IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ムラコシ精工の特許一覧

特開2023-46962フラップ扉付収納戸棚およびフラップ扉用金具
<>
  • 特開-フラップ扉付収納戸棚およびフラップ扉用金具 図1
  • 特開-フラップ扉付収納戸棚およびフラップ扉用金具 図2
  • 特開-フラップ扉付収納戸棚およびフラップ扉用金具 図3
  • 特開-フラップ扉付収納戸棚およびフラップ扉用金具 図4
  • 特開-フラップ扉付収納戸棚およびフラップ扉用金具 図5
  • 特開-フラップ扉付収納戸棚およびフラップ扉用金具 図6
  • 特開-フラップ扉付収納戸棚およびフラップ扉用金具 図7
  • 特開-フラップ扉付収納戸棚およびフラップ扉用金具 図8
  • 特開-フラップ扉付収納戸棚およびフラップ扉用金具 図9
  • 特開-フラップ扉付収納戸棚およびフラップ扉用金具 図10
  • 特開-フラップ扉付収納戸棚およびフラップ扉用金具 図11
  • 特開-フラップ扉付収納戸棚およびフラップ扉用金具 図12
  • 特開-フラップ扉付収納戸棚およびフラップ扉用金具 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046962
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】フラップ扉付収納戸棚およびフラップ扉用金具
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/58 20060101AFI20230329BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
E05D15/58 B
A47B55/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155830
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000137959
【氏名又は名称】株式会社ムラコシ精工
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】廣嶋 孝行
【テーマコード(参考)】
3B067
【Fターム(参考)】
3B067AA05
(57)【要約】
【課題】工具を用いることなく容易に取付および取外可能なフラップ扉用金具を提供する。
【解決手段】本発明においては、フラップ扉の扉本体をキャビネットの収納部に収納するために用いられるフラップ扉用金具であって、扉本体の一部を摺動可能な状態で移動させる摺動部を有する本体部と、本体部と一体に設けられ、収納部を形成する側板の内側壁面に予め形成された一の挿入孔に挿入される挿入軸と、を備え、本体部は、本体部の先端部に設けられ、側板の内側壁面に予め形成された他の挿入孔に挿入された係合ピンの頭部と係合して固定される係合凹部と、扉本体に設けられたフックを介して扉本体を回動自在に掛止する突起部とを有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットと、
前記キャビネットの収納部を開閉するために当該収納部において回動自在に取り付けられた板状の扉本体と、
前記扉本体を回動自在に支持するフラップ扉用金具と、
前記キャビネットの前記収納部を形成する側板の内側壁面に予め形成された一の挿入孔に挿入され、前記フラップ扉用金具と係合される係合ピンと、
を備え、
前記フラップ扉用金具は、
前記収納部に前記扉本体を収納する際、前記扉本体を摺動可能な状態で移動させる摺動部を有する本体部と、
前記本体部と一体に設けられ、前記側板の前記内側壁面に予め形成された他の挿入孔に挿入される挿入軸と、
前記本体部の先端部に設けられ、前記内側壁面に対し前記本体部が前記挿入軸を介して回動された状態で前記係合ピンの頭部と係合し、当該本体部の前記内側壁面に対する位置を固定する係合凹部と、
前記本体部の先端部に設けられ、当該扉本体に設けられたフックを介して当該扉本体を回動自在に掛止する突起部と、
を有することを特徴とするフラップ扉付収納戸棚。
【請求項2】
前記係合凹部および前記突起部は、前記挿入軸の軸方向において隣接した状態で一体化されている
ことを特徴とする請求項1に記載のフラップ扉付収納戸棚。
【請求項3】
前記本体部は、前記挿入軸と一体化され、当該挿入軸を介して回動する腕部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のフラップ扉付収納戸棚。
【請求項4】
前記挿入軸は、貫通孔を有する円筒形状であり、当該貫通孔に対して金属の補強ピンが挿入されている
ことを特徴とする請求項1に記載のフラップ扉付収納戸棚。
【請求項5】
前記扉本体は、裏面に前記突起部と掛止される前記フックを有し、
前記本体部は、前記扉本体が前記収納部に収納される際に前記フックと接触するストッパピンを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のフラップ扉付収納戸棚。
【請求項6】
フラップ扉の扉本体をキャビネットの収納部に収納するために用いられるフラップ扉用金具であって、
前記扉本体の一部を摺動可能な状態で移動させる摺動部を有する本体部と、
前記本体部と一体に設けられ、前記収納部を形成する側板の内側壁面に予め形成された一の挿入孔に挿入される挿入軸と、
を備え、
