(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046764
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】タンク車
(51)【国際特許分類】
B60P 3/22 20060101AFI20230329BHJP
F16K 37/00 20060101ALI20230329BHJP
B67D 7/78 20100101ALI20230329BHJP
【FI】
B60P3/22 Z
F16K37/00 D
B67D7/78 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155544
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】▲今▼岡 大策
(72)【発明者】
【氏名】津山 遼
【テーマコード(参考)】
3E083
3H065
【Fターム(参考)】
3E083AA13
3E083AE01
3E083AE11
3E083AJ11
3H065AA06
3H065BA01
3H065BA07
3H065BB11
3H065CA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】弁体の切替不良が発生することを抑制できるタンク車を提供する。
【解決手段】タンクと、配管と、配管に設けられる方向切替弁31であって、弁体46及び、弁体を回動させる弁駆動部を有する方向切替弁と、弁駆動部に係合する係合部を有して、係合部が回動することで弁駆動部を回動させる駆動手段と、係合部の回動量を検知するセンサと、センサの検知結果に応じて係合部の回動を制御する制御部と、を備え、弁駆動部は、係合部によって回動させられる駆動軸部470と、駆動軸部を弁体の停止位置に対応した位置に案内するガイド部471と、を備え、駆動軸部は、回動した際に係合部が駆動軸部に対して複数の停止位置の各々から所定角度空回りするように係合部に係合し、ガイド部は、前記駆動軸部の回動に伴って移動する嵌合部472と、嵌合部を案内するガイド傾斜面を含み、弁駆動部が停止位置に位置したときに嵌合部が嵌合可能な嵌合凹部と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に載せられるタンクと、
該タンク内の液体を吐出したり該タンク内に液体を吸入したりするための配管と、
該配管に設けられる方向切替弁であって、弁体及び、該弁体を回動させる弁駆動部を有し、前記弁体が回動することで前記配管の経路を切替える方向切替弁と、
該弁駆動部に係合する係合部を有して、該係合部が回動することで前記弁駆動部を回動させる駆動力を生じる駆動手段と、
前記係合部の回動量を検知するセンサと、
該センサの検知結果に応じて前記係合部の回動を制御する制御部と、を備え、
該制御部は、前記配管における前記経路が異なる複数の流路となるよう各流路に対応して規定された複数の停止位置に前記弁体を停止するよう前記駆動手段を駆動制御するように構成され、
前記弁駆動部は、前記係合部が係合し、前記係合部によって回動させられる駆動軸部と、該駆動軸部を前記弁体の停止位置に対応した位置に案内するガイド部と、を備え、
前記駆動軸部は、前記係合部が回動方向の一方及び他方の少なくとも一方に回動した際に、前記係合部が前記駆動軸部に対して前記複数の停止位置の各々から所定角度空回りするように前記係合部に対して係合し、
前記ガイド部は、嵌合部と、前記嵌合部を案内する傾斜面であるガイド傾斜面を含む嵌合凹部であって、前記弁駆動部が前記停止位置に位置したときに前記嵌合部が嵌合可能な前記嵌合凹部と、を備える嵌合受け部と、を備え、
前記嵌合部は、前記駆動軸部の回動に伴って前記嵌合凹部に対して相対移動するよう構成され、
前記嵌合部及び前記嵌合受け部の一方は前記駆動軸部に固定され、前記駆動軸部と共に同軸で回動し、
前記嵌合部及び前記嵌合受け部の他方は、前記駆動軸部の回動にかかわらず回動しないように固定され、
前記嵌合部は、前記嵌合凹部に嵌合する嵌合本体部と、前記嵌合本体部を前記嵌合受け部側に付勢する付勢部と、を備えるタンク車。
【請求項2】
前記ガイド傾斜面は、前記嵌合凹部から、前記嵌合本体部の移動方向の一方側及び他方側に配置される請求項1に記載のタンク車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散水車やタンクローリ等のタンク車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タンク車として、特許文献1に記載のタンク車が知られている。タンク車は、流体を溜めるタンクと、タンクに対して流体を吸入したりタンクから流体を吐出したりするための回路を形成する複数の配管と、複数の配管を接続する弁体を有する方向切替弁と、を備え、方向切替弁は弁体の姿勢を切り替えることで、回路を切替え、タンクに流体を吸入する状態及びタンクから流体を吐出する状態を切り替え可能である。
【0003】
