(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047053
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F04B 43/12 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
F04B43/12 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155951
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】518042833
【氏名又は名称】株式会社ソラリス
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】梅田 清
(72)【発明者】
【氏名】中村 太郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】田上 賢悟
(72)【発明者】
【氏名】横山 和也
(72)【発明者】
【氏名】武藤 沙織
【テーマコード(参考)】
3H077
【Fターム(参考)】
3H077AA01
3H077BB10
3H077CC04
3H077CC09
3H077CC14
3H077CC18
3H077DD09
3H077EE01
3H077EE15
3H077EE21
3H077FF45
3H077FF55
(57)【要約】
【課題】外筒及び内筒を備え、該外筒と内筒との間に加圧用媒体を供給して内筒を求心方向に膨張させて搬送物を搬送するポンプユニットの動作を変更可能なポンプ装置提供する。
【解決手段】外筒と、外筒の内周面に沿って設けられた内筒と、内筒と外筒との間に作動媒体を供給するための流体室とを有し、流体室への作動媒体の供給により内筒が求心方向に膨張し、作動媒体の排出により収縮するポンプユニットが複数連結されたポンプ部と、ポンプ部を構成する複数のポンプユニットの膨張・収縮を制御する制御装置とを備えるポンプ装置であって、制御装置は、複数のポンプユニットを膨張・収縮させる異なるパターンを記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された異なるパターンを選択させる動作選択手段とを備えた。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒と、前記外筒の内周面に沿って設けられた内筒と、前記内筒と前記外筒との間に作動媒体を供給するための流体室とを有し、前記流体室への作動媒体の供給により前記内筒が求心方向に膨張し、作動媒体の排出により収縮するポンプユニットが複数連結されたポンプ部と、
前記ポンプ部を構成する複数のポンプユニットの膨張・収縮を制御する制御装置と、を備えるポンプ装置であって、
前記制御装置は、
前記複数のポンプユニットを膨張・収縮させるための異なるパターンを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された異なるパターンを選択させる動作選択手段と、を備えたポンプ装置。
【請求項2】
前記パターンは、停止動作を含むことを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記動作選択手段は、オペレーターの入力に基づいてパターンを選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記動作選択手段は、前記制御装置に接続された外部情報処理装置からの入力に基づいてパターンを選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記動作選択手段は、各ポンプユニットに接続されたセンサーの信号値に基づいてパターンを選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置に関し、特に、外筒及び内筒を備え、該外筒と内筒との間に加圧用媒体を供給して内筒を求心方向に膨張させて搬送物を搬送するポンプ装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプの一つの形態として、特許文献1乃至3に示すような蠕動運動を利用して搬送物を移送するものが知られている。特許文献1,2に開示されるポンプでは、外筒と内筒の間に加圧用媒体(作動媒体)を供給することで内筒が膨張するポンプユニットを複数連結し、連結されたポンプユニットの内筒を順次膨張させ、移送対象となる搬送物を加圧することにより搬送物を搬送するように構成されている。また、特許文献3に開示されるポンプでは、連結されたポンプユニットの内筒を順次収縮させ、移送対象となる搬送物に負圧を印加することにより、搬送物を搬送するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-196689号公報
【特許文献2】特開2010-203400号公報
【特許文献3】特開平05-321842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1乃至3に記載されるポンプは、連結されたポンプユニットの膨縮する順序を変えることで、液体、スラリー等の粘性流体や粉体、又は固液混合物等(以下単に搬送物という)に関わらず搬送を可能とするとともに、加えて、連結されたポンプユニットの範囲内で搬送物を往復させることで、搬送物を混錬するという動作も行わせることができる。
しかしながら、ポンプユニットの膨縮する順序は、搬送物に応じて専用に設定されており、搬送物の特性や、ポンプユニットにさせる動作に応じて、新たにポンプユニットを膨縮させるための設定をしなおす作業が必要とされていた。
