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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046875
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】RFIDタグ及び管状容器
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20230329BHJP
   G01N 1/00 20060101ALN20230329BHJP
   B65D 25/20 20060101ALN20230329BHJP
【FI】
G06K19/077 220
G06K19/077 264
G01N1/00 101H
B65D25/20 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155712
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】品田 英俊
【テーマコード(参考)】
2G052
3E062
【Fターム(参考)】
2G052AA28
2G052AD06
2G052DA02
2G052HB04
3E062AA20
3E062AB01
3E062AC02
3E062BA20
3E062BB06
3E062DA08
3E062KA04
3E062KB14
(57)【要約】
【課題】RFIDタグを管状容器の底部に取り付け可能としつつ、RFIDタグの感度を向上させ、識別情報の読み取り精度を向上させる。
【解決手段】管状容器の底部に取り付け可能なRFIDタグは、ICチップと、ICチップに接続されるループアンテナと、ICチップ及びループアンテナが設けられ、底部に取り付け可能なタグボディと、を備える。タグボディは、底部へのRFIDタグの取り付け方向に開口し底部の少なくとも一部を収容可能な収容部を形成する周縁部を有する。ループアンテナは、収容部を中心にループを形成するよう周縁部に沿って設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状容器の底部に取り付け可能なRFIDタグであって、
ICチップと、
前記ICチップに接続されるループアンテナと、
前記ICチップ及び前記ループアンテナが設けられ、前記底部に取り付け可能なタグボディと、
を備え、
前記タグボディは、前記底部への前記RFIDタグの取り付け方向に開口し前記底部の少なくとも一部を収容可能な収容部を形成する周縁部を有し、
前記ループアンテナは、前記収容部を中心にループを形成するよう前記周縁部に沿って設けられる、
RFIDタグ。
【請求項2】
請求項1に記載のRFIDタグであって、
前記タグボディ、前記底部に沿った形状である、
RFIDタグ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のRFIDタグであって、
前記収容部の内径が前記収容部の開口に近づくにつれ大きくなるよう、前記周縁部が傾斜している、
RFIDタグ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のRFIDタグであって、
前記タグボディの最大外径は前記管状容器の外径以下である、
RFIDタグ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のRFIDタグであって、
前記ループアンテナは、前記周縁部の自由端に寄せて配置される、
RFIDタグ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のRFIDタグであって、
前記ループアンテナは複数のループを有し、前記周縁部の自由端に近いループほど径が大きい、
RFIDタグ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のRFIDタグであって、
前記ICチップと前記ループアンテナは前記RFIDタグの取り付け方向に互いに離間して配置される、
RFIDタグ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のRFIDタグであって、
前記タグボディは第1部品と第2部品とからなり、
前記ICチップ及び前記ループアンテナは、前記第1部品と前記第2部品との間に配置され、
前記第2部品を介して前記底部に取り付け可能である、
RFIDタグ。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載のRFIDタグであって、
