(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046860
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】ファイル
(51)【国際特許分類】
B42F 23/00 20060101AFI20230329BHJP
B42F 7/00 20060101ALI20230329BHJP
B42F 9/00 20060101ALI20230329BHJP
A47G 1/16 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
B42F23/00
B42F7/00 E
B42F9/00
A47G1/16 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155685
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000115821
【氏名又は名称】株式会社リヒトラブ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 莞二
(72)【発明者】
【氏名】有本 佳照
(72)【発明者】
【氏名】長和 伸晃
【テーマコード(参考)】
2C017
3B111
【Fターム(参考)】
2C017TB03
3B111CA00
3B111CB01
3B111CC03
3B111CD04
(57)【要約】
【課題】美観及び触感を向上させることができるファイルを提供する。
【解決手段】本開示に係るファイル1は、表表紙部21及び裏表紙部を有する表紙体2と、該表紙体2を展開状態で自立させるためのスタンド体3とを備えるファイル1において、前記スタンド体3は、前記表紙体2の内面に対して相対的に接離可能に前記表紙体2の前記内面に設けてあり、前記表紙体2には、展開状態の前記表紙体2を外面が谷側の面になるようにして折るための折り目25が、前記表表紙部21から前記裏表紙部にわたって設けられていることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表表紙部及び裏表紙部を有する表紙体と、
該表紙体を展開状態で自立させるためのスタンド体と
を備えるファイルにおいて、
前記スタンド体は、前記表紙体の内面に対して相対的に接離可能に前記表紙体の前記内面に設けてあり、
前記表紙体には、展開状態の前記表紙体を外面が谷側の面になるようにして折るための折り目が、前記表表紙部から前記裏表紙部にわたって設けられていることを特徴とするファイル。
【請求項2】
シート状の物品が収容される袋体又は前記物品が綴じられる綴じ具を更に備え、
前記折り目は前記表紙体の下縁に平行に全長にわたって設けられており、
前記スタンド体は、前記表紙体の内面に対して相対的に、前記折り目を中心に揺動可能であり、
前記袋体又は前記綴じ具の前記折り目よりも上側の少なくとも一部分は前記表紙体の前記内面に直接的に又はスペーサを介して取り付けられ、
前記袋体又は前記綴じ具の前記折り目よりも下側の部分は前記スタンド体に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のファイル。
【請求項3】
前記表紙体は、表表紙部及び裏表紙部夫々に隣接する背表紙部を更に有し、
前記スタンド体は、前記表紙体が展開した状態で前記表表紙部、前記裏表紙部、及び前記背表紙部を支持する表表紙支持脚、裏表紙支持脚、及び背表紙支持脚を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のファイル。
【請求項4】
前記スタンド体は板状をなし、
前記スタンド体の上縁から前記スタンド体に面一に板状の固定部が延出しており、
該固定部の一面は、前記表紙体の前記内面の前記折り目よりも上側の部分に固定されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のファイル。
【請求項5】
前記スタンド体は板状をなし、
前記スタンド体の上縁に一体的に固定板が設けられており、
前記スタンド体は前記固定板と前記スタンド体との境界部分を中心に揺動可能に設けられており、
