(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046889
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】判定装置、自動再投入装置、自動再投入機能付き遮断器及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02H 3/06 20060101AFI20230329BHJP
H01H 75/10 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
H02H3/06
H01H75/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155729
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505263373
【氏名又は名称】株式会社コエックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明義
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴久
【テーマコード(参考)】
5G030
5G142
【Fターム(参考)】
5G030CA00
5G030XX18
5G030YY15
5G142AA15
5G142BD01
5G142BD06
5G142HH02
(57)【要約】
【課題】遮断器がトリップ状態になった原因が過電流か否かを判定する判定精度を改善することが可能な判定装置、自動再投入装置、自動再投入機能付き遮断器及びプログラムを提供する。
【解決手段】判定装置4は、遮断器2に通電する電流値が所定閾値を超えているか否かを検出する電流検出部41と、遮断器2のハンドル23が開状態か否かを検出するハンドル位置検出部42と、遮断器2がトリップ状態に至った原因が過電流か否かを判定する判定部44と、を備える。電流検出部41は、電流値が所定閾値を超えた後の所定時間、電流値が所定閾値を超えたことを示す電流検出信号を保持するように構成されている。判定部44は、電流検出信号と、遮断器2のハンドル23が開状態であると検出したことを示すハンドル開閉信号とに基づいて、遮断器2がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮断器に通電する電流値が所定閾値を超えているか否かを検出する電流検出部と、
前記遮断器のハンドルが開状態か否かを検出するハンドル検出部と、
前記遮断器がトリップ状態に至った原因が過電流か否かを判定する判定部と、
を備え、
前記電流検出部は、前記電流値が前記所定閾値を超えた後の所定時間、前記電流値が前記所定閾値を超えたことを示す第一検出信号を保持するように構成され、
前記判定部は、前記第一検出信号と、前記遮断器のハンドルが開状態であると検出したことを示す第二検出信号とに基づいて、前記遮断器がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定する、
判定装置。
【請求項2】
遮断器に通電する電流値が所定閾値を超えているか否かを検出する電流検出部と、
前記遮断器の二次側の電圧の有無を検出する電圧検出部と、
前記遮断器がトリップ状態に至った原因が過電流か否かを判定する判定部と、
を備え、
前記電流検出部は、前記電流値が前記所定閾値を超えた後の所定時間、前記電流値が前記所定閾値を超えたことを示す第一検出信号を保持するように構成され、
前記判定部は、前記第一検出信号と、前記遮断器の二次側の電圧が検出されていないことを示す第三検出信号とに基づいて、前記遮断器がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定する、
判定装置。
【請求項3】
遮断器に通電する電流値が所定閾値を超えているか否かを検出する電流検出部と、
前記遮断器のハンドルが開状態か否かを検出するハンドル検出部と、
前記遮断器の二次側の電圧の有無を検出する電圧検出部と、
前記遮断器がトリップ状態に至った原因が過電流か否かを判定する判定部と、
を備え、
前記電流検出部は、前記電流値が前記所定閾値を超えた後の所定時間、前記電流値が前記所定閾値を超えたことを示す第一検出信号を保持するように構成され、
前記判定部は、前記第一検出信号と、前記遮断器のハンドルが開状態であると検出したことを示す第二検出信号と前記遮断器の二次側の電圧が検出されていないことを示す第三検出信号の少なくとも一方と、に基づいて、前記遮断器がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定する、
判定装置。
【請求項4】
前記電圧検出部は、前記遮断器の二次側の電圧の接点または前記接点と電気的に導通した部分に接続されている、
請求項2または請求項3に記載の判定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の判定装置と、
前記遮断器のハンドルに取り付けられるハンドル保持部と、
前記判定装置の判定結果に基づいて、前記ハンドル保持部の動作を制御する制御部と、
を備える自動再投入装置。
【請求項6】
請求項5に記載の自動再投入装置と、前記遮断器と、を備える自動再投入機能付き遮断器。
【請求項7】
電流検出部とハンドル検出部と判定部とを備える判定装置に次の処理を実行させるプログラムであって、
前記電流検出部に、遮断器に通電する電流値が所定閾値を超えているか否かを検出させるとともに、前記電流値が前記所定閾値を超えた後の所定時間、前記電流値が前記所定閾値を超えたことを示す第一検出信号を保持させるステップと、