また、従来の制御では、ポンプを停止した際に、全てのポンプユニットが収縮するように構成されていたため、例えば、搬送物が逆流したりするなどして、ポンプに損傷を生じうる虞があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、外筒及び内筒を備え、該外筒と内筒との間に加圧用媒体を供給して内筒を求心方向に膨張させて搬送物を搬送するポンプユニットの動作を変更可能なポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのポンプ装置の構成として、外筒と、外筒の内周面に沿って設けられた内筒と、内筒と外筒との間に作動媒体を供給するための流体室とを有し、流体室への作動媒体の供給により内筒が求心方向に膨張し、作動媒体の排出により収縮するポンプユニットが複数連結されたポンプ部と、ポンプ部を構成する複数のポンプユニットの膨張・収縮を制御する制御装置とを備えるポンプ装置であって、制御装置は、複数のポンプユニットを膨張・収縮させる異なるパターンを記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された異なるパターンをオペレーターに選択させる動作選択手段とを備えた構成とした。
本構成によれば、搬送物の特性やポンプユニットにさせる動作に応じて、好適にポンプ部を動作させることができ、従来のように、新たにポンプ部を動作させるための設定作業をなくすことができる。
また、前記パターンは、停止動作を含む構成としたことにより、搬送物の逆流を防止したり、ポンプ部の損傷をなくすように好適に停止させることができる。
また、動作選択手段によるパターンの選択は、オペレーターの入力に基づいて選択するように構成したり、前記制御装置に接続された外部情報処理装置からの入力に基づいて選択するように構成したり、各ポンプユニットに接続されたセンサーの信号値に基づいて選択するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】ポンプユニットの軸方向断面図及び径方向断面図である。
【
図3】
図2のA-A矢視における半径方向断面図である。
【
図4】電気系制御部のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【
図5】ポンプ部の異なる搬送動作を例示したものである。
【
図6】ポンプ部の異なる搬送動作を例示したものである。
【
図7】ポンプ部の異なる混錬動作を例示したものである。
【
図8】電気系制御部の他の形態を示すブロック図である。
【
図9】電気系制御部の他の形態に係るフローチャートである。
【
図10】電気系制御部の他の形態に係るフローチャートである。
【
図11】電気系制御部の他の形態に係るフローチャートである。
【
図12】電気系制御部の他の形態に係るフローチャートである。
【
図13】電気系制御部の他の形態に係るフローチャートである。
【0008】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[蠕動運動型ポンプ全体の概略構成]
図1は、ポンプ装置1の一実施形態を示す概略構成図である。
図1に示すようにポンプ装置1は、ポンプユニット10と、搬送制御装置100とを備える。ポンプユニット10は、複数連結することにより搬送路兼ポンプ部8を構成する。本実施形態では、ポンプユニット10を4つ直列に連結してポンプ部8を構成するものとして説明するが連結する数量はこれに限定されない。
ポンプ部8は、例えば、搬送物が貯留される貯留装置の出口や、既設の配管の途中等に設けられる。
【0010】
[ポンプユニット10について]
図2は、ポンプユニット10の軸方向に沿う断面図である。
図2に示すように、ポンプユニット10は、内筒12と、内筒12の中心軸と同軸の二重管を形成するように配置される外筒14と、内筒12の外周と外筒14の内周との間に形成される空間を閉塞する一対の端部部材16;16とを備える。
【0011】
ポンプユニット10は、端部部材16;16により閉塞され、内筒12の外周と外筒14の内周との間に形成された空間に流体(作動媒体)を供給することで内筒12を該内筒12の軸方向に膨張するように構成される。
【0012】
[内筒について]
内筒12は、気密性及び弾性を有する円筒体として構成される。内筒12を構成する素材には、例えば、天然ラテックスゴムやシリコーンゴム等のゴムやエラストマー等の弾性素材を利用できる。
【0013】
図2に示すように、内筒12は、円筒状の筒部12Aの両端にフランジ部12Bを備える。フランジ部12Bは、筒部12Aと一体的に形成され、筒部12Aの端部において半径方向外側に向けて同心円状に広がる中空円板状に形成されている。このフランジ部12Bは、先端(外周部)に、筒部12A側(軸方向内向き)に突出する突起部13が全周にわたり形成されている。
【0014】
[外筒について]
図3は、
図2(a)のA-A矢視における半径方向断面図である。
外筒14は、気密性を維持しつつ軸方向への伸縮を弾性体よりなる筒体として構成される。外筒14は、例えば、弾性素材と繊維素材とを含んで構成される。なお、外筒14は、実質的に軸方向に非伸縮とされる剛性を有する素材により構成しても良い。
図3に示すように、外筒14は、例えば、半径方向の断面視において弾性素材15Aと、弾性素材15Aに内包される複数の繊維15Bとを備える。
【0015】
弾性素材15Aは、例えば、天然ラテックスゴムやシリコーンゴム等のゴムやエラストマー等の弾性素材を利用できる。
【0016】
繊維15Bは、外筒14の軸線方向への伸長を拘束するために設けられ、外筒14の軸方向への伸長を拘束する拘束手段として機能する。
【0017】
繊維15Bは、例えば、層状に設けられ、外筒14の一端側から他端側まで連続して延長する長さを有し、外筒14の軸方向に沿って延長するように配設される。
