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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046766
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】軸流送風機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/52 20060101AFI20230329BHJP
   F04D 25/16 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
F04D29/52 B
F04D25/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155546
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000180025
【氏名又は名称】山洋電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】栗林 宏光
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AB62
3H130AB66
3H130AB68
3H130AC30
3H130BA24A
3H130CA22
3H130DD02Z
3H130DF08X
3H130EA01A
3H130EC12A
3H130EC17A
3H130ED02A
(57)【要約】
【課題】摩耗を防止した軸流送風機を提供する。
【解決手段】一対のファンユニット1を有する軸流送風機100であって、各々のファンユニット10、30は、回転軸線L回りに回転するインペラカップとインペラカップから径方向に延びるファン15、35とを有するロータと、インペラカップの内部に設けられたモータと、ロータを収容する収容部とモータを支持するベース部を有するハウジングと、を備える。インペラカップよりも内周側であって各々のベース部の軸方向端面に接続部が設けられており、各々のファンユニット10、30が互いの接続部を介して回転軸線L方向に互いに接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のファンユニットを有する軸流送風機であって、
各々の前記ファンユニットは、
回転軸線回りに回転するインペラカップと、前記インペラカップから径方向に延びるファンと、を有するロータと、
前記インペラカップの内部に設けられたモータと、
前記ロータを収容する収容部と、前記モータを支持するベース部と、を有するハウジングと、
を備え、
前記インペラカップよりも内周側であって各々の前記ベース部の軸方向端面に接続部が設けられており、各々の前記ファンユニットが互いの前記接続部を介して前記回転軸線方向に互いに接続されている、軸流送風機。
【請求項2】
前記軸流送風機は、前記ロータを前記ベース部に対して回転可能に支持する軸受を有し、
各々の前記ベース部は前記軸受を支持するブッシュを有し、
各々の前記ブッシュの軸方向端面に前記接続部が設けられている、請求項1に記載の軸流送風機。
【請求項3】
少なくとも各々の前記収容部は樹脂製であり、
各々の前記ブッシュは金属製である、請求項2に記載の軸流送風機。
【請求項4】
前記軸流送風機は、前記ロータを前記ベース部に対して回転可能に支持する軸受を有し、
各々の前記ベース部は前記軸受を支持するブッシュと、前記ブッシュを支持するブッシュ支持部を有し、
各々の前記ブッシュ支持部の軸方向端面に前記接続部が設けられている、請求項1に記載の軸流送風機。
【請求項5】
少なくとも各々の前記収容部は金属製である、請求項4に記載の軸流送風機。
【請求項6】
各々の前記接続部は互いにねじ嵌合により接続されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の軸流送風機。
【請求項7】
各々の前記接続部は互いに圧入による嵌合により接続されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の軸流送風機。
【請求項8】
各々の前記ベース部の前記軸方向端面に位置決め部が設けられている、請求項1から7のいずれか1項に記載の軸流送風機。
【請求項9】
各々の前記収容部の外周側において、前記モータと接続されるリード線の引き出し空間が開放されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の軸流送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸流送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