前記ハンドル検出部に、前記遮断器のハンドルが開状態か否かを検出させるステップと、
前記判定部に、前記第一検出信号と、前記遮断器のハンドルが開状態であると検出したことを示す第二検出信号とに基づいて、前記遮断器がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定させるステップと、
を含む処理を実行させるプログラム。
【請求項8】
電流検出部と電圧検出部と判定部とを備える判定装置に次の処理を実行させるプログラムであって、
前記電流検出部に、遮断器に通電する電流値が所定閾値を超えているか否かを検出させるとともに、前記電流値が前記所定閾値を超えた後の所定時間、前記電流値が前記所定閾値を超えたことを示す第一検出信号を保持させるステップと、
前記電圧検出部に、前記遮断器の二次側の電圧の有無を検出させるステップと、
前記判定部に、前記第一検出信号と、前記遮断器の二次側の電圧が検出されていないことを示す第三検出信号とに基づいて、前記遮断器がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定させるステップと、
を含む処理を実行させるプログラム。
【請求項9】
電流検出部とハンドル検出部と電圧検出部と判定部とを備える判定装置に次の処理を実行させるプログラムであって、
前記電流検出部に、遮断器に通電する電流値が所定閾値を超えているか否かを検出させるとともに、前記電流値が前記所定閾値を超えた後の所定時間、前記電流値が前記所定閾値を超えたことを示す第一検出信号を保持させるステップと、
前記ハンドル検出部に、前記遮断器のハンドルが開状態か否かを検出させるステップと、
前記電圧検出部に、前記遮断器の二次側の電圧の有無を検出させるステップと、
前記判定部に、前記第一検出信号と、前記遮断器のハンドルが開状態であると検出したことを示す第二検出信号と前記遮断器の二次側の電圧が検出されていないことを示す第三検出信号の少なくとも一方と、に基づいて、前記遮断器がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定させるステップと、
を含む処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置、自動再投入装置、自動再投入機能付き遮断器およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
遮断器は、電路に過大に流れた電流を検知して、自動的に回路から負荷を遮断する安全装置であり、様々な施設に設置されている。また、例えば、管理者が常駐していない施設に設置される遮断器には、一過性のノイズ等で遮断した場合に自動的にブレーカハンドルを復帰させることが可能な自動再投入装置が使用されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のような自動再投入装置では、遮断器が遮断状態(トリップ状態)になった場合、トリップ状態に至った原因が過電流でなければ、ブレーカハンドルを動作制御してトリップ状態を解除する、すなわち再投入するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の自動再投入装置は、遮断器がトリップ状態になった原因が過電流か否かを判定する判定精度を改善する余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、遮断器がトリップ状態になった原因が過電流か否かを判定する判定精度を改善することが可能な判定装置、自動再投入装置、自動再投入機能付き遮断器及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の判定装置は、
遮断器に通電する電流値が所定閾値を超えているか否かを検出する電流検出部と、
前記遮断器のハンドルが開状態か否かを検出するハンドル検出部と、
前記遮断器がトリップ状態に至った原因が過電流か否かを判定する判定部と、
を備え、
前記電流検出部は、前記電流値が前記所定閾値を超えた後の所定時間、前記電流値が前記所定閾値を超えたことを示す第一検出信号を保持するように構成され、
前記判定部は、前記第一検出信号と、前記遮断器のハンドルが開状態であると検出したことを示す第二検出信号とに基づいて、前記遮断器がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定する。
【0008】
また、本発明の判定装置は、
遮断器に通電する電流値が所定閾値を超えているか否かを検出する電流検出部と、
前記遮断器の二次側の電圧の有無を検出する電圧検出部と、
前記遮断器がトリップ状態に至った原因が過電流か否かを判定する判定部と、
を備え、
前記電流検出部は、前記電流値が前記所定閾値を超えた後の所定時間、前記電流値が前記所定閾値を超えたことを示す第一検出信号を保持するように構成され、
前記判定部は、前記第一検出信号と、前記遮断器の二次側の電圧が検出されていないことを示す第三検出信号とに基づいて、前記遮断器がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定する。
【0009】
また、本発明の判定装置は、
遮断器に通電する電流値が所定閾値を超えているか否かを検出する電流検出部と、
前記遮断器のハンドルが開状態か否かを検出するハンドル検出部と、
前記遮断器の二次側の電圧の有無を検出する電圧検出部と、
前記遮断器がトリップ状態に至った原因が過電流か否かを判定する判定部と、
を備え、
前記電流検出部は、前記電流値が前記所定閾値を超えた後の所定時間、前記電流値が前記所定閾値を超えたことを示す第一検出信号を保持するように構成され、