なお、繊維15Bは、外筒14において必ずしも層状に含まれる必要はなく、弾性素材内に分散して埋設されていても良い。
【0018】
繊維15Bの素材には、軸方向への伸縮変化の小さい、高弾性繊維が好適である。例えば、アラミド繊維、炭素(カーボン)繊維、ガラス繊維、ナイロン、ポリアミド系繊維やポリオレフィン系繊維、金属繊維等の被伸長性を有するものを適宜選択して用いることができる。繊維には、適当なプライマー処理、又は、表面酸化処理を行うことで、接着性を十分に向上させることができるが、好ましくは、弾性素材との接着性に応じて選択すると良い。
【0019】
繊維素材の形態としては、フィラメント、ヤーン(スパン・ヤーン及びフィラメント・ヤーン)、ストランド等のいずれの形態でも用いることができ、さらに、撚りをかけずに収束させた無撚繊維、これらの繊維を複数本撚って作成した繊維を用いることも可能である。繊維の種類にもよるが、二種類以上の素材の異なる繊維や形態の異なる繊維を組み合わせても良い。
【0020】
なお、繊維15Bの長さは、一端側から他端側まで連続する長さに限定されず、外筒14の軸方向長さよりも短い複数の繊維を軸方向に沿って連続的に分布させて一端側から他端側まで到達するように構成しても良い。
【0021】
また、外筒14における拘束手段は、繊維15Bに代えて、弾性素材そのもので構成しても良い。例えば、外筒14の軸方向に延長するリブを外筒14を構成する弾性素材で一体的に形成し、拘束手段としても良い。
【0022】
また、ポンプユニット10は、内筒12の求心方向への膨張のしやすさを考慮して、外筒14の弾性率が内筒12の弾性率よりも大きくなるように構成されることが好ましい。
【0023】
[端部部材について]
端部部材16;16は、内筒12及び外筒14の両端に配置される。端部部材16;16は、内筒12及び外筒14の両端に固定可能とされるとともに、他のポンプユニット10の連結を可能に構成される。
【0024】
端部部材16;16は、フランジ部16Aと、筒部16Bとを備える。フランジ部16Aは、中空部20を有する平板矩形状に形成される。中空部20は、内筒12の筒部12Aが貫通可能な円孔として設けられる。中空部20の直径は、例えば、内筒12の筒部12Aの外周面に密着するような寸法とすると良い。
【0025】
フランジ部16Aは、軸方向外側の端面16aに、環状に窪む環状溝22を備える。環状溝22は、中空部20と同心円状に形成され、内筒12のフランジ部12Bの先端の突起部13が嵌合可能とされる。また、フランジ部16Aの外側の端面16aは、環状溝22に内筒12の突起部13が嵌合された状態において、内筒12のフランジ部12Bが、該外側の端面16aよりも外側に突出するように形成されている。
【0026】
内筒12は、端部部材16の環状溝22に、フランジ部12Bの突起部13が嵌め合わされることで端部部材16;16に取り付けられる。内筒12は、端部部材16;16を介して他のポンプユニット10の端部部材や、既存の配管に設けられたフランジと連結されることで、フランジ部12Bが端部部材16に押し付けられて端部部材16との気密が構成される。
また、内筒12は、突起部13が端部部材16の環状溝22に嵌め合わされることにより、流体室V内における(圧縮)空気の圧力を上げた際に、内筒12を端部部材16から外れにくくする効果が得られる。
【0027】
筒部16Bは、フランジ部16Aの内側の端面16bから軸方向に円筒状に突出して設けられる。筒部16Bは、中心軸が中空部20と同心とされ、フランジ部16Aと一体的に形成されている。筒部16Bは、外径が外筒14の内周側に密着状態で挿入可能な大きさを有するように設定され、内径が中空部20の内径よりも大きな寸法を有するように設定されている。
【0028】
カシメ中間部材24は、カシメ部材26と共に外筒14を端部部材16;16に気密状態で固定するための固定手段を構成する。カシメ中間部材24は、端部部材16の筒部16Bを外筒14に挿入した状態において外筒14の外周に挿入可能な環状部材として形成される。
【0029】
カシメ中間部材24は、内周側が円筒面として形成され、外筒14の外周に対して例えば、締り嵌めとなるように内径が設定される。また、カシメ中間部材24は、外周側が円錐面(テーパー面)として形成され、内周面に対して漸次肉厚となるように形成される。カシメ中間部材24は、厚肉側を端部部材16に押し付けるようにして外筒14の外周に配置される。
【0030】
カシメ部材26は、外筒14に配置されたカシメ中間部材24の外周に嵌合可能な環状部材として形成される。カシメ部材26は、内周側が円錐面(テーパー面)として形成され、カシメ中間部材24の円錐面に対して面接触するように構成される。
【0031】
カシメ部材26は、内周側の円錐面をカシメ中間部材24の円錐面に接触させて、図外のボルト等の固定手段で端部部材16の内側の端面16bに固定される。これにより、カシメ中間部材24が外筒14に押し付けられ、端部部材16の筒部16Bに外筒14が気密状態で固定される。
【0032】
上述のように、端部部材16;16が、内筒12及び外筒14の端部に取り付けられることにより、内筒12の外周及び外筒14の内周の間に形成された空間を閉空間とし、ポンプユニット10における流体室Vを形成する。
【0033】
一方の端部部材16は、流体室Vに流体を供給・排出するための給排孔28を備える。給排孔28は、一端が端部部材16のフランジ部16Aの外周の端面に開口し、他端がフランジ部16Aの内側端面16bの内筒12及び外筒14の間に開口する。
【0034】
給排孔28を構成するフランジ部16Aの外周の端面の開口には、搬送制御装置100から延長し、流体室Vへの流体の供給、流体室Vから流体を排出するための図外の管が接続可能とされる。
【0035】
