(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046946
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】樹脂成形品の製造方法、フィルム固定部材、液状樹脂拡大機構、及び樹脂成形装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20230329BHJP
B29C 43/04 20060101ALI20230329BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20230329BHJP
B05D 1/28 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
H01L21/56 R
B29C43/04
B05D7/00 A
B05D1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155803
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】後藤 智行
【テーマコード(参考)】
4D075
4F204
5F061
【Fターム(参考)】
4D075AC06
4D075AC09
4D075AC52
4D075AC82
4D075AC88
4D075AC91
4D075AC92
4D075BB05Z
4D075BB08X
4D075BB21Z
4D075CA07
4D075CA47
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4D075DA04
4D075DA29
4D075DB01
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4D075DC24
4D075EA05
4D075EA15
4D075EA19
4D075EA39
4F204AC05
4F204AH37
4F204AR12
4F204FA01
4F204FA15
4F204FB01
4F204FF23
4F204FG07
5F061AA01
5F061BA03
5F061CA22
5F061DA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】塗広部材を用いずに樹脂を拡大できて、かつ、液状樹脂を塗布する領域の面積が広くても短時間で液状樹脂を塗布できる樹脂成形品の製造方法、フィルム固定部材、液状樹脂拡大機構及び樹脂成形装置を提供する。
【解決手段】樹脂成形品の製造方法は、フィルム11上に液状樹脂21を塗布する液状樹脂塗布工程と、液状樹脂塗布工程により塗布された液状樹脂21を樹脂成形する樹脂成形工程と、を含む。液状樹脂塗布工程は、フィルム11における液状樹脂21を塗布する側の面上の一部に液状樹脂21を供給する液状樹脂供給工程と、液状樹脂21が供給されたフィルム11を、フィルム固定部材1000により液状樹脂21が供給された側の面を内側にして折りたたみ、フィルム11の液状樹脂21が供給された側の面上に液状樹脂21を拡大する液状樹脂拡大工程と、液状樹脂21拡大工程で折りたたまれたフィルム11を再度開くフィルム開き工程と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム上に塗布した液状樹脂を用いて樹脂成形品を製造する樹脂成形品の製造方法であって、
前記フィルム上に前記液状樹脂を塗布する液状樹脂塗布工程と、
前記液状樹脂塗布工程により塗布された前記液状樹脂を樹脂成形する樹脂成形工程と、
を含み、
前記液状樹脂塗布工程は、
前記フィルムにおける前記液状樹脂を塗布する側の面上の一部に前記液状樹脂を供給する液状樹脂供給工程と、
前記液状樹脂が供給された前記フィルムを、前記液状樹脂が供給された側の面を内側にして折りたたみ、前記フィルムの前記液状樹脂が供給された側の面上に前記液状樹脂を拡大する液状樹脂拡大工程と、
前記液状樹脂拡大工程で折りたたまれた前記フィルムを開くフィルム開き工程と、
を含むことを特徴とする、樹脂成形品の製造方法。
【請求項2】
前記液状樹脂拡大工程において、前記フィルムを、前記液状樹脂が供給された液状樹脂供給領域の中心を通るラインで折りたたむ、請求項1記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項3】
あらかじめ、前記液状樹脂の拡大後における前記液状樹脂の目標厚みを設定し、
前記液状樹脂拡大工程において、前記液状樹脂の拡大後における前記液状樹脂の厚みが、前記目標厚みと等しくなるように前記液状樹脂を拡大する、請求項1又は2記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項4】
さらに、前記フィルムをフィルム固定部材に固定するフィルム固定工程を含み、
前記フィルム固定部材は、前記フィルムが固定される側において、前記液状樹脂が塗布される液状樹脂塗布領域に対応する位置に凹部が形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項5】
フィルムを固定可能であり、
前記フィルムが固定される側において、前記液状樹脂が塗布される液状樹脂塗布領域に対応する位置に凹部が形成されており、
請求項4記載の液状樹脂塗布方法に用いることを特徴とするフィルム固定部材。
【請求項6】
前記液状樹脂が供給された前記フィルムを、前記液状樹脂が供給された側の面を内側にして折りたたみ、前記フィルムの前記液状樹脂が供給された側の面上に前記液状樹脂を拡大することにより液状樹脂拡大工程を行い、
