(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046760
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】バッテリ充電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/633 20140101AFI20230329BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230329BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20230329BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230329BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20230329BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20230329BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20230329BHJP
H01M 10/658 20140101ALI20230329BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20230329BHJP
【FI】
H01M10/633
H02J7/00 301B
H02J7/04 L
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/6556
H01M10/6568
H01M10/658
H01M10/625
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155539
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 翼
【テーマコード(参考)】
5G503
5H031
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA02
5G503CB11
5G503DA08
5G503FA03
5G503FA06
5H031AA09
5H031HH06
5H031KK02
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】バッテリを効率よく充電できるバッテリ充電装置を提供する。
【解決手段】複数のバッテリ収納部9とバッテリBの充電を行う充電部3と、複数のバッテリ収納部9を各々連通し、空気が流れる第1ダクト11及び第2ダクト12と、各ダクト11,12に空気を強制的に流す電動ファン5cと、各ダクト11,12に設けられた制御弁6と、バッテリBの温度情報を取得するデータ取得部を有し、データ取得部によって取得されたバッテリBの温度情報に基づいて、制御弁6の駆動制御を行う制御装置7と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリが収納される複数のバッテリ収納部と、
前記バッテリの充電を行う充電部と、
前記複数のバッテリ収納部を各々連通し、熱交換媒体が流れる第1流路と、
前記複数のバッテリ収納部を各々連通し、前記熱交換媒体が流れる前記第1流路とは別の第2流路と、
前記第1流路及び前記第2流路の少なくともいずれか一方に設けられ、前記第1流路及び前記第2流路に前記熱交換媒体を強制的に流す送出部と、
前記第1流路及び前記第2流路の少なくともいずれか一方に設けられ、前記第1流路及び前記第2流路の少なくともいずれか一方の前記熱交換媒体の流れを許容、遮断する制御弁と、
前記バッテリの温度情報を取得する温度情報取得部を有し、前記温度情報取得部によって取得された前記バッテリの温度情報に基づいて、前記制御弁及び前記送出部の駆動制御を行う制御装置と、
を備える
ことを特徴とするバッテリ充電装置。
【請求項2】
前記熱交換媒体を加熱する加熱部を備え、
前記制御装置は、前記加熱部の駆動制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ充電装置。
【請求項3】
前記バッテリ収納部は、断熱材によって覆われている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバッテリ充電装置。
【請求項4】
前記第1流路及び前記第2流路は、
それぞれが、前記バッテリ収納部に連結される連結流路と、
各前記連結流路を連結する流路本体と、
を備え、
前記連結流路に前記制御弁が設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のバッテリ充電装置。
【請求項5】
前記第1流路の前記流路本体と前記第2流路の前記流路本体とを連通するバイパス路と、
前記第1流路の前記流路本体及び前記第2流路の前記流路本体の少なくともいずれか一方に前記熱交換媒体を供給するための供給路と、
前記第1流路及び前記第2流路とは別に前記複数のバッテリ収納部を各々連通し、熱交換媒体が排出される排出路と、
前記供給路を開閉し、前記制御装置によって駆動制御される供給路開閉弁と、
前記排出路を開閉し、前記制御装置によって駆動制御される排出路開閉弁と、
を備える
ことを特徴とする請求項4に記載のバッテリ充電装置。
【請求項6】
前記熱交換媒体を加熱する加熱部を備え、
前記加熱部及び前記送出部は、前記第1流路に設けられており、
各前記連結流路は、前記加熱部及び前記送出部よりも下流側に設けられており、
各前記連結流路に、それぞれ前記制御弁が設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載のバッテリ充電装置。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記温度情報取得部によって取得された前記バッテリの温度情報に基づいて、前記充電部の制御を行う充電制御部と、
前記バッテリのバッテリ高温基準値とバッテリ低温基準値とが記憶されたバッテリ温度基準値記憶部と、
前記バッテリ温度基準値記憶部の前記バッテリ高温基準値及び前記バッテリ低温基準値と前記温度情報取得部によって取得された前記バッテリの温度情報とに基づいて、前記第1流路、前記第2流路、前記バイパス路、前記供給路、及び前記排出路のうちの前記熱交換媒体の流通経路を特定する経路特定部と、
前記バッテリ温度基準値記憶部の前記バッテリ高温基準値及び前記バッテリ低温基準値と前記温度情報取得部によって取得された前記バッテリの温度情報とに基づいて、前記加熱部の駆動制御を行う加熱制御部と、