前記判定部は、前記第一検出信号と、前記遮断器のハンドルが開状態であると検出したことを示す第二検出信号と前記遮断器の二次側の電圧が検出されていないことを示す第三検出信号の少なくとも一方と、に基づいて、前記遮断器がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定する。
【0010】
また、本発明の自動再投入装置は、
前記判定装置と、
前記遮断器のハンドルに取り付けられるハンドル保持部と、
前記判定装置の判定結果に基づいて、前記ハンドル保持部の動作を制御する制御部と、
を備える。
【0011】
また、本発明の自動再投入機能付き遮断器は、
前記自動再投入装置と、前記遮断器と、を備える。
【0012】
また、本発明のプログラムは、
電流検出部とハンドル検出部と判定部とを備える判定装置に次の処理を実行させるプログラムであって、
前記電流検出部に、遮断器に通電する電流値が所定閾値を超えているか否かを検出させるとともに、前記電流値が前記所定閾値を超えた後の所定時間、前記電流値が前記所定閾値を超えたことを示す第一検出信号を保持させるステップと、
前記ハンドル検出部に、前記遮断器のハンドルが開状態か否かを検出させるステップと、
前記判定部に、前記第一検出信号と、前記遮断器のハンドルが開状態であると検出したことを示す第二検出信号とに基づいて、前記遮断器がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定させるステップと、
を含む処理を実行させる。
【0013】
また、本発明のプログラムは、
電流検出部と電圧検出部と判定部とを備える判定装置に次の処理を実行させるプログラムであって、
前記電流検出部に、遮断器に通電する電流値が所定閾値を超えているか否かを検出させるとともに、前記電流値が前記所定閾値を超えた後の所定時間、前記電流値が前記所定閾値を超えたことを示す第一検出信号を保持させるステップと、
前記電圧検出部に、前記遮断器の二次側の電圧の有無を検出させるステップと、
前記判定部に、前記第一検出信号と、前記遮断器の二次側の電圧が検出されていないことを示す第三検出信号とに基づいて、前記遮断器がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定させるステップと、
を含む処理を実行させる。
【0014】
また、本発明のプログラムは、
電流検出部とハンドル検出部と電圧検出部と判定部とを備える判定装置に次の処理を実行させるプログラムであって、
前記電流検出部に、遮断器に通電する電流値が所定閾値を超えているか否かを検出させるとともに、前記電流値が前記所定閾値を超えた後の所定時間、前記電流値が前記所定閾値を超えたことを示す第一検出信号を保持させるステップと、
前記ハンドル検出部に、前記遮断器のハンドルが開状態か否かを検出させるステップと、
前記電圧検出部に、前記遮断器の二次側の電圧の有無を検出させるステップと、
前記判定部に、前記第一検出信号と、前記遮断器のハンドルが開状態であると検出したことを示す第二検出信号と前記遮断器の二次側の電圧が検出されていないことを示す第三検出信号の少なくとも一方と、に基づいて、前記遮断器がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定させるステップと、
を含む処理を実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、遮断器がトリップ状態になった原因が過電流か否かを判定する判定精度を改善することが可能な判定装置、自動再投入装置、自動再投入機能付き遮断器及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る自動再投入機能付き遮断器の一例を示す構成図である。
【
図2】自動再投入機能付き遮断器の機能ブロック図である。
【
図3】電流検出信号とハンドル開閉信号とに基づいて、トリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定するフローチャートである。
【
図4】電流検出信号と電圧未検出信号とに基づいて、トリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定するフローチャートである。
【
図5】電流検出信号とハンドル開閉信号と電圧未検出信号とに基づいて、トリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定するフローチャートである。
【
図6】(a)から(e)は、電流検出信号が所定時間継続して出力される場合の第一判定例を示すタイムチャートである。
【
図7】(a)から(e)は、電流検出信号が所定時間継続して出力される場合の第二判定例を示すタイムチャートである。
【
図8】(a)から(e)は、電流検出信号が出力されない場合の判定例を示すタイムチャートである。
【
図9】(a)から(e)は、電流検出信号が継続して出力されない場合を比較判定例として示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る判定装置、自動再投入装置、自動再投入機能付き遮断器及びそのプログラムの実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(第一実施形態)
図1は、本実施形態の自動再投入機能付き遮断器1の構成図である。
図1に示すように、自動再投入機能付き遮断器1は、遮断器2と、自動再投入装置3と、を備えている。自動再投入機能付き遮断器1は、遮断器2に発生した過電流、過電圧、漏電等を検出するとともに、トリップしてオフ状態になった遮断器2を、検出結果に基づいて自動再投入することが可能な遮断器である。なお、本実施形態では、両端に電圧線L1,L2が配線され、中央に中性線Nが配線されている単相3線式の遮断器について説明する。
