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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046958
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】設備管理装置及び設備管理方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20230329BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20230329BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155822
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 歩
(72)【発明者】
【氏名】田代 和幸
(72)【発明者】
【氏名】桜井 祐市
(72)【発明者】
【氏名】西納 修一
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA03
3C100AA16
3C100AA18
3C100AA25
3C100AA43
3C100AA54
3C100BB12
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】代替の生産ラインの各設備構成の生産性能の情報に基づいて、代替の生産ラインを適切に選択できるようにする。
【解決手段】本発明の一態様の設備管理装置100は、生産ライン上で稼働する複数の生産設備のうちのいずれかの生産設備の故障が検出された場合に、故障した生産設備の代替設備を用いた代替候補生産ラインの設備構成情報を生成する代替候補設備情報生成部104と、代替候補生産ラインの設備構成情報と、代替候補生産ラインの各設備構成の生産性能を示す情報と、を含む代替構成選択画面を生成して表示部に表示させ、代替構成選択画面を介して選択された代替候補生産ラインを、代替生産ラインに採用する代替構成選択部106と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産ライン上で稼働する複数の生産設備のうちのいずれかの生産設備の故障が検出された場合に、故障した前記生産設備の代替設備を用いた代替候補生産ラインの設備構成情報を生成する代替候補設備情報生成部と、
前記代替候補生産ラインの設備構成情報と、前記代替候補生産ラインの各設備構成の生産性能を示す情報と、を含む代替構成選択画面を生成して表示部に表示させ、前記代替構成選択画面を介して選択された前記代替候補生産ラインを、代替生産ラインに採用する代替構成選択部と、を備える
設備管理装置。
【請求項2】
前記代替構成選択画面には、前記代替候補生産ラインによる生産結果が充足すべき生産指標の情報も含まれる
請求項1に記載の設備管理装置。
【請求項3】
前記代替候補生産ラインによる生産結果が、前記生産指標を満たすか否かを判定する指標充足判定部をさらに備え、
前記代替構成選択画面に含まれる前記代替候補生産ラインの設備構成情報は、前記指標充足判定部によって前記指標を満たしていると判定された前記代替候補生産ラインの設備構成情報である
請求項2に記載の設備管理装置。
【請求項4】
前記代替構成選択部によって選択された前記代替生産ラインを構成する各生産設備に対して、制御情報を出力する制御情報出力部をさらに備える
請求項3に記載の設備管理装置。
【請求項5】
故障した前記生産設備を記憶する故障設備記憶部をさらに備え、
前記代替候補設備情報生成部は、新たに故障が検出された生産設備、及び、前記故障設備記憶部に記憶された前記生産設備を除く生産設備の情報を用いて、前記代替候補生産ラインの設備構成情報を生成する
請求項4に記載の設備管理装置。
【請求項6】
前記代替構成選択画面には、前記代替候補生産ラインによる生産の効率を示す情報も含まれる
請求項5に記載の設備管理装置。
【請求項7】
充足すべき前記指標には複数の種類があり、
前記指標充足判定部は、複数種類の前記指標に対して予め設定された優先度が高い前記代替候補生産ラインから順に、前記指標を満たすか否かの判定を行う
請求項4に記載の設備管理装置。
【請求項8】
生産ライン上で稼働する複数の生産設備のうちのいずれかの生産設備の故障が検出された場合に、故障した前記生産設備の代替設備を用いた代替候補生産ラインの設備構成情報を代替候補設備情報生成部が生成する手順と、
前記代替候補生産ラインの設備構成情報と、前記代替候補生産ラインの各設備構成の生産性能を示す情報と、を含む代替構成選択画面を生成して表示部に表示させ、前記代替構成選択画面を介して選択された前記代替候補生産ラインを、代替構成選択部が代替生産ラインに採用する手順と、を含む
設備管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備管理装置及び設備管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生産ライン上で稼働する複数の生産設備のうちのいずれかの生産設備が故障した場合、又は、エラー等により生産設備の動作が停止した場合、当該生産ラインによる生産が停止し、生産ラインの生産性が低下してしまうという課題がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数本の部品実装ラインの生産を管理する生産管理装置が、部品実装ラインのうちの故障又はエラー停止している装置よりも上流側の装置を、バイパス搬送装置を介して他の部品実装ラインの途中に連結させることにより、バイパス実装ラインを構築し、一部の装置が故障又はエラー停止している部品実装ラインについては、バイパス実装ラインを使用して部品実装基板を生産する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5743747号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、バイパス実装ラインを予め設ける必要があり、そのための手間及び費用がかかってしまう。また、特許文献1に記載の技術では、バイパス実装ラインによる生産に切り替えることによって、生産性や最終製品の故障率などの生産指標が現行の生産ラインよりも低下してしまう場合であっても、自動的に切り替えが行われてしまう。
【0006】
本発明は、上記の状況を考慮してなされたものであり、本発明の目的は、代替の生産ラインの各設備構成の生産性能の情報に基づいて、代替の生産ラインを適切に選択できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る設備管理装置は、生産ライン上で稼働する複数の生産設備のうちのいずれかの生産設備の故障が検出された場合に、故障した生産設備の代替設備を用いた代替候補生産ラインの設備構成情報を生成する代替候補設備情報生成部と、代替候補生産ラインの設備構成情報と、代替候補生産ラインの各設備構成の生産性能を示す情報と、を含む代替構成選択画面を生成して表示部に表示させ、代替構成選択画面を介して選択された代替候補生産ラインを、代替生産ラインに採用する代替構成選択部と、を備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係る設備管理方法は、生産ライン上で稼働する複数の生産設備のうちのいずれかの生産設備の故障が検出された場合に、故障した生産設備の代替設備を用いた代替候補生産ラインの設備構成情報を生成する手順と、代替候補生産ラインの設備構成情報と、代替候補生産ラインの各設備構成の生産性能を示す情報と、を含む代替構成選択画面を生成して表示部に表示させ、代替構成選択画面を介して選択された代替候補生産ラインを、代替生産ラインに採用する手順と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の少なくとも一態様によれば、代替の生産ラインの各設備構成の生産性能の情報に基づいて、代替の生産ラインが適切に選択される。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係る設備管理装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る設備管理装置を構成するハードウェアの構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る生産ラインの構成例を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る生産ライントポロジ表の構成例を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る生産ライン機器諸元表の構成例を示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係るKPI表の構成例を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る代替候補生産ライントポロジ表の構成例を示す図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る代替トポロジ選択画面の構成例を示す図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係る設備管理装置による設備管理方法の手順の例を示すフローチャートである。
図10】本発明の第1の実施形態に係る図9のステップS4において行われる代替候補生産ライントポロジ表生成処理の手順の例を示すフローチャートである。
図11】本発明の第1の実施形態の変形例に係る代替トポロジ選択画面の構成例を示す図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係る設備管理装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係る生産ラインの構成例を示す図である。
図14】本発明の第2の実施形態に係る動作モード定義表の構成例を示す図である。
図15】本発明の第2の実施形態に係る故障部位縮退パタン表の構成例を示す図である。
図16】本発明の第2の実施形態に係る代替候補生産ライントポロジ表の構成例を示す図である。
図17】本発明の第3の実施形態に係る設備管理装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
図18】本発明の第3の実施形態に係る故障設備情報表示画面の構成例を示す図である。
図19】本発明の第4の実施形態に係る代替トポロジ選択画面の構成例を示す図である。
図20】本発明の第4の実施形態に係る生産継続可否決定画面の構成例を示す図である。
図21】本発明の第5の実施形態に係るKPI表の構成例を示す図である。
図22】本発明の第5の実施形態に係るKPI充足判定部によるKPI充足判定方法の手順の例を示すフローチャートである。
図23】本発明の第5の実施形態に係るKPI充足判定部によるKPI充足判定方法の手順の例を示すフローチャートである。
図24】本発明の変形例に係るアラート通知画面の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)の例について、添付図面を参照しながら説明する。本発明は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値等は例示である。また、本明細書及び図面において、同一の構成要素又は実質的に同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付することとし、重複する説明は省略する。
【0012】
<第1の実施形態>
[設備管理装置の構成]
まず、図1を参照して、本実施形態に係る設備管理装置の構成について説明する。図1は、設備管理装置100の制御系の構成例を示すブロック図である。
【0013】
設備管理装置100は、例えば、プリント基板等の生産物を生産する生産ラインで稼働する双腕ロボット200W、200X、200Y及び200Z等の生産設備の稼働状況を監視するとともに、各生産設備に対して制御情報を出力する。
