(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046911
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】エアゾールスプレー整髪剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20230329BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20230329BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230329BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230329BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/86
A61K8/73
A61K8/37
A61Q5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155756
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 亜紗子
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 快土
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AB172
4C083AC012
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC182
4C083AC352
4C083AC422
4C083AD072
4C083AD242
4C083AD532
4C083BB04
4C083BB21
4C083BB49
4C083CC32
4C083DD08
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】所望の箇所に整髪剤組成物を良好に付着させることができるので、日常生活でついた毛髪の部分的なクセを良好に直すことができ、さらには、クセ直し後も素髪感のあるヘアスタイルを維持することができるエアゾールスプレー整髪剤を提供する。
【解決手段】本発明のエアゾールスプレー整髪剤では、整髪剤組成物が、エタノール(成分A)9.0~33.0質量%と、ノニオン界面活性剤(成分B)0.08~2.3質量%と、粉体(成分C)0.03~1.1質量%と、両親媒性エステル(成分D)0.03~1.1質量%と、水(成分E)とを含み、エアゾール容器の噴射ボタンを押すことにより、整髪剤組成物を、壁面に対して15cmの位置から壁面に向けて1秒間噴射したときに、壁面に付着した整髪剤組成物の外縁で囲まれた領域の面積が20cm
2以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器と、整髪剤組成物と、噴射剤とを備え、
前記エアゾール容器内に、前記整髪剤組成物と前記噴射剤とが充填されており、
前記整髪剤組成物が、下記成分Aと、下記成分Bと、下記成分Cと、下記成分Dと、下記成分Eとを含み、
前記整髪剤組成物100質量%中、前記成分Aの含有量が9.0質量%以上、33.0質量%以下であり、前記成分Bの含有量が0.08質量%以上、2.3質量%以下であり、前記成分Cの含有量が0.03質量%以上、1.1質量%以下であり、前記成分Dの含有量が0.03質量%以上、1.1質量%以下であり、
前記エアゾール容器の噴射ボタンを押すことにより、前記整髪剤組成物を、壁面に対して15cmの位置から前記壁面に向けて1秒間噴射したときに、前記壁面に付着した前記整髪剤組成物の外縁で囲まれた領域の面積が20cm2以下である、エアゾールスプレー整髪剤。
成分A:エタノール
成分B:ノニオン界面活性剤
成分C:粉体
成分D:両親媒性エステル
成分E:水
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器内に、整髪剤組成物と噴射剤とが充填されているエアゾールスプレー整髪剤に関する。
【背景技術】
【0002】
クセがなく、爽やかで自然なヘアスタイル(以下、「素髪感のあるヘアスタイル」と称することがある)が好まれることがある。しかしながら、日常生活では、この素髪感のあるヘアスタイルが部分的に崩れてしまうことがある。例えば、帽子及びヘルメット等を着用したり、自動車及び電車等のヘッドレストに後頭部が長時間押し付けられたりすると、毛髪に部分的にクセがつき、素髪感のあるヘアスタイルが崩れてしまうことがある。
【0003】
一般に、毛髪にできたクセを直すための整髪剤として、寝ぐせ直しスプレーが知られている(例えば、下記の特許文献1,2)。寝ぐせ直しスプレーは、頭部全体に生じた寝ぐせを直すために、トリガー式容器に収容された整髪剤組成物が、広範囲に弱い勢いで噴霧される設計となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-059485号公報
【特許文献2】特開2002-302422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