一対のファンユニットを直列に連結して風量を増加させる軸流送風機が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の軸流送風機では、一対のファンユニットのうち前段のファンユニットの外周側に雄ねじが設けられ、後段のファンユニットの外周側に雌ねじが設けられている。この雄ねじと雌ねじとを締結することにより、一対のファンユニットが直列に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-28491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のファンユニットには、回転軸部及び軸受を支持するブッシュやハウジングのベース部が径方向の中央部に設けられている。このため、一対のファンユニットが二重反転ファンとして互いに連結されると、各々のブッシュが、ファンユニットの中央部で、互いに接触するように配置される。各々のブッシュは互いに直接連結されていないため、ファンの振動により金属製のブッシュ同士がこすれて摩耗粉が発生する恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、摩耗が防止された軸流送風機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る軸流送風機は、
一対のファンユニットを有する軸流送風機であって、
各々の前記ファンユニットは、
回転軸線回りに回転するインペラカップと、インペラカップから径方向に延びるファンと、を有するロータと、
前記インペラカップの内部に設けられたモータと、
前記ロータを収容する収容部と、前記モータを支持するベース部と、を有するハウジングと、
を備え、
前記インペラカップよりも内周側であって各々の前記ベース部の軸方向端面に接続部が設けられており、各々の前記ファンユニットが互いの前記接続部を介して前記回転軸線方向に互いに接続されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ファンの振動により接続部同士がこすれて摩耗粉が発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る軸流送風機の斜視図である。
図2図1におけるA-Aの断面斜視図である。
図3図1におけるA-Aの断面図である。
図4図1におけるB-Bの断面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る一対のハウジングの斜視図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る一対のハウジングの斜視図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る一対のハウジングの斜視図である。
図8】従来例の軸流送風機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
[第1実施形態]
【0011】
図1は、本発明の第1実施形態に係る軸流送風機の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、軸流送風機100は、一対のファンユニット1を有する。一対のファンユニット1は、前段のファンユニット10と後段のファンユニット30が互いに直列に接続されて構成されている。各々のファンユニット10、30のファンの回転軸線Lは共通である。
【0012】
軸流送風機100は、前段のファンユニット10のファン15と後段のファンユニット30のファン35の回転方向が異なる二重反転ファンである。前段のファンユニット10のファン15から空気が吸い込まれ、後段のファンユニット30のファン35から吸い込まれた空気が吐き出される。なお、本実施形態に係る軸流送風機100は、ファンの回転方向が異なる二重反転ファンであるが、ファンの回転方向が同じように直列に接続された構成であってもよい。
【0013】
図2は、図1におけるA-Aの断面斜視図である。図3は、図1におけるA-Aの断面図である。なお、図3は、説明のためにファンユニット10、30が接続される前の軸流送風機100の構成を示している。
図2、3に示すように、ファンユニット10は、ロータ11と、モータ12と、樹脂製のハウジング13と、を備える。ロータ11は、回転軸線L回りに回転するインペラカップ14と、インペラカップ14から径方向に延びるファン15と、を有する。モータ12は、インペラカップ14の内部に設けられている。ハウジング13は、ロータ11を収容する収容部16と、モータ12を支持するベース部17と、を有する。
