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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046811
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】車両トラブル対応システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230329BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20230329BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230329BHJP
【FI】
G08G1/00 J
G08G1/13
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155608
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】米山 修蔵
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181MC04
5H181MC12
5H181MC15
5H181MC16
5H181MC27
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】車両で発生したトラブルに関する好適なサービスを提供できる車両トラブル対応システムを提供すること。
【解決手段】車両トラブル対応システム100は、車両10の走行に関するトラブルが車両10で発生したことを検出するトラブル検出部M11と、トラブル検出部M11が検出したトラブルに関連するトラブル情報を取得するトラブル情報送信部M13と、トラブル情報送信部M13が取得したトラブル情報を基に、トラブル検出部M11が検出したトラブルに応じた対策を生成する対策生成部M15と、対策生成部M15が生成した対策に応じた処理を実行する対策実行部M17とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内に配置される第一制御装置と、前記車両外に配置される第二制御装置とを含んで構成され、前記車両の走行に関するトラブルに対応する車両トラブル対応システムにおいて、
前記第一制御装置は、
前記トラブルが前記車両で発生したことを検出するトラブル検出部と、
前記トラブル検出部により検出された前記トラブルに関連するトラブル情報を、前記第二制御装置に送信するトラブル情報送信部と、を備え、
前記第二制御装置は、
前記トラブル情報送信部より送信された前記トラブル情報に応じた対策を生成する対策生成部を備えている、
ことを特徴とする車両トラブル対応システム。
【請求項2】
前記対策生成部は、前記トラブルが発生していない未トラブル車両で前記トラブルが発生することを抑制するための未トラブル車両対策を、前記対策として生成する、
請求項1に記載の車両トラブル対応システム。
【請求項3】
前記対策生成部は、前記未トラブル車両における制御モードを変更する提案、前記未トラブル車両における制御モードを変更する指示、前記未トラブル車両の走行ルートを変更する提案、及び前記未トラブル車両の走行ルートを変更する指示の少なくとも何れか1つの対策を、前記未トラブル車両対策として生成する、
請求項2に記載の車両トラブル対応システム。
【請求項4】
前記対策生成部は、前記トラブルが発生した既トラブル車両を当該トラブルから脱出させるための対策、及び、前記既トラブル車両が前記トラブルから退避するための対策の少なくとも何れか一方を含む既トラブル車両対策を、前記対策として生成し、
前記第二制御装置は、前記対策生成部により生成された前記既トラブル車両対策を、前記既トラブル車両に送信する対策送信部を備えている、
請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の車両トラブル対応システム。
【請求項5】
前記対策生成部は、前記既トラブル車両における制御モードを変更する提案、前記既トラブル車両における制御モードを変更する指示、前記既トラブル車両の走行ルートを変更する提案、及び前記既トラブル車両の走行ルートを変更する指示の少なくとも何れか1つの対策を、前記既トラブル車両対策として生成する、
請求項4に記載の車両トラブル対応システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両トラブル対応システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両トラブルの発生経過及びトラブル状況を当該車両から外部機関に送信するシステムが記載されている。特許文献1では、車両トラブルとして交通事故が想定されているとともに、外部機関として警察やカーディーラや保険会社が想定されている。そして、当該車両トラブルを円滑かつ迅速に処理しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-274305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両トラブルとしては、交通事故の他、様々なものが考えられる。本発明は、車両に関する様々なトラブルを好適に解決できるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための車両トラブル対応システムは、車両に設けられている第一制御装置と、前記車両外に配置されている第二制御装置と、を有し、前記車両の走行に関するトラブルに対応するシステムである。この車両トラブル対応システムにおいて、前記第一制御装置は、前記トラブルが前記車両で発生したことを検出するトラブル検出部と、前記トラブル検出部により検出された前記トラブルに関連するトラブル情報を、前記第二制御装置に送信するトラブル情報送信部と、を備えている。前記第二制御装置は、前記トラブル情報送信部より送信された前記トラブル情報に応じた対策を生成する対策生成部を備えている。
【0006】
上記構成によれば、第一制御装置において車両で車両の走行に関するトラブルが発生したことが検出されると、当該トラブルに関連するトラブル情報が車両外に送信される。第二制御装置において、第一制御装置から送信されたトラブル情報に応じた対策が生成される。こうして車両で発生したトラブルに応じた対策を生成することにより、車両で発生する様々なトラブルに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態の車両トラブル対応システムを示す模式図である。
図2図2は、トラブル情報を送信する処理の流れを示すフローチャートである。
図3図3は、未トラブル車両対策を生成し、その対策を実施する処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、第2実施形態の車両トラブル対応システムを示す模式図である。
