(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046912
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】ダクト接続装置
(51)【国際特許分類】
F24F 13/02 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
F24F13/02 A
F24F13/02 B
F24F13/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155758
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 究
(72)【発明者】
【氏名】村田 孝友
(72)【発明者】
【氏名】水島 新
(72)【発明者】
【氏名】中澤 元宏
(72)【発明者】
【氏名】小池 甲一
【テーマコード(参考)】
3L080
【Fターム(参考)】
3L080AA01
3L080AB02
3L080AE01
(57)【要約】
【課題】建物の空調設備におけるフレキシブルダクトの端部と空調機器とを簡易に短時間で接続可能なダクト接続構造を提供する。
【解決手段】フレキシブルダクト3の端部3eの軟質の断熱材3aを、ダクト接続装置5の筒状の接続筒体10の外周に被せる。接続筒体10に第1係止部13を形成して、空調機器2の接続口部材40に形成された第1係止受け部44と第1係止部13とを嵌め合わせる。接続筒体10に螺旋条15を形成して、フレキシブルダクト3のコイル状の芯材3cと螺旋条15とを係合させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルダクトと空調機器とを接続するダクト接続装置であって、
前記フレキシブルダクトの端部の軟質の断熱材が外周に被さる筒状の接続筒体を備え、
前記接続筒体が、前記空調機器の接続口部材に形成された第1係止受け部と嵌め合わされる第1係止部と、前記接続筒体に形成されて前記フレキシブルダクトのコイル状の芯材と係合される螺旋条とを含むことを特徴とするダクト接続装置。
【請求項2】
前記接続筒体には第2係止受け部が形成されており、
前記フレキシブルダクトの端部の外周には環状帯体が嵌められ、前記環状帯体には前記第2係止受け部と係止される第2係止部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のダクト接続装置。
【請求項3】
前記第1係止受け部を有して前記接続口部材の外周に嵌められる環状の係止受け部材を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のダクト接続装置。
【請求項4】
前記第1係止受け部又は第1係止部の周方向の一部には切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のダクト接続装置。
【請求項5】
前記接続口部材又は前記接続筒体には、前記第1係止受け部及び第1係止部の間から外部へ延び出る帯片が設けられていることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載のダクト接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の空調設備における接続構造に関し、特に、フレキシブルダクトの端部と空調機器とを接続するダクト接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅、商業用ビル、工場などの建物には、換気や冷暖房のための空調設備が設けられている。例えば天井裏には、空気流路を構成するダクトが配管されている。ダクトの端部が、換気や冷暖房を行なう空調機器に接続されている(特許文献1など参照)。
ダクトとしては、グラスウール等の柔軟な断熱材をコイル状芯材で筒状に保形した構造のフレキシブルダクトが知られている(特許文献2など参照)。空調機器側からは、短い接続管が突出されている。該接続管の外周にフレキシブルダクトの端部が嵌められ、かつフレキシブルダクトの端部の外周側に粘着テープやバンドが巻き付けられている。さらに、ピン、釘、ステープル等でフレキシブルダクトが抜け止めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-197039号公報
