(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004710
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】物品搬送装置及び物品保管装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/06 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
B65G1/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106591
(22)【出願日】2021-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】592026819
【氏名又は名称】伊東電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】伊東 一夫
(72)【発明者】
【氏名】橘 俊之
(72)【発明者】
【氏名】藤本 貴司
(72)【発明者】
【氏名】水谷 友哉
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022CC03
3F022FF01
3F022JJ13
3F022MM08
3F022MM13
3F022MM66
3F022NN22
3F022NN25
3F022PP03
3F022QQ00
3F022QQ03
(57)【要約】
【課題】より正確に物品の重量を検知することができ、荷崩れ等を起こしにくい物品搬送装置を提供することを課題とする
【解決手段】 中空に載置された物品に対して下の位置から保持部材を上昇させ、当該保持部材で前記物品をすくい上げ、走行輪を回転させて物品搬送装置を移動させる物品搬送装置において、前記昇降機構はモータを動力とするものであり、無負荷時電流情報と、有負荷時電流情報とを取得し、前記無負荷時電流情報は、前記保持部材の上昇開始から物品と接触するまでの間の特定の上昇領域においてモータに供給される電流値に関連する情報であり、前記有負荷時電流情報は、保持部材が物品に接触してから上昇限界に至るまでの間の特定の上昇領域においてモータに供給される電流値に関連する情報であり、前記無負荷時電流情報と、前記有負荷時電流情報と、に基づいて走行輪の回転速度を設定する走行速度設定手段を有することを特徴とする物品搬送装置。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力によって回転する走行輪と、物品を保持する保持部材と、当該保持部材を昇降させる昇降機構とを有する物品搬送装置であって、
中空に載置された物品に対して下の位置から保持部材を上昇させ、当該保持部材で前記物品をすくい上げ、走行輪を回転させて、移動させる物品搬送装置において、
前記昇降機構はモータを動力とするものであり、
無負荷時電流情報と、有負荷時電流情報とを取得し、
前記無負荷時電流情報は、前記保持部材の上昇開始から物品と接触するまでの間の特定の上昇領域においてモータに供給される電流値に関連する情報であり、
前記有負荷時電流情報は、保持部材が物品に接触してから上昇限界に至るまでの間の特定の上昇領域においてモータに供給される電流値に関連する情報であり、
前記無負荷時電流情報と、前記有負荷時電流情報と、に基づいて走行輪の回転速度を設定する走行速度設定手段を有することを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
無負荷時電流情報及び有負荷時電流情報から物品の重量に関連する情報を得、物品の重量が大きい場合には走行輪の回転速度が低く設定されることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
無負荷時電流情報及び有負荷時電流情報から物品の重量に関連する情報を得、物品の重量が大きい場合には走行速度変更手段が走行輪の回転を停止させる際の減速率が低く、ゆっくりと停止されることを特徴とする請求項1又は2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
無負荷時電流情報は、特定の上昇領域における電流の積算値又はその近似値に関連する情報を含み、有負荷時電流情報は、特定の上昇領域における電流の積算値又はこれに近似する情報を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の物品搬送装置。
【請求項5】
無負荷時電流情報と有負荷時電流情報の比率から物品の重量に関連する情報を得ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の物品搬送装置。
【請求項6】
物品の重量に関連する情報を外部に送信可能であることを特徴とする請求項5に記載の物品搬送装置。
【請求項7】
モータの回転数に関連する情報を取得し、モータの回転数によって特定の上昇領域が定められることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の物品搬送装置。
【請求項8】
複数の物品を載置する架台部材と、請求項1乃至7のいずれかに記載の物品搬送装置を有し、
架台部材はその上に物品が載置される2列以上の載置部材と走行路を有し、
物品搬送装置は、載置部材の間に常時または一時的に入るものであり、走行輪を回転することにより走行路を走行可能であり、保持部材を降下した際には保持部材が載置部材の上端よりも下に沈み、保持部材を上昇した際には保持部材が載置部材の上端よりも上に突出し、