【0019】
遮断器2は、電源側(一次側)端子台21と、負荷側(二次側)端子台22と、それらの間に配置されているハンドル23と、を有する。
電源側端子台21には、電源側端子21a,21b,21cが設けられている。負荷側端子台22には、負荷側端子22a,22b,22cが設けられている。電源側端子21a,21b,21cおよび負荷側端子22a,22b,22cには、電圧線L1、中性線N、電圧線L2がそれぞれ対応する順に接続されている。また、負荷側端子22aと22cに接続されている電圧線L1とL2には、電圧線L1とL2に流れる電流を測定するための電流センサ24a,24bが接続されている。
【0020】
ハンドル23は、開状態と閉状態とに変化可能に構成されている。ハンドル23の開状態とは、遮断器2内における電源側の電源側接点と負荷側の負荷側接点とが非接触の状態であって、電源側の電圧線L1,L2、中性線Nと、負荷側の電圧線L1,L2、中性線Nとが導通していない状態のことをいう。ハンドル23の閉状態とは、遮断器2内における電源側の電源側接点と負荷側の負荷側接点とが接触の状態であって、電源側の電圧線L1,L2、中性線Nと、負荷側の電圧線L1,L2、中性線Nとが導通している状態のことをいう。ハンドル23は、例えば、
図1における上下方向へ移動可能に構成されている。ハンドル23は、例えば、上側へ移動することによって遮断器2をオン状態にし、下側へ移動することによって遮断器2をオフ状態にする。
【0021】
遮断器2は、所定閾値を超える電流が負荷側の電圧線L1,L2、または中性線Nに所定の時間継続して流れたときに、トリップコイル(図示省略)のトリップ動作により、電源側の電源側接点と負荷側の負荷側接点とが非接触の状態となるように構成されている。遮断器2は、電源側の電源側接点と負荷側の負荷側接点とが非接触状態となることにより、電源側の電圧線L1,L2、中性線Nと、負荷側の電圧線L1,L2、中性線Nとが非導通状態となってトリップするように構成されている。所定の時間は、電流が大きいほど早く動作するように設定されている。例えば、所定の時間は、短絡電流のような大きな電流の場合には短く、スイッチオン時の突入電流のようなレベルの電流では短絡電流の場合よりも長く、負荷機器を多く使用することで所定閾値を超える程度の電流のような場合にはさらに長く設定されている。
【0022】
自動再投入装置3は、ハンドル保持部31と、ハンドル保持部31を駆動する駆動部51(
図2で後述する)と、を有する。ハンドル保持部31は、遮断器2のハンドル23を保持するように取り付けられている。ハンドル保持部31は、駆動部51によって駆動され、例えば、
図1において矢印Aで示す上下方向へ移動可能に構成されている。ハンドル保持部31は、例えば、下側から上側へ移動することにより、保持したハンドル23を下側から上側へ移動させて開状態から閉状態へと変化させる。これにより、ハンドル保持部31は、トリップしてオフ状態になった遮断器2をオン状態にすることができる。
【0023】
図2は、自動再投入機能付き遮断器1の機能ブロック図である。
図2に示すように、自動再投入装置3は、判定装置4と、ハンドル保持部31と、ハンドル制御部32と、表示部33と、報知部34と、記憶部35と、電源部36と、を有する。判定装置4は、電流検出部41と、ハンドル位置検出部42(ハンドル検出部の一例)と、電圧検出部43と、判定部44と、を有する。なお、ハンドル位置検出部42は、ハンドル制御部32に含まれている。
【0024】
判定装置4は、遮断器2がトリップ状態となったか否かを判定するとともに、トリップ状態になった場合には、そのトリップ状態となった原因が過電流によるものであるか否かを判定する装置である。判定装置4の電流検出部41、ハンドル位置検出部42、および電圧検出部43は、それぞれ判定部44と通信可能に接続されている。
【0025】
電流検出部41は、電流センサ24a,24bに接続されている。電流検出部41には、電流センサ24a,24bによって測定された電流値が入力される。電流検出部41は、電流センサ24a,24bの測定電流に基づいて、負荷側の電圧線L1,L2に流れる電流値、すなわち遮断器2に通電する電流値が所定閾値を超えているか否かを検出する。電流検出部41は、遮断器2に通電する電流値が所定閾値を超えていることを検出した場合、電流値が所定閾値を超えたことを示す電流検出信号(第一検出信号の一例)を出力する。電流検出部41は、電流検出信号を予め設定されている所定時間(例えば1秒)継続して出力するように構成されている。
【0026】
ハンドル位置検出部42は、ハンドル保持部31に接続されている。ハンドル位置検出部42は、ハンドル保持部31の機械的な位置(上側に位置するか下側に位置するか)を検出する。ハンドル位置検出部42は、検出したハンドル保持部31の位置に基づいて、遮断器2のハンドル23の位置を認識し、ハンドル23が開状態であるか閉状態であるかを検出する。ハンドル位置検出部42は、ハンドル23が開状態であることを検出した場合、開状態であると検出したことを示すハンドル開閉信号(第二検出信号の一例)を出力する。ハンドル位置検出部42から出力されたハンドル開閉信号は、判定部44に入力される。
【0027】
電圧検出部43は、遮断器2における負荷側の負荷側接点(例えば、負荷側接点122a,122b,122c)に接続されている。図に示す例では、電圧検出部43は、負荷側接点122aに導通する負荷側端子22aと、負荷側接点122cに導通する負荷側端子22cに接続されている。電圧検出部43は、遮断器2の二次側の電圧の有無、すなわち負荷側接点122aと負荷側接点122cの電圧の有無を検出する。電圧検出部43は、遮断器2の二次側に電圧が無い、すなわち負荷側接点122aと負荷側接点122cとが電源側の電源側接点121aと電源側接点121cに導通していないと検出した場合、遮断器2の二次側に電圧が検出されていないことを示す電圧未検出信号(第三検出信号の一例)を出力する。電圧検出部43から出力された電圧未検出信号は、判定部44に入力される。