【0014】
また、設備管理装置100は、双腕ロボット200W、200X、200Y及び200Zのいずれかの故障又はエラー等を検知した場合、故障した双腕ロボットを用いずに生産を継続させる縮退パタンを生成し、該縮退パタンに基づく制御情報を生成して各生産設備に出力する。縮退パタンは、代替の生産設備(双腕ロボット)を用いた代替生産ラインのトポロジ表(設備構成情報)を示す。以下、双腕ロボット200W、200X、200Y及び200Zをそれぞれ区別する必要がない場合には、これらを「双腕ロボット200」と総称する。
【0015】
本実施形態では、設備管理装置100は、故障した双腕ロボットの代替の双腕ロボットを用いて代替生産ライン候補をいくつか生成する。そして、設備管理装置100は、代替生産ライン候補のうち、KPI(Key Performance Indicator)(生産指標の一例)を満たす生産結果を得ることが可能な代替生産ラインのトポロジ表を、縮退パタンに決定する。KPIは、企業等の組織の達成目標に対して、目標達成度合いを評価する評価指標であり、KPIには、例えば、生産ラインによる一時間当たりの製品の生産量や、生産ラインにより生産された製品の不良率などがある。
【0016】
図1に示すように、設備管理装置100は、設備データ取得部101と、故障箇所診断部102と、記憶部103と、代替候補トポロジ表生成部104と、KPI充足判定部105と、代替トポロジ選択画面生成部106と、制御情報出力部107と、を含む。
【0017】
設備データ取得部101は、双腕ロボット200W、200X、200Y及び200Zと、Ethernet(登録商標:図示略)等のネットワークを介して接続される。そして、設備データ取得部101は、双腕ロボット200W、200X、200Y及び200Zが有する設備データを、予め定められた所定の間隔で読み取り、読み取った設備データを故障箇所診断部102に出力する。
【0018】
ここで、双腕ロボット200の構成を説明する。双腕ロボット200W、200X、200Y及び200Zはそれぞれ同じ構成であるため、双腕ロボット200Wを例に挙げて構成を説明する。
【0019】
双腕ロボット200Wは、制御情報入力部201Wと、腕A202Wと、腕B203Wと、を含む。制御情報入力部201Wには、設備管理装置100の制御情報出力部107から出力された制御情報が入力される。
【0020】
腕A202Wは、腕A-軸1 204Wと、腕A-軸2 205Wと、腕A-グリッパ206W(後述する図3参照)と、を含む。腕A-軸1 204Wは、不図示の関節を介して回転自在に不図示の胴体に接続され、腕A-軸2 205Wは、不図示の関節を介して回転自在に腕A-軸1 204Wと接続される。すなわち、腕A202Wは2軸の自由度を有する。
【0021】
腕A-グリッパ206Wは、腕A202Wの先端に接続され、不図示の部品を把持して組み立てる動作を行う。腕A202Wには、これら以外の、例えば、電源やモータ等の部品も含まれるが、図1においてはこれら以外の部品の図示は省略する。
【0022】
腕B203Wは、腕B-軸1 207Wと、腕B-軸2 208Wと、腕B-グリッパ209W(後述する図3参照)と、を含む。腕B-軸1 207W、腕B-軸2 208W、腕B-グリッパ209Wは、それぞれ、腕A-軸1 204W、腕A-軸2 205W、腕A-グリッパ206Wと同様の機能を有するため、ここではこれらの説明は省略する。また、腕B203Wにも、これら以外の部品が含まれるが、図1においてはこれら以外の部品の図示は省略する。
【0023】
設備データ取得部101は、例えば、腕A202Wに設けられた不図示の電源及びモータ間の電力線に取り付けられた不図示の電流センサの値の電流変化状態を、不図示のA/D(Analog/Digital)変換器を通したデジタル情報(設備データ)として取得する。そして、設備データ取得部101は、取得した設備データを、故障箇所診断部102に出力する。
【0024】
故障箇所診断部102は、設備データ取得部101から入力された設備データを解析して各双腕ロボット200の故障状態を診断し、診断の結果得られた各双腕ロボット200における故障の有無の情報を、代替候補トポロジ表生成部104に出力する。
【0025】
例えば、故障箇所診断部102は、まず、設備データ取得部101から設備データとして入力された電流センサの電流変化状態をFFT(Fast Fourier Transform)処理して周波数領域情報に変換する。そして、故障箇所診断部102は、周波数領域情報を解析した結果得られる情報に基づいて、生産設備における故障の発生の有無を判定する。具体的には、故障箇所診断部102は、周波数領域情報におけるある特定の高調波帯の値が、予め設定された所定の閾値を超えた場合、生産設備(腕A-軸1 204W等)が故障したと判定する。
【0026】
なお、設備データ取得部101が取得する設備データは、取得対象の生産設備の部品の種類に応じたデータとなる。
【0027】
記憶部103には、生産ライントポロジ表T1と、代替候補生産ライントポロジ表T2と、生産ライン機器諸元表T3と、KPI表T4と、が格納される。
【0028】
生産ライントポロジ表T1は、稼働中の生産ラインの設備構成情報を示す表である。生産ライントポロジ表T1については、後述の図4を参照して詳述する。
【0029】
代替候補生産ライントポロジ表T2(代替候補生産ラインの設備構成情報の一例)は、故障した双腕ロボットを用いずに生産を継続させる代替生産ラインの候補となる生産ライントポロジ表であり、代替候補トポロジ表生成部104によって生成される。代替生産ラインの候補のパタンが複数存在する場合には、代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンは複数生成される。代替候補生産ライントポロジ表T2については、後述する図7を参照して詳述する。
【0030】
生産ライン機器諸元表T3は、生産ラインで用いられる各生産設備の諸元を表す表である。生産ライン機器諸元表T3には、例えば、生産設備の互換機、生産能力、不良率等の情報が格納される。生産ライン機器諸元表T3については、後述の図5を参照して詳述する。
【0031】
KPI表T4は、生産ラインによる生産結果が満たすべきKPIの各生産指標の名称と、生産結果が生産指標を充足するか否かの判定方法と、判定に用いられる値の算出方法と、が記載された表である。KPIには、例えば、生産設備の生産量(最終製品)、生産量(中間製品)、不良率等がある。KPI表T4については、後述の図6を参照して詳述する。
【0032】
代替候補トポロジ表生成部104(代替候補設備情報生成部の一例)は、故障箇所診断部102から入力された生産設備の故障情報に基づき、生産ライントポロジ表T1と、生産ライン機器諸元表T3と、を参照して、代替候補生産ライントポロジ表T2を生成する。生成された代替候補生産ライントポロジ表T2は、記憶部103に格納される。
【0033】
KPI充足判定部105(指標充足判定部の一例)は、生産ライン機器諸元表T3と、KPI表T4とを参照して、代替候補生産ライントポロジ表T2に記載された各代替候補生産ラインを対象として、生産ラインの生産結果がKPIを充足しているか否かを判定する。そして、KPI充足判定部105は、充足判定の結果を代替トポロジ選択画面生成部106に出力する。
【0034】
代替トポロジ選択画面生成部106(代替構成選択部の一例)は、KPI充足判定部105によって生産指標を充足していると判定された代替候補生産ラインの設備構成情報と、故障が発生した現行の生産ラインの設備構成情報とを用いて、代替トポロジ選択画面Sc1(代替構成選択画面の一例、図8参照)を生成する。そして、代替トポロジ選択画面生成部106は、生成した代替トポロジ選択画面Sc1を、不図示の表示部に表示させる。代替トポロジ選択画面Sc1については、後述の図8を参照して詳述する。また、代替トポロジ選択画面生成部106は、代替トポロジ選択画面Sc1を介してユーザーによって選択された代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンを、縮退パタンとして制御情報出力部107に出力する。
【0035】
制御情報出力部107は、代替トポロジ選択画面生成部106から入力された縮退パタンに含まれる各生産設備に対する制御情報を生成して、各生産設備に出力する。
【0036】
[計算機のハードウェア構成例]
次に、図1に示した設備管理装置100を構成するハードウェア(計算機)の構成について、図2を参照して説明する。図2は、設備管理装置100を構成するハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0037】
図2に示す計算機50は、設備管理装置100で使用されるコンピュータとして用いられるハードウェアである。計算機50は、CPU(Central Processing Unitp)501ろ、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、を含む。さらに、計算機50は、表示部504と、操作入力部505と、不揮発性ストレージ506と、ネットワークインターフェース507と、を含む。これらの各ブロックは、バスBを介して相互に通信可能に接続されている。
【0038】
CPU501は、本実施の形態に係る設備管理装置100の各機能を実現するソフトウェアのプログラムをROM502から読み出し、該プログラムをRAM503にロードして実行する。設備管理装置100の代替候補トポロジ表生成部104、KPI充足判定部105、代替トポロジ選択画面生成部106及び制御情報出力部107の各機能は、CPU501がプログラムを実行することにより実現される。
【0039】
ROM502は、計算機50によって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。ROM502には、OS(Operating System)、各種のパラメータ、計算機50を機能させるためのプログラム等が記録される。
【0040】
RAM503には、CPU501の演算処理の途中で発生した変数やパラメータなどが一時的に書き込まれる。RAM503に書き込まれた変数やパラメータなどは、CPU501によって適宜読み出される。
【0041】
表示部504は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどで構成される表示装置である。
【0042】
操作入力部505は、例えば、マウスやキーボードなどで構成される。操作入力部505は、ユーザーにより入力された操作の内容に応じた操作信号を生成し、該操作信号をCPU501に出力する。なお、表示部504及び操作入力部505は、タッチパネルとして一体に形成されてもよい。
【0043】
不揮発性ストレージ506は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリ等で構成される。設備管理装置100の記憶部103の機能は、不揮発性ストレージ504により実現される。なお、計算機50によって実行されるプログラムは、記憶部103に記憶されてもよい。記憶部103にプログラムが記憶される場合、記憶部103は、計算機50によって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
【0044】
ネットワークインターフェース507は、例えば、NIC(Network Interface Card)等で構成される。ネットワークインターフェース507は、NICに接続された不図示のネットワークを介して各双腕ロボット200(図1参照)との間で行われる、各種のデータの送受信動作を制御する。
【0045】
[生産ラインの構成]
次に、図3を参照して、生産ラインの構成について説明する。図3は、生産ラインLの構成例を示す図である。
【0046】
図3に示すように、生産ラインLは、双腕ロボット200W、200X、200Y及び200Zを含む。双腕ロボット200W、200X及び200Yは、2つの腕を用いて部品を組み立てることによって、中間製品を生産する。双腕ロボット200W、200X、200Yの下流に配置された双腕ロボット200Zは、双腕ロボット200W、200X、200Yによって生産された中間製品を受け取り、最終製品の組立作業を行う。
