(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046948
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】水処理装置及び養液栽培装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/32 20230101AFI20230329BHJP
A01G 31/00 20180101ALI20230329BHJP
C02F 1/30 20230101ALI20230329BHJP
C02F 1/72 20230101ALI20230329BHJP
【FI】
C02F1/32
A01G31/00 601A
C02F1/30
C02F1/72 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155809
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】593047552
【氏名又は名称】株式会社フロム工業
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100133592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100168114
【弁理士】
【氏名又は名称】山中 生太
(72)【発明者】
【氏名】河津 樹典
(72)【発明者】
【氏名】大賀 景朝
(72)【発明者】
【氏名】尾畑 宇喜雄
【テーマコード(参考)】
2B314
4D037
4D050
【Fターム(参考)】
2B314MA26
2B314MA27
2B314MA38
2B314MA46
2B314NA29
2B314PA11
2B314PA12
2B314PA13
2B314PB55
4D037AA01
4D037BA16
4D037BA18
4D050AA01
4D050BC04
4D050BC09
(57)【要約】
【課題】構造が簡単で、安価に製造することができて、手入れが容易な水処理装置を提供する。
【解決手段】水処理装置1は、透光性を有する材料で構成されて、処理対象水が通過する流路を形成する外筒2と、流路の一方端に取り付けられて、外部から送給される処理前の処理対象水を流路に導入する導水継手3と、流路の他方端に取り付けられて、処理済の処理対象水を流路から外部に向けて送出する送水継手4と、流路の中に配置されて、光触媒を担持する光触媒ユニット5と、外筒2の外部に配置されて、光触媒ユニット5に向けて光を照射するLEDユニット8と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する材料で構成されて、処理対象水が通過する流路を形成する外筒と、
前記流路の一方端に取り付けられて、外部から送給される処理前の前記処理対象水を前記流路に導入する導水継手と、
前記流路の他方端に取り付けられて、処理済の前記処理対象水を前記流路から外部に向けて送出する送水継手と、
前記流路の中に配置されて、光触媒を担持する複数個の担体と、
前記外筒の外部に配置されて、前記担体に向けて光を照射する照射手段と、を備える、
水処理装置。
【請求項2】
透光性を有する材料で構成されて、前記外筒の内部にあって、前記外筒と同軸に配置される内筒を備え、
前記流路は、前記外筒と前記内筒の間の空間に形成され、
前記内筒の内部の空間は、前記流路に対して水密に封止されるとともに、
前記内筒の内部に配置されて、前記担体に向けて光を照射する第2の照射手段を備える、
請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記外筒の長手軸方向に延びる軸部材であって、前記流路の中に配置されて、前記複数個の担体を保持する軸部材を備える、
請求項1又は請求項2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記導水継手又は前記送水継手に形成されて、前記複数個の担体の出し入れを可能にする開口と、