【0028】
判定部44は、遮断器2がトリップ状態に至ったとき、そのトリップ状態に至った原因が過電流による原因であるか否かを判定する。例えば、判定部44は、負荷側の電圧線L1,L2に流れる電流値、すなわち遮断器2に通電する電流値が、所定閾値を超えたことを示す電流検出部41の電流検出信号と、ハンドル23が開状態であると検出したことを示すハンドル位置検出部42のハンドル開閉信号とに基づいて、遮断器2がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定する。
【0029】
また、判定部44は、電流検出信号と、電圧未検出信号とに基づいて、遮断器2がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定しても良い。また、判定部44は、電流検出信号と、ハンドル開閉信号と、電圧未検出信号とに基づいて、遮断器2がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定してもよい。
【0030】
ハンドル制御部32は、ハンドル位置検出部42と、ハンドル保持部31を駆動する駆動部51と、を有する。ハンドル制御部32は、駆動部51を制御することによって、駆動部51にハンドル保持部31を駆動させる。ハンドル制御部32は、判定装置4の判定結果に基づいて、駆動部51を制御する。例えば、ハンドル制御部32は、ノイズ等の一時的な過電流によって遮断器2がオフしたと判定した場合、ハンドル保持部31を下側から上側へ移動させることにより、開状態のハンドル23を閉状態へと変化させて遮断器2を再投入させる。
【0031】
表示部33は、例えば、LED(発光ダイオード)数字表示器で構成されている。表示部33は、判定部44に接続されており、判定部44からの表示指示信号に基づいて、自動再投入機能付き遮断器1の動作状態(通常運転状態、トリップ状態等)や、再投入した回数などを表示する。
【0032】
報知部34は、判定部44に接続されており、判定部44からの報知指示信号に基づいて、自動再投入機能付き遮断器1が過電流を原因とするトリップ状態であることと等を例えば警報音で報知する。なお、報知部34は、自動再投入装置3の構成の一部としてではなく、外付けの警報ブザーとして設けてもよい。
【0033】
記憶部35は、判定部44と通信可能に接続されている。記憶部35には、遮断器2に通電する電流値の所定閾値、電流検出部41から出力される電流検出信号の具体的な所定時間等が記憶されている。また、記憶部35には、電流検出部41、ハンドル位置検出部42、電圧検出部43および判定部44と協働して、判定装置4に特定の処理を実行させる複数のプログラムが記憶されている。
【0034】
電源部36は、遮断器2の電源側から電力の供給を受け、所定の電圧を自動再投入装置3の各部に供給する。
【0035】
次に、自動再投入機能付き遮断器1の動作を、判定装置4の具体的な判定例を参照しつつ説明する。
図3は、遮断器1の判定装置4が、遮断器2がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定するフローチャートである。
図6は、遮断器2を流れる電流の値が所定閾値を超える場合の第一判定例を示すタイムチャートである。
図6の(a)は、遮断器2に流れる電流値の変化を示す図であり、(b)は、電流検出部41から出力される電流検出信号を示す図であり、(c)は、ハンドル位置検出部42から出力されるハンドル開閉信号を示す図であり、(d)は、電圧検出部43から出力される電圧未検出信号を示す図であり、(e)は、判定部44から出力される異常トリップの判定信号を示す図である。
【0036】
図3に示すように、電流検出部41は、電圧線L1,L2に流れる電流値を取得する(ステップS10)。
続いて、電流検出部41は、遮断器2に通電する電流値が所定閾値を超えているか否かを検出する(ステップS11)。
【0037】
ステップS11において、遮断器2に通電する電流値が所定閾値を超えていないと検出した場合には(ステップS11のNO)、電流検出部41は、ステップS10に戻り各処理を繰り返す。
図6の(a)においては、時刻t1以前における電流値i1の場合に、所定閾値を超えていないと検出される。
【0038】
また、ステップS11において、遮断器2に通電する電流値i1が所定閾値を超えていると検出した場合は(ステップS11のYES)、電流検出部41は、
図6の(b)に示すように、電流値が所定閾値を超えたことを示す電流検出信号を、予め設定されている所定時間(例えば1秒)継続して、判定部44に出力する(ステップS12)。
【0039】
続いて、判定部44は、ハンドル位置検出部42から出力されるハンドル開閉信号を取得する(ステップS13)。
【0040】
上述のように、ハンドル開閉信号は、遮断器2のハンドル23が開状態であるか閉状態であるかを示す信号である。ハンドル位置検出部42は、ハンドル開閉信号におけるハンドル開の信号を出力するにあたり、ハンドル保持部31の機械的な位置を検出している。ハンドル保持部31は、ハンドル23を保持した状態にセットされ、ハンドル23の開閉動作に伴って位置を変化させる。このため、ハンドル位置検出部42から出力されるハンドル開の信号の出力タイミングは、
図6の(c)に示すように、遮断器2がトリップして遮断器2の電流値i1がゼロになる時刻t2のタイミングよりも遅れた時刻t3のタイミングになる。