広範囲に弱い勢いで整髪剤組成物が噴霧される従来の寝ぐせ直しスプレーでは、日常生活でついた毛髪の部分的なクセ(寝ぐせとは異なるクセ)を直すことは困難である。また、寝ぐせ直しスプレーでは、クセがついている箇所への整髪剤組成物の付着量が多くなるように整髪剤組成物を多量に噴霧した場合には、該整髪剤組成物が毛髪から垂れ落ちてしまう。
【0006】
また、毛髪の部分的なクセを直すために、従来の整髪剤を用いる場合には、素髪感のあるヘアスタイルを維持することはできない。
【0007】
本発明の目的は、所望の箇所に整髪剤組成物を良好に付着させることができるので、日常生活でついた毛髪の部分的なクセを良好に直すことができ、さらには、クセ直し後も素髪感のあるヘアスタイルを維持することができるエアゾールスプレー整髪剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、エアゾール容器と、整髪剤組成物と、噴射剤とを備え、前記エアゾール容器内に、前記整髪剤組成物と前記噴射剤とが充填されており、前記整髪剤組成物が、下記成分(A)と、下記成分(B)と、下記成分(C)と、下記成分(D)と、下記成分(E)とを含み、前記整髪剤組成物100質量%中、前記成分(A)の含有量が9.0質量%以上、33.0質量%以下であり、前記成分(B)の含有量が0.08質量%以上、2.3質量%以下であり、前記成分(C)の含有量が0.03質量%以上、1.1質量%以下であり、前記成分(D)の含有量が0.03質量%以上、1.1質量%以下であり、前記エアゾール容器の噴射ボタンを押すことにより、前記整髪剤組成物を、壁面に対して15cmの位置から前記壁面に向けて1秒間噴射したときに、前記壁面に付着した前記整髪剤組成物の外縁で囲まれた領域の面積が20cm2以下である、エアゾールスプレー整髪剤を提供する。
【0009】
成分(A):エタノール
成分(B):ノニオン界面活性剤
成分(C):粉体
成分(D):両親媒性エステル
成分(E):水
【発明の効果】
【0010】
本発明のエアゾールスプレー整髪剤では、所望の箇所に整髪剤組成物を良好に付着させることができるので、日常生活でついた毛髪の部分的なクセを良好に直すことができ、さらには、クセ直し後も素髪感のあるヘアスタイルを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(a)及び(b)は、噴射試験の試験方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明のエアゾールスプレー整髪剤は、エアゾール容器と、整髪剤組成物と、噴射剤とを備え、上記エアゾール容器内に、上記整髪剤組成物と上記噴射剤とが充填されている。上記整髪剤組成物は、上記エアゾール容器内より霧状に吐出可能である。
【0014】
本発明のエアゾールスプレー整髪剤では、上記整髪剤組成物が、エタノールと、ノニオン界面活性剤と、粉体と、両親媒性エステルと、水とを含む。
【0015】
本明細書においては、上記「エタノール」を「成分(A)」と称する場合がある。
【0016】
本明細書においては、上記「ノニオン界面活性剤」を「成分(B)」と称する場合がある。
【0017】
本明細書においては、上記「粉体」を「成分(C)」と称する場合がある。
【0018】
本明細書においては、上記「両親媒性エステル」を「成分(D)」と称する場合がある。
【0019】
本明細書においては、上記「水」を「成分(E)」と称する場合がある。
【0020】
本発明のエアゾールスプレー整髪剤では、上記整髪剤組成物100質量%中、成分(A)の含有量が9.0質量%以上、33.0質量%以下であり、成分(B)の含有量が0.08質量%以上、2.3質量%以下であり、成分(C)の含有量が0.03質量%以上、1.1質量%以下であり、成分(D)の含有量が0.03質量%以上、1.1質量%以下である。
【0021】
本発明のエアゾールスプレー整髪剤では、上記エアゾール容器の噴射ボタンを押すことにより、上記整髪剤組成物を、壁面に対して15cmの位置から上記壁面に向けて1秒間噴射したときに、上記壁面に付着した上記整髪剤組成物の外縁で囲まれた領域の面積が20cm2以下である。
【0022】
本発明のエアゾールスプレー整髪剤では、ある程度勢いよく狭い範囲に整髪剤組成物を噴射することができるので、クセがついている箇所に整髪剤組成物を良好に付着させることができ、また、クセが付いている箇所の毛髪の根本付近にまで整髪剤組成物を行き渡らせることができる。そのため、日常生活でついた毛髪の部分的なクセを良好に直すことができる。
【0023】
また、本発明のエアゾールスプレー整髪剤では、クセ直し後の毛髪を、べたつき及び軋みがかなり抑えられた適度にサラサラとなる手触りとすることができ、素髪感のあるヘアスタイルを維持することができる。
【0024】
上記整髪剤組成物は、成分(A)と成分(B)と成分(C)と成分(D)と成分(E)を少なくとも含む。上記整髪剤組成物は、成分(A)~(E)以外の他の成分を含んでいてもよい。
【0025】
上記の成分、例えば、成分(B)、成分(C)、成分(D)や他の成分は、それぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0026】