前記ICチップ及び前記ループアンテナは、前記タグボディの内面に取り付けられ、
前記タグボディは前記底部に直接取り付け可能である、
RFIDタグ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のRFIDタグが前記底部に取り付けられた管状容器。
【請求項11】
管状容器であって、
筒状部と、
前記筒状部に接続する側壁を有する底部と、
を有し、
前記底部には、ループアンテナ及びICチップからなるRFIDタグが設けられ、
前記ループアンテナは、前記筒状部、前記側壁、あるいは、前記筒状部と前記側壁の両方において周方向に巻回される、
管状容器。
【請求項12】
請求項11に記載の管状容器であって、
前記ループアンテナと前記ICチップは前記管状容器の長手方向に互いに離間して配置される、
管状容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグ及び管状容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、採血管、スピッツ管等の管状容器ないしその内容物を識別する方法として、識別情報をICチップのメモリに記憶させたRFID(Radio Frequency Identification)タグを管状容器に貼り付け、無線通信によって識別情報を読み取る方法が用いられている。
【0003】
特許文献1は、RFIDタグが管状容器の側面を覆ってしまうと内容物を確認する際や取り扱う際に支障がでる場合があることから、管状容器のキャップ又は底部にRFIDタグを取り付けることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-199353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
RFIDタグを管状容器の底部に取り付ける場合、底部の略平らになった部分(丸底であれば底部の中央部)を選んでRFIDタグを取り付けることになる。
【0006】
しかしながら、この場合、RFIDタグの大きさが制限されてRFIDタグを構成するアンテナも小さくなるため、RFIDタグの感度が低下し、識別情報の読み取り精度が低下する可能性がある。
【0007】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、RFIDタグを管状容器の底部に取り付け可能としつつ、RFIDタグの感度を向上させ、識別情報の読み取り精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、管状容器の底部に取り付け可能なRFIDタグであって、ICチップと、前記ICチップに接続されるループアンテナと、前記ICチップ及び前記ループアンテナが設けられ、前記底部に取り付け可能なタグボディと、を備え、前記タグボディは、前記底部への前記RFIDタグの取り付け方向に開口し前記底部の少なくとも一部を収容可能な収容部を形成する周縁部を有し、前記ループアンテナは、前記収容部を中心にループを形成するよう前記周縁部に沿って設けられる、RFIDタグが提供される。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、管状容器の底部という限られたスペースであっても、ループアンテナのループ径及び巻き数を確保できるので、RFIDタグの感度を向上させ、識別情報の読み取り精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係るRFIDタグとそれが取り付けられる管状容器(採血管)を示した概略図である。
図2図2は、RFIDタグのアンテナ付きICチップの概略図である。
図3図3は、管状容器の底部に取り付けられた状態のRFIDタグの概略断面図である。
図4図4は、ループアンテナとICチップとの接続方法を説明するための図である。
図5図5は、ループアンテナとICチップとの別の接続方法を説明するための図である。
図6図6は、RFIDタグの製造プロセスを説明するための図である。
図7図7は、管状容器がスピッツ管である場合のRFIDタグの概略図である。
図8図8は、スピッツ管の底部に取り付けられた状態のRFIDタグの概略断面図である。
図9図9は、スピッツ管用のRFIDタグの製造プロセスを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るRFID(Radio Frequency Identification)タグ1とそれが取り付けられる管状容器2を示している。管状容器2はここでは採血管であるが、管状容器2は後述するように採血管に限定されない。