前記経路特定部により特定された前記流通経路に基づいて、前記制御弁、前記供給路開閉弁、及び前記排出路開閉弁の駆動制御を行う弁制御部と、
前記経路特定部により特定された前記流通経路に基づいて、前記送出部の駆動制御を行う送出制御部と、
を備える
ことを特徴とする請求項6に記載のバッテリ充電装置。
【請求項8】
前記経路特定部は、前記バッテリが収納されていない前記バッテリ収納部について、前記バッテリ高温基準値未満、かつ前記バッテリ低温基準値よりも高い前記バッテリが収納されているとみなす
ことを特徴とする請求項7に記載のバッテリ充電装置。
【請求項9】
前記充電制御部は、
前記温度情報取得部によって取得された前記バッテリの温度情報が予め記憶された充電高温基準値以上の場合、前記充電部による充電を停止し、
前記温度情報取得部によって取得された前記バッテリの温度情報が予め記憶された充電低温基準値以下の場合、前記充電部による充電を電流値を抑制制御して行い、
前記温度情報取得部によって取得された前記バッテリの温度情報が前記充電高温基準値未満、前記充電低温基準値よりも高い場合、前記充電部による充電を最大電流で行う
ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のバッテリ充電装置。
【請求項10】
前記排出路と前記第1流路及び前記第2流路とを連通する循環路を備える
ことを特徴とする請求項5から請求項9のいずれか1項に記載のバッテリ充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガソリン車に代わって電動モータで駆動する電気車両の需要が高まっている。また、電動モータのバッテリに効率よく充電を行うためのさまざまな技術が提案されている。
例えば、カセット化されたバッテリを、複数個常時保有し、電気車両台分に必要とされる数のバッテリを一ユニットとして、バッテリ群に対して個別に充電処理操作を実行するエネルギー供給ステーションが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バッテリが一定の温度以下の場合、バッテリの定格容量分を出力できないことが知られている。また、バッテリが一定の温度以上の場合、バッテリの寿命が悪化してしまうことが知られている。このようなバッテリの温度を適正に行わずに、上述の従来技術のように単にエネルギー供給ステーションを提供しただけでは、バッテリを効率よく充電できないという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、バッテリを効率よく充電できるバッテリ充電装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係るバッテリ充電装置は、バッテリが収納される複数のバッテリ収納部と、前記バッテリの充電を行う充電部と、前記複数のバッテリ収納部を各々連通し、熱交換媒体が流れる第1流路と、前記複数のバッテリ収納部を各々連通し、前記熱交換媒体が流れる前記第1流路とは別の第2流路と、前記熱交換媒体を加熱する加熱部と、前記第1流路及び前記第2流路の少なくともいずれか一方に設けられ、前記第1流路及び前記第2流路に前記熱交換媒体を強制的に流す送出部と、前記第1流路及び前記第2流路の少なくともいずれか一方に設けられ、前記第1流路及び前記第2流路の少なくともいずれか一方の前記熱交換媒体の流れを許容、遮断する制御弁と、前記バッテリの温度情報を取得する温度情報取得部を有し、前記温度情報取得部によって取得された前記バッテリの温度情報に基づいて、前記制御弁の駆動制御を行う制御装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バッテリの温度に応じてバッテリの温度を速やかに所望の温度範囲にすることができる。例えば、複数のバッテリのうち、高温のバッテリと低温のバッテリとが存在する場合、これらバッテリ間で熱交換させることにより、無駄にバッテリを冷却したり加熱したりするためのエネルギーを消費する必要がなく、省エネルギーで効率よくバッテリの温度を調整することができる。また、バッテリの温度を適正な温度としたうえで速やかにバッテリの充電を行うことができるので、バッテリの充電効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態におけるバッテリ充電装置の概略構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態における制御装置のブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態におけるバッテリ充電装置の動作フローチャートである。
【
図4】本発明の第1実施形態におけるバッテリに高温バッテリ及び低温バッテリが存在している場合のバッテリ充電装置の動作説明図である。
【
図5】本発明の第1実施形態におけるバッテリが高温バッテリのみである場合のバッテリ充電装置の動作説明図である。
【
図6】本発明の第1実施形態におけるバッテリが低温バッテリのみである場合のバッテリ充電装置の動作説明図である。
【
図7】本発明の第1実施形態の変形例におけるバッテリ充電装置の概略構成図である。
【
図8】本発明の第2実施形態におけるバッテリ充電装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
[第1実施形態]
<バッテリ充電装置>
図1は、バッテリ充電装置1の概略構成図である。
バッテリ充電装置1は、例えば電気車両に搭載される複数のバッテリBを電気車両から取り出し、これらバッテリBをバッテリ充電装置1に取り付けることでバッテリBを充電する装置である。
【0011】
図1に示すように、バッテリ充電装置1は、複数(例えば、本実施形態では4つ)のバッテリBを個別に収納するバッテリBOX2と、バッテリBの充電を行う充電部3と、バッテリBOX2に連結され、空気が流れる流路部4と、流路部4に設けられたヒータ付き送風機5及び複数の制御弁6と、ヒータ付き送風機5、充電部3及び制御弁6の駆動制御を総括的に行う制御装置7と、を備える。
【0012】
<バッテリ>
バッテリBは、例えばリチウムイオンバッテリである。バッテリBは、バッテリマネジメントシステム(以下、「BMS」という)を有する。BMSは、バッテリB自身の充電残容量や温度等を監視し、これら監視情報を記憶する。そして、この監視情報を信号として制御装置7に出力する。
【0013】
<バッテリBOX>
バッテリBOX2は、箱状のBOX本体8と、BOX本体8内を複数(例えば、本実施形態では4つ)のバッテリ収納部9に仕切る複数の仕切板10と、を備える。BOX本体8の壁面8a及び仕切板10は、熱伝達率の低い断熱材等で形成されたり、金属板等を断熱材等で覆われたりしてなる。
【0014】