前記液状樹脂拡大工程で折りたたまれた前記フィルムを再度開くことによりフィルム開き工程を行うことにより、
請求項1から4のいずれか一項に記載の樹脂成形品の製造方法における前記液状樹脂拡大工程及び前記フィルム開き工程を行うことを特徴とする液状樹脂拡大機構。
【請求項7】
請求項5記載のフィルム固定部材又は請求項6記載の液状樹脂拡大機構と、
前記液状樹脂塗布工程により塗布された前記液状樹脂を樹脂成形する成形型と、
を含むことを特徴とする樹脂成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形品の製造方法、フィルム固定部材、液状樹脂拡大機構、及び樹脂成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、半導体電子部品等の電子部品は、樹脂封止された樹脂封止電子部品(樹脂成形品)として成形され、用いられることが多い。
【0003】
樹脂成形用の液状樹脂の塗布においては、樹脂の厚みのばらつきを低減するために、例えば、特許文献1には、ワークの露出面に液状樹脂を供給し、塗広部材を液状樹脂に接触させ、ワークの露出面前面に液状樹脂を広げることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、樹脂成形用の液状樹脂の塗布において、液状樹脂を、フィルムの中心位置に1点吐出、又はらせん状等に吐出し、その吐出した液状樹脂を拡大させることが記載されている。特許文献2において、吐出した液状樹脂を拡大させる方法としては、例えば、遠心力により拡大させる方法、気体を吹き付けて拡大させる方法等が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-147853号公報
【特許文献2】特開2017-196752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の方法では、塗広部材に液状樹脂が付着し、液状樹脂のロスが発生してしまう。また、塗広部材に液状樹脂が付着すると、塗広部材の洗浄等が必要となる。さらに、ワークに供給される液状樹脂の樹脂量にばらつきがでるおそれがある。
【0007】
一方、特許文献2のように塗広部材を用いずに液状樹脂を拡大する場合は、塗広部材を用いることに起因する問題がない。しかし、液状樹脂を塗布する領域の面積が広い場合は、液状樹脂の塗布に時間がかかるという問題がある。例えば、らせん状に細く液状樹脂を吐出すると、液状樹脂の吐出に時間がかかる。一方、液状樹脂をフィルムの中心位置に1点吐出すると、液状樹脂の吐出時間は短くて済むが、液状樹脂の拡大にかかる時間が長くなる。このため、例えば、液状樹脂を成形型に搬送後、液状樹脂を塗布する領域の端部まで液状樹脂が広がる前に、液状樹脂の硬化が進んでしまうおそれがある。
【0008】
このように、液状樹脂の塗布に時間がかかると、液状樹脂を塗布する領域の面積が広い場合には、対応しにくい。したがって、樹脂成形品の製造において、液状樹脂を塗布する領域の面積が広くても短時間で液状樹脂を塗布できる方法が必要となる。
【0009】
そこで、本発明は、塗広部材を用いずに樹脂を拡大できて、かつ、液状樹脂を塗布する領域の面積が広くても短時間で液状樹脂を塗布できる樹脂成形品の製造方法、フィルム固定部材、液状樹脂拡大機構、及び樹脂成形装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明の樹脂成形品の製造方法は、
フィルム上に塗布した液状樹脂を用いて樹脂成形品を製造する樹脂成形品の製造方法であって、
前記フィルム上に前記液状樹脂を塗布する液状樹脂塗布工程と、
前記液状樹脂塗布工程により塗布された前記液状樹脂を樹脂成形する樹脂成形工程と、
を含み、
前記液状樹脂塗布工程は、
前記フィルムにおける前記液状樹脂を塗布する側の面上の一部に前記液状樹脂を供給する液状樹脂供給工程と、
前記液状樹脂が供給された前記フィルムを、前記液状樹脂が供給された側の面を内側にして折りたたみ、前記フィルムの前記液状樹脂が供給された側の面上に前記液状樹脂を拡大する液状樹脂拡大工程と、
前記液状樹脂拡大工程で折りたたまれた前記フィルムを開くフィルム開き工程と、
を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明のフィルム固定部材は、フィルムを固定可能であり、
前記フィルムが固定される側において、前記液状樹脂が塗布される液状樹脂塗布領域に対応する位置に凹部が形成されており、
さらに、前記フィルムを前記フィルム固定部材に固定するフィルム固定工程を含む前記本発明の樹脂成形品の製造方法に用いることを特徴とする。
【0012】
本発明の液状樹脂拡大機構は、
前記液状樹脂が供給された前記フィルムを、前記液状樹脂が供給された側の面を内側にして折りたたみ、前記フィルムの前記液状樹脂が供給された側の面上に前記液状樹脂を拡大することにより液状樹脂拡大工程を行い、
前記液状樹脂拡大工程で折りたたまれた前記フィルムを再度開くことによりフィルム開き工程を行うことにより、
前記本発明の樹脂成形品の製造方法における前記液状樹脂拡大工程及び前記フィルム開き工程を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明の樹脂成形装置は、
前記本発明のフィルム固定部材又は前記本発明の液状樹脂拡大機構と、