方向切替弁は、弁体に連結される駆動軸と減速機に設けられる回転軸とに接続され、回転軸の回転によって弁体の姿勢を切り替えることができるように構成されている。また、回転軸は、制御部によって回転量が制御され、回転軸の回転量(回転角度)は、減速機に設けられるアングルセンサによって検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなタンク車では、アングルセンサの取り付け位置の寸法誤差などによって、回転軸の検出される回転角度にずれが生じる恐れがあり、検出角度がずれると、ずれた角度で制御部が前記回転量の制御を行ってしまうことにより、方向切替弁の弁体の切替不良が生じることがある。
【0006】
そこで、本発明は、弁体の切替不良が発生することを抑制できるタンク車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のタンク車は、車体に載せられるタンクと、該タンク内の液体を吐出したり該タンク内に液体を吸入したりするための配管と、該配管に設けられる方向切替弁であって、弁体及び、該弁体を回動させる弁駆動部を有し、前記弁体が回動することで前記配管の経路を切替える方向切替弁と、該弁駆動部に係合する係合部を有して、該係合部が回動することで前記弁駆動部を回動させる駆動力を生じる駆動手段と、前記係合部の回動量を検知するセンサと、該センサの検知結果に応じて前記係合部の回動を制御する制御部と、を備え、該制御部は、前記配管における前記経路が異なる複数の流路となるよう各流路に対応して規定された複数の停止位置に前記弁体を停止するよう前記駆動手段を駆動制御するように構成され、前記弁駆動部は、前記係合部が係合し、前記係合部によって回動させられる駆動軸部と、該駆動軸部を前記弁体の停止位置に対応した位置に案内するガイド部と、を備え、前記駆動軸部は、前記係合部が回動方向の一方及び他方の少なくとも一方に回動した際に、前記係合部が前記駆動軸部に対して前記複数の停止位置の各々から所定角度空回りするように前記係合部に対して係合し、前記ガイド部は、嵌合部と、前記嵌合部を案内する傾斜面であるガイド傾斜面を含む嵌合凹部であって、前記弁駆動部が前記停止位置に位置したときに前記嵌合部が嵌合可能な前記嵌合凹部と、を備える嵌合受け部と、を備え、前記嵌合部は、前記駆動軸部の回動に伴って前記嵌合凹部に対して相対移動するよう構成され、前記嵌合部及び前記嵌合受け部の一方は前記駆動軸部に固定され、前記駆動軸部と共に同軸で回動し、前記嵌合部及び前記嵌合受け部の他方は、前記駆動軸部の回動にかかわらず回動しないように固定され、前記嵌合部は、前記嵌合凹部に嵌合する嵌合本体部と、前記嵌合本体部を前記嵌合受け部側に付勢する付勢部と、を備える。
【0008】
かかる構成によれば、嵌合本体部が付勢部によって嵌合受け部側に付勢されているので、嵌合本体部がガイド傾斜面に差し掛かった際に嵌合凹部まで移動するようにガイドされ、駆動軸部が弁体の停止位置に対応した位置にガイドされ、かつ、係合部が駆動軸部に対して空回り可能であるので、制御部が係合部を回動させる角度にずれがあったとしても、空回りでずれを吸収しつつ駆動軸部を停止位置に位置させることができる。よって、弁体の切替不良が発生することを抑制できる。
【0009】
また、前記ガイド傾斜面は、前記嵌合凹部から、前記嵌合本体部の移動方向の一方側及び他方側に配置されることもできる。
【0010】
かかる構成によれば、嵌合部が一方側から嵌合凹部に向かって移動する場合及び他方側から嵌合凹部に向かって移動する場合の両方で駆動軸部を停止位置に対応した位置にガイドすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、弁体の切替不良が発生することを抑制できるタンク車を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る散水車の正面図である。
【
図10】同電動モータと減速機の一部平面断面図である。
【
図11】同減速機構の要部を表す一部平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係るタンク車を散水車として、
図1乃至
図15を参照して説明する。まず、本発明の第一の実施形態を説明する。
【0014】
図1及び
図2に示すように、散水車の車体1は、前方に運転室2が配置され、運転室2の後方下部にフレーム3が配置されている。フレーム3の上部に水W(流体の一例)を溜めるためのタンク4が、支持部材5を介して配置されている。タンク4の内部前方下部かつ隅部に、区画された呼水室6が配置されている。なお、タンク4の上部には、タンク4内に水Wが満水の際にこれを検知する満水センサ11が配置されている。
【0015】
このような散水車では、運転室2の下部と、フレーム3の後部とから水Wが吐出されるように、運転室2下部に、前方散水ノズル9,9と、フレーム3の後方下部に配置された後方散水ノズル10,10とを備えている。これより、工事現場の路面等に散水することが可能である。また、散水車は、タンク4に水Wが不足するとき、例えば貯水槽12等である外部施設から、吸水ホース13を介してタンク4内に水Wを吸水するよう構成されている。