前記開口に宛がわれて、前記開口を水密に閉塞する蓋部材と、を備える、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記担体は、前記光触媒が担持されている不織布フィルタである、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記不織布フィルタは、前記外筒の長手軸方向において間隔を空けて配置された2枚の孔付平板の間に挟持されている、
請求項5に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記担体は、表面に前記光触媒が担持されるセラミック製球体であって、
前記セラミック製球体は、前記処理対象水が通過する複数の孔を備える筐体の内部に保持されている、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の水処理装置。
【請求項8】
前記担体は、表面に前記光触媒が担持されるとともに、前記処理対象水が通過する複数の孔を備える孔付平板である、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の水処理装置。
【請求項9】
前記孔付平板の表面に複数個の突起を有する、
請求項8に記載の水処理装置。
【請求項10】
培養液を満たして植物を栽培する培地と、
請求項1から請求項9の何れか一項に記載の水処理装置と、
前記培地から排出される前記培養液を回収して、前記水処理装置に導く流路と、
前記水処理装置での処理を終えた前記培養液を、前記培地に還流する流路と、
を備える養液栽培装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理対象の水に含まれる有害物質等を酸化分解処理する水処理装置、及び水処理装置を備える養液栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
培地において、植物に培養液から養分を吸収させて、植物を栽培する養液栽培装置が知られている。養液栽培装置は、培地において植物に吸収されなかった培養液を外部に排出する「非循環式」と、培地において植物に吸収されなかった培養液を培養液タンクに帰還させて、培養液タンクと培地との間で培養液を循環させる「循環式」(例えば、特許文献1)がある。
【0003】
循環式の養液栽培装置においては、培養液が培養液タンクと培地との間を循環する間に、培養液に有害微生物が混入して、繁殖することがある。また、培地において植物の根から排出される生育阻害物質が培養液に混入することがある。そのため、循環式の養液栽培装置には、培養液に含まれる有害微生物及び生育阻害物質を除去する装置を備える必要がある。なお、本明細書においては、有害微生物と生育阻害物質を総称して「有害物質等」と呼ぶことにする。
【0004】
特許文献2に記載の液体浄化装置は、養液栽培装置に取り付けられて、培養液に含まれる有害物質等を除去する装置である。この液体浄化装置は、光触媒を担持する担体であって、培養液に浸漬される担体と、光源の光を放散させる光散乱装置を備えている。この液体浄化装置によれば、光散乱装置から放散される光によって、担体に担持された光触媒が活性化され、光触媒に触れる培養液に含まれる有害物質等が酸化分解される。その結果、培養液に含まれる有害物質等が除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-154087号公報
【特許文献2】特許第5419029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の液体浄化装置は、光散乱装置を流路内に配置しているので、流路内に置かれた光触媒に、外部から光を届けて光触媒を活性化して、有害物質等を効率良く酸化分解することができる。しかしながら、特許文献2に記載の液体浄化装置が備える光散乱装置は、構造が複雑であり、製造コストが嵩むと言う問題がある。その結果、液体浄化装置が高価なものになる。
【0007】