前記液状樹脂塗布工程により塗布された前記液状樹脂を樹脂成形する成形型と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、塗広部材を用いずに樹脂を拡大できて、かつ、液状樹脂を塗布する領域の面積が広くても短時間で液状樹脂を塗布できる樹脂成形品の製造方法、フィルム固定部材、液状樹脂拡大機構、及び樹脂成形装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、フィルム固定部材上にフィルムを固定し、さらに液状樹脂を供給した状態を示す図である。
図1(a)は平面図であり、
図1(b)は側面図である。
【
図3】
図3は、
図1の状態からフィルム固定部材を閉じた状態を示す側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の液状樹脂塗布方法におけるフィルム開き工程の一部を例示する図である。
図4(a)は平面図であり、
図4(b)は側面図である。
【
図5】
図5は、フィルムが正方形である場合において、液状樹脂拡大工程及びフィルム開き工程を行った後の状態を示す図である。
図5(a)は平面図であり、
図5(b)は側面図である。
【
図6】
図6は、本発明の樹脂成形装置における吐出機構(液状樹脂供給機構)の一例を模式的に示す側面図である。
【
図7】
図7は、本発明の樹脂成形装置における圧縮成形機構(樹脂成形機構)の一例を模式的に示す側面図である。
【
図8】
図8は、本発明の樹脂成形装置の別の一例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、本発明について、例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
【0017】
本発明において、「液状樹脂」は、流動性を有する樹脂であれば、特に制限されず、例えば、常温(室温)で流動性を有する流動性樹脂でもよいし、溶融樹脂でもよい。また、本発明において、「流動性」とは、流動性を有し、力を作用させることにより流動する程度の流動性を有することを意味し、流動性の高低、言い換えれば粘度の程度を問わない。すなわち、本発明において、「液状樹脂」は、流動性を有し、力を作用させることにより流動する程度の流動性を有する樹脂をいう。また、本発明において、「溶融樹脂」は、例えば、溶融により、液状又は流動性を有する状態となった樹脂をいう。溶融樹脂の形態は、特に限定されないが、例えば、成形型のキャビティやポット等に供給可能な形態で
ある。
【0018】
本発明において、「成形型」は、特に限定されないが、例えば、金型、セラミック型等が挙げられる。
【0019】
本発明において、「圧縮成形」は、成形型のキャビティに樹脂を供給し、成形型が型締めされた状態においてキャビティ内の樹脂に力を作用させて成形することをいう。
【0020】
本発明において、「塗布」は、少なくとも液状樹脂を吐出することを含む。また、本発明において、「塗布」は、さらに、吐出された液状樹脂を広げることを含んでもよい。
【0021】
本発明において、液状樹脂の塗布対象物であるフィルムは、特に限定されないが、例えば、離型フィルム(リリースフィルムとも言う)であってもよい。
【0022】
本発明において、「フィルム」は、特に限定されない。本発明において、フィルムの材質は、特に限定されず、例えば、樹脂、金属、等が挙げられ、一種類のみ用いても複数種類併用してもよい。樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、PET系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。金属としては、例えば、アルミ、銅等が挙げられる。本発明において、「フィルム」は、例えば、単層でもよく、複数の層の積層体でもよく、積層体の場合は、例えば、樹脂層と金属層との積層体等であってもよい。また、一般に、厚みが比較的小さいものを「フィルム」と呼び、厚みが比較的大きいものを「シート」と呼んで区別する場合があるが、本発明においては特に区別せず、「フィルム」の厚みに制限は無いものとする。
【0023】
本発明の樹脂成形品の製造方法は、例えば、前記液状樹脂拡大工程において、前記フィルムを、前記液状樹脂が供給された液状樹脂供給領域の中心を通るラインで折りたたんでもよい。なお、本発明において、「液状樹脂供給領域の中心を通るライン」は、厳密に液状樹脂供給領域の中心を通るラインであってもよいし、液状樹脂供給領域のほぼ中心を通るラインであってもよい。
【0024】
本発明の樹脂成形品の製造方法は、例えば、あらかじめ、前記液状樹脂の拡大後における前記液状樹脂の目標厚みを設定し、前記液状樹脂拡大工程において、前記液状樹脂の拡大後における前記液状樹脂の厚みが、前記目標厚みと等しくなるように前記液状樹脂を拡大してもよい。なお、本発明において、「目標厚みと等しくなる」は、厳密に目標厚みと等しくなるようにしてもよいし、目標厚みとほぼ等しくなるようにしてもよい。
【0025】
本発明の樹脂成形品の製造方法は、例えば、さらに、前記フィルムをフィルム固定部材に固定するフィルム固定工程を含み、前記フィルム固定部材は、前記フィルムが固定される側において、前記液状樹脂が塗布される液状樹脂塗布領域に対応する位置に凹部が形成されていてもよい。
【0026】
本発明の樹脂成形品の製造方法において、例えば、前記フィルム固定部材における前記凹部の深さは、前記液状樹脂の拡大後における前記液状樹脂の目標厚みに基づいて設定されていてもよい。
【0027】
本発明のフィルム固定部材において、例えば、
前記フィルム固定部材は、前記フィルムが固定される側を内側にして開閉可能であり、