なお、給排孔28は、一方の端部部材16に限定されず、他方の端部部材16に設け、両方の端部部材16;16から流体室Vに流体を供給・排出するようにしても良い。また、給排孔28は、端部部材16に設けることに限定されず、外筒14に設けて流体室Vに流体を供給・排出するようにしても良く、適宜ポンプユニット10の構成に応じて変更すれば良い。
【0036】
上記構成によれば、ポンプユニット10は、給排孔28を介して流体室Vに圧縮空気を供給することにより、
図2(b)に示すように内筒12が半径方向内向き(求心方向)に膨張するとともに軸方向に収縮し、流体室Vに供給された圧縮空気を排出することにより、
図2(a)に示すように半径方向に収縮するとともに軸方向に伸長する。
【0037】
[搬送制御装置について]
搬送制御装置100は、ポンプユニット10を連結して構成されたポンプ部8の動作を制御するための装置である。搬送制御装置100は、例えば、
図1に示すように、流体系制御部110と、電気系制御部160とで構成することができる。なお、
図1において破線は電気的な信号の経路を示す信号線、実線は流体の流路を示す管をそれぞれ示している。
【0038】
[流体系制御部]
流体系制御部110は、ポンプユニット10への流体の供給、停止、排出を制御する。本実施形態では、流体に空気を利用するものとして説明するが、流体は空気に限定されず、他の気体や水などの液体を利用しても良い。
なお、流体系制御部110は、利用する流体に応じて、以下で説明する機能が得られるように適宜変更すれば良い。
【0039】
流体系制御部110は、例えば、コンプレッサー112、レギュレータ114、供給弁116、排出弁118、流量センサ120、圧力センサ122等を備える。
【0040】
コンプレッサー112は、ポンプユニット10の流体室Vに供給する空気を圧縮空気として生成する。
【0041】
レギュレータ114は、コンプレッサー112と接続され、コンプレッサー112により加圧された圧縮空気を入力とし、入力された圧縮空気を所定の圧力に減圧して一定圧の圧縮空気を出力する。レギュレータ114から出力される圧縮空気の圧力は、ポンプユニット10を膨張させたときにポンプユニット10の内筒12の少なくとも内周面同士が密接可能な圧力、或いはそれよりも大きく設定される。
【0042】
供給弁116は、連結されたポンプユニット10毎に設けられ、レギュレータ114と、各ポンプユニット10とが接続される。供給弁116は、レギュレータ114により減圧された圧縮空気を入力とし、この圧縮空気をポンプユニット10の流体室Vへの出力(流体室Vへの圧縮空気の供給及び供給の停止)を制御する。供給弁116は、電気的な信号に基づいて開閉する弁を有し、弁を開くことで圧縮空気を流体室Vに供給し、弁を閉じることで圧縮空気の供給を停止する。供給弁116は、電気系制御部160と電気的に接続され、電気系制御部160から入力される信号に基づいて弁を開閉する。
【0043】
排出弁118は、ポンプユニット10毎に設けられ、それぞれポンプユニット10と接続される。排出弁118は、流体室Vにおける圧縮空気を入力とし、この圧縮空気が大気中に排出されるように出力側が大気開放されている。排出弁118は、電気的な信号に基づいて開閉する弁を有し、弁を開くことで流体室Vを大気開放することによって流体室V内の圧縮空気を大気中に排出し、弁を閉じることで圧縮空気の排出を停止する。排出弁118は、電気系制御部160と電気的に接続され、電気系制御部160から入力される信号に基づいて弁を開閉する。
【0044】
流量センサ120は、ポンプユニット10毎に設けられた供給弁116と対応するポンプユニット10との間に設けられ、ポンプユニット10に供給された圧縮空気の流量を計測する。流量センサ120は、電気系制御部160と電気的に接続され、計測した圧縮空気の流量を電気系制御部160に出力する。
なお、流量センサ120が設けられる位置は、流体室Vに供給される圧縮空気の流量を計測できるのであればいずれであっても良い。
【0045】
圧力センサ122は、ポンプユニット10毎に設けられた流量センサ120と対応するポンプユニット10との間に設けられ、ポンプユニット10の流体室V内の圧力を計測する。圧力センサ122は、電気系制御部160と電気的に接続され、計測した流体室V内の圧力を電気系制御部160に出力する。
なお、圧力センサ122の設けられる位置は、流体室V内の圧力を計測できるのであればいずれの位置であっても良い。
【0046】
また、供給弁116及び排出弁118は、初期状態として信号が入力されない状態において弁を閉じた状態とし、信号が入力されることで弁を開き、信号が停止されることで弁を閉じるものとして説明する。
【0047】
供給弁116及び排出弁118には、例えば、ソレノイドバルブを適用することができる。供給弁116及び排出弁118は、ソレノイドバルブを用いることにより、ポンプユニット10を膨張或いは収縮させるときの応答速度を向上させることができる。
【0048】
電気系制御部160は、ポンプ部8を構成するポンプユニット10の膨張、膨張状態の維持、収縮、収縮状態の維持等、状態の変化を制御するための装置である。
【0049】
[ポンプユニット10の膨張制御]
電気系制御部160は、ポンプユニット10を膨張させる場合、供給弁116にのみ信号を出力し、排出弁118には信号の出力の停止状態を維持する。これにより、ポンプユニット10は、流体室V内に圧縮空気が流入し、内筒12が求心方向に膨張する。
【0050】
電気系制御部160は、流体室Vへの圧縮空気の供給過程において、流量センサ120から入力される流量の変化と、圧力センサ122から入力される圧力の変化とを監視する。そして、電気系制御部160は、入力された流量と圧力とがポンプユニット10の完全膨張に達したとされる判定値となったときに、供給弁116への信号の出力を停止する。これにより、ポンプユニット10の内筒12は、