物品搬送装置を物品の下に移動した後に保持部材を上昇させて保持部材で物品をすくい上げ、走行輪を回転させて物品搬送装置を移動し、保持部材を降下させて物品を架台部材の他の位置に移動させることが可能であることを特徴とする物品保管装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する物品搬送装置に関するものである。また本発明は、内部で物品を移動することが可能な物品保管装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品を移動する機能を備えた物品保管装置が知られている。
特許文献1に開示された物品保管装置は、複数の物品を載置する架台部材と、自走して物品を移動させる物品移動装置(物品搬送装置)を有している。
架台部材はその上に物品が載置される2列以上の載置部材と走行路を有している。
物品移動装置は、動力によって回転する走行輪と、物品を保持する保持部材と、当該保持部材を昇降させる昇降機構とを有している。
物品移動装置は、載置部材の間に入るものであり、走行輪を回転することにより走行路を走行可能であり、保持部材を降下した際には保持部材が載置部材の上端よりも下に沈み、保持部材を上昇した際には保持部材が載置部材の上端よりも上に突出する。
物品移動装置を物品の下に移動した後に保持部材を上昇させて保持部材で前記物品をすくい上げ、走行輪を回転させて物品移動装置を移動し、保持部材を降下させて物品を架台部材の他の位置に移動させる。
【0003】
ここで物品搬送装置に載置された物品が重い場合に物品搬送装置の走行初期における走行加速度が大きいと、物品の移動が物品搬送装置の移動に追従できず、物品が後方にずれ動いてしまう場合があった。
また重い物品を載置した状態で、物品搬送装置の走行を急停止すると、物品が物品搬送装置の停止に追従できず、慣性によって前方にずれ動いてしまう場合があった。
特許文献1に開示された物品移動装置では、物品が重い場合は物品移動装置の移動速度を低速にし、保持部材上で物品がずれ動くことを防止している。
【0004】
特許文献1に開示された物品移動装置では、保持部材を上昇させる際のモータに供給される電流を検知し、電流の強弱によって物品の重量を検出している。そして物品が軽い場合は、物品移動装置の移動速度を速くして移動効率を上げる。物品が重い場合は、物品移動装置の移動速度を低速にして、保持部材上で物品がずれ動くことを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された物品搬送装置は、外気温度や、運転継続時間等の影響により、物品の重量を誤検知する懸念があった。
例えば冬季における始業直後の様に、外気温度が低く、且つ停止時間が長い条件下では、装置内部等のグリスの温度が低く、グリスの粘度が高い。そのため、この条件下で昇降機構を駆動すると、モータに流れる電流値が通常に比べて高くなる。
そのため、外気温度が低く、且つ停止時間が長い条件下では、物品の重量を実際よりも重く検知してしまう場合があった。
【0007】
本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、より正確に物品の重量を検知することができ、荷崩れ等を起こしにくい物品搬送装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するための態様は、動力によって回転する走行輪と、物品を保持する保持部材と、当該保持部材を昇降させる昇降機構とを有する物品搬送装置であって、中空に載置された物品に対して下の位置から保持部材を上昇させ、当該保持部材で前記物品をすくい上げ、走行輪を回転させて、移動させる物品搬送装置において、前記昇降機構はモータを動力とするものであり、無負荷時電流情報と、有負荷時電流情報とを取得し、前記無負荷時電流情報は、前記保持部材の上昇開始から物品と接触するまでの間の特定の上昇領域においてモータに供給される電流値に関連する情報であり、前記有負荷時電流情報は、保持部材が物品に接触してから上昇限界に至るまでの間の特定の上昇領域においてモータに供給される電流値に関連する情報であり、前記無負荷時電流情報と、前記有負荷時電流情報と、に基づいて走行輪の回転速度を設定する走行速度設定手段を有することを特徴とする物品搬送装置である。
【0009】
本態様の物品搬送装置では、中空に載置された物品の下の位置から保持部材を上昇させ、当該保持部材で物品をすくい上げる。そのため、保持部材の上昇開始から物品と接触するまでの間は、モータに物品の荷重が掛からない。これに対して、保持部材が物品に接触してから上昇限界に至るまでの間は、モータに物品の荷重が掛かる。
その一方、物品の有無にかかわらず、グリスや装置内の摩擦による負荷はモータに掛かる。
本発明の物品搬送装置は、有負荷時電流情報だけでなく、無負荷時電流情報も検知し、有負荷時電流情報を補正することによって、より正確な重量検知が可能となっている。
なお上記した「保持部材の上昇開始から物品と接触するまでの間」とは、物品の荷重が掛かっていない状態における上昇範囲をさしている。「特定の無負荷上昇領域」とは、「物品の荷重が掛かっていない状態における上昇範囲」の中の特定の範囲であり、「物品の荷重が掛かっていない状態における上昇範囲」の一部又は全部である。「保持部材が物品に接触してから上昇限界に至るまでの間」とは、物品の荷重が掛かっている状態における上昇範囲をさしている。「特定の有負荷上昇領域」とは、「物品の荷重が掛かっている状態における上昇範囲」の中の特定の範囲であり、「物品の荷重が掛かっている状態における上昇範囲」の一部又は全部である。
走行速度設定手段は、保持部材や昇降機構が設けられた本体部内にあってもよく、外部に設けられていてもよい。
【0010】
上記した態様において、無負荷時電流情報及び有負荷時電流情報から物品の重量に関連する情報を得、物品の重量が大きい場合には走行輪の回転速度が低く設定されることが望ましい。
【0011】