なお、本明細書において、整髪剤組成物中に含まれる各成分の含有量とは、整髪剤組成物中に含まれる全ての該成分の含有量の合計を意味する。例えば、成分(B)の含有量とは、整髪剤組成物中の全ての成分(B)の含有量の合計を意味する。
【0027】
[整髪剤組成物(原液)]
(成分(A))
成分(A)はエタノールである。成分(A)は基剤としての役割を果たす。また、成分(A)を用いることにより、毛髪に整髪剤組成物が馴染みやすくなり、毛髪への水(成分(E))の浸透性を高めることができる。
【0028】
毛髪への水(成分(E))の浸透性を高め、クセ直し力を高める観点から、上記整髪剤組成物100質量%中、成分(A)の含有量は、9.0質量%以上、33.0質量%以下である。
【0029】
上記整髪剤組成物100質量%中、成分(A)の含有量は、好ましくは10.0質量%以上、より好ましくは12.0質量%以上、更に好ましくは15.0質量%以上、好ましくは30.0質量%以下、より好ましくは28.0質量%以下、更に好ましくは25.0質量%以下である。成分(A)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、毛髪への水(成分(E))の浸透性をより一層高めることができ、クセ直し力をより一層高めることができる。また、毛髪からの整髪剤組成物の垂れ落ちをより一層効果的に抑えることができる。
【0030】
(成分(B))
成分(B)は、ノニオン界面活性剤である。成分(B)を用いることにより、整髪剤組成物の粘度を適度に大きくすることができ、毛髪からの整髪剤組成物の垂れ落ちを効果的に抑えることができる。すなわち、成分(B)を用いることにより、整髪剤組成物の毛髪への付着性を高めることができる。また、成分(B)を用いることにより、クセ直し後の毛髪をべたつき及び軋みなくまとめることができる。成分(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0031】
成分(B)としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、及びこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンステロール及びその誘導体、ポリオキシエチレンラノリン及びその誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、シュガーエステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、並びにポリオキシエチレンヒマシ油等が挙げられる。
【0032】
上記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、及びヤシ油脂肪酸ソルビタン等が挙げられる。
【0033】
上記ソルビタン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物としては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、及びトリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。
【0034】
上記グリセリン脂肪酸エステルは、モノグリセリン脂肪酸エステルであってもよく、ポリグリセリン脂肪酸エステルであってもよい。
【0035】
上記モノグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノエルカ酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、及びジアラキン酸グリセリル等が挙げられる。
【0036】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノカプリル酸ジグリセリル、モノカプリル酸デカグリセリル、モノカプリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ポリ(4~10)グリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ポリ(2~10)グリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、セスキオレイン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ポリ(2~10)グリセリル、ジステアリン酸ポリ(6~10)グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、及びトリステアリン酸ポリ(10)グリセリル等の上記モノグリセリン脂肪酸エステルの重合度2~10のポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0037】
上記グリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物としては、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、及びモノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル等が挙げられる。