【0041】
判定部44は、電流検出部41からの電流検出信号と、ハンドル位置検出部42からのハンドル開閉信号とに基づいて、遮断器2のトリップの原因が過電流によるものであるか否か判定する(ステップS14)。判定部44は、電流検出部41からの電流検出信号がオン出力であり、且つ、ハンドル位置検出部42からのハンドル開閉信号がハンドル開の信号である場合に、遮断器2のトリップの原因が過電流によるものであると判定する。
【0042】
ステップS14において、遮断器2のトリップの原因が過電流によるものではないと判定した場合には(ステップS14のNO)、判定部44は、ステップS13に戻り各処理を繰り返す。
図6において、例えば、遮断器2の電流値i1が所定閾値を超えている時刻t1から時刻t2の期間では、電流検出信号はオン出力であるが、ハンドル開閉信号がハンドル閉の信号である。このため、
図3のステップS14においてはNOと判定されて、ステップS13に戻る。
【0043】
一方、ステップS14において、遮断器2のトリップの原因が過電流によるものであると判定した場合、すなわち電流検出信号がオン出力であり、且つ、ハンドル開閉信号がハンドル開の信号であると判定した場合には(ステップS14のYES)、判定部44は、遮断器2が異常トリップの状態であると判定し遮断器2の再投入機能を停止する(ステップS15)。
図6において、例えば、ハンドル位置検出部42からハンドル開の信号が出力される時刻t3のタイミングで、電流検出信号がオン出力であり、且つ、ハンドル開閉信号がハンドル開の信号であると判定される。このため、(e)に示すように、時刻t4において、遮断器2が異常トリップの状態であることを示す判定信号が判定部44から出力される。
【0044】
なお、ステップS14において、所定時間、遮断器2のトリップの原因が過電流によるものではない(ステップS14のNO)と判定されると、ステップS10に戻り各処理を繰り返す。
【0045】
次に、
図3に示すフローチャートを、遮断器2を流れる電流の値が所定閾値を超える場合の第二判定例を参照しつつ説明する。
図7は、第二判定例を説明するためのタイムチャートである。なお、
図7の(a)~(e)は、
図6の(a)~(e)と同様の信号を示す。
【0046】
上述したように、ステップS11において、遮断器2に通電する電流値が所定閾値を超えていると検出した場合には(ステップS11のYES)、電流検出部41は、電流値が所定閾値を超えたことを示す電流検出信号を、予め設定されている所定時間継続して、判定部44に出力する(ステップS12)。
図7の(a),(b)に示すように、電流値i2が所定閾値を超える時刻t5において、電流検出信号が電流検出部41から所定時間継続して出力される。
【0047】
続いて、判定部44は、ハンドル位置検出部42から出力されるハンドル開閉信号を取得する(ステップS13)。
ハンドル開閉信号は、ハンドル23の開閉状態に伴って変化する信号であるが、
図7に示す第二判定例では、電流値i2が流れることによる遮断器2のトリップが発生しないため、(c)に示すように、ハンドル閉の信号のままである。
【0048】
このため、ステップS14において、電流検出信号はオン出力であるが、ハンドル開閉信号がハンドル閉の信号であるので、判定部44は、NOと判定し続ける。
したがって、
図7の(e)に示すように、トリップの判定信号は、異常トリップではない判定信号のままである。このような電流値i2としては、例えば、ノイズ電流等の瞬時的な電流が挙げられる。
【0049】
このように、ノイズ電流等の瞬時的な過電流に基づいて電流検出信号が所定時間継続して出力された場合には、ハンドル開の信号が出力されないため、異常トリップであるという判定は生じない。
【0050】
次に、
図3に示すフローチャートを、遮断器2を流れる電流値が所定閾値を超えない場合の判定例を参照しつつ説明する。
図8は、遮断器2を流れる電流の値が所定閾値を超えない場合の判定例を示すタイムチャートである。なお、
図8の(a)~(e)は、
図6の(a)~(e)と同様の信号を示す。
【0051】
図8の(a)に示すように、遮断器2を流れる電流値i3が所定閾値を超えない場合であっても、例えば時刻t6において原因不明のトリップが発生することがある。
【0052】
この場合、遮断器2がトリップしたことにより、遮断器2のハンドル23の状態が閉状態から開状態になるため、
図8の(c)に示すように、電流値i3がゼロになる時刻t6から少し遅れて、ハンドル開の信号が時刻t7で出力される。
【0053】
上述したように、ステップS11において、遮断器2に通電する電流値が所定閾値を超えていないと検出した場合には(ステップS11のNO)、電流検出部41は、ステップS10に戻り各処理を繰り返す。したがって、ステップS12の処理に進むことはない。
【0054】
電流値i3が所定閾値を超えていないため、
図8の(b)に示すように、所定閾値を超えたことを示す電流検出信号はオフ出力のままである。
【0055】
このように、所定閾値を超えないときに原因不明のトリップが発生した場合には、電流検出信号がオン出力されないので、ハンドル開の信号が出力されても、
図8の(e)に示すように、異常トリップであるという判定信号は出力されない。このため、判定部44は、ハンドル制御部32を介して、駆動部51によりハンドル保持部31を駆動させ、遮断器2を再投入する。これにより、
図8の(a)に示すように、時刻t8において、遮断器2に電流が流れ始める。また、
図8の(c)に示すように、時刻t9において、ハンドル位置検出部42からハンドル閉の信号が出力される。
【0056】
(変形例1)