図5図5は、第3実施形態の車両トラブル対応システムを示す模式図である。
図6図6は、サーバ装置において、未トラブル車両対策を生成し、その対策を送信する処理の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、サーバ装置において、既トラブル車両対策を生成し、その対策を送信する処理の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、クライアント装置において、未トラブル車両対策及び既トラブル車両対策を受信し、それらの対策を実施する処理の流れを示すフローチャートである。
図9図9は、クライアント装置において、車両の乗員による意思に応じて車両対策を実施する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、車両の走行に関するトラブル(以下「車両走行トラブル」という)に対応するシステム(以下「車両トラブル対応システム」という)の第1実施形態を図1図3に従って説明する。
【0009】
ここで車両走行トラブルには、車両10の走行に支障をきたすトラブルや車両10の走行が不能となるトラブルが含まれる。車両10の走行に支障をきたすトラブルとしては、例えば、フェード、減速スリップ、バッテリの蓄電量不足、タイヤ間での空気圧の不均衡が含まれる。車両の走行が不能になるトラブルとしては、例えば、スタック、オーバーヒート、浸水、タイヤのバーストが含まれる。タイヤ間での空気圧の不均衡は、複数のタイヤのうちの一部のタイヤで空気漏れが発生した際などに生じ得る。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の車両トラブル対応システム100は、複数の車両10が車車間通信により通信可能に構成されている。ここで車車間通信とは、車両10同士の無線通信である。
【0011】
<車両の構成>
車両10は、車両検出系11、車両表示部12、車両操作部13、車両制御部14及び車両通信部15を備えている。
【0012】
車両検出系11は、車両走行トラブルが車両10で発生したか否かを判断するために必要な情報や、車両走行トラブルが発生した際の状況を示す情報のうち少なくとも1つを検出する。車両検出系11は、例えば、車輪速センサ、加速度センサ、空気圧センサ、撮像装置を含んでいる。空気圧センサはタイヤの空気圧を検出する。撮像装置は車外を撮像する。以下の説明では、車両検出系11の出力を「車両センサ情報」という。
【0013】
車両表示部12は車両制御部14から出力された情報を表示する。車両表示部12は、外部入力された情報を表示する機能(以下「外部情報表示機能」という)を主とする表示部であってもよいし、外部情報表示機能を従とする表示部であってもよい。ここで外部情報表示機能を従とする表示部とは、ナビゲーション装置の表示部のように、その装置の機能による処理結果を表示する機能に加えて、外部情報表示機能を有する表示部のことである。
【0014】
車両操作部13は車両10の乗員による操作を受け付ける。車両操作部13は、操作ボタンを含んでいてもいし、タッチパネルを含んでいてもよい。また、車両操作部13は、音声認識装置を含んでいてもよい。
【0015】
車両制御部14は制御部(以下「CPU」という)及びメモリを備えている。メモリには、制御プログラムが記憶されている。車両制御部14は、CPUが制御プログラムを周期的に実行することにより、トラブル検出部M11、トラブル情報送信部M13、対策生成部M15及び対策実行部M17として機能する。
【0016】
トラブル検出部M11は、車両走行トラブルが車両10で発生したことを検出する。本実施形態では、トラブル検出部M11は、車両センサ情報に基づいて、車両走行トラブルが車両10で発生したことを検出するものとする。以降の説明では、車両走行トラブルが既に発生している車両10を「既トラブル車両10a」といい、車両走行トラブルが未だ発生していない車両10を「未トラブル車両10y」という。
【0017】
トラブル情報送信部M13は、トラブル検出部M11により検出された車両走行トラブルに関連する情報(以下「トラブル情報」という)を生成し、車両通信部15からトラブル情報を車外に送信する。
【0018】
ここでトラブル情報には、車両走行トラブルの種類、車両走行トラブルの発生位置、車両走行トラブルの発生日時、既トラブル車両10aに関する情報、及び、車両走行トラブルの重大度合いが含まれている。また、既トラブル車両10aに関する情報には、既トラブル車両の特徴が、例えば、既トラブル車両10aの車種、駆動方式、装備、及び、動力源が含まれている。車両走行トラブルの重大度合いとしては、例えば、車両走行トラブルから自力で脱出できたか否かを示す情報や、車両走行トラブルが発生した時点からそのトラブルから脱出するまでに要した時間や、車両走行トラブルによって既トラブル車両10aが受けたダメージの大きさが考えられる。
【0019】
対策生成部M15は、1台又は複数台の既トラブル車両10aから送信されたトラブル情報に基づいて、既トラブル車両10aで発生した車両走行トラブルが未トラブル車両10yで発生することを抑制する対策(以下「未トラブル車両対策」という)を生成する。未トラブル車両対策は、未トラブル車両10yにおける車両走行トラブルの発生を未然に回避することを目的とした対策である。
【0020】
対策生成部M15は、トラブル情報としてのトラブル発生位置に基づいて、同一地域に発生している車両走行トラブルの発生数に応じた未トラブル車両対策を生成してもよいし、トラブル情報としてのトラブル重大度に応じた未トラブル車両対策を生成してもよい。対策生成部M15は、同一地域に発生している車両走行トラブルの発生数が所定値よりも少ない場合や、トラブルの重大度が所定レベルよりも低い場合では、未トラブル車両対策を生成しなくてもよい。
【0021】
未トラブル車両対策としては、例えば、トラブル情報を未トラブル車両10yの乗員に通知することが考えられる。この場合、地図上にトラブルの発生位置を所定のマークで示してもよいし、トラブルの重大度合を所定のマークの大きさや形で示してもよい。
【0022】
また未トラブル車両対策としては、例えば、制御モードや走行ルートや装備の変更(以下「制御モード等の変更」という)を提案することや、制御モード等の変更を指示することが考えられる。走行ルートの変更は、トラブル情報としての車両走行トラブルの発生位置に基づいて車両走行トラブルの発生数が比較的少ない走行ルートに変更するものでもよいし、地図情報が示す地形とトラブル情報に含まれる車両走行トラブルの種類とに基づいて車両走行トラブルが発生しにくいと判断される走行ルートに変更するものでもよい。未トラブル車両対策は、未トラブル車両10yによる移動を取りやめることを提案するものでもよいし、未トラブル車両10yによる移動を禁止するものでもよい。
【0023】