【0016】
すなわち、散水車は、
図3、
図4に示すように、タンク4から水Wを散水したり、タンク4に対して水Wを吸水したりするための配管(回路)を備えている。この配管は、タンク4内の水Wを吐出したり、タンク4内に水Wを吸入したりするためのもので、タンク配管15、呼水配管16、合流配管19、前方散水配管17、吸水配管18、方向切替回路20、放水配管21、および後方散水配管22を備える。
【0017】
タンク配管15は、タンク4の下部の前方途中に配置されている。タンク配管15の端部側には前方散水配管17が接続され、前方散水配管17の端部には一対の仕切弁(ボールバルブ)24,24が配置されている。各仕切弁24,24の端部には、散水ホース24aを介して前記前方散水ノズル9,9が配置されている。また、前方散水配管17の途中には、前方弁(ソレノイドバルブ)25が接続されている。
【0018】
呼水配管16は、タンク4の下部の前端部に配置され、呼水配管16は、タンク4に区画された呼水室6に連通可能である。
【0019】
呼水配管16のタンク4側に呼水弁(ソレノイドバルブ)26が接続されている。また、呼水配管16の端部側に吸水配管18が接続され、吸水配管18の端部には、吸水口27が接続されている。吸水配管18には、吸水弁(ソレノイドバルブ)28が接続されている。吸水口27には、吸水ホース13が着脱自在に接続されている。吸水ホース13の先端には、ストレーナ29が配置されている。ストレーナ29と、吸水ホース13の一部は、前記貯水槽12に浸すことができる。
【0020】
前記タンク配管15および呼水配管16は、これらを合流させる合流配管19により接続される。
【0021】
合流配管19と、後述する前方配管30とは、方向切替弁31を介して接続されている。ここで、方向切替弁31を含む方向切替回路20について説明する。方向切替回路20は、方向切替弁31と、ポンプ32と、リリーフ弁33とを備える。
【0022】
方向切替弁31のポートについて説明する。まず、方向切替弁31は、駆動手段に連結された四方向弁である。駆動手段は電動モータ34、減速機45、及び係合部(カップリング59)を有している。減速機45及びカップリング59については、後に詳述する。
【0023】
この四方向弁は、
図5、
図6に示すように、ケース31Aの内部にエルボ管46aが接続されたボール46が内装されている。そして、電動モータ34および減速機45は、タンク側操作部F(
図1参照)に内装されており、駆動手段の動力を出力する減速機の回転軸56は、方向切替弁31のボール46を回動させる、弁駆動部47としての駆動軸部470に係合部を介して連結されている。
【0024】
弁駆動部47は、駆動手段の一部である係合部から回動力を受け取り、ボール46(弁体)を回動させる駆動軸部470と、後述するボール46の停止位置に対応した位置に駆動軸部470を案内するガイド部471と、を備える。本実施形態の駆動軸部470は、断面四角形状の棒状体である(
図13参照)。
【0025】
ガイド部471は、駆動軸部470に固定され、駆動軸部470の回動に伴って駆動軸部470と同軸で回動する嵌合部472と、駆動軸部470がボール46の停止位置に対応する位置に位置したときに嵌合部472が嵌合する嵌合受け部473と、を備える。本実施形態のガイド部471は、いわゆるノッチ機構である。
【0026】
嵌合部472は、駆動軸部470に固定される嵌合基部474と、嵌合基部474からボール46側に向かって突出する球状の嵌合本体部475と、嵌合本体部475と嵌合基部474を連結し、嵌合本体部475を嵌合受け部473側に付勢する付勢部476と、を備える。本実施形態の付勢部476は、弾性体で構成される。即ち、本実施形態で、嵌合本体部475は、嵌合受け部473側から嵌合基部474側に押されたときに、付勢に抗って嵌合基部474側に移動可能である。また、本実施形態の付勢部476は、コイルバネで構成されている。なお、付勢部476は、コイルバネで構成される場合に限らず、板ばねやゴムなど種々の弾性体で構成することができる。
【0027】
図14に示すように、嵌合受け部473は、駆動軸部470の回動にかかわらず回動しないように構成された部位である。本実施形態の嵌合受け部473は、ケース31Aに設けられている。また、嵌合受け部473は、駆動軸部470がボール46の各停止位置に対応した位置に位置したときに、嵌合部472が嵌合する複数の嵌合凹部477を備える。本実施形態で嵌合凹部477は、嵌合部472の移動方向で90度ずつ離間して4か所に設けられる。具体的に、嵌合受け部473は、弁駆動部47が停止位置に位置したときに嵌合部472が嵌合可能な嵌合凹部477と、嵌合凹部477に設けられ、嵌合部472を嵌合凹部477における所定位置に案内する傾斜面であるガイド傾斜面478と、を備える。具体的に、ガイド傾斜面478は、嵌合部472を、嵌合凹部477における、弁駆動部47が停止位置に位置したときに嵌合部472が位置する位置に案内する。本実施形態の嵌合受け部473は、ケース31Aに形成された円錐形状の窪みである。即ち、本実施形態の嵌合受け部473は、嵌合部472の回動方向の一方側及び他方側にガイド傾斜面478が設けられ、両ガイド傾斜面478によって嵌合部472が嵌合する嵌合凹部477が形成される。また、本実施形態で、ガイド傾斜面478は、嵌合凹部477から嵌合本体部475の移動方向で一方側及び他方側に配置される。このようなガイド傾斜面478は、駆動軸部470の回動に伴って嵌合本体部475が嵌合凹部477に接近した際に、駆動軸部470の回動角度で所定角度分、嵌合本体部475を嵌合凹部477まで案内する。ガイド傾斜面478によって案内された嵌合部472は、嵌合凹部477によって一定位置で保持される。本実施形態では、嵌合本体部475がガイド傾斜面478に輪状に当接することで、嵌合部472が一定位置に保持される。