次に、判定装置4が、電流検出信号と、電圧未検出信号とに基づいて、遮断器2がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定する場合について説明する。
図4は、遮断器2がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを電流検出信号と電圧未検出信号とに基づいて判定するフローチャートである。
まず、
図4に示すフローチャートを、遮断器2を流れる電流の値が所定閾値を超える場合の第一判定例である
図6を参照しつつ説明する。
【0057】
図4におけるステップS20~ステップS22の各処理内容は、
図3におけるステップS10~ステップS12の各処理内容と同様である。
【0058】
ステップS22に続いて、判定部44は、電圧検出部43から出力される検出信号、すなわち遮断器2の二次側に電圧が出力されているか否かを示す検出信号を取得する(ステップS23)。
図6の(d)に示すように、遮断器2の二次側に電圧が検出されていないことを示す電圧未検出信号は、遮断器2がトリップして遮断器2の電流値i1がゼロになる時刻t2のタイミングに同期するように、時刻t10でおいて出力される。
【0059】
判定部44は、電流検出部41からの電流検出信号と、電圧検出部43からの検出信号(電圧未検出信号)とに基づいて、遮断器2のトリップの原因が過電流によるものであるか否か判定する(ステップS24)。判定部44は、電流検出部41からの電流検出信号がオン出力であり、且つ、電圧検出部43からの電圧未検出信号が出力されている場合に、遮断器2のトリップの原因が過電流によるものであると判定する。
【0060】
ステップS24において、遮断器2のトリップの原因が過電流によるものではないと判定した場合には(ステップS24のNO)、判定部44は、ステップS23に戻り各処理を繰り返す。
図6において、例えば、遮断器2の電流値i1が所定閾値を超える時刻t1から遮断器2がトリップして電流値i1がゼロになる時刻t2までの期間は、電流検出信号はオン出力であるが、電圧未検出信号が出力されていない。このため、
図4のステップS14においてはNOと判定されて、ステップS23に戻る。
【0061】
一方、ステップS24において、遮断器2のトリップの原因が過電流によるものであると判定した場合、すなわち電流検出信号がオン出力であり、且つ、電圧検出部43からの電圧未検出信号が出力されていると判定した場合には(ステップS24のYES)、判定部44は、遮断器2が異常トリップの状態であると判定し遮断器2の再投入機能を停止する(ステップS25)。
図6において、例えば、電圧検出部43からの電圧未検出信号が出力される時刻t10のタイミングで、電流検出信号がオン出力であり、且つ、電圧検出部43からの電圧未検出信号が出力されていると判定される。このため、(e)に示すように、時刻t11において、遮断器2が異常トリップの状態であることを示す判定信号が判定部44から出力される。
【0062】
なお、ステップS24において、電流検出信号がオン出力されている所定時間が経過した場合には、遮断器2のトリップの原因が過電流によるものではない(ステップS24のNO)と判定されると、ステップS20に戻り各処理を繰り返す。
【0063】
(変形例2)
図5は、判定装置4が、電流検出部41から出力される電流検出信号と、ハンドル位置検出部42から出力されるハンドル開閉信号と、電圧検出部43から出力される電圧未検出信号とに基づいて、遮断器2がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定するフローチャートである。
【0064】
判定部44は、ステップS35において、例えば、電流検出部41からの電流検出信号がオン出力であり、且つ、ハンドル位置検出部42からのハンドル開閉信号がハンドル開の信号であり、電圧検出部43からの電圧未検出信号が出力されている場合に、遮断器2のトリップの原因が過電流によるものであると判定する。
なお、
図5における各ステップの処理内容は、
図3及び
図4に示すフローチャートの処理内容と同様である。
【0065】
(作用効果)
ところで、従来装置では、例えば
図9に示すように、遮断器2を流れる電流値i4は、例えば時刻t14において所定閾値を超え、所定の時間継続して流れると遮断器2がトリップして例えば時刻t15においてゼロになる。遮断器2を流れる電流値i4が所定閾値を時刻t14において超えると、
図9(b)に示すように、所定閾値を超えたことを示す電流検出信号が電流検出部41から出力される。そして、遮断器2がトリップして電流値i4がゼロになり所定閾値以下になると、電流検出信号は時刻t15においてオフ出力になる。
【0066】
また、遮断器2がトリップしたことにより、遮断器2のハンドル23の状態が閉状態から開状態になるが、上述したように、ハンドル位置検出部42は、ハンドル23の位置を検出するにあたり、ハンドル保持部31の機械的な位置を検出しているため、その検出タイミングに遅れが生じる。このため、
図9(c)に示すように、ハンドル位置検出部42から出力されるハンドル開閉信号の立ち上がりタイミングt16は電流値i4がゼロになる時刻t15に対して遅れる。このように、電流検出信号がオフ出力されてから遅れてハンドル開閉信号が出力されるため、判定部44は、過電流を原因とする異常トリップの発生を、ハンドル位置検出部42から出力されるハンドル開閉信号を用いて正確に判定することができない場合があった。
【0067】
また、遮断器2がトリップしたことにより、遮断器2内の接点が非導通となり、二次側の電圧がゼロになる。遮断器2の二次側の電圧がゼロになると、