ここで、車両走行トラブルがスタックである場合の未トラブル車両対策の一例を説明する。スタックとは、雪やぬかるみに車両10の車輪がはまり、前方及び後方の何れにも車両10を移動させることができなくなる現象である。
【0024】
そのため、スタックに関する未トラブル車両対策としては、車輪に作用する駆動トルクを抑制する制御モードへの変更やスタックが発生する可能性が低いと判断された走行ルートへの変更を提案することや、これらの変更を指示することが考えられる。車輪に作用する駆動トルクを抑制する制御モードとしては、車輪に付与する駆動トルクを抑制する制御モードや、車輪に付与されている駆動トルクの一部を車輪に付与する制動トルクにより相殺する制御モードが考えられる。車輪に付与する駆動トルクを抑制する制御モードとしては、例えばトランスミッションの減速比を抑制する制御モードが考えられる。また、車輪に付与する制動トルクにより車輪に付与されている駆動トルクの一部を相殺する制御モードとしては、例えばトラクションコントロールを介入し易くした制御モードが考えられる。
【0025】
次に、車両走行トラブルが減速スリップである場合の未トラブル車両対策の一例を説明する。減速スリップとは車輪が路面に対して滑る現象である。そのため、減速スリップに関する未トラブル車両対策としては、車輪に作用する制動トルクを抑制する制御モードへの変更や減速スリップが発生する可能性が低いと判断される走行ルートへの変更を提案すること、及びこれらの変更を指示することが考えられる。車輪に作用する制動トルクを抑制する制御モードとしては、アンチロックブレーキを介入し易くした制御モードが考えられる。
【0026】
減速スリップに関する未トラブル車両対策は、タイヤチェーンの装着やスタッドレスタイヤへのタイヤ交換の提案でもよいし、タイヤチェーンの装着場所やスタッドレスタイヤの交換場所やそれらの場所への走行ルートを案内するものでもよいし、タイヤチェーンやスタッドレスの購入場所や購入場所への走行ルートを案内するものでもよい。
【0027】
対策実行部M17は、対策生成部M15により生成された未トラブル車両対策に応じた処理を実行する。
詳しくは、未トラブル車両対策が制御モード等の変更を提案するものである場合、対策実行部M17は、提案内容を車両10の乗員に通知し、当該提案内容を受け入れる乗員の意思を受け付けたことを条件に提案内容を実施する。この場合、対策実行部M17は、提案内容を車両表示部12に表示してもよいし、提案内容を音声に変換してもよい。対策実行部M17は、車両10の乗員による車両操作部13の操作を、乗員の意思として受け付けてもよい。
【0028】
また、未トラブル車両対策が制御モード等の変更を指示するものである場合、対策実行部M17は、車両10の乗員の意思を確認することなく、指示内容を実施する。
<車両走行トラブルに対応する処理の流れ>
図2は、車両10において、車両走行トラブルを検出し、その車両走行トラブルに関するトラブル情報を送信する処理(以下「トラブル情報送信処理」という)の流れを示すフローチャートである。図3は、車両10(未トラブル車両10y)において、既トラブル車両10aから送信されたトラブル情報を受信し、そのトラブル情報に基づいて未トラブル車両対策を生成し、その未トラブル車両対策を実施する処理(以下「対策実施処理」という)の流れを示すフローチャートである。これらの処理に対応する制御プログラムは、車両制御部14のメモリに記憶されており、車両制御部14のCPUにより周期的に実行される。
【0029】
ステップS11において、車両制御部14は、トラブル検出部M11により、車両走行トラブルが検出されたか否かを判定する。車両制御部14は、車両走行トラブルが検出されていないと判定した場合(S11:NO)、今回の処理を終了する一方、車両走行トラブルが検出されたと判定した場合(S11:YES)、ステップS13の処理に移行する。
【0030】
ステップS13において、車両制御部14は、トラブル情報送信部M13により、ステップS11で検出された車両走行トラブルに関連するトラブル情報を生成し、当該トラブル情報を車両通信部15から車外に送信する。その後、車両制御部14は、今回の処理を終了する。
【0031】
図3のステップS21において、未トラブル車両10yの車両制御部14は、車両通信部15により、既トラブル車両10aから送信されたトラブル情報が受信されたか否かを判定する。車両制御部14は、トラブル情報が受信されていないと判定した場合(S21:NO)、今回の処理を終了する一方、トラブル情報が受信されたと判定した場合(S21:YES)、ステップS22の処理に移行する。
【0032】
ステップS22において、車両制御部14は、対策生成部M15により、トラブル情報に基づいて未トラブル車両対策を生成する。
ステップS23において、車両制御部14は、ステップS22で生成された未トラブル車両対策が制御モード等を変更する提案であるか否かを判定する。車両制御部14は、未トラブル車両対策が制御モード等を変更する提案ではないと判定した場合(S23:NO)、ステップS24からS25の処理を実行することなく、ステップS26の処理に移行する一方、未トラブル車両対策が制御モード等を変更する提案であると判定した場合(S23:YES)、ステップS24からS25の処理を実行した後に、ステップS26の処理に移行する。
【0033】
ステップS24において、車両制御部14は、対策実行部M17により、提案内容を未トラブル車両10yの乗員に通知する。この際、車両制御部14は、提案内容に加えて、提案内容を受け入れる乗員の意思を示す方法を、乗員に通知してもよい。
【0034】
ステップS25において、車両制御部14は、対策実行部M17により、未トラブル車両10yの乗員による提案内容を受け入れる意思を受け付けたか否かを判定する。
車両制御部14は、乗員による提案内容を受け入れる意思を受け付けていないと判定した場合(S25:NO)、今回の処理を終了する。車両制御部14は、乗員の意思が受け付けられるまで所定時間待機してもよい。
【0035】
車両制御部14は、乗員による提案内容を受け入れる意思を受け付けたと判定した場合(S25:YES)、ステップS26の処理に移行する。
ステップS26において、車両制御部14は、対策実行部M17により、未トラブル車両対策に応じた処理を実行する。その後、車両制御部14は、今回の処理を終了する。
【0036】
<本実施形態における作用及び効果>
本実施形態によれば、車両10において、車両走行トラブルが発生すると、車両走行トラブルが検出され、車両走行トラブルに関連するトラブル情報が車外に送信される。未トラブル車両10yでは、既トラブル車両10aから送信されたトラブル情報が受信されると、トラブル情報に基づいて未トラブル車両対策が生成され、未トラブル車両対策が実施される。これにより、未トラブル車両10yにおいて車両走行トラブルが発生することを抑制することができる。既トラブル車両10aにおいて発生した車両走行トラブルに応じた未トラブル車両対策が生成されるため、様々な車両走行トラブルの発生を抑制することができる。
