬ロボットによってそのインデックスの位置の荷物は搬送されるので、そのインデックスの位置は非占有となる。このように各インデックスの占有、非占有を時間管理して、無人搬送ロボットに対して各インデックスの位置の利用を命令するように構成することができる。なお、このスケジューリングは、荷物保管所のコンピュータで管理されるのでなく、荷物保管所を管轄とする各集積センターのコンピュータが管理してもよいし、あるいは、各集積センターの全体を管理するセンターサーバが管理するように構成してもよい。この利用スケジュールは、運搬車や無人運搬ロボットの活動状況や、運搬車や、無人運搬ロボットの運航領域(例えば道路や、空路)の混雑状況や、天候、災害状況などによっても適切に生成されるようにコンピュータで処理される必要がある。従って、この利用スケジュールを生成するコンピュータは、これらの情報を常時収集してスケジュールを常に正確かつ最適化するように処理を行う。無人運搬ロボットは、回収命令に従い、回収先から荷物を回収してきて、指示された保管場所に保管する。保管された荷物はまとめて、荷物集積センターに送られ集積される。このように、お客様からの回収依頼に基づいて、荷物を効率的に荷物集積センターに集積することができる。
なお、集積された荷物は、荷物集積センターから届け先に対応した荷物集積センターに送られるようにすれば良い。この時、送り元荷物集積センターは、少なくとも荷物に関連付けた届け先のお客様IDを届け先が属する荷物集積センターに運搬情報として送る。届け先の荷物集積センターでは、運搬情報に基づいて、実施形態1から6の物流システムで届け先まで荷物を届ければ良い。
【0081】
<実施形態7 各構成の説明 荷物集積センター>
本実施形態では、いくつかある荷物保管所からN個以上まとめて送られてきた荷物を、荷物集積センターでは、集めて保管する。例えば、届け先ごとに、まとめて保管するようにすると良い。こうすることで、以降の荷物の配送が効率的に行える。なお、この荷物の仕分けは、自動の仕分け装置により行ってもよいし、人手を介して行うようにしても良い。
【0082】
<実施形態7 各構成の説明 荷物保管所>
荷物保管所は、荷物回収先から無人運搬ロボットが回収してきた荷物を一旦集めて、大量の荷物を運搬車で、荷物集積センターに運ぶ。保管所は無人で運用されているので回収した荷物の運搬車への積み込みは自動で行われるように構成されている。例えば、荷物置場はそのままコンベアになっており、運搬車が積み込み場所に停止したら、コンベアにより荷物が積み込み場所まで荷物が移動し、そのまま積み込まれるように構成すれば良い。ところで、荷物の配送と同様に、荷物の回収先も点在している。また、荷物の回収の場合お客様側で運搬のニーズが発生した場合に回収依頼が発生するので、回収の依頼が読みづらい。また、配送よりも回収のニーズのほうが少ない傾向にあり、荷物の回収依頼があるたびに運搬車で回収に回るのは非常に効率が悪くなる。
従って、荷物回収先からの回収は、無人運搬ロボットにより運搬し、荷物保管所に一旦集めて、荷物をまとめて運搬車で運搬することで荷物回収の効率化が図れる。
【0083】
<実施形態7 各構成の説明 運搬車>
運搬車は、
図6に示すような実施形態1の運搬車と同様の構成で構わない。
荷物保管所に集められた荷物を一度にN個以上荷積みして、荷物集積センターに運ぶ。実施形態2では荷物集積センターで積み込まれた荷物を、荷物保管所まで運んで、自動でインデックス荷物置場に置いていく構成であったが、すべての荷物を下ろした後に、回収された荷物を積み込むようにすれば良い。こうすることで、運搬車は常に荷物を積んだ状態で、荷物集積センターと荷物保管所の間を行き来するので効率的な運用が可能になる。
【0084】
<実施形態7 各構成の説明 無人運搬ロボット>
本実施形態の無人運搬ロボットは、荷物回収依頼があった荷物回収先から荷物を回収して、荷物保管所の荷物置場まで自動で運搬する。構成としては、実施形態1から7で説明した構成と同様で良い。ただし、回収方法に関しては様々な方法が考えられる。一番単純な方法としては、
図15に示すように、回収先1501の荷物置場1502の位置を予め決めて置き、荷物置場を示すターゲットマークを設置しておく。無人運搬ロボット1504はこのターゲットマーク上の荷物1503を回収すべき荷物と認識しピックアップすればよい。また、荷物に認識用のラベルを貼っておくことで、無人運搬ロボットがカメラでラベルを認識したり、電波を発生するタグを貼り付けておき、無人運搬ロボットが電波を受信して認識したりするなど様々な方法が考えられるが、これに限定されるものではない。回収すべき荷物が、無人運搬ロボットで認識できるようになっていれば、本発明の範囲に含まれる。
【0085】
<実施形態7 運用方法、動作方法、動作プログラム>
以上が本発明の構造であるが、これを運用方法若しくはプログラムとして実現する場合も本発明の範囲内である。すなわち、荷物保管所を基地とし、荷物保管所へ荷物回収先から荷積みして荷物保管所に運搬する無人運搬ロボットであって、一度にM個(N>M≧2)の荷物を運搬可能で、複数個所を無人運搬ロボットにより巡回して定められた回収先から荷物を回収する荷物回収ステップと、荷物集積センターへ運搬するために、回収された荷物を運搬車に引き渡すためのN個の荷物保が管可な能荷物保管所であって、無人運搬ロボットから回収した荷物を運搬車に引き渡すための、保管する人が常勤管理しない荷物保管ステップと、 荷物保管所から荷積みして荷物集積センターに運搬するために一度にN個以上の荷物を運搬車により運搬する運搬ステップと、運搬車が運搬する荷物を集積する機能を有する、人が常勤管理する荷物集積場所に集積する荷物集積ステップと、からなる無人運搬ロボットを利用した物流システムの運用方法やプログラムも本発明の範囲内である。各ステップの内容については、前記の各構造の説明と同様である。
【0086】
<実施形態8 主に請求項14に関する 概要>
実施形態8は、実施形態7の特徴に加えて、荷物保管ステップは、N個の荷物を収容可能な、荷物回収先と一対一に対応可能なインデックス情報で識別されるインデックス型の荷物置場であり、インデックスに従って無人運搬ロボットが回収した荷物を保管可能にする、インデックス型荷物置場を有する物流システムある。回収してきた荷物を回収先に対応した荷物の置場所が指示されるので、無人運搬ロボットは指示されたとおりに荷物を置くだけで良い。荷物の置き方は後工程の集配が効率的になるように指示すれば、効率的な物流システムとして運用することができる。
【0087】
<実施形態8 各構成の説明 インデックス型荷物置場>
インデックス型荷物置場は、複数の荷物置場が整列して配置されており、各荷物置場にはインデックス位置が割り当てられている。荷物置場は各々で無人運搬ロボットが荷物を載置可能な構成になっている。実施形態2では
図10に示すように、無人運搬ロボットがピックアップ可能な構成となっていたが、同様の構成で構わない。ピックアップできるということは、載置も可能なことを意味しているからである。回収先とインデックス位置の具体例に関しても、
図10でインデックス位置と届け先の対応関係を詳細に説明したので省略する。届け先が回収先に変わっただけなので同様の考え方で構わない。
【0088】
無人運搬ロボットは回収してきた荷物を、回収先と対応付けられたインデックス位置で示された荷物保管場所に載置する。荷物保管場所は、荷物が置かれてなければどこでも自由に指定できるので、回収先とインデックス位置の割り付けに関しては様々な方法が考えられる。例えば、届け先に基づいて保管場所を決定するようにしても良い。この場合、届け先の属する荷物集積センターに応じてインデックスの列を決めれば、届け先ごとに荷物がまとめられるため、荷物集積センターでの届け先の仕分けが効率的になる。また、荷物のサイズや重さでインデックス位置を決めることで運搬車への荷物の積み込みが効率的に行えるようになる。例えば、重い荷物が先に運搬車に積み込まれる保管位置になるようにインデックスを指定すれば重い荷物が下に積まれるし、荷物のサイズごとにまとめて保管するようにすると、積み込みスペースが有効に使えることが考えられる。他にも様々なインデックスの割り付け方法が考えられ、前述の方法に限定されるものではない。また、インデックス荷物置場は、実施形態2の配送用のインデックス荷物置場と兼用しても良い。