前記フィルム固定部材を閉じることで前記液状樹脂拡大工程を行い、
前記フィルム固定部材を開くことで前記フィルム開き工程を行ってもよい。
【0028】
本発明のフィルム固定部材において、例えば、前記凹部の深さは、前記液状樹脂の拡大後における前記液状樹脂の目標厚みに基づいて設定されていてもよい。
【0029】
本発明の液状樹脂拡大機構は、例えば、前記本発明のフィルム固定部材を用い、前記液状樹脂が供給された前記フィルムが固定された前記フィルム固定部材を、前記液状樹脂が供給された側の面を内側にして折りたたみ、前記フィルムの前記液状樹脂が供給された側の面上に前記液状樹脂を拡大することにより液状樹脂拡大工程を行い、前記液状樹脂拡大工程で折りたたまれた前記フィルム固定部材を開くことによりフィルム開き工程を行ってもよい。
【0030】
本発明の樹脂成形装置は、例えば、さらに、前記フィルム上に液状樹脂を供給する液状樹脂供給機構を含んでいてもよい。前記液状樹脂供給機構は、例えば、前記フィルム上に液状樹脂を吐出する吐出機構であってもよい。また、前記吐出機構が、さらに、前記塗布対象物に対する前記液状樹脂の吐出位置を移動させる移動機構を含んでもよい。前記移動機構は、例えば、前記塗布対象物を移動させて、前記液状樹脂の吐出位置を前記塗布対象物に対し相対的に移動させる塗布対象物移動機構であってもよい。前記塗布対象物移動機構は、例えば、前記塗布対象物を略水平方向に移動させてもよい。
【0031】
本発明の樹脂成形装置は、例えば、前述のとおり、前記フィルム上に供給された前記液状樹脂を拡大するための、本発明の液状樹脂拡大機構を含んでもよい。前記液状樹脂拡大機構は、例えば、前述のとおり、液状樹脂が供給されたフィルムを折りたたみ、さらに再度開く機構であってもよい。前記液状樹脂拡大機構は、例えば、前述のとおり、フィルムが固定され、さらに前記フィルム上に液状樹脂が供給されたフィルム固定部材を折りたたみ、さらに開く機構であってもよい。
【0032】
本発明の樹脂成形装置は、例えば、前記吐出機構と前記樹脂成形機構とは、別のモジュールであり、且つ、互いに着脱可能であってもよい。
【0033】
本発明の樹脂成形装置は、例えば、前記樹脂成形機構が、複数であり、前記複数の樹脂成形機構は、それぞれ別のモジュールであり、前記吐出機構と前記複数の樹脂成形機構とは、別のモジュールであり、前記吐出機構及び前記複数の樹脂成形機構の少なくとも一つが、他の少なくとも一つの前記機構に対し、互いに着脱可能であってもよい。
【0034】
本発明の樹脂成形装置は、コンピュータプログラムにより制御する制御部を含んでいてもよい。前記制御部は、例えば、前記移動機構の移動、及び前記液状樹脂拡大機構の動作の少なくとも一方を制御してもよい。
【0035】
本発明の樹脂成形品の製造方法は、例えば、前記液状樹脂供給工程が、前記フィルムにおける前記液状樹脂を塗布する側の面上の一部に前記液状樹脂を吐出する吐出工程であってもよい。また、例えば、前記吐出工程が、さらに、前記液状樹脂の吐出位置を前記塗布対象物に対し相対的に移動させる移動工程を含んでいてもよい。
【0036】
本発明の樹脂成形品の製造方法は、例えば、さらに、液状樹脂の塗布対象物である前記フィルムを、前記圧縮成形工程を行う場所まで搬送する搬送工程を含んでもよい。
【0037】
本発明の樹脂成形品の製造方法は、例えば、液状樹脂の塗布対象物である前記フィルムを切断する切断工程を含み、前記吐出工程において、前記切断工程により切断された前記フィルム上に前記液状樹脂を吐出してもよい。
【0038】
本発明の樹脂成形品の製造方法は、例えば、前記吐出工程における前記液状樹脂の吐出位置を、前記塗布対象物に対し相対的に移動させてもよい。この場合において、例えば、前記塗布対象物を移動させて、前記液状樹脂の吐出位置を前記塗布対象物に対し相対的に移動させてもよい。
【0039】
本発明の樹脂成形品の製造方法及び本発明の樹脂成形装置において、例えば、前記液状樹脂が塗布される液状樹脂塗布領域が、略円形であってもよいし、略矩形又は略正方形であってもよい。
【0040】
本発明の樹脂成形品の製造方法は、例えば、液状樹脂の塗布対象物である前記フィルムをフィルム固定台上に固定した状態で、前記吐出工程を行なってもよい。前記フィルムは、前述のとおり、例えば離型フィルムであってもよい。
【0041】
本発明の樹脂成形品の製造方法は、例えば、前記吐出工程と、前記樹脂成形工程とを、異なる場所で行ない、さらに、前記樹脂成形工程に先立ち、前記塗布対象物を、前記樹脂成形工程を行う場所まで搬送する搬送工程を含んでいてもよい。なお、前記搬送工程は、例えば、前記液状樹脂を拡大させながら、すなわち、前記樹脂拡大工程と同時に行なってもよいし、前記液状樹脂が拡大された状態で、すなわち、前記樹脂拡大工程後に行なってもよい。
【0042】
本発明の電子部品の製造方法は、前記樹脂成形品が、電子部品であり、前記樹脂成形工程において、チップを圧縮成形により樹脂封止して前記電子部品を製造する、前記本発明の樹脂成形品の製造方法である。
【0043】
なお、一般に、「電子部品」は、樹脂封止する前のチップをいう場合と、チップを樹脂封止した状態をいう場合とがあるが、本発明において、単に「電子部品」という場合は、特に断らない限り、チップが樹脂封止された電子部品(完成品としての電子部品)をいう。本発明において、「チップ」は、少なくとも一部が樹脂封止されずに露出した状態のチップをいい、樹脂封止する前のチップも、一部が樹脂封止されたチップも、複数のチップのうちの少なくとも一つが樹脂封止されずに露出した状態のチップも含む。
【0044】