【0038】
上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンイソセチルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、及びポリオキシプロピレンオレイルエーテル等が挙げられる。
【0039】
上記ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとしては、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、及びモノラウリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、及びモノオレイン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0040】
成分(B)は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油からなる群より選ばれるノニオン界面活性剤(少なくとも1のノニオン界面活性剤)であることが好ましい。この場合には、整髪剤組成物の毛髪への付着性をより一層高めることができ、また、クセ直し後の毛髪をより一層べたつき及び軋みなくまとめることができる。
【0041】
毛髪からの整髪剤組成物の垂れ落ちを効果的に抑える観点から、上記整髪剤組成物100質量%中、成分(B)の含有量は、0.08質量%以上、2.3質量%以下である。
【0042】
上記整髪剤組成物100質量%中、成分(B)の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下である。成分(B)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、毛髪からの整髪剤組成物の垂れ落ちをより一層効果的に抑えることができ、また、クセ直し後も素髪感のあるヘアスタイルを良好に維持することができる。
【0043】
(成分(C))
成分(C)は、粉体である。成分(C)を用いることにより、整髪剤組成物の粘度を適度に大きくすることができ、毛髪からの整髪剤組成物の垂れ落ちを効果的に抑えることができる。すなわち、成分(C)を用いることにより、整髪剤組成物の毛髪への付着性を高めることができる。また、成分(C)を用いることにより、クセ直し後の毛髪の指通りを良好にすることができ、素髪感のあるヘアスタイルを維持することができる。成分(C)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0044】
成分(C)としては、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンアルミニウム、タルク、無水ケイ酸、白色活性炭、マイカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ナイロン末、及び水酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0045】
成分(C)は、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンアルミニウム、タルク、無水ケイ酸、白色活性炭、マイカ、ケイ酸アルミニウム、ナイロン末、及びケイ酸マグネシウムからなる群より選ばれる粉体(少なくとも1の粉体)であることが好ましい。この場合には、整髪剤組成物の毛髪への付着性をより一層高めることができ、また、素髪感のあるヘアスタイルをより一層良好に維持することができる。
【0046】
成分(C)の平均粒子径は、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは3.0μm以上、好ましくは50.0μm以下、より好ましくは45.0μm以下である。
【0047】
成分(C)の平均粒子径(平均1次粒径)は、体積平均粒径である。上記平均粒子径は、レーザー光回折による粒度分布測定装置を用いて測定可能である。上記粒度分布測定装置としては、堀場製作所社製「LA-920」等が挙げられる。
【0048】
毛髪からの整髪剤組成物の垂れ落ちを効果的に抑える観点及びクセ直し後も素髪感のあるヘアスタイルを維持する観点から、上記整髪剤組成物100質量%中、成分(C)の含有量は、0.03質量%以上、1.1質量%以下である。
【0049】
上記整髪剤組成物100質量%中、成分(C)の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.08質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以下である。成分(C)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、毛髪からの整髪剤組成物の垂れ落ちを効果的に抑えることができ、また、クセ直し後も素髪感のあるヘアスタイルを良好に維持することができる。
【0050】
(成分(D))