【0089】
<実施形態8 運用方法、動作方法、動作プログラム>
以上が本発明の構造であるが、これを運用方法若しくはプログラムとして実現する場合も本発明の範囲内である。実施形態7で説明した特徴に加えて、荷物保管ステップは、N個の荷物を収容可能な、荷物回収先と一対一に対応可能なインデックス情報で識別されるインデックス型の荷物置場であり、インデックスに従って無人運搬ロボットが回収した荷物を保管可能にする、インデックス型荷物保管サブステップ物流システムの運用方法やプログラムも本発明の範囲内である。各ステップの内容については、前記の各構造の説明と同様である。
【0090】
<実施形態9 主に請求項15に関する 概要>
実施形態9は、実施形態8を基本としてこれらの特徴に加えて、無人運搬ロボットに対してインデックス情報で示されるインデックスの位置の荷物置場へ載置すべき荷物を回収する回収先を示す情報である回収情報と、回収した荷物を載置すべきインデックス型荷物置場のインデックスを示す情報であるインデックス情報と、その荷物を回収すべき無人運搬ロボットを識別する情報である無人運搬ロボット識別情報と、を関連付けた情報である回収情報を保持する回収情報保持部と、回収情報保持部に保持されるインデックス情報と、これに関連付けられている回収先情報と、を含む回収情報を、それに関連付けられている無人運搬ロボット識別情報で識別される無人運搬ロボットに送信する回収情報送信部を有する回収命令装置をさらに有し、無人運搬ロボットは、回収情報を受信する回収情報受信部と、受信した回収情報に基づいて複数個所を巡回するように運行制御する巡回回収制御部とを有する物流システムである。
これにより、無人運搬ロボットは、回収命令装置からの回収命令に基づいて、複数の荷物回収先を巡回して回収し、荷物保管所に戻ってくる。回収した荷物はそれぞれインデックスで指定された保管位置に保管する。無人運搬ロボットは、1回の運行で複数個所の荷物を回収するので、1回の運行で1個だけ回収するよりも非常に効率的な運用ができる。
【0091】
<実施形態9 各部の構成 回収命令装置>
図18Aは回収命令装置1800の機能の構成を示すブロック図である。回収命令装置は、回収情報保持部1810と、回収情報送信部1820とを有し、配送情報1801から取得した情報に基づいて、無人運搬ロボットに回収命令として回収情報1805を送信する。配送情報は少なくとも回収先に係る回収先情報1803と保管場所を示すインデックス情報1802を含み、回収情報を生成する。この回収情報には、回収先が複数あり、回収順にリストとして並んでいる。インデックス生成部1830は、配送情報から適切な荷物保管位置を決定し、対応するインデックスを応答する。例えば、配送情報の届け先に基づいて、届け先の属する荷物集積センターごとにまとまるようにインデックスを決めるなどの方法が考えられる。無人ロボット管理部1840は、荷物保管所に割りついている、無人運搬ロボットすべての状態を把握し、最適な無人運搬ロボットを選択し識別番号を応答する。最適との判断は、例えば、運搬中でないこと、エネルギーの補給状態に問題がないことなどが判断条件となるが、これに限定されるものではなくほかの判断要素があれば用いて構わない。
【0092】
≪回収情報保持部≫
回収情報保持部は、少なくとも回収先のお客様IDを含む回収先情報と、インデックス生成部を経由して荷物保管位置のインデックスを取得し保持する。さらに無人運搬ロボット管理部から、回収に使用する無人運搬ロボットの情報を取得し、回収先情報と関連付ける。
【0093】
ここで荷物の回収に係る情報の構成の一例を説明しておく。
図16は、注文データベース1601と各部でのデータの流れを示したデータフロー図である。注文データベースは、少なくとも、注文IDと回収先である注文者IDと、届先IDと品種で構成されている。注文IDは荷物1個ごとに割り当てられ、
図16では101から103で示す部分が対応している。注文IDが荷物1個ごとに割り当てられるということは、注文IDで荷物が識別できることを意味している。注文者のIDは、お客様ごとに割り当てられたユニークな番号である。図の例では4桁の数字で示しているが、例えば、最上位は(1020では1)荷物集積センターに対応した番号、2桁目(1020では0)は荷物保管所に対応した番号、下位2桁(1020では20)は、荷物保管所に対応するエリア内のお客様のユニークな番号としている。こうすることで、注文者または届け先の担当となる荷物集積センター及び、荷物保管所がすぐに解る。次に配送情報は、注文データベースのうち少なくとも注文IDと届先IDを取得すればよい。
図16の例では、品種情報も含んでいるが、このほかにも、荷物のサイズや重量の情報があっても良い。さらに、配送情報は、届先IDからわかる荷物集積センターごとに分けられてから、対応する配送情報1621、1622、1623を送信する。このように、注文データベースから必要な情報をピックアップして、届け先の荷物運搬センターが分かるので、荷物と配送情報を対応して送ればよい。
図16の例では、注文ID 101は荷物集積センター5へ、注文ID 102は荷物集積センター7へそれぞれ送られる。注文ID 103は荷物集積センター間の移動はないため、そのまま配送工程に送られる。
【0094】
図16に示す例では、回収情報1610は、注文ID、回収先お客様ID、インデックス情報、無人運搬ロボット識別情報で構成されている。例えば、注文ID 101の荷物は、お客様IDが1020の回収先からインデックスB5の保管場所に、無人運搬ロボットの001号機を使用して回収することが回収情報として保持されている。また、注文ID102の荷物も、同じ回収先で、無人運搬ロボット001号機で同時に運ぶことを意味している。注文ID 103と104は異なる回収先であるが003号機で巡回して回収することを意味している。上記は一例なので様々なケースが想定できる。
【0095】
≪回収情報送信部≫
回収情報送信部は、回収先のお客様IDとインデックスを取得して、無人運搬ロボット識別情報1804で、関連付けられた無人運搬ロボットに回収命令として回収情報を送信する。
図16では、回収情報1610が回収命令1611、1612となっているが、お客様IDが回収先情報に置き換わっている。回収先情報とは、a20が緯度、b20が経度であり、GPSから導き出せる位置情報である。この置き換えは、
図11で説明した、お客様データベースに基づいて置き換えることができる。回収命令は、この回収先情報と荷物保管場所のインデックスがリスト化され、回収順に並べられて、無人運搬ロボットに送信される。
図16の例では、注文ID 101と102の回収情報が無人運搬ロボットの001号機に送信され、注文ID 103と104の回収情報が003号機に送信される。
【0096】
<実施形態9 各部の構成 無人運搬ロボット>
図19Aは無人運搬ロボット1304の機能構成を示すブロック図である。無人運搬ロボットは、少なくとも、回収情報受信部1901と、巡回回収制御部1902と、運転制御部1903と、移動機構1904とを有する。回収情報受信部は、回収命令装置から荷物の回収先と回収した荷物の保管場所が関連付けられた回収情報を取得する。巡回回収制御部は、回収情報から次に向かう回収先や荷物保管所へのルート制御を行う。運転制御部は、巡回回収制御部の指定したルート通りに移動するように自動運転制御を行う。移動機構は運転制御部の制御に従い無人運搬ロボットを移動する。移動機構は、無人運搬ロボットが移動するための機構であり、例えばドローンであればプロペラとモーターを含む構成であり、車であれば、エンジンまたはモーターなどの動力源及び車輪を含む構成である。運転制御部は、移動機構を制御して、所望の方向に移動する制御を行う。また、障害物の回避や問題が生じた場合の安全制御も含まれる。