図1では図示を省略するが、BOX本体8は、各バッテリ収納部9を個別に開閉する扉を備えている。この扉を開閉することにより、各バッテリ収納部9に個別にバッテリBを収納する。各バッテリ収納部9には、これらバッテリ収納部9に収納されたバッテリBに接続される図示しない端子が設けられている。この端子を介し、各バッテリBと充電部3とが電気的に接続される。
【0015】
この他、バッテリBに、バッテリ収納部9への出し入れ用のローラ等を設けてもよい。例えば、バッテリ収納部9内にローラ用の引き出し可能なレールを設け、このレールにローラが案内されることで、バッテリ収納部9内にバッテリBが載置されるように構成してもよい。また、バッテリ収納部9からレールを引き出したり、バッテリ収納部9にレールを押し込んだりすることにより、バッテリ収納部9からバッテリBを容易に出し入れできる。
【0016】
<流路部>
流路部4は、第1ダクト(請求項における第1流路の一例)11と、第2ダクト(請求項における第2流路の一例)12と、これら第1ダクト11と第2ダクト12とを連通するバイパスダクト(請求項におけるバイパス路の一例)13と、バイパスダクト13に連結される吸気ダクト(請求項における供給路の一例)14と、排気ダクト(請求項における排出路の一例)15と、バイパスダクト13と排気ダクト15とを連通する循環ダクト(請求項における循環路の一例)16と、を備える。循環ダクト16は、他のダクト11~15と比較して内径が若干小さい。
【0017】
第1ダクト11は、各バッテリ収納部9に各々連結される複数の第1連結ダクト(請求項における連結流路の一例)11aと、各第1連結ダクト11aを連通する第1ダクト本体(請求項における流路本体の一例)11bと、を備える。
第2ダクト12は、各バッテリ収納部9に各々連結される複数の第2連結ダクト(請求項における連結流路の一例)12aと、各第2連結ダクト12aを連通する第2ダクト本体(請求項における流路本体の一例)12bと、を備える。
【0018】
各第1連結ダクト11aと各第2連結ダクト12aとは、BOX本体8の同一壁面8aに連結されている。バイパスダクト13は、第1ダクト本体11bの一端と第2ダクト本体12bの一端とを連通している。バイパスダクト13に連結されている吸気ダクト14には、外部から空気を取り込むための吸気口14aが設けられている。
【0019】
排気ダクト15は、各バッテリ収納部9に各々連結される複数の排気連結ダクト15aと、各排気連結ダクト15aを連通する排気ダクト本体15bと、を備える。
各排気連結ダクト15aは、BOX本体8の第1連結ダクト11a及び第2連結ダクト12aが連結されている壁面8aとは別の壁面8aに連結されている。排気ダクト本体15bの一端には、外部に空気を排出するための排気口15cが設けられている。
【0020】
<ヒータ付き送風機>
ヒータ付き送風機5は、第1ダクト本体11bのバイパスダクト13寄りに設けられている。ヒータ付き送風機5は、筒体5aと、筒体5a内に設けられ空気を加熱するヒータ(請求項における加熱部の一例)5bと、筒体5a内に設けられ第1ダクト本体11b内に空気を送出する電動ファン(請求項における送出部の一例)5cと、を備える。ヒータ5b及び電動ファン5cは、それぞれ制御装置7に電気的に接続されている。
【0021】
ヒータ5bは、例えば電気式のヒータが用いられる。
電動ファン5cは、電動モータによってファン(いずれも図示しない)を駆動する。ファンとしては、例えば軸流ファンやシロッコファン等、さまざまなファンを用いることが可能である。本第1実施形態では、電動ファン5cは、
図1中左方向に向かって空気を送出する。第1連結ダクト11aは、ヒータ付き送風機5よりも下流側に配置された形になる。
【0022】
<制御弁>
制御弁6は、第1連結ダクト11a、第2連結ダクト12a、吸気ダクト14の吸気口14aの近傍、及び排気ダクト15の排気口15cの近傍に設けられている。制御弁6は、各々設けられているダクト11a,12a,14,15での空気の流れを許容、遮断する。制御弁6は、制御装置7に電気的に接続されている。
【0023】
<制御装置>
図2は、制御装置7のブロック図である。
図2に示すように、制御装置7は、バッテリBの情報を取得するデータ取得部(請求項における温度情報取得部を含む一例)21と、データ取得部21によって取得された情報に基づいて充電部3の駆動制御を行う充電器駆動制御部22と、データ取得部21によって取得された情報に基づいて流路部4における空気の流れを制御する風流制御部23と、データ取得部21によって取得された情報及び風流制御部23に基づいてヒータ付き送風機5の駆動制御を行うヒータ付き送風機制御部24と、を備える。
【0024】
データ取得部21は、バッテリ収納部9に収納されたバッテリBのBMSから出力された信号が入力される。これにより、データ取得部21は、バッテリBの情報を取得する。データ取得部21によって取得された情報は、バッテリBの充電残容量情報、温度情報等、さまざまなバッテリBの情報である。このうち、バッテリ充電装置1では、バッテリBの温度情報が利用される。データ取得部21は、取得した情報を信号として充電器駆動制御部22、風流制御部23、及びヒータ付き送風機制御部24に出力する。
【0025】
充電器駆動制御部22は、データ取得部21から出力された信号が入力される充電制御部25と、充電温度基準値記憶部26と、を備える。充電温度基準値記憶部26には、充電部3によるバッテリBへの充電を行う際の充電高温基準値と、充電低温基準値と、が記憶されている。
【0026】
充電高温基準値とは、バッテリBの寿命低下になり得るバッテリB自身の温度の高温閾値である。充電高温基準値は、例えば60℃である。
充電低温基準値とは、バッテリBへの充電を効率よく行うことが困難となるバッテリB自身の温度の低温閾値である。すなわち、バッテリB自身の温度の低温閾値以下であると、例えばバッテリBの正極から出たリチウムイオンが負極に吸収されにくくなり、リチウム金属が析出しやすくなってしまう。そして、バッテリBが故障してしまう可能性が大きくなる。充電低温基準値は、例えば25℃である。
【0027】
充電制御部25は、充電温度基準値記憶部26に記憶された充電高温基準値と充電低温基準値とを参照する。この参照結果、及びデータ取得部21によるバッテリBの温度情報に基づいて、充電制御部25は、充電部3の駆動制御を行う。すなわち、バッテリB自身の温度が充電高温基準値以上の場合、充電部3によるバッテリBへの充電を停止する。この場合、後述するバッテリ充電装置1の具体的動作に基づいてバッテリBの放熱動作を優先させる。
【0028】
バッテリB自身の温度が充電低温基準値以下の場合、充電部3によるバッテリBへの充電を抑制制御して行う。