成分(D)は、両親媒性エステルである。成分(D)は、浸透促進剤として機能する。そのため、成分(D)を用いることにより、毛髪内部への水(成分(E))の浸透性が促進され、クセ直し力を高めることができる。また、成分(D)を用いることにより、整髪剤組成物がメントール等の清涼剤を含む場合に、清涼剤による爽快感を促進させることができる。成分(D)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0051】
成分(D)としては、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、コハク酸ビスエトキシジグリコール、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)デカグリセリル、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、及びセバシン酸ジエチルへキシル等が挙げられる。
【0052】
上記シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコールとしては、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール等が挙げられる。
【0053】
成分(D)は、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、及び(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)デカグリセリルからなる群より選ばれる両親媒性エステル(少なくとも1の両親媒性エステル)であることが好ましい。この場合には、毛髪内部への水(成分(E))の浸透性がより一層促進され、クセ直し力をより一層高めることができる。
【0054】
毛髪への水(成分(E))の浸透性を高め、クセ直し力を高める観点から、上記整髪剤組成物100質量%中、成分(D)の含有量は、0.03質量%以上、1.1質量%以下である。
【0055】
上記整髪剤組成物100質量%中、成分(D)の含有量は、好ましくは0.06質量%以上、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下、更に好ましくは0.6質量%以下である。成分(D)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、毛髪への水(成分(E))の浸透性をより一層高めることができ、クセ直し力をより一層高めることができ、また、毛髪からの整髪剤組成物の垂れ落ちをより一層効果的に抑えることができる。
【0056】
(成分(E))
成分(E)は水である。成分(E)は基剤としての役割を果たす。また、成分(E)を用いることにより、毛髪内部の水素結合が切断され、クセを直すことができる。成分(E)は精製水であることが好ましい。
【0057】
上記整髪剤組成物100質量%中、成分(E)の含有量は、好ましくは69.0質量%以上、より好ましくは70.0質量%以上、好ましくは90.0質量%以下、より好ましくは89.0質量%以下である。成分(E)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下あると、クセ直し力をより一層高めることができる。
【0058】
(他の成分)
上記整髪剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述した成分(A)~(E)以外の他の成分を含んでいてもよい。上述した成分(A)~(E)以外の他の成分は、それぞれ1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0059】
上記他の成分としては、例えば、多価アルコール;アニオン界面活性剤;カチオン界面活性剤;両性界面活性剤;カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びキサンタンガム等の増粘剤;保湿剤;殺菌剤;パール化剤;グリチルリチン酸及びその塩等の抗炎症剤;メントール、カンフル及びメンチルグリセリルエーテル等の清涼剤;リン酸及びその塩、クエン酸及びその塩、乳酸及びその塩、水酸化ナトリウム、並びにトリエタノールアミン等のpH調整剤;香料;紫外線吸収剤;酸化防止剤;金属イオン封鎖剤(キレート剤);ビタミン類;アミノ酸類;収斂剤;美白剤;動植物抽出物;酸;アルカリ等が挙げられる。
【0060】
[噴射剤]
上記噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、イソブタン、フルオロカーボン及び窒素ガス等が挙げられる。上記噴射剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0061】
整髪剤組成物と噴射剤との相溶性を高める観点及び吐出安定性を高める観点からは、上記噴射剤は、液化石油ガスを含むことが好ましく、液化石油ガスであることがより好ましい。
【0062】