【特許文献2】特開2016-035345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従前のダクト接続部における、粘着テープやバンドを巻き付けたり、さらにピン等を打ち付けたりする作業は、煩雑で時間がかかり、ある程度の熟練度も要する。
本発明は、かかる事情に鑑み、建物の空調設備におけるフレキシブルダクトの端部と空調機器とを簡易に短時間で接続可能なダクト接続構造を提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、フレキシブルダクトと空調機器とを接続するダクト接続装置であって、
前記フレキシブルダクトの端部の軟質の断熱材が外周に被さる筒状の接続筒体を備え、
前記接続筒体が、前記空調機器の接続口部材に形成された第1係止受け部と嵌め合わされる第1係止部と、前記接続筒体に形成されて前記フレキシブルダクトのコイル状の芯材と係合される螺旋条とを含むことを特徴とする。
施工現場においては、接続筒体の第1係止部を、接続口部材の第1係止受け部と嵌め合わせるだけで、フレキシブルダクトと空調機器とをワンタッチで接続できる。
フレキシブルダクトの断熱材が接続筒体に被さることによって、ダクト接続部における断熱性が確保される。
芯材と螺旋条との係合によって、フレキシブルダクトと接続筒体とをしっかりと連結でき、接続筒体がフレキシブルダクトから脱落するのを確実に防止できる。
螺旋条は、接続筒体の内周面に形成された螺旋溝を含んでいてもよく、接続筒体の外周面から突出された螺旋凸条であってもよい。
【0006】
前記接続筒体には第2係止受け部が形成されており、
前記フレキシブルダクトの端部の外周には環状帯体が嵌められ、前記環状帯体には前記第2係止受け部と係止される第2係止部が形成されていることが好ましい。
環状帯材と接続筒体との間にフレキシブルダクトを挟み付けることによって、フレキシブルダクトと接続筒体とを一層確実に接合できる。
【0007】
前記ダクト接続装置が、前記第1係止受け部を有して前記接続口部材の外周に嵌められる環状の係止受け部材を、更に備えていてもよい。
これによって、前記接続筒体が、前記係止受け部材を介して、前記接続口部材と接続される。接続口部材自体には第1係止受け部が無くてもフレキシブルダクトを空調機器と接続可能である。
【0008】
前記第1係止受け部又は第1係止部の周方向の一部には切り欠き部が形成されていることが好ましい。
空調機器とフレキシブルダクトとを分離する際は、切り欠き部に工具を差し込んで、第1係止部と第1係止受け部との係合を解除する。これによって、ダクト接続装置を接続口部材から分離できる。
【0009】
前記接続口部材又は前記接続筒体には、前記第1係止受け部及び第1係止部の間から外部へ延び出る帯片(つまみ片)が設けられていることが好ましい。
空調機器とフレキシブルダクトとを分離する際は、前記帯片を摘まんで引っ張ることで、第1係止部又は第1係止受け部を変形させる。これによって、第1係止部と第1係止受け部との係合を解除して容易に分離できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フレキシブルダクトの端部と空調機器とを簡易に短時間で接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るダクト接続装置による、建物空調設備のダクト接続構造を示す断面図である。
【
図3】
図3は、前記ダクト接続装置を、フレキシブルダクトの端部に装着する前の状態で示す断面図である。
【
図4】
図4は、前記ダクト接続装置の環状帯材及び接続筒体を、前記フレキシブルダクトに嵌めた状態で示す断面図である。
【
図5】
図5は、前記ダクト接続装置を、前記フレキシブルダクトの端部に装着した状態で示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態を示し、係止受け部材を、空調機器の接続口部材に嵌める前の状態の側面図である。
【
図7】
図7は、前記第2実施形態に係るダクト接続装置による、建物空調設備のダクト接続構造を示す断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第3実施形態に係るダクト接続装置による、建物空調設備のダクト接続構造を示す断面図である。
【
図9】
図9(a)は、前記第3実施形態のダクト接続装置の接続筒体の側面図である。