バッテリB自身の温度が充電高温基準値よりも低く、かつ充電低温基準値よりも高い場合、充電部3によるバッテリBへの充電を最大出力で行う。なお、充電制御部25と風流制御部23及びヒータ付き送風機制御部24との動作の関連についての詳細は、後述する。
【0029】
風流制御部23は、各バッテリ収納部9に収納されたバッテリB間の温度差を利用して各バッテリB間で熱交換させるために、流路部4における空気の流れを制御する。また、風流制御部23は、バッテリBの放熱や加熱を行うために、流路部4における空気の流れを制御する。風流制御部23は、データ取得部21から出力された信号が入力される経路特定部27と、経路特定部27から出力された信号が入力される弁制御部28と、バッテリ温度基準値記憶部29と、を備える。
【0030】
バッテリ温度基準値記憶部29には、バッテリBの温度領域を判断するための基準値が記憶されている。すなわち、バッテリ温度基準値記憶部29には、バッテリ高温基準値と、バッテリ低温基準値と、が記憶されている。
バッテリ高温基準値は、バッテリB自身の温度が高温であるか否かを判断する値である。バッテリ高温基準値は、例えば45℃である。
バッテリ低温基準値は、バッテリB自身の温度が低温であるか否かを判断する値である。バッテリ低温基準値は、例えば25℃である。
これらバッテリ高温基準値及びバッテリ低温基準値は、バッテリBの定格値によって決定される。
【0031】
以下の説明では、バッテリB自身の温度がバッテリ高温基準値以上である場合のバッテリBを、高温バッテリと称する。バッテリB自身の温度がバッテリ低温基準値以下である場合のバッテリBを、低温バッテリと称する。バッテリB自身の温度がバッテリ高温基準値未満で、かつバッテリ低温基準値よりも高い場合のバッテリBを、適温バッテリと称する。
【0032】
経路特定部27は、バッテリ温度基準値記憶部29に記憶されたバッテリ高温基準値とバッテリ低温基準値とを参照する。この参照結果、及びデータ取得部21によるバッテリBの温度情報に基づいて、経路特定部27は、流路部4内での空気の流通経路を特定する。この特定した情報を、信号として弁制御部28に出力する。
弁制御部28は、経路特定部27から出力された信号に基づいて、各制御弁6及びヒータ付き送風機制御部24に制御弁駆動信号を出力する。
【0033】
各制御弁6は、弁制御部28から出力された制御弁駆動信号に基づいて開閉動作を行う。これにより、空気の流れが許容されるダクト11a,12a,14,15と、空気の流れが遮断されるダクト11a,12a,14,15とが形成され、流路部4内での空気の流れの経路が特定される。
【0034】
ヒータ付き送風機制御部24は、弁制御部28から出力された信号が入力されるファン制御部(請求項における送出制御部の一例)31と、ヒータ制御部(請求項における加熱制御部の一例)32と、を備える。
【0035】
ファン制御部31は、弁制御部28の制御弁駆動信号に基づいて、電動ファン5cにファン駆動信号を出力する。電動ファン5cは、第1ダクト11に設けられた複数の制御弁6のうち、開放されている制御弁6が存在している場合に駆動される。これにより、第1ダクト11内に空気の流れ(風)が生成される。電動ファン5cは、第1ダクト11に設けられた複数の制御弁6のうち、開放されている制御弁6がない場合、停止している。
【0036】
ヒータ制御部32は、バッテリ温度基準値記憶部29に記憶されたバッテリ高温基準値とバッテリ低温基準値とを参照する。この参照結果、及びデータ取得部21によるバッテリBの温度情報に基づいて、ヒータ制御部32は、ヒータ5bにヒータ駆動信号を出力する。このヒータ駆動信号に基づいて、ヒータ5bは、バッテリB自身の温度がバッテリ低温基準値以下である場合、駆動される。
【0037】
<バッテリ充電装置の具体的動作>
次に、
図3から
図6に基づいて、バッテリ充電装置1の具体的動作について説明する。
図3は、バッテリ充電装置1の動作フローチャートである。
図4は、バッテリ収納部9に収納されたバッテリBに高温バッテリ及び低温バッテリが存在している場合のバッテリ充電装置1の動作説明図である。
【0038】
まず、バッテリ充電装置1を使用する直前のバッテリBの状態について説明する。例えば電動車両に搭載されている複数のバッテリBは、電気車両の走行による使用負荷に応じてバッテリB自身の温度にばらつきが生じる。このような状態において、電気車両から各々バッテリBを取り外し、これらバッテリBをバッテリ充電装置1のバッテリ収納部9に収納する。そして、バッテリ充電装置1によって、各バッテリBの充電を開始する。
【0039】
この際、
図2から
図4に示すように、バッテリ充電装置1の制御装置7は、データ取得部21によって各バッテリ収納部9に収納されたバッテリBのBMSから各々バッテリBの温度情報を取得する(
図3のステップS101)。
続いて、経路特定部27によって、バッテリ温度基準値記憶部29に記憶されたバッテリ高温基準値とバッテリ低温基準値とを参照する。この参照結果、及びデータ取得部21によるバッテリBの温度情報に基づいて、経路特定部27は、各バッテリBが高温バッテリ、低温バッテリ、又は適温バッテリのいずれかであるかを判定する(
図3のステップS102)。
【0040】
さらに、経路特定部27によって、複数のバッテリBの中に高温バッテリと低温バッテリとのいずれも存在しているか否かの判断を行う(
図3のステップS103)。
【0041】
ステップS103の判断が「Yes」、つまり、複数のバッテリBの中に高温バッテリと低温バッテリとのいずれも存在している場合、以下を実行する。すなわち、経路特定部27は、流路部4において高温バッテリと低温バッテリとの間で空気を熱交換媒体とした熱交換を行う経路を特定する(
図3のステップS104)。
【0042】
例えば、
図4に示すように、図中左側に配置されたバッテリBが高温バッテリであり、図中右側に配置されたバッテリBが低温バッテリである場合、これら高温バッテリと低温バッテリとを熱交換させるためには、以下のような経路となる。すなわち、低温バッテリが収納されているバッテリ収納部9、このバッテリ収納部9の第2連結ダクト12a、第2ダクト本体12b、バイパスダクト13、第1ダクト本体11b、高温バッテリが収納されているバッテリ収納部9の第1連結ダクト11a、この第1連結ダクト11aが連結されているバッテリ収納部9、高温バッテリが収納されているバッテリ収納部9の排気連結ダクト15a、排気ダクト本体15b、及び低温バッテリが収納されているバッテリ収納部9の排気連結ダクト15aに、この順で空気が流れる経路となる(
図4における矢印Y1参照)。この経路によって、高温バッテリと低温バッテリとの間で熱交換が行われる。
【0043】
図4では、図中、中央の2つのバッテリBは適温バッテリとする。適温バッテリは、熱交換、加熱、放熱のいずれも必要としない。なお、経路特定部27は、バッテリ収納部9にバッテリBが収納されておらず空の場合も、バッテリ収納部9に適温バッテリが収納されている場合と同様の扱いとする。