以下、本発明の具体的な実施例を図面に基づいて説明する。各図は、説明の便宜のため、適宜省略、誇張等をして模式的に描いている。
【実施例0045】
本実施例では、本発明のフィルム固定部材の例と、それを用いた本発明の樹脂成形品の製造方法の例について説明する。
【0046】
図1を用いて、本実施例のフィルム固定部材について説明する。
図1は、このフィルム固定部材1000の全体の構成を示す図である。
図1(a)は平面図であり、
図1(b)は、
図1(a)の紙面下方向から見た側面図である。また、
図1は、フィルム固定部材1000にフィルム11を固定し、さらに、固定したフィルム11の面上に液状樹脂21を供給した状態を示す。図示のとおり、このフィルム固定部材1000は、開閉部材1001及び固定側部材1002を主要構成要素とする。具体的には、フィルム固定部材1000は、開閉部材1001及び固定側部材1002の2つの部材に分かれており、図の左半分が開閉部材1001を構成し、右半分が固定側部材1002を構成している。開閉部材1001及び固定側部材1002は、フィルム固定部材1000の図上部と下部との2か所で直線上に配置された2つのピン1003により連結されてヒンジ(蝶番)構造を形成している。2つのピン1003を回転軸として開閉部材1001を回転させることにより、フィルム固定部材1000を開閉できる。なお、
図1は、フィルム固定部材1000を開いた状態である。フィルム固定部材1000は、フィルム11を固定する側の面に凹部1004が形成されている。凹部1004は、その左半分の開閉部材1001と、右半分の固定側部材1002とに連なるように形成されている。凹部1004の形状は、樹脂成形品(パッケージ)に合わせて円形である。凹部1004の外縁1004aは、フィルム11よりも小さい円形に形成されている。この凹部1004は、フィルム固定部材1000を閉じたとき、設定厚さ(目標厚さ)又はパッケージの厚さ分の液状樹脂が収まるように形成されている。なお、ここで、設定厚さ(目標厚さ)は、パッケージの厚さを目標にした厚さのことである。凹部1004における外縁1004aの外側には、凹部1004の全体を囲むように複数の吸着穴(吸着部)1005が設けられている。複数の吸着穴1005は、それぞれフィルム固定部材1000におけるフィルム11を固定する側の面から反対側の面まで貫通している。吸着穴1005から吸引機構(図示せず、例えば真空ポンプ等)により吸引することで、フィルム11の周縁部を吸引してフィルム固定部材1000に吸着させることが可能である。この吸着により、フィルム11をフィルム固定部材1000に固定することができる。また、液状樹脂21は、フィルム11における液状樹脂21を塗布する側の面上、すなわち、フィルム固定部材1000に固定された側の面と反対側の面上の一部に供給されている。液状樹脂21は、フィルム11の中心部に供給されている。
【0047】
なお、
図2は、
図1(b)の枠P1で囲った部分(固定側部材1002の端部)の拡大図である。前述のとおり、固定側部材1002には凹部1004が形成され、凹部1004における外縁1004aの外側には吸着穴1005が設けられている。
図2では図示していないが、開閉部材1001においても同様である。
【0048】
フィルム11は特に限定されず、例えば、前述のとおり離型フィルムであってもよい。
図1ではフィルム11が円形であるが、後述するとおり、フィルム11の形状はこれに限定されず任意である。また、フィルム11の大きさも、特に限定されず任意である。フィルム11の形状及び大きさは、例えば、フィルム11及び液状樹脂21を用いて樹脂成形品を製造する場合は、製造しようとする樹脂成形品に合わせて適宜設定してもよい。
【0049】
液状樹脂21も特に限定されず、例えば、前述のとおり、常温(室温)で流動性を有する流動性樹脂でもよいし、溶融樹脂でもよい。また、液状樹脂21は、例えば、熱硬化性樹脂でもよい。例えば、フィルム11及び液状樹脂21を用いて樹脂成形品を製造する場合は、液状樹脂21は、一般的な樹脂成形品の製造方法に用いられる液状樹脂と同様又はそれに準じてもよい。なお、液状樹脂21は、後述するようにフィルム11を折りたたんだ時に、上部のフィルムから下部のフィルムに液状樹脂21が落ちない程度に粘度が高いことが好ましい。
【0050】
つぎに、
図1のフィルム固定部材1000を用いた樹脂成形品の製造方法の例について説明する。
【0051】
まず、
図1に示すとおり、フィルム11における液状樹脂を塗布する側の面上の一部(同図ではフィルム11の中心部)に、液状樹脂21を供給する(液状樹脂供給工程)。液状樹脂21の供給方法は特に限定されないが、例えば、後述するように、吐出機構を用いてフィルム11上に吐出してもよい。
【0052】
つぎに、
図1の状態からフィルム固定部材1000を閉じることにより、液状樹脂21が供給されたフィルム11を、液状樹脂21が供給された側の面を内側にして折りたたみ、この内側にした面上に液状樹脂21を拡大する(液状樹脂拡大工程)。
【0053】
図3は、
図1の状態からフィルム固定部材1000を閉じた状態の図である。図の枠P2で囲った領域に示すとおり、この状態では、液状樹脂21は、凹部1004内のほぼ全体に拡大されている。これにより、液状樹脂21の厚みを、例えば、フィルム開き工程後の目標厚みTの2倍の厚みである2Tとする。
【0054】
さらに、閉じたフィルム固定部材1000を開くことにより、
図3の液状樹脂拡大工程で折りたたまれたフィルム11を開く(フィルム開き工程)。
図4は、フィルム固定部材1000及びフィルム11を完全に開いた状態である。ただし、