【0097】
≪回収情報受信部≫
回収情報受信部は、例えば無線通信で構成される通信手段で、回収命令装置からの回収情報を無線通信で取得する。取得する情報は、
図16に示す回収命令のように回収先の位置情報と保管場所のインデックスがリスト化されたものである。携帯電話などで使用されている移動体通信システムを利用する場合は、広域に情報を受け取ることができる。このため、荷物運搬中でも回収情報を取得し、更新することができる。この場合、回収命令装置で、無人運搬ロボットの位置を把握しておき、無人運搬ロボットが運行している近くで荷物回収の要求が生じた場合、無人運搬ロボットに荷物を回収するスペースがある場合は、回収情報を更新し、直ちに荷物を回収するように変更できる。Wifi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの無線通信も利用可能であるが、この場合は通信範囲が限られるため、例えば荷物保管所で回収情報を取得し、荷物の回収に向かったら、荷物保管所に戻ってくるまでは、回収情報を更新できない。このような運用方法であれば無線通信に限らず、回収情報受信部を接触して回収情報を取得する方法も考えられる。
【0098】
≪巡回回収制御部≫
巡回回収制御部は、回収情報受信部で取得した回収情報にある荷物回収先のリストに従い、次に行く回収先へのルートを制御する。
図16の例では、無人運搬ロボットの003号機の場合、先ず注文ID 103の回収先である(a53、b53)に向かって移動し荷物を回収したら、次に注文ID 104の回収先である(a61、b61)に移動して回収を行う。このとき、無人運搬ロボットがドローンのような飛行体の場合、飛行方向を決定してその方向に飛行するように運転制御部に指示する。無人運搬ロボットが自動運転車の場合は、ナビゲーションシステムを使用して次に向かう荷物回収先までの道順を決定し、運転制御部を制御して決定した道順通りに移動させる。以上は、回収ルートを回収命令装置側で決めている場合の説明をしたが、これに限定したものではなく、巡回回収制御部内で回収順序を変更するようにしても良い。
<実施形態9 ハードウェア構成>
本実施形態における物流システムのハードウェア構成について説明する。前記の実施形態と重複する部分については省略する。
【0099】
回収命令装置は、「回収情報保持プログラム」と、「回収命令送信プログラム」を有し、無人運搬ロボットは、「回収情報受信プログラム」と、「巡回回収制御プログラム」を有する。各プログラムは、
図23のコンピュータの基本構成で示す不揮発性メモリに記録され、適宜メインメモリにロードされCPUより読み出されて実行される。
【0100】
<実施形態9 各構成の説明 運用方法、プログラム>
以上が本発明の構造であるが、これを運用方法若しくはプログラムとして実現する場合も本発明の範囲内である。実施形態9は、実施形態8を基本としてこれらの特徴に加えて、無人運搬ロボットに対してインデックス情報で示されるインデックスの位置の荷物置場へ載置すべき荷物を回収する回収先を示す情報である回収情報と、回収した荷物を載置すべきインデックス型荷物置場のインデックスを示す情報であるインデックス情報と、その荷物を回収すべき無人運搬ロボットを識別する情報である無人運搬ロボット識別情報と、を関連付けた情報である回収情報を保持する回収情報保持ステップと、回収情報保持ステップに保持されるインデックス情報と、これに関連付けられている回収先情報とを含む回収情報を、それに関連付けられている無人運搬ロボット識別情報で識別される無人運搬ロボットに送信する回収命令送信ステップと、を有する回収命令装置をさらに有し、無人運搬ロボットは、回収情報を受信する回収情報受信ステップと、受信した回収情報に基づいて複数個所を巡回するように運行制御する巡回回収制御ステップと、を有する物流システムの運用方法やプログラムも本発明の範囲内である。各ステップの内容については、前記の各構造の説明と同様である。
【0101】
<実施形態10 請求項16に関する 概要>
実施形態10は、実施形態9を基本としてこれらの特徴に加えて、回収情報送信部は、回収情報として、これに含まれる回収情報で示される回収先の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を含めた回収情報を無人運搬ロボットに送信する巡回方法情報付回収情報送信手段を有する物流システムである。このように、回収情報に巡回方法情報を付加して、無人運搬ロボットに送信することで、無人運搬ロボット側は、指示通りに回収先を巡回していくことで、効率的な回収を実現できる。これにより、無人運搬ロボットは特に高機能なコンピュータシステムを搭載する必要がなくコストの低下が見込める。
【0102】
<実施形態10 各部の構成 巡回方法情報付回収情報送信手段>
図18Bは、本実施形態の回収命令装置の構成を示す機能ブロック図であり、実施形態9の回収情報送信部に対して、巡回方法情報付回収情報送信手段1821が追加されている。巡回方法情報付回収情報送信手段は、回収情報にある複数の回収先情報から、最適な巡回回収が行えるように、回収情報を並べ替えて送信する。無人運搬ロボットは、受信した回収情報の先頭から読み出し、読みだした順に回収先を巡回する。
最適な巡回回収とは、様々な方法が考えられる。例えば、一番遠い回収先を最初の回収先とすることが考えられる。これは、例えばドローンなどの場合、空の状態で飛行したほうがエネルギーの消費が少なくなるので、一旦一番遠い回収先まで行って、回収しながら荷物保管所に戻ってくることで、エネルギー消費を最小限に抑えることができる。また、標高を考慮に入れるとさらにエネルギーを抑えることができる。つまり、標高が一番高いところから回収したほうが、荷物を積載したまま上昇する必要がないのでエネルギー消費を抑えられる。上記を合わせて考慮しながら、最もエネルギー消費が少ないルートを選択するようにすれば良い。
【0103】
図20は、本発明の物流システムと巡回ルートの一例を示す図であり、荷物集積センター2010と、荷物保管所1 2021と、荷物保管所2 2022と、荷物保管所3 2023とが、リング状に結ばれており、運搬車2041は、各荷物保管所を巡回後、荷物集積センターに帰ってくるように運用されている。このような構成の場合、荷物保管所への回収周期は長くなる可能性があるが、運搬車の台数は少なく抑えられる効果がある。また、各荷物保管所は、荷物回収ルートに基づいて、無人運搬ロボット2051、2052-1、2052-2、2053により巡回回収が行われている。また、回収先の表示で、済は回収済を意味し、未は未回収を意味している。例えば、無人運搬ロボット2051の巡回ルートでは、強風のため巡回ルートが再検討され、風上の回収先から回収を行うように巡回ルートが構成されている。これは、無人運搬ロボットがドローンなどのような飛行体の場合、荷物を把持した状態だと風の影響を受けやすいため、風上の回収先から回収したほうが、荷物を把持した状態で追い風となるため、エネルギー消費が少なくなる。また、無人運搬ロボット2052-2の巡回ルートでは、山間部での回収であり、回収先の高低差が大きい。このため、先ず一番高い回収先に最初に回収に行って、以降は下りながら回収を進める。これにより、荷物を把持して上昇することが最小限に抑えられるので、エネルギー消費が少なくなる。以上述べたように、回収ルートは、その地点の気象状態や地形、交通状況など様々な状況を考慮して決定することが望ましく、以上に述べた決定方法に限らない。
【0104】
<実施形態10 ハードウェア構成>
本実施形態における物流システムのハードウェア構成について説明する。前記の実施形態と重複する部分については省略する。