【0013】
管状容器2は、筒状部22と、筒状部22の下側に接続して管状容器2の下側を閉じる底部21とを有する。底部21は、この例では、中央が下側に膨出した凸形状であり、筒状部22から離れるにつれ内径及び外径が減少する側壁21sを有する。
【0014】
RFIDタグ1は、水分の影響を受けにくく近接通信に適したHF帯(13.56MHzの短波帯)を利用した電磁誘導方式の無線タグである。
【0015】
RFIDタグ1は、電子線滅菌処理をした後、内側表面に接着剤を塗布した状態で管状容器2の底部21に図中矢印の向きで装着され、底部21に固定される。RFIDタグ1の底部21への取り付け方法はこれに限定されず、例えば、溶着や、RFIDタグ1と底部21の間にホットメルト接着剤を注入し両者を接着するホットメルトモールディングを用いてもよい。電子線滅菌処理は、RFIDタグ1を底部21に取り付けた後に行うようにしてもよい。
【0016】
RFIDタグ1は、図2に示すループアンテナ11とICチップ12とからなるアンテナ付きICチップ10を樹脂製のタグボディ30に封入して構成される。
【0017】
ICチップ12には、無線通信用の制御回路、書き換え可能なメモリ等が含まれる。メモリには、管状容器2内の内容物である血液に関する識別情報(管理番号、病院名、患者名、採血日等)が記憶されている。メモリに記憶されている識別情報は、図示しないリーダライタを用いて読み取ることができる。リーダライタは、管状容器2を保持するホルダ下に配置される据え置き型でもよいし、管状容器2に都度近づけて識別情報を読み取るハンディ型であってもよい。
【0018】
ループアンテナ11は、図2に示すように、複数のループ11a~11cを有するコイル状であり、被覆された銅線又はアルミ線を巻回して形成される。ループの数は、タグボディ30に封入可能な範囲で、RFIDタグ1(ループアンテナ11)に要求される感度に応じて適宜選択される。
【0019】
ループアンテナ11は、図示しないリーダライタから発せられる電磁波を受けることでICチップ12を動作させるための電力を得る。そして、ICチップ12は、この電力を用いて識別情報をメモリから読み出し、読み出した識別情報をループアンテナ11からリーダライタに送る。リーダライタを用いてメモリに記憶されている識別情報を書き換えることも可能である。
【0020】
図3は、RFIDタグ1を管状容器2の底部21に固定した状態でのRFIDタグ1の断面を示している。
【0021】
RFIDタグ1(タグボディ30)の最大外径Dmaxは、好ましくは、管状容器2の外径D以下である。この例では、RFIDタグ1の最大外径Dmaxは管状容器2の外径Dよりも小さい。これは、RFIDタグ1の最大外径Dmaxが管状容器2の外径Dを超えてしまうと、管状容器2を遠心分離機にセットする際やその後遠心分離機を動作させる際にRFIDタグ1が引っかかり、遠心分離機の動作に支障がでたり、RFIDタグ1が脱落したりする恐れがあるからである。
【0022】
その一方で、RFIDタグ1(ループアンテナ11)の感度はループアンテナ11の径が大きいほど高いことから、RFIDタグ1(タグボディ30)の最大外径Dmaxは、ループアンテナ11の径をなるべく大きくとれるよう、管状容器2の外径D以下でなるべく大きな径が選択される。
【0023】
タグボディ30は、底部21に沿った形状であり、円形の中央部30cと、中央部30cから外側に延びるとともに、RFIDタグ1の装着方向に湾曲する周縁部30pとで構成される。周縁部30pは、管状容器2の底部21のうちRFIDタグ1が取り付けられる部分と略同じ形状の収容部4を形成する。
【0024】
収容部4は、底部21へのRFIDタグ1の取り付け方向(図1図3の上方向)に開口し、底部21の下側大部分を収容する。収容部4が底部21全体、さらには筒状部22の一部も収容するようにしてもよい。周縁部30pが中央部30cに対して直角ではなく、中央部30cに対して傾斜しているので、収容部4の内径は開口に近づくにつれ大きくなる。
【0025】
タグボディ30の材質は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PP(ポリプロピレン)樹脂、PE(ポリエチレン)樹脂等から適宜選択される。タグボディ30の材質を管状容器2の材質と同じにした場合には、廃棄時の分別を不要にすることができる。
【0026】