上記した各態様において、無負荷時電流情報及び有負荷時電流情報から物品の重量に関連する情報を得、物品の重量が大きい場合には走行速度変更手段が走行輪の回転を停止させる際の減速率が低く、ゆっくりと停止されることが望ましい。
【0012】
上記した各態様において、無負荷時電流情報は、特定の上昇領域における電流の積算値又はその近似値に関連する情報を含み、有負荷時電流情報は、特定の上昇領域における電流の積算値又はこれに近似する情報を含むことが望ましい。
【0013】
上記した各態様において、無負荷時電流情報と有負荷時電流情報の比率から物品の重量に関連する情報を得ることが望ましい。
【0014】
上記した態様において、物品の重量に関連する情報を外部に送信可能であることが望ましい。
【0015】
上記した各態様において、モータの回転数に関連する情報を取得し、モータの回転数によって特定の上昇領域が定められることが望ましい。
【0016】
物品保管装置に関する態様は、複数の物品を載置する架台部材と、上記したいずれかに記載の物品搬送装置を有し、架台部材はその上に物品が載置される2列以上の載置部材と走行路を有し、 物品搬送装置は、載置部材の間に常時または一時的に入るものであり、走行輪を回転することにより走行路を走行可能であり、保持部材を降下した際には保持部材が載置部材の上端よりも下に沈み、保持部材を上昇した際には保持部材が載置部材の上端よりも上に突出し、 物品搬送装置を物品の下に移動した後に保持部材を上昇させて保持部材で物品をすくい上げ、走行輪を回転させて物品搬送装置を移動し、保持部材を降下させて物品を架台部材の他の位置に移動させることが可能であることを特徴とする物品保管装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の物品搬送装置は、より正確に物品の重量を検知することができ、荷崩れ等を起こしにくい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態の物品保管装置の斜視図である。
【
図2】
図1の物品保管装置の架台部材の一部を示す斜視図である。
【
図4】物品搬送装置の断面図であり、(a)は保持部材が上昇した状態を示し、(b)は、保持部材が下降した状態を示す。
【
図5】物品搬送装置の制御装置のブロック図である。
【
図6】(a)~(d)は、物品搬送装置の保持部材を上昇させる工程を示す説明図である。
【
図7】物品搬送装置の一連の動作のフローチャートである。
【
図8】トレイに同一の物品を載せ、架台部材の載置部材によって中空に載置されたトレイに対して下の位置から保持部材を上昇させ、保持部材でトレイをすくい上げた際における昇降用モータの回転数(パルス数)と供給される電流の関係を示すグラフであり、(a)は、通常時における関係を示し、(b)は、始業直後における関係を示す。
【
図9】架台部材の載置部材によって中空に載置されたトレイに対して下の位置から保持部材を上昇させ、保持部材でトレイをすくい上げた際における昇降用モータのパルス数と供給される電流の関係を示すグラフであり、(a)は、トレイの重量が軽い場合を示し、(b)は、トレイの重量が中程度の場合を示し、(c)は、トレイの重量が大である場合を示す。
【
図10】(a)~(h)は、トレイを移動させる際の一連の動作を示す説明図である。
【
図11】本発明の他の実施形態で採用する昇降機構の機構図である。
【
図12】本発明のさらに他の実施形態で採用する昇降機構の機構図である。
【
図13】本発明のさらに他の実施形態で採用する昇降機構の機構図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の物品保管装置1は、架台部材2と、操作装置5と、複数の物品搬送装置6を有している。
図1の様に、架台部材2は、一種の棚であり、細長い形状の収容部3を4列4段に設けたものである。
物品搬送装置6は、架台部材2の各収容部3の中にあって、後記する様に各収容部3の中を走行する。
図6、
図10の様に、収容物57は、トレイ8に載せた状態で架台部材2に収容される。なお本実施形態では、トレイ8と収容物57が架台部材2に載置される物品である。
【0020】
架台部材2は、一対の載置部材10a、10bが一定の距離を空けて平行に設けられたものである。
図2に示す様に、架台部材2は、複数の直立する支柱4aと、水平姿勢で支柱4aに固定された支持板4bとで構成された構造物である。
【0021】
架台部材2では、2つの載置部材10a、10bが一組となって、支柱4aに固定されている。各載置部材10a、10bは、支持板4b上に配置され、支持板4b上から突出する部材である。
一対の載置部材10a、10bは、物品搬送装置6が走行する空間28を確保でき、且つその上にトレイ8を載置することができる距離を空けて平行に設けられている。
【0022】
載置部材10a、10bは、具体的には長尺の溝型鋼又はC型鋼であり、
図2の姿勢を基準として、上面板11と、下面板12と、接続板13を有し、この三者によって3面が囲まれ、残る一面が開放された断面形状が凹状の鋼材である。また、載置部材10a、10bは、断面形状が凹状以外に様々な形状のものを採用することができる。
下面板12は走行路を構成するものである。
各載置部材10a、10bは、凹部同士が互いに向き合う様に配置されている。
載置部材10a、10bはトレイ8の移動方向に長く延びている。
【0023】
次に物品搬送装置6について説明する。物品搬送装置6は、
図3の様に本体部30と、保持部材31によって構成されている。
本体部30は、本体ケース33内に、昇降部材35、走行部材36、蓄電池(図示せず)及び制御装置38が内蔵されたものである。本体ケース33は、
図3の様に、上面が開放され、平面形状が略正方形であって高さの低い箱である。
【0024】