図2(b)に示すような膨張状態となる。以下、この膨張状態を完全膨張状態、若しくは単に完全膨張という場合がある。
なお、完全膨張とは、搬送物の搬送動作において最も膨張したときを言い、例えば、搬送路を閉塞可能に膨張した状態を意味するものとする。
【0051】
[ポンプユニット10の収縮制御]
また、電気系制御部160は、ポンプユニット10が完全膨張した状態から収縮させる場合、供給弁116には信号の出力の停止状態を維持し、排出弁118にのみ信号を出力する。これにより、ポンプユニット10の内筒12は、流体室V内の圧縮空気が排出弁118を介して大気に放出され、収縮が開始される。
図2(a)に示すように収縮する。
【0052】
電気系制御部160は、流体室Vからの圧縮空気の排出過程において、流体室Vの圧力の変化を監視する。そして、電気系制御部160は、入力された圧力がポンプユニット10の収縮状態に達したとされる判定値となったときに、排出弁118への信号の出力を停止する。これにより、ポンプユニット10は、
図2(a)に示すように収縮する。
【0053】
電気系制御部160は、例えば、オペレーターの操作に基づいてポンプ部8の動作を制御可能に構成される。
【0054】
図4は、電気系制御部160のハードウェアの構成を示すブロック図である。
電気系制御部160は、いわゆるコンピュータであって、ハードウェア資源として設けられたROM,RAM等の記憶手段162、CPU等の演算処理手段164、インターネットとの接続を可能にするネットワークインターフェイス等の通信手段166、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力手段168、モニター等の表示手段170、供給弁116及び排出弁118との信号の入出力を可能とする外部入出力インターフェース(外部IF)172を備える。なお、電気系制御部160の構成は、上記構成に限定されず適宜変更すれば良い。
【0055】
ここでいうコンピュータとは、タブレット型、ノート型、デスクトップ型等、その形態は問わず、ポンプ部8の駆動を専用に設計されたものであっても良い。
以下の説明では、電気系制御部160は、タッチパネル式の入力手段168及び表示手段170を備えるノート型のコンピュータとして説明する。
【0056】
電気系制御部160は、演算処理手段164が記憶手段162に格納された各プログラムに従って後述の処理を実行することにより、該電気系制御部160を後述の各手段として機能させる。
【0057】
記憶手段162には、例えば、ポンプ部8を動作させるための制御プログラムや、供給弁116及び排出弁118への信号の出力・停止を判定するための判定値等を含んで記憶される。演算処理手段164が、記憶手段162に記憶された制御プログラムを順次実行することにより、電気系制御部160を後述の各手段として機能させるとともに、流体系制御部110を構成する供給弁116及び排出弁118に信号を出力し、ポンプ部8の膨張・収縮を制御する。
【0058】
制御プログラムは、例えば、ポンプ部8に異なる動作をさせるための複数のプログラムを備える。複数のプログラムは、例えば、搬送動作プログラムや混錬動作プログラム、停止動作プログラムを含んで構成することができる。
【0059】
搬送動作とは、搬送物を上流側から下流側に向けて搬送方向に移動させる動作を言う。また、混錬動作とは、ポンプ部8内において搬送物を往復させる動作を言う。また、停止動作とは、搬送途中においてポンプ部8を停止させる動作を言う。
【0060】
図5,6は、ポンプ部8の異なる搬送動作を例示したものである。
図5に示す搬送動作は、例えば、
図5(a)に示すように、全てのポンプユニット10(A)~(D)を収縮した状態を初期状態として動作する。
最初のステップでは、
図5(b)に示すように、ポンプユニット10(B)~(D)の収縮状態を維持したまま、搬送方向最上流側のポンプユニット10(A)を膨張させる(以下ステップ1という)。
次のステップでは、
図5(c)に示すように、ポンプユニット10(A)の膨張状態及びポンプユニット10(C),(D)の収縮状態を維持したままポンプユニット10(B)を膨張させる(以下ステップ2という)。
次のステップでは、
図5(d)に示すように、ポンプユニット10(A),(B)の膨張状態及びポンプユニット10(D)の収縮状態を維持したままポンプユニット10(C)を膨張させる(以下ステップ3という)。
次のステップでは、
図5(e)に示すように、ポンプユニット10(A)~(C)の膨張状態を維持したままポンプユニット10(D)を膨張させる(以下ステップ4という)。
そして、最後のステップとして、全てのポンプユニット10(A)~(D)を収縮させることで、
図5(a)に戻る(以下ステップ5という)。
即ち、
図5に示す動作では、ステップ1~5を1サイクルとして繰り返すことにより搬送物を上流側から下流側に加圧することで搬送する。
【0061】
また、
図6に示す搬送動作では、例えば、
図6(a)に示すように、全てのポンプユニット10(A)~(D)が膨張した状態を初期状態として動作させる。
次に、ステップ1として、
図6(b)に示すように、ポンプユニット10(B)~(D)の膨張状態を維持したまま、ポンプユニット10(A)を収縮させる。
次に、ステップ2として、
図6(c)に示すように、ポンプユニット10(A)の収縮状態及びポンプユニット10(C),(D)の膨張状態を維持したまま、ポンプユニット10(B)を収縮させる。
次に、ステップ3として、
図6(d)に示すように、ポンプユニット10(B)の収縮状態及びポンプユニット10(D)の膨張状態を維持したまま、ポンプユニット10(A)を膨張させるとともにポンプユニット(C)を収縮させる。
次に、ステップ4として、
図6(e)に示すように、ポンプユニット10(A)の膨張状態及びポンプユニット10(C)の収縮状態を維持したまま、ポンプユニット10(B)を膨張させるとともにポンプユニット(D)を収縮させる。