ループアンテナ11は、線材が周縁部30pの周方向に延びるとともに周縁部30pの内面に沿って配置される。さらに、ループアンテナ11は、周縁部30pの自由端30e(収容部4の開口側の端)に寄せて配置される。「周縁部30pの自由端30eに寄せる」とは、周縁部30pにおいて、ループアンテナ11が中央部30cよりも自由端30eに近い位置に配置されることを意味する。
【0027】
これにより、ループアンテナ11は、収容部4を中心に(底部21の中心位置を中心に)ループを形成するよう、周縁部30pに設けられる。言い換えると、ループアンテナ11は、ループ面がRFIDタグ1の取り付け方向を向くよう、周縁部30pに設けられる。
【0028】
また、RFIDタグ1が底部21に取り付けられた状態では、ループアンテナ11が、底部21の側壁21s、筒状部22、あるいは筒状部22と側壁21sの両方において周方向に巻回された状態となる。すなわち、ループ面が管状容器2の長手方向を向く向きでループアンテナ11が筒状部22、側壁21sあるいはその両方に渡って配置される。
【0029】
また、ループアンテナ11の複数のループ11a~11cは、径の大きいループ11aから順に自由端30e側から配置される。これにより、ループアンテナ11の放射磁界の密度がRFIDタグ1の下方において高められるので、RFIDタグ1が取り付けられた管状容器2の下方からリーダライタで識別情報を読み取る場合の読み取り精度を向上させることができる。
【0030】
なお、ここではループアンテナ11を自由端30eに寄せて配置したが、ループアンテナ11の配置はこれに限定されない。例えば、ループアンテナ11の巻き数が多い場合や周縁部30pが幅が狭い場合は、ループアンテナ11を周縁部30p全体に渡って配置するようにしてもよい。また、ループアンテナ11を自由端30eから離すことでループアンテナ11の径がその分小さくなったとしても必要なループアンテナ11の感度が得られる場合は、ループアンテナ11を自由端30eから離し、自由端30eと中央部30cの中間位置や中央部30c寄りに配置してよい。
【0031】
中央部30cにはICチップ12が配置される。上記の通り、ループアンテナ11が周縁部30pの自由端30e側に配置され、周縁部30pが中央部30cに対して傾斜しているので、結果として、ループアンテナ11とICチップ12は、RFIDタグ1の取り付け方向において互いに離間して配置される。
【0032】
なお、本実施形態では、ICチップ12を中央部30cに配置しているが、ICチップ12の位置はこれに限定されず、ループアンテナ11とともに周縁部30pに配置してもよい。
【0033】
続いて、RFIDタグ1の製造プロセスについて説明する。
【0034】
まず、図4を参照しながら、ループアンテナ11とICチップ12との接続方法について説明する。
【0035】
ICチップ12は、GNDパッド12a、IO(入出力)パッド12bの他に2つのアンテナ接続用パッド12c、12dを有している。ループアンテナ11は、ループ端から延びるリード線13a、13bをアンテナ接続用パッド12c、12dに接続することでICチップ12と接続される。リード線13a、13bとアンテナ接続用パッド12c、12dとの接続方法としては、ACP(異方性導電ペースト)接続やはんだ付けが用いられるが、接続方法はこれらに限定されない。
【0036】
また、ループアンテナ11とICチップ12とは、図5に示すように、インターフェース基板14を介してループアンテナ11とICチップ12を接続するようにしてもよい。図5はICチップ12を横方向から見た図である。
【0037】
次に、図6を参照しながら、タグボディ30を形成しつつアンテナ付きICチップ10をタグボディ30に封入する方法について説明する。
【0038】
まず、タグボディ30の下側を構成する第1部品31を形成する(図6(a))。例えば、タグボディ30の材質が樹脂である場合は、射出成形により第1部品31を形成することができる。
【0039】
第1部品31はタグボディ30と同様に周縁部31pが中央部31cに対して傾斜しており、また、中央部31cにはICチップ12を配置するための窪み31dが形成される。
【0040】
次に、第1部品31上にアンテナ付きICチップ10を載せる(図6(b))。ICチップ12が窪み31dに配置されるとともに、ループアンテナ11が図示しない突起又は溝に保持されることで、アンテナ付きICチップ10が第1部品31上に仮着される。アンテナ付きICチップ10を第1部品31に仮着するのは、次の工程でアンテナ付きICチップ10が位置ずれを起こさないようにするためである。
【0041】