回収命令装置の回収命令プログラムは、巡回方法情報付き回収情報送信サブプログラムを含んでいる。回収命令プログラムと回収情報送信サブプログラムは、
図23に示すコンピュータの基本ハードウェア構成に示す不揮発性メモリ内に記録され、適宜メインメモリにロードされCPUにより読み出されて実行される。
【0105】
<実施形態10 各構成の説明 運用方法、プログラム>
以上が本発明の構造であるが、これを運用方法若しくはプログラムとして実現する場合も本発明の範囲内である。実施形態10は、実施形態9を基本としてこれらの特徴に加えて、回収命令送信ステップは、回収情報として、これに含まれる回収情報で示される回収先の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を含めた回収情報を無人運搬ロボットに送信する巡回方法情報付回収情報送信サブステップを有する物流システムの運用方法及びプログラムも本発明の範囲内である。各ステップの内容については、前記の各構造の説明と同様である。
【0106】
<実施形態11 主に請求項17に関する 概要>
実施形態11は、実施形態9を基本としてこれらの特徴に加えて、巡回回収制御部は、受信した回収情報に基づいて複数個所の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を生成する巡回方法情報生成手段をさらに有する無人運搬ロボットであることを特徴とする物流システムである。これにより、無人運搬ロボットが回収中の状況に応じて、巡回回収ルートを変更して、回収時間や、エネルギー消費を抑えながら巡回回収を行うことができる。
【0107】
<実施形態11 各部の構成 巡回方法情報生成手段>
図19Bは、本実施形態における無人運搬ロボットの機能構成を示すブロック図であり、実施形態9の無人運搬ロボットに対して、巡回方法情報生成手段1905を有している。巡回方法情報生成手段は、複数の荷物の回収に向かう回収先の順番を決めることが主な機能である。回収命令送信装置から取得した回収先リストに対して、巡回方法情報生成手段は、回収時間や消費エネルギーが最小となるように回収先のリストを並べ替えて回収順を最適な回収巡回ルートを生成する。最適な巡回回収ルートとは例えば、無人運搬ロボットがドローンの場合、風向きに影響を受ける。向かい風の場合は、エネルギー消費が大きくスピードも出にくいが、追い風の場合は、エネルギー消費が少なくなりスピードも出やすくなる。さらに荷物を把持した場合は、さらに影響を受けやすくなる。このことから、例えば、風上にある回収先には、先に行くようにし、順次風下に向かって巡回するようにすれば、時間及びエネルギー消費ともに最適となる。また、無人運搬ロボットが自動運転車の場合、回収先への経路の渋滞情報から渋滞を回避するように巡回回収ルートを決定すればよい。以上のように、無人運搬ロボット側で巡回回収ルートを決定するようにすると、回収先までの状況に応じたルート決定及び変更が可能になる。こうすることで、状況変化に影響を受けない最適な荷物回収が可能になる。
<実施形態11 ハードウェア構成>
本実施形態における物流システムのハードウェア構成について説明する。前記の実施形態と重複する部分については省略する。
無人運搬ロボットの巡回回収制御プログラムは、巡回方法情報生成サブプログラムを含む。巡回回収制御プログラムと巡回方法情報生成サブプログラムは、
図23に示すコンピュータの基本ハードウェア構成に示す不揮発性メモリ内に記録され、適宜メインメモリにロードされCPUにより読み出されて実行される。
【0108】
<実施形態11 運用方法、プログラム>
以上が本発明の構造であるが、これを運用方法若しくはプログラムとして実現する場合も本発明の範囲内である。実施形態11は、実施形態9を基本としてこれらの特徴に加えて、巡回回収制御ステップは、受信した回収情報に基づいて複数個所の巡回の方法を示す情報である巡回方法情報を生成する巡回方法情報生成サブステップをさらに有する物流システムの運用方法及びプログラムである。各ステップの内容については、前記の各構造の説明と同様である。
【0109】
<実施形態12 主に請求項18に関する 概要>
実施形態12は、実施形態7から11を基本構成としてこれらの特徴に加えて、無人運搬ロボットは、動力源に対するエネルギー蓄積部と、エネルギー蓄積部に対して外部からエネルギーの供給を受けるエネルギー供給受部とをさらに有し、荷物保管所は、無人運搬ロボットのエネルギー供給受部に対してエネルギーを供給するエネルギー供給装置をさらに有する物流システムである。これにより、無人運搬ロボットは、荷物保管所からエネルギー供給を受け、継続的に荷物の回収をおこなうことができる。なお、本実施形態は、実施形態6と同様に
図12に示す構成が望ましい。
【0110】
<実施形態12 各部の構成 無人運搬ロボット エネルギー蓄積部>
エネルギーは電気が一般的であり、エネルギー蓄積部は、電池などが対応する。
図12では、バッテリーパック1201が対応し電力を蓄積する。エネルギーは電気に限定されるものではないので、水素やガソリンなどの気体や液体燃料である場合も考えられる。このような場合は、エネルギー蓄積部はタンクのような構成となる。
【0111】
<実施形態12 各部の構成 無人運搬ロボット エネルギー供給受部>
エネルギー供給受け部は、電力供給を受ける構成が望ましい。非接触充電の場合、電磁波を受けるレシーバが相当し、
図12ではレシーバ1202が該当する。また接触式の充電でも構成可能で、この場合は、無人運搬ロボットが接地した場合に給電端子が接触するような構成としておけば良い。また、バッテリーパックをそのまま交換する方法や、水素などの燃料の場合は、タンクをそのまま付け替えるなどの方法も考えられる。この場合エネルギー供給受部は、バッテリーパックやタンクを受け取る機構が該当する。
【0112】
<実施形態12 各部の構成 荷物保管所 エネルギー供給装置>
エネルギー供給装置は、無人運搬ロボットが所定の位置に接地または格納された状態になったら、電力の供給を開始する。
図12の例では、送電ユニット1211が該当し、ドローンが接地されたら、電磁波の出力を開始する。エネルギー供給装置は電力に限らず、水素やガソリンなどの液体又は気体燃料でも構わない。この場合は、人手を介さずに供給ができる機構を有している必要がある。例えば、供給用のノズルがあり、ドローンが接地するとこのノズルとエネルギー供給受部である供給口が接続するように構成しても良い。
<実施形態12 運用方法、プログラム>
以上が本発明の構造であるが、これを運用方法若しくはプログラムとして実現する場合も本発明の範囲内である。実施形態12は、実施形態7から11を基本とし、 無人運搬ロボットは、動力源に対するエネルギー蓄積ステップと、エネルギー蓄積部に対して外部からエネルギーの供給を受けるエネルギー供給受ステップと、をさらに有し、荷物保管所は、無人運搬ロボットのエネルギー供給受ステップ時に、エネルギーを供給するエネルギー供給ステップをさらに有する物流システムの運用方法である。各ステップの内容については、前記の各構造の説明と同様である。
【0113】
<実施形態13 主に請求項24に関する 概要>
実施形態13は、実施形態1から6で述べてきた物流システムのうち1つ以上と、実施形態7から12で述べてきた物流システムのうち1つ以上がネットワーク接続された物流システムネットワークであり、荷物集積センター間で荷物を運搬する集積センター間荷物運搬体をさらに有し、該荷物に関連付けて少なくとも荷物の届け先を配下に置く荷物集積センターの識別情報を含む運搬情報を保持する運搬情報保持部と、運搬情報保持部に保持されている運搬情報を利用して集積センター間荷物運搬体が、届先が属する荷物集積センターに送るように構成されたことを特徴とする物流システムネットワークである。この物流システムネットワークでは、荷物の回収から配送までが一貫して行われるものになっており、個別の回収及び配送は無人運搬ロボットで効率的に行われる。