【0037】
車両トラブル対応システム100では、複数台の車両10が通信可能に接続されている。そのため、車両走行トラブルの発生数に基づいて未トラブル車両対策を生成することができる。これにより、未トラブル車両10yにおいて適切な未トラブル車両対策を実施することができる。
【0038】
車両トラブル対応システム100では、複数台の車両10が車車間通信により通信可能に接続されている。そのためトラブル情報は、既トラブル車両10aの周辺を走行する未トラブル車両10yに送信される。ここで、既トラブル車両10aと同じ環境を走行する未トラブル車両10yでは、既トラブル車両10aで発生した車両走行トラブルと同じ車両走行トラブルが発生する可能性が高い。したがって、本実施形態によれば、未トラブル車両10yで車両走行トラブルが発生することを効果的に抑制することができる。
【0039】
車両トラブル対応システム100では、トラブル情報が未トラブル車両10yの乗員に通知される。そのため乗員は、トラブル情報に基づいて対策を検討することができる。また車両トラブル対応システム100では、制御モード等の変更が未トラブル車両10yの乗員に提案される。そのため乗員は、制御モード等を変更する提案を受け入れるか否かを判断することができる。すなわち、本実施形態によれば、未トラブル車両10yの乗員の意思を尊重しつつ、未トラブル車両10yで車両走行トラブルが発生することを抑制することができる。
【0040】
本実施形態によれば、未トラブル車両対策として制御モード等を変更する指示が生成され、当該指示が実施される。これより、未トラブル車両10yで車両走行トラブルが発生することを確実に抑制することができる。
【0041】
本実施形態では、車両走行トラブルが発生した車両10である既トラブル車両10aの車両制御部14が、第一制御装置に対応している。また、既トラブル車両10aから送信されたトラブル情報を受信する未トラブル車両10yの車両制御部14が、第二制御装置に対応している。
【0042】
(第2実施形態)
ここで、第1実施形態の車両表示部12、車両操作部13及び車両制御部14の機能の全部又は一部は、車両10の乗員に携帯される移動体通信機(例えば、スマートフォンやタブレット)によって実現してもよい。
【0043】
図4は、車両トラブル対応システムの第2実施形態を示す模式図である。第2実施形態の車両トラブル対応システム200は、移動体通信機30を含んで構成されている。本実施形態では、車両10の乗員が車両10に乗り込むことにより、移動体通信機30が車両10内に配置されることになる。以下の説明においては、第1実施形態と相違している部分について主に説明するものとし、第1実施形態の構成と同一又は相当する構成には同一符号を付して説明を省略するものとする。
【0044】
<移動体通信機の構成>
移動体通信機30は、移動体通信部35、移動体検出系31、移動体表示部32、移動体操作部33及び移動体制御部34を備えている。
【0045】
移動体通信部35は、車両10と通信し、車両10から送信された情報を移動体制御部34に出力し、移動体制御部34から出力された情報を車両10に送信する。移動体通信部35と車両10との通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。
【0046】
移動体検出系31は、車両走行トラブルが車両10で発生したか否かを判断するために必要な情報や、車両走行トラブルが発生した際の状況を示す情報を検出する。移動体検出系31は、例えば、GPS、磁気センサ、加速度センサ、ジャイロスコープ等を含んで構成されている。GPSは位置情報を検出する。磁気センサは磁気の方向を検出する。ジャイロスコープは回転速度を検出する。以下の説明では、移動体検出系31の出力を「移動体センサ情報」という。
【0047】
移動体表示部32は移動体制御部34から出力された情報を表示する。
移動体操作部33は、移動体通信機30の所持者、すなわち車両10の乗員による操作を受け付ける。移動体操作部33は、タッチパネルを含んで構成されてもよいし、音声認識装置を含んで構成されてもよいし、操作ボタンを含んで構成されてもよい。
【0048】
移動体制御部34はCPU及びメモリを備えている。メモリには、制御プログラムが記憶されている。移動体制御部34は、CPUが制御プログラムを周期的に実行することによって、トラブル検出部M211、トラブル情報送信部M213、対策生成部M215及び対策実行部M217として機能する。本実施形態のトラブル検出部M211、トラブル情報送信部M213、対策生成部M215及び対策実行部M217は、それぞれ、第1実施形態のトラブル検出部M11、トラブル情報送信部M13、対策生成部M15及び対策実行部M17に対応する機能である。
【0049】
トラブル検出部M211は、移動体センサ情報に基づいて、車両走行トラブルが車両10で発生したことを検出する。
トラブル情報送信部M213は、トラブル情報を移動体通信部35から車両10に送信し、車両通信部15によりトラブル情報を車外に送信する。
【0050】
対策生成部M215は、1台又は複数台の既トラブル車両10aから送信されたトラブル情報を、車両通信部15及び移動体通信部35を介して取得する。そして対策生成部M215は、トラブル情報に基づいて未トラブル車両対策を生成する。
【0051】
本実施形態の対策実行部M217は、未トラブル車両対策に応じた処理を実行する。未トラブル車両対策がトラブル情報を未トラブル車両10yの乗員に通知するものである場合や、未トラブル車両対策が制御モード等の変更を提案するものである場合、対策実行部M17は、トラブル情報や提案内容を移動体表示部32に表示してもよいし、トラブル情報や提案内容を音声に変換してもよい。
【0052】
本実施形態では、車両走行トラブルが発生した車両10である既トラブル車両10aに持ち込まれた移動体通信機30の移動体制御部34が、第一制御装置に対応している。また、既トラブル車両10aから送信されたトラブル情報を受信する未トラブル車両10yに持ち込まれた移動体通信機30の移動体制御部34が、第二制御装置に対応している。
【0053】
(第3実施形態)
図5は、車両トラブル対応システムの第3実施形態を示す模式図である。第3実施形態の車両トラブル対応システム300は、サーバ装置50とクライアント装置70と車両10とを含んで構成されている。以下の説明においては、上記複数の実施形態と相違している部分について主に説明するものとし、上記複数の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0054】
車両トラブル対応システム300では、サーバ装置50及びクライアント装置70がそれぞれ複数台の車両10と移動体通信ネットワーク302により通信可能に接続されている。サーバ装置50とクライアント装置70とは、移動体通信ネットワーク302により接続されてもよいし、固定通信ネットワークに接続されてもよい。