前記固定板は、前記境界部分が前記表紙体の前記折り目に位置するようにして前記表紙体の前記内面の前記折り目よりも下側の部分に固定されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート状の物品を保管するための文房具としてファイルが用いられている。ファイルの一種であるクリアブックは、表紙体と透明の袋体(いわゆるクリアポケット)とを備える。クリアポケットは表紙体の内面に直接的又は間接的に取り付けられている。物品はクリアポケットに収容される。
【0003】
特許文献1及び非特許文献1には、表紙体を展開状態で自立させるためのスタンド体を備えるファイルが提案されている。クリアブックの表紙体を展開状態で自立させることができれば、机上で使用中のクリアブックの省スペース化を図ることができると共に、クリアポケットに収容された物品の視認性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“ジリッツ|ファイルとテプラのキングジム”、[online]、[令和3年9月15日検索]、インターネット<URL:https://www.kingjim.co.jp/sp/jilitz/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び非特許文献1に記載のファイルにおいては、スタンド体が表紙体の外面に設けられているので、表紙体が閉じている場合にスタンド体が使用者に視覚的又は触覚的な違和感を与える虞がある。
【0007】
本開示の目的は、美観及び触感を向上させることができるファイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るファイルは、表表紙部及び裏表紙部を有する表紙体と、該表紙体を展開状態で自立させるためのスタンド体とを備えるファイルにおいて、前記スタンド体は、前記表紙体の内面に対して相対的に接離可能に前記表紙体の前記内面に設けてあり、前記表紙体には、展開状態の前記表紙体を外面が谷側の面になるようにして折るための折り目が、前記表表紙部から前記裏表紙部にわたって設けられていることを特徴とする。
【0009】
本開示にあっては、表表紙部及び裏表紙部を有する表紙体を展開状態で自立させるためのスタンド体が、表紙体の内面に設けてある。故に表紙体が閉じている場合、スタンド体は表表紙部と裏表紙部との間に配される。従って、スタンド体は表紙体の外側から見ることも触れることもできないので、使用者に視覚的又は触覚的な違和感を与えることが防止される。この結果、ファイルの美観及び触感を向上させることができる。
【0010】
スタンド体は、表紙体の内面に対して相対的に接離可能である。表紙体を展開状態で自立させる場合、使用者はスタンド体を表紙体の内面から離隔させる。例えばスタンド体と表紙体とが互いに支持し合うことにより、表紙体が自立する。
表紙体には折り目が設けられている。折り目は表紙部から裏表紙部にわたる。展開状態の表紙体を外面が谷側の面になるようにして折り目で折ることにより、表紙体が無用に閉じることを防止することができる。
【0011】
本開示に係るファイルは、シート状の物品が収容される袋体又は前記物品が綴じられる綴じ具を更に備え、前記折り目は前記表紙体の下縁に平行に全長にわたって設けられており、前記スタンド体は、前記表紙体の内面に対して相対的に、前記折り目を中心に揺動可能であり、前記袋体又は前記綴じ具の前記折り目よりも上側の少なくとも一部分は前記表紙体の前記内面に直接的に又はスペーサを介して取り付けられ、前記袋体又は前記綴じ具の前記折り目よりも下側の部分は前記スタンド体に取り付けられることを特徴とする。
【0012】
本開示にあっては、袋体又は綴じ具が更に備えられる。袋体にはシート状の物品が収容される。綴じ具にはシート状の物品が綴じられる。
綴じ具を備える場合の作用効果は袋体を備える場合の作用効果と同様なので、ここでは袋体を備える場合について説明する。また、表紙体の折り目よりも上側の部分を上半分といい、表紙体の折り目よりも下側の部分を下半分という。
袋体を備える場合、袋体の上半分の少なくとも一部分は、直接的に又はスペーサを介して、表紙体の内面に取り付けられる。また、袋体の下半分は、スタンド体に取り付けられる。
【0013】
表紙体を展開状態で自立させる場合、例えば使用者は、表紙体の折り目が表紙体の上半分及び下半分よりも手前側に位置するようにして、表紙体を折り目で折る。表紙体の上半分及び下半分は、何れも表紙体の折り目よりも使用者から遠い位置に配される。スタンド体は、表紙体の内面に対して相対的に、折り目を中心に揺動し、表紙体の内面よりも使用者に近い位置に配されることで表紙体を支持する。故に、袋体の上半分は表紙体の上半分と共に表紙体の折り目よりも使用者から遠い位置に配され、袋体の下半分はスタンド体と共に使用者に近い位置に配される。従って、袋体は上を向くようにして傾斜する。この結果、袋体に収容された物品を使用者が視認しやすい。