次に、ステップ5として、
図6(f)に示すように、ポンプユニット10(A),(B)の膨張状態及びポンプユニット10(D)の収縮状態を維持したまま、ポンプユニット10(C)を膨張させる。
次に、ステップ6として、ポンプユニット10(A)~10(C)の膨張状態を維持したまま、ポンプユニット10(D)を膨張させることで
図6(a)に示す状態に戻る。
即ち、
図6に示す動作では、ステップ1~6を1サイクルとして繰り返すことにより、搬送物に負圧を印加させながら上流側から下流側へと搬送を可能とされる。このようなポンプ部8の動作は、粘性の高い搬送物の搬送に好適とされる。
【0062】
図7は、混錬動作の一例を示した図である。
混錬動作は、例えば、
図7(a)に示すように、最上流のポンプユニット10(A)と、最下流のポンプユニット10(D)を膨張した状態で初期状態として動作する。
まず、ステップ1として、
図7(b)に示すように、ポンプユニット10(A),(D)の膨張状態及びポンプユニット10(C)の収縮状態を維持したまま、ポンプユニット10(B)を膨張させる。
次に、ステップ2として、
図7(c)に示すように、ポンプユニット10(A),(D)の膨張状態を維持したまま、ポンプユニット10(B)を収縮させるとともに、ポンプユニット10(C)を膨張させる。
そして、
図7(b),(c)に示した、ステップ1とステップ2を交互に繰り返すことで搬送物を混錬することができる。このようなポンプ部8の動作は、搬送物が複数の素材を混合したものであるときに、分離を防ぎつつ搬送するときに好適とされる。
【0063】
また、停止動作は、
図5乃至
図7に例示したような搬送動作や混錬動作中に搬送動作や混錬動作を一時的に停止させるための動作である。
例えば、
図5に示すように、搬送物を上方に向けて搬送している場合には、例えば、逆流や落下を防止すべく、ポンプユニット10の全てを膨張させたり、所定の間隔をあけて特定のポンプユニット10だけを膨張させたり、その状態を維持するように停止させたりするように構成することができる。 また、
図6に示すように、搬送物が水平方向である場合にも、その状態を維持するように停止させたりするように構成することができる。
なお、その状態とは、停止を必要としたときの直近のポンプユニット10が膨張や収縮した状態をいう。
また、混錬動作において停止させる場合には、最上流のポンプユニット10(A)と、最下流のポンプユニット10(D)を膨張した状態を維持して停止すれば良い。
【0064】
また、前述の停止動作において、搬送物を上方に向けて搬送する垂直揚重を行っている時に異常が発生して停止する際には、少なくとも搬送物の揚程を支えられる間隔で、ポンプユニット10を膨張・閉塞させる必要がある。例えば、ポンプユニット10(流体室V)への印加圧力が0.06MPa、搬送物が水(比重1)とした場合、1つのポンプユニット10は、約6mの揚程の能力を有している。したがって、垂直揚重するときの動作停止パターンは、少なくとも6m以下の間隔で膨張ユニット10が存在するように設定すると良い。
また、搬送物が水の体積の2倍の土砂であるならば、少なくとも3m以下の間隔でポンプユニット10を膨張させて停止させれば良い。
【0065】
記憶手段162には、ポンプ部8に、上述のような搬送動作、混錬動作、停止動作をさせる搬送動作プログラム、混錬動作プログラム、停止動作プログラム等を制御プログラムとして記憶しておくと良い。また、それら搬送動作プログラム、混錬動作プログラム、停止動作プログラムは、ポンプ部8が異なる搬送動作、異なる混錬動作、異なる停止動作を可能とすべく、それぞれについて記憶手段162に記憶させておくと良い。
【0066】
搬送動作プログラムや混錬動作プログラムは、搬送動作や混錬動作を構成するステップ間の移行は、例えば、各ステップにおける膨張や収縮動作が完了した時点でなされるものとして設定することができる。なお、そのステップ間の移行させるタイミング、各ステップにおいてポンプユニット10が膨張や収縮するタイミングは、例えば、圧力センサ122から入力される圧力値に基づいて設定するようにしても良い。
【0067】
電気系制御部160は、前述のようにポンプ部8の動作を切り替える動作選択手段を備える。動作選択手段は、例えば、オペレーターに対して、搬送動作、混錬動作又は、停止動作のいずれかを選択させるための処理を実行する。
例えば、動作選択手段は、表示手段170に「搬送動作」、「混錬動作」、又は、「停止動作」等の文字を記載した動作をボタン(動作選択ボタン)を表示し、オペレーターに入力手段168を操作させて選択させるように構成すれば良い。
【0068】
動作選択手段は、例えば、「搬送動作」が選択された場合には、搬送動作として記憶された複数種類の搬送パターンを、例えば、「搬送パターン1」,「搬送パターン2」,・・・等の文字を記載したボタンを表示手段170に表示し、オペレーターに入力手段168を操作させて選択させるように構成すれば良い。
【0069】
搬送パターンは、例えば、
図5に示したように上下方向への搬送に好適なものや、
図6に示すような水平方向への搬送に好適なものに分類して表示手段170に表示するようにしても良い。搬送パターンは、これに加えて、搬送物の特性に応じて好適な内容を表示し、オペレーターに選択させるように表示するようにしても良い。
【0070】
また、動作選択手段は、例えば、「混錬動作」が選択された場合には、混錬動作として記憶された複数種類の混錬パターンを、例えば、「混錬パターン1」,「混錬パターン2」,・・・等の文字を記載したボタンを表示手段170に表示し、オペレーターに入力手段168を操作させて選択させるように構成すれば良い。
【0071】
混錬パターンは、例えば、搬送物として混合される素材に応じて好適となるように複数のパターンを設定し、表示手段170に表示するようにしても良い。