【0047】
双腕ロボット200W、200X、200Yの生産量は、例えば“100個/h”である。したがって、双腕ロボット200W、200X、200Yによって生産される中間製品の生産量は、“300個/h”となる。また、双腕ロボット200Zの生産量は“100個/h”である。
【0048】
[生産ライントポロジ表の構成]
次に、図4を参照して、生産ライントポロジ表T1の構成について説明する。図4は、生産ライントポロジ表T1の構成例を示す図である。
【0049】
図4に示すように、生産ライントポロジ表T1は、トポロジ表示部Ar1と、表表示部Ar2と、を有する。トポロジ表示部Ar1には、生産ラインを構成する要素(生産設備)の接続関係を記号及び矢印で示した生産ライントポロジ表が表示される。
【0050】
図4に示すトポロジ表示部Ar1において、双腕ロボット200が組み立てを行う部品が双腕ロボット200に入力(受け渡し)される入力301~入力303の各要素は丸印で示され、双腕ロボット200W、200X、200Y及び200Zは矩形の枠で示されている。
【0051】
また、双腕ロボット200W、200X及び200Yによって組み立てられた中間製品が出力される中間出力304~中間出力306の各要素は二重の丸印で示され、最終製品が出力される出力307の要素は、黒色の丸印で示されている。
【0052】
図4には、双腕ロボット200W、200X及び220Yが、それぞれ入力301、302、303から製品の部材を受け取り、組み立てた中間製品を、それぞれ中間出力304、305、306へ出力する流れが示されている。また、図4には、双腕ロボット200Zが、中間出力304、305、306から受け取り、組み立てた最終製品を出力307に出力する流れが示されている。
【0053】
さらに、各双腕ロボット200においては、矩形の枠の内枠内に生産量も示されている。具体的には、各双腕ロボット200の生産量は“100個/h”であることが示されている。したがって、この生産ラインにおいては、中間製品が1時間に300個生産され、最終製品は1時間に100個生産される。
【0054】
表表示部Ar2には、トポロジ表示部Ar1に表示された、生産ラインを構成する要素(生産設備)を、機能別にグループ分けした表が示される。
【0055】
[生産ライン機器諸元表の構成]
次に、図5を参照して、生産ライン機器諸元表T3(図1参照)の構成について説明する。図5は、生産ライン機器諸元表T3の構成例を示す図である。
【0056】
図5に示すように、生産ライン機器諸元表T3は、「#」、「生産設備」、「互換機」、「生産能力」、「不良率(生産量≦150個/h)」及び「不良率(生産量>150個/h)」の各項目を有する。
【0057】
「#」の項目には、生産ライン機器諸元表T3を構成する各レコードに連番で割り振られた番号が格納される。「生産設備」の項目には、“双腕ロボット200W”等の生産設備の名称が格納され、「互換機」の項目には、その生産設備の互換機の情報が格納される。互換機は、生産設備の内部の制御プログラムを書き換えることにより、該当の生産設備と同等の生産を行うことが可能な生産設備を指す。「生産能力」の項目には、生産設備の生産能力(図5においては生産量)の情報が格納される。
【0058】
「不良率(生産量≦150個/h)」には、生産設備が1時間当たり150個以下で生産した場合に、最終製品において発生する不良率(%)の情報が格納される。「不良率(生産量≦150個/h)」には、1時間当たり150個より多く生産した場合に、最終製品において発生する不良率(%)の情報が格納される。
【0059】
例えば、生産ライン機器諸元表T3の”#1”のレコードには、双腕ロボット200Wの互換機は“双腕ロボット200X”及び“双腕ロボット200Y”であり、生産能力は“1時間当たり200個以下”であることが示されている。また、双腕ロボット200Wによる生産物における不良率は、1時間当たり150個以下で生産した場合には“0.1%”であり、1時間当たり150個より多く生産した場合には“0.4%”であることが示されている。
【0060】
次に、図6を参照して、KPI表T4の構成について説明する。図6は、KPI表T4の構成例を示す図である。
【0061】
図6に示すように、KPI表T4は、「#」、「KPI」、「充足判定方法」及び「算出方法」の各項目を有する。「#」の項目には、KPI表T4を構成する各レコードに連番で割り振られた番号が格納される。
【0062】
「KPI」の項目には、生産ラインによる生産結果が充足すべき生産指標であるKPIの名称が格納される。「充足判定方法」の項目は、生産結果がKPIを充足しているか否かの判定の情報が格納される。充足の判定は、KPI充足判定部105(図1参照)によって行われる。「算出方法」の項目には、「充足判定方法」に記載された判定に用いられる「生産量(最終製品)」、「不良率」等の算出方法の情報が格納される。
【0063】
例えば、KPI表T4の“#1”のレコードには、KPIは“生産量(最終製品)”であり、充足判定方法は“生産量(最終製品)≧100個/h”であり、充足判定に用いられる「生産量(最終製品)」は、“「出力」から得られる生産量”であることが示されている。つまり、KPI充足判定部105は、KPI生産量(最終製品)である場合、出力307(図4参照)から得られる生産量(最終製品)の一時間当たりの生産量が100個以上である場合に、生産結果は生産指標を充足していると判定する。
【0064】
[代替候補生産ライントポロジ表の構成]
次に、図7を参照して、代替候補生産ライントポロジ表T2(図1参照)の構成について説明する。図7は、代替候補生産ライントポロジ表T2の構成例を示す図である。代替候補生産ライントポロジ表T2は、代替候補トポロジ表生成部104(図1参照)によって生成される。
【0065】
図7には、図4に示した生産ライントポロジ表T1に示されていた双腕ロボット200Wの故障に伴い、双腕ロボット200Wによる生産を双腕ロボット200X及び200Yが代替して行うパタン(パタン#1)における代替候補生産ライントポロジ表T2を示す。
【0066】
図7に示す代替候補生産ライントポロジ表T2の“#1”においては、故障が検知された双腕ロボット200W、双腕ロボット200Wに部品を受け渡す入力301、及び、双腕ロボット200Wによって生産された中間製品が出力される中間出力304の記載が削除されている。
【0067】
そして、“#1”の代替候補生産ライントポロジ表T2においては、双腕ロボット200Wによって生産されていた“100個/h”の生産量は、双腕ロボット200Wの互換機である双腕ロボット200Xによって代替して生産されることが示されている。つまり、双腕ロボット200Xは、自身が生産する一時間当たりの生産量100個に加えて、双腕ロボット200Wが一時間あたりに生産していた100個も生産する。すなわち、双腕ロボット200Xは、一時間当たり200個の中間製品を生産する。
【0068】
なお、故障した双腕ロボット200Wの互換機は、生産ライン機器諸元表T3(図5参照)によれば“双腕ロボット200X”及び“双腕ロボット200Y”の2つでありそれぞれの生産性能は“≦200個/h”である。したがって、双腕ロボット200Wの生産量は、双腕ロボット200X及び200Yのいずれか一つが代替することも可能であり、2つの双腕ロボットが分担して代替することも可能である。
【0069】
したがって、双腕ロボット200Wの故障時における代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンとしては、双腕ロボット200Xが代替するパタン(#1)、双腕ロボット200X及び200Yが分担して代替するパタン(#2)、双腕ロボット200Yが代替するパタン(#3)が想定される。図7には、パタン“#1”の代替候補生産ライントポロジ表T2のみを表示しているが、代替候補トポロジ表生成部104は、パタン#1~#3のすべての代替候補生産ライントポロジ表T2を生成する。
【0070】
そして、KPI充足判定部105は、代替候補トポロジ表生成部104によって生成されたすべての代替候補生産ライントポロジ表T2(“#1”~“#3”)を対象として、生産結果がKPIの各生産指標(「生産量(最終製品)」、「生産量(中間製品)」、「不良率」等)を充足するか否かを判定する。そして、KPI充足判定部105は、KPIのすべての指標を充足する代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンがある場合、該代替候補生産ライントポロジ表T2の情報を、代替トポロジ選択画面生成部106(図1参照)に出力する。
【0071】
[代替トポロジ選択画面の構成]
次に、図8を参照して、代替トポロジ選択画面生成部106によって生成され代替トポロジ選択画面Sc1の構成について説明する。図8は、代替トポロジ選択画面Sc1の構成例を示す図である。
【0072】
図8に示すように、代替トポロジ選択画面Sc1は、標準トポロジ表示部Ar11と、代替候補トポロジ表示部Ar12と、を含む。また、代替トポロジ選択画面Sc1は、ライン構成適用ボタンBn1と、前候補ボタンBn2と、次候補ボタンBn3と、を含む。
【0073】
標準トポロジ表示部Ar11には、現在稼働している標準の生産ライントポロジ表T1が表示される。具体的には、標準トポロジ表示部Ar11には、現在稼働している標準の生産ラインの各設備構成のトポロジ表と、生産能力(図8に示す例では生産量)と、が示される。
【0074】
代替候補トポロジ表示部Ar12には、KPI充足判定部105によってすべてのKPIを充足していると判定された代替候補生産ライントポロジ表T2(のパタン)が表示される。具体的には、代替候補トポロジ表示部Ar12には、代替候補の生産ラインの各設備構成のトポロジ表と、生産能力(図8に示す例では「生産量」)と、が示される。
【0075】
標準トポロジ表示部Ar11及び代替候補トポロジ表示部Ar12のそれぞれの右下端の領域には、KPIの生産指標が示されている。具体的には、「目標とする生産指標」、「生産量(最終製品)=100個/h」、「生産量(中間製品)=300個/h」、「不良率=0.1%以下」と記載されている。
【0076】
ライン構成適用ボタンBn1は、代替候補トポロジ表示部Ar12に表示されている代替候補生産ライントポロジ表T2に示されるパタンを、縮退パタンとして選択したい場合に、ユーザーが押下するボタンである。ライン構成適用ボタンBn1が押下された場合、代替候補トポロジ表示部Ar12に表示されていた代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンが、縮退パタンに決定される。
【0077】
前候補ボタンBn2は、押下されることにより、代替候補トポロジ表示部Ar12に表示されている代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンを、“#”の値の小さいパタンに切り替えるボタンである。図8に示す例では、代替候補トポロジ表示部Ar12には“#2”の代替候補生産ライントポロジ表T2が表示されているが、“#1”の代替候補生産ライントポロジ表T2はすべてのKPIを充足していないため、前候補ボタンBn2が押下された場合にも、表示内容は切り替わらない。
【0078】
次候補ボタンBn3は、押下されることにより、代替候補トポロジ表示部Ar12に表示されている代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンを、“#”の値の大きいパタンに切り替えるボタンである。図8に示す例では、代替候補トポロジ表示部Ar12には“#2”の代替候補生産ライントポロジ表T2が表示されているが、“#3”の代替候補生産ライントポロジ表T2はすべてのKPIを充足していないため、次候補ボタンBn3が押下された場合にも、表示内容は切り替わらない。
【0079】