【0014】
袋体の上半分の少なくとも一部分を表紙体に直接的に取り付けた場合、ファイルの構成が簡単になる。ただし、表紙体の袋体を取り付けるべき部分とスタンド体の袋体を取り付けるべき部分との間に段差があるならば、袋体が歪まないように、袋体の上半分の少なくとも一部分を表紙体にスペーサを介して取り付けることが望ましい。
【0015】
本開示に係るファイルは、前記表紙体は、表表紙部及び裏表紙部夫々に隣接する背表紙部を更に有し、前記スタンド体は、前記表紙体が展開した状態で前記表表紙部、前記裏表紙部、及び前記背表紙部を支持する表表紙支持脚、裏表紙支持脚、及び背表紙支持脚を有することを特徴とする。
【0016】
本開示にあっては、表紙体が表表紙部、裏表紙部、及び背表紙部を有する。スタンド体は表表紙支持脚、裏表紙支持脚、及び背表紙支持脚を有する。
表表紙支持脚、裏表紙支持脚、及び背表紙支持脚は、表紙体が展開した状態で表表紙部、裏表紙部、及び背表紙部を支持するので、表紙体を確実に自立させることができる。
【0017】
本開示に係るファイルは、前記スタンド体は板状をなし、前記スタンド体の上縁から前記スタンド体に面一に板状の固定部が延出しており、該固定部の一面は、前記表紙体の前記内面の前記折り目よりも上側の部分に固定されていることを特徴とする。
【0018】
本開示にあっては、板状のスタンド体の一面と板状の固定部の一面とが互いに面一であり、固定部の一面が表紙体の上半分の内面に固定されている。
板材の一部をスタンド体として用い、同じ板材の他部を固定部として用いることにより、表紙体の内面に1枚の板材を固定することによってスタンド体を簡単に実現することができる。
【0019】
本開示に係るファイルは、前記スタンド体は板状をなし、前記スタンド体の上縁に一体的に固定板が設けられており、前記スタンド体は前記固定板と前記スタンド体との境界部分を中心に揺動可能に設けられており、前記固定板は、前記境界部分が前記表紙体の前記折り目に位置するようにして前記表紙体の前記内面の前記折り目よりも下側の部分に固定されていることを特徴とする。
【0020】
本開示にあっては、固定板が表紙体の下半分の内面に固定されている。スタンド体と固定板との境界部分が表紙体の折り目に位置するので、スタンド体の表紙体に離反する側の面と表紙体の上半分の内面とを容易に面一に配することができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示のファイルによれば、ファイルの美観及び触感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施の形態1に係るファイルの斜視図である。
【
図2】表紙体が展開した状態のファイルの平面図である。
【
図3】表紙体が展開した状態のファイルの側面図である。
【
図6】実施の形態2に係るファイルが備えるスタンド体の展開図である。
【
図7】他の構成を有するスタンド体の展開図である。
【
図8】実施の形態3に係るファイルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施の形態について説明する。
【0024】
実施の形態 1.
図1は実施の形態1に係るファイルの斜視図である。
図中1はファイルであり、ファイル1は表紙体2を備える。
表紙体2は、例えば合成樹脂製であり、表表紙部21、裏表紙部22、及び背表紙部23を一体に有する。表表紙部21及び裏表紙部22夫々は、一方向に長い矩形板状をなす。背表紙部23は短冊状をなし、表表紙部21及び裏表紙部22夫々の長手方向(長辺に沿う方向)と背表紙部23の長手方向とが互いに沿うようにして、表表紙部21及び裏表紙部22夫々に隣接している。
【0025】
表表紙部21及び裏表紙部22夫々は、背表紙部23との境界(後述する折り目24)を中心にヒンジ蓋状に開閉可能に背表紙部23に連なっている。表表紙部21及び裏表紙部22が共に完全に閉じた場合、表表紙部21及び裏表紙部22は背表紙部23の幅方向(短辺に沿う方向)に互いに対向する。表表紙部21及び裏表紙部22が共に完全に開いた場合、表表紙部21、裏表紙部22、及び背表紙部23は背表紙部23の幅方向に互いに面一に並ぶ。
【0026】