上記噴射剤100質量%中、上記液化石油ガスの含有量は、好ましくは50.0質量%以上、より好ましくは60.0質量%以上、更に好ましくは80.0質量%以上、特に好ましくは90.0質量%以上、最も好ましくは100質量%(全量)である。上記液化石油ガスの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、整髪剤組成物と噴射剤との相溶性をより一層高めることができ、また、吐出安定性をより一層高めることができる。
【0063】
[エアゾールスプレー整髪剤]
本発明のエアゾールスプレー整髪剤は、エアゾール容器と、上記整髪剤組成物と、上記噴射剤とを備える。上記エアゾール容器内に、上記整髪剤組成物と上記噴射剤とが充填されている。上記エアゾールスプレー整髪剤では、上記整髪剤組成物が、上記エアゾール容器内より霧状に吐出可能である。上記整髪剤組成物は、上記エアゾールスプレー整髪剤において、上記エアゾール容器内に充填されている充填物のうち、上記噴射剤を除く配合物である。
【0064】
上記エアゾール容器は、噴射ボタンを有する。噴射ボタンを押すことにより、上記エアゾール容器内に充填されている充填物を、上記エアゾール容器内より霧状に吐出可能である。上記エアゾール容器は、エアゾールスプレー容器であることが好ましい。上記エアゾールスプレー容器は、ボタン型アクチュエーターを有する。
【0065】
上記エアゾールスプレー整髪剤では、上記エアゾール容器の噴射ボタンを押すことにより、上記整髪剤組成物を、壁面に対して15cmの位置から上記壁面に向けて1秒間噴射したときに、上記壁面に付着した上記整髪剤組成物の外縁で囲まれた領域の面積が20cm2以下である。
【0066】
本明細書において、上記エアゾール容器の噴射ボタンを押すことにより、整髪剤組成物を、壁面に対して15cmの位置から上記壁面に向けて1秒間噴射する試験を、「噴射試験」と称することがある。
【0067】
したがって、上記エアゾールスプレー整髪剤では、上記噴射試験をしたときに、上記壁面に付着した上記整髪剤組成物の外縁で囲まれた領域の面積が20cm2以下である。このため、所望の箇所に整髪剤組成物を良好に付着させることができ、日常生活でついた毛髪の部分的なクセを良好に直すことができる。
【0068】
以下、図面を参照しつつ、噴射試験の手順の詳細を説明する。
【0069】
図1(a)及び(b)は、噴射試験の試験方法を説明するための図である。
【0070】
エアゾールスプレー整髪剤1をよく振った後、エアゾール容器の噴射ボタンを押すことにより、整髪剤組成物2を、壁面3に対して15cmの位置から壁面3に向けて1秒間噴射する(
図1(a))。なお、噴射剤も整髪剤組成物2とともに噴射される。すなわち、噴射ボタンを押すことにより、整髪剤組成物2を含む液が噴射される。
【0071】
次いで、壁面3に付着した整髪剤組成物2の外縁2aで囲まれた領域の面積を算出する(
図1(b))。なお、整髪剤組成物2を噴射してから10秒以内に整髪剤組成物2の外縁2aの位置を記録することが好ましい。また、壁面3の材質は、感熱紙であることが好ましい。
図1(b)では、整髪剤組成物2の外縁2aの形状は円形であり、この円の面積が20cm
2以下である。
【0072】
上記噴射試験をしたときに、上記壁面に付着した上記整髪剤組成物の外縁で囲まれた領域の面積は、好ましくは19.5cm2以下、より好ましくは19cm2以下である。上記面積が上記上限以下であると、所望の箇所に整髪剤組成物を良好に付着させることができる。例えば、頭皮や毛髪の根本にまで整髪剤組成物を良好に行き渡らせることができ、その結果、日常生活でついた毛髪の部分的なクセをより一層良好に直すことができる。
【0073】
上記噴射試験をしたときの上記整髪剤組成物の外縁で囲まれた領域の面積を小さくする方法としては、噴射ボタンの噴孔径(噴口の孔径)を小さくする方法等が挙げられる。
【0074】
噴射ボタンの噴孔径(噴口の孔径)は、好ましくは0.3mm以上、好ましくは2.0mm以下である。
【0075】
上記噴射試験をしたときの上記壁面に付着した上記整髪剤組成物の外縁の形状は、特に限定されない。上記整髪剤組成物の外縁の形状は、例えば、噴射ボタンの噴口の数に応じて変化する。上記整髪剤組成物の外縁の形状は、略円形であってもよく、円形であってもよく、これら以外の形状であってもよい。
【0076】
上記エアゾールスプレー整髪剤は、既知の方法により作製することができる。上記エアゾールスプレー整髪剤の作製方法としては、上記整髪剤組成物又は上記整髪剤組成物に含有される各配合成分をエアゾールスプレー容器内に充填して、エアゾール用バルブによりエアゾールスプレー容器をクリンチした後、噴射剤をステムより充填し、ステムに適した噴射ボタンを装着する方法等が挙げられる。
【0077】
上記整髪剤組成物と上記噴射剤との合計100質量%中、上記整髪剤組成物の含有量は、好ましくは20.0質量%以上、より好ましくは30.0質量%以上、好ましくは80.0質量%以下、より好ましくは70.0質量%以下である。上記整髪剤組成物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、吐出性がより一層良好になる。
【実施例0078】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0079】
実施例及び比較例では、下記の成分を用いた。
【0080】
(成分(A))
エタノール
【0081】