また、特許文献2に記載の液体浄化装置は、光散乱装置が流路内に突出しているので、整備に手間が掛かると言う問題がある。特に、光触媒を担持する担体の取り出し、あるいは交換、あるいは流路内に流入した異物の除去に手間が掛かるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、構造が簡単で、安価に製造することができて、手入れが容易な水処理装置を提供するものである。また、本発明は、該水処理装置を備える養液栽培装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る水処理装置は、透光性を有する材料で構成されて、処理対象水が通過する流路を形成する外筒と、流路の一方端に取り付けられて、外部から送給される処理前の処理対象水を流路に導入する導水継手と、流路の他方端に取り付けられて、処理済の処理対象水を流路から外部に向けて送出する送水継手と、を備える。更に、本発明に係る水処理装置は、流路の中に配置されて、光触媒を担持する複数個の担体と、外筒の外部に配置されて、担体に向けて光を照射する照射手段と、を備える。
【0010】
本発明に係る水処理装置は、上記に加えて、透光性を有する材料で構成されて、外筒の内部にあって、外筒と同軸に配置される内筒を備えていても良い。そして、流路は、外筒と内筒の間の空間に形成され、内筒の内部の空間は、流路に対して水密に封止されるとともに、内筒の内部に配置されて、担体に向けて光を照射する第2の照射手段を備えても良い。
【0011】
本発明に係る水処理装置は、外筒の長手軸方向に延びる軸部材であって、流路の中に配置されて、複数個の担体を保持する軸部材を備えても良い。
【0012】
本発明に係る水処理装置は、導水継手又は送水継手に形成されて、複数個の担体の出し入れを可能にする開口と、開口に宛がわれて、開口を水密に閉塞する蓋部材と、を備えても良い。
【0013】
担体は、光触媒が担持されている不織布フィルタであっても良い。
【0014】
不織布フィルタは、外筒の長手軸方向において間隔を空けて配置された2枚の付平板の間に挟持されていても良い。
【0015】
担体は、表面に光触媒が担持されるセラミック製球体であって、セラミック製球体は、処理対象水が通過する複数の孔を備える筐体の内部に保持されていても良い。
【0016】
担体は、表面に光触媒が担持されるとともに、処理対象水が通過する複数の孔を備える孔付平板であっても良い。
【0017】
孔付平板の表面に複数個の突起を有していても良い。
【0018】
本発明に係る養液栽培装置は、培養液を満たして植物を栽培する培地と、上記のいずれかの水処理装置と、培地から排出される培養液を回収して、水処理装置に導く流路と、水処理装置での処理を終えた培養液を、培地に還流する流路と、を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る水処理装置は、従来品に比べて構造が簡単なので、本発明によれば、水処理装置の製造コストを削減することができる。本発明によれば、水処理装置を備える養液栽培装置を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る水処理装置の構成を示す縦断面図である。
【
図2】
図1に記載の水処理装置が備える光触媒ユニットの詳細な構成を示す外形図である。
【
図3】(A)は
図2に示した光触媒ユニットの一部を拡大して示す図である。(B)は光触媒ユニットが備える担体ユニットを(A)において矢印Aで示す方向から見た矢視図である。
【
図4】第1の実施の形態の第1の変形例に係る担体ユニットの構成を示す縦断面図である。
【
図5】(A)は、第1の実施の形態の第2の変形例に係る光触媒ユニットの一部を拡大して示す外形図である。(B)は(A)に記載の光触媒ユニットを
図5(A)において矢印Bで示す方向から見る矢視図である。
【
図6】(A)は、第1の実施の形態の第3の変形例に係る光触媒ユニットが備える円板の形状を示す平面図であり、(B)は、(A)に記載の円板の側面図である。(C)は第3の変形例の別例に係る光触媒ユニットが備える円板の小孔周りを拡大して示す平面図であり、(D)は(C)に記載の円板の小孔周りの縦断面図である。
【
図7】複数個の、
図1に記載の水処理装置を直列に接続した状態を示す構成図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態に係る水処理装置の構成を示す縦断面図である。
【
図9】(A)及び(B)は、
図8に記載の水処理装置を
図8においてCC’線で示す平面で切断して示す断面図であり、(A)は円筒状部材を閉じた状態を、(B)は円筒状部材を開いた状態を、それぞれ示す。
【