ここでは、表表紙部21及び裏表紙部22が共に完全に閉じた状態を表紙体2が閉じた状態といい、表表紙部21及び裏表紙部22が共に完全に開いた状態を表紙体2が展開した状態という。
図1には表紙体2が閉じた状態のファイル1が模式的に示されている。表紙体2の内面/外面とは、表紙体2が閉じたときに内側になる面/外側になる面をいう。
【0027】
図2は表紙体2が展開した状態のファイル1の平面図である。
図2には表紙体2の内面側が示されている。ここでは、
図2に向かって背表紙部23の左側/右側に表表紙部21/裏表紙部22が位置している場合を例示するが、背表紙部23の右側/左側に表表紙部21/裏表紙部22が位置してもよい。
展開した状態の表紙体2は、一方向に長い矩形状の板材である。表紙体2の一方の長辺/他方の長辺が表紙体2の上縁/下縁として用いられる。
【0028】
表紙体2には2本の折り目24が設けられている(一点鎖線にて図示)。2本の折り目24は、表紙体2の長手方向の中央部において互いに隣り合う。各折り目24は表紙体2の幅方向の全長にわたり、表紙体2の短辺に平行に設けられている。
折り目24は、例えば表紙体2の一面に形成された溝である。この一面が谷側の面になるように2本の折り目24夫々で表紙体2を折り曲げることにより、表紙体2の長手方向の一側部、他側部、及び中央部が表表紙部21、裏表紙部22、及び背表紙部23となる。
表紙体2の内面は、折り目24で折る場合の谷側の面である。
【0029】
表紙体2には、展開状態の表紙体2を外面が谷側の面になるようにして折るための折り目25が設けられている(
図1参照)。折り目25は表紙体2の長手方向の全長にわたり、表紙体2の長辺に平行に設けられている。折り目25は、例えば表紙体2の外面に形成された溝である。本実施の形態においては、折り目25は表紙体2の幅方向の中心に配されている。
【0030】
図3は表紙体2が展開した状態のファイル1の側面図である。
表紙体2が折り目24で折り曲げられていない場合、折り目25での折り曲げが可能である。このとき、表紙体2の下半分は、表紙体2の上半分に対して相対的に、折り目25を中心に揺動可能である。逆に、折り目25で折り曲げられている場合、表紙体2は閉じない。
図3は、折り目25で折り曲げられた表紙体2を表表紙部21側から見た模式的な図である。
ここで、表紙体2の下半分とは表紙体2の折り目25より下側の部分であり、表紙体2の上半分とは表紙体2の折り目25より上側の部分である。
【0031】
ファイル1はスタンド体3を更に備える。
図4はスタンド体3の展開図である。
スタンド体3は板状をなし、例えば合成樹脂製である。スタンド体3には3つの固定部311,321,331が設けられている。スタンド体3及び固定部311,321,331は、所定の形状に打ち抜かれた平板300からなる。平板300の一部が固定部311,321,331として用いられ、平板300の残部を所定の位置で折り曲げることによってスタンド体3が形成される。
【0032】
図2及び
図4に示すように、スタンド体3は表表紙支持脚31、裏表紙支持脚32、及び背表紙支持脚33を有する。表表紙支持脚31、裏表紙支持脚32、及び背表紙支持脚33は、表表紙部21、裏表紙部22、及び背表紙部23に対応するようにして並んでいる。
【0033】
表表紙支持脚31は、一方向に長い矩形状の平板である。表表紙支持脚31の長さ(長辺の寸法)は表表紙部21の幅(短辺の寸法)よりも短い。表表紙支持脚31の幅は表表紙部21の長さの半分である。
表表紙支持脚31の一隅は欠落している。以下では、表表紙支持脚31の一隅が欠落している長辺を表表紙支持脚31の下縁という。また、表表紙支持脚31の下縁に対向する長辺を表表紙支持脚31の上縁という。
【0034】
固定部311は、表表紙支持脚31の上縁から表表紙支持脚31に面一に延出している。固定部311は短冊板状をなし、固定部311の長手方向は表表紙支持脚31の上縁に沿う。
図4において表表紙支持脚31と固定部311との境界部分3aは二点鎖線で示されている。
表表紙支持脚31の下縁には矩形状の切り欠きが設けられている。
【0035】
固定部311の一面は、表表紙支持脚31と固定部311との境界部分3aが折り目25に位置し、表表紙支持脚31の下縁が表表紙部21の下縁に対向するようにして、表表紙部21の上半分の内面に固定されている(
図3参照)。固定部311の表表紙部21への固定は、例えば溶着によって行なわれる。
表表紙支持脚31の下縁の欠落は、背表紙部23側の逆側に向けられている。