昇降部材35は、保持部材31を昇降させる昇降機構を構成するものである。昇降部材35は、
図3の様に、一対のラック部材40a,40bと、昇降用モータ内蔵ローラ41と、従動部材43によって構成されている。
図4に示す様に、ラック部材40a,40bは、ある程度の長さを有する部材であり、長手方向中央であって、上面側にラックの歯形46が形成されている。
また長手方向の両端部に隆起部51が設けられている。隆起部51には、傾斜面47と、傾斜面47に連続する高原部48が形成されている。隆起部51の傾斜面47及び高原部48は、カムとして機能する。
【0025】
昇降用モータ内蔵ローラ41は、円筒形のケース50(ローラ)内にモータ22と減速機23が内蔵されたものである。昇降用モータ内蔵ローラ41は、モータ22を駆動することにより外側のケース50が回転する。そして当該ケース50に歯車52a,52bが取り付けられている。
本実施形態では、昇降用モータ内蔵ローラ41に内蔵されたモータ22(以下 昇降用モータ22)は、直流モータである。より具体的には、内部にホール素子を内蔵したブラシレスモータである。昇降用モータ22は、負荷によって供給される電流値と回転速度が変化する。
即ち昇降用モータ22は、負荷が大きいと消費電流が増加する。また昇降用モータ22は、負荷が大きいと回転速度が低下し、また回転数速度の立ち上がりが遅れる。
また昇降用モータ22は、回転数に応じてパルスを出力する機能がある。
【0026】
昇降用モータ内蔵ローラ41を駆動させると、昇降用モータ内蔵ローラ41側の歯車52a,52bが回転し、当該歯車52a,52bと係合するラック部材40a,40bが直線移動する。
そして従動部材43のコロ53が、ラック部材40a,40bの隆起部51上に載置されているから、ラック部材40a,40bを直線移動させることによってコロ53の載置位置が変化し、カムフォローたる各コロ53が上下移動して従動部材43を昇降させる。
即ち
図4(b)の様に、コロ53が隆起部51の傾斜面47のすそ野部分と接している場合には、コロ53は下の位置にあり、従動部材43は降下している。
一方、
図4(a)の様に、コロ53が隆起部51の高原部48と接している場合には、コロ53は上の位置にあり、従動部材43は上昇している。
前記したように、昇降用モータ内蔵ローラ41を駆動させると、ラック部材40a,40bが直線移動して従動部材43が昇降する。従動部材43の下限位置と、上昇限界を規制するリミットスイッチ(図示せず)がラック部材40a,40bの近傍に設けられている。
【0027】
走行部材36は、
図3の様に、走行用モータ60と、車軸61,62及びベルト65によって構成されている。
走行用モータ60は、ギャードモータの一種であり、円筒形のケース66内にモータと減速機(いずれも図示せず)が内蔵されたものであり、ケース66の一端から回転軸67が突出している。そして当該回転軸67に歯車68が取り付けられている。
走行用モータ60を回転すると、本体ケース33に設けられた4つの車輪69が同期的に回転する。
【0028】
保持部材31は、本体ケース33の上に載置されている。保持部材31は、単に本体ケース33の上に載置されているだけであるから、本体ケース33に対して自由度を持ち、従動部材43の昇降に伴って昇降する。
【0029】
制御装置38は、無線通信を行う送信機と受信機を内蔵している。送信機と受信機は、制御装置38と外部の操作装置5(
図1)との間で信号を送受信するものである。
【0030】
また制御装置38には、重量測定手段を実現するプログラムが格納されている。また制御装置38は、保持部材31を上昇させる際の昇降用モータ22に供給される電流を検出する電流値測定手段と、保持部材31を上昇させる際の昇降用モータ22の回転数を検出する回転数検出手段を有している。前記した様に、昇降用モータ22は、回転数に応じてパルスを出力する機能があり、回転数検出手段は、当該パルスを積算することによって、昇降用モータ22の原点からの回転数を検出するものである。即ち、パルスは、昇降用モータ22の回転数に関連する情報である。
【0031】
さらに制御装置38は、無負荷時電流積算手段及び有負荷時電流積算手段と、これらに基づいてトレイ8の重量(正確にはトレイ8とその上の収容物57の総重量 物品の重量)を演算又は推定する重量演算手段を有している。さらに制御装置38は速度設定手段を有している。加えて制御装置38は後記する制動時期変更手段と制動力変更手段を有している。
また制御装置38には、走行用モータ60を制御する走行用モータ制御回路が内蔵されている。
【0032】
上記した物品搬送装置6は、前記した様に架台部材2の各収容部3に一個ずつ配備されている。物品搬送装置6は、
図6の様に、架台部材2の載置部材10a、10bの接続板13同士で挟まれた空間28内に設置され、物品搬送装置6の各車輪69が下面板12の上面に載せられている。
下面板12は、架台部材2の走行路を構成するものであり、物品搬送装置6の各車輪69は、走行路(下面板12)と接している。
そのため走行用モータ60を起動して各車輪69を回転させると、物品搬送装置6は、架台部材2の載置部材10a、10bで囲まれた細長い空間28を直線移動する。
【0033】
また物品搬送装置6の昇降部材35が降下した状態においては、
図6(a)の様に保持部材31は、載置部材10a、10bの上面板11よりも下に沈む。従って、
図6(a)の様に載置部材10a、10bにトレイ8が載置されていたとしても、物品搬送装置6の保持部材31がトレイ8に接することはない。そのためトレイ8の底は、載置部材10a、10bの上面板11と接した状態を維持し、載置部材10a、10bによって中空に載置されている。
【0034】
その一方で昇降用モータ22を駆動して昇降部材35を上昇させると、
図6(c)、(d)の様に保持部材31は、載置部材10a、10bの上面板11よりも上に上昇する。