【0028】
合流配管19は、方向切替弁31の〔a〕ポートに接続されている。ポンプ32における水Wの流入側には、流入配管35が接続され、この流入配管35の端部は、方向切替弁31の〔b〕ポートに接続されている。ポンプ32における水Wの流出側には、流出配管37が接続され、流出配管37は、方向切替弁31の〔c〕ポートに接続されている。リリーフ弁33は、流出配管37のうち、合流配管19側に配置されている。前述した前方配管30は、方向切替弁31の〔d〕ポートに接続され、前方配管30の端部は、前方散水配管17と吸水配管18との接続点Tに配置されている(
図4参照)。
【0029】
図5に示すように、ボール46が〔a〕ポートと〔c〕ポートとを接続している姿勢0°とし、反時計回りを正回動、時計回りを逆回動とする。ここで、90°ずつポートを備える本実施形態の方向切替弁31では、正規の姿勢は〔d〕ポートと接続する姿勢が90°、ケース31Aの下部とボール46とを相対させた姿勢が180°、〔b〕ポートと接続する姿勢が270°とそれぞれ規定される。
【0030】
ポンプ32は、プーリ機構36によって駆動され、プーリ機構36は、散水車のエンジン(PTO)に連結される。以上が、方向切替回路20についての構成である。
【0031】
また、放水配管21は、前方配管30に接続され、放水配管21の端部に放水口38が接続される。また、放水配管21において、放水口38側に放水弁39が配置されている。
【0032】
後方散水配管22は、タンク4のフレーム3の下部の後方に配置されている(
図1参照)。後方散水配管22の端部には、仕切弁(ボールバルブ)40,40に接続された後方散水ノズル10,10が配置されている。後方散水配管22における、タンク4の基端と後方散水ノズル10,10との間に、後方散水弁41が配置されている。
【0033】
図7に示すように、タンク側操作部Fと運転室操作部には、制御部48が接続されており、リリーフ弁33、仕切弁24,24、仕切弁40,40、および放水弁39以外の弁は、制御部48により制御操作される。また、方向切替弁31は、電動モータ34が制御部48で制御されることで、ボール46が駆動され、ボール46を介して〔a〕~〔d〕のポートが配管に対して連通するよう構成されている。
【0034】
図8ないし
図12を参照して、前述した減速機45の構造を説明する。
図8および
図9に示すように、減速機45は、金属製のハウジング49と、
図10および
図11に示すように、ハウジング49に収容された減速機構50とを備える。
【0035】
図10に示すように、電動モータ34の出力軸34aに連なる減速機構50は、そのモータ出力を減速するよう、まず、電動モータ34の出力軸34aに連結される入力軸52aを含むウォームギヤ機構52で一次減速を行い、さらにそのウォームギヤ機構52の出力側、即ち
図11に示すように、ウォームホイール53に連なる歯車列54で二次減速を行うものである。その歯車列54の出力歯車55と一体的に回転する回転軸56は、一部がハウジング49外に延出している。また、回転軸56は、減速機45の出力軸に相当する。
【0036】
図11に示すように、回転軸56のうち一部がハウジング49外に延出している部分を延長部57と称する。延長部57には、
図12に示すように、プライマリギヤ58が嵌合されている。また、回転軸56のほぼ同軸上に、方向切替弁31のボール46を駆動するための駆動軸部470が配置されている。そして、延長部(延長軸)57と駆動軸部470とは、係合部としてのオルダム式のカップリング59で連結されている。
【0037】
このカップリング59は、凹凸嵌合式であり、ボール46の駆動軸部470と減速機45の回転軸56(延長部57)とを、周方向で係止する。すなわち、カップリング59は、ボール46の駆動軸部470に係合する駆動軸部側部60と、減速機45の回転軸56に外嵌された減速機側部61とが周方向で係止可能に構成されている。駆動軸部側部60と減速機側部61は、周方向に間隔をあけて複数の凸部が並設されており、凸部どうしの間が凹部となっている。なお、カップリング59において、駆動軸部側部60が減速機側部61に対して空回りすることがあるが、このカップリング59における空回りは、本実施形態での作用効果を奏するものではない。
【0038】