【0114】
図14は、本実施形態における物流ネットワークシステムの概念を示す概念図であり、荷物集積センターは、
図14に示すように各荷物集積センター1410、1420、1430が、集積センター間荷物運搬体1401で接続され、物流ネットワークシステムを形成している。そして、他の集積センターに送るべき荷物は、集積センター間荷物運搬体で目的の荷物集積センターまで運ぶ。各荷物集積センターは、各々
図5や
図20に示したような物流ネットワークを有している。従って、荷物集積センターまで運ばれた荷物は、実施形態1から6で説明した物流システムに従って、届け先に荷物を届ける。荷物集積センターを跨がない輸送の場合でも一旦荷物集積センターに集められた後は、同様に実施形態1から6で説明した物流システムに従って、届け先に配送する。こうすることで、荷物の回収から、届け先への荷物の配送までを一貫して効率的に行うことができる。
【0115】
荷物集積センター間の接続は、リング型やスター型などの構成が考えられるが、いずれの構成でも構わない。例えば、リング型で構成した場合は、集積センター間荷物運搬体は最小の台数でよいので低コストに構築できる。スター型にすると目的の荷物集積センターにダイレクトに運搬ができるため時間の短縮が図れる。例えば、お客様(届け先及び回収先)の多い荷物集積センター間は、スター型で接続し、お客様の少ない荷物集積センターはリング型で接続するようにすれば良い。
【0116】
<実施形態13 各構成の説明 集積センター間荷物運搬体>
集積センター間荷物運搬体は、一例として
図6の運搬車と同様の構成で構わない。ただし、荷物の積み込み場所が、荷物集積センターごとに分けられて、かつ積み下ろし自在に構成されることが好ましい。これは、所定のルートに従って荷物集積センターを巡回する場合、対応する荷物集積センターに到着した場合、該荷物集積センター宛ての荷物はすべて下ろし、複数の荷物集積センター宛ての荷物を積み込むことになる。この時、荷物送付先の荷物集積センターに対応した積み込み位置に適切に積み込むことができれば、効率的な運用が可能になる。また、積み込みは、
図6に示したようにロボットアームを使って自動で行ってもよいし、人手を介して積み込むようにしても良いが、自動で行うほうが、間違いも少なくなって良い。以上、集積センター間荷物運搬体は車での構成を説明したが、ヘリコプターのような空輸手段でも良い。荷物集積センター間は、荷物が多く距離も長いため、それに応じた構成が好ましい。さらに巡回ルートは固定しているため無人運転による輸送であればさらに効率的な運用が可能になる。
【0117】
<実施形態13 各構成の説明 運搬情報送信装置>
図17は、運搬情報送信装置1700の機能構成を示すブロック図である。運搬情報送信装置は、運搬情報保持1710を有する。運搬情報保持部は、注文データベース1701から少なくとも届け先のお客様情報を示す届先情報1704を取得し運搬情報1702として保持する。ここでは、荷物を識別するための荷物識別情報1703も保持している。
運搬情報送信装置は、荷物集積センターごとに持つのが一般的な構成なので、荷物集積センター内に構成されることが一般的だが、データセンターとして1か所に集約しても良い。この場合、運搬情報保持部は、各荷物集積センターに対応した数が必要で、各運搬情報保持部と荷物集積センターは、通信ネットワークで接続されていることが好ましい。運搬情報送信部も同様である。
【0118】
≪運搬情報保持部≫
運搬情報保持部は運搬情報から、少なくとも荷物識別情報と届先情報を取得する。運搬情報は、注文番号、回収先である注文者、届け先のお客様情報、荷物の品目などが少なくとも含まれID化された情報である。また、この情報に付随して、荷物のサイズ、重さ、配送指定日等の情報を関連付けて記録しても良い。このような情報は、注文者が入力することも考えられるが、荷物保管所や、荷物集積センターで自動又は人手を介して付加するようにしても良い。荷物識別番号は、ここでは注文番号が対応し、届先情報は届け先のお客様情報のお客様ID番号が対応する。
【0119】
回収した荷物を届け先が属する荷物集積センターへ送るまでのデータの流れの一例を、
図16を使用して説明する。注文データベース1601には、お客様からの注文データが集められているが、回収して荷物集積センターに集められた荷物に対応する注文IDに関連付けて、届先IDと品種を取得して運搬情報1620を生成している。注文ID及び品種は必須ではない。最低限荷物と届け先の対応関係が明確であれば良い。ここでは、注文IDが荷物の識別IDとして使用されているので、注文IDと関連付けられている。届先IDは、4桁の数字となっているが、最上位(左側)が荷物集積センターの識別番号を示しているので、各荷物集積センターに向けた運搬情報1621、1622、1623に分けられる。集積センター間荷物運搬体は、この情報に基づいて、対応した積み込み位置への積み込み、運搬、対応する荷物集積センターでの荷下ろしを行う。荷物集積センターに届けられた荷物は対応する運搬情報に基づいて、実施形態1から6で説明した物流システムにより届け先に届けられる。
これにより、荷物集積センターが多数ある大規模な物流システムネットワークにおいても、荷物の回収から配送まで効率的な運用が可能になる。
【0120】
<実施形態13 運用方法、プログラム>
以上が本発明の構造であるが、これを運用方法若しくはプログラムとして実現する場合も本発明の範囲内である。実施形態13は、実施形態7から12で述べてきた物流システムのうち1つ以上と、実施形態7から11で述べてきた物流システムのうち1つ以上がネットワーク接続された物流システムネットワークの運用方法又はプログラムであり、荷物集積センター間で荷物を運搬する集積センター間荷物運搬体をさらに有し、該荷に物関連付けて少なくとも荷物の届先を配下に置く荷物集積センターの識別情報を含む運搬情報を保持する運搬情報保持ステップと、運搬情報保持ステップで保持された運搬情報を利用して集積センター間荷物運搬体が届先を配下に置く荷物集積センターに送る集積センター間荷物運搬ステップを有することを特徴とする物流システムネットワークの運用用法及びプログラムである。各ステップの内容については、前記の各構造の説明と同様である。
【0121】
<実施形態14 概要>
実施形態14は、実施形態13の物流システムネットワークに加えて、配送・回収情報を管理する配送・回収情報管理サーバをさらに有するとともに、荷物保管所と、無人運搬ロボットとは、前記配送・回収情報管理サーバと直接的に通信ができない環境の物流システムネットワークであって、荷物保管所又は/及び無人運搬ロボットは、自身の管轄する領域における配送・回収情報をスケジュールとして保持する配送・回収スケジュール保持部と、運搬車が次回以降に荷物保管所に来る際に配送荷物として受け取ることができる荷物の最大個数を少なくとも含む運搬車配送・回収情報を配送・回収スケジュールに基づいて運搬車に出力する運搬車向出力部と、運搬車から荷物保管所の管轄する領域の少なくとも今回追加される配送荷物の情報を含む保管所配送・回収情報を取得する運搬車由来取得部と、運搬車から取得した保管所配送・回収情報に基づいて配送・回収スケジュールを取得する配送・回収スケジュール取得部とを有し、運搬車は、配送・回収情報管理サーバと通信をするための運搬車サーバ通信部と、配送・回収情報管理サーバからの配送・回収情報を取得する配送・回収情報サーバ由来取得部と、取得した配送・回収情報に基づいて保管所配送・回収情報を取得する保管所配送・回収情報取得部と、取得した保管所配送・回収情報を保持する保管所配送・回収情報保持部と、保持されている保管所配送・回収情報を保管所に出力する保管所配送・回収情報出力部と、保管所又は/及び無人運搬ロボットから運搬車配送・回収情報を取得する運搬車配送・回収情報取得部と、取得した運搬車配送・回収情報を保持する運搬車配送・回収情報保持部と、取得した運搬車配送・回収情報を配送・回収情報管理サーバに出力する運搬車配送・回収情報出力部とを有する物流システムネットワークである。本発明の物流システムは一貫して、山岳部やジャングル、砂漠などの交通の便が悪く、住む人が少なく点在した過疎地での物流を効率化することを課題としている。従って、通信インフラが整っていない可能性が高く、荷物保管所や無人運搬ロボットは、配送・回収情報を管理するサーバ等と常時通信が可能な通信手段を持たない可能性が想定される。本実施形態では、このような場合でも運用が可能な物流システムネットワークとなっており、配送・回収に係る情報のやり取りを、運搬車を経由して行う。