図9(b)は、前記第3実施形態の接続筒体の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態(
図1~
図5)>
図1は、建物の空調設備1を示したものである。空調設備1は、空調機器2と、フレキシブルダクト3とを備えている。空調機器2は、建物の例えば天井裏に設置された換気用チャンバーであるが、これに限らず、エアコンモジュール、冷暖房モジュールでもよく、吹出口ユニットでもよい。空調機器2の設置場所は、天井裏に限らず、天井下でもよく、室内でもよく、壁裏でもよい。空調機器2の筐体2aには、接続口4を構成する筒状の接続口部材40が設けられている。接続口部材40は、口筒部41と、テーパ状のフランジ42と、固定筒部43を含む。口筒部41が、空調機器2の筐体2aから外方へ突出されている。フランジ42が筐体2aの外面に宛がわれている。固定筒部43の外周の雄ネジ43aが、筐体2aの開口の内周の雌ネジと螺合されている。
【0013】
図2に示すように、フランジ42の外端部42cにおける筐体2aを向く側部には、環状かつ段差状に凹んだ第1係止受け部44が形成されている。
図1に示すように、第1係止受け部44を含むフランジ外端部42cの周方向の1又は複数箇所には、凹状の切り欠き部45が形成されている。切り欠き部45の底面は、第1係止受け部44の底面と面一であるか、又は第1係止受け部44の底面よりも径方向内側に凹んでいる。好ましくは、複数の切り欠き部45が、フランジ外端部42cの周方向に間隔を置いて設けられている。
好ましくは、接続口部材40の周方向における切り欠き部45の配置位置には、マーキング(図示省略)が付けられている。
【0014】
図1に示すように、フレキシブルダクト3は、グラスウール等からなる軟質の筒状の断熱材3aと、該断熱材3aの内周に沿う内層3b及びコイル状の芯材3cと、断熱材3aの外周面を被覆する外層3dを備えている。フレキシブルダクト3の端部3eが、ダクト接続装置5を介して、空調機器2の接続口4と接続されている。
【0015】
図3に示すように、ダクト接続装置5は、接続筒体10(ソケット)と、環状帯材20(リング)を備えている。接続筒体10は、筒本体部11と、フランジ部12と、第1係止部13と、第2係止受け部14を含む。筒本体部11に螺旋条15が形成されている。螺旋条15は、筒本体部11の周面に沿って螺旋状に延びるとともに、断面が概略コ字状になるように筒本体部11から外周側へ隆起されることで、螺旋条15の内部に螺旋溝15aが形成されている。螺旋溝15aは、筒本体部11の内周面に開口されている。螺旋条15の螺旋径は、芯材3cの螺旋径と実質的に等しい。螺旋条15ひいては螺旋溝15aの螺旋ピッチは、芯材3cの設計螺旋ピッチ(伸び縮みしていない中立時の螺旋ピッチ)と実質的に等しい。
【0016】
筒本体部11における、ダクト側(
図3において左側)の端部は、全周にわたって拡径されて、環状の大径部16となっている。大径部16は、螺旋条15の外周部とほぼ同径である。螺旋条15のダクト側(
図3において左側)の端部が、大径部16と一体に連なっている。螺旋溝16aが、大径部16の内部空間と連通している。
【0017】
図1及び
図3に示すように、筒本体部11における空調機器側の端部(
図1において右端部)にフランジ部12が連なっている。フランジ部12は、筒本体部11から遠ざかるにしたがってテーパ状に拡開されている。フランジ部12のテーパ角度は、フランジ42のテーパ角度より急角度になっている。フランジ部12の外端部(大径側の端部)は、空調機器側(
図1において右側)へ向かって環状に延び出ており、その延び出た部分に、第1係止部13及び第2係止受け部14が設けられている。
【0018】
第1係止部13は、円筒部13aと、爪部13fを有し、断面L字状に形成されている。円筒部13aは、フランジ42の外端部42cより大径である。円筒部13aにおける空調機器側の端部(
図2において右端部)に爪部13fが設けられている。爪部13fは、円筒部13aから径方向内側へ突出されるとともに、円筒部13aの全周にわたる環状になっている。爪部13fの内周縁の内径は、フランジ42の外端部42cの外径より小さく、かつ第1係止受け部44の環状底面より大径である。
【0019】
フランジ部12のテーパ部分12aと第1係止部13の円筒部13aとの間に第2係止受け部14が設けられている。第2係止受け部14は、接続筒体10の外周側へ開口する環状の凹溝状になっている。第2係止受け部14における、テーパ部分12a側の溝壁部14aの外径は、第1係止部13側の溝壁部14bの外径より小さい。要するに、円筒部13aの外径が、テーパ部分12aの大径側の端部の外径よりも大きい。