【0072】
また、動作選択手段は、例えば、「停止動作」が選択された場合には、停止動作として記憶された複数種類の停止パターンを、例えば、「停止パターン1」,「停止パターン2」,・・・等の文字を記載したボタンを表示手段170に表示し、オペレーターに入力手段168を操作させて選択させるように構成すれば良い。
【0073】
停止パターンは、例えば、選択された搬送動作や混錬動作に好適とされる複数のパターンを記憶手段162に記憶させておき、選択された搬送動作や混錬動作に推奨するパターンを表示手段170に表示し、オペレーターにその旨を表示するように構成すると良い。
【0074】
以上説明したように、ポンプ部8を構成する複数のポンプユニット10の膨張・収縮を制御する制御装置としての電気系制御部160が、複数のポンプユニットを膨張・収縮させる異なるパターンを記憶する記憶手段162と、記憶手段162に記憶された異なるパターンをオペレーターに選択させる動作選択手段とを備えることにより、搬送物の特性やポンプユニットにさせる動作に応じて、新たにポンプユニットを膨縮させるための設定をしなおす作業をなくすことができる。
また、異なるパターンを停止動作を含むように構成することにより、搬送物の逆流を防止したり、ポンプ部8の損傷をなくすように好適に停止させることができる。
【0075】
なお、「停止動作」は、また、例えば、オペレーターによる停止パターンの選択に限定されず、「搬送動作」や「混錬動作」に紐づけしておいても良い。
搬送パターンの選択や混錬パターンの選択はポンプ部8の設けられている状態や搬送物に基づいて最も好適とされるものが選択されていると仮定した場合、停止動作は、選択された搬送パターンや混錬パターンに好適な停止パターンで停止されることが好ましい。つまり、停止動作は、搬送パターンや混錬パターンに応じて、好適な停止パターンを予め紐づけして記憶手段162に記憶させおけば良い。
この場合、動作選択手段は、表示手段170に、単に「停止」を表示するように構成すれば良い。そして、必要とされたときに、オペレーターが入力手段168を操作し、「停止」を選択することにより、搬送物の逆流や搬送物によりポンプ部8が破損することなく好適にポンプ部8の動作を停止させることができる。
【0076】
図8は、電気系制御部の他の形態を示すブロック図である。
図9乃至
図13は、電気系制御部の他の形態に係る動作を示すフローチャートである。
上記実施形態では、電気系制御部160の記憶手段162に、ポンプ部8に搬送動作、混錬動作、或いは停止動作をさせるプログラムを予め記憶させておくものとして説明したが、電気系制御部160の機能としてオペレーターに作成させるようにしても良い。
【0077】
この場合、例えば、
図8に示すように、電気系制御部160が、動作選択手段に加え、モード表示手段と、ポンプ動作作成手段とを備えるように構成すれば良い。
【0078】
図9に示すように、モード表示手段は、オペレーターに対して、ポンプ部8の動作を作成するための処理を実行するか、ポンプ部8を動作させるための処理を実行するか等の選択を促すための表示を表示手段170に表示するための手段である。
【0079】
例えば、モード表示手段は、表示手段170に「動作作成ボタン」、「動作選択ボタン」等を表示することにより、オペレーターに選択、入力を促すことができる(S100)。
【0080】
図10に示すように、ポンプ動作作成手段は、モード表示手段において「動作ボタン」が選択されたとき(S104)に処理を実行する(S200)。ポンプ動作作成手段は、オペレーターにポンプ部8の動作の作成を促すための処理を実行する手段である。ポンプ部8の動作の作成とは、ポンプ部8が搬送物を混錬や搬送するときに、ポンプユニット10を膨張・収縮させる順序や、膨張・収縮させるタイミングを設定することをいう。
【0081】
ポンプ動作作成手段の動作(S200)の一例について説明する。
例えば、ポンプ動作作成手段は、まず、表示手段170に「搬送動作作成ボタン」、「混錬動作作成ボタン」、「停止動作作成ボタン」を表示することにより、オペレーターに、作成するポンプ部8の動作が搬送動作、混錬動作、停止動作のいずれかを選択、入力を促すための表示をする(S202)。
【0082】
「搬送動作作成ボタン」、「混錬動作作成ボタン」、「停止動作作成ボタン」のいずれかの選択がなされると(S204)、選択された動作の作成ボタンが「搬送動作作成ボタン」の場合(S206)には、搬送動作作成処理(S240)に移行し、「混錬動作作成ボタン」の場合(S208)には、混錬動作作成処理に移行し、「停止動作作成ボタン」の場合(S210)には、停止動作作成処理に移行する。
【0083】
例えば、「搬送動作作成ボタン」が選択されたときの搬送動作作成処理(S240)について説明する。
まず、連結されたポンプユニット10の数量を入力するように表示手段170に表示し、オペレーターに対して連結されるポンプ部8を構成するポンプユニット10の数量の入力を促す(S242)。
【0084】
ポンプ動作作成手段は、オペレーターがポンプ部8を構成するポンプユニット10の数量(本例では「4」)を入力すると、例えば、ポンプ部8の模式図を表示手段170に表示する(S244)。なお、ポンプ部8の模式図の表示とともに、搬送方向を指定する矢印を表示するように構成しても良い。ポンプ部8の模式図とは、例えば、入力に応じた数量のポンプユニット10が連結した状態の概略図等である。
【0085】
さらに、ポンプ動作作成手段は、ポンプ部8の模式図の表示に加え、オペレーターにポンプユニット10を膨張・収縮させる順序や、膨張・収縮させるタイミングの設定を促す表示をさせるように構成すると良い。
【0086】