【0055】
本実施形態では、サーバ装置50は、車両10に車両走行トラブルが発生した際にその車両10の乗員に対してサービスを提供する会社(以下「サービス会社」という)の施設に設置され、クライアント装置70は、サービス会社から提供される情報に応じて車両走行トラブルを処置する組織(以下「第三者」という)の施設に設置されているものとする。第三者としては、警察や道路管理会社やロードサービスやサービス会社と提携している店舗(以下「提携店舗」という)等が考えられる。提携店舗としては、ガソリンスタンドや車両修理工場やカー用品店等が考えられる。
【0056】
<サーバ装置の構成>
サーバ装置50はサーバ制御部54とサーバ通信部55とを備えている。
サーバ通信部55は、移動体通信ネットワーク302を介して受信した情報を、サーバ制御部54に出力し、サーバ制御部54から出力された情報を、移動体通信ネットワーク302を介して送信する。
【0057】
サーバ制御部54はCPU及びメモリを備えている。メモリには、制御プログラムが記憶されている。サーバ制御部54は、CPUが制御プログラムを周期的に実行することによって、対策生成部M315及び対策送信部M319として機能する。
【0058】
対策生成部M315は、第1実施形態の対策生成部M15に対応する機能である。対策生成部M315には、未トラブル車両対策生成部M315yと既トラブル車両対策生成部M315aとが含まれている。
【0059】
未トラブル車両対策生成部M315yは、第1実施形態の対策生成部M15と実質的に同一である。本実施形態の未トラブル車両対策は、第1実施形態と同様、制御モード等の変更を提案するものでもよいし、制御モード等の変更を指示するものでもよい。また、本実施形態の未トラブル車両対策は、車両走行トラブルが多発している道路(以下「トラブル多発道路」という)の制限速度を変更することやトラブル多発道路を通行禁止にすること(以下「制限速度変更等」という)を提案するものでもよいし、制限速度変更等を指示するものでもよい。
【0060】
既トラブル車両対策生成部M315aは、1台又は複数台の既トラブル車両10aから受信したトラブル情報に基づいて、既トラブル車両10aを車両走行トラブルから脱出させるための対策や既トラブル車両10a又はその乗員を退避させるための対策(以下「既トラブル車両対策」という)を生成する。
【0061】
既トラブル車両10aを車両走行トラブルから脱出させるための対策としては、車両走行トラブルからの脱出を第三者に依頼すること(以下「脱出依頼」という)や、制御モード等の変更や脱出依頼を既トラブル車両10aの乗員に提案することや、制御モード等の変更や脱出依頼を指示することが考えられる。脱出依頼には、既トラブル車両10aのトラブルの発生位置まで第三者に出向いてもらうことや、既トラブル車両10aの運転方法等に関して遠隔で第三者からアドバイスをもらうことが含まれる。
【0062】
脱出依頼を提案する際には、依頼先の名称や連絡先や依頼内容に対する費用の見積もりを、既トラブル車両10aの乗員に通知してもよい。トラブルの発生位置まで第三者に出向いてもらうことを提案する場合は、トラブルの発生位置まで第三者が到着するまでに要する時間の見積もりを、遠隔で第三者からアドバイスをもらうことを提案する場合は、第三者からアドバイスをもらうまでに要する待機時間を、既トラブル車両10aの乗員に通知してもよい。
【0063】
既トラブル車両10aやその乗員を退避させるための対策としては、既トラブル車両10aやその乗員を退避させる場所(以下「退避場所」という)の位置や、退避場所までの距離や、退避場所までの経路を、既トラブル車両10aの乗員に通知することが考えられる。退避場所には、既トラブル車両10aを駐車しておく場所や、既トラブル車両10aの乗員が宿泊する場所が含まれる。退避場所が既トラブル車両10aの乗員の宿泊場所である場合は、宿泊場所の連絡先を乗員に通知してもよい。
【0064】
ここで、車両走行トラブルがスタックである場合の既トラブル車両対策の一例を説明する。スタックに関する既トラブル車両対策としては、第三者としてのロードサービスや提携店舗に、スタックに関する脱出依頼をすることやその提案をすることが考えられる。
【0065】
次に、車両走行トラブルがフェードである場合の既トラブル車両対策の一例を説明する。フェードに関する既トラブル車両対策としては、摩擦制動力以外の制動力の活用を促進して摩擦制動力の活用を抑制する制御モードへの変更や制動力の発生が抑制される走行ルートへの変更や既トラブル車両10aの停止を提案することや、これらを指示することが考えられる。摩擦制動力以外の制動力としては、機械制動力や回生制動力が考えられる。
【0066】
対策送信部M319は、未トラブル車両対策生成部M315yにより生成された未トラブル車両対策や既トラブル車両対策(以下「車両対策」という)の送信対象を設定し、その送信対象に車両対策を送信する。対策送信部M319はトラブル情報や車両対策に基づいて送信対象を設定する。
【0067】
例えば、車両対策が未トラブル車両対策である場合、対策送信部M319は、トラブル情報としてのトラブル発生位置に基づいて、既トラブル車両10aの周辺を走行する未トラブル車両10yや、既トラブル車両10aと同一の道路を走行する未トラブル車両10yを、制御モード等を変更する提案や指示の送信対象として設定してもよい。
【0068】
一方、車両対策が既トラブル車両対策である場合、対策送信部M319は、トラブル情報としてのトラブル発生位置に基づいて、既トラブル車両10aの周辺に存在する第三者を、脱出依頼の送信対象として設定してもよい。
【0069】
また、車両対策が未トラブル車両対策である場合、対策送信部M319は、未トラブル車両対策の内容に応じて、送信対象を未トラブル車両10y又は第三者に設定してもよい。この場合、対策送信部M319は、未トラブル車両対策が制御モード等の変更を提案するものや制御モード等の変更を指示するものであれば、送信対象を未トラブル車両10yに設定し、未トラブル車両対策がトラブル多発道路の制限速度変更等を提案するものやトラブル多発道路の制限速度変更等を指示するものであれば、送信対象を第三者としての警察や道路管理会社に設定する。
【0070】
一方、車両対策が既トラブル車両対策である場合、対策送信部M319は、既トラブル車両対策の内容に応じて、送信対象を既トラブル車両10a又は第三者に設定してもよい。この場合、対策送信部M319は、既トラブル車両対策が制御モード等の変更や脱出依頼を提案するものや制御モード等の変更を指示するものであれば、送信対象を既トラブル車両10aに設定し、既トラブル車両対策が脱出依頼をするものであれば、送信対象を第三者としてのロードサービスや提携店舗に設定する。
【0071】
<クライアント装置の構成>
クライアント装置70は、クライアント制御部74とクライアント通信部75とを備えている。
【0072】