この状態で、第1部品31上に第2部品32を形成する(図6(c))。例えば、タグボディ30の材質が樹脂である場合は、アンテナ付きICチップ10を仮着済みの第1部品31をタグボディ30に対応する形状のキャビティを有する金型にセットし、キャビティの残余の空間に樹脂を射出、注入することで第1部品31上に第2部品32を形成することができる。
【0042】
これにより、アンテナ付きICチップ10を第1部品31と第2部品32の間に配置、封入したRFIDタグ1が製造される。RFIDタグ1は第2部品32を介して管状容器2の底部21に取り付けられる。
【0043】
なお、ここでは第2部品32を射出成形により第1部品31上に第2部品32を形成しているが、第2部品32を別途形成しておき、これを第1部品31に取り付けるようにしてもよい。この場合の第2部品32の第1部品31への取り付け方法は、接着剤を利用した接着でもよいし、一方の部材に設けた爪を他方の部材に係止させる固定方法であってもよい。
【0044】
また、ここではアンテナ付きICチップ10を第1部品31と第2部品32との間に配置した図6(c)の状態をRFIDタグ1としているが、アンテナ付きICチップ10が露出した図6(b)の状態のものをRFIDタグ1としてもよい。この場合、タグボディ30は第1部品31のみで構成され、図6(b)の状態ものを管状容器2の底部21に直接取り付けることになる。
【0045】
取り付け方法としては、管状容器2の底部21とRFIDタグ1の間にホットメルト接着剤を注入し両者を接着するホットメルトモールディングが利用できる。この方法によれば、アンテナ付きICチップ10の封入と底部21へのRFIDタグ1の固定を同時に行うことが可能である。
【0046】
続いて、本実施形態の主な作用効果について説明する。
【0047】
本実施形態に係るRFIDタグ1は、管状容器2の底部21に取り付け可能なRFIDタグ1であり、ICチップ12と、ICチップ12に接続されるループアンテナ11と、ICチップ12及びループアンテナ11が設けられ、底部21に取り付け可能なタグボディ30と、を備える。タグボディ30は、底部21へのRFIDタグ1の取り付け方向に開口し底部21の少なくとも一部を収容可能な収容部4を形成する周縁部30pを有する。ループアンテナ11は、収容部4を中心にループを形成するように周縁部30pに沿って設けられる。
【0048】
この構成によれば、管状容器2の底部21という限られたスペースであっても、ループアンテナ11のループ径及び巻き数を確保できる。これにより、RFIDタグ1の感度を向上させ、ICチップ12のメモリに格納された識別情報の読み取り精度を向上させることができる。
【0049】
また、タグボディ30を底部21に沿った形状としたことで、管状容器2側の加工無しでRFIDタグ1を底部21に取り付けることが可能となる。
【0050】
また、ループアンテナ11を複数のループ11a~11cで構成し、周縁部30pの自由端30eに近いループほど径を大きくしたことで、ループアンテナ11の放射磁界の密度をRFIDタグ1の下方において高めることができる。これにより、管状容器2の下方からリーダライタで識別情報を読み取る場合の読み取り精度を向上させることができる。
【0051】
また、ICチップ12とループアンテナ11とをRFIDタグ1の取り付け方向に互いに離間して配置したことで、ICチップ12の取り付け位置の自由度を高めるとともに、ICチップ12の取り付け位置に関わらず、ループ径を大きくできる位置(周縁部30p、好ましくはその自由端30e寄り)にループアンテナ11を配置することができる。
【0052】
また、ループアンテナ11を周縁部30pの自由端30eに寄せて配置した。これにより、ループアンテナ11の径を最大限大きくできるとともに巻き数を最大限多くでき、RFIDタグ1の感度をさらに向上させ、ICチップ12のメモリに格納された識別情報の読み取り精度をさらに向上させることができる。
【0053】
上記実施形態では、収容部4の内径が収容部4の開口に近づくにつれ大きくなるよう、周縁部30pを傾斜させることで、周縁部30pの自由端30eに近いループの径を大きくするとともに、ICチップ12とループアンテナ11とをRFIDタグ1の取り付け方向に互いに離間して配置する構成を実現している。
【0054】
また、タグボディ30の最大外径Dmaxを管状容器2の外径D以下とした。これにより、RFIDタグ1を取り付けた管状容器2を遠心分離機にセットする際やその後遠心分離機を動作させる際にRFIDタグ1が引っかかることがなくなり、遠心分離機の動作に支障がでたり、RFIDタグ1が脱落したりするのを防止できる。
【0055】