そして、駆動軸部側部60と減速機側部61は、一方の凸部が他方の凹部に嵌合することで連結される。これにより駆動軸部側部60の凸部と減速機側部61の凸部が周方向で隣り合って係合するものである。このカップリング59においては、減速機側部61の回動に周方向に前後して駆動軸部側部60が回動する。
【0039】
図13に示すように、駆動軸部側部60と駆動軸部470の連結は凹凸嵌合によってなされる。具体的に、駆動軸部側部60は、筒状で、内部に四角形状の孔である嵌合孔部601を有し、嵌合孔部601は、内部に駆動軸部470を挿通可能に構成され、駆動軸部470を嵌合孔部601に挿通することで駆動軸部側部60と駆動軸部470とが連結される。本実施形態で、駆動軸部470と嵌合孔部601は相似形状である。また、嵌合孔部601は、内部の空間が駆動軸部470よりも大きく形成されており、駆動軸部470を内部に挿通した状態で、駆動軸部470と嵌合孔部601の間には隙間Sが形成される。駆動軸部470と嵌合孔部601の間の隙間Sは、嵌合孔部601が駆動軸部470に対して所定角度空回りできる程度の隙間Sである。即ち、本実施形態で、駆動軸部470は、カップリング59に係合した状態で、カップリング59が駆動軸部470に対して所定角度を基準として空回りするようにカップリング59に係合する。なお、空回りとは、カップリング59が駆動軸部470に対して相対回動することをいい、カップリング59のみが回動し、回動力が駆動軸部470に伝達されない状態を指す。駆動軸部470が嵌合孔部601に対して空回り可能な角度は、ガイド部471におけるガイド傾斜面478が嵌合本体部475を嵌合凹部477に案内できる角度よりも小さく構成される。なお、
図13及び15において、駆動軸部470がカップリング59に対して空回りする角度は、図の理解のために誇張して表現している。
【0040】
図12に戻って、ハウジング49の外部には、ハウジング49の側面49aと平行に配
置された取付部材Bが配置されている。取付部材Bの外面には、ボス部63が配置され、ボス部63の軸心にブッシュ64が配置されている。なお、ブッシュ64はボルト62によりボス部63から軸方向に抜け出さないよう固定されている。ブッシュ64には、プライマリギヤ58に噛合するセカンダリギヤ65が嵌合されている。また、ブッシュ64におけるセカンダリギヤ65からの突出部分には、ポジショニングエレメント66が外嵌されて、ポジショニングエレメント66は、セカンダリギヤ65とともに回転する。
【0041】
そして、ポジショニングエレメント66の外側に、アングルセンサ(ロータリエンコーダ)67が配置され、アングルセンサ67は、セカンダリギヤ65とともに回動するポジショニングエレメント66の回動角度を検出する。すなわち、減速機45には、回転軸56の回動角度を検出するアングルセンサ67(角度検出手段)が配置され、回転軸56の回動角度は、アングルセンサ67によって検出され、制御部48に入力される。
【0042】
また、アングルセンサ67は、制御部48の入力端子に出力信号線が接続され、ポジショニングエレメント66は、アングルセンサ67の入力側に接続される。
【0043】
上記散水車は、フレーム3の上部前方に配置されたタンク側操作部F(
図1参照)によって、作業者によって操作される。以下、散水車における水Wの流れの一例を示す。
【0044】
タンク側操作部Fには、本実施形態では、少なくとも自動呼水モードスイッチS1、吸水モードスイッチS2が配置されている。自動呼水モードスイッチS1が作業者によって操作されると、貯水槽12に浸された吸水ホース13によって、吸水に至るまでの準備、すなわち、呼水室6から水Wを吸水ホース13に送るよう動作させる。また、吸水モードスイッチS2が作業者によって操作されると、吸水ホース13を介してタンク4内に水Wが満たされ、満水センサ11によってタンク4内が満水となる。
【0045】
また、前方散水ノズル9,9や後方散水ノズル10,10からの吐出動作については、運転室操作部で行われ、この運転室操作部は、運転室2(例えば、ダッシュボード)に配置される。この場合では、前方散水ノズル9,9の吐出をON,OFFするための前方散水スイッチを設け、また、後方散水ノズル10,10の吐出をON,OFFするための後方散水スイッチを設ける。
【0046】
上記構成を備えた散水車の散水動作は、次のようにして行われる。タンク4に水Wが満水、あるいはそれに近似するものとし、エンジン(PTO)が駆動した状態とし、また、作業者が仕切弁24,24を開として、運転室2に配置された運転室操作部の前方散水スイッチがONされた場合を考える。
【0047】
この場合は、制御部48により、呼水弁26、吸水弁28、および後方散水弁41が閉となり、また前方弁25が開となって、方向切替弁31のボール46が散水位置に回転され、タンク配管15、合流配管19、前方配管30、および前方散水配管17が開いて(連通して)、散水車の前方散水ノズル9,9から水Wが吐出される。
【0048】
このとき、制御部48は、〔a〕ポートから〔d〕ポートへ開とするよう、駆動手段すなわち、電動モータ34に駆動信号を出力して、減速機45の回転軸56を駆動させる。これによって、カップリング59が周方向で係合する。