【0044】
弁制御部28は、特定された経路に空気が流れるように開放する制御弁6を特定する(
図3のステップS105)。すなわち、
図4中、開放する制御弁6として、低温バッテリが収納されているバッテリ収納部9の第2連結ダクト12aに設けられた制御弁6、及び高温バッテリが収納されているバッテリ収納部9の第1連結ダクト11aに設けられた制御弁6に特定される。
ファン制御部31は、ヒータ付き送風機5の電動ファン5cを駆動させる(
図3のステップS106)。
【0045】
弁制御部28は、ステップS105において特定された制御弁6に、これら制御弁6を開放する制御信号を出力し、特定された制御弁6を開放する(
図3のステップS107)。
特定から除外された制御弁6(適温バッテリが収納されているバッテリ収納部9の各連結ダクト11a,12aに設けられた制御弁6)については、制御弁6は閉塞されたままとなる。換言すれば、弁制御部28は、特定から除外された制御弁6に、これら制御弁6を閉塞する制御信号を出力する(
図3のステップS108)。
【0046】
制御弁6が開放された第2連結ダクト12a及び第1連結ダクト11aは、空気の流れが許容される。制御弁6が閉塞されている第2連結ダクト12a及び第1連結ダクト11aは、空気の流れが遮断される。このため、
図4に示すように、低温バッテリと高温バッテリとの間で空気が循環される閉経路が形成される。そして、電動ファン5cによって、低温バッテリと高温バッテリとの間で空気が循環される(
図4の矢印Y1参照)。これによって、高温バッテリと低温バッテリとの間で空気を熱交換媒体とした熱交換が行われる。
【0047】
高温バッテリと低温バッテリとの熱交換と同時に、充電器駆動制御部22によって各バッテリBへの充電も行われる。これにより、複数のバッテリBの中に高温バッテリと低温バッテリとのいずれも存在している場合の各バッテリBへの充電が効率よく行われる。充電が完了すると、バッテリ充電装置1の動作が完了する。
【0048】
一方、ステップS103の判断が「No」、つまり、複数のバッテリBの中に高温バッテリと低温バッテリとの両者が存在していない場合、以下を実行する。すなわち、経路特定部27によって、複数のバッテリBの中に高温バッテリが存在しているか否かの判断を行う(
図3のステップS111)。
ステップS111の判断が「Yes」、つまり、複数のバッテリBの中に高温バッテリが存在している場合、以下を実行する。すなわち、経路特定部27は、流路部4において高温バッテリを放熱する空気の流通経路を特定する。
【0049】
図5は、バッテリ収納部9に収納されたバッテリBが高温バッテリのみである場合のバッテリ充電装置1の動作説明図である。
例えば、
図5に示すように、全てのバッテリBが高温バッテリである場合、以下のような経路となる。すなわち、吸気ダクト14(吸気口14a)を介して外部から空気を取り込み、高温バッテリによって温められた空気を、排気ダクト15(排気口15c)を介して排出する経路となる。より具体的には、吸気ダクト14(吸気口14a)、第1ダクト11、対応するバッテリ収納部9、及び排気ダクト15(排気口15c)に、この順で空気が流れる経路となる(
図5における矢印Y2参照)。
【0050】
弁制御部28は、特定された経路に空気が流れるように開放する制御弁6を特定する。すなわち、
図5中、開放する制御弁6として、第1連結ダクト11aに設けられた全ての制御弁6と、吸気ダクト14及び排気ダクト15の制御弁6と、が特定される。
図3、
図5に示すように、ファン制御部31は、ヒータ付き送風機5の電動ファン5cを駆動させる(
図3のステップS112)。
【0051】
弁制御部28は、特定された制御弁6に、これら制御弁6を開放する制御信号を出力し、特定された制御弁6を開放する。具体的には、吸気ダクト14の制御弁6及び排気ダクト15の制御弁6を開放する(
図3のステップS113)。また、第1連結ダクト11aに設けられた全ての制御弁6を開放する(
図3のステップS114)。
特定から除外された制御弁6については、制御弁6は閉塞されたままとなる。換言すれば、弁制御部28は、特定から除外された制御弁6に、これら制御弁6を閉塞する制御信号を出力する(
図3のステップS108)。
図5では、第2連結ダクト12aに設けられた全ての制御弁6が閉塞される。
【0052】
制御弁6が開放された吸気ダクト14、第1ダクト11、及び排気ダクト15は、空気の流れが許容される。制御弁6が閉塞されている第2ダクト12は、空気の流れが遮断される。このため、
図5に示すように、吸気ダクト14(吸気口14a)を介して外部から空気が取り込まれ、高温バッテリによって温められた空気が、排気ダクト15(排気口15c)を介して排出される(
図5の矢印Y2参照)。これによって、高温バッテリの放熱が促進され、高温バッテリが速やかに冷却される。
【0053】
高温バッテリが一定の温度まで冷却されると、充電器駆動制御部22によって各バッテリBへの充電も行われる。これにより、複数のバッテリBの中に高温バッテリが存在している場合の各バッテリBへの充電が効率よく行われる。充電が完了すると、バッテリ充電装置1の動作が完了する。
【0054】
一方、ステップS111の判断が「No」、つまり、複数のバッテリBの中に高温バッテリが存在していない場合、以下を実行する。すなわち、経路特定部27によって、複数のバッテリBの中に低温バッテリが存在しているか否かの判断を行う(
図3のステップS121)。
ステップS121の判断が「Yes」、つまり、複数のバッテリBの中に低温バッテリが存在している場合、以下を実行する。すなわち、経路特定部27は、流路部4において低温バッテリを加熱する空気の流通経路を特定する。
【0055】
図6は、バッテリ収納部9に収納されたバッテリBが低温バッテリのみである場合のバッテリ充電装置1の動作説明図である。
例えば、
図6に示すように、全てのバッテリBが低温バッテリである場合、以下のような経路となる。すなわち、ヒータ付き送風機5によって温風を生成し、この温風を、低温バッテリを通過させて循環させる経路となる。より具体的には、第1ダクト11、対応するバッテリ収納部9、排気ダクト15、及び循環ダクト16に、この順で空気が流れる経路となる(
図6の矢印Y3参照)。
【0056】
弁制御部28は、特定された経路に空気が流れるように開放する制御弁6を特定する。すなわち、
図6中、開放する制御弁6として、第1連結ダクト11aに設けられた全ての制御弁6が特定される。
図3、
図6に示すように、ヒータ制御部32は、ヒータ付き送風機5のヒータ5bを駆動させる(
図3のステップS122)。ファン制御部31は、ヒータ付き送風機5の電動ファン5cを駆動させる(
図3のステップS123)。
【0057】