前記本体部は、当該本体部の先端部に設けられ、前記側板の内側壁面に予め形成された他の挿入孔に挿入された係合ピンの頭部と係合して固定される係合凹部と、前記扉本体に設けられたフックを介して当該扉本体を回動自在に掛止する突起部と、を有する
ことを特徴とするフラップ扉用金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具類の収納部の前面開口を開閉するフラップ扉付収納戸棚に関し、特に、開放時に扉が収納部の内部空間に収納される構造のフラップ扉付収納戸棚およびフラップ扉用金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フラップ扉としては、家具類などのキャビネットの収納部を閉じる板状の扉本体と、扉本体の内側両端部に固定される1対のスライダと、収納部の両側壁面の水平位置に固定される1対のスライドレールとによって構成されている。
【0003】
スライダやスライドレールについては、全て合成樹脂によって成形することができるので、非常に簡単に安価なコストで製造することができる。また、このフラップ扉においては、一般のユーザであっても、固定ネジによりスライドレールとスライダを所定位置に固定するだけでキャビネット等の収納部に扉本体を非常に簡単に組み付けることが可能である。
【0004】
具体的には、スライドレールは、キャビネットの収納部における両側壁面の上部に対してレール摺動部を上に向けて水平に配置され、前後両側の固定孔に固定ネジを差し込むことにより固定される(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-048544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のフラップ扉においては、キャビネットの収納部における両側壁面の固定孔に固定ネジを差し込むために固定孔を開ける必要があり、またスライドレールを取り外したときには固定孔が残ってしまって見栄えが悪いという問題があった。
【0007】
また、スライドレールをキャビネットの収納部における両側壁面に対して固定ネジにより取り付ける必要があるので工具が必要となるうえ、スライドレールを一般のユーザが水平に取り付けることは必ずしも容易ではなかった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、工具を必要とすることなく容易に取り付け、および、取り外し可能なフラップ扉付収納戸棚およびフラップ扉用金具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明のフラップ扉付収納戸棚においては、キャビネットと、前記キャビネットの収納部を開閉するために当該収納部において回動自在に取り付けられた板状の扉本体と、前記扉本体を回動自在に支持するフラップ扉用金具と、前記キャビネットの前記収納部を形成する側板の内側壁面に予め形成された一の挿入孔に挿入され、前記フラップ扉用金具と係合される係合ピンと、を備え、前記フラップ扉用金具は、前記収納部に前記扉本体を収納する際、前記扉本体を摺動可能な状態で移動させる摺動部を有する本体部と、前記本体部と一体に設けられ、前記側板の前記内側壁面に予め形成された他の挿入孔に挿入される挿入軸と、前記本体部の先端部に設けられ、前記内側壁面に対し前記本体部が前記挿入軸を介して回動された状態で前記係合ピンの頭部と係合し、当該本体部の前記内側壁面に対する位置を固定する係合凹部と、前記本体部の先端部に設けられ、当該扉本体に設けられたフックを介して当該扉本体を回動自在に掛止する突起部と、を有する。
【0010】
フラップ扉付収納戸棚において、前記係合凹部および前記突起部は、前記挿入軸の軸方向において隣接した状態で一体化されていることが好ましい。
【0011】
フラップ扉付収納戸棚において、前記本体部は、前記挿入軸と一体化され、当該挿入軸を介して回動する腕部を有することが好ましい。
【0012】
フラップ扉付収納戸棚において、前記挿入軸は、貫通孔を有する円筒形状であり、当該貫通孔に対して金属の補強ピンが挿入されていることが好ましい。
【0013】
フラップ扉付収納戸棚において、前記扉本体は、裏面に前記突起部と掛止される前記フックを有し、前記本体部は、前記扉本体が前記収納部に収納される際に前記フックと接触するストッパピンを有することが好ましい。
【0014】
また、本発明においては、フラップ扉の扉本体をキャビネットの収納部に収納するために用いられるフラップ扉用金具であって、前記扉本体の一部を摺動可能な状態で移動させる摺動部を有する本体部と、前記本体部と一体に設けられ、前記収納部を形成する側板の内側壁面に予め形成された一の挿入孔に挿入される挿入軸と、を備え、前記本体部は、当該本体部の先端部に設けられ、前記側板の内側壁面に予め形成された他の挿入孔に挿入された係合ピンの頭部と係合して固定される係合凹部と、前記扉本体に設けられたフックを介して当該扉本体を回動自在に掛止する突起部と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、工具を必要とすることなく容易に取り付け、および、取り外し可能なフラップ扉付収納戸棚およびフラップ扉用金具を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態におけるフラップ扉付収納戸棚においてフラップ扉を閉じた状態を示す斜視図である。
図2】本実施の形態におけるフラップ扉付収納戸棚においてフラップ扉を回動した状態を示す斜視図である。