従って、
図6(c)、(d)の上面板11にトレイ8が載置されていたならば、中空に載置されたトレイ(物品)8に対して下の位置から保持部材31を上昇させ、物品搬送装置6の保持部材31によってトレイ8が載置部材10a、10bからすくい上げられる。その結果、トレイ8は、載置部材10a、10bの上面板11から離れる。
【0035】
保持部材31の上昇工程と、トレイ8の関係に注目すると、次の通りである。
保持部材31は、
図6(a)の下限位置から、
図6(d)の上限位置の範囲を昇降する.したがって、
図6(a)の下限位置から、
図6(d)の上限位置の間が上昇領域である。
保持部材31は、
図6(a)の様に下限位置で待機する。このとき、保持部材31は、トレイ8とは接触していない。
昇降用モータ22を駆動して保持部材31を上昇させると、
図6(b)の様に保持部材31がトレイ8と接触する。
図6(a)の下限位置から
図6(b)のトレイ8と接触するまでの間、トレイ8(物品)8の荷重は昇降用モータ22には掛からない。従って、昇降用モータ22は、物品(トレイ8)の荷重に基づく負荷に関しては、無負荷状態で駆動される。
【0036】
図6(b)の様に保持部材31がトレイ8と接触した後、さらに保持部材31を上昇させると、
図6(c)の様にトレイ8が持ち上げられる。そして
図6(d)の様に、トレイ8がさらに持ち上げられ、保持部材31が上限位置に至ると昇降用モータ22が停止する。
保持部材31がトレイ8と接触した後、保持部材31が上限位置に至るまでの間は、トレイ(物品)8の荷重が昇降用モータ22に掛かる。従って、昇降用モータ22は、物品(トレイ8)の荷重に基づく負荷に関しては、有負荷状態で駆動される。
【0037】
制御装置38はCPUを内蔵し、当該CPUに重量測定手段を実現するコンピュータプログラムが書き込まれている。
重量測定手段は、電流値測定手段、回転数検出手段、無負荷時電流積算手段、有負荷時電流積算手段及び重量演算手段のそれぞれを構成するコンピュータプログラムを備えている。また速度設定手段、制動時期設定手段及び制動力設定手段についてもCPUによって実現されている。
【0038】
制御装置38には、昇降用モータ22に供給され昇降用モータ22で消費される電流値が入力される。そして電流値測定手段によって昇降用モータ22に供給された電流値が検出される。
さらに制御装置38には、昇降用モータ22の図示しないホール素子の信号が入力されている。そして昇降用モータ22から出力されるパルスが計数される。
本実施形態では、昇降用モータ22のから出力されるパルスの積算値数によって、保持部材31の高さが監視されている。
即ちホール素子を起源とするパルス信号が、制御装置38に入力され、パルス数の積算値によって、保持部材31の高さが間接的に検知される。
例えば、下限位置は、パルスの積算値が0である。パルスの積算値がNAの近傍の高さで保持部材31がトレイ8と接触する。以下、パルスの積算値を単にパルス数と言う。
【0039】
本実施形態では、下限位置よりも少し高い位置に相当するパルス数aと、パルス数aよりも多く、保持部材31がトレイ8と接触するパルス数がNAよりも少ないパルス数bが設定されている。
パルス数aからパルス数bの間は、上昇領域の一部であり、昇降用モータ22が、物品(トレイ8)の荷重に基づく負荷に関しては、無負荷状態で駆動される区間である。またこの間は、昇降用モータ22の突入電流の影響が少なく、電流値が安定している区間である。
【0040】
さらに本実施形態では、保持部材31がトレイ8と接触するパルス数がNAよりも大きいパルス数cと、パルス数cよりも大きく上限位置に相当するパルス数よりも小さいパルス数dが設定されている。
パルス数cからパルス数dの間は、上昇領域の一部であり、昇降用モータ22が、物品(トレイ8)の荷重に基づく負荷に関しては、有負荷状態で駆動される区間である。またこの間は、昇降用モータ22が強制停止されることによる過電流の影響が少なく、電流値が安定している区間である。
【0041】
無負荷時電流積算手段は、パルス数aからパルス数bの間における、昇降用モータ22に供給された電流の積算値を演算するものである。無負荷時電流積算手段は積算値の近似値を演算するものであってもよい。
有負荷時電流積算手段は、パルス数cからパルス数dの間における、昇降用モータ22に供給された電流の積算値を演算するものである。有負荷時電流積算手段は積算値の近似値を演算するものであってもよい。
【0042】
重量演算手段は、無負荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値またはその近似値と、有負荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値またはその近似値から、物品の重量を演算するものである。
具体的には次の式1に基づいて、重量に関連する数値Gが演算される。f(x)は、電流値の変化を示す式である。
【0043】
【0044】
なお重量測定手段の測定精度は、高いものである必要はなく、「軽量」「中量」「重い」という様に何段階かにランク分けする程度であってもよい。
【0045】
重量測定手段は、前記した様に、無負荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値と、有負荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値から、物品の重量を演算するものである。
ここで、有負荷状態において、保持部材31を上昇させる際における昇降用モータ22に供給される電流の積算値と、保持部材31に載置された物品たるトレイ8の重量との間には相関関係がある。
例えばトレイ8の重量が重い場合には、昇降用モータ22に供給される電流が増加する。