弁制御部28は、特定された制御弁6に、これら制御弁6を開放する制御信号を出力し、特定された制御弁6を開放する。具体的には、第1連結ダクト11aに設けられた全ての制御弁6を開放する(
図3のステップS124)。
特定から除外された制御弁6については、制御弁6は閉塞されたままとなる。換言すれば、弁制御部28は、特定から除外された制御弁6に、これら制御弁6を閉塞する制御信号を出力する(
図3のステップS108)。
図6では、第2連結ダクト12aに設けられた全ての制御弁6、吸気ダクト14の制御弁6、及び排気ダクト15の制御弁6が閉塞される。
【0058】
制御弁6が開放された第1ダクト11は、空気の流れが許容される。吸気ダクト14及び排気ダクト15の制御弁が閉塞されているので、吸気口14a及び排気口15cでの空気の流れが遮断される。そして、排気連結ダクト15aを介して排気ダクト本体15bに流れる空気は、循環ダクト16を介して第1ダクト本体11bに還流される。このため、
図6に示すように、ヒータ付き送風機5は、外部からの空気を加熱するのではない。ヒータ付き送風機5は、低温バッテリの加熱に利用された温かい空気を加熱しつつ循環させながら低温バッテリを加熱する(
図6の矢印Y3参照)。これによって、低温バッテリの加熱が促進され、低温バッテリが速やかに加熱される。
【0059】
低温バッテリが一定の温度まで加熱されると、充電器駆動制御部22によって各バッテリBへの充電も行われる。これにより、複数のバッテリBの中に低温バッテリが存在している場合の各バッテリBへの充電が効率よく行われる。充電が完了すると、バッテリ充電装置1の動作が完了する。
【0060】
一方、ステップS121の判断が「No」、つまり、複数のバッテリBの中に低温バッテリが存在していない場合、以下を実行する。すなわち、経路特定部27によって、各バッテリBは全て適温バッテリであると判断される。このため、ヒータ制御部32は、ヒータ付き送風機5のヒータ5bを停止させる。ファン制御部31は、ヒータ付き送風機5の電動ファン5cを停止させる(
図3のステップS131)。
【0061】
また、弁制御部28は、各制御弁6に、これら制御弁6を閉塞する制御信号を出力する(
図3のステップS108)。
この状態で、充電器駆動制御部22によって各バッテリBへの充電が行われる。各バッテリBは適温バッテリであるので、各バッテリBへの充電が効率よく行われる。そして、充電が完了するとバッテリ充電装置1の動作が完了する。
【0062】
このように、上述の第1実施形態では、バッテリ充電装置1は、複数のバッテリ収納部9を各々連通する流路部4と、第1ダクト11に設けられたヒータ付き送風機5と、各連結ダクト11a,12aに設けられた制御弁6と、バッテリBの温度情報を取得するデータ取得部21を有し、データ取得部21によって取得されたバッテリBの温度情報に基づいて、制御弁6の駆動制御を行う制御装置7と、を備える。このため、バッテリB自身の温度に応じてバッテリBの温度を速やかに所望の温度範囲にすることができる。
【0063】
しかも、例えば複数のバッテリBのうち、高温バッテリと低温バッテリとが存在する場合、これらバッテリB間で流路部4を介して熱交換させることにより、無駄にバッテリBを冷却したり加熱したりするためのエネルギーを消費する必要がない。すなわち、例えば無駄にヒータ付き送風機5のヒータ5bを駆動させて空気を加熱することによって低温バッテリを加熱する必要がない。高温バッテリの熱を利用して、低温バッテリを加熱できる。そして、バッテリBの温度を適正な温度としたうえで速やかにバッテリBの充電を行うことができるので、バッテリBの充電効率を向上できる。
【0064】
バッテリBの温度を速やかに所望の温度範囲にすることにより、バッテリBの劣化を抑制できる。また、バッテリBの性能を定格特性に近づけることができる。さらに、充電電流を定格上限として効率よくバッテリBに充電を行うことが可能になる。
例えばバッテリBを加熱する装置を有する電気車両においては、この電気車両の加熱装置を用いることなく、バッテリ充電装置1によってバッテリBを適正な温度とすることができる。このため、電気車両の消費電力を抑えることができ、結果的に電気車両の航続距離を延長することができる。さらに、電気車両からバッテリBを加熱する装置を取り外すことも可能になる。
【0065】
BOX本体8の壁面8a及び仕切板10は、熱伝達率の低い断熱材等で形成されたり、金属板等を断熱材等で覆われたりしてなる。換言すれば、バッテリ収納部9は、断熱材によって覆われている。このため、バッテリ収納部9に収納されたバッテリBを、適正な温度で長時間保管できる。よって、さらに効率よくバッテリBの充電を行うことができる。
【0066】
第1ダクト11は、各バッテリ収納部9に各々連結される複数の第1連結ダクト11aと、各第1連結ダクト11aを連通する第1ダクト本体11bと、を備える。第2ダクト12は、各バッテリ収納部9に各々連結される複数の第2連結ダクト12aと、各第2連結ダクト12aを連通する第2ダクト本体12bと、を備える。これらのように各ダクト11,12を構成することにより、各バッテリBの温度パターンに応じて柔軟に流路部4の経路を特定することができる。例えば、各バッテリ収納部9に連結されたダクトが、各々パラレルにヒータ付き送風機5に連結されている場合、高温バッテリと低温バッテリとの間の熱交換経路を設定しにくくなってしまう。このため、上記のように構成することにより、各バッテリBの温度パターンに応じて柔軟に流路部4の経路を特定することができ、精度よく、より速やかにバッテリBの温度を調整できる。
【0067】
バッテリ充電装置1は、吸気ダクト14と、排気ダクト15と、これら吸気ダクト14及び排気ダクト15に設けられて制御弁6と、を備える。このため、各バッテリ収納部9に外部の冷えた空気を取り込むことができるとともに、各バッテリ収納部9の温められた空気を外部に排出することができる。よって、全バッテリBが高温バッテリである場合(
図5参照)であっても全バッテリBを速やかに放熱できる。また、全バッテリBが低温バッテリである場合(
図6参照)であっても全バッテリBを速やかに加熱できる。
【0068】
第1連結ダクト11aは、ヒータ付き送風機5よりも下流側に配置されている。これら第1連結ダクト11aに、それぞれ制御弁6が設けられている。このように構成することで、各バッテリ収納部9に供給される空気を、全てヒータ付き送風機5を通した後とすることができる。このため、各バッテリBのあらゆる温度分布パターンに適切に応対可能なバッテリ充電装置1を提供できる。
【0069】