図3】本実施の形態におけるフラップ扉付収納戸棚においてフラップ扉を収納した状態を示す斜視図である。
図4】本実施の形態におけるフラップ扉の構成を示す斜視図である。
図5】本実施の形態におけるフラップ扉に取り付けられたフックの構成を示す斜視図である。
図6】本実施の形態におけるフラップ扉を固定するための係合ピンの構成を示す斜視図である。
図7】本実施の形態におけるフラップ扉が収納された状態を示す側面図である。
図8】本実施の形態におけるフラップ扉用金具の表側の構成を示す斜視図である。
図9】本実施の形態におけるフラップ扉用金具の裏側の構成を示す斜視図である。
図10】本実施の形態におけるフラップ扉用金具の係合凹部と係合ピンとの係合状態を示す斜視図である。
図11】本実施の形態におけるフラップ扉が閉められた状態においてフックとフラップ扉用金具の突起部との掛止状態の説明に供する側面図である。
図12】本実施の形態におけるフラップ扉が回動中の状態においてフックとフラップ扉用金具の突起部との掛止状態の説明に供する側面図である。
図13】本実施の形態におけるフラップ扉用金具が係合ピンに係合されて固定されるまでの取付方法の説明に供する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1)実施の形態の概要
まず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0018】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態にかかるフラップ扉付収納戸棚(1)は、キャビネット(2)と、キャビネット(2)の収納部(20a)を開閉するために当該収納部(20a)において回動自在に取り付けられた板状の扉本体(40)と、扉本体(40)を回動自在に支持するフラップ扉用金具(7f,7g)と、キャビネット(2)の収納部(20a)を形成する側板(21L)の内側壁面(21Ln)に予め形成された一の挿入孔(22f)に挿入され、フラップ扉用金具(7f)と係合される係合ピン(5)と、を備え、フラップ扉用金具(7f)は、収納部(20a)に扉本体(40)を収納する際、扉本体(40)を摺動可能な状態で移動させる摺動部(71a)を有する本体部(71)と、本体部(71)と一体に設けられ、側板(21L)の内側壁面(21Ln)に予め形成された他の挿入孔(22f)に挿入される挿入軸(77)と、本体部(71)の先端部に設けられ、内側壁面(21Ln)に対し本体部(71)が挿入軸(77)を介して回動された状態で係合ピン(5)の頭部(51b)と係合し、当該本体部(71)の内側壁面(21Ln)に対する位置を固定する係合凹部(72)と、本体部(71)の先端部に設けられ、当該扉本体(40)に設けられたフック(43)を介して当該扉本体(40)を回動自在に掛止する突起部(73)と、を備える。
【0019】
〔2〕フラップ扉付収納戸棚(1)において、係合凹部(72)および突起部(73)は、挿入軸(77)の軸方向において隣接した状態で一体化されている。
【0020】
〔3〕フラップ扉付収納戸棚(1)において、本体部(71)は、挿入軸(77)と一体化され、当該挿入軸(77)を介して回動する腕部(75)を有する。
【0021】
〔4〕フラップ扉付収納戸棚(1)において、挿入軸(77)は、貫通孔(77h)を有する円筒形状であり、当該貫通孔(77h)に対して金属の補強ピン(79)が挿入されている。
【0022】
〔5〕フラップ扉付収納戸棚(1)において、扉本体(40)は、裏面(40b)に突起部(73)と掛止されるフック(43)を有し、本体部(71)は、扉本体(40)が収納部(20a)に収納される際にフック(43)と接触するストッパピン(78)を有する。
【0023】
〔6〕本発明の代表的な実施の形態においては、フラップ扉(4)の扉本体(40)をキャビネット(2)の収納部(20a)に収納するために用いられるフラップ扉用金具(7f)であって、扉本体(40)の一部を摺動可能な状態で移動させる摺動部(71a)を有する本体部(71)と、本体部(71)と一体に設けられ、収納部(20a)を形成する側板(21L)の内側壁面(21Ln)に予め形成された一の挿入孔(22f)に挿入される挿入軸(77)と、を備え、本体部(71)は、当該本体部(71)の先端部に設けられ、側板(21L)の内側壁面(21Ln)に予め形成された他の挿入孔(22f)に挿入された係合ピン(5)の頭部(51b)と係合して固定される係合凹部(72)と、扉本体(40)に設けられたフック(43)を介して当該扉本体(40)を回動自在に掛止する突起部(73)と、を有する。
【0024】
(2)本実施の形態
以下、本実施の形態にかかるフラップ扉付収納戸棚の構成について図1乃至図13を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるフラップ扉付収納戸棚においてフラップ扉を閉じた状態を示す斜視図である。図2は、本実施の形態におけるフラップ扉付収納戸棚においてフラップ扉を回動した状態を示す斜視図である。図3は、本実施の形態におけるフラップ扉付収納戸棚においてフラップ扉を収納した状態を示す斜視図である。図4は、本実施の形態におけるフラップ扉の構成を示す斜視図である。図5は、本実施の形態におけるフラップ扉に取り付けられたフックの構成を示す斜視図である。図6は、本実施の形態におけるフラップ扉を固定するための係合ピンの構成を示す斜視図である。図7は、本実施の形態におけるフラップ扉が収納された状態を示す側面図である。図8は、本実施の形態におけるフラップ扉用金具の表側の構成を示す斜視図である。図9は、本実施の形態におけるフラップ扉用金具の裏側の構成を示す斜視図である。図10は、本実施の形態におけるフラップ扉用金具の係合凹部と係合ピンとの係合状態を示す斜視図である。図11は、本実施の形態におけるフラップ扉が閉められた状態においてフックとフラップ扉用金具の突起部との掛止状態の説明に供する側面図である。図12は、本実施の形態におけるフラップ扉が回動中の状態においてフックとフラップ扉用金具の突起部との掛止状態の説明に供する側面図である。図13は、本実施の形態におけるフラップ扉用金具が係合ピンに係合されて固定されるまでの取付方法の説明に供する斜視図である。