図10】本発明の実施の形態に係る養液栽培装置の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る水処理装置及び養液栽培装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面においては、同一または同等の部分に同一の符号を付している。
【0022】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る水処理装置1の構成を示す縦断面図である。
図1に示すように、水処理装置1は、外筒2と、外筒2の下端に固定された導水継手3と、外筒2の上端に固定された送水継手4とを備える。
【0023】
外筒2は、アクリル樹脂で形成された、透明な、つまり透光性を有する円筒である。また、
図1に示すように、外筒2の内部には、光触媒が担持された複数個の担体を備える光触媒ユニット5が配置されている。
【0024】
導水継手3は、水処理装置1を図示しない外部配管と接続する部材である。導水継手3には、図示しない養液栽培装置から排出される培養液、つまり水処理装置1における処理対象水が流入する。導水継手3に流入した処理対象水は、外筒2内に流入して送水継手4に向かって流れる。このように、外筒2によれば、導水継手3と送水継手4の間を連絡する流路が形成される。そして、後述するように、処理対象水に含まれる有害物質は、この流路を通過する間に、酸化分解されて、除去される。
【0025】
送水継手4も、水処理装置1を図示しない外部配管と接続する部材である。外筒2を通って送水継手4に到達した処理対象水、つまり、有害物質が除去された培養液は、送水継手4に接続された図示しない外部配管を通って、養液栽培装置に帰還する。
【0026】
また、送水継手4の上端面には、光触媒ユニット5の出し入れを可能する開口があって、この開口には蓋板6が宛がわれている。蓋板6はボルト7によって送水継手4に固定されて、開口を水密に閉塞している。また、後述するように、光触媒ユニット5は蓋板6に連結されている。そのため、ボルト7を取り外して蓋板6の固定を解除すると、蓋板6と共に光触媒ユニット5を水処理装置1から取り外すことができる。なお、蓋板6は本発明の蓋部材の例示である。
【0027】
図1に示すように、水処理装置1は、複数個のLEDユニット8を備えていて、複数個のLEDユニット8は外筒2の周囲を取り囲んでいる。なお、LEDユニット8は図示しないフレームに固定されていて、図示しないフレームは外筒2に固定されている。
【0028】
LEDユニット8は、それぞれ複数個のLED素子を備えている。そして、LED素子が発する光線は外筒2に向けて照射される。前述したように、外筒2は透光性を有する材料で構成されているので、LEDユニット8から外筒2に向けて照射された光は、外筒2を透過して、外筒2の内部に配置された光触媒ユニット5が備える光触媒の担体を照射する。このように、LEDユニット8は、担体に向けて光を照射する照射手段として機能する。そして、LEDユニット8の光が担体を照射すると、担体に担持された光触媒が活性化する。
【0029】
前述したように、外筒2の内部には処理対象水が流れている。そして処理対象水は光触媒ユニット5が備える光触媒の担体に接触する。処理対象水が担体に接触すると、活性化された光触媒が処理対象水に作用する。その結果、理対象水に含まれる有害物質が酸化分解される。
【0030】
図2は、光触媒ユニット5の詳細な構成を示す外形図である。
図2に示すように、光触媒ユニット5は蓋板6に固定されたシャフト9を備える。シャフト9は外筒2(
図2において図示なし)の長手軸方向に延びる棒状の軸部材である。シャフト9には、複数個の担体ユニット10が取り付けられている。
【0031】
図3(A)は
図2に示した光触媒ユニット5の一部を拡大して示す図である。
図3(A)に示すように、光触媒ユニット5において隣接する担体ユニット10の間にはスペーサ11が挟持されている。スペーサ11はシャフト9に装着される筒状の部材である。スペーサ11を備えることによって、隣接する担体ユニット10の間に一定の隙間が形成される。このように、担体ユニット10は、外筒2の長手軸方向に、互いに間隔を空けて配列されている。
【0032】
また、