このような画面が表示されることにより、ユーザーは、現行の生産ラインの設備構成の生産能力と、代替候補の生産ラインの設備構成の生産能力とを比較したり、充足すべきKPIの情報を確認したりしながら、縮退パタンに設定すべき代替候補生産ライントポロジ表T2を、適切に選択することができる。
【0080】
また、ユーザーは、代替トポロジ選択画面Sc1において、前候補ボタンBn2又は次候補ボタンBn3を押下して、代替候補トポロジ表示部Ar12に表示させる代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンを切り替えることにより、代替候補のパタン同士を比較して適切な代替候補生産ライントポロジ表T2を選択することができる。
【0081】
[設備管理装置による設備管理方法]
次に、図9及び図10を参照して、本実施形態に係る設備管理装置100による設備管理方法について説明する。図9は、設備管理装置100による設備管理方法の手順の例を示すフローチャートであり、図10は、図9のステップS4において行われる代替候補生産ライントポロジ表生成処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0082】
始めに、図9を参照して説明する。まず、設備管理装置100の設備データ取得部101(図1参照)は、生産ラインの各生産設備(双腕ロボット200W、200X、200Y及び200Z)より、設備データを取得する(ステップS1)。
【0083】
次いで、故障箇所診断部102は、ステップS1で取得した設備データを解析することにより、生産設備の故障状態を診断する(ステップS2)。すなわち、故障箇所診断部102は、生産設備における故障の発生の有無を判定する。次いで、故障箇所診断部102は、故障している生産設備はあるか否かを判定する(ステップS3)。
【0084】
ステップS3で、故障している生産設備はないと判定された場合(ステップS3がNO判定の場合)、設備管理装置100による設備管理方法は終了する。一方、故障している生産設備があると判定された場合(ステップS3がYES判定の場合)、代替候補トポロジ表生成部104(図1参照)は、代替候補生産ライントポロジ表生成処理を行う(ステップS4)。
【0085】
ここで、ステップS4の代替候補トポロジ表生成部104による代替候補生産ライントポロジ表生成処理について、次の図10を参照して説明する。
【0086】
まず、代替候補トポロジ表生成部104は、故障箇所診断部102より、生産設備の故障状態を取得する(図10のステップS21)。例えば、代替候補トポロジ表生成部104は、故障箇所診断部102より、“双腕ロボット200Wの故障あり”等の情報を取得する。
【0087】
次いで、代替候補トポロジ表生成部104は、生産ライン機器諸元表T3(図5参照)より、故障している生産設備の互換機の情報を取得する(ステップS22)。例えば、代替候補トポロジ表生成部104は、生産ライン機器諸元表T3より、故障した双腕ロボット200Wの互換機の情報として、“双腕ロボット200X”及び“双腕ロボット200Y”の情報を取得する。
【0088】
次いで、代替候補トポロジ表生成部104は、生産ライントポロジ表T1(図1参照)より、標準の(現行の)生産ラインの設備構成情報を取得する(ステップS23)。次いで、代替候補トポロジ表生成部104は、故障した生産設備の代替先の生産設備を選択する(ステップS24)。例えば、代替候補トポロジ表生成部104は、故障した双腕ロボット200Wの生産量を代替可能な双腕ロボットとして、双腕ロボット200X単体(パタン#1)を選択する。
【0089】
次いで、代替候補トポロジ表生成部104は、ステップS24で取得した代替先の生産設備の生産性能の情報を、生産ライン機器諸元表T3から取得する(ステップS25)。例えば、代替候補トポロジ表生成部104は、双腕ロボット200Xの生産性能の情報として、以下の情報を取得する。
・生産能力は1時間に200個以下。
・1時間当たり150個以下で生産を行った場合における不良率は0.1%。
・1時間当たり150個より多く生産を行った場合における不良率は0.4%。
【0090】
次いで、代替候補トポロジ表生成部104は、ステップS23で取得した現行の生産ライントポロジ表T1の情報と、ステップS25で取得した代替の双腕ロボット200Xの生産性能の情報とに基づいて、代替候補生産ライントポロジ表T2を生成する(ステップS26)。
【0091】
例えば、代替候補トポロジ表生成部104は、故障した双腕ロボット200Wの生産量である100個/hを、双腕ロボット200Xに代替させ、双腕ロボット200Xに一時間当たり200個を生産させるパタン(“#1”)の代替候補生産ライントポロジ表T2を生成する。
【0092】
次いで、代替候補トポロジ表生成部104は、ステップS26で生成した代替候補生産ライントポロジ表T2を、記憶部103(図1参照)に格納する(ステップS27)。
【0093】
次いで、代替候補トポロジ表生成部104は、代替先の候補となっている生産設備を用いたすべての組み合わせ(パタン)を選択したか否かを判定する(ステップS28)。例えば、代替候補トポロジ表生成部104は、パタン“#1”の双腕ロボット200X単体に代替をさせるパタンを選択していた場合、パタン“#2”(双腕ロボット200X及び200Yの両方に分担して代替させる)、及び、パタン“#3”(双腕ロボット200Y単体に代替させる)がまだ残っている。したがって、この場合、ステップS28はNO判定となる。ステップS28がNO判定の場合、代替候補トポロジ表生成部104は、ステップS24に戻って処理を続ける。
【0094】
一方、ステップS28で、すべての組み合わせを選択したと判定された場合(ステップS28がYES判定の場合)、代替候補トポロジ表生成部104による代替候補生産ライントポロジ表生成処理は終了し、図9のステップS5に進む。
【0095】
図9のステップS5では、KPI充足判定部105は、代替候補生産ライントポロジ表T2に含まれる各生産設備を対象としてKPIの値を算出する。
【0096】
例えば、KPI充足判定部105が、KPIの値の計算対象として代替候補生産ライントポロジ表T2のパタン“#1”(図7参照)を取得したとする。この場合、KPI充足判定部105は、まず、KPI表T4の“#1”のレコードの「生産量(最終製品)」を算出する。
【0097】
KPI表T4において、「生産量(最終製品)」の算出方法は“「出力」から得られる生産量”と定義されている。したがって、図7に示す代替候補生産ライントポロジ表T2の要素である出力307から、一時間当たりに出力される最終製品の個数である“100個/h”が、“生産量(最終製品)”として求まる。
【0098】
次のステップS6では、KPI充足判定部105は、算出していないKPIの項目はあるか否かを判定する。例えば、KPI表T4の“#1”の「生産量(最終製品)」の算出を終えた段階では、算出していないKPIの項目はまだ残っている(“#2”及び“#3”がある)ため、ステップS6はYES判定となる。ステップS6がYES判定の場合、KPI充足判定部105は、ステップS5に戻って処理を行う。
【0099】
例えば、KPI充足判定部105は、KPI表T4の“#2”の「生産量(中間製品)」、“#3”の「不良率」等の、まだ算出していないKPIの値を算出する。KPI表T4において、“#2”の「生産量(中間製品)」の算出方法は“「中間出力」から得られる生産量”と定義されている。したがって、図7に示す代替候補生産ライントポロジ表T2の要素である中間出力305から、一時間当たりに出力される最終製品の個数である“200個/h”と、中間出力306から一時間当たりに出力される最終製品の個数である“100個/h”との合計値の“300個/h”が、“生産量(中間製品)”として求まる。
【0100】
KPI表T4において、“#3”の「不良率」の算出方法は“「生産設備」の不良率の平均”と定義されている。不良率は、生産ライン機器諸元表T3に記載されている各生産設備の生産性能(双腕ロボット200X、200Y、200Z)の情報に基づいて算出することができる。
【0101】
生産ライン機器諸元表T3において、双腕ロボット200X、200Y、200Zの各不良率は、一時間当たりの生産量が150個以下の場合には“0.1%”であり、150個より多い場合には“0.4%”であると定義されている。したがって、一時間当たりの生産量が150個以上である双腕ロボット200Xの不良率は“0.4%”と求まる。一方、一時間当たりの生産量が150個以下である双腕ロボット200Y、200Zの不良率は“0.1%”と求まる。したがって、“「生産設備」の不良率の平均”は、(0.4(%)+0.1(%)+0.1(%))/3=0.2(%)と求まる。
【0102】
図9のステップS6において、算出していないKPIの項目はないと判定された場合(ステップS6がNO判定の場合)、KPI充足判定部105は、ステップS5で算出した各KPIの値が、それぞれの生産指標を充足しているか否かを判定する(ステップS7)。そして、KPI充足判定部105は、すべてのKPIの値が生産指標を充足しているか否かを判定する(ステップS8)。
【0103】
例えば、代替候補生産ライントポロジ表T2のパタン“#1”(図7参照)においては、KPI表T4の“#1”の生産量(最終製品)は“100個/h”と算出されており、「充足判定方法」に記載された“生産量(最終製品)≧100個/h”の生産指標を充足している。“#2”の生産量(中間製品)は“300個/h”と算出されており、「充足判定方法」に記載された“生産量(中間製品)≧300個/h”の生産指標を充足している。
【0104】
一方、“#3”の不良率は“0.2%”と算出されており、「充足判定方法」に記載された“不良率≦0.1%”の生産指標を充足していない。したがって、KPI充足判定部105は、代替候補生産ライントポロジ表T2のパタン“#1”は、生産指標を充足していないと判定する。この場合、図9のステップS8はNO判定となり、次のステップS9に進む。
【0105】
ステップS9では、KPI充足判定部105は、未判定の代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンはあるか否かを判定する。例えば、代替候補生産ライントポロジ表T2のパタン“#1”を対象としたKPIの値の算出を終えた段階では、算出していないパタンはまだ残っているため、ステップS9はYES判定となる。ステップS9がYES判定の場合、KPI充足判定部105は、ステップS7に戻って処理を行う。つまり、ステップS5で算出した各KPIの値が、それぞれの生産指標を充足しているか否かを判定する。
【0106】
例えば、故障した双腕ロボット200Wの生産量を双腕ロボット200X及び200Yがそれぞれ“150個/h”ずつ分担して代替する、代替候補生産ライントポロジ表T2のパタン“#2”(図示略)においては、KPI表T4の“#1”の「生産量(最終製品)」は、“100個/h”であるため、“生産量(最終製品)≧100個/h”の生産指標を充足する。また、「#2」の「生産量(中間製品)」は、“300個/h”と求まり、“生産量(中間製品)≧300個/h”の生産指標を充足する。さらに、“#3”の不良率は、パタン“#2”においては双腕ロボット200X,200Y及び200Zの不良率はそれぞれ“0.1%”であるため、(0.1(%)+0.1(%)+0.1(%))/3=0.1(%)と求まる。すなわち、“不良率≦0.1%”の生産指標を充足する。
【0107】
つまり、KPI表T4において定義されているすべての生産指標を充足しているため、KPI充足判定部105は、代替候補生産ライントポロジ表T2のパタン“#2”は、KPIを充足していると判定する。この場合、ステップS8はYES判定となり、次のステップS10に進む。
【0108】
ステップS10では、KPI充足判定部105は、充足と判定されたパタンの代替候補生産ライントポロジ表T2を、記憶部103(図1参照)等に記憶させる。次いで、KPI充足判定部105は、未判定の代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンはあるか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11で、未判定の代替候補生産ライントポロジ表T2はあると判定された場合(ステップS11がYES判定の場合)、KPI充足判定部105は、ステップS7に戻って処理を行う。