【0049】
また、運転室操作部の前方散水スイッチがOFFされると、制御部48により、前方弁25が閉となって、前方散水ノズル9,9からの水Wが停止される。
【0050】
ポンプ32によって、水Wを、放水配管21から、水勢により放水する場合もある。この場合、制御部48によって、呼水弁26、吸水弁28、および後方散水弁41が閉となり、また前方弁25が閉となって、方向切替弁31のボール46が放水位置に回転され、タンク配管15、合流配管19、前方配管30、流入配管35、および流出配管37が開いて(連通して)、散水車の放水配管21から水Wが吐出される。
【0051】
このとき、制御部48は、〔a〕ポートから〔b〕ポートへ開、〔c〕ポートから〔d〕ポートへ開とするよう、電動モータ34に駆動信号を出力して、減速機45の回転軸56を駆動させる。これによって、カップリング59が周方向で係合する。
【0052】
運転室2に配置された運転室操作部の後方散水スイッチがONされた場合、作業者が仕切弁40,40を開とすると、制御部48により、後方散水弁41が開となって、後方散水ノズル10,10から水Wが、自重で吐出される。後方散水スイッチがOFFされると、制御部48により、後方散水弁41が閉となって、後方散水ノズル10,10から、自重で吐出された水Wが停止される。なお、前方散水スイッチ、後方散水スイッチが共にONされることもあり得る。
【0053】
ところで、タンク4に水Wが不足する場合を考える。このような場合、タンク4に水Wを満たすために、散水車を貯水槽12の近くに止め、吸水ホース13(ストレーナ29)の先端部を貯水槽12に浸す。また、エンジンは駆動したままの状態である。
【0054】
そして、作業者がタンク側操作部Fの自動呼水モードスイッチS1をONする。そうすると、制御部48は、呼水弁26を開とし、電動モータ34を駆動して、減速機45の減速機側部61と駆動軸部側部60とを周方向で係止し、方向切替弁31のボール46を、〔a〕ポートから〔d〕ポートへ開となる位置に回動する。これにより、合流配管19、前方配管30を接続する。また、制御部48によって、他に閉とする弁は、後方散水弁41、前方弁25である。
【0055】
呼水配管16は、タンク4に区画された呼水室6に配置されているから、呼水室6の水Wは、合流配管19、前方配管30、吸水配管18から流出されて、吸水ホース13に流水する。つまり、タンク4に水Wを溜めるためには、呼水室6の水Wを用いて自然落下させて呼水経路の呼水とする。また、吸水ホース13に水Wが流出する待機時間は、制御部48により所定時間(例えば20秒)だけ行われる。以上が自動呼水モードである。
【0056】
自動呼水モードが終了し、作業者によって吸水モードスイッチS2がONされると、制御部48は、吸水モードに移行する。吸水モードでは、方向切替回路20のポンプ32が用いられる。このため、制御部48は、電動モータ34を駆動し、減速機45の減速機側部61と駆動軸部側部60とを周方向で係止して、方向切替弁31のボール46を、〔d〕ポートおよび〔b〕ポートに回動し、また、ボール46を、〔d〕ポートから〔b〕ポートへ開となり、〔c〕ポートから〔a〕ポートへ開となるボール46の位置に回動する。これにより、吸水配管18、前方配管30および流入配管35を接続し、流出配管37、合流配管19および呼水配管16を接続させて、貯水槽12の水Wが、呼水室6からタンク4に溜められる。
【0057】
ところで、ポンプ32が駆動すると、貯水槽12の水Wが吸水ホース13に流入する。ここで、自動呼水モードにおいて吸水ホース13には、呼水室6の水Wが呼水として充分に満たされているから、貯水槽12の水Wをタンク4に容易に吸うことができる。タンク4には、満水センサ11が配置されているから、満水を感知できる。
【0058】
上記したように、散水車における水Wは、方向切替回路20の方向切替弁31のボール46を、水Wを流す態様に応じた配管経路となるように回動させることで〔a〕、〔b〕、〔c〕、〔d〕の各ポートを介して流れるが、方向切替弁31のボール46は、直接回動角度を測ることは難しい。
【0059】
よって、ボール46は、減速機45やカップリング59などの駆動部材を介して駆動させ、制御部48としては、ポジショニングエレメント66の回動量を検出するようにする。即ち、本実施形態では、アングルセンサ67が、ポジショニングエレメント66の回動量を検知することで、ポジショニングエレメント66に連結される係合部の回動量を検知できる。
【0060】
次に、
図13乃至
図15を参照して係合部及び駆動軸部470の回動について説明する。ここで、
図13の(a)から(d)と
図14の(a)から(d)はそれぞれ同じ時点における駆動軸部470及びガイド部471の状態を示す。また、
図14では、ガイド部471の状態を模式的に示すため、嵌合本体部475が直線状に移動するものとして記載しているが、実際には、嵌合本体部475は円弧状に移動し、嵌合受け部473は該円弧の円周方向に離間して配置される、
【0061】
まず、駆動軸部470に回動不足が生じた場合について説明する。