図4では、図示の便宜及び簡略化のために、フィルム固定部材1000の図示を省略している。
図4(a)は平面図(上面図)であり、
図4(b)は、
図4(a)の紙面下方向から見た側面図である。このフィルム開き工程により、液状樹脂21の厚みは、
図4(b)に示すとおり、フィルム開き工程後の目標厚みTとなる。また、
図4(a)及び(b)において、11aは、フィルム11において液状樹脂21が塗布される液状樹脂塗布領域であり、具体的には、図中に点線で示す円内が、液状樹脂塗布領域11aである。
図4に示す状態では、液状樹脂21は、液状樹脂塗布領域11aの外縁まで拡大しきっていない。後述するように、液状樹脂21が液状樹脂塗布領域11aの外縁まで拡大すると、液状樹脂21の厚みは、最終的な目標厚みT
0となる。T
0は、例えば、製造しようとする樹脂成形品の樹脂厚み(パッケージ厚み)と等しい厚みである。T
0は、Tよりも小さい厚みである。
【0055】
さらに、
図4の状態から、フィルム11及び液状樹脂21は、例えば、後述する成形型531(
図7参照)に搬送され、加熱される。加熱により、液状樹脂21は、粘度が低下して広がって、目標厚みT
0とすることができる。
【0056】
以上、
図1~4で説明したようにして、本実施例の樹脂成形品の製造方法における液状樹脂塗布工程を行うことができる。さらに、フィルム11上の塗布された液状樹脂21を樹脂成形する樹脂成形工程を行うことにより、本実施例の樹脂成形品の製造方法を実施し、樹脂成形品を製造することができる。樹脂成形工程を行う方法は特に限定されず、一般的な樹脂成形方法と同様又はそれに準じてもよい。樹脂成形方法も特に限定されないが、例えば、前述のとおり圧縮成形でもよい。樹脂成形工程を行う方法は、例えば、後述の実施例2で説明するようにしてもよい。
【0057】
前述のとおり、塗広部材を用いずに液状樹脂を拡大する従来の樹脂成形品の製造方法では、液状樹脂を塗布する領域の面積が広い場合は、液状樹脂の塗布に時間がかかるという問題がある。例えば、液状樹脂をフィルム中心位置に一点吐出した場合は、液状樹脂の吐出時間は短くて済む。しかし、この場合は、液状樹脂21が流動して液状樹脂塗布領域の外縁まで拡大するまでの距離が長くなる。このため、液状樹脂の拡大にかかる時間も長くなる。したがって、製造した樹脂成形品において、樹脂の未充填やフローマークが生じるおそれがある。また、例えば、前述のとおり、液状樹脂を成形型に搬送後、液状樹脂を塗布する領域の端部まで液状樹脂が広がる前に、液状樹脂の硬化が進んでしまうおそれがある。一方、例えば、液状樹脂塗布領域のほぼ全体にらせん状に細く液状樹脂を吐出すると、液状樹脂が流動して液状樹脂塗布領域の外縁まで拡大するまでの距離は、前述の一点吐出の場合よりは短くできる。しかし、その代り、液状樹脂の吐出に時間が長くかかる。
【0058】
一方、本発明の樹脂成形品の製造方法によれば、例えば
図1~4で説明したとおり、塗広部材を用いずに樹脂を拡大できて、かつ、液状樹脂を塗布する領域の面積が広くても短時間で液状樹脂を塗布できる。このため、例えば、製造しようとする樹脂成形品(パッケージ又はPKGともいう)が大きく薄い場合であっても対応可能である。
【0059】
なお、本発明の樹脂成形品の製造方法において、フィルム上に供給する液状樹脂の拡大前の形態及び形状は、特に限定されず任意であり、例えば、
図1のように一点吐出でもよいし、らせん状でもよいし、その他の任意の形態及び形状でもよい。しかし、例えば、
図1のようにフィルムの中心部に一点吐出することが、簡便に短時間で吐出できるため好ましい。また、液状樹脂の拡大前の形態及び形状は、一点吐出に限定されず、前述のとおり任意であり、例えば、二点吐出、三点吐出等でもよい。
【0060】
本発明の樹脂成形品の製造方法によれば、例えば、以下のような効果を得ることができる。
(1)フィルム上に液状樹脂を薄く広く塗布できる。
(2)そのように薄く広く塗布した樹脂を用いて樹脂成形品を製造することで、成形品質が向上する。
(3)フィルムを折りたたむ前の液状樹脂吐出は一点吐出で十分であるので、液状樹脂吐出のためのノズル径を太くできる。そのようのノズル系を太くできることで、液状樹脂の吐出時間を短くできる。
(4)塗広部材を用いなくてもよいので、塗広部材に液状樹脂が付着することがなく、樹脂をロスしない。また、塗広部材を洗浄する部品及び工程も不要である。
【0061】
また、
図1~4ではフィルム11が円形(ウェーハ状)である例を示した。しかし、フィルム11の形状は円形に限定されず任意である。
図5に、フィルム11が正方形(パネル状)である例を示す。
図5は、
図4と同様にフィルム開き工程直後の状態である。
図5は、フィルム11、液状樹脂塗布領域11a、及びフィルム固定部材1000の凹部1004(凹部1004の外縁1004a)がそれぞれ正方形であること以外は、それぞれ
図1~4と同様である。これを用いた樹脂成形品の製造方法は、
図1~4と同様にして行うことができる。また、フィルム11の形状は、円形及び正方形に限定されず任意である。フィルム11の形状は、例えば、二つに折りたたむために左右対称形が好ましく、例えば、長方形等であってもよい。
【0062】
また、本実施例では、フィルム11を、吸着によりフィルム固定部材1000に固定する例を説明した。ただし、本発明において、フィルムをフィルム固定部材に固定する方法は、吸着に限定されず、例えば、メカニカルクランプ等の方法により固定してもよい。
つぎに、本発明のさらに別の実施例について説明する。本実施例では、本発明の樹脂成形装置の例と、それを用いた本発明の樹脂成形品の製造方法の例について説明する。