ここで、トレイ8の重量が重い場合には、昇降用モータ22の回転数が低下するので、保持部材31を上昇させるのに要する時間が増大し、単位時間当たりの電流量は、必ずしもトレイ8の重量を直接的に反映しない。これに対して、電流の積算値は、より正確にトレイ8の重量を反映する。
しかしながら、例えば冬季における始業直後の様に、外気温度が低く、且つ停止時間が長い条件下では、装置内部等のグリスの粘度が高く、摩擦等に消費される電力が、重量に関連する電流に加算される。そのため、この条件下で保持部材31を上昇させると、昇降用モータ22に流れる電流値が通常に比べて高くなり、電流の積算値も大きくなる。
【0046】
本実施形態では、無負荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値によって、有荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値を補正し、より正確に物品の重量を判定する。
即ち、無負荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値は、装置の摩擦抵抗等に依存して変化する。
具体的には、冬季における始業直後の様に、外気温度が低く、且つ停止時間が長い条件下では、積算値が大きくなる。
従って、有荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値を、無負荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値で除した値Gは、物品の重量の大小に対応したものとなる。即ち、Gが大きい場合は、物品の重量は大きく、Gが小さい場合は、物品の重量が小さい。
【0047】
図8に示すグラフは、トレイ8に同一の収容物57を載せ、架台部材2の載置部材10a、10bによって中空に載置されたトレイ8に対して下の位置から保持部材31を上昇させ、保持部材31でトレイ8をすくい上げた際における昇降用モータ22のパルス数と供給される電流の関係を示すグラフであり、(a)は、通常時における関係を示し、(b)は、始業直後における関係を示す。
【0048】
図8に示す二つのグラフを比較しても明らかな様に、始業直後における電流値は、全体的に、通常時における電流値がかさ上げされた様な値となっている。そのため、積算の対象となる有負荷時の積算値に相当する面積は、通常時における面積よりも、始業直後における面積の方が大きい。同様に、積算の対象となる無負荷時の積算値に相当する面積は、通常時における面積よりも、始業直後における面積の方が大きい。
そのため、有負荷時の積算値を無負荷時の積算値で除した値Gは、始業直後においても、通常時と大差ない。
重量測定手段の測定結果は、送信機によって操作装置5に送信される。
【0049】
次に、物品搬送装置の保持部材31を上昇させて物品の重量を検知する際の工程について、
図7のフローチャートを参照しつつ説明する。
本実施形態においては、ステップ1で、保持部材31を上昇させる指示を待つ。保持部材31を上昇させる指示があるとステップ1からステップ2に進み、昇降用モータ22を駆動させる。
その結果、保持部材31が上昇する。この間、制御装置38の回転数検知手段は、昇降用モータ22のパルス数を監視している。言い換えると、保持部材31の高さを監視している。そして、ステップ3で、パルス数がaに達するのを待つ。パルス数がaに相当する高さは、保持部材31が下限位置を離れた高さである。
【0050】
パルス数がaに達するとステップ3からステップ4に進み、無負荷時電流積算手段によって昇降用モータ22に供給される電流値の積算が開始される。
そして当該電流値の積算は、昇降用モータ22のパルス数がbに達するまで続けられる。パルス数がbに相当する高さは、保持部材31がトレイ8と接触する直前の高さである。
昇降用モータ22から出力されるパルス数がbに達すると、ステップ5からステップ6に進み、電流値の測定が一旦停止される。
【0051】
保持部材31は、上昇を続け、トレイ8と接触する。ここから、トレイ8の重量が昇降用モータ22に掛かり、電流量が増加することとなる。そして、ステップ7で、パルス数がcに達するのを待つ。パルス数がcに相当する高さは、保持部材31が、載置部材10a、10bの上面板11の高さを超えた直後の高さである。
【0052】
パルス数がcに達するとステップ7からステップ8に進み、有負荷時電流積算手段によって昇降用モータ22に供給される電流値の積算が開始される。
そして当該電流値の積算は、昇降用モータ22のパルス数がdに達するまで続けられる。パルス数がdに相当する高さは、保持部材31の上限位置の手前の高さである。
昇降用モータ22のパルス数がdに達すると、ステップ9からステップ10に進み、電流値の測定が一旦停止される。
【0053】
保持部材31は、上昇を続け、上限に至る。ステップ11で、保持部材31が上限に至ったことが確認されると、昇降用モータ22が停止される。
【0054】
続いて、有負荷時の積算値と、無負荷時の積算値によって、物品の重量が演算される。具体的には、有負荷時の積算値を、無負荷時の積算値で除した値Gによって、物品の重量が決められる。
【0055】
そしてステップ14に進み、物品の重量に適した搬送速度、制動時期及び制動力が設定される。即ち制御装置38は、速度決定手段と、制動力設定手段及び制動時期設定手段を有している。
速度決定手段は、車輪(走行輪)69の回転速度を条件に応じて変更する走行速度変更手段として機能し、車輪(走行輪)69の回転速度を決定するものである。より具体的には、走行用モータ60に内蔵されているモータの回速速度を決定するものである。本実施形態では、速度決定手段は重量測定手段の測定結果に基づいて走行用モータ60の回転速度を決定する。