クライアント通信部75は、移動体通信ネットワーク302を介して受信した情報を、クライアント制御部74に出力し、クライアント制御部74から出力された情報を、移動体通信ネットワーク302を介して送信する。
【0073】
クライアント制御部74はCPU及びメモリを備えている。メモリには、制御プログラムが記憶されている。クライアント制御部74は、CPUが制御プログラムを周期的に実行することによって対策実行部M321として機能する。
【0074】
対策実行部M321は、サーバ装置50から送信された車両対策に応じた処理を実行する。
例えば、車両対策が第三者としての警察や道路管理会社にトラブル多発道路の制限速度変更等を提案する未トラブル車両対策である場合、対策実行部M321は警察や道路管理会社に上記提案内容を通知する。車両対策が第三者としてのロードサービス会社やガソリンスタンドや車両修理工場に脱出依頼を指示する既トラブル車両対策である場合、対策実行部M321は、ロードサービス会社やガソリンスタンドや車両修理工場に、車両走行トラブルから既トラブル車両10aを脱出させることを依頼する。
【0075】
<車両の構成>
本実施形態の対策実行部M317は、サーバ装置50から送信された車両対策に応じた処置を行う。対策実行部M317には、未トラブル車両対策実行部M317yと既トラブル車両対策実行部M317aとが含まれている。
【0076】
未トラブル車両対策実行部M317yは、第1実施形態の対策実行部M17に対応する機能である。未トラブル車両対策実行部M317yは、サーバ装置50から送信された未トラブル車両対策に応じた処理を実行する。
【0077】
既トラブル車両対策実行部M317aは、サーバ装置50から送信された既トラブル車両対策に応じた処理を実行する。例えば、既トラブル車両対策が制御モード等の変更や脱出依頼の提案である場合、既トラブル車両対策実行部M317aは、制御モード等の変更や脱出依頼の提案内容を既トラブル車両10aの乗員に通知する。また、既トラブル車両対策が制御モード等の変更の指示である場合、既トラブル車両対策実行部M317aは、制御モード等の変更を実施する。
【0078】
本実施形態の車両10の構成は、上述した機能を除き、第1実施形態と実質的に同一である。
<車両走行トラブルに対応する処理の流れ>
(1)トラブル情報送信処理の流れ
本実施形態のトラブル情報送信処理は、図2に示す第1実施形態のトラブル情報送信処理と実質的に同一である。したがって、この処理の説明は省略する。ただし、トラブル情報送信部M13によるトラブル情報の送信対象はサーバ装置50である。
【0079】
本実施形態では、車両走行トラブルが発生した車両10である既トラブル車両10aの車両制御部14が、第一制御装置に対応している。また、既トラブル車両10aから送信されたトラブル情報を受信するサーバ装置50のサーバ制御部54が、第二制御装置に対応している。
【0080】
(2)サーバ装置において車両走行トラブルへの対策を生成する処理の流れ
図6は、サーバ装置50において、既トラブル車両10aから送信されたトラブル情報を受信し、そのトラブル情報に基づいて未トラブル車両対策を生成し、未トラブル車両対策を未トラブル車両10yや第三者に送信する処理(以下「未トラブル車両対策送信処理」という)の流れを示すフローチャートである。この処理に対応するプログラムはサーバ制御部54のメモリに記憶されており、サーバ制御部54のCPUにより実行される。
【0081】
図6のステップS31y及びステップS32yの処理は、それぞれ図3のステップS21及びステップS22に示す第1実施形態の処理と実質的に同一である。
サーバ制御部54は、ステップS31yにおいて既トラブル車両10aから送信されたトラブル情報が受信されたと判定すると、ステップS32yにおいて、未トラブル車両対策生成部M315yにより、トラブル情報に基づいて未トラブル車両対策を生成する。
【0082】
サーバ制御部54は、対策送信部M319により、ステップS37yにおいてトラブル情報や未トラブル車両対策に基づいて送信対象を設定し、ステップS38yにおいて送信対象に未トラブル車両対策を送信する。
【0083】
図7は、サーバ装置50において、既トラブル車両10aから送信されたトラブル情報を受信し、そのトラブル情報に基づいて既トラブル車両対策を生成し、既トラブル車両対策を既トラブル車両10aや第三者に送信する処理(以下「既トラブル車両対策送信処理」という)の流れを示すフローチャートである。この処理に対応するプログラムはサーバ制御部54のメモリに記憶されており、サーバ制御部54のCPUにより実行される。
【0084】
図7のステップS31aの処理は、図3のステップS21に示す第1実施形態の処理と実質的に同一である。
サーバ制御部54は、ステップS31aにおいて既トラブル車両10aから送信されたトラブル情報が受信されたと判定すると、ステップS32aからS38aの処理を実行する。
【0085】
ステップS32aにおいて、サーバ制御部54は、既トラブル車両対策生成部M315aにより、トラブル情報に基づいて既トラブル車両対策を生成する。
サーバ制御部54は、対策送信部M319により、ステップS37aにおいてトラブル情報や既トラブル車両対策に基づいて送信対象を設定し、ステップS38aにおいて送信対象に既トラブル車両対策を送信する。
【0086】
(3)クライアント装置において車両走行トラブルへの対策を実施する処理の流れ
図8は、クライアント装置70において、サーバ装置50から送信された車両対策を受信し、その車両対策に応じた処理を実行する処理である。この処理に対応するプログラムは、クライアント制御部74のメモリに記憶されており、クライアント制御部74のCPUにより周期的に実行される。
【0087】
ステップS41において、クライアント制御部74は、サーバ装置50から送信された車両対策が受信されたか否かを判定する。クライアント制御部74は、車両対策が受信されていないと判定した場合(S41:NO)、今回の処理を終了する。クライアント制御部74は、車両対策が受信されたと判定した場合(S41:YES)、ステップS43の処理に移行する。
【0088】
図8のステップS43、S44、S46の処理は、それぞれ図3のステップS23、S24、S26の処理に対応する。
ステップS43において、クライアント制御部74は、車両対策が制御モード等の変更や脱出依頼の提案であるか否かを判定する。クライアント制御部74は、車両対策が制御モード等の変更や脱出依頼の提案であると判定した場合(S43:YES)、ステップS44の処理に移行する一方、車両対策が制御モード等の変更や脱出依頼の提案ではないと判定した場合(S43:NO)、ステップS46の処理に移行する。
【0089】
ステップS44において、クライアント制御部74は、対策実行部M317により、提案内容を車両10の乗員に通知する。
ステップS46において、クライアント制御部74は、対策実行部M317により、車両対策に応じた処理を実行する。
【0090】