図3(A)に示すように、担体ユニット10は、2枚の保持プレート12の間に、不織布製のフィルタ13を挟んで構成されている。本実施形態においては日本バイリーン株式会社製の「フィレドン(登録商標)」エアフィルタをフィルタ13として使用している。そして、フィルタ13を構成する繊維の表面には、例えば酸化チタンのような光触媒として機能する材料の粒子が担持されている。
【0033】
フィルタ13に光触媒を担持させる方法は特に限定されないが、例えば、光触媒の粒子とバインダとして機能する樹脂材料を混合して構成されるコーティング材をフィルタ13にスプレーすれば、フィルタ13を構成する繊維の表面に光触媒が担持される。あるいは、液状のコーティング材にフィルタ13を浸漬して、コーティング材をフィルタ13に染みこませて、その結果、光触媒がフィルタ13に担持されるようにしても良い。
【0034】
図3(B)は
図3(A)に示した担体ユニット10を
図3(A)において矢印Aで示す方向から見た矢視図である。
図3(B)に示すように、保持プレート12は、シャフト9が挿貫されるハブ12aと、ハブ12aから放射状に延びる複数本のスポーク12bと、スポーク12bの先端に固定されて保持プレート12の輪郭を構成するリム12cを備えている。このように、保持プレート12は複数のスポーク12bの間に大きな開口面を備えるので、外筒2(
図3(B)において図示なし)内を流れる処理対象水は保持プレート12を容易に通過する。
【0035】
図3(A)に戻って、担体ユニット10の作用を説明する。前述したように、処理対象水は保持プレート12を容易に通過する。一方の保持プレート12を通過して担体ユニット10の内部に流入した処理対象水はフィルタ13に担持された光触媒に接触する。処理対象水に含まれる有害物質が光触媒に接触すると有害物質は酸化分解される。その後、処理対象水は他方の保持プレート12を通って、担体ユニット10の外に流れる。前述したように、水処理装置1は複数個の担体ユニット10を備えるので、処理対象水が外筒2を通過する間に、処理対象水に対して上記の処理が繰り返される。
【0036】
また、担体ユニット10は、外筒2の長手軸方向に、互いに隙間を空けて配列されている。そのため、LEDユニット8から照射された光は、この隙間を経由して、担体ユニット10の上面と下面に届く。そのため、担体ユニット10に届く光量が増えるので、光触媒の活性化が促進され、その結果、有害物質の酸化分解が促進される。
【0037】
担体ユニット10は、不織布製のフィルタ13に光触媒を担持させるものには限定されない。以下においては、変形例に係る担体ユニット10の構成と作用について説明する。
【0038】
(第1の変形例)
図4は、第1の実施の形態の第1の変形例に係る担体ユニット10の構成を示す縦断面図である。
図4に示すように、第1の変形例に係る担体ユニット10は、側面及び上下の端面に複数の孔14aを備える円筒状の筐体14の内部に多数のセラミック製の球体15を充填して構成される。球体15の表面には光触媒が担持されている。なお、筐体14は透明なプラスチック素材で構成されていて、LEDユニット8(
図4において図示なし)から照射された光線は筐体14を透過して球体15の表面に到達して、球体15の表面担持された光触媒を活性化させる。
【0039】
球体15に光触媒を担持させる方法も特に限定されないが、例えば、光触媒の粒子とバインダとして機能する樹脂材料を混合して構成されるコーティング材を球体15にスプレーすれば、球体15の表面に光触媒が担持される。あるいは、液状のコーティング材に球体15を浸漬して、コーティング材を球体15に染みこませて、その結果、光触媒が球体15に担持されるようにしても良い。
【0040】
第1の変形例に係る担体ユニット10は、上記のように構成されているので、外筒2(
図4において図示なし)内を流れる処理対象水は筐体14の内部に流入し、球体15の表面に担持された光触媒に接触する。その結果、処理対象水に含まれる有害物質が酸化分解される。
【0041】
なお、筐体14は目の粗い金網で構成された一種の籠であっても良い。この場合も、LEDユニット8から照射された光線は金網の目を通って、球体15の表面に到達して、光触媒を活性化させる。
【0042】
(第2の変形例)
図5(A)は、第1の実施の形態の第2の変形例に係る光触媒ユニット5の一部を拡大して示す外形図である。
図5(B)は