同様に、ファンユニット30は、ロータ31と、モータ32と、樹脂製のハウジング33と、を備える。ロータ31は、回転軸線L回りに回転するインペラカップ34と、インペラカップ34から径方向に延びるファン35と、を有する。モータ32は、インペラカップ34の内部に設けられている。ハウジング33は、ロータ31を収容する収容部36と、モータ32を支持するベース部37と、を有する。なお、ファンユニット30は、ファンユニット10と同様の構成を有する。このため以降の説明では、ファンユニット30の各部に同様の符号を付してファンユニット30の詳細な説明は省略し、ファンユニット10の詳細を説明するものとする。
【0014】
インペラカップ14は、軸方向の一方側に開口するカップ状の部材である。このインペラカップ14の内部に、モータ12が設けられている。インペラカップ14はモータ12の可動子と接続されている。モータ12は、インペラカップ14に固定されたファン15を回転させる。
【0015】
図4は、図1における回転軸線Lと直交するB-Bの断面図である。図3、4に示すように、ハウジング13は、回転軸線L方向に延びる円筒状の収容部16と、収容部16の軸方向の一方側の開口に位置する円板状のベース部17と、収容部16とベース部17とを接続する複数のスポーク部22を有している。
円筒状の収容部16の内部にロータ11が回転可能に収容されている。
【0016】
ベース部17は、回転軸線Lと直交する方向に延びる円板形状を有する。ベース部17には、モータ12の固定子および可動子を駆動する回路基板が固定されている。回転軸線L方向から見て、ベース部17は、インペラカップ14と同様の大きさ・形状を有している。これにより、インペラカップ14から径方向に延びるファン15によって生じた気流がベース部17で遮られないようにされている。
【0017】
回転軸線L方向から見て、ベース部17は収容部16から隔てられて配置されている。このベース部17と収容部16との間の空間にスポーク部22が設けられている。スポーク部22はベース部17から径方向に延びて、ベース部17と収容部16とを接続している。なお、スポーク部22は、単にベース部17と収容部16とを接続するのみならず、ファン15によって生じた気流を整流させる静翼として構成してもよい。
【0018】
ところで本実施形態のファンユニット10において、このインペラカップ14よりも内周側であってベース部17の軸方向端面17Eに接続部18が設けられている。図示した例では、接続部18はねじ締結部で構成されている。同様に、ファンユニット30において、インペラカップ34よりも内周側であってベース部37の軸方向端面37Eに接続部38が設けられている。なお、軸方向端面17Eと軸方向端面37Eは互いに向かい合う面である。
前段のファンユニット10と後段のファンユニット30は、互いの接続部18、38を介して回転軸線Lの方向に互いに接続されている。
【0019】
図示した例では、ファンユニット10は、ロータ11をベース部17に対して回転可能に支持する軸受19を有する。この軸受19の内輪部材がロータ11に固定されている。軸受19の外輪部材は、ベース部17に設けられたブッシュ20に固定されている。つまり、ベース部17は、軸受19を支持するブッシュ20を有する。
【0020】
ブッシュ20は、アルミや真鍮等の金属製であり、ベース部17の中心部にインサート成形されている。ブッシュ20は、円筒状の部材である。ブッシュ20の内周面に軸受19が圧入されている。詳細には、ブッシュ20の内周面のうち、回転軸線L方向の中央部に小径部が設けられ、回転軸線L方向の両端部に内径が小径部より大きい大径部が設けられている。軸受19をこの大径部から回転軸線L方向の中央に向かって圧入し、軸受19が小径部に突き当たることで軸受19の回転軸線L方向の位置が定められている。
【0021】
このベース部17の軸方向端面17Eに、接続部18が設けられている。図示した例では、接続部18は、回転軸線L方向に延びる円筒状の部位である。この円筒状の接続部18の内周面に雌ねじが設けられている。ブッシュ20と接続部18は一体の金属部材として構成されている。
【0022】
一方、ファンユニット30のベース部37は円筒状のブッシュ40を有する。ベース部17の軸方向端面37Eに、接続部38が設けられている。接続部38は、回転軸線L方向に延びる円筒状の形状を有する。この円筒状の接続部38の外周面に、接続部18の雌ねじと噛み合う雄ねじが設けられている。なお接続部38の内周面の内径は、圧入される軸受39を挿通させるために、軸受39の外径よりも大きい。
【0023】
本実施形態に係る軸流送風機100によれば、インペラカップ14、34よりも内周側であって各々のベース部17、37の軸方向端面17E、37Eに接続部18、38が設けられており、各々のファンユニット10、30が互いの接続部18、38を介して回転軸線L方向に互いに接続されている。
つまり、特許文献1の軸流送風機とは異なり、本実施形態に係る軸流送風機100においては内周側に設けられた接続部18、38によって、各々のファンユニット10、30が接続されている。このため、ファンユニット10、30が振動してもその内周側に位置する金属製のブッシュ20、40同士がこすれることを抑制でき、摩耗粉の発生を抑制できる。