【0109】
一方、ステップS11で、未判定の代替候補生産ライントポロジ表T2はないと判定された場合(ステップS11がNO判定の場合)、代替トポロジ選択画面生成部106(図1参照)は、代替トポロジ選択画面Sc1(図8参照)を生成する(ステップS12)。
【0110】
例えば、ステップS8で充足と判定され、ステップS10で記憶部103等に記憶された代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンが、パタン“#2”であったとする。この場合、代替トポロジ選択画面生成部106は、代替候補トポロジ表示部Ar12(図8参照)にパタン“#2”の構成を埋め込んだ代替トポロジ選択画面Sc1を生成する。
【0111】
記憶部103等に記憶された代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンが複数ある場合には、代替トポロジ選択画面生成部106は、前候補ボタンBn2又は次候補ボタンBn3(図8参照)の押下時に切り替わる画面に、残りのパタンの構成を埋め込む。
【0112】
次いで、代替トポロジ選択画面生成部106は、代替トポロジ選択画面Sc1において、特定の代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンは選択されたか否かを判定する(ステップS13)。具体的には、代替トポロジ選択画面Sc1において、特定の代替候補生産ライントポロジ表のパタンが表示された状態で、ライン構成適用ボタンBn1が押下されたか否かを判定する。
【0113】
ステップS13で、特定の代替候補生産ライントポロジ表T2は選択されていないと判定された場合(ステップS13がNO判定の場合)、代替トポロジ選択画面生成部106は、ステップS13の判定を繰り返す。一方、ステップS13で、特定の代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンは選択されたと判定された場合(ステップS13がYES判定の場合)、代替トポロジ選択画面生成部106は、選択された代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンを、縮退パタンとして制御情報出力部107(図1参照)に出力する(ステップS14)。
【0114】
一方、ステップS9で、未判定の代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンはないと判定された場合(ステップS9がNO判定の場合)、代替トポロジ選択画面生成部106は、空の生産ライントポロジ表T1を縮退パタンとして制御情報出力部107に出力する(ステップS15)。ステップS9でのNO判定が行われるのは、すべてのKPIの値を充足する代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンがない場合である。
【0115】
ステップS14又はステップS15の処理後、制御情報出力部107は、縮退パタンに基づいて生成した制御情報を、生産ラインを構成する各生産設備に出力する(ステップS16)。制御情報出力部107は、ステップS14で生成された縮退パタンを受信した場合には、代替候補生産ライントポロジ表T2を構成する各生産設備に対して、動作の指示等の制御情報を出力する。
【0116】
例えば、代替トポロジ選択画面Sc1において選択された代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンが、パタン“#2”であった場合、ステップS16において、制御情報出力部107は、パタン#2に含まれる双腕ロボット200X、200Y及び200Zのそれぞれに対して制御情報を出力する。
【0117】
一方、ステップS15で生成された縮退パタン(空の生産ライントポロジ表T1)を受信した場合には、制御情報出力部107は、代替候補生産ライントポロジ表T2を構成する各生産設備に対して、生産動作を停止させる制御情報を出力する。ステップS16の処理後、設備管理装置100による設備管理方法は終了する。
【0118】
上述した第1の実施形態によれば、ユーザーは、代替トポロジ選択画面Sc1(図8参照)において、代替候補生産ライントポロジ表T2を構成する各生産設備の性能の情報(生産量、不良率等)に基づいて、代替のパタンである縮退パタンを適切に決定することができる。
【0119】
また、上述した実施形態によれば、制御情報出力部107が縮退パタンに基づく制御情報を生成して、該制御情報を縮退パタンに含まれる各生産設備に出力する。したがって、本実施形態によれば、ユーザーによって選択された縮退パタンに基づいて、生産ラインの生産設備が適切に制御されるようになる。
【0120】
また、上述した実施形態によれば、すべてのKPIの生産指標を充足する代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンのみが、代替トポロジ選択画面Sc1に表示される。したがって、本実施形態によれば、生産量が低下してしまったり不良率が増えてしまったりして、KPIを充足できないパタンの代替候補生産ライントポロジ表T2が、縮退パタンに決定されてしまうことを防ぐことができる。さらに、上述した実施形態によれば、代替トポロジ選択画面Sc1を介してユーザーが縮退パタンを選択できるため、ユーザーの意図しない縮退パタンによる生産が実行されてしまうことを防ぐことができる。
【0121】
なお、上述した第1の実施形態では、代替トポロジ選択画面Sc1において、代替候補生産ライントポロジ表T2をトポロジ表の形式で表示してユーザーに選択させる例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、代替候補生産ライントポロジ表T2を文字及び数値で表現した代替トポロジ選択画面Sc1′が生成されてもよい。
【0122】
図11は、第1の実施形態の変形例に係る代替トポロジ選択画面Sc1′の構成例を示す図である。図11に示すように、代替トポロジ選択画面Sc1′は、「代替トポロジ選択画面」の文字と、代替候補トポロジ表示部Ar21と、縮退パタン入力部Fmと、決定ボタンBn4と、を有する。
【0123】
代替候補トポロジ表示部Ar21は、「#」、「選択可能パタン」、「双腕ロボット200W不良率」、「双腕ロボット200X不良率」、「双腕ロボット200Y不良率」、「双腕ロボット200Z不良率」、「生産量(中間製品)」及び「生産量(最終製品)」の各項目を有する。
【0124】
「#」の項目には、選択可能な代替候補生産ライントポロジ表T2の各パタンに対して連番で割り振られた番号が示される。「選択可能パタン」の項目には、ユーザーが選択可能な代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンの名称が示される。
【0125】
「双腕ロボット200W不良率」~「双腕ロボット200W不良率」の各項目には、各双腕ロボットの不良率が示される。双腕ロボット200Wは、故障が検出されて稼働が停止しているロボットであるため、その不良率は表示されない。「生産量(中間製品)」には一時間当たりの生産量(中間製品)が示され、「生産量(最終製品)」には一時間当たりの生産量(最終製品)が示される。
【0126】
縮退パタン入力部Fmは、ユーザーによって選択された代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンの名称又は番号(#)の入力を受け付けるフォームである。決定ボタンBn4は、縮退パタン入力部Fmに入力されている代替候補生産ライントポロジ表T2に示されるパタンを、縮退パタンとして選択したい場合に、ユーザーが押下するボタンである。ユーザーによって決定ボタンBn4が押下された場合、代替トポロジ選択画面生成部106は、縮退パタン入力部Fmに入力された代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンを、縮退パタンに決定する。
【0127】
本変形例によれば、ユーザーは、代替候補生産ライントポロジ表T2の各パタンのKPIの指標(「不良率」、「生産量(中間製品)」、「生産量(最終製品)」)を確認しながら、適切にかつ容易に縮退パタンを選択することができる。
【0128】
なお、上述した第1の実施形態及び変形例においては、KPIの指標として不良率と生産量(中間製品、最終製品)を例示したが、本発明はこれに限定されず、他の生産指標が用いられてもよい。
【0129】
また、上述した第1の実施形態及び変形例では、ユーザーによって選択された代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンを、代替トポロジ選択画面生成部106が縮退パタンに決定する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図9のフローチャートのステップS8で、すべてのKPIの値が生産指標を充足していると判定されたパタンを、不図示の制御部等が自動的に縮退パタンとして決定してもよい。
【0130】
また、図9に示した例では、想定し得る代替候補生産ライントポロジ表T2の全パタンを、代替候補トポロジ表生成部104(図1参照)が生成(列挙)し、KPI充足判定部105が、各パタンを構成する生産設備による生産結果がKPIを充足するか否かを判定する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、不図示の制御部等が、故障箇所診断部102からの出力内容と、生産ライントポロジ表T1、代替候補生産ライントポロジ表T2、生産ライン機器諸元表T3及びKPI表T4に記載の各内容と、に基づいて、数理最適化技術を用いて最適な縮退パタンを決定してもよい。
【0131】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、設備管理装置100Aは、生産設備を構成する部品も対象とした代替候補生産ライントポロジ表を生成する。
【0132】
[設備管理装置の構成]
図12は、本実施形態に係る設備管理装置100Aの制御系の構成例を示すブロック図である。図12に示す設備管理装置100Aが、第1の実施例に係る設備管理装置100(図1参照)と異なる点は、記憶部103内に、動作モード定義表T5及び故障部位縮退パタン表T6が格納される点である。
【0133】
動作モード定義表T5は、予め設定された各動作モードと、該動作モードにおいて生産設備が採り得る動作と、を対応付けたテーブルである。動作モードとは、「正常」、「腕A停止」、「腕A-軸2停止」等の、部品の動作状態も含めた生産設備の動作状態を定義したモードである。動作モード定義表T5については、後述の図14を参照して詳述する。
【0134】
故障部位縮退パタン表T6は、故障部位と、故障部位に応じて実行する生産設備の動作モードと、生産設備の生産性能とを対応付けたテーブルである。故障部位縮退パタン表T6については、後述の図15を参照して詳述する。
【0135】
図13は、生産ラインL′の構成例を示す図である。図13に示すように、生産ラインL′には、双腕ロボット200I、200J及び200Kが含まれる。
【0136】
双腕ロボット200Iは、図1に示した第1の実施形態に係る双腕ロボット200W等と同様に、腕A202I、腕B203I、腕A202Iの先端に設けられた腕A-グリッパ206I、及び、腕B203Iの先端に設けられた腕B-グリッパ209Iを有する。腕A202Iは、腕A-軸1 204I及び腕A-軸2 205Iを有し、2軸の自由度を持つ。腕B203Iは、腕B-軸1 207I及び腕B-軸2 208Iを有し、2軸の自由度を持つ。双腕ロボット200J及び双腕ロボット200Kの構成は、双腕ロボット200Iと同一であるため、これらの説明は省略する。
【0137】