図13(a)に示すように、回転軸56が回動することで、係合部としてのカップリング59が回動し、カップリング59の駆動軸部側部60の嵌合孔部601が回動する。ここで、嵌合孔部601と駆動軸部470の間には隙間Sが形成されているので、最初は嵌合孔部601のみが空回りする。即ち、隙間Sによって、嵌合孔部601のみが回動し、駆動軸部470に嵌合孔部601の回動力が伝達されず、駆動軸部470が回動しない。
【0062】
図13(b)に示すように、嵌合孔部601が隙間S分だけ回動したときに、駆動軸部470と嵌合孔部601が当接する。駆動軸部470が嵌合孔部601に当接してからは、嵌合孔部601の回動に伴って、駆動軸部470も回動する。
【0063】
図14(a)(b)に示すように、嵌合本体部475は、駆動軸部470の回動に合わせて移動する。具体的に、
図14(a)に示すように、駆動軸部側部60が駆動軸部470に対して空回りしている状態のときには、嵌合本体部475は嵌合凹部477に嵌合した状態のまま移動しない。また、
図14(b)に示すように、駆動軸部470が嵌合孔部601と当接し、回動し始めると、嵌合本体部475も移動を始める。嵌合本体部475が移動する際には、まず、嵌合凹部477との嵌合が解除される。具体的に、駆動軸部470が移動方向に移動することで、嵌合本体部475がガイド傾斜面478に沿って移動し、付勢部476の付勢に抗って嵌合基部474側に押し上げられ、嵌合凹部477と嵌合本体部475の嵌合が解除される。嵌合が解除された嵌合本体部475は、駆動軸部470の回動に伴って、移動方向に移動する。本実施形態で嵌合本体部475は、ケース31Aの表面を摺動する。
【0064】
図13(c)に示すように、嵌合孔部601が所定角度(例えば90度)回動したときに、制御部48は、アングルセンサ67が回転軸56の所定量の回動を検知することにより駆動軸部470がボール46の停止位置に対応した位置に位置していると判断して、駆動手段の駆動(電動モータ34の回動)を停止させ、嵌合孔部601の回動を停止させる。しかしこの時点で、駆動軸部470は90度回動しておらず、停止位置に対応した位置まで回りきっていない状態である。つまり、この状態では、ボール46は、実際の停止位置に位置していない。つまりここで、駆動軸部470が嵌合孔部601に対して空回りする角度は、嵌合孔部601の回動が停止した時点で、空回りした分だけ駆動軸部470の回転角度は所定角度よりも少なく、しかも、アングルセンサ67の検知にずれがあった場合には、ここからさらにずれが生じる。しかしながら、
図14(c)に示すように、ガイド傾斜面478が嵌合本体部475を嵌合凹部477にガイドする角度よりも小さいので、嵌合孔部601の回動が停止した時点で、嵌合本体部475が嵌合凹部477に完全に嵌合しておらず、一方のガイド傾斜面478上にのみ当接するように位置する。
図14(d)に示すように、嵌合本体部475がガイド傾斜面478上に位置すると、嵌合本体部475が付勢部476によって嵌合受け部473側に付勢されるので、嵌合本体部475がガイド傾斜面478に沿って嵌合凹部477まで移動する。即ち、付勢部476の付勢力がガイド傾斜面478によって、嵌合部472の回動方向の力に変換され、嵌合本体部475がガイド傾斜面478に沿って嵌合凹部477まで移動する。この嵌合本体部475の移動に伴って、
図13(d)に示すように、嵌合部472が固定される駆動軸部470も回動し、ボール46の停止位置に対応した位置まで移動する。よって、嵌合孔部601が付勢本体部をガイド傾斜面478に位置するまで回動させると、駆動軸部470がボール46の停止位置に対応した位置に移動するので、嵌合孔部601の回動角度に多少のずれがあったとしても、駆動軸部470がボール46の停止位置に対応した位置で止まるので、ボール46を停止位置に位置させることができる。
【0065】
また、
図15(a)から(c)に示すように、制御部48が嵌合孔部601を回動させすぎた場合について説明する。まず、制御部48は、
図15(a)の状態から
図15(b)の状態まで、制御部48は、嵌合孔部601が所定角度(例えば90度)回動させ、駆動軸部470がボール46の停止位置に対応した位置に位置する。ここで、嵌合本体部475が嵌合凹部477に嵌合するので、駆動軸部470は、嵌合部472によって回動が規制される状態となり、駆動軸部470はそれ以上回動しなくなる。ここで、アングルセンサ67が検出する回転軸56の回動角度にずれがあり、制御部48が所定角度(例えば90度)を超えて回転軸56を回動させた場合であっても、
図15(c)に示すように、駆動軸部470の回動が規制された状態で嵌合孔部601が回動するので、嵌合孔部601が駆動軸部470に対して空回りする。よって、制御部48が嵌合孔部601を回動させすぎた場合でも、駆動軸部470がボール46の停止位置に対応した位置で止まるので、ボール46が停止位置に位置することができる。
【0066】