【0036】
固定部311の表表紙部21への固定により、表表紙支持脚31の一面は表表紙部21の下半分の内面に向く。以下では、表表紙支持脚31の一面(表表紙部21の下半分の内面に向く面)を裏面といい、他面を表面という。また、表表紙支持脚31の表面側/裏面側をスタンド体3の表面側/裏面側という。
【0037】
表紙体2が折り目25で折り曲げられていない場合、表表紙支持脚31の下縁は表表紙部21の下縁に重なる。表表紙支持脚31の裏面は、表表紙部21の内面に接触する。
表紙体2を折り目25で折り曲げることにより、表表紙部21が表表紙支持脚31から離隔する。
換言すれば、折り目25にて表紙体2を曲げ伸ばしすることにより、表表紙部21の下半分が表表紙支持脚31に対して相対的に接離する。
【0038】
表表紙支持脚31には開口310が設けられている。開口310は一方向に長い矩形状をなす。開口310の長辺は表表紙支持脚31の上縁及び下縁を結ぶ方向に延び、開口310の短辺は表表紙支持脚31の上縁及び下縁に沿う方向に延びる。
【0039】
図2~
図4に示すように、表表紙支持脚31には補助部312が設けられており、補助部312には固定片313が設けられている。
開口310の下辺には開口310よりもやや小さい矩形状の舌片が設けられており、この舌片の先端側の一部が固定片313として用いられ、この舌片の基端側の残部が補助部312として用いられている。
【0040】
開口310と補助部312及び固定片313からなる舌片とは、例えばコ字状に並ぶ3本の切り込みを、平板300の表表紙支持脚31となる部分に形成することによって得られる。前述の3本の切り込みの内、2本は互いに平行であり、表表紙支持脚31の上縁及び下縁を結ぶ方向に延び、表表紙支持脚31の周縁から適長離隔している。前述の3本の切り込みの内、残りの1本は、互いに平行な2本の切り込みの上縁側の端部同士を結ぶ。
【0041】
補助部312と固定片313との境界部分、及び固定片313と表表紙支持脚31との境界部分には、表表紙支持脚31の裏面に連続する面が谷側の面となるようにして、表表紙支持脚31の下縁に平行な折り目が設けられている。補助部312の中途には、表表紙支持脚31の裏面に連続する面が山側の面となるようにして、表表紙支持脚31の下縁に平行な折り目が設けられている。
【0042】
図2及び
図3に示すように、固定片313は、表表紙支持脚31の表面に連続する面が表表紙部21の内面に接触するようにして、表表紙部21に固定されている。固定片313の表表紙部21への固定は、例えば溶着によって行なわれる。固定片313は表表紙支持脚31の下縁の切り欠きに対向している。補助部312は2つ折りにされて表表紙支持脚31から表表紙部21にわたる。
【0043】
図2及び
図4に示すように、裏表紙部22、裏表紙支持脚32、開口320、固定部321、補助部322、及び固定片323は、表表紙部21、表表紙支持脚31、開口310、固定部311、補助部312、及び固定片313と同様の構成である。
図4において裏表紙支持脚32と固定部321との境界部分3bは二点鎖線で示されている。
【0044】
背表紙支持脚33は短冊状の平板である。背表紙支持脚33の幅は背表紙部23の幅よりもやや短い。背表紙支持脚33の長さは背表紙部23の長さの半分である。
以下では、背表紙支持脚33の一方の短辺/他方の短辺を上縁/下縁という。
背表紙支持脚33の上縁から背表紙支持脚33に面一に固定部331が延出している。固定部331は短冊状をなし、固定部331の幅方向は背表紙支持脚33の上縁に沿う。
図4において背表紙支持脚33と固定部331との境界部分3cは二点鎖線で示されている。
【0045】
固定部331の一面は、背表紙支持脚33と固定部331との境界部分3cが折り目25に対向し、背表紙支持脚33の下縁が背表紙部23の下縁に対向するようにして、背表紙部23の上半分の内面に固定されている。折り目25にて表紙体2を曲げ伸ばしすることにより、背表紙部23の下半分が背表紙支持脚33に対して相対的に接離する。
【0046】
スタンド体3は2つの連結片34を有する。連結片34は矩形状をなす。以下では連結片34の一辺を下縁といい、下縁に対向する他辺を上縁という。
一方の連結片34は、連結片34の下縁が表表紙支持脚31及び背表紙支持脚33夫々の下縁に一直線に並ぶようにして、表表紙支持脚31と背表紙支持脚33とを連結している。連結片34の上縁は表表紙支持脚31及び背表紙支持脚33夫々の上縁側に向く。