【0025】
なお、説明の都合上、フラップ扉付収納戸棚1が置かれた状態において、フラップ扉4を開く際に持ち上げる矢印a方向を上側または上方向とし、フラップ扉4を閉める際に下げる矢印b方向を下側または下方向とする。また、フラップ扉付収納戸棚1のフラップ扉4を正面に見たときの矢印c方向を左側または左方向とし、フラップ扉4を正面に見たときの矢印d方向を右側又は右方向とする。さらに、フラップ扉付収納戸棚1のフラップ扉4を正面に見たときの矢印e方向を手前側または前方向とし、フラップ扉4を正面に見たときの矢印f方向を奥行側または後方向とする。但し、この上方向および下方向(以下、「上下方向」と言う。)、左方向または右方向(以下、「左右方向」と言う。)、前方向および後方向(以下、「前後方向」と言う。)は、説明の便宜上用いられるのであって、フラップ扉付収納戸棚1の使用状況によっては異なる方向として定義することができる。
【0026】
<フラップ扉付収納戸棚>
図1乃至図3に示すように、本実施の形態におけるフラップ扉付収納戸棚1は、例えば所謂カラーボックスである。フラップ扉付収納戸棚1は、キャビネット2、棚板3、フラップ扉4、係合ピン5(図6図13)、および、フラップ扉用金具7(7f,7g)を有している。
【0027】
キャビネット2は、左右方向(矢印cd方向)において互いに対向する側板21L,21R、上下方向(矢印ab方向)において互いに対向する天板21Uおよび底版21Dによって形成されている。
【0028】
キャビネット2は、側板21L,21R、天板21Uおよび底板21Dによって形成された縦長の収納空間20を有している。キャビネット2は、収納空間20が複数(この場合、4枚)の棚板3によって仕切られた複数の収納部20a乃至20eを有している。
【0029】
フラップ扉付収納戸棚1は、棚板3によって仕切られたそれぞれの収納部20a乃至20eに対してフラップ扉4が取り付けられているが、ここでは便宜上、最上段の収納部20aについてのみフラップ扉4が取り付けられており、他のフラップ扉4は省略されている。
【0030】
キャビネット2において互いに平行に配置された2つの側板21L,21Rの内側壁面21Ln,21Rnには、収納空間20の手前側(矢印e方向)および奥側(矢印f方向)に対し、上下方向に沿って複数のダボ穴(または、「ほぞ穴」とも言う。)22f,22gが後述する係合ピン5の挿入孔として形成されている。
【0031】
ここで、フラップ扉4を正面に見たときの収納空間20の手前側(矢印e方向)にあるのが複数のダボ穴22fであり、収納空間20の奥側(矢印f方向)にあるのが複数のダボ穴22gである。
【0032】
棚板3は、互いに対向した2つの側板21L,21Rの内側壁面21Ln,21Rnにおいて同一高さの合計4つのダボ穴22f,22gに差し込まれたダボ(図示せず)の上に載せられている。
【0033】
側板21Lの内側壁面21Lnには、ダボ穴22f,22gを介してフラップ扉用金具7f,7gが取り付けられている。側板21Rの内側壁面21Rnに対しても、ダボ穴22f,22gを介してフラップ扉用金具7f,7gが取り付けられている。
【0034】
すなわち、内側壁面21Lnには、手前側にフラップ扉用金具7f、奥側にフラップ扉用金具7gが取り付けられている。内側壁面21Rnには、手前側にフラップ扉用金具7g、奥側にフラップ扉用金具7fが取り付けられている。フラップ扉用金具7f,7gは、共に基本的な構成や形状は同じであり、両者は向きが異なっているだけである。
【0035】
フラップ扉付収納戸棚1では、収納部20aに対してフラップ扉4が閉じられた閉状態(図1)や、収納部20aに対してフラップ扉4が開かれた開状態(図3)に変化可能であり、収納部20aの上側において手前側(矢印e方向)に固定された2つのフラップ扉用金具7f,7gを介して回動自在(図2)に取り付けられている。
【0036】
<フラップ扉>
上述したように、フラップ扉4は、収納部20aの内側壁面21Ln,21Rnの手前側(矢印e方向)に固定されたフラップ扉用金具7f,7gを介して回動自在に設けられている。
【0037】
したがって、図1乃至図3に示すように、フラップ扉4がフラップ扉用金具7f,7gを介して下側から上側へ持ち上げられるように回転し、天板21Uと平行な状態になって奥側(矢印f方向)へ押し込まれることにより収納部20aに収納される。このとき、フラップ扉4は、天板21Uと4つのフラップ扉用金具7f,7gとの間の隙間に押し込まれ、4つのフラップ扉用金具7f,7gの上に載せられた状態となる。
【0038】
図4に示すように、フラップ扉4は、平面視矩形状の板状部材の扉本体40と、当該扉本体40の下側端部を全体的に覆うように、ビス(図示せず)等の固定具によって取り付けられた断面略U字状の取手41と、当該扉本体40の上側両端部にビス47等の固定具によって取り付けられた2つのフック43とを備えている。