以上のように、嵌合本体部475が付勢部476によって嵌合受け部473側に付勢されているので、嵌合本体部475がガイド傾斜面478に差し掛かった際に嵌合凹部477まで移動するようにガイドされ、駆動軸部470が弁体の停止位置に対応した位置にガイドされ、かつ、係合部が駆動軸部470に対して空回り可能である。よって、例えば、アングルセンサ67が検出する回転軸の回動量にずれがあり、制御部48が係合部を回動させる角度にずれがあったとしても、空回りでずれを吸収しつつ駆動軸部470を停止位置に位置されることができる。よって、ボール46(弁体)の切替不良が発生することを抑制できる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0068】
例えば、嵌合部472が駆動軸部470に固定される場合について説明したが、このような場合に限らず、嵌合受け部473が駆動軸部470に固定されるように構成することもできる。
【0069】
また、方向切替弁31は四方弁である場合について説明したが、このような場合に限らず、三方弁や五方弁として構成することもできる。
【0070】
さらに、係合部がカップリング59である場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、回転軸56(減速機45の出力軸)が係合部としての嵌合孔部601として構成され、回転軸56が駆動軸部470に直接係合するように構成することもできる。
【0071】
また、駆動軸部470は棒状の軸であり、係合部は駆動軸部470が嵌合可能な孔が形成された筒状の部位を有し、係合部の孔に駆動軸部470が挿通される場合について説明したが、このような場合に限らず、係合部が棒状の軸を有し、駆動軸部470が筒状である場合であってもよい。
【0072】
さらに、嵌合受け部473は、ケース31Aに形成される場合について説明したが、このような場合に限らず、駆動軸部470の回動によって回動しない態様であればケース31A以外に設けられていてもよい。
【0073】
また、ガイド傾斜面478は、嵌合本体部475の移動方向で、嵌合凹部477の一方側及び他方側に設けられる場合について説明したが、このような場合に限らず、駆動軸部470の回動方向が一方向に決まっている場合には、一方側及び他方側の一方にのみ設けられることとしてもよい。このように構成する場合には、ガイド傾斜面478の設けられない側が、嵌合本体部475の移動を阻害しないように構成されることが好ましい。
【0074】
さらに、嵌合受け部473は、円錐状の窪みである場合について説明したが、このような形状に限らず、例えば、平らな傾斜面であるガイド傾斜面及び球状の窪みである嵌合凹部を備えるように構成することもできる。
【0075】
また、嵌合本体部475は、球状である場合について説明したが、このような形状に限らず、例えば、先端が尖った形状や、先端が丸い砲弾型の形状など種々の形状を採用できる。
【0076】
また、本発明における実施形態では、ボール46の弁駆動部47と減速機45の回転軸56とは、オルダム式のカップリング59で連結された。そして、減速機45は、カップリング59を介して取外し可能な構成とすることもできる。また、係合部は、軸方向や径方向にスライドすることで、弁本体(ボール46)を駆動させる形式とすることもできる。
【0077】
方向切替弁31と減速機45とが、取外し可能であれば、タンク車に方向切替弁31を
設置したまま減速機45を外すことができる。このため、電動モータ34や減速機45に不都合が生じた場合に、方向切替弁31を手動で動かすことができる。
【0078】
上記構成では、駆動手段に減速機を有する例を示したが、減速機を用いないダイレクトドライブ式の電動モータを用い、モータ出力軸34aに係合部を有するようにしてもよい。また、駆動手段の減速機を、ウォームギヤ機構52で一次減速を行い、ウォームギヤ機構52の出力側にウォームホイール53に連なる歯車列54で二次減速を行う減速機45として説明した。しかしながら、図示しないが、さらに三次減速を行う減速機であってもよい。
【0079】
さらに、本発明は散水車でなくてもよく、油や薬品を運搬してタンクを有するタンクローリであってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…車体、2…運転室、4…タンク、6…呼水室、15…タンク配管、16…呼水配管、17…前方散水配管、18…吸水配管、19…合流配管、20…方向切替回路、22…後方散水配管、30…前方配管、31…方向切替弁、32…ポンプ、34…電動モータ(駆動手段)、34a…出力軸、35…流入配管、37…流出配管、45…減速機(駆動手段)、46…ボール、47…弁駆動部、470…駆動軸部、471…ガイド部、472…嵌合部、473…嵌合受け部、474…嵌合基部、475…嵌合本体部、476…付勢部、477…嵌合凹部、478…ガイド傾斜面、48…制御部、50…減速機構、52…ウォームギヤ機構、53…ウォームホイール、54…歯車列、55…出力歯車、56…回転軸、58…プライマリギヤ、59…カップリング(係合部・駆動手段)、60…駆動軸部側部、601…嵌合孔部、61…減速機側部、65…セカンダリギヤ、66…ポジショニングエレメント、67…アングルセンサ(ロータリーエンコーダ)、W…水、F…タンク側操作部、B…取付部材、S…隙間