【0047】
連結片34の背表紙支持脚33との境界部分には折り目35が設けられている。折り目35は背表紙支持脚33の裏面が山側の面になるように折るための折り目である。折り目35は連結片34の上縁から下縁にわたり、連結片34の下縁に垂直である。
一方の連結片34と同様に、他方の連結片34は裏表紙支持脚32と背表紙支持脚33とを連結しており、連結片34の裏表紙支持脚32との境界部分には折り目35が設けられている。
各連結片34には2本の折り目36が設けられている。折り目36は連結片34の上縁から下縁にわたり、折り目35に平行である。
【0048】
図5はファイル1の底面図である。
図5には表紙体2が閉じられている場合のファイル1が模式的に示されている。
表紙体2が閉じられることにより、背表紙支持脚33と連結片34との境界部分は折り目35で折り曲げられる。
【0049】
仮に、連結片34に折り目36が設けられていない場合、折り目35での折り曲げにより、背表紙支持脚33及び連結片34を構成する板材が、折り目35の山側では引き伸ばされ、折り目35の谷側では押し縮められて、厚さ方向に歪む。連結片34は表表紙支持脚31又は裏表紙支持脚32に連続しているので、連結片34が歪めば表表紙支持脚31又は裏表紙支持脚32も歪む。この結果、歪んだスタンド体3に阻害されて表紙体2が閉じにくくなる。
【0050】
一方、本実施の形態においては、折り目35での折り曲げに伴い連結片34が折り目36で自然に折れ曲がるので、厚さ方向の歪みがスタンド体3に伝わらない。故に、スタンド体3の歪みを防止することができるので、表紙体2を容易に閉じることができる。
なお、折り目36の本数は2本に限定されず、例えば3本以上でもよい。
【0051】
図2及び
図3に示すように、ファイル1はスペーサ11を備える。
スペーサ11は短冊状の平板である。スペーサ11の幅は背表紙部23の幅よりもやや短い。スペーサ11の長さは背表紙部23の長さの半分未満である。スペーサ11の厚さは背表紙支持脚33の厚さに等しい。スペーサ11は一面が背表紙部23の内面に接触するようにして背表紙部23の上半分に固定(例えば溶着)されている。スペーサ11は固定部331よりも表紙体2の上縁側に配されている。
【0052】
図3及び
図5に示すように、ファイル1は複数枚の袋体12を備える。
袋体12は矩形状のクリアポケットである。袋体12の開口は表紙体2の上縁側に向けられ、袋体12の底辺は表紙体2の下縁側に向けられている。袋体12の一側辺の上半分はスペーサ11及び固定部331に、袋体12の一側辺の下半分は背表紙支持脚33に、夫々固定(例えば溶着)されている。
図3においては図の見易さのために袋体12が表紙体2の上半分の内面に交差する姿勢で描かれている。
図1及び
図2における袋体12の図示は省略してある。
【0053】
ファイル1の使用者は、袋体12にシート状の物品(例えば所定の規格のコピー用紙)を収容する。
例えば袋体12に収容した物品を見る場合、使用者は、展開状態の表紙体2を、外面を下向きにして机上に載置するか、又は、展開状態の表紙体2を机上にて自立させる。
【0054】
表紙体2を自立させる場合、使用者は、表紙体2を展開する。
次いで、使用者は、表紙体2を折り目25で折り曲げる。このとき、スタンド体3が折り目25を中心に表紙体2に対して相対的に揺動し、表紙体2の下半分から離隔する。使用者は、互いに離隔した表紙体2の下半分とスタンド体3とを机上に載置する(
図3参照)。スタンド体3と表紙体2の下半分とが互いに支持し合うことにより、表紙体2が自立する。
【0055】
表紙体2が自立している場合、表紙体2の上半分の内面とスタンド体3の表面とは互いに概ね平行である。表紙体2の上半分の内面及びスタンド体3の表面夫々は上を向くようにして傾斜し、表紙体2の下半分の内面は下を向くようにして傾斜する。
使用者は表紙体2の上半分の内面が自分に向くようにしてファイル1を使用する。ファイル1を使用する場合、袋体12は表紙体2の上半分の内面又はスタンド体3の表面に沿う姿勢になる。従って、袋体12は上を向くようにして傾斜する。この結果、袋体12に収容された物品を使用者が視認しやすい。
【0056】
表表紙支持脚31、裏表紙支持脚32、及び背表紙支持脚33は表表紙部21、裏表紙部22、及び背表紙部23を支持すると共に、表表紙部21、裏表紙部22、及び背表紙部23によって支持される。背表紙支持脚33は幅狭の部材であるが、連結片34が背表紙支持脚33の下縁近傍を補強する部材としても機能するので、背表紙部23を確実に支持することができる。以上の結果、表紙体2を確実に自立させることができる。