【0122】
図21は、本実施形態の機能構成を示すブロック図であり、配送・回収情報管理サーバ2110と、運搬車2140と、荷物保管所2120が連携して情報のやり取りを行う。
運搬車は、配送・回収情報サーバ由来取得部2141と、保管所配送・回収情報取得部2142と、保管所配送・回収情報保持部2143と、保管所配送・回収情報出力部2144と、運搬車配送・回収情報出力部2145と、運搬車配送・回収情報保持部2146と、運搬車配送・回収情報取得部2147とを有している。
また、荷物保管所は、運搬車由来取得部2121と、配送・回収スケジュール取得部2122と、配送・回収スケジュール保持部2123と、運搬車向出力部2124とを有している。
【0123】
<実施形態14 各構成の説明 配送・回収情報管理サーバ>
配送・回収情報管理サーバは、
図16に示した注文データベースを管理するサーバである。顧客から荷物回収の注文が入ると、注文IDを発行して回収、及び配送に係る情報を一括で管理する。配送・回収管理サーバは、1台で中央管理されることが想定されるが、荷物集積センターごとに持って、お互いが関連する配送・回収情報をやりとりして、分散管理することも可能である。本サーバが、すべての荷物保管所や無人運搬ロボットが常時通信可能な場合、各部は直接配送・階層管理サーバの配送・回収情情報にアクセスし、その配送・回収情報に基づいて、配送、及び回収を行うが、今回の実施形態では、荷物保管所や無人運搬ロボットは、本サーバとは直接通信ができない。
【0124】
<実施形態14 各構成の説明 荷物運搬車>
運搬車は、これまでの実施形態で述べてきたように、荷物集積センターと荷物保管所間の配送、及び回収荷物の運搬する機能に加えて、配送・回収情報のやり取りの仲介も担う。荷物集積センターで回収した荷物を下ろし、配送する荷物を積み込むと同時に、配送・回収情報管理サーバにアクセスし、配送・回収情報を取得する。取得した配送・回収情報を保持して、荷物保管所に荷物を運搬し、配送荷物を下ろし、回収荷物を積み込むのと並行して、荷物保管所に配送回収情報を渡し、同時に荷物保管所からは、運搬車配送・回収情報を取得する。取得した運搬車配送・回収情報は、荷物集積センターに戻った際に、配送・回収情報管理サーバに渡し、次回運搬時の運搬計画にも使用する。
【0125】
<実施形態14 各構成の説明 運搬車 配送・回収情報サーバ由来取得部>
配送・回収情報サーバ由来取得部は、配送・回収情報管理サーバから配送・回収情報を取得する。情報取得方法は、例えば、Wifi(登録商標)やBluetooth(登録商標)の様な無線通信が望ましい。また、通信規格を利用した通信方法であっても良いし、独自仕様に基づく通信方法であっても構わない。運搬車が荷物収集センターに近付き、通信が可能になったら、配送・回収情報管理サーバから配送・回収情報を取得する。配送・回収情報は、少なくとも、注文IDと配送先顧客ID、回収先顧客IDを含む配送・回収に係る情報である。具体的には、運搬車が巡回する担当の荷物保管所の配送・回収に係る荷物の情報であり、少なくとも、配送する荷物の配送先と、回収依頼があった荷物の回収先を情報として取得する。
【0126】
<実施形態14 各構成の説明 運搬車 保管所配送・回収情報取得部>
保管所配送・回収情報取得部は、配送・回収情報サーバ由来取得部で取得した配送・回収情報から巡回予定の荷物保管所に対応した情報を、荷物保管所ごとにまとめて選別して取得する。配送・回収情報は、注文ID順に整列している。このため、配送・回収情報は、訪れた荷物保管所に関係する配送・回収情報だけを渡すため、荷物保管所ごとでまとめられていることが望ましい。従って、本保管所配送・回収情報取得部で、荷物保管所ごとにまとめた配送・回収情報として再配列する。
【0127】
<実施形態14 各構成の説明 運搬車 保管所配送・回収情報保持部>
保管所配送・回収情報保持部は、保管所配送・回収情報保持部で取得した保管所配送・回収情報を保持する。これは、例えばHDDやフラッシュメモリのような不揮発性の記憶装置でも良いし、RAMのような揮発性の一時記憶装置でも構わない。運搬車が荷物集積センターに戻るまでの間、運搬車配送・回収情報が保持されていれば良い。また、情報の配置は、荷物保管所ごとに記憶領域が分けられていることが望ましい。こうすることで、訪れた荷物保管所に対応する記憶領域から情報を取得するのでシンプルな構造でデータの記憶・取得が可能になる。
【0128】
<実施形態14 各構成の説明 運搬車 保管所配送・回収情報出力部>
保管所配送・回収情報出力部は、荷物保管所に近付き、通信可能な領域に入ったら、無線通信機能により、荷物保管所または無人運搬ロボットと通信して、保管所配送・回収情報を出力する。具体的には、運搬車が今回の運搬で持ってきた配送荷物の送り先と、回収すべき荷物の回収場所のリストデータである。無線通信機能は、配送・回収情報サーバ由来取得部と同様の通信方法で良い。
【0129】
<実施形態14 各構成の説明 運搬車 運搬車配送・回収情報取得部>
運搬車配送・回収情報取得部は、運搬車配送・回収情報を荷物保管所から取得する。運搬車配送・回収情報とは、少なくとも、次回運んでも良い配送する荷物の個数を含む情報である。この次回運んでも良い運搬する荷物の個数に関しては、配送・回収スケジュールがかかわるので、後で合わせて詳しく説明する。そのほか、配送が終わったか否か、回収指示があった荷物の状況などが含まれる場合がある。運搬車配送・回収情報取得部は、他の取得部と同様に無線通信が望ましく、保管所配送・回収情報出力部と一体となっていても良い。
【0130】
<実施形態14 各構成の説明 運搬車 運搬車配送・回収情報保持部>
運搬車配送・回収情報保持部は、保管所配送・回収情報保持部と同様の記憶機能に一体的に構成されていれば良い。
荷物保管所ごとに、記憶領域が分けられていることが望ましく、運搬車が荷物集積センターに戻るまでの間、運搬車配送・回収情報が保持されていれば良い。
【0131】
<実施形態14 各構成の説明 運搬車 運搬車配送・回収情報出力>
運搬車配送・回収情報出力は、運搬車が、荷物集積センターの通信可能領域に入ったら、荷物保管所から取得して保持した、運搬車配送・回収情報を、配送・回収情報管理サーバに送る。運搬車配送・回収情報出力は、他の取得部と同様に無線通信が望ましく、配送・回収情報サーバ由来部と一体となっていても良い。
【0132】
<実施形態14 各構成の説明 荷物保管所>
荷物保管所は、これまでに述べてきた実施形態の機能に加えて、運搬車と通信して、配送・回収情報を取得する通信機能を有する。また、取得した配送・回収情報に基づいて、配送・回収スケジュールを計画する。計画した配送・回収スケジュールに基づいて、次に運搬車が来たときに受け入れ可能な配送荷物の数を含む、運搬車配送・回収情報を運搬車に送信する機能を有する。運搬車が荷物保管所通信可能エリアに入った場合は、保管所配送・回収情報を取得して、配送・回収スケジュールを生成した後、運搬車配送・回収情報を運搬車に応答する。
【0133】
<実施形態14 各構成の説明 荷物保管所 運搬車由来取得部>