図9(d)に示すように、遮断器2の二次側に電圧がないことを示す電圧未検出信号が電圧検出部43から出力されるが、タイミング誤差により、電圧未検出信号の出力タイミングが電流検出信号のオフ出力の後になる場合が生じ得る。したがって、電圧未検出信号の出力タイミングが電流検出信号のオフ出力後になった場合には、過電流を原因とする異常トリップの発生を、電圧検出部43から出力される電圧未検出信号を用いて正確に判定することができない場合があった。
【0068】
このように、従来装置では、過電流に起因して遮断器がトリップ状態になったとしても、遮断器のハンドルが下がったタイミング、あるいは電圧検出部43から電圧未検出信号が出力されたタイミングにおいて、既に遮断器に通電する電流値が所定閾値未満に至っていると、トリップ状態に至った原因が過電流であると判定することができない場合があった。
【0069】
これに対して、本実施形態の判定装置4の構成によれば、電流検出部41は、電流値が所定閾値を超えた後の所定時間、電流値が所定閾値を超えたことを示す電流検出信号を保持するように構成されている。このため、ハンドル23が下がったタイミングにおいて既に遮断器2を流れる電流値が所定閾値未満に至っていたとしても、電流検出信号が保持される所定時間が継続している間にハンドル開の信号が検出された場合、電流検出信号とハンドル開閉信号とに基づいて、遮断器2がトリップ状態に至った原因が過電流であると判定することができる。このように、判定装置4の構成によれば、遮断器2がトリップ状態になった原因が過電流か否かを判定する判定精度を改善することができる。
【0070】
また、判定装置4は、電流検出信号と、遮断器2の二次側の電圧が検出されていないことを示す電圧未検出信号とに基づいて、遮断器2がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定してもよい。この構成によれば、ハンドル23が下がったタイミングにおいて既に遮断器2を流れる電流値が所定閾値未満に至っていたとしても、電流検出信号が保持される所定時間が継続している間に、遮断器2の二次側の電圧が検出されていないことを示す電圧未検出信号が検出された場合、電流検出信号と電圧未検出信号とに基づいて、遮断器2がトリップ状態に至った原因が過電流であると判定することができる。
また、電圧検出部43は、例えばハンドル位置検出部42と比較して応答性が高いため、判定部44の判定時間を短縮することができる。
【0071】
また、判定装置4によれば、電圧検出部43は、遮断器2の二次側の電圧の接点に接続されているので、さらに、電圧検出部43の応答性を高めることができる。なお、電圧検出部43は、遮断器2の二次側の電圧の接点に直接接続せずに、当該接点と電気的に導通した部位に接続される構成であってもよい。
【0072】
また、判定装置4は、判定部44は、電流検出信号と、遮断器2のハンドル23が開状態であると検出したことを示すハンドル開閉信号と遮断器2の二次側の電圧が検出されていないことを示す電圧未検出信号の少なくとも一方と、に基づいて、遮断器2がトリップ状態に至った原因が過電流であるか否かを判定してもよい。この構成によれば、さらに、遮断器2がトリップ状態になった原因が過電流か否かを判定する判定精度を改善することができる。
【0073】
また、自動再投入装置3は、判定装置4と、遮断器2のハンドル23に取り付けられるハンドル保持部31と、判定装置4の判定結果に基づいてハンドル保持部31の動作を制御するハンドル制御部32と、を備える。この構成によれば、ハンドル23の形状に合わせたハンドル保持部31をハンドル23に取り付けることで、ハンドル制御部32は、ハンドル保持部31とその駆動機構とを介して、素早く、遮断器2のハンドル23を開状態から閉状態に遷移させることができる。
【0074】
また、電流検出信号と電圧未検出信号とを判定に用いる場合は、各種遮断器2のハンドル23の形状に合わせたハンドル保持部31が不要となり、部品コストを抑制できる。
【0075】
また、自動再投入装置3は、ハンドル位置検出部42と電圧検出部43の両方の検出信号を判定処理に組み合わせることで、メンテナンスのためにハンドル保持部31を回避位置に移動させた状態なのか、過電流に起因して遮断器2がトリップ状態に至りハンドル保持部31の位置が移動している状態なのか等を区別することができる。
【0076】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0077】
例えば、上記実施形態では、配電方式が単相3線式の場合について説明したが、この方式に限られない。例えば、単相2線式であってもよいし、あるいは三相3線式であってもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、電流センサ24a,24bが負荷側端子22aと22cに接続された電圧線L1とL2に接続されている例を説明したが、これに限られない。電流センサは、例えば、電圧線L1と中性線N、あるいは電圧線L2と中性線Nに接続するようにしてもよいし、電圧線L1,L2、中性線Nのいずれかに接続するようにしてもよいし、電圧線L1、L2、中性線Nすべてに接続するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1:自動再投入機能付き遮断器、2:遮断器、3:自動再投入装置、4:判定装置、21:電源側(一次側)端子台、21a~21c:電源側端子、22:負荷側(二次側)端子台、22a~22c:負荷側端子、23:ハンドル、24a,24b:電流センサ、31:ハンドル保持部、32:ハンドル制御部、33:表示部、34:報知部、35:記憶部、36:電源部、41:電流検出部、42:ハンドル位置検出部(ハンドル検出部の一例)、43:電圧検出部、44:判定部、51:駆動部、121a~121c:電源側接点、122a~122c:負荷側接点、L1,L2:電圧線、N:中性線