また、上述した実施形態では、ハウジング13、33は樹脂で構成され、ブッシュ20、40は金属で構成されている。ハウジング13、33が軽量な樹脂で構成しつつ、強度が求められるブッシュ20、40が金属で構成されていることにより、軸流送風機100全体の軽量化を図りながら、強固な接続構造とすることができる。
【0024】
また、上述したように接続部18、38を内周側に設けたことにより、リード線の取り扱いが容易となる。図4および図8を用いてこの効果を説明する。図8は、従来例の軸流送風機の斜視図である。
図8で示した従来例では、収容部の外周側に雄ねじ202、雌ねじ203(接続部に相当)が設けられている。このため、この収容部の外周側の空間にこれら雄ねじ202、雌ねじ203が位置してしまい、収容部から外周側に引き出したリード線の引き回しの妨げになることがあった。
これに対して本実施形態に係る軸流送風機100によれば、接続部18、38が内周側に設けられているので、図8の従来例において接続部が占めていた領域を他の用途に使うことができる。そこで本実施形態に係る軸流送風機100においては、図4に示すように、ハウジング13の収容部16の外周側において、モータと接続されるリード線(不図示)の引き出し空間Sが開放されている。つまり、収容部16の径方向の外側の領域である引き出し空間Sには他の部材が存在していない。このため、この引き出し空間Sを自由に使ってリード線を配置することができる。
【0025】
なお上述した実施形態において、ファンユニット10、30の互いの周方向の位置を定める位置決め部が設けられていてもよい。
図5は、本発明の第1実施形態に係る一対のハウジング13、33の斜視図である。
ハウジング13、33のベース部17、37の軸方向端面17E、37Eに複数の位置決め部21、41が設けられている。位置決め部21は位置決め用溝であり、位置決め部41は位置決め用爪である。また、位置決め用溝と位置決め用爪は、接続部38の雄ねじの回転方向に沿って互いにガイドされるように、ねじ嵌合に対応した形状となっている。これにより、前段のファンユニット10と後段のファンユニット30の接続時における、一対のハウジング13、33の位置決めが容易となる。
[第2実施形態]
【0026】
なお上述した実施形態においては、一対の接続部18、38がねじ嵌合により互いに接続される例を説明したが、本発明はこれに限られない。
図6は、本発明の第2実施形態に係る一対のハウジング13、33の斜視図である。
本発明の第1実施形態と比較して、接続部18、38がねじ嵌合ではなく、圧入による嵌合で接続される構成である点で相違する。
接続部18は円柱状の凹部を有し、接続部38はリング形状の凸部を有する。圧入される凸部を挿通するため、凹部の内周面の内径は凸部の外径より大きい。また、複数の位置決め部21、41は回転軸線L方向に沿ってガイドされるように圧入に対応した形状となっている。これにより、軸流送風機100の組み立て作業(接続作業)が容易となる。
[第3実施形態]
【0027】
また、上述した実施形態では、接続部18、38をベース部17、37の軸方向端面17E、37Eの中心部分に設けた例を説明したが、本発明はこれに限られない。
図7は、本発明の第3実施形態に係る一対のハウジング13、33の斜視図である。
上述した第1実施形態と比較して、ベース部17、37の軸方向端面17E、37Eの中心部分のみではなく、軸方向端面17E、37Eの全体に接続部18、38が設けられている点で相違する。これにより、接続部18、38の嵌合面積を十分に確保することが可能となり、接続部18、38同士を強固に接続することができる。さらに、本発明の第1実施形態と比較して、ハウジング13、33及びブッシュ20、40が、それぞれ樹脂製、金属製ではなく、アルミ等の金属製の一体成型品である点で相違する。これにより、軸流送風機全体の強度や放熱性能の向上を図ることができる。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0029】
1 一対のファンユニット
10 前段のファンユニット
30 後段のファンユニット
11、31 ロータ
12、32 モータ
13、33 ハウジング
14、34 インペラカップ
15、35 ファン
16、36 収容部
17、37 ベース部
17E、37E 軸方向端面
18、38 接続部
19、39 軸受
20、40 ブッシュ
21、41 位置決め部
22、42 スポーク部
100、200 軸流送風機
201 一対のファンユニット
202 雄ねじ
203 雌ねじ
210 前段のファンユニット
230 後段のファンユニット
L 回転軸線
S 引き出し空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8