表紙体2は折り目25で折り曲げられているので、自立している表紙体2が無用に閉じることを防止することができる。
【0057】
スタンド体3が表紙体2の下半分から離隔することにより、補助部312が自然にある程度伸長する。補助部312が表表紙部21の下半分と表表紙支持脚31とを連結しているので、表表紙支持脚31が表表紙部21の下半分から離れすぎることがない。
補助部322の裏表紙部22及び裏表紙支持脚32に対する作用は補助部312の表表紙部21及び表表紙支持脚31に対する作用と同様である。
【0058】
表紙体2が自立している場合、例えばファイル1の自重により、表紙体2の下半分とスタンド体3とを互いから離隔させる外力が働く。しかしながら、補助部312,322により、折り目25を頂点とする表紙体2の下半分とスタンド体3との間の角度が所定の大きさに保たれる。
【0059】
自立している表紙体2を閉じる場合、使用者は、折り目25での折り曲げを解消して表紙体2を伸長させる。このとき、スタンド体3が折り目25を中心に表紙体2に対して相対的に揺動し、表紙体2の下半分に接近する。
次いで、使用者は表紙体2を閉じる(
図1参照)。
スタンド体3が表紙体2の下半分に接近することにより、補助部312,322夫々が自然に折り畳まれる。
【0060】
表紙体2が閉じている場合、スタンド体3は表表紙部21と裏表紙部22との間に配される(
図1及び
図5参照)。従って、スタンド体3は表紙体2の外側から見ることも触れることもできないので、使用者に視覚的又は触覚的な違和感を与えることが防止される。この結果、ファイル1の美観及び触感を向上させることができる。
【0061】
ファイル1はスペーサ11を備えていなくてもよい。この場合、袋体12の上半分は背表紙部23の上半分に固定される。この場合、ファイル1の構成が簡単になる。しかしながら、この場合でも袋体12の下半分は背表紙支持脚33に固定されるので、袋体12の上半分と袋体12の下半分との間に背表紙支持脚33の厚さ分の段差が生じる。この結果、袋体12が歪んで美観を損なう虞があるので、ファイル1はスペーサ11を備えている方が望ましい。
【0062】
スペーサ11は固定部331に一体に設けられていてもよい。この場合、部品点数を削減することができるというメリットと、例えば矩形平板から平板300を打ち抜いた後の残余量が増大するというデメリットとがある。
スペーサ11が固定部331に一体に設けられている場合、固定部311(及び固定部321)が表表紙部21(及び裏表紙部22)の内面を全面的に覆う構成でもよい。この場合、固定部331と表表紙部21(及び裏表紙部22)の内面との段差が解消されるので、表紙体2が開かれているときに袋体12の上半分を全体的に固定部311(又は固定部321)で支持することができる。
【0063】
次に、実施の形態2,3を説明する。以下では、実施の形態1との差異について説明し、その他、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0064】
実施の形態 2.
実施の形態2のファイル1は、スタンド体3の構成を除いて実施の形態1のファイル1と略同様であり、実施の形態1のファイル1の作用効果と略同様の作用効果を奏する。
【0065】
図6は実施の形態2に係るファイル1が備えるスタンド体3の展開図である。
図6に示すスタンド体3を
図4に示すスタンド体3と見比べれば分かるように、本実施の形態のスタンド体3においては、背表紙支持脚33と表表紙支持脚31及び背表紙支持脚33夫々との離隔距離が長いので、連結片34が長い。連結片34の長さは連結片34の幅に比べて十分に大きい。また、連結片34には折り目36が設けられていない。
【0066】
表紙体2を閉じる場合、折り目35での折り曲げに伴い連結片34が長手方向に自然に撓む。故に、実施の形態1の連結片34が折れ曲がる場合と同様に、厚さ方向の歪みがスタンド体3に伝わらない。故に、スタンド体3の歪みを防止することができるので、表紙体2を容易に閉じることができる。
【0067】
図7は他の構成を有するスタンド体3の展開図である。
スタンド体3は連結片34を有する構成に限定されない。
図7に示すように、表表紙支持脚31、裏表紙支持脚32、及び背表紙支持脚33が互いに個別に設けられていてもよい。
【0068】
実施の形態 3.