【0039】
フラップ扉4の取手41は、扉本体40の前面40aよりも手前側(矢印e方向)に飛び出た断面略L字状の本立部41aを有している。本立部41aは、本等を前面40aに立て掛けた状態で保持しておくことが可能であり、かつ、当該扉本体40を開閉する際に指を引っ掛けて回動する際の取っ手としても機能する。
【0040】
フラップ扉4のフック43は、扉本体40の裏面40bにおける上側(矢印a方向)の左右方向(矢印cd方向)の両端部に、当該扉本体40がフラップ扉用金具7f,7gを介して回動する際に掛止される部品である。左右両側に取り付けられたフック43は、同じ構造を有している。
【0041】
図5に示すように、フック43は、フラップ扉4の扉本体40の裏面40bに取り付けられる板状の被取付部43aと、当該被取付部43aから突出した略L字状の掛止部43bとを有している。被取付部43aは、上下2つの貫通孔43ahを介してビス47(図4)により扉本体40の裏面40bに取り付けられる。
【0042】
フック43の掛止部43bは、フラップ扉用金具7f,7gの後述する突起部73(図8乃至図12)と掛止される部分である。掛止部43bは、被取付部43aの面と直交し、被取付部43aの面から離れる奥側(矢印f方向)へ突出した腕部分43baと、腕部分43baの先端において屈曲されて被取付部43aの面と平行に上側(矢印a方向)へ延びた爪部分43bcとを有している。すなわち、フック43の掛止部43bは、腕部分43baと、爪部分43bcとによって略L字状に形成されている。
【0043】
<係合ピン>
図6に示すように、係合ピン5は、側板21L,21Rの内側壁面21Ln,21Rnに設けられた複数のダボ穴22f,22gに差し込まれて取り付けられるピン状部材である。
【0044】
係合ピン5は、アルミニウム合金またはステンレス等からなるピン本体51と、当該ピン本体51に被せられた状態で軸方向に移動可能に取り付けられた樹脂等からなる移動環52とによって構成されている。係合ピン5において、ピン本体51と移動環52とは同軸上に配置されている。
【0045】
係合ピン5のピン本体51は、所定の外径を有する円柱部51a、円柱部51aの一方の端部に形成されて当該円柱部51aよりも大きな外径を有する円錐台形状の頭部51b、円柱部51aの他方の端部に形成されて側板21L,21Rの内側壁面21Ln,21Rnに設けられたダボ穴22f,22gに差し込まれる円柱形状の被挿入部51cからなる。
【0046】
係合ピン5の頭部51bの外径は、被挿入部51cよりも大きく、かつ、ダボ穴22f,22gの内径よりも大きい。頭部51bは、天面51bu、および、天面51buから円柱部51aに向かって傾斜したテーパー面51bmを有している。
【0047】
係合ピン5における被挿入部51cの外径は、ダボ穴22f,22gの内径と同じである。被挿入部51cは、外周面51cgと、当該外周面51cgから円柱部51aに向かって傾斜したテーパー面51cmとを有している。
【0048】
係合ピン5の移動環52は、ピン本体51の円柱部51aの外周面を囲むように取り付けられた円筒部52aと、当該円筒部52aと一体に形成された円環状のフランジ部52bとを有している。
【0049】
円筒部52aの内径は、ピン本体51の円柱部51aの外径よりも大きく、フランジ部52bの内径もピン本体51の円柱部51aの外径よりも大きい。円筒部52aの内径と、フランジ部52bの内径とは同じである。したがって、移動環52は、ピン本体51の頭部51bと被挿入部51cとの間において軸方向(長手方向)へ移動自在に形成されている。
【0050】
移動環52は、円筒部52aおよびフランジ部52bに対して軸方向に沿って形成されたスリット52sを有している。移動環52のスリット52sは、円筒部52aおよびフランジ部52bを外周側から内周側へ貫通した切れ込みである。すなわち、円筒部52aおよびフランジ部52bの双方ともに周方向においては連続しておらず、スリット52sによって途切れている。
【0051】
実際上、係合ピン5は、側板21L,21Rの内側壁面21Ln,21Rnに設けられたダボ穴22f,22gに対して、ピン本体51の被挿入部51c、および、移動環52の円筒部52aが差し込まれて取り付けられる。このとき、移動環52のフランジ部52bについては、内側壁面21Ln,21Rnに当接された状態となり、移動環52のフランジ部52bおよびピン本体51の頭部51bだけが露出する。
【0052】
<フラップ扉用金具>
次に、フラップ扉用金具7(7f,7g)の構成について説明する。図7に示すように、フラップ扉用金具7fは、側板21Lの内側壁面21Lnの手前側(矢印e方向)に取り付けられ、フラップ扉用金具7gは側板21Lの内側壁面21Lnの奥側(矢印f方向)に取り付けられるものである。
【0053】
フラップ扉用金具7fおよびフラップ扉用金具7gは、両者ともに基本的な形状および構造は同一であり、相違点は左右反対となっているだけである。このため、以下、フラップ扉用金具7fについてのみ説明し、フラップ扉用金具7gについてはその説明を省略する。
【0054】
図8乃至図10に示すように、フラップ扉用金具7fは、手前側(矢印e方向)が低く、奥側(矢印f方向)に向かうに連れて高くなる側面視略台形状の本体部71と、本体部71の手前側(矢印e方向)の先端部分から右側(矢印d方向)の本体部71から離れる方向へ突出した突起部73と、側板21Lの内側壁面21Lnに対して取り付けられる側面視略三角形状の板状部材からなる腕部75とを有している。