制動力設定手段は、車輪(走行輪)69の制動力を条件に応じて変更するものである。
制動時期変更手段は、物品搬送装置6を既存の物品の近傍で停止させる機能であり、制動を開始するタイミングを変化させるものである。
【0056】
本実施形態では、走行用モータ60の回転速度が3段階に分かれており、トレイ8の重量が軽量である場合には高速で走行用モータ60を回転させ、物品搬送装置6を高速で移動させる。またトレイ8の重量が軽い場合には物品搬送装置6を高速で移動させた後、強い制動をかけて比較的急停止状態に停止させる。
【0057】
一方、トレイ8の重量が中量である場合には中速で走行用モータ60を回転させ、物品搬送装置6を中速で移動させる。またトレイ8の重量が中量である場合には物品搬送装置6を中速で移動させた後、中程度の制動をかけて比較的ゆっくりと物品搬送装置6を停止させる。
【0058】
トレイ8の重量が重い場合には低速で走行用モータ60を回転させ、物品搬送装置6を低速で移動させる。またトレイ8の重量が重い場合には物品搬送装置6を低速で移動させた後、弱い制動をかけて比較的ゆっくりと物品搬送装置6を停止させる。
この様に本実施形態では、重量測定手段の測定結果に基づいて、物品搬送装置6の加速度、巡行時の走行速度、制動強度及び制動時期を変える。
【0059】
次に、本実施形態の物品保管装置1の一連の動作について説明する。
本実施形態では、図示しないフォークリフト、クレーン、エレベータ等によって収容物57が載置されたトレイ8aが、
図10(a)の様に架台部材2の細長い形状の収容部3の始端部に載置される。
なお
図10(a)では、先に他のトレイ8bが収容部3に収容されている状態を図示している。先行して収容されているトレイ8bには収容物57が載置されている。先行して収容されているトレイ8bは、細長い形状の収容部3の奥にある。
【0060】
本実施形態の物品保管装置1では、収容部3に配置されている物品搬送装置6を走行させ、新たに収容されたトレイ8aの下に物品搬送装置6を潜り込ませる。
具体的には、保持部材31を降下させた状態で、走行用モータ60を起動し、物品搬送装置6を走行させて
図10(b)の様にトレイ8aの下に物品搬送装置6を潜り込ませる。
【0061】
そして昇降用モータ22を起動して保持部材31を上昇させる。
ここで物品搬送装置6は、トレイ8aの下にあり、保持部材31の上の中空位置にトレイ8aがあるから、保持部材31によってトレイ8aが持ち上げられる。
本実施形態では、保持部材31を上昇してトレイ8aが持ち上げる際の昇降用モータ22への供給電流が電流値測定手段によって検出される。そして重量測定手段は、電流値測定手段が検出した電流値の積算値に基づいてトレイ8の重量を演算する。
【0062】
例えばトレイ8aの重量が軽い場合には、
図9(a)の様に電流値測定手段によって検出される昇降用モータ22に供給される電流の積算値が小さい。
有荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値を、無負荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値で除した値Gは、小さいものとなる。有荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値を、無負荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値で除した値Gが小さい場合は、トレイ8の重量が軽いと判定する。
【0063】
一方、トレイ8aの重量が中量である場合には、
図9(b)の様に電流値測定手段によって検出される昇降用モータ22に供給される電流の積算値が中程度となる。
一方、無負荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値は、
図9(a)で示した物品の重量が軽い場合と大差ない。
そのためトレイ8aの重量が中量である場合は、有荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値を、無負荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値で除した値Gは、中程度となる。有荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値を、無負荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値で除した値Gが中程度である場合は、トレイ8の重量が中程度と判定する。
【0064】
トレイ8aの重量が重い場合には、
図9(c)の様に電流値測定手段によって検出される昇降用モータ22に供給される電流の積算値が大となる。
一方、無負荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値は、
図9(a)で示した物品の重量が軽い場合と大差ない。
そのためトレイ8aの重量が大きい場合は、有荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値を、無負荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値で除した値Gが大きくなる。有荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値を、無負荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値で除した値Gが大である場合は、トレイ8の重量が大きいと判定する。
【0065】
図10の説明に戻ると、前記した様にトレイ8aの下に物品搬送装置6を潜り込ませ(
図10b)、昇降用モータ22を起動して保持部材31を上昇させて、