(成分(B))
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル(日光ケミカルズ社製「NIKKOL SG-DTD630」)
【0082】
(成分(C))
オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンアルミニウム(平均粒子径:10.0μm~20.0μm、Nouryon社製「Dry Flo Pure」)
無水ケイ酸(平均粒子径:14.1μm、富士シリシア化学社製「サイリシア470」)
ナイロン末(平均粒子径:5.0μm、ガンツ化成社製「ガンツパールGPA-550」)
【0083】
(成分(D))
シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール(日本精化社製「Neosolue-Aqulio」)
(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)デカグリセリル(日本精化社製「Neosolue-Aqua」)
【0084】
(成分(E))
精製水
【0085】
(噴射剤)
液化石油ガス(LPG)(20℃ 0.29MPa)
【0086】
(実施例1~16及び比較例1~10)
エアゾールスプレー整髪剤の作製:
下記の表1~3に示す配合成分を配合(配合単位は質量%)し、下記の表1~3に示す組成を有する整髪剤組成物(原液)を調製した。得られた整髪剤組成物をエアゾールスプレー容器(容量95mL、アルミニウム製)に充填した。次いで、エアゾール用バルブをエアゾールスプレー容器にクリンチした後、下記の表1~3に示す噴射剤をステムより充填し、ステムに適したボタンを装着して、エアゾールスプレー整髪剤を作製した。また、ボタン孔径は約0.5mmであった。表中の配合量(整髪剤組成物100質量%中の配合量)は、純分の配合量(単位:質量%)で示した。なお、エアゾールスプレー容器内の整髪剤組成物と噴射剤との質量比は表に示したとおりであり、原液と噴射剤との合計量は40gである。
【0087】
(評価)
専門パネル3名が、以下の評価を行った。
【0088】
(試験例1:噴射試験(整髪剤組成物の外縁で囲まれた領域の面積))
得られたエアゾールスプレー整髪剤をよく振った後、エアゾール容器の噴射ボタンを押すことにより、整髪剤組成物を壁面(材質:感熱紙)に対して15cmの位置から壁面に向けて1秒間噴射した。噴射してから10秒以内に整髪剤組成物の外縁の位置を記録し、外縁で囲まれた領域の面積を算出した。
【0089】
(試験例2:毛髪への付着性)
毛髪部に部分的なクセをつけたウィッグを作製した。得られたエアゾールスプレー整髪剤をよく振った後、ウィッグのクセ部分に約1.0gの整髪剤組成物を噴射し、次いで、該整髪剤組成物を毛髪に馴染ませた。噴射後及び馴染ませている間における毛髪への付着性を以下の評価基準に基づいて評価した。なお、比較例9,10で得られたエアゾールスプレー整髪剤では、クセ部分以外にも整髪剤組成物が多く付着していた。
【0090】
<毛髪への付着性の評価基準>
○(良好):整髪剤組成物の垂れ落ちがなく付着性に優れる
×(不良):馴染ませる前、又は馴染ませている間に整髪剤組成物が垂れ落ちる
【0091】
(試験例3:クセ直し力(部分的なクセがついた毛髪に対してのクセ直し力))
毛髪部に部分的なクセをつけたウィッグを作製した。得られたエアゾールスプレー整髪剤をよく振った後、ウィッグのクセ部分に約1.0gの整髪剤組成物を噴射し、次いで、片手で該整髪剤組成物を毛髪に馴染ませることで整髪を施した。整髪から3分後のクセを目視にて観察した。クセ直し力を以下の評価基準に基づいて評価した。
【0092】
<クセ直し力の評価基準>
○(良好):クセ付けした箇所が分からない程度にクセが直っている
×(不良):クセ付けした箇所が分かる程度にクセが残っている
【0093】
(試験例4:素髪感)
試験例3で整髪を施した毛髪を専門パネル3名が触り、手触りについて官能評価を行った。素髪感を以下の評価基準に基づいて評価した。
【0094】
<素髪感の評価基準>
○(良好):べたつき及び軋みともになく、自然な手触りであった。
×(不良):べたつき又は軋みがあり、不自然な手触りであった。
【0095】
組成及び結果を下記の表1~3に示す。
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
以下に、本発明のエアゾールスプレー整髪剤の処方例を示す。
【0100】
(処方例1)
(整髪剤組成物(原液))
エタノール 13.0質量%
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル
1.0質量%
オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンアルミニウム 0.5質量%
シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 0.5質量%
l-メントール 0.5質量%
香料 0.3質量%
水 残部
合計 100.0質量%
(噴射剤)
液化石油ガス(20℃ 0.29MPa) 100.0質量%
整髪剤組成物:噴射剤=60:40(質量比)