運搬車由来取得部は、運搬車から保管所配送・回収情報を取得する。情報を取得するための通信は、例えばWifi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの無線通信が望ましいがこれに限定されるものではない。独自の無線通信仕様や、光による通信方法であっても構わない。また、人手を介さずに通信コネクタを接続できるのであれば、無線通信である必要は無い。
【0134】
<実施形態14 各構成の説明 荷物保管所 配送・回収スケジュール取得部>
配送・回収スケジュール取得部は、保管所配送・回収情報に基づいて、回収・配送スケジュールを生成する。この回収・配送スケジュールの生成は、荷物保管所に運搬車が到着して通信が行われた段階で実施される。配送・回収スケジュールとは、配送すべき荷物を、どの無人運搬ロボットでいつ配送するか、回収すべき荷物を回収先からいつ、どの無人運搬ロボットで回収してくるかを計画したものである。この、計画に関する内容は、後で詳しく説明する。
【0135】
<実施形態14 各構成の説明 荷物保管所 配送・回収スケジュール保持部>
配送・回収スケジュール保持部は、配送・回収スケジュールを記憶機能を有するデバイスに保持する。記憶機能を有するデバイスとは、例えばHDDやフラッシュメモリのような、不揮発性のメモリでも良いし、RAMなどの揮発性メモリでも構わない。少なくとも、次回運搬車が来るまで保持しておく必要がある。本実施形態では、通信環境も整っていない場所での運用を想定しているので、電力供給も安定していない可能性が考えられる。従って、電力のバックアップ供給が考慮されていないシステムにおいては、不揮発性メモリに記憶されることが望ましい。
【0136】
<実施形態14 各構成の説明 荷物保管所 運搬車向出力部>
運搬車向出力部は、配送・回収スケジュールから、運搬車配送・回収情報を生成して、運搬車に送信する。情報の通信は無線通信で行われることが望ましく、運搬車由来取得部と一体で構成されていても良い。運搬車配送・回収情報は、少なくとも、次に運搬車が持ってきても良い配送荷物の個数を含んでいる。この考え方については、後で、配送・回収スケジュールと合わせて詳しく説明する。
<実施形態14 配送・回収スケジュール>
【0137】
配送・回収スケジュールに関して詳しく説明する。本発明の物流システムに一貫して言えることであるが、荷物を回収した際に荷物保管所の荷物置場が空いていること、また、運搬車が配送荷物を荷物保管所に運んできたときに荷物置き場に、運んできた配送荷物がすべておけるように、荷物置場が空いていることが必要になる。上記で荷物置場に空きがない場合は、物流システムとして成立しない。従って、上記のように荷物置場に空きがないケースが発生しないように、配送・回収スケジュールを立てることが重要になる。このために、先ず無人運搬ロボットは回収に行く際に、戻ってきたときに荷物置場が空いていることが確認できてから回収に行くこと。運搬車は、荷物保管所で回収荷物があれば積み込み、その状態で空いている荷物置場の数を超える個数の配送荷物を持って行かないことが守るべきルールとなる。通信環境が整って荷物保管所も、無人運搬ロボットも常に、配送・回収情報管理サーバと通信ができる場合には、上記のようなケースが発生しないように、配送・回収情報管理サーバで配送・回収スケジュールを計画し、その計画に従って、運搬車は配送荷物を指定の数だけ運び、無人運搬ロボットは、計画されたタイミングで配送や回収を行えばよい。しかし、本実施形態では、荷物保管所、及び無人運搬ロボットは、配送・回収情報管理サーバと通信できない状態を想定しているため、それに応じた仕組みや手順が必要となる。
【0138】
図22は、配送・回収スケジュールの一例をしめしたスケジュール表である。
T01~T21は、それぞれ単位時間で、時間の経過を示している。単位時間とは、例えば、10分とか1時間とかそのシステムに応じて決められた管理する時間の最小単位である。
配送は、配送事象の発生を示している。これは、荷物集積センターに配送する荷物が到着し、配送荷物として登録されたことを意味する。例えば、他の荷物集積センターから配達荷物が届いた場合や、同じ荷物集積センター内の荷物保管所から回収荷物が届き、同じ荷物集積センターの担当領域の届け先に配送する場合が考えられる。図の例では、T03に2個、T07に2個といった具合で配送事象が発生している。
回収は、荷物保管所の担当顧客から回収依頼を受け付けた場合である。図の例では、T04に1個、T06に1個といった具合に配送依頼が発生している。
運搬車は、運搬車が荷物保管所に来た時に、積み込んだ回収荷物の個数と、インデックス荷物置場に置いていった配送荷物の個数を示している。図の例では、T01に運搬車が来て、回収荷物を2個積み込み、配送荷物を3個置いていったことを示し、T11に、回収荷物を3個積み込み、配送荷物を4個置いて行ったことを示している。
無人運搬ロボットは、荷物保管所にある無人運搬ロボットがどのような状態にあるかを示している。状態としては、回収中、配送中、充電中、待機中の4つの状態がある。
インデックス荷物置場は、インデックス荷物置場の状態を示している。配送荷物が置かれた場合、無人運搬ロボットが配送に持っていくまで、荷物置場は占有される。回収した荷物が置かれた場合、運搬車が来て回収荷物を積み込むまで荷物置場が占有される。
配(数字)は配送荷物、回(数字)は回収荷物が、荷物置場に置かれたり、無人運搬ロボットで配送、または回収されたりしている状態を示している。
【0139】
図22を時間経過と共に説明していくが前提条件として、荷物保管所は、無人運搬ロボットが2台、インデックス荷物置場が4か所、配送車は10単位時間ごとに巡回してきて、おかれた回収荷物はすべて回収していくものとする。1回の配送または回収で、必ず充電が必要で時間は1単位時間で完了するものとする。配送時間、及び回収時間は、配送先や個数で時間が異なるが、配送・回収スケジュールの段階で配送先、及び回収先の距離からおおよその時間はわかるものとする。
【0140】
(T01)運搬車が到着し、2個の回収荷物を積み込み、3個の配送荷物を置いて行った。この時、無人運搬ロボット1は回収中で、無人運搬ロボット2は、インデックスA1とA2の配送荷物を持って配送に出発する。
(T02)無人運搬ロボット1が回収を終了し回収荷物1をA1に、回収荷物2をB1に置く。
(T03)無人運搬ロボット1が充電を開始する。配送荷物が2個発生する。
(T04)無人運搬ロボット1が充電を終了し、インデックスB2の荷物の配送を開始する。荷物1個の回収依頼がある。
(T05)無人運搬ロボット2が配送を終了し充電を行う。
(T06)無人運搬ロボット2の充電が終了し、回収荷物3の回収に出発する。荷物1個の回収依頼がある。
(T07)無人運搬ロボット1が配送を終了し充電を行う。配送荷物が2個発生する。
(T08)無人運搬ロボット2が回収を終了し回収荷物3をインデックスB1に置く。荷物1個の回収依頼がある。
(T09)無人運搬ロボット2が充電を開始する。
(T11)運搬車が到着し、3個の回収荷物を積み込み、4個の配送荷物をインデックス荷物置場に置く。さらに、3個の回収荷物の回収先と、4個の配送荷物の配送先を運搬車から保管所配送・回収情報として受け取る。配送荷物は、T03とT07で発生した荷物であり、回収依頼は、T04、T06、T08で回収依頼があった荷物である。無人運搬ロボットは両方とも待機できているので、無人運搬ロボット1がA1の配送荷物4を、無人運搬ロボット2がA2の配送荷物5の配送を開始する。この段階で荷物運搬所は、配送・回収スケジュールを計画し、次回運搬車が来るT21までにすべての荷物の配送が完了せず、インデックスB2に置かれた、配送荷物7が残ることになる。このため、荷物保管所は、次回運搬車が来る際に、持ってきても良い配送荷物は3個までということを、運搬車に通知する。
(T12)無人運搬ロボット1が配送を終了する。配送荷物が1個発生する。
(T13)無人運搬ロボット1が充電を開始する。