【0055】
フラップ扉用金具7fの腕部75における上側(矢印a方向)の頂点部分75tには、側板21Lの内側壁面21Lnに設けられたダボ穴22fに差し込まれる円筒形状の挿入軸77が一体に形成されている。挿入軸77は、腕部75の裏面75bから突出している。すなわち本体部71は、挿入軸77と一体化され、当該挿入軸77を介して回動する腕部75を有している。
【0056】
図9に示すように、挿入軸77は、貫通孔77hを有する円筒形状であり、腕部75の貫通孔75hと連通している。腕部75の貫通孔75hおよび挿入軸77の貫通孔77hに対して、金属製の補強ピン79(図8)が圧入されている。これにより、腕部75の挿入軸77と補強ピン79とが一体化された状態で内側壁面21Lnのダボ穴22fに差し込まれて腕部75が内側壁面21Lnと密着するように取り付けられる。
【0057】
フラップ扉用金具7fの本体部71は、上側(矢印a方向)に平坦な天面71aを有している。フラップ扉用金具7fの天面71aは、フラップ扉4がキャビネット2の収納部20aに収納される途中、および、収納部20aから引き出される途中の段階において当該フラップ扉4の扉本体40が摺動する摺動面である。
【0058】
本体部71の手前側(矢印e方向)の先端部には、挿入軸77の軸方向において突起部73と隣接して設けられた係合凹部72が形成されている。係合凹部72は、上述した係合ピン5と係合される凹空間である。なお、フラップ扉用金具7fの本体部71における係合凹部72と、腕部75に形成された挿入軸77との間の距離は、側板21Lの内側壁面21Lnに形成された複数のダボ穴22f間の距離と同じである。
【0059】
フラップ扉用金具7fの本体部71は、その側面71sの中央部分に対して挿入軸77の軸方向に沿って貫通された貫通孔71hを有している。ただし、フラップ扉用金具7fでは貫通孔71hが使われることはなく、フラップ扉用金具7g(図7)に対してのみストッパピン78が圧入されている。ストッパピン78は、フラップ扉用金具7g(図7)における本体部71の貫通孔71hに圧入されたとき、側面71sから所定の長さだけ突出した状態となる。
【0060】
ストッパピン78は、腕部75の挿入軸77と同じ方向に沿って、当該挿入軸77とは逆方向へ突出している。したがって、図7に示すように、ストッパピン78は、フラップ扉4の扉本体40が収納部20aに収納される際に、フラップ扉用金具7gのフック43と接触し、当該扉本体40の奥側(矢印f方向)への移動を規制するストッパとして機能する。
【0061】
図9に示すように、フラップ扉用金具7fの本体部71における係合凹部72は、係合ピン5のピン本体51における頭部51bを収容するピン本体頭部収容空間720と、移動環52のフランジ部52bを収容する移動環フランジ部収容空間730とを有している。
【0062】
係合凹部72のピン本体頭部収容空間720は、係合ピン5のピン本体51における頭部51bの天面51buと対向する内側側面720nと、頭部51bのテーパー面51bmと接触する内壁部722とにより囲まれた空間である。係合凹部72のピン本体頭部収容空間720は、ピン本体51における頭部51bと対応した略三角柱状の空間形状を有している。
【0063】
ピン本体頭部収容空間720を画成する内壁部722は、上側テーパー部分722aと、下側テーパー部分722bとが一体化された状態で形成された部分である。上側テーパー部分722aおよび下側テーパー部分722bは、ピン本体頭部収容空間720の奥側へ向かうに連れて次第に突起部73の側へせり出している。すなわちピン本体頭部収容空間720は、奥側へ向かうに連れて略三角柱状の空間が狭くなっている。
【0064】
内壁部722は、その中心部分に係合ピン5のピン本体51における円柱部51aを収容するピン本体収容凹空間722cを有している。したがって内壁部722では、上側テーパー部分722aの尖った先端部分と下側テーパー部分722bの尖った先端部分との間の隙間からピン本体51の円柱部51aがピン本体収容凹空間722cに挿入される。
【0065】
内壁部722は、ピン本体収容凹空間722cを中心として上下対称に形成された上側テーパー部分722aおよび下側テーパー部分722bとの間隔が手前側(矢印e方向)に向かうに連れて次第に拡がっている。これは、係合ピン5のピン本体51の頭部51bおよび移動環52のフランジ部52bを係合凹部72に入り易くするためである。
【0066】
上側テーパー部分722aの尖った先端部分と下側テーパー部分722bの尖った先端部分との間の隙間が最も短く、その距離は係合ピン5のピン本体51における円柱部51aの外径よりも僅かに小さい。
【0067】
したがって、係合ピン5が係合凹部72に最終的に取り付けられる際には、上側テーパー部分722aと下側テーパー部分722bとの隙間からピン本体収容凹空間722cにピン本体51における円柱部51aが圧入によって押し込まれる。このような最終的に取り付けられた状態においては、内壁部722のピン本体収容凹空間722cに対して係合ピン5の頭部51bが収容され、頭部51bの軸方向の移動が規制されることになる。
【0068】
係合凹部72の移動環フランジ部収容空間730は、内壁部722の内側壁面722nと、本体部71の内側壁面71nとの間に形成される空間である。本体部71の内側壁面71nにおいては、先端側において上側(矢印a方向)および下側(矢印b方向)から互いに対向するように突出し、移動環52のフランジ部52bの移動を規制する突出片725,726を有している。すなわち、移動環52のフランジ部52bは、フラップ扉用金具7fの本体部71の突出片725,726と接触可能であり、係合ピン5の軸方向の移動が規制される。