なお、以下の説明において、腕A202I~腕A202Kを区別する必要がない場合には、これらを腕A202と総称する。また、腕B203I~腕B203Kを区別する必要がない場合には、これらを腕B203と総称する。また、腕A-軸1 204I~腕A-軸1 204Kを区別する必要がない場合には、これらを腕A-軸1 204と総称する。また、腕A-軸2 205I~腕A-軸2 205Kを区別する必要がない場合には、これらを腕A-軸2 205と総称する。
【0138】
また、腕A-グリッパ206I~腕A-グリッパ206Kを区別する必要がない場合には、これらを腕A-グリッパ206と総称する。また、腕B-グリッパ209I~腕B-グリッパ209Kを区別する必要がない場合には、これらを腕B-グリッパ209と総称する。また、腕B-軸1 207I~腕B-軸1 207Kを区別する必要がない場合には、これらを腕B-軸1 207Iと総称する。さらに、腕B-軸2 208I~腕B-軸2 208Kを区別する必要がない場合には、これらを腕B-軸2 208と総称する。
【0139】
双腕ロボット200I及び200Jは、一時間当たり100個の生産量で部品を組み立てて中間製品を生産する。双腕ロボット200Kは、双腕ロボット200I及び200Jによって生産された中間製品を受け取って、一時間当たり100個の生産量で最終製品の組み立て作業を実行する。つまり、生産ラインL′全体においては、一時間当たり200個の生産量で中間製品が生産され、一時間当たり100個の生産量で最終製品が生産される。搬送ライン400は、中間製品又は最終製品を搬送することにより、双腕ロボット間での製品の受け渡しを行う。
【0140】
[動作モード定義表の構成]
次に、図14を参照して、動作モード定義表T5の構成について説明する。図14は、動作モード定義表T5の構成例を示す図である。
【0141】
図14に示すように、動作モード定義表T5は、「#」、「動作モード」、「搬入」、「旋回(部品位置)」、「部品把持」、「部品組立」、「旋回(初期位置)」及び「搬出」の各項目を有する。
【0142】
「動作モード」の項目では、部品の動作状態を含む生産設備(双腕ロボット)の動作状態(モード)が定義される。例えば、「正常」は、生産設備が正常に稼働している動作モードを示し、「腕A停止」は、双腕ロボットの腕Aが停止した動作モードを示す。
【0143】
「動作モード」、「搬入」、「旋回(部品位置)」、「部品把持」、「部品組立」、「旋回(初期位置)」及び「搬出」の各項目では、各動作モードにおいて生産設備が採り得る生産設備の各部位(部品)の動作が定義される。
【0144】
「搬入」は、生産ラインL′によって行われる生産に必要な部品の搬入動作を示し、「旋回(部品位置)」は、双腕ロボットの2軸による部品位置への旋回動作を示し、「部品把持」は、双腕ロボット200の腕A-グリッパ206又は腕B-グリッパ209による部品の把持動作を示す。「部品組立」は、双腕ロボット200の腕A202又は腕B203による部品の組立動作を示し、「旋回(初期位置)」は、双腕ロボットの2軸による、部品の組み立て前の初期位置への旋回動作を示す。「搬出」は、生産された製品の搬送ライン400による搬出動作を示す。
【0145】
例えば、動作モードが“#2”の“腕A停止”である場合の生産設備(の部品)の動作としては、生産ラインにおける“搬入”及び“搬出”の各動作は正常に動作可能であり、“旋回(部品位置)”、“部品把持”及び“旋回(初期位置)”の各動作は、腕B203による代替が行われることにより実行可能であることが定義されている。
【0146】
また、動作モードが“#3”の“腕A-軸2停止”である場合の生産設備(の部品)の動作としては、“搬入”、“部品把持”、“部品組立”及び“搬出”の各動作は正常に動作可能であり、“旋回(部品位置)”及び“旋回(初期位置)”の各動作は、腕A-軸1204による旋回が行われることにより実行可能であることが定義されている。
【0147】
[故障部位縮退パタン表の構成]
次に、図15を参照して、故障部位縮退パタン表T6の構成について説明する。図15は、故障部位縮退パタン表T6の構成例を示す図である。
【0148】
図15に示すように、故障部位縮退パタン表T6は、「#」、「故障部位」、「動作モード」、「生産能力」、「不良率(生産量≦75個/h)」及び「不良率(生産量>75個/h)」の各項目を有する。
【0149】
「故障部位」の項目には、双腕ロボット200を構成する各部品(部位)の情報が格納される。「動作モード」の項目には、部品の動作状態を含む生産設備(双腕ロボット200)の動作状態が格納される。「生産能力」の項目には、一時間当たりの生産量によって示される生産設備の生産能力の情報が格納される。「不良率(生産量≦75個/h)」の項目には、一時間当たりの生産量が75個以下である場合における製品の不良率の情報が格納され、「不良率(生産量>75個/h)」の項目には、一時間当たりの生産量が75個より多い場合における製品の不良率の情報が格納される。
【0150】
例えば、故障部位縮退パタン表T6の“#1”のレコードには、双腕ロボット200Iの腕A-軸1204Iが故障した場合における動作モードは“腕A停止”であることが定義されている。また、“腕A停止”の動作モードである場合における生産能力は、“1時間当たり100個以下”であり、一時間当たりの生産量が75個以下である場合における不良率は“0.1%”であり、一時間当たりの生産量が75個より多い場合における不良率は“0.4%”であることが定義されている。
【0151】
[設備管理装置による設備管理方法]
次に、本実施形態に係る設備管理装置100Aによる設備管理方法について説明する。設備管理装置100Aによる設備管理方法の手順は、図9に示したものと同一であるが、各ステップにおいて行われる処理の内容のいくつかが、第1の実施形態によるそれらとは異なる。
【0152】
本実施形態では、故障箇所診断部102(図12参照)は、図9のステップS2で、設備の故障状態を診断して、次のステップS3で故障している設備はあると判定した場合、故障部位縮退パタン表T6(図15参照)より、故障状態に対応する動作モードの情報(“腕A停止”等)を取得する。そして、取得した動作モードの情報を、KPI充足判定部105に出力する。
【0153】
次のステップS4では、設備管理装置100Aの代替候補トポロジ表生成部104(図12参照)は、代替候補生産ライントポロジ表T2′を生成する。本実施形態では、設備管理装置100Aは、故障箇所診断部102による診断内容(動作モードの情報)と、生産ライントポロジ表T1、生産ライン機器諸元表T3、動作モード定義表T5及び故障部位縮退パタン表T6の各テーブルに記載の内容とに基づいて、代替候補生産ライントポロジ表T2′を生成する。
【0154】
例えば、代替候補トポロジ表生成部104が、故障箇所診断部102より“腕A停止”の動作モードの情報を取得したとする。この場合、代替候補トポロジ表生成部104は、動作モード定義表T5(図14参照)から、動作モードが“腕A停止”である場合において生産設備が採り得る動作の情報を取得する。
【0155】
具体的には、代替候補トポロジ表生成部104は、“腕A停止”と対応付けられた以下の情報を取得する。
・搬入:“正常”
・旋回(部品位置):“腕Bによる代替”
・部品把持:“腕Bによる代替”
・部品組立:“腕Bによる代替”
・旋回(初期位置):“腕Bによる代替”
・搬出:“正常”
【0156】
そして、代替候補トポロジ表生成部104は、動作モード定義表T5から取得した情報と、生産ライン機器諸元表T3及び故障部位縮退パタン表T6に記載の各情報と、を用いて、代替候補生産ライントポロジ表T2′を生成する。
【0157】
例えば、代替候補トポロジ表生成部104は、“旋回(部品位置)”、“部品把持”、“部品組立”及び“旋回(初期位置)”の各動作を腕B203に代替させるパタンの代替候補生産ライントポロジ表T2′を生成する。
【0158】
ここで、図16を参照して、代替候補生産ライントポロジ表T2′の構成例について説明する。図16は、代替候補生産ライントポロジ表T2′の構成例を示す図である。図16に示す代替候補生産ライントポロジ表T2′においては、各生産設備の情報として、生産量及び動作モードの情報が記載されている。
【0159】
具体的には、双腕ロボット200Iの動作モードは“腕A停止”であり、生産量は“50個/h”であることが示されている。また、双腕ロボット200Jの動作モードは“正常”であり、生産量は“100個/h”であることが示されている。さらに、双腕ロボット200Kの動作モードは“正常”であり、生産量は“75個/h”であることが示されている。
【0160】
KPI充足判定部105(図12参照)は、KPI表T4及び故障部位縮退パタン表T6に記載の情報に基づいて、KPIの値の算出及び生産指標の充足判定を行い、代替トポロジ選択画面生成部106は、KPI充足判定部105による判定結果に基づいて、代替トポロジ選択画面(図示略)を生成する。そして、代替トポロジ選択画面生成部106は、代替トポロジ選択画面においてユーザーによって選択されたパタンの代替候補生産ライントポロジ表を、縮退パタンとして決定する。つまり、図9のステップS5~S15の処理が行われる。
【0161】
制御情報出力部107は、代替トポロジ選択画面生成部106から入力された縮退パタンの情報と、動作モード定義表T5に記載の内容とに基づいて、制御情報を生成する。
【0162】
例えば、制御情報出力部107は代替トポロジ選択画面生成部106より、縮退パタンとして、図16に示した代替候補生産ライントポロジ表T2′を取得したとする。この場合、まず、制御情報出力部107は、双腕ロボット200I、200J及び200Kの各動作モードの情報を取得する。次いで、制御情報出力部107は、動作モード定義表T5を参照して、各生産設備の動作の情報を取得する。
【0163】
制御情報出力部107は、取得したこれらの情報に基づいて、双腕ロボット200Iに対して、“搬入”、“搬出”は正常(通常)動作させ、“旋回(部品位置)”、“部品把持”、“部品組立”及び“旋回(初期位置)”の各動作は、腕A202を停止させて腕B203により代替させる制御情報を生成して出力する。また、双腕ロボット200J及び200Kに対しては、正常動作をさせる制御情報を生成して出力する。
【0164】
上述した第2の実施形態によれば、第1の実施形態により得られる効果と同様の効果が得られるだけでなく、生産設備の部位(部品)レベルでの縮退パタンの生成及び制御を行うことが可能となる。
【0165】
なお、上述した第2の実施形態では、故障部位縮退パタン表T6において、双腕ロボット200の部位(部品)が単体で故障した場合の動作モード、及び、該動作モードにおける生産設備の生産性能が定義される例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、故障部位縮退パタン表T6において、複数の部位が故障した場合における動作モードが定義されてもよい。
【0166】
例えば、双腕ロボット200Iの腕A202及び腕B203の両方が故障した場合、代替トポロジ選択画面生成部106は、代替候補トポロジ表生成部104は、故障部位縮退パタン表T6の“#4”の“搬送”の動作モードを取得してもよい。この場合、制御情報出力部107は、双腕ロボット200Iの動作のみを停止させ、双腕ロボット200J及び200Kには正常動作をさせ、“搬入”及び“搬送”の動作も正常に動作させる制御情報を生成して出力する。これにより、生産ラインL′を止めることなく、双腕ロボット200J、200K及び搬送ライン400を用いて生産を継続させることが可能となる。
【0167】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態では、設備管理装置100Bは、既に故障している生産設備の情報と、新たに故障した(故障箇所診断部102が故障を検出した)生産設備の情報とに基づいて、縮退パタンを決定する。
【0168】
[設備管理装置の構成]
図17は、本実施形態に係る設備管理装置100Bの制御系の構成例を示すブロック図である。図17に示す設備管理装置100Bが、第1の実施例に係る設備管理装置100(図1参照)と異なる点は、記憶部103内に故障設備記憶データベース(以下、「DB」と称する)Dが格納されている点である。故障設備記憶DBDには、生産設備の故障部位の名称、故障日時、及び、復旧済みである場合には復旧日時の情報が格納される。