図5(A)に記載の光触媒ユニット5を
図5(A)において矢印Bで示す方向から見る矢視図である。
【0043】
図5(A)と
図5(B)に示すように、第2の変形例に係る光触媒ユニット5は、多数の小孔16aが穿設された円板16を備えている。円板16の表面には、光触媒が担持されていて、円板16は担体ユニット10として機能する。第2の変形例に係る光触媒ユニット5は、上記のように構成されているので、外筒2(
図5において図示なし)内を流れる処理対象水は円板16の表面に接触し、処理対象水に含まれる有害物質が光触媒に接触し、その結果、有害物質が酸化分解される。なお、円板16は本発明に係る孔付平板の例示である。
【0044】
円板16に光触媒を担持させる方法も特に限定されないが、例えば、光触媒の粒子とバインダとして機能する樹脂材料を混合して構成されるコーティング材を円板16にスプレーすれば、円板16の表面に光触媒が担持される。
【0045】
(第3の変形例)
図6(A)は、第1の実施の形態の第3の変形例に係る光触媒ユニット5が備える円板16の形状を示す平面図である。
図6(B)は、
図6(A)に記載の円板の側面図である。
【0046】
図6(A)と
図6(B)に示すように、第3の変形例に係る光触媒ユニット5が備える円板16は、円板16の上面と下面に複数の突起部16bを備えている。突起部16bは、互いに平行に配置された柵状の部材である。突起部16bを備えることによって、円板16の表面積が増大するので、円板16に担持される光触媒の量が増える。その結果、有害物質を酸化分解する能力が向上する。
【0047】
図6(C)は、第3の変形例の別例に係る光触媒ユニット5が備える円板16の小孔16a周りを拡大して示す平面図である。
図6(D)は
図6(C)に記載の円板16の小孔16a周りの縦断面図である。
【0048】
図6(C)と
図6(D)に示すように、第3の変形例に係る光触媒ユニット5が備える円板16は、複数の小孔16aのそれぞれに連続する円筒状の突起部16bを備えるものであっても良い。この場合も、円板16の表面積が増大するので、円板16に担持される光触媒の量が増える。その結果、有害物質を酸化分解する能力が向上する。
【0049】
(直列接続)
上記において、水処理装置1を単体で使用する例を示したが、複数個の水処理装置1を直列に接続して使用することもできる。例えば、
図7に示すように、複数台の水処理装置1を直列に接続して、1台の水処理装置1から送出された処理対象水を別の水処理装置1に流入させて、当該別の水処理装置1から送出された処理対象水を更に別の水処理装置1に流入させるようにしても良い。このように、複数個の水処理装置1を直列に接続して、酸化分解処理を繰り返すことで、処理対象水に含まれる有害物質を、さらに確実に除去することができる。
【0050】
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る水処理装置1の構成を示す縦断面図である。
図9(A)及び
図9(B)は、水処理装置1を
図8においてCC’線で示す平面で切断して示す断面図である。
【0051】
図8と
図9(A)に示すように、第2の実施の形態に係る水処理装置1は、外筒2の内部に内筒20を備えている。内筒20は、外筒2と同様に透明な素材で構成されている。また、導水継手3と送水継手4の間を連絡する流路は内筒20と外筒2の間に形成されている。そして、光触媒ユニット5は、
図9(A)に示すように、内筒20と外筒2の間の空間に配置されている。
【0052】
また、内筒20の内部の空間は、内筒20と外筒2の間の空間に対して水密に構成されている。そして、内筒20の内部の空間に複数個のLEDユニット8が配置されている。内筒20の内部の空間に配置されLEDユニット8は光触媒ユニット5に向けて光線を照射する。このように、内筒20の内部の空間に配置されLEDユニット8は、光触媒ユニット5に担持された光触媒に向けて光を照射する第2の照射手段として機能する。なお、第2の実施の形態に係る水処理装置1においては、第1の実施の形態に係る水処理装置1と同様に、外筒2の外側にも複数個のLEDユニット8が配置されている。そのため、第2の実施の形態に係る水処理装置1においては、光触媒ユニット5の外側と内側に両方から、LEDユニット8が発する光線が照射される。
【0053】