下型102は、図示のとおり、下型ベース部材103、下型キャビティ側面部材104、弾性部材105、及び下型キャビティ底面部材106を有する。下型ベース部材103は、可動プラテン112上面に載置されている。下型キャビティ底面部材106は、下型ベース部材103上面に取付けられ、下型キャビティ532の底面を構成する。下型キャビティ側面部材104は、下型キャビティ底面部材106の周囲を囲むように配置された枠状部材であって、弾性部材105を介して下型ベース部材103上面に取付けられ、下型キャビティ532の側面を構成する。下型102は、下型キャビティ底面部材106及び下型キャビティ側面部材104により、下型キャビティ532が構成される。また、下型102には、例えば、下型102を加熱するための加熱機構(図示略)が設けられている。加熱機構で下型102を加熱することで、例えば、下型キャビティ532内の樹脂が加熱されて硬化する。
型締め機構115は、成形型の型締め及び型開きを行うための機構であり、図示のとおり、駆動源116と、駆動源116の駆動力を伝達する伝達部材117とを有する。そして、可動プラテン112の下面(下端)が、伝達部材117を介して駆動源116に連結されている。また、駆動源116は、基盤113上に設置されている。駆動源116により、可動プラテン112を上下させることで、その上に設置された下型102を上下させることが可能である。すなわち、型締め機構115は、可動部プラテン112を上方に駆動することにより成形型の型締めを行ない、可動プラテン112を下方に駆動することにより成形型の型開きを行うことができる。駆動源116は、特に限定されないが、例えば、サーボモータ等の電動モータを用いることができる。伝達部材117も特に限定されないが、例えば、ボールねじを用いて構成することができる。また、例えば、駆動源116として油圧シリンダを用い、伝達部材117としてロッドを用いて型締め機構115を構成することもできる。さらに、トグルリンク機構を用いて型締め機構115を構成することもできる。
さらに、基盤113、可動プラテン112及び固定プラテン111の四隅には、それぞれ、保持部材として、タイバー(柱状部材)114が配置されている。具体的には、四本のタイバー114の上端は、固定プラテン111の四隅に固定され、下端は、基盤113の四隅に固定されている。そして、可動プラテン112の四隅には、穴が開けられ、それぞれタイバー114が貫通している。そして、可動プラテン112は、タイバー114に沿って上下に移動することが可能である。なお、タイバー(保持部材)114は、タイバー(柱状部材)に代えて、例えば、ホールドフレーム(登録商標)等の壁状部材を用いてもよい。壁状部材は、例えば、可動プラテン112及び固定プラテン111の互いに対向する面間に設けてもよい。
搬送機構(搬送モジュール)540は、樹脂封止前のチップ(樹脂封止対象物)を、基板ごと搬送すること、及び、樹脂封止後の電子部品(樹脂成形品)を搬送することができる。図示のとおり、搬送機構(搬送モジュール)540は、基板ローダ541、レール542、ロボットアーム543を含む。レール542は、搬送機構(搬送モジュール)540から突出して、圧縮成形モジュール530及び塗布モジュール520の領域まで達している。基板ローダ541は、その上に基板544を載置することができる。基板544は、樹脂封止前基板(成形前基板)544aでもよいし、樹脂封止済基板(成形済基板)544bでもよい。基板ローダ541及び樹脂ローダ521(後処理機構522)は、レール542上で、塗布モジュール520、圧縮成形モジュール530、及び搬送モジュール540間を移動することが可能である。また、図示のとおり、搬送モジュール540は、基板収容部を含み、樹脂封止前基板(成形前基板)544a及び樹脂封止済基板(成形済基板)544bをそれぞれ収容することが可能である。成形前基板544aには、チップ(図示せず、例えば半導体チップ)が装着されている。成形済基板544bは、チップが、液状樹脂が固化した樹脂(封止樹脂)により封止され、電子部品(樹脂成形品)が形成されている。ロボットアーム543は、例えば、以下のように使用できる。すなわち、第1に、成形前基板544aの収容部から取り出した成形前基板544aを、表裏を反転させることにより、チップ装着面側を下方に向けて基板ローダ541に載置させることができる。第2に、成形済基板544bを基板ローダ541から取り出し表裏を反転させることにより、封止樹脂側を上方に向けて、成形済基板544bを成形済基板の収容部に収容することができる。
制御部550は、離型フィルムの切断、液状樹脂の吐出、液状樹脂の拡大、封止前基板及び封止済基板の搬送、樹脂材料の搬送、離型フィルムの搬送、成形型の加熱、成形型の型締め及び型開きなどを制御する。言い換えれば、制御部550は、離型フィルム切断モジュール510、塗布モジュール520、成形モジュール530、及び搬送モジュール540における各動作の制御を行う。このように、本発明の樹脂成形装置は、制御部により、他の各構成要素を制御し、全自動機として機能させてもよい。又は、本発明の樹脂成形装置は、制御部によらず、手動機として機能させてもよいが、制御部により他の各構成要素を制御すれば効率的である。また、制御部550は、演算部及び記憶部(図示せず)を含む。