【0020】
接続筒体10の材質は、好ましくは硬質の樹脂であるが、これに限らず、金属であってもよい。
【0021】
図1及び
図2に示すように、ダクト接続装置5による空調機器2とフレキシブルダクト3の接続状態において、接続筒体10は、接続口部材40の外周側に被さっている。筒本体部11が、口筒部41を囲んでいる。フランジ部12が、フランジ42の外側に重ねられている。第1係止部13の円筒部13aが、フランジ42の外端部42cを囲んでいる。爪部13fが、第1係止受け部44に嵌って係止されている。これによって、接続筒体10が、接続口部材40に対して抜け止めされている。
【0022】
図2に示すように、前記接続状態において、爪部13fは、筐体2aの外面に突き当てられるか近接されている。爪部13fが筐体2aの外面に突き当てられた状態において、第2係止受け部14の裏側角部14cが、フランジ42の外端部近くのテーパ部に突き当たっている。フランジ部12の内端部と筒本体部11とを連ねるアール状コーナー部12cは、フランジ42のテーパ部の中間部分に近接するか、又は突き当たっている。
【0023】
前記接続状態における接続筒体10は、フレキシブルダクト3の端部3eにおける断熱材3aと、芯材3c及び内層3bとの間に介在されている。接続筒体10の筒本体部11が、断熱材3aの内側に配置されている。言い換えると、筒本体部11の外周に断熱材3aが被さっている。断熱材3aの端面は、フランジ部12の外面に宛がわれている。
【0024】
前記接続状態において、芯材3c及び内層3bが、接続筒体10と口筒部41との間に差し入れられている。そして、芯材3cが、螺旋条15の螺旋溝15aに嵌め入れられている。口筒部41の外周に内層3bが被さっている。
【0025】
図2に示すように、環状帯材20は、円筒部21と、第2係止部22と、ダクト押さえ部23を含む。円筒部21は、第1係止部13の円筒部13aとほぼ同径であり、かつ円筒部13aよりも軸長が長い。円筒部21における、空調機器側の端部(
図2において右端部)に第2係止部22が設けられている。第2係止部22は、円筒部21から径方向内側(
図2において下側)へ突出されるとともに、円筒部13aの全周にわたる環状の爪状に形成されている。第2係止部22の内周縁の内径は、第2係止受け部14の環状の溝壁部14aの外周部の外径より小さく、かつ環状の溝底14dより大径である。
【0026】
環状帯材20における、円筒部21を挟んで第2係止部22とは反対側(
図2において左側)にダクト押さえ部23が設けられている。ダクト押さえ部23は、円筒部21より小径の円筒形状に形成されている。ダクト押さえ部23と円筒部21との間に、段差部24が形成されている。ダクト押さえ部23の内径は、フレキシブルダクト3の断熱材3aの非圧縮状態での外径より小さい。
環状帯材20は、好ましくは接続筒体10より軟質であり、かつ弾性変形可能な樹脂によって構成されているが、これに限らず、好ましくは軟質である限り、薄板状の金属によって構成されていてもよい。
【0027】
図1及び
図2に示すように、ダクト接続装置5による空調機器2とフレキシブルダクト3の接続状態において、環状帯材20は、フレキシブルダクト3の端部3eの外周に嵌められている。環状帯材20と接続筒体10との間に、フレキシブルダクト3の端部3eの断熱材3a及び外層3dが挟まれている。ダクト押さえ部23が、フレキシブルダクト3の端部3eを外周側から押さえ付けることによって断熱材3aを圧縮している。
【0028】
前記接続状態において、第2係止部22が、第2係止受け部14に外周側から嵌って係止されている。これら第2係止部22及び第2係止受け部14の間に外層3dが挟み付けられている。外層3dの端部は、第2係止部22及び第2係止受け部14の間から外部へ延び出て、環状帯材20の外周面上へ折り返されている。
【0029】
ダクト接続装置5によって、フレキシブルダクト3と空調機器2とが、次のようにして接続される。
予め、フレキシブルダクト3の端部3eにダクト接続装置5を装着しておく。先ず、
図3の白抜き矢印に示すように、環状帯材20をフレキシブルダクト3の端部3eの外周に嵌め込む。嵌め込みの際は、必要に応じて、軟質の環状帯材20を弾性変形させ、かつフレキシブルダクト3の軟質の断熱材3aを圧縮変形させる。これによって、