ここで、ステップS44で車両10の乗員に通知した提案内容が、第三者への依頼を含む内容であることがある。例えば車両10(既トラブル車両10a)でスタックが発生した場合、スタックからの脱出を第三者に依頼する提案が、車両10の乗員に対してクライアント装置70からなされる。このような場合、提案内容を受け入れる意志が乗員にあるか否かが、車両10からクライアント装置70に送信される。
【0091】
図9は、クライアント装置70において、上記ステップS44で提案内容を車両10の乗員に通知した後において、提案内容に対する乗員の意志を受信し、その意志に応じた処理を実行する処理である。この処理に対応するプログラムは、クライアント制御部74のメモリに記憶されており、クライアント制御部74のCPUにより周期的に実行される。
【0092】
ステップS51において、クライアント制御部74は、上記ステップS44で提案内容を通知した車両10から、その乗員の意志を受信したか否かを判定する。ここでいう乗員の意志とは、クライアント装置70が通知した提案内容を乗員が受け入れたか否かである。
【0093】
ステップS55において、クライアント制御部74は、提案内容を受け入れる意志が車両10の乗員にあると判定した場合(S55:YES)、ステップS56の処理に移行する。クライアント制御部74は、提案内容を受け入れる意志が車両10の乗員にないと判定した場合(S55:NO)、今回の処理を終了する。
【0094】
ステップS56において、クライアント制御部74は、対策実行部M317により、車両対策に応じた処理を実行する。
(4)車両において車両走行トラブルへの対策を実施する処理の流れ
未トラブル車両10yにおいて、サーバ装置50から送信された未トラブル車両対策を受信し、その未トラブル車両対策を実施する処理(以下「未トラブル車両対策実施処理」という)は、第1実施形態の車両対策実施処理に対応する。この処理に対応する制御プログラムは、車両制御部14のメモリに記憶されており、車両制御部14のCPUにより周期的に実行される。
【0095】
未トラブル車両10yの車両制御部14は、未トラブル車両対策をサーバ装置50から受信したか否かを判定し、未トラブル車両対策が受信されたと判定した場合に、図3に示す第1実施形態のステップS23からS26の処理と実質的に同一の処理を実行する。
【0096】
既トラブル車両10aにおいて、サーバ装置50から送信された既トラブル車両対策を受信し、その既トラブル車両対策を実施する処理(以下「既トラブル車両対策実施処理」という)は、上記未トラブル車両対策実施処理の対象が未トラブル車両10yである点で、未トラブル車両対策実施処理と異なる。しかしながら、既トラブル車両対策実施処理の流れは、未トラブル車両対策実施処理の流れと実質的に同一である。
【0097】
既トラブル車両10aの車両制御部14は、既トラブル車両対策をサーバ装置50から受信したか否かを判定する。車両制御部14は、既トラブル車両対策が受信されていないと判定した場合、今回の処理を終了する一方、既トラブル車両対策が受信されたと判定した場合、既トラブル車両対策が制御モード等の変更や脱出依頼の提案であるか否かを判定する。
【0098】
車両制御部14は、既トラブル車両対策が制御モード等の変更や脱出依頼の提案であると判定した場合、既トラブル車両対策実行部M317aにより、提案内容を既トラブル車両10aの乗員に通知する。そして車両制御部14は、乗員による提案内容を受け入れる意思を受け付けた場合に、既トラブル車両対策実行部M317aにより既トラブル車両対策に応じた処理を実行する。
【0099】
車両制御部14は、既トラブル車両対策が制御モード等の変更や脱出依頼の提案ではないと判定した場合、既トラブル車両対策実行部M317aにより既トラブル車両対策に応じた処理を実行する。
【0100】
<本実施形態における作用及び効果>
本実施形態によれば、車両10において、車両走行トラブルが発生すると、車両走行トラブルが検出され、車両走行トラブルに関連するトラブル情報がサーバ装置50に送信される。サーバ装置50において、既トラブル車両10aから送信されたトラブル情報が受信されると、トラブル情報に基づいて車両対策が生成され、車両対策がクライアント装置70や車両10に送信される。クライアント装置70や車両10において、車両対策が受信されると、車両対策に応じた処理が実行される。
【0101】
このようにして未トラブル車両10yに対して未トラブル車両対策が実施されるため、本実施形態は未トラブル車両10yについて第1実施形態と同様の効果を有する。
また既トラブル車両10aに対して既トラブル車両対策が実施されるため、本実施形態によれば、既トラブル車両10aを車両走行トラブルから脱出させたり、既トラブル車両10aやその乗員を退避させたりすることができる。
【0102】
車両トラブル対応システム300では、車両10とサーバ装置50とが移動体通信ネットワーク302により通信可能に接続されている。そのため本実施形態によれば、車車間通信よりも広範な地域に存在する車両10からトラブル情報を受信することができる。また、これらのトラブル情報をサーバ装置50に集約して車両対策を生成するため、付加価値の高い車両対策を生成することができる。
【0103】
(変更例)
上記複数の実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記複数の実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0104】
・第2実施形態では、トラブル検出部M11、対策生成部M15及び対策実行部M17の機能を移動体通信機30により実現するものとした。しかしながら、これらの機能の一部は、移動体通信機30及び車両10により実現してもよいし、移動体通信機30に替えて車両10により実現してもよい。
【0105】
例えばトラブル検出部M11は、移動体センサ情報に加えて車両センサ情報に基づいて車両走行トラブルが発生したことを検出してもよいし、移動体センサ情報に替えて車両センサ情報に基づいて車両走行トラブルが発生したことを検出してもよい。
【0106】
・対策実行部M17は、制御モード等の変更の提案内容を、移動体表示部32に加えて車両表示部12に表示してもよいし、移動体表示部32に替えて車両表示部12に表示してもよい。また、対策実行部M17の機能のうち制御モード等の変更の提案に関する機能は移動体制御部34により実現する一方で、制御モード等の変更の指示に関する機能は車両制御部14により実現してもよい。
【0107】
・第3実施形態では、車両トラブル対応システム300をサーバ装置50とクライアント装置70と車両10とを含んで構成するものとした。しかしながら、車両トラブル対応システムは、クライアント装置70を含んでいなくてもよい。
【0108】
・第3実施形態では、サーバ装置50の対策生成部M315に未トラブル車両対策生成部M315y及び既トラブル車両対策生成部M315aが含まれているものとした。しかしながら、対策生成部M315は、未トラブル車両対策生成部M315y及び既トラブル車両対策生成部M315aの何れか一方を含むものでもよい。