(T14)無人運搬ロボット1充電を終了し、回収荷物4の回収に出発する。無人運搬ロボット2が配送を終了する。
(T15)無人運搬ロボット2が充電を開始する。配送荷物が2個発生する。
(T16)無人運搬ロボット1が回収荷物4の回収を終了し、インデックスA1に荷物を置く。無人運搬ロボット2が充電を終了し、回収荷物5の回収に出発する。
(T17)無人運搬ロボット1が充電を開始する。無人運搬ロボット2が回収荷物5の回収を終了し、インデックスA2に荷物を置く。荷物1個の回収依頼がある。
(T18)無人運搬ロボット1が回収荷物6の回収に出発する。無人運搬ロボット2の充電を開始する。
(T19)無人運搬ロボット2が配送荷物6の配送に出発し、インデックスB1が空き、無人運搬ロボット1が回収荷物6の回収を終了して空いたインデックスB1に荷物を置く。
(T20)無人運搬ロボット1が充電を開始する。
(T21)運搬車がインデックスA1、A2、B1の荷物を積み込み、空いたところに、配送荷物9~10を置く。ここで、配送荷物は、T12で1個、T15で2個、T18で1個の合計4個発生しているが、運搬車は3個しか荷物保管所に運ばなかったので、問題が生じていない。これは、T11の段階で荷物保管所が次は3個しか受け付けられないことを運搬車に通知していたからである。
【0141】
以上述べてきたように、荷物保管所で配送・回収スケジュールを計画し、受付可能な荷物の個数を予め応答しておくことで、荷物保管所が荷物集積センターや配送・回収情報管理サーバと通信ができない環境においても、荷物置場が無いなどのトラブルを発生せず効率的な物流システムを実現できる。なお、荷物保管所で行う配送・回収スケジュールの計画は、次回、運搬車が巡回してくるまでの計画が行われれば、それ以前や以降の計画を保持していなくても物流システムとしては成り立つ。
【0142】
<実施形態14 ハードウェア構成>
本実施形態における物流システムのハードウェア構成について説明する。前記の実施形態と重複する部分については省略する。
荷物保管所又は無人運搬ロボットは、「配送・回収スケジュール保持プログラム」と、「運搬車向出力プログラム」と、「運搬車由来取得プログラム」と、「配送・回収スケジュール取得プログラム」を有し、運搬車は、「配送・回収サーバ由来取得プログラム」と、「保管所配送・回収情報取得プログラム」と、「保管所配送・回収情報保持プログラム」と、「保管所配送・回収情報出力プログラム」と、「運搬車配送・回収情報取得プログラム」と、「運搬車配送・回収情報保持プログラム」と、「運搬車配送・回収情報出力プログラム」を有する。各プログラムは、
図23に示すコンピュータの基本ハードウェア構成に示す不揮発性メモリ内に記録され、適宜メインメモリにロードされCPUにより読み出されて実行される。
【0143】
<実施形態14 運用方法、プログラム>
以上が本発明の構造であるが、これを運用方法若しくはプログラムとして実現する場合も本発明の範囲内である。実施形態14は、実施形態13で述べてきた物流システムネットワークの運用方法又はプログラムの特徴に加えて、配送・回収情報を管理する配送・回収情報管理サーバをさらに有するとともに、荷物保管所と、無人運搬ロボットとは、前記配送・回収情報管理サーバと直接的に通信ができない環境の物流システムネットワークであって、荷物保管所又は/及び無人運搬ロボットは、自身の管轄する領域における配送・回収情報をスケジュールとして保持する配送・回収スケジュールステップと、運搬車が次回以降に荷物保管所に来る際に配送荷物として受け取ることができる荷物の最大個数を少なくとも含む運搬車配送・回収情報を配送・回収スケジュールに基づいて運搬車に出力する運搬車向出力ステップと、運搬車から荷物保管所の管轄する領域の少なくとも今回追加される配送荷物の情報を含む保管所配送・回収情報を取得する運搬車由来取得ステップと、
運搬車から取得した保管所配送・回収情報に基づいて配送・回収スケジュールを取得する配送・回収スケジュール取得ステップと、を有し、運搬車は、配送・回収情報管理サーバと通信をするための運搬車サーバ通信部と、配送・回収情報管理サーバからの配送・回収情報を取得する配送・回収情報サーバ由来取得ステップと、取得した配送・回収情報に基づいて保管所配送・回収情報を取得する保管所配送・回収情報取得ステップと、取得した保管所配送・回収情報を保持する保管所配送・回収情報保持ステップと、保持されている保管所配送・回収情報を保管所に出力する保管所配送・回収情報出力ステップと、保管所又は/及び無人運搬ロボットから運搬車配送・回収情報を取得する運搬車配送・回収情報取得ステップと、取得した運搬車配送・回収情報を保持する運搬車配送・回収情報保持ステップと、取得した運搬車配送・回収情報を配送・回収情報管理サーバに出力する運搬車配送・回収情報出力ステップと、を有する物流システムネットワークの運用方法である。各ステップの内容については、前記の各構造の説明と同様である。
【符号の説明】
【0144】
0110、0510、1301、1410、1420、1430、2010、2120 荷物集積センター
0120、0521、0522、0523、0524、1302、2021、2022、2023 荷物保管所
0130 届け先
0140、0541、1305、2041、2140 運搬車
0150、0551、0552、0554、1304、2051、2052-1、0252-2、2053 無人運搬ロボット
0210 インデックス荷物置場
0300 配送命令装置
0301 配送情報
0302、1802 インデックス情報
0303 届先情報
0304、1804 無人運搬ロボット識別情報
0311 配送情報保持部
0312 配送命令送信部
0321 配送情報受信部
0322 巡回配送制御部
0401 エネルギー
0411 エネルギー供給装置
0421 エネルギー供給受部
0422 エネルギー蓄積部
0423 動力源
0611 ロボットアーム
0612、0702、0806、0903、1503 荷物
0701、0904、1002、1200、1504 ドローン
0800 自動運転車両
0801 カメラ
0802 GPSセンサ
0803 開閉シャッター
0804 ベルトコンベア
0805 キャタピラ
0901 届け先
0902 収納ボックス
1001 インデックス型荷物置場
1101、1601、1701 注文データベース
1102 お客様データベース
1103 配送データ
1104 お客様配送データ
1201 バッテリーパック
1202 レシーバ
1210 格納場所
1211 送電ユニット
1303、1501 回収先
1401 集積センター間運搬体
1502 荷物回収位置
1610 回収情報
1611、1612 回収命令
1700 運搬情報送信装置
1702、1801 運搬情報
1703 荷物識別情報
1704 届先情報
1710 運搬情報保持部
1800 回収命令装置
1803 回収先情報
1805 回収情報
1810 回収情報保持部
1820 回収情報送信部
1821 巡回方法情報付回収情報送信手段
1830 インデックス生成部
1840 無人運搬ロボット管理部
1901 回収情報受信部
1902 巡回回収制御部
1903 運転制御部
1904 移動機構
1905 巡回方法情報生成手段
2110 配送・回収情報管理サーバ
2121 運搬車由来取得部
2122 配送・回収スケジュール取得部
2123 配送回収スケジュール保持部
2124 運搬車向出力部
2141 配送・回収情報サーバ由来取得部
2142 保管所配送・回収情報取得部
2143 保管所配送・回収情報保持部
2144 保管所配送・回収情報出力部
2145 運搬車配送・回収情報出力部
2146 運搬車配送・回収情報保持部
2147 運搬車配送・回収情報取得部
2310 CPU
2320 メインメモリ
2303 ブートプログラム
2304 ブリッジ
2305 不揮発性メモリ
2306 外部インタフェース