図4に示すように、環状帯材20をフレキシブルダクト3の端部3eの少し奥側に配置する。好ましくは、断熱材3aの端面からフレキシブルダクト3上の環状帯材20までの距離が、筒本体部11の軸長よりも大きくなるようにする。
【0030】
続いて、
図4に示すように、接続筒体10をフレキシブルダクト3の端部3eの外周に嵌め込む。すなわち、筒本体部11を、断熱材3aと、芯材3c及び内層3bとの間に挿し込む。このとき、芯材3cの端部を大径部16の内部から螺旋溝15aの端部へ導き入れる。さらに、接続筒体10をフレキシブルダクト3に対して回しながら挿し込むことで、芯材3cを螺旋溝15a内に嵌め込む。これによって、芯材3cと螺旋条15とが係合される。ひいては、接続筒体10をフレキシブルダクト3の端部3eにしっかりと連結でき、接続筒体10がフレキシブルダクト3から脱落するのを確実に防止できる。この段階では、環状帯材20がフレキシブルダクト3の端部3eの奥側に退避されているため、接続筒体10の嵌め込み作業を容易に行うことができる。
【0031】
次に、
図5に示すように、環状帯材20をフレキシブルダクト3の端部3eへ向けてスライドさせる。すると、第2係止部22が、外層3dを挟んで、フランジ部12のテーパ面に当たって弾性変形させられながら、溝壁部14aを乗り越えて、第2係止受け部14に嵌って係止される(
図2)。ダクト押さえ部23と筒本体部11との間に断熱材3aが挟み付けられて圧縮される。
これによって、ダクト接続装置5がフレキシブルダクト3の端部3eにしっかりと装着される。
外層3dの端部は、環状帯材20の外周面上へ折り返す。
【0032】
図1に示すように、建物の空調設備1の施工現場において、空調機器2とフレキシブルダクト3とを接続する際は、該フレキシブルダクト3の端部3eのダクト接続装置5を、接続口部材40と軸合わせしたうえで、空調機器2へ向けて真っ直ぐ押し込む。これによって、
図2に示すように、接続筒体10が、口筒部41の外周に嵌め込まれるとともに、第1係止部13が、フランジ42のテーパ面に当たって弾性変形させられながら、外端部42cを乗り越えて、第1係止受け部44に嵌って係止される。
このようにして、空調機器2とフレキシブルダクト3とを、ダクト接続装置5を介して簡単に極めて短時間で接続できる。作業の熟練度をほとんど要しない。
ダクト接続装置5によるダクト接続構造によれば、フレキシブルダクト3の断熱材3aが接続筒体10の外周に被さることによって、接続部分における断熱性を確保できる。
【0033】
空調機器2とフレキシブルダクト3とを分離する際は、切り欠き部45に工具を差し込むことによって、第1係止部13を弾性変形させて、第1係止部13と第1係止受け部44との係合を解除する。これによって、接続筒体10が接続口4から分離される。ひいては、フレキシブルダクト3を空調機器2から分離できる。
【0034】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態(
図6~
図7)>
図6に示すように、本発明の第2実施形態においては、空調機器2の接続口4を構成する接続口部材40Bに第1係止受け部44(
図1参照)が設けられていない。
【0035】
図6及び
図7に示すように、第2実施形態に係るダクト接続装置5Bは、接続筒体10及び環状帯材20に加えて、接続口部材40Bとは別体の係止受け部材30を備えている。係止受け部材30は、外周面31が空調機器側へ向かってテーパ状に拡径する環状に形成されている。係止受け部材30における拡径側端面32の外周部に、段差状の環状凹部からなる第1係止受け部33が形成されている。
【0036】
図7に示すように、第2実施形態のダクト接続構造においては、係止受け部材30の中心穴34に接続口部材40Bの円筒形状の口筒部41が差し込まれることによって、係止受け部材30が接続口部材40の外周に嵌められている。係止受け部材30における拡径側端面32が、接続口部材40Bの平らなフランジ46に突き当たっている。接続筒体10のフランジ部12が、係止受け部材30の外側に被せられている。第1係止部13が、第1係止受け部33に係止されている。これによって、接続筒体10が、係止受け部材30を介して接続口部材40Bと接続されている。したがって、接続口部材40B自体には第1係止受け部が無くても、フレキシブルダクト3を空調機器2の接続口4と接続可能である。
【0037】
<第3実施形態(
図8~
図10)>