図10(c)の様にトレイ8aを載置部材10a、10bからすくい上げる。
そして走行用モータ60に通電して車輪(走行輪)69を回転させ、
図10(d)~(f)の様にトレイ8aを保持部材31上に載せたままの状態で物品搬送装置6を走行させる。そして物品搬送装置6が先行して収容されているトレイ8bに近づくと、
図10(g)の様に走行用モータ60を制動し、先行して収容されているトレイ8bの横に物品搬送装置6を停止する。
【0066】
ここで本実施形態では、前記した重量測定手段の測定結果に基づいて、物品搬送装置6の走行パターンを変える。
【0067】
即ちトレイ8が軽量である場合には、比較的、急加速で物品搬送装置6を発進させる。そして高速状態で物品搬送装置6を走行させる。そして先行して収容されているトレイ8bの直前で走行用モータ60を制動し、先行して収容されているトレイ8bの横に物品搬送装置6を停止する。
即ちトレイ8が軽い場合には、速度決定手段は、急発進、高速走行、急停車の走行パターンを選択し、この走行パターンに則って走行用モータ60が駆動される。
【0068】
トレイ8の重量が中量である場合には、中程度の加速で物品搬送装置6を発進させる。そして中程度の速度で物品搬送装置6を走行させる。そして先行して収容されているトレイ8bよりもやや手前で走行用モータ60を制動し、先行して収容されているトレイ8bの横に物品搬送装置6を停止する。
即ちトレイ8の重量が中量の場合には、速度決定手段は、中程度の発進、中速走行、中適度の制動の走行パターンを選択し、この走行パターンに則って走行用モータ60が駆動される。
【0069】
トレイ8の重量が重い場合には、緩い加速で物品搬送装置6を発進させる。そして低速で物品搬送装置6を走行させる。そして先行して収容されているトレイ8bよりも十分に手前で走行用モータ60を制動し、先行して収容されているトレイ8bの横に物品搬送装置6を停止する。
即ちトレイ8が重い場合には、速度決定手段は、緩発進、低速走行、緩停車の走行パタ
ーンを選択し、この走行パターンに則って走行用モータ60が駆動される。
即ちトレイ8が重い場合には、巡行走行時の速度、加速率及び減速率をいずれも小さくする。
【0070】
いずれかの走行パターンに則ってトレイ8aを保持部材31上に載せたままの状態で物品搬送装置6を走行させ、
図10(g)の様に先行して収容されているトレイ8bの横に物品搬送装置6を停止させる。そしてその後、
図10(h)の様に昇降用モータ22を起動して保持部材31を降下させ、トレイ8aを保持部材31から載置部材10a、10bに載せ変える。
即ち保持部材31を載置部材10a、10bよりも下に降下させ、保持部材31をトレイ8aから離す。
その後、物品搬送装置6を走行させ、新たなトレイ8の搬送に向かう。
【0071】
以上説明した実施形態では、ラック部材40a,40bの直線運動をカムによって上下運動に変換し、保持部材31を昇降させる昇降機構を採用した。この構成は、物品搬送装置6の全高を低く抑えることができ、推奨される構成である。
しかしながら本発明は、この構成に限定されるものではなく、他の構造のカムやねじによって保持部材31を昇降させてもよい。
例えば
図11の様なカム75をモータによって回転し、カム75の一部を直接保持部材31に当接させて保持部材31を昇降させる昇降機構を採用してもよい。
【0072】
また
図12の様に、昇降棒76を昇降させ、昇降棒76によって保持部材31を昇降させる昇降機構77でもよい。
図12に示す昇降機構77は、昇降棒76にネジ74が形成されており、昇降棒76のネジ74が雌ねじ部材78と係合している。また雌ねじ部材78の外周には歯車が形成されている。一方、昇降用モータ79にも歯車98が取り付けれており、歯車98は昇降用モータ79によって回転される。そして昇降用モータ79側の歯車98が雌ねじ部材78の外周の歯車と係合している。
なお雌ねじ部材78は昇降不能に固定されており、昇降棒76は回転不能に支持されている。
図12に示す昇降機構77では、昇降用モータ79によって雌ねじ部材78が回転し、雌ねじ部材78と係合してしいる昇降棒76が昇降し、保持部材31を昇降させる。
【0073】
また
図13の様に、昇降棒95にラック96を形成し、モータ97によって回転するピニオン99を係合させて保持部材31を昇降させる昇降機構でもよい。
【0074】
前記した実施形態では、物品搬送装置6は直線方向にのみ移動するものであるが、X-Y方向に移動する機能を有していてもよい。
【0075】
また以上説明した実施形態では、物品の重量(収容物57とトレイ8の合計)を「軽量」「中量」「重い」の3段階に分けたが、2段階であってもよい。またさらに多くに区分してもよい。さらに無段階に分けてもよい。
以上説明した実施形態では、物品の重量が「軽量」である場合には物品搬送装置6の走行速度を速くしたが、物品の重量が極めて軽い場合であって、収容物が転がり易いものである場合や収容物が滑り易いものである様な場合には、物品搬送装置6の走行速度を遅くすることが望ましい。
【0076】
以上説明した実施形態では、パルス数a,bを設定し、パルス数aとパルス数bの間の領域に限って無負荷状態における電流値を積算したが、無負荷状態の全域の電流値を積算してもよい。
同様に、パルス数c,dを設定し、パルス数cとパルス数dの間の領域に限って有負荷状態における電流値を積算したが、有負荷状態の全域の電流値を積算してもよい。
【0077】
以上説明した実施形態では、昇降用モータ22の回転数に関連する情報としてホール素子の信号に基づくパルスを取得し、モータの回転数によって保持部材31の高さを監視した。
昇降用モータ22の回転数に関連する情報は、ホール素子の信号に限定されるものではない。例えば、モータにロータリーエンコーダを取り付け、ロータリーエンコーダによって昇降用モータ22の