図8に示すように、光触媒ユニット5は、2枚の保持板22の間に、複数の不織布フィルタ21を積層したものに、2本の軸部材23を貫通させて構成されている。なお、保持板22は軸部材23に固定されている。また、2本の軸部材23の間には横板24があって、横板24の両端は2本の軸部材23の上端に固定されている。そのため、横板24は光触媒ユニット5を水処理装置1に出し入れする際に使用する「持ち手」として機能する。
【0054】
なお、第2の実施の形態に係る水処理装置1においても、送水継手4には開口があって、開口は蓋板6によって水密に閉塞されている。そのため、必要に応じて、蓋板6を取り外すことによって、光触媒ユニット5を取り出すことができる。
【0055】
また、
図8と
図9(A)に示すように、第2の実施の形態に係る水処理装置1は、外筒2を外側に円筒状部材25と、円筒状部材25に固定された18本の支柱26を備えていて、外筒2の外側に配置されたLEDユニット8は支柱26に固定されている。
【0056】
円筒状部材25は、鏡面加工されたステンレス鋼板で構成されていて、LEDユニット8の発光を反射して外筒2に向ける反射板としても機能する。また、
図9(A)に示すように、円筒状部材25は、半円筒状部材25a,25bに分割されている。そして、半円筒状部材25a,25bはヒンジ25cと留め具25dとによって、連結されている。そのため、
図9(B)に示すように、留め具25dによる結合を解除すると、半円筒状部材25a,25bをヒンジ25c回りに互いに回転させて、半円筒状部材25a,25bを互いに展開することができる。そのため、円筒状部材25の外筒2への着脱を容易に行うことができる。その結果、LEDユニット8の修理交換、外筒2の清掃を容易に行うことができる。
【0057】
このように、第2の実施の形態に係る水処理装置1は、外筒2の外側に配置されて、光触媒ユニット5に光線を照射する複数個のLEDユニット8、つまり、本願発明の「照射手段」に相当する装置と、内筒20の内側に配置されて、光触媒ユニット5に光線を照射する複数個のLEDユニット8、つまり、本願発明の「第2の照射手段」に相当する装置と備えている。そのため、光触媒ユニット5に届く光量が増加するので、光触媒の活性度が高くなる。その結果、水処理装置1の処理能力が向上する。
【0058】
(養液栽培装置)
図10は、本発明の実施の形態に係る養液栽培装置30の構成を示す説明図である。
図10に示すように、養液栽培装置30は、水処理装置1と、植物31を栽培する栽培棚32と、培養液を貯留する培養液タンク33を備えている。
【0059】
培養液タンク33に貯留された培養液は、第1のポンプ34で加圧されて、供給管35を通って、栽培棚32に送給される。培養液が栽培棚32の上を流れる間に、植物31は培養液から養分を吸収し、その結果、植物31は成長する。このように、栽培棚32は植物31を培養する培地として機能する。
【0060】
栽培棚32を通過した培養液は、回収管36を通って回収タンク37に流入する。回収タンク37は栽培棚32から回収された培養液を一時的に貯留する容器である。回収タンク37に一時的に貯留された培養液は、必要に応じて第2のポンプ38によって加圧されて、フィルタ装置39を経由して貯留タンク40に移送される。なお、フィルタ装置39は回収タンク37に一時的に貯留された培養液に含まれる比較的に粒径の大きい不純物を濾し取る装置である。フィルタ装置39を備えることによって、水処理装置1におけるフィルタの目詰まりが抑制される。また、貯留タンク40は、フィルタ装置39による濾過を終えた培養液を貯留する容器である。
【0061】
貯留タンク40に貯留された培養液は、必要に応じて第3のポンプ41によって加圧されて、水処理装置1に送出される。なお、第3のポンプ41は、制御装置42によって制御される。前述したように、水処理装置1においては、培養液に含まれる有害物質が酸化分解処理される。そして、水処理装置1における処理を終えた培養液、つまり、有害物質が除去された培養液は、還流管43を通って、栽培棚32に還流される。
【0062】
また、