【0109】
・第3実施形態では、車両10の対策実行部M317に未トラブル車両対策実行部M317y及び既トラブル車両対策実行部M317aが含まれているものとした。しかしながら、対策実行部M317は、未トラブル車両対策実行部M317y及び既トラブル車両対策実行部M317aの何れか一方を含むものでもよい。
【0110】
・第3実施形態では、車両トラブル対応システム300において、車両10とサーバ装置50とが通信可能に接続されているものとした。しかしながら、車両トラブル対応システムは、車両10に替えて移動体通信機とサーバ装置50とが通信可能に接続されて構成されてもよい。
【0111】
この場合、車両10の乗員が車両10に乗り込むことにより、移動体通信機が車両10内に配置される。また、第3実施形態のトラブル検出部M11、トラブル情報送信部M13及び対策実行部M317の機能は移動体通信機により実現される。移動体通信機において、第3実施形態の車両表示部12、車両操作部13、車両制御部14及び車両通信部15に対応する構成は、それぞれ第2実施形態で説明した移動体表示部32、移動体操作部33、移動体制御部34及び移動体通信部35と実質的に同一の構成である。
【0112】
・第3実施形態では、クライアント装置70が警察や道路管理会社やロードサービスや提携店舗に設置されているものとした。しかしながら、クライアント装置70は携帯電話やタブレット等の移動体通信機であってもよい。この場合、警察や道路管理会社やロードサービスや提携店舗の職員や経営者や従業者は、クライアント装置70を持ち運ぶことが可能である。そのため、車両走行トラブルに対して迅速に対応することができる。
【0113】
・第3実施形態では、クライアント装置70の対策実行部M321が、制御モード等の変更や脱出依頼の提案を車両10の乗員に通知し、その乗員の意思を受信し、提案を受け入れる意思の有無を判定するものとした。しかしながら、対策実行部M321は、上記処理を実行することを車両10に指示してもよい。
【0114】
・第3実施形態では、車両対策が第三者としての警察や道路管理会社にトラブル多発道路の制限速度変更等を提案する未トラブル車両対策を例示して、対策実行部M317の機能を説明した。しかしながら、未トラブル車両対策は、警察や道路管理会社にトラブル多発道路の制限速度変更等を指示するものでもよい。この場合、対策実行部M317は、道路上の可変式標識や電光掲示板により、トラブル多発道路の制限速度を変更したり、トラブル多発道路の通行禁止を表示したりすることが考えられる。
【0115】
・車両制御部14や移動体制御部34やサーバ制御部54は、CPUとROMとを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。例えば、上記各実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路を備えてもよい。
【0116】
<実施形態等から把握可能な技術的思想>
次に、上記複数の実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)第一制御装置は移動体通信装置である、車両用システム。この場合、乗員が車両に乗り込むことにより、第一制御装置は車両内に配置される。
【0117】
(ロ)第二制御装置は第一制御装置が配置されている車両とは別の車両に配置される、車両用システム。以降では、第一制御装置が配置される車両を第一車両といい、第一車両とは別の車両を第二車両という。
【0118】
(ハ)第二車両に配置されている第二制御装置は、対策生成部により生成された対策を実行する対策実行部を備えている、車両用システム。
(ニ)第二車両に配置されている第二制御装置の対策実行部は、対策生成部により生成された対策に関する情報を第二車両の乗員に通知する、車両用システム。
【0119】
(ホ)第二制御装置は車両に車両走行トラブルが発生した際に車両の乗員に対してサービスを提供する組織の施設に設置されている、車両用システム。
(ヘ)第一制御装置のトラブル情報送信部は、車車間通信によりトラブル情報を第二制御装置に送信する、車両用システム。
【0120】
(ト)第一制御装置のトラブル情報送信部は、移動体通信ネットワークによりトラブル情報を第二制御装置に送信する、車両用システム。
(チ)第二制御装置は、第一制御装置が配置されている車両に車両走行トラブルが発生した際にその乗員に対してサービスを提供する施設に設置されている、車両用システム。
【0121】
(リ)第二制御装置は、対策生成部により生成された対策を第一制御装置に送信する対策送信部を備えている、車両用システム。
(ヌ)第一制御装置は、第二制御装置から送信された対策を実行する対策実行部を備えている、車両用システム。
【0122】
(ル)第二制御装置は、対策生成部により生成された対策を、第一制御装置及び第二制御装置とは別の第三制御装置に送信する対策送信部を備えている、車両用システム。
(ヲ)第三制御装置は、第一制御装置が配置される車両とは別の車両に配置される、車両用システム。
【0123】
(ワ)第三制御装置は、車両走行トラブルを処置する組織の施設に設置されている、車両用システム。
(カ)第三制御装置は移動体通信装置である、車両用システム。
【0124】
(ヨ)第二制御装置の対策送信部は、第一制御装置から送信されたトラブル情報及び対策生成部により生成された対策の少なくとも何れか一方に基づいて、対策の送信対象を設定する、車両用システム。
【0125】
(タ)上述の車両用システムを構成する制御装置であって、車両の走行に関するトラブルが発生したことを検出するトラブル検出部と、トラブル検出部により検出されたトラブルに関連するトラブル情報を車両の外部に送信するトラブル情報送信部と、を備えている制御装置。
【0126】
(レ)上述の車両用システムを構成する制御装置であって、車両の外部からトラブル情報を受信するトラブル情報受信部と、トラブル情報受信部により受信されたトラブル情報に応じた対策を生成する対策生成部と、を備えている制御装置。
【0127】
(ソ)対策生成部により生成された対策を送信する送信部を備えている制御装置。
【符号の説明】
【0128】
10…車両
10y…未トラブル車両
10a…既トラブル車両
14…車両制御部(第一制御装置、第二制御装置)
30…移動体通信機(第一制御装置、第二制御装置)
50…サーバ装置(第二制御装置)
70…クライアント装置(第三制御装置)
100,200,300…車両トラブル対応システム(車両用システム)
M11,M211…トラブル検出部
M13,M213…トラブル情報送信部
M15,M215,M315…対策生成部
M17,M217,M317、M321…対策実行部
M319…対策送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9