【0069】
図11および図12に示すように、フラップ扉用金具7fの突起部73は、側面視略扇形状の側面71sから突出した部分であり、図8に示すように係合凹部72と隣接して一体化され、本体部71の側面71sから離れるように右側(矢印d方向)へ突出した部分である。
【0070】
突起部73は、平坦面73a、掛止面73b、および、摺動面73cを有している、突起部73の平坦面73aは、上側(矢印a方向)から下側(矢印b方向)に向かって傾斜するように形成された平坦な面である。
【0071】
突起部73の掛止面73bは、平坦面73aの端部から下側(矢印b方向)に向かって円弧状に延びる湾曲した面である。突起部73の摺動面73cは、平坦面73aおよび掛止面73bの双方と接続されてフック43の被取付部43aと接触して摺動する円弧状の面である。
【0072】
この突起部73の平坦面73aは、平坦面73aと摺動面73cとの境界から、平坦面73aと掛止面73bとの境界までの長さがフック43の腕部分43baの長手方向の長さと同じである。
【0073】
したがって、図12に示すように、フラップ扉4が開状態と閉状態との中間段階において、フック43の腕部分43baと突起部73の平坦面73aとが面接触可能である。このとき、フック43の爪部分43bcは、突起部73の掛止面73bと接触している。すなわち、フック43の腕部分43baおよび爪部分43bcが突起部73に掛合された状態であり、フック43は当該突起部73を介して回動自在に支持されている。
【0074】
なお、図1および図11に示すように、フラップ扉4の閉状態においては、フラップ扉4の取手41が棚板3の手前側(矢印e方向)の端部と接触している。このため、フラップ扉4はこれ以上回転することはなく、フック43の爪部分43bcが突起部73の掛止面73bに引っ掛かった掛止状態が維持されている。
【0075】
<フラップ扉用金具の取り付け方法>
続いて、側板21Lの内側壁面21Lnに対してフラップ扉用金具7fを取り付ける手順について図13(A)乃至図13(E)を参照しながら順番に説明する。なお、フラップ扉用金具7gについても同様の取り付け方法であるため、その説明を省略する。
【0076】
図13(A)に示すように、ユーザは側板21Lの内側壁面21Lnに設けられた最上段のダボ穴22fの一つ下のダボ穴22fに対して係合ピン5を差し込む。この際、係合ピン5は、移動環52のフランジ部52bが内側壁面21Lnと接触するまで、ピン本体51の被挿入部51cおよび移動環52の円筒部52aがダボ穴22fに差し込まれる。
【0077】
図13(B)に示すように、続いて、ユーザはフラップ扉用金具7fの腕部75に設けられた挿入軸77を内側壁面21Lnに設けられた最上段のダボ穴22fに差し込む。この状態において、フラップ扉用金具7fは、挿入軸77を中心として腕部75を半径とする範囲で回動可能となる。
【0078】
図13(C)、(D)に示すように、フラップ扉用金具7fの本体部71をユーザが手で持ち、手前側(矢印e方向)に回転させる。そうすると、フラップ扉用金具7fの本体部71の係合凹部72に形成されたピン本体頭部収容空間720および移動環フランジ部収容空間730に対して、係合ピン5のピン本体51における頭部51bおよび移動環52におけるフランジ部52bが収容されていく。
【0079】
このとき、図10に示したように、ピン本体頭部収容空間720を画成する内壁部722の上側テーパー部分722aおよび下側テーパー部分722bに対して、係合ピン5のピン本体51における頭部51bのテーパー面51bmが接触する。
【0080】
ここで、係合凹部72の内壁部722における上側テーパー部分722aおよび下側テーパー部分722bは、ピン本体頭部収容空間720の奥側へ向かうに連れて次第に突起部73の側へせり出しており、ピン本体頭部収容空間720が奥側へ向かうに連れて狭くなっている。
【0081】
したがって、フラップ扉用金具7fの本体部71が回動されると、係合ピン5のピン本体51の頭部51bがピン本体頭部収容空間720の奥側へ向かっていく。このとき、係合ピン5のピン本体51の頭部51bがピン本体頭部収容空間720の奥側へ向かうに連れて、内壁部722の上側テーパー部分722aおよび下側テーパー部分722bによりピン本体51の頭部51bが突起部73の側へ引っ張られることになる。
【0082】
ピン本体51の頭部51bが突起部73の側へ引っ張られるが、移動環52のフランジ部52bが内壁部722の内側壁面722nに接触されているため移動環52は突起部73の側へ移動することがない。
【0083】
そうすると、移動環52のスリット52sを介して円筒部52aが拡開され、ピン本体51の被挿入部51cの外周面51cgに被さることになる。これにより、側板21Lの内側壁面21Lnのダボ穴22fの内周面に対して、係合ピン5のピン本体51の被挿入部51cおよび移動環52の円筒部52aが強く当接し、しまりばめの状態となって係合ピン5の抜けが防止される。
【0084】
同時に、係合ピン5のピン本体51における円柱部51aが、内壁部722の上側テーパー部分722aと下側テーパー部分722bとの間の隙間からピン本体収容凹空間722cへ圧入されることになる(図10)。
【0085】