図10に示すように、養液栽培装置30を構成する管路の要所には、開閉弁44が配置されているので、必要に応じて、管路の一部又は全部を閉鎖することができる。また、養液栽培装置30を構成する管路の要所には、逆止弁45が配置されて、培養液の逆流を防止している。また、養液栽培装置30を構成する管路の要所には、排水弁46が配置されている。そのため、必要に応じて、排水弁46を開放することによって、管路あるいはタンク内にある培養液を外部に排出することができる。
【0063】
養液栽培装置30においては、栽培棚32から流出した培養液を、水処理装置1で処理して、栽培棚32に還流させるので、栽培棚32における培養液中の有害物質の増加を抑制することができる。また、養液栽培装置30においては、水処理装置1で処理された培養液を栽培棚32に還流させる流路と、未使用の、つまり有害物質を含まない培養液を、培養液タンク33から栽培棚32に供給する流路を完全に分離しているので、栽培棚32から流出した培養液に含まれる有害物質が培養液タンク33に混入することを抑制できる。
【0064】
以上説明したように、水処理装置1は、従来品に比べて構造が簡単なので、従来品に比べて安価に製造できる。また、水処理装置1は光触媒ユニット5を一括して取り出すことができるので、手入れが容易であり、手入れに係るコストが削減される。また、水処理装置1を養液栽培装置30に備えれば、養液栽培装置30の製造コストを削減することができる。また、養液栽培装置30の手入れに係るコストが削減される。
【0065】
しかしながら、本発明の技術的範囲は、上記の実施形態によっては限定されない。本発明は特許請求の範囲に記載の技術的思想の限りにおいて、自由に、応用、変形、あるいは改良して実施することができる。
【0066】
例えば、上記において、外筒2と内筒20がアクリル樹脂で構成される例を示したが、外筒2と内筒20を構成する素材はアクリル樹脂には限定されない。外筒2と内筒20を構成する素材は透光性を有していれば十分であり、各種の素材を任意に選択することができる。
【0067】
上記において、照射手段及び第2の照射手段の具体例として、LED素子を光源とするLEDユニット8を例示したが、照射手段及び第2の照射手段の光源はLED素子には限定されない。照射手段及び第2の照射手段の光源は任意に選択できる。また、照射手段及び第2の照射手段から照射される光は、可視光であっても良いし、紫外線であっても良い。要するに、照射手段及び第2の照射手段から照射される光は、光触媒ユニット5に担持される光触媒にマッチするものであれば十分であり、当該光に固有の性質は限定されない。
【0068】
光触媒ユニット5に担持される光触媒の物理的あるいは化学的性質は限定されない。各種の光触媒を任意に選択することができる。また、光触媒ユニット5の機械的な構成は例示されたものには限定されない。
【0069】
養液栽培装置30の機械的構成は例示であって、本発明に係る養液栽培装置の構成は、養液栽培装置30によっては限定されない。
【0070】
また、上記において、還流管43が栽培棚32に直接に接続される例を示したが、本発明に係る養液栽培装置は、還流管43が栽培棚32に直接に接続されるものには限定されない。還流管43は供給管35に接続されても良い。この場合、水処理装置1で処理された培養液は、供給管35内で、培養液タンク33から供給される未使用の培養液と混合されて、栽培棚32に送給される。あるいは、還流管43は培養液タンク33に接続されても良い。この場合、水処理装置1で処理された培養液は、培養液タンク33内で未使用の培養液と混合されて、栽培棚32に送給される。
【符号の説明】
【0071】
1 水処理装置、2 外筒、3 導水継手、4 送水継手、5 光触媒ユニット、6 蓋板、7 ボルト、8 LEDユニット、9 シャフト、10 担体ユニット、11 スペーサ、12 保持プレート、12a ハブ、12b スポーク、12c リム、13 フィルタ、14 筐体、14a 孔、15 球体、16 円板、16a 小孔、16b 突起部、20 内筒、21 不織布フィルタ、22 保持板、23 軸部材、24 横板、25 円筒状部材、25a,25b 半円筒状部材、25c ヒンジ、25d 留め具、26 支柱、30 養液栽培装置、31 植物、32 栽培棚、33 培養液タンク、34 第1のポンプ、35 供給管、36 回収管、37 回収タンク、38 第2のポンプ、39 フィルタ装置、40 貯留タンク、41 第3のポンプ、42 制御装置、43 還流管、44 開閉弁、45 逆止弁、46 排水弁