制御装置7は、データ取得部21と、充電制御部25と、バッテリ温度基準値記憶部29と、経路特定部27と、ヒータ制御部32と、弁制御部28と、ファン制御部31と、を備える。データ取得部21は、バッテリBの温度情報を取得する。充電制御部25は、データ取得部21によって取得されたバッテリBの温度情報に基づいて、充電部3の充電制御を行う。バッテリ温度基準値記憶部29には、バッテリ高温基準値とバッテリ低温基準値とが記憶されている。経路特定部27は、バッテリBの温度情報とバッテリ高温基準値及びバッテリ低温基準値とに基づいて、流路部4における空気の流通経路を特定する。ヒータ制御部32は、バッテリ高温基準値及びバッテリ低温基準値とバッテリBの温度情報とに基づいて、ヒータ5bの駆動制御を行う。弁制御部28は、経路特定部27によって特定された経路に基づいて制御弁6の開閉制御を行う。ファン制御部31は、経路特定部27によって特定された経路に基づいて電動ファン5cの駆動制御を行う。このため、バッテリ充電装置1は、適正な空気の流通経路を速やかに決定し、効率よく、省エネルギーで、かつ無駄にヒータ5bを駆動させることなく、バッテリBの温度を調整できる。
【0070】
バッテリ充電装置1の経路特定部27は、バッテリ収納部9にバッテリBが収納されておらず空の場合、バッテリ収納部9に適温バッテリが収納されている場合と同様の扱いとしている。このため、バッテリ収納部9が空であっても、バッテリ充電装置1を適正に動作させることができる。
【0071】
充電制御部25は、充電温度基準値記憶部26に記憶された充電高温基準値と充電低温基準値とを参照する。この参照結果、及びデータ取得部21によるバッテリBの温度情報に基づいて、充電制御部25は、充電部3の駆動制御を行う。すなわち、バッテリB自身の温度が充電高温基準値以上の場合、充電部3によるバッテリBへの充電を停止する。バッテリB自身の温度が充電低温基準値以下の場合、充電部3によるバッテリBへの充電を抑制制御して行う。バッテリB自身の温度が充電高温基準値よりも低く、かつ充電低温基準値よりも高い場合、充電部3によるバッテリBへの充電を最大出力で行う。このように、バッテリBの温度に応じて適切な充電パターンを選択し、より効率よくバッテリBの充電を行うことができる。
【0072】
バッテリ充電装置1は、バイパスダクト13と排気ダクト15とを連通する循環ダクト16と、を備える。バイパスダクト13は、第1ダクト11と第2ダクト12とを連通する。すなわち、循環ダクト16は、排気ダクト15と第1ダクト11及び第2ダクト12とを連通する。このような循環ダクト16を備えることにより、流路部4内の空気の熱を利用して効率よくバッテリBの温度を調整できる。循環ダクト16を利用して空気を循環させることにより、無駄にヒータ5b等を使用する必要がない。よって、バッテリ充電装置1は、省エネルギーで効率よくバッテリBの充電を行うことができる。
【0073】
バッテリ充電装置1は、省エネルギーで効率よくバッテリBの充電を行うことができるので、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」に貢献することが可能になる。
【0074】
上述の実施形態では、第1ダクト11にヒータ付き送風機5を設けた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、第2ダクト12にヒータ付き送風機5を設けてもよい。流路部4において、空気の流れを生成できればよい。
【0075】
[第1実施形態の変形例]
<バッテリ充電装置>
次に、
図7に基づいて第1実施形態の変形例について説明する。
図7は、第1実施形態の変形例におけるバッテリ充電装置1の概略構成図である。
図7に示すように、バッテリ充電装置1は、循環ダクト16を備えていなくてもよい。
【0076】
<バッテリ充電装置の具体的動作>
次に、変形例におけるバッテリ充電装置1の具体的動作について説明する。
変形例のバッテリ充電装置1において、バッテリ収納部9に収納された複数のバッテリBの中に、高温バッテリと低温バッテリとのいずれも存在している場合(
図4参照)、前述の実施形態と同様である。バッテリ収納部9に収納された複数のバッテリBの中に、高温バッテリが存在しており、低温バッテリが存在していない場合(
図5参照)、前述の実施形態と同様である。このため、これらの場合についてのバッテリ充電装置1における動作の説明については省略する。
【0077】
これに対し、
図7に示すように、バッテリ収納部9に収納された複数のバッテリBの中に、低温バッテリが存在しており、高温バッテリが存在していない場合、以下を実行する。すなわち、低温バッテリが収納されているバッテリ収納部9に供給された温められた空気は、循環されることなく排気口15cから排出される。この点、前述の実施形態と相違する点である。
したがって、上述の変形例によれば、前述の第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0078】
[第2実施形態]
<バッテリ充電装置>
次に、
図8に基づいて、第2実施形態のバッテリ充電装置201について説明する。
図8は、第2実施形態におけるバッテリ充電装置201の概略構成図である。
図8は、前述の
図1に対応している。本第2実施形態において、上述の第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
図8に示すように、第1実施形態のバッテリ充電装置1と第2実施形態のバッテリ充電装置201との相違点は、第1実施形態のバッテリ充電装置1は、吸気ダクト14及び排気ダクト15を備えているのに対し、第2実施形態のバッテリ充電装置201は、吸気ダクト14及び排気ダクト15を備えていない点にある。
バッテリ充電装置201の流路部204は、第1ダクト11、第2ダクト12、及び各バッテリ収納部9によって空気が流れる閉回路を構成している。
【0080】
また、ヒータ付き送風機205は、バッテリBOX2のほぼ中央に配置されている。ヒータ付き送風機205を挟んで両側に、第1ダクト11の第1ダクト本体11b及び第2ダクト12の第2ダクト本体12bがそれぞれ連結されている。ヒータ付き送風機205は、両側の各ダクト本体11b,12bに空気を送出することができる。
さらに、バッテリ充電装置201では、各連結ダクト11a,12aの全てに制御弁6が設けられておらず、第1連結ダクト11aのみに制御弁6が設けられている。
【0081】
このような構成のもと、例えば図中左側に配置されたバッテリBが高温バッテリであり、図中右側に配置されたバッテリBが低温バッテリである場合、これら高温バッテリと低温バッテリとを熱交換させるためには、以下のような経路となる。すなわち、低温バッテリが収納されているバッテリ収納部9、このバッテリ収納部9の第1連結ダクト11a、第1ダクト本体11b、高温バッテリが収納されているバッテリ収納部9の第1連結ダクト11a、この第1連結ダクト11aが連結されているバッテリ収納部9、高温バッテリが収納されているバッテリ収納部9の第2連結ダクト12a、第2ダクト本体12b、及び低温バッテリが収納されているバッテリ収納部9の第2連結ダクト12aに、この順で空気が流れる経路となる(