例えば、オペレータにどのポンプユニット10を膨張させるか否かを設定を促すための表示を、「該当するポンプユニットの上で、ポンプユニットを膨張させる場合には1回タップ、ポンプユニットの膨張を解除する場合には2回連続タップ、取り消す場合には長押しして下さい」、「ステップ設定」、「次のステップ設定へ」、「パターン登録」、「新たな搬送動作パターンを作成?」等の文言を表示するように構成すれば良い。
【0087】
そして、オペレータが、ポンプユニット10Aを1回タップすると、ポンプユニット10Aを膨張した図に変更して表示する。
次に、「ステップ設定」ボタンをタッチ(S246)した後に、「次のステップ入力へ」をタッチ(S248)することで、元のポンプ部8の模式図が表示された画面に戻る。
【0088】
そして、例えば、
図5(a)乃至(f)に示す各ステップを登録した後に、「パターン登録終了」をタップすることで、
図5に示す1つの搬送パターン1として記憶手段に記録される(S252)。
【0089】
次に、「新たな搬送動作パターンを作成?」をタップ(S254)することにより、元のポンプ部8の模式図が表示された画面に戻り、1サイクルを構成する複数のステップを順次登録し、ステップ登録終了をタップすることで、搬送パターン2として記憶手段に記憶される。
【0090】
ポンプ部8に混錬動作や停止動作をさせるときの混錬動作パターンや停止動作パターンについても、搬送動作の搬送動作パターンを作成したときと同様な手順で作成するように、ポンプ動作作成手段を構成すれば良い。
【0091】
図9,
図12に示すように、ポンプ動作設定手段は、モード表示手段において「動作選択ボタン」が選択されたとき(S106)に処理を実行する(S300)。ポンプ動作設定手段は、オペレーターにポンプ部8の動作の設定を促すための処理を実行する手段である。ポンプ部8の動作の作成とは、ポンプ部8が搬送物を混錬や搬送するときに、ポンプユニット10を膨張・収縮させる順序や、膨張・収縮させるタイミングを設定することをいう。
【0092】
ポンプ動作選択手段の動作(S300)の一例について説明する。
例えば、ポンプ動作選択手段は、まず、表示手段170に「搬送動作選択ボタン」、「混錬動作選択ボタン」、「停止動作選択ボタン」を表示することにより、オペレーターに、ポンプ部8にさせる動作が搬送動作、混錬動作、停止動作のいずれかを選択、入力を促すための表示をする(S302)。
【0093】
「搬送動作設定ボタン」、「混錬動作設定ボタン」、「停止動作設定ボタン」のいずれかの選択がなされると(S304)、選択された動作の設定ボタンが「搬送動作設定ボタン」の場合(S306)には、搬送動作選択処理(S340)に移行し、「混錬動作設定ボタン」の場合(S308)には、混錬動作選択処理に移行し、「停止動作設定ボタン」の場合(S310)には、停止動作選択処理(S360)に移行する。
【0094】
図13は、「搬送動作設定ボタン」が選択されたときの搬送動作選択処理のフローチャートである。以下、「搬送動作設定ボタン」が選択されたときの搬送動作選択処理(S340)について説明する。
まず、表示手段170に複数の「搬送動作パターンボタン」を表示することにより、オペレーターに、ポンプ部8にさせる動作を、どの搬送動作パターンにするかどうかを選択、入力を促すための表示をする(S342)。
【0095】
「搬送動作パターンボタン」のいずれかの選択がなされると(S344)、選択された搬送動作パターンボタンに対応する搬送動作パターンがポンプ部8の動作として設定される(S346)。これにより、ポンプ部8は、搬送動作を開始する。
なお、ポンプ部8の動作中は、表示手段170に動作選択ボタンを表示しておくことにより、搬送動作から混錬動作への変更や、搬送動作から停止動作への変更を可能に構成すると良い。
【0096】
ポンプ部8に混錬動作や停止動作をさせるときの混錬動作パターンや停止動作パターンについても、搬送動作の搬送動作パターンを選択したときと同様な手順で設定するように、ポンプ動作設定手段を構成すれば良い。
【0097】
なお、電気系制御部の構成は、上記実施形態で説明したものに限定されない。例えば、
図9等に示したような動作モードの切り替えは、オペレータに選択させる以外に、通信手段166を介して接続された別の情報処理装置からの指示に基づいて切り替え可能に動作選択手段を構成しても良い。
【0098】
また、電気系制御部の他の構成として、ポンプ部8の動作中に、各ポンプユニット10に対応して設けられた圧力センサ122から出力される流体室Vの圧力値の変動状態に基づいて、現時点において動作中の搬送動作パターンや混錬動作パターンから記憶手段に記憶された他の搬送動作パターンや混錬動作パターンから好適(効率の良い)なものに自動的に変更可能に動作選択手段を構成しても良い。
【0099】
また、電気系制御部の他の構成として、ポンプ部8の動作中に、各ポンプユニット10に対応して設けられた圧力センサ122から出力される流体室Vの圧力値の状態に基づいて、ポンプユニット10の故障を検出し、当該検出に基づいて、搬送動作や混錬動作から自動的に停止動作に移行するように動作選択手段を構成しても良い。
故障の検出は、例えば、ポンプユニット10の破損に伴う流体漏れにより所定圧力に到達しないことを検出するための異常検出手段を電気系制御部に設け、異常検出手段が異常を検出したときに、搬送動作や混錬動作から自動的に停止動作に移行するように動作選択手段を構成すれば良い。搬送動作や混錬動作から停止動作への移行は、稼働中の搬送動作パターンや混錬動作パターンに応じた好適な停止動作パターンが選択されるように構成すると良い。
【符号の説明】
【0100】
1 ポンプ装置、8 ポンプ部、10 ポンプユニット、12 内筒、14 外筒、
100 搬送制御装置、
110 流体系制御部、112 コンプレッサー、114 レギュレータ、
116 供給弁、118 排出弁、120 流量センサ、122 圧力センサ、
160 電気系制御部、V 流体室。