図9(a)に示すように、本発明の第3実施形態のダクト接続装置5Cにおいては、接続筒体10の筒本体部11の外周面に螺旋凸条17が形成されている。
図9(b)に示すように、筒本体部11の内周面における螺旋凸条17と対応する部分には螺旋溝17bが形成されているが、螺旋溝17bを無くして、筒本体部11の内周面全体を凹凸の無い平滑な円筒面に形成してもよい。接続筒体10のダクト側端部(
図9(a)において左端部)には、大径部16(
図1参照)が形成されておらず、筒本体部11の全体がストレートな円筒状になっている。
【0038】
図8に示すように、フレキシブルダクト3の端部3eにおける内層3bが、筒本体部11の外周面に被さっている。かつ、芯材3cは、筒本体部11の外周面に巻き付けられて、螺旋凸条17と係合されている。好ましくは、芯材3cは、螺旋凸条17に対して空調機器2側(
図8において右側)から引っ掛けられている。なお、芯材3cが、部分的に螺旋凸条17に乗り上げて、螺旋凸条17交差していてもよい。
【0039】
フレキシブルダクト3の端部3eにおける内層3b及び芯材3cの外周に断熱材3aが直接被さっている。したがって、フレキシブルダクト3の端部3eの全体が、筒本体部11の外周側に配置されている。筒本体部11の内周面が、直接、空調設備1の空気通路に面している。
第3実施形態によれば、接続筒体10をフレキシブルダクト3の端部3eに組み込む際に、端部3eの断熱材3aがめくれるのを防止できる。また、内層3bの端部が、空調設備1の空気通路内に垂れて、空気流により振動するおそれを回避できる。したがって、前記振動を防止するための内層3bの端部処理が不要である。
【0040】
図10に示すように、接続口部材40のフランジ42の外面には、帯片50(つまみ片)が設けられている。帯片50は、例えば一定幅の樹脂テープによって構成されている。帯片50の定着端部51が、粘着剤(図示省略)を介して貼り付けられている。帯片50の中間部52は、第1係止受け部44と第1係止部13との間に挟まれて屈曲されている。帯片50の作用端部53は、第1係止受け部44及び第1係止部13の間から外部へ延び出ている。
【0041】
フレキシブルダクト3を空調機器2から分離する際は、帯片50の作用端部53を摘まんで引っ張ることで、第1係止部13を変形させて、第1係止部13と第1係止受け部44との係合を解除する。これによって、接続筒部10を接続口4から容易に分離できる。
したがって、接続口部材40に切り欠き部45(
図1参照)を設ける必要が無い。
【0042】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、環状帯体20を省略してもよい。環状帯体20に代えて、粘着テープ、締め付けバンド等をフレキシブルダクト3の端部3eの外周に巻き付けることで、接続筒体10とフレキシブルダクト3とを固定してもよい。この場合、接続筒体10の第2係止受け部14は不要である。
フレキシブルダクト3と空調機器2とを分離する際に分離用工具を差し込むための切り欠き部45を接続口部材40に設けるのに代えて、第1係止部13の周方向の一部に前記分離用工具を差し込むための切り欠き部を設けてもよい。
第1、第2実施形態(
図1~
図7)においても分離用の帯片50を設けてもよい。帯片50が、接続筒体10に貼り付けられていてもよい。
第3実施形態(
図8~
図10)において、第2実施形態と同様に、空調機器2の接続口部材40とは別体の係止受け部材30を備えていてもよく、帯片59に代えて、第1実施形態と同様の切り欠き部45が設けられていてもよい。
接続筒体10に気密性を確保するためのパッキンを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、例えば一戸建て、集合住宅などの住宅、商業用ビル、工場その他の建物の空調設備に適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
2 空調機器
3 フレキシブルダクト
3a 断熱材
3b 内層
3c 芯材
3d 外層
3e 端部
4 接続口
40 接続口部材
41 口筒部
42 フランジ
44 第1係止受け部
45 切り欠き部
5 ダクト接続装置
10 接続筒体
13 第1係止部
14 第2係止受け部
15 螺旋条
15a 螺旋溝
20 環状帯材
22 第2係止部
23 ダクト押さえ部
40B 接続口部材
30 係止受け部材
33 第1係止受け部
5B ダクト接続装置
17 螺旋凸条(螺旋条)
17b 螺旋溝
50 帯片