図8における矢印Y4参照)。この経路によって、高温バッテリと低温バッテリとの間で熱交換が行われる。
【0082】
ここで、上記の経路とするために、制御弁6は、高温バッテリ及び低温バッテリが収納されている第1連結ダクト11aが開放され、その他は閉塞される。第2連結ダクト12aには制御弁6が設けられていないが、対応する第1連結ダクト11aの制御弁6が閉塞されることにより、結果的にこの閉塞された制御弁6に対応する第2連結ダクト12aの空気の流れが遮断される。
【0083】
このため、
図8に示すように、低温バッテリと高温バッテリとの間で空気が循環される閉経路が形成される。そして、ヒータ付き送風機205によって、低温バッテリと高温バッテリとの間で空気が循環される(
図8の矢印Y4参照)。ヒータ付き送風機205の図示しないヒータは停止されている。これによって、高温バッテリと低温バッテリとの間で空気を熱交換媒体とした熱交換が行われる。
【0084】
高温バッテリと低温バッテリとの熱交換と同時に、各バッテリBへの充電も行われる。これにより、各バッテリBへの充電が効率よく行われ、充電が完了するとバッテリ充電装置1の動作が完了する。
このように、上述の第2実施形態では、バッテリ収納部9に収納されたバッテリBの中に、高温バッテリと低温バッテリとのいずれも存在している場合、バッテリ充電装置201を好適に用いることができる。
【0085】
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0086】
例えば上述の実施形態では、バッテリ充電装置1,201は、電気車両に搭載される複数のバッテリBを電気車両から取り出し、これらバッテリBをバッテリ充電装置1,201に取り付けてバッテリBを充電する装置である場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、様々な用途に用いられるバッテリの充電装置として、上述のバッテリ充電装置1,201の構成を適用することができる。
【0087】
上述の実施形態では、バッテリ充電装置1,201は、例えば4つのバッテリ収納部9を備えている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、バッテリ収納部9は、少なくとも2つあればよい。バッテリ充電装置1,201は、4つ以上のバッテリ収納部9を備えていてもよい。
【0088】
上述の実施形態では、バッテリ収納部9は、箱状のBOX本体8を複数の仕切板10によって仕切ることにより形成される場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、個別にバッテリ収納部9を用意してもよい。各バッテリ収納部9に、流路部4が連結されていればよい。
【0089】
上述の実施形態では、バッテリBはBMSを有し、バッテリB自身の充電残容量や温度等を信号として制御装置7に出力する場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、バッテリ充電装置1,201に、バッテリBの温度を検出するセンサ等を設けてもよい。このセンサの検出結果に基づいて、経路特定部27によって空気の流通経路を特定してもよい。バッテリ充電装置1,201は、バッテリBの温度情報以外の情報、つまり、充電残容量等の情報を得られなくてもよい。
【0090】
上述の実施形態では、バッテリ充電装置1,201に、ヒータ5b及び電動ファン5cを有するヒータ付き送風機5,205を設けた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、流路部4に、ヒータ5bと電動ファン5cとをそれぞれ別々に設けてもよい。高温バッテリと低温バッテリとの間で熱交換を行うのみの場合、バッテリ充電装置1,201は、ヒータ5bを備えていなくてもよい。
【0091】
上述の実施形態では、バッテリBの温度調整を行うための熱交換媒体として空気を用いた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、バッテリBの加熱や放熱を行える熱交換媒体であればよい。例えば空気に代わって液体を用いてもよい。液体を用いる場合、例えばバッテリ収納部9にヒートパイプ等を引き回してもよい。
【0092】
上述の実施形態では、空気を加熱するヒータ5bは、例えば電気式のヒータが用いられる場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、空気等の熱交換媒体を加熱できればよい。例えば地熱や太陽光、夏場の外気等を使用してもよい。
また、上述のバッテリ充電装置1,201に、バッテリBの温度情報や充電残容量等の情報を表示する表示部(図示しない)を設けてもよい。
【0093】
上述の実施形態では、バイパスダクト13に吸気ダクト14が連結される場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、第1ダクト11又は第2ダクト12に吸気ダクト14を連結してもよい。
【0094】
上述の実施形態では、バッテリ収納部9と連結される第1ダクト11、第2ダクト12、排気ダクト15のうち、第1ダクト11と第2ダクト12とにそれぞれ制御弁6を設けた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、排気ダクト15の排気連結ダクト15aに制御弁6を設け、弁制御部28によって制御を行ってもよい。これにより、排気ダクト15における流路を明確にすることができる。
【符号の説明】
【0095】
1,201…バッテリ充電装置、2…バッテリBOX、3…充電部、4,204…流路部、5,205…ヒータ付き送風機、5a…筒体、5b…ヒータ(加熱部)、5c…電動ファン(送出部)、6…制御弁、7…制御装置、8…BOX本体、8a…壁面、9…バッテリ収納部、10…仕切板、11…第1ダクト(第1流路)、11a…第1連結ダクト(連結流路)、11b…第1ダクト本体(流路本体)、12…第2ダクト(第2流路)、12a…第2連結ダクト(連結流路)、12b…第2ダクト本体(流路本体)、13…バイパスダクト(バイパス路)、14…吸気ダクト(供給路)、14a…吸気口、15…排気ダクト(排出路)、15a…排気連結ダクト、15b…排気ダクト本体、15c…排気口、16…循環ダクト(循環路)、21…データ取得部(温度情報取得部)、22…充電器駆動制御部、23…風流制御部、24…送風機制御部、25…充電制御部、26…充電温度基準値記憶部、27…経路特定部、28…弁制御部、29…バッテリ温度基準値記憶部、31…ファン制御部(送出制御部)、31…ファン制御部、32…ヒータ制御部(加熱制御部)