実施の形態3のファイル1は、次の2点を除いて実施の形態1のファイル1と略同様であり、実施の形態1のファイル1の作用効果と略同様の作用効果を奏する。第1に、実施の形態3のファイル1はスペーサ11を備えていない。第2に、実施の形態3のファイル1は実施の形態1の袋体12及び固定部311,321,331に替えて、後述する綴じ具13及び3つの固定板314を備える。
【0069】
図8は実施の形態3に係るファイル1の側面図であり、折り目25で折り曲げられた表紙体2を表表紙部21側から見た模式的な図である。
3つの固定板314は、実施の形態1の固定部311,321,331と同様の構成である。ただし、3つの固定板314は表表紙支持脚31、裏表紙支持脚32、及び背表紙支持脚33に面一ではない。3つの固定板314は、表表紙支持脚31、裏表紙支持脚32、及び背表紙支持脚33との境界部分3dで折り曲げられることによって、スタンド体3の裏面に対向している。
【0070】
以下では、実施の形態1の固定部311に対応する固定板314について説明するが、固定部321に対応する固定板314及び固定部331に対応する固定板314も同様の構成である。
【0071】
実施の形態1においては、固定部311の、表表紙支持脚31の裏面に連続する面が表表紙部21の上半分の内面に固定されている。一方、本実施の形態においては、固定板314の、表表紙支持脚31の表面に連続する面が表表紙部21の下半分の内面に固定されている。
表表紙支持脚31と固定板314との境界部分3dは折り目25に位置している。境界部分3dを中心に、表表紙支持脚31は表表紙部21の下半分に接離する方向に揺動可能である。同様に、裏表紙支持脚32(及び背表紙支持脚33)は、固定板314との境界部分3dを中心に、裏表紙部22の下半分(背表紙部23の下半分)に接離する方向に揺動可能である。
【0072】
表紙体2が閉じられている場合、3つの固定板314は表紙体2とスタンド体3との間に挟まれている。
表紙体2が開かれている場合、補助部312,322により折り目25を頂点とする表紙体2の下半分とスタンド体3との間の角度が所定の大きさに保たれたときに、スタンド体3の表面と表紙体2の上半分の内面とが面一に配される。
【0073】
綴じ具13は基板131及び複数のリング132を備える。基板131は短冊状をなす。基板131の長さ及び幅はスタンド体3の背表紙支持脚33の長さ及び幅と同程度である。
【0074】
基板131の一面は表紙体2の内面及びスタンド体3の表面に向けられている。基板131の上半分は、下端部が固定部331に固定され、残部が背表紙部23の上半分に固定された構成である。基板131の下半分は背表紙支持脚33に固定されている。基板131の上半分がスペーサ11のような部材を介さず表紙体2に直接的に取り付けられているので、ファイル1の構成は簡単である。
なお、基板131は背表紙部23の上半分のみ(又は背表紙支持脚33のみ)に固定されていてもよい。
【0075】
複数(図中2個)のリング132は開閉可能に基板131に支持されている。使用者は、開いたリング132をシート状の物品に設けられた貫通孔に挿し通す。使用者がリング132を閉じることによって、シート状の物品が綴じられる。
【0076】
なお、本実施の形態のファイル1は綴じ具13に替えて複数の袋体12を備えてもよい。
実施の形態1,2のファイル1は複数の袋体12に替えて綴じ具13を備えてもよい。実施の形態1,2のファイル1がスペーサ11を備えない場合、綴じ具13の基板131にスペーサ11として機能する凸部が設けられていてもよい。
【0077】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
各実施の形態に開示されている構成要件(技術的特徴)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせによって新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 ファイル
11 スペーサ
12 袋体
13 綴じ具
2 表紙体
21 表表紙部
22 裏表紙部
23 背表紙部
25 折り目
3 スタンド体
31 表表紙支持脚
311 固定部
314 固定板
32 裏表紙支持脚
321 固定部
33 背表紙支持脚
331 固定部