また、タグボディ30を第1部品31と第2部品32とで構成し、ICチップ12及びループアンテナ11を第1部品31と第2部品32との間に配置し、RFIDタグ1が第2部品32を介して底部21に取り付けられるようにした。ICチップ12及びループアンテナ11が第1部品31と第2部品32との間に配置されるので、ICチップ12及びループアンテナ11を保護するとともに、ICチップ12やループアンテナ11の位置ずれ、脱落を防止することができる。
【0056】
また、RFIDタグ1を、タグボディ30の内面にICチップ12及びループアンテナ11を取り付けた状態のものとし、これを管状容器2の底部21に直接取り付けるようにしてもよい。これにより、ICチップ12及びループアンテナ11の封入と底部21へのRFIDタグ1の固定を同時に行い、製造プロセスを短縮することができる。
【0057】
また、管状容器2は、RFIDタグ1が取り付けられることで、ループアンテナ11が筒状部22、側壁21s、あるいは、筒状部22と側壁21sの両方において周方向に巻回される構成となる。この構成によれば、管状容器2の底部21という限られたスペースであっても、ループアンテナ11のループ径及び巻き数を確保できるので、RFIDタグ1の感度を向上させ、ICチップ12のメモリに格納された識別情報の読み取り精度を向上させることができる。
【0058】
また、ループアンテナ11とICチップ12を管状容器の長手方向に互いに離間して配置したことにより、ICチップ12の取り付け位置の自由度を高めるとともに、ICチップ12の取り付け位置に関わらず、ループ径を大きくできる位置(筒状部22の周り、側壁21sのうち径が大きい部分の周り等)にループアンテナ11を配置することができる。
【0059】
なお、上記実施形態は管状容器2が採血管である場合のRFIDタグ1を説明したが、RFIDタグ1が取り付けられる対象は採血管に限定されない。RFIDタグ1は、検体管、試験管、スピッツ管、医薬品ボトル等、様々な管状容器の底部に取り付けることが可能である。
【0060】
図7図8は、管状容器2がスピッツ管である場合のRFIDタグ1を示している。スピッツ管は、底部21が採血管と比較して長いため、これに対応してRFIDタグ1のタグボディ30も長くなる。基本的な構成は図1等に示した採血管用のRFIDタグ1と同じであるので、図中の対応する構成には管状容器2が採血管の場合と同じ参照符号を付して説明は省略する。
【0061】
図9は、スピッツ管用のRFIDタグ1の製造プロセスを示している。製造プロセスについても採血管用のRFIDタグ1の製造プロセスと差異はなく、図9(a)~(c)の工程がそれぞれ図6(a)~(c)の工程にそれぞれ対応する。
【0062】
また、上記実施形態では、RFIDタグ1(タグボディ30)の外形を、管状容器2の底部21と略相似形状としているが、RFIDタグ1(タグボディ30)の外形はこれに限定されず、RFIDタグ1の底面(中央部30cの底面)を平らにする、RFIDタグ1の側面(周縁部30pの外表面)を円筒状にする等、他の形状としてもよい。
【0063】
また、RFIDタグ1(タグボディ30)の最大外径Dmaxを、好ましくは、管状容器2の外径D以下としているが、最大外径Dmaxが管状容器2の外径Dよりも大きくなっても構わない。例えば、収容部4が筒状部22の一部も収容する場合は、RFIDタグ1(タグボディ30)の最大外径Dmaxが管状容器2の外径Dよりも大きくなる。
【0064】
また、RFIDタグ1をHF帯を利用する無線タグとしたが、利用する電波の帯域はこれに限定されない。本発明はループアンテナで受信可能な帯域を利用する無線タグであれば利用可能である。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0066】
1 :RFIDタグ
2 :管状容器(採血管、スピッツ管等)
4 :収容部
10 :アンテナ付きICチップ
11 :ループアンテナ
11a :ループ
11b :ループ
11c :ループ
12 :ICチップ
12a :GNDパッド
12b :パッド
12c :アンテナ接続用パッド
12d :アンテナ接続用パッド
13a :リード線
13b :リード線
14 :インターフェース基板
21 :底部
21s :側壁
22 :筒状部
30 :タグボディ
30c :中央部
30p :周縁部
31 :第1部品
31c :中央部
31d :窪み
31p :周縁部
32 :第2部品
32e :自由端
D :外径
Dmax :最大外径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9