【0169】
[設備管理装置による設備管理方法]
次に、本実施形態に係る設備管理装置100Bによる設備管理方法について説明する。設備管理装置100Bによる設備管理方法の手順は、図9に示したものと同一であるが、図9のステップS4において行われる代替候補生産ライントポロジ表生成処理(図10参照)の内容の一部が異なる。
【0170】
本実施形態では、図10のステップS22において、故障設備の互換機の情報を取得する場合に、代替候補トポロジ表生成部104(図17参照)は、生産ライン機器諸元表T3とともに、故障設備記憶DBDの情報も参照する。
【0171】
代替候補トポロジ表生成部104は、故障設備記憶DBDに故障した生産設備の情報が格納されていない場合には、生産ライン機器諸元表T3のみを参照して、代替候補生産ライントポロジ表(図示略)を生成する。
【0172】
一方、故障設備記憶DBDに故障した生産設備の情報が格納されていた場合、代替候補トポロジ表生成部104は、生産ライン機器諸元表T3及び故障設備記憶DBDの両方の内容に基づいて代替候補生産ライントポロジ表を生成する。つまり、新たに故障が検出された生産設備と、故障設備情報DBDに格納された故障中の生産設備との両方を使用しない代替候補生産ライントポロジ表を生成する。したがって、本実施形態によれば、既に故障中の設備が誤って代替の生産設備に選択されてしまうことを防ぐことができる。
【0173】
なお、故障箇所診断部102は、新たに故障を検出した生産設備の情報を、故障設備記憶部DBDに記憶させる。これにより、次回以降に代替候補トポロジ表生成部104が代替候補生産ライントポロジ表を生成する際に、代替候補トポロジ表生成部104は、最新の設備状態が反映された故障設備記憶DBDを参照することが可能となる。
【0174】
なお、故障設備記憶DBDに記載された内容は、不図示の端末装置の表示部等に表示されてもよい。図18は、故障設備情報表示画面Sc2の構成例を示す図である。
【0175】
図18に示すように、故障設備情報表示画面Sc2は、「#」、「生産設備」、「故障部位」、「故障日時」及び「復旧日時」の各項目を有する。
【0176】
「#」の項目には、故障設備記憶部DBDを構成する各レコードに連番で割り振られた番号が示される。「生産設備」の項目には、生産設備の名称が示される。「故障部位」の項目には、故障が検出された部位(部品)の名称が示される。「故障日時」の項目には、故障が検出された日時の情報が示される。「復旧日時」の横目には、生産設備が復旧した日時の情報が示される。「復旧日時」に日時が表示されていない場合、その生産設備は、まだ復旧が行われていないことを示す。
【0177】
例えば、故障設備情報表示画面Sc2の“#1”のには、生産設備である“双腕ロボットW”の“腕A-軸2”が、“2021/06/07 15:18:27”に故障したこと、及び、“2021/06/07 15:35:30”に復旧したことが示されている。
【0178】
このような画面が表示されることにより、ユーザーは、生産設備の故障の履歴の情報を把握することが可能となる。また、ユーザーは、故障設備情報表示画面Sc2を見ることにより、生産設備における故障の発生頻度の情報等も把握することができるため、メンテナンスの計画等も適切に立てることが可能となる。
【0179】
なお、故障設備情報表示画面Sc2において、“復旧日時”の欄を、ユーザーが任意の日時を入力可能な形態で構成してもよい。この場合、故障設備情報表示画面Sc2を介して、ユーザーが設備管理装置100Bに生産設備の復旧の情報を伝えることができるようになる。
【0180】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態では、設備管理装置100の代替候補トポロジ表生成部104(図1参照)は、代替候補生産ライントポロジ表に、代替候補生産ライントポロジ表の各パタンの構成が生産に与える影響の度合いを示す生産影響度の情報をユーザーに提示して、適切な縮退パタンを選択させる。
【0181】
図19は、本実施形態に係る代替トポロジ選択画面Sc1′′の構成例を示す図である。図19に示すように、代替トポロジ選択画面Sc1′′は、「代替トポロジ選択画面」の文字と、代替候補トポロジ表示部Ar31と、縮退パタン入力部Fmと、決定ボタンBn4と、を有する。
【0182】
代替候補トポロジ表示部Ar31は、「#」、「KPI1:生産量(最終製品)」、「KPI2:生産量(中間製品)」、「KPI3:不良率」及び「OEE index」の各項目を有する。
【0183】
「#」の項目には、代替候補生産ライントポロジ表の各パタンに対して連番で割り振られた番号が示される。「選択可能パタン」の項目には、KPI充足判定部105(図1参照)によって生産指標を充足していると判定されたパタンの名称が表示される。
【0184】
「KPI1:生産量(最終製品)」の項目には、代替候補生産ライントポロジ表のパタンによる生産量(最終製品)の情報が示される。「KPI2:生産量(中間製品)」の項目には、代替候補生産ライントポロジ表のパタンによる生産量(中間製品)の情報が示される。「KPI3:不良率」の項目には、代替候補生産ライントポロジ表のパタンによって生産された最終製品の不良率の情報が示される。
【0185】
「OEE index」の項目には、代替候補生産ライントポロジ表のパタンによって生産が行われた場合における、OEE index(設備総合効率)が表示される。OEE indexは、生産設備の使用効率(%)を表す指標であり、下記の式(1)によって算出できる。
【0186】
OEE index=時間稼働率×性能稼働率×良品率…式(1)
【0187】
上記式(1)において、「時間稼働率」は生産効率を阻害する停止ロスの大きさを示す値であり、「性能稼働率」は性能ロスの大きさを示す値である。「良品率」は不良ロスの大きさを示す値である。
【0188】
例えば、代替トポロジ選択画面Sc1′′の“#1”には、“パタン1”の生産ラインによる生産量(最終製品)は“100個/h”であり、生産量(中間製品)は“300個/h”であり、不良率は“0.1%”であり、OEE indexは“95%”であることが示されている。
【0189】
なお、「OEE index」は一例であり、代替候補生産ライントポロジ表のパタンが生産に及ぼす影響の度合いを示す指標であれば、他の指標であってもよい。
【0190】
縮退パタン入力部Fmは、ユーザーによって選択された代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンの名称又は番号(#)の入力を受け付けるフォームである。決定ボタンBn4は、縮退パタン入力部Fmに入力されている代替候補生産ライントポロジ表T2に示されるパタンを、縮退パタンとして選択したい場合に、ユーザーが押下するボタンである。ユーザーによって決定ボタンBn4が押下された場合、代替トポロジ選択画面生成部106は、縮退パタン入力部Fmに入力された代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンを、選択可能パタンに決定する。
【0191】
選択可能パタンは、縮退パタンとして選択することが可能な代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンを示す。本実施形態では、選択可能パタンを縮退パタンとして決定して生産を継続させてもよいか否かを、画面(生産継続可否決定画面Sc3(図20参照))を介してユーザーに確認する。
【0192】
図20は、生産継続可否決定画面Sc3の構成例を示す図である。図20に示すように、生産継続可否決定画面Sc3は、「選択可能パタン1」の文字と、選択可能パタン表示部Ar41と、YesボタンBn5と、NoボタンBn6と、を有する。
【0193】
選択可能パタン表示部Ar41は、「#」、「生産設備」及び「生産量」の各項目を有する。「#」の項目には、“選択可能パタン”に含まれる各生産設備に連番で付与される番号が格納される。「生産量」の項目には、一時間当たりの生産量の情報が示される。なお、「生産量」の項目に表示された生産量の数値は、ユーザーが任意の値に変更可能である。
【0194】
具体的には、ユーザーが縮退パタンとして選択した“選択可能パタン1”には、生産量が“0個/h”である“双腕ロボット200W”、生産量が“150個/h”である“双腕ロボット200X”、生産量が“150個/h”である“双腕ロボット200Y”、生産量が“100個/h”である“双腕ロボット200Z”…が含まれることが示されている。
【0195】
YesボタンBn5は、選択可能パタン表示部Ar41に表示されたパタンによる生産を継続可能と判断した場合にユーザーが押下するボタンである。NoボタンBn6は、選択可能パタン表示部Ar41に表示されたパタンによる生産の継続は不可と判断した場合に、ユーザーが押下するボタンである。
【0196】
YesボタンBn5が押下された場合、代替トポロジ選択画面生成部106は、選択可能パタン表示部Ar41に表示されたパタンを縮退パタンに決定する。そして、制御情報出力部107は、選択されたパタンを構成する各生産設備に対して、制御情報を出力する。
【0197】
本実施形態によれば、ユーザーは、代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンを構成する各生産設備のKPIの値、及び、該パタンによる生産が行われた場合における“OEE index”等の生産影響度情報を確認しながら、適切に縮退パタンの候補(選択可能パタン)を縮退パタンに選択することができる。
【0198】
さらに、本実施形態によれば、ユーザーは、選択した選択可能パタンによる生産の継続の可否について、各生産設備の生産量を確認した上で決定することができる。したがって、本実施形態によれば、設備管理装置100によってユーザーの意図しない制御が行われてしまうことを、防ぐことができる。なお、図20には、生産設備のKPIが“生産量”である場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。“不良率”等の他の生産指標が表示されてもよい。
【0199】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態では、KPI充足判定部105(図1参照:代替構成選択部の一例)は、優先度が設定されたKPI表T7を参照して、KPIの充足判定を行う。そして、判定結果に基づいて縮退パタンを決定する。すなわち、本実施形態では、代替トポロジ選択画面Sc1を介したユーザーによる選択を要することなく、縮退パタンが決定する。
【0200】
図21は、本実施形態に係るKPI表T7の構成例を示す図である。図21に示すように、KPI表T7は、「#」、「KPI」、「充足判定方法」、「算出方法」及び「優先度」の各項目を有する。「#」、「KPI」、「充足判定方法」、「算出方法」の各項目は、図6に示したKPI表T4のそれらと同一であるため、ここでは説明は省略する。
【0201】
「優先度」の項目には、KPIの各生産指標に対して割り振られた優先度を示す数字が格納される。図21に示すKPI表T7においては、KPIの“#3”(不良率)、“#1”(生産量(最終製品))、“#2”(生産量(中間製品))の順に高い優先度が設定されている。なお、「優先度」の設定は、ユーザーが業務の形態等に応じて適宜設定することが可能である。
【0202】
[KPI充足判定部によるKPI充足判定方法]
次に、図22及び図23を参照して、本実施形態に係る設備管理装置100のKPI充足判定部105(図1参照)によるKPI充足判定方法について説明する。図22及び図23は、KPI充足判定部105によるKPI充足判定方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0203】
まず、KPI充足判定部105は、優先度が最も高いKPIの項目に関する充足判定を、代替候補生産ライントポロジ表T2の全パタンを対象として実行する(ステップS31)。
【0204】