また、搬送モジュール(基板モジュール)と塗布モジュールとの間に複数の圧縮成形モジュールを配置する場合、及び、親モジュールに対して複数の圧縮成形モジュールを順次配置する場合には、次のように配置することが好ましい。すなわち、基板ローダと樹脂ローダと後処理機構とを含む構成要素が移動する際に使用されるレールが伸びる方向に沿って、各成形モジュールを並べて配置する。また、本発明の樹脂成形装置の各モジュールは、例えば、ボルト及びナット等の連結機構を使用して、又は、適宜な位置決め機構を用いて、互いに着脱可能とすることができる。また、圧縮成形モジュールに対して、他の圧縮成形モジュールを着脱可能に構成することができる。このことによって、圧縮成形モジュールを事後的に増減することができる。
なお、液状樹脂は、特に限定されず、前述のとおり、常温(室温)で液状である液状樹脂でもよいし、溶融樹脂でもよい。「液状樹脂」及び「溶融樹脂」の定義は、前述のとおりである。液状樹脂は、取扱い易さ等の観点から、常温(室温)で液状である液状樹脂が好ましい。また、液状樹脂は、例えば、熱硬化性樹脂でもよい。熱硬化性樹脂は、例えば、常温では液状樹脂であり、加熱すると粘度が低下し、更に加熱すると重合して硬化し、硬化樹脂となる。本発明において、液状樹脂は、例えば、吐出後に常温で速やかに流動しない程度の比較的高粘度の熱硬化性の樹脂であることが好ましい。
また、例えば、吐出工程に先立ち、液状樹脂計量機構を用いて、液状樹脂を計量する液状樹脂計量工程を行なってもよい。これにより、多すぎず少なすぎない所定の量の液状樹脂を、離型フィルム11上に吐出することができる。液状樹脂計量機構は、特に限定されないが、例えば、特開2003-165133号公報に記載されているような顆粒樹脂に用いる計量機構(例えば、計量用のロードセル)等を流用してもよい。液状樹脂計量機構は、例えば、ディスペンサ13の横等に隣接させて設けてもよい。
なお、塗布対象物であるフィルム(離型フィルム等)の大きさは、前述のとおり、特に限定されない。しかしながら、本発明は、前述のとおり、液状樹脂を塗布する領域の面積が広くても短時間で液状樹脂を塗布できるので、大型のフィルムに特に適している。例えば、前記塗布対象物であるフィルムにおける塗布領域の長径が、300mm以上等であってもよい。
まず、離型フィルム切断モジュール(離型フィルム切断機構)510において、前述のように、ロール状離型フィルム512から、離型フィルムの先端を、フィルムグリッパ513により引き出してフィルム固定部材載置機構511上に載置されたフィルム固定部材1000の上面を覆い、フィルム固定部材1000上で前記離型フィルムを固定する。その状態で、前記のように、カッター(図示せず)により前記離型フィルムを切断し、円形の離型フィルム11とする。円形の離型フィルム11を切断して分離した残りの離型フィルム(廃材)は、廃材処理機構(図示せず)により処理する。
つぎに、フィルム固定部材載置機構511(フィルム固定部材移動機構523)を、その上に載置されたフィルム固定部材1000(図示せず)及び離型フィルム11ごと、塗布モジュール520内におけるノズル14の樹脂供給口の下方まで移動させる。この状態で、離型フィルム11上の塗布領域内に、例えば液状樹脂21を吐出し(吐出工程)、拡大させる(液状樹脂拡大工程)。このようにして、離型フィルム11上に液状樹脂を塗布する(液状樹脂塗布工程)。吐出工程及び液状樹脂拡大工程は、例えば、前述のようにして行うことができる。
つぎに、離型フィルム11及びその上の塗布領域に塗布した液状樹脂をフィルム固定部材移動機構523から移動させ、樹脂ローダ(樹脂搬送機構)521により保持する。フィルム固定部材移動機構523から樹脂ローダ521への離型フィルム11の移動は、樹脂ローダ521が有する保持機構(図示せず)で離型フィルム11を保持して行うことができる。
つぎに、樹脂成形モジュール530及び成形型531により、離型フィルム11上の塗布領域に塗布された液状樹脂を樹脂成形する(樹脂成形工程)。まず、樹脂成形モジュール530において、成形型531(上型と下型と)を型締めする。これにより、前記上型にセットされた成形前基板544aに装着されたチップが下型キャビティ532内の液状樹脂に浸漬された状態となり、下型キャビティ532内の液状樹脂をキャビティ底面部材で加圧することができる。そして、成形型531(下型キャビティ532)内で、前記液状樹脂を固化(例えば、加熱により硬化)させ、固化後の樹脂(封止樹脂)21bで前記電子部品を封止(樹脂成形)する。このようにして樹脂成形工程を行うことにより、樹脂封止済基板544b(成形済基板、電子部品)が形成される。次に、成形型531(上型と下型と)を型開きする。そして、基板ローダ541にて樹脂封止済基板544bを取り出し、さらに、搬送モジュール540側に搬送して収容する。また、基板ローダ541で成形型531から樹脂封止済基板(成形済基板、電子部品)544bを取り出した後、後処理機構522の上型面クリーナ(図示せず)を使用して、上型の基板セット部をクリーニングする。これと並行して、又はタイミングをずらせて、後処理機構の離型フィルム除去機構(図示せず)を使用して、不要になった離型フィルムを下型面から取り出すことができる。
又は、樹脂封止済基板544b(電子部品)を載置した基板ローダ541を樹脂成形モジュール530内から搬送モジュール540内まで移動させてもよい。この場合、ロボットアーム543により、前述のように、樹脂封止済基板(成形済基板、電子部品)544bを基板ローダ541から取り出し表裏を反転させる。これにより、封止樹脂側を上方に向けて、樹脂封止済基板(成形済基板、電子部品)544bを、樹脂封止済基板(成形済基板、電子部品)の収容部に収容する。このようにして、電子部品(樹脂成形品)を製造することができる。
本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。