その結果、図13(E)に示すように、フラップ扉用金具7fと係合ピン5とが強固に固定された状態が形成され、フラップ扉用金具7fがガタつくことなく安定した状態で側板21Lの内側壁面21Lnに固定される。
【0086】
なお、フラップ扉用金具7gについても、フラップ扉用金具7fの場合と同様の方法によって側板21Lの内側壁面21Lnに形成されたダボ穴22gに対して固定される。
【0087】
かくして、収納部20aの内側空間においては、図7に示したように、手前側(矢印e方向)のフラップ扉用金具7f、奥側(矢印f方向)のフラップ扉用金具7gが同じ高さで平行に配置される。同様の方法により、側板21Rの内側壁面21Rnについても、図1乃至図3に示すように、手前側(矢印e方向)にフラップ扉用金具7g、奥側(矢印f方向)にフラップ扉用金具7fが取り付けられる。
【0088】
<動作および効果>
以上の構成において、フラップ扉付収納戸棚1では、側板21Lの内側壁面21Lnにおける一のダボ穴22fに取り付けられた係合ピン5に対して、内側壁面21Lnの他のダボ穴22fに回動自在に取り付けられたフラップ扉用金具7fを回動させる。これにより、フラップ扉用金具7fの係合凹部72に係合ピン5が係合され、フラップ扉用金具7fが内側壁面21Lnに固定される。
【0089】
このとき、フラップ扉用金具7fの係合凹部72と係合ピン5とが強固に係合することになるため、ユーザは工具を必要とすることなく簡単な操作だけで容易かつ強固にフラップ扉用金具7fを側板21Lの内側壁面21Lnに固定することができる。
【0090】
フラップ扉付収納戸棚1では、側板21L,21Rの内側壁面21Ln,21Rnに対して合計4個のフラップ扉用金具7f,7gを固定し、それぞれの本体部71の天面71aを摺動面としてフラップ扉4の扉本体40を摺動しながら収納部20aに押し込んだり、引き出すことができる。したがって、フラップ扉付収納戸棚1では、フラップ扉用金具7f,7gをスライドレールの代わりとして用いることもでき、部品点数を減らして構成を簡素化することができる。
【0091】
フラップ扉付収納戸棚1では、側板21L,21Rの内側壁面21Ln,21Rnに予め設けられている既存のダボ穴22f,22gを用いてフラップ扉用金具7f,7gを固定することができる。このため、側板21L,21Rの内側壁面21Ln,21Rnに対して新たな取付用の穴を設ける必要がなく、かつ、フラップ扉用金具7f,7gを取り外した後においても取付用の穴が跡として残らずに済む。
【0092】
フラップ扉付収納戸棚1では、4個のフラップ扉用金具7f,7gの上にフラップ扉4の扉本体40が載置されて収納部20aに収納された際、フラップ扉用金具7f,7gの本体部71における天面71aの全面に対してフラップ扉4の扉本体40が載るのではない。実際には、図7に示すように天面71aのうち上側(矢印a方向)の最も高い頂点71atの部分にのみ接触した状態でフラップ扉4の扉本体40が載置される。
【0093】
したがって、フラップ扉付収納戸棚1では、フラップ扉4が開状態と閉状態との間の開閉中にのみ、扉本体40がフラップ扉用金具7f,7gの本体部71の天面71aを摺動するだけとなる。このため、扉本体40とフラップ扉用金具7f,7gの本体部71の天面71aとの摺動抵抗は大きくなく、滑らかにフラップ扉4を開閉することができる。
【0094】
また、図7に示すように、フラップ扉4の扉本体40が収納部20aに収納される際には、扉本体40に取り付けられた2つのフック43の腕部分43baが奥側(矢印f方向)に固定されたフラップ扉用金具7gのストッパピン78に接触し、その位置で扉本体40に移動が規制される。
【0095】
これは、扉本体40の取手41が収容部20aから飛び出すことなく面一となる位置である。したがって、ユーザは特別な意識を持つことなくフラップ扉4の扉本体40が奥側(矢印f方向)へ入り過ぎることのない状態で収納することができる。
【0096】
(3)他の実施の形態
なお、上述した本実施の形態においては、フラップ扉用金具7f,7gの本体部71ストッパピン78を設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限るものではなく、用途に応じてストッパピン78を設けないようにしてもよい。
【0097】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明のフラップ扉付収納戸棚1を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0098】
1…フラップ扉付収納戸棚、2…キャビネット、3…棚板、4…フラップ扉、5…係合ピン、7f,7g…フラップ扉用金具、21L,21R…側板、21Ln,21Rn…内側壁面、21U…天板、21D…底版、20…収納空間、20a~20e…収納部、22f,22g…ダボ穴、40…扉本体、41…取手、41a…本立部、43…フック、43a…被取付部、43b…掛止部、45,47…ビス、51…ピン本体、51a…円柱部、51b…頭部、51c…被挿入部、52…移動環、52a…円筒部、52b…フランジ部、52s…スリット、71…本体部、72…係合凹部、73…突起部、75…腕部、77…挿入軸、78…ストッパピン、79…補強ピン、720…ピン本体頭部収容空間、730…移動環フランジ部収容空間、722…内壁部、722a…上側テーパー部分、722b…下側テーパー部分、722c…ピン本体収容凹空間、725,726…突出片。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13