次いで、KPI充足判定部105は、該当するKPIを満たす代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンはあるか否かを判定する(ステップS32)。該当するKPIとは、ステップS31において、充足判定を行ったKPIである。ステップS32で、KPIを満たすパタンはあると判定された場合(ステップS32がYES判定の場合)、KPI充足判定部105は、生産指標を充足する代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンは1つであるか否かを判定する(ステップS33)。
【0205】
ステップS33で、生産指標を充足する代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンは1つであると判定された場合(ステップS33がYES判定の場合)、KPI充足判定部105は、該当するパタンの代替候補生産ライントポロジ表T2を、縮退パタンとして制御情報出力部107に出力する(ステップS34)。ステップS34の処理後、KPI充足判定部105による充足判定処理は終了する。
【0206】
一方、ステップS33で、生産指標を充足する代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンは1つではない(複数ある)と判定された場合(ステップS33がNO判定の場合)、KPI充足判定部105は、次に優先度が高いKPIの項目はあるか否かを判定する(ステップS35)。ステップS35で、次に優先度が高いKPIの項目はないと判定された場合(ステップS35がNO判定の場合)、KPI充足判定部105は、KPIの値が最大となるパタンの代替候補生産ライントポロジ表T2を、縮退パタンとして制御情報出力部107に出力する(ステップS36)。ステップS36の処理後、KPI充足判定部105による充足判定処理は終了する。
【0207】
一方、ステップS35で、次に優先度が高いKPIの項目はあると判定された場合(ステップS35がYES判定の場合)、KPI充足判定部105は、次に優先度が高いKPIの項目に関する充足判定を、該当する代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンを対象として行う(ステップS37)。該当する代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンとは、ステップS32において、KPIを充足すると判定された代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンである。
【0208】
ステップS32で、該当するKPIを満たす代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンはないと判定された場合(ステップS32がNO判定の場合)、KPI充足判定部105は、次に優先度が高いKPIの項目はあるか否かを判定する(ステップS38)。ステップS38で、次に優先度が高いKPIの項目はないと判定された場合(ステップS38がNO判定の場合)、KPI充足判定部105は、空の生産ライントポロジ表を制御情報出力部107に出力する(ステップS39)。ステップS39の処理後、KPI充足判定部105による充足判定処理は終了する。
【0209】
ステップS38で、次に優先度が高いKPIの項目はないと判定される場合は、KPIの項目が、1つ(=優先度が最も高いもの)しかない場合である。
【0210】
一方、ステップS38で、次に優先度が高いKPIの項目はあると判定された場合(ステップS38がYES判定の場合)、KPI充足判定部105は、次に優先度が高いKPIの項目に関する充足判定を、代替候補生産ライントポロジ表T2の全パタンを対象として実行する(ステップS40)。
【0211】
ステップS37又はステップS40の処理後、KPI充足判定部105は、該当するKPIを満たす代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンはあるか否かを判定する(図23のステップS41)。該当するKPIとは、ステップS37又はステップS40において、充足判定を行ったKPIである。ステップS41で、KPIを満たすパタンはあると判定された場合(ステップS41がYES判定の場合)、KPI充足判定部105は、生産指標を充足する代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンは1つであるか否かを判定する(ステップS42)。
【0212】
ステップS42で、生産指標を充足する代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンは1つであると判定された場合(ステップS42がYES判定の場合)、KPI充足判定部105は、該当するパタンの代替候補生産ライントポロジ表T2を、縮退パタンとして制御情報出力部107に出力する(ステップS43)。ステップS43の処理後、KPI充足判定部105による充足判定処理は終了する。
【0213】
ステップS41又はステップS42がNO判定の場合、KPI充足判定部105は、次に優先度が高いKPIの項目はあるか否かを判定する(ステップS44)。ステップS44で、次に優先度が高いKPIの項目はないと判定された場合(ステップS44がNO判定の場合)、KPI充足判定部105は、前回充足判定を行ったパタンの代替候補生産ライントポロジ表T2を、縮退パタンとして制御情報出力部107に出力する(ステップS45)。ステップS45の処理後、KPI充足判定部105による充足判定処理は終了する。
【0214】
一方、ステップS44で、次に優先度が高いKPIの項目はあると判定された場合(ステップS44がYES判定の場合)、KPI充足判定部105は、次に優先度が高いKPIの項目に関する充足判定を、該当する代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンを対象として実行する(ステップS46)。ステップS46の処理後、KPI充足判定部105は、ステップS41に戻って判定を行う。
【0215】
上述した第5の実施形態では、例えば、“不良率”等のKPIの1つの生産指標を充足する代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンが複数ある場合であっても、KPI充足判定部105によって優先度に沿ってKPIの充足判定が継続される。そして、KPIを充足するパタンが一つに絞り込まれた場合、該パタンが縮退パタンに決定される。つまり、本実施形態によれば、設備管理装置100は、KPIに設定された優先度の情報に基づいて適切に縮退パタンを決定することができる。
【0216】
また、本実施形態では、複数のKPIをすべて充足する代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンが一つに絞り込まれず、複数存在する場合であっても、KPI充足判定部105によってKPIの値が高い方のパタンが選択される。したがって、本実施形態によれば、設備管理装置100は、最善のパタンを得ることができる。
【0217】
また、本実施形態では、1つの生産指標を充足する代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンが存在しない場合であっても、KPI充足判定部105によって、次に優先度の高いKPIの項目を対象として充足判定が行われる。したがって、本実施形態によれば、設備管理装置100は、次に優先度の高いKPIの項目の生産指標を充足する次善のパタンを、縮退パタンとして決定することができる。
【0218】
つまり、上述した第5の実施形態によれば、予めユーザー等によって設定されたKPIの優先度の情報に基づいて、縮退パタンが自動的に、かつ、効率的に決定する。したがって、本実施形態によれば、ユーザーの優先度に基づく縮退パタンの決定が、ユーザーの手間を要することなく決定するという効果が得られる。
【0219】
なお、本発明は上述した各実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【0220】
例えば、KPIを充足する縮退パタンが存在しない場合には、ユーザーにアラート等を通知してもよい。ユーザーへのアラートの通知は、次の図24に示すようにアラート通知画面Sc4等の画面を介して行われてもよく、不図示のスピーカーを介して音声によって行われてもよい。
【0221】
図24は、アラート通知画面Sc4の構成例を示す図である。図24に示すように、アラート通知画面Sc4は、要求KPI表示部Ar51と、KPI未達パタン表示部Ar52と、を含む。
【0222】
要求KPI表示部Ar51には、充足することが求められる生産指標(KPI)である“要求KPI”が示される。具体的には、“KPI1:生産量(最終製品)”の生産指標は“≧100個/h”であり、“KPI2:生産量(中間製品)”の生産指標は“≧300個/h”であり、“KPI3:不良率”の生産指標は“≦0.1%”であることが示されている。
【0223】
KPI未達パタン表示部Ar52には、KPIを充足していない代替候補生産ライントポロジ表T2のパタンが表示される。KPI未達パタン表示部Ar52は、「#」、「KPI1:生産量(最終製品)」、「KPI2:生産量(中間製品)」及び「KPI3:不良率」の各項目を有する。
【0224】
「#」の項目には、KPI未達パタン表示部Ar52に表示される各パタンに対して連番で割り振られた番号が表示される。「KPI1:生産量(最終製品)」の項目には、最終製品の一時間当たりの生産量の情報が表示される。「KPI2:生産量(中間製品)」の項目には、中間製品の一時間当たりの生産量の情報が示される。「KPI3:不良率」の項目には、そのパタンによる生産物(最終製品)における不良率(%)の情報が示される。
【0225】
例えば、KPI未達パタン表示部Ar52には、パタン“#1”の生産量(最終製品)は“100個/h”であり、生産量(中間製品)は“300個/h”であり、不良率は“0.2%”であることが示されている。ユーザーは、要求KPI表示部Ar51に表示されたKPIの指標と、KPI未達パタン表示部Ar52の表示内容とを照らし合わせることにより、“パタン1”は、不良率がKPIを充足していないことを把握できる。また、ユーザーは、把握した内容に基づいて、そのパタンによる生産を継続すべきか否かを判断することができる。
【0226】
また、上述した実施形態例は本発明を分かりやすく説明するために装置(設備管理装置)の構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態例の構成の一部を他の実施形態例の構成に置き換えることは可能である。また、ある実施形態例の構成に他の実施形態例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0227】
また、図1図12図17において実線の矢印で示した制御線又は情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0228】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【0229】
また、上述した本開示の一実施形態にかかる分析結果情報出力装置の各構成要素は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある処理部により実施される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0230】
100、100A、100B…設備管理装置、101…設備データ取得部、102…故障箇所診断部、103…記憶部、104…代替候補トポロジ表生成部、105…KPI充足判定部、106…代替トポロジ選択画面生成部、107…制御情報出力部、Sc1、Sc1′、Sc1′′…代替トポロジ選択画面、T1…生産ライントポロジ表、T2、T2′…代替候補生産ライントポロジ表、T3…生産ライン機器諸元表、T4…KPI表、T5…動作モード定義表、T6…故障部位縮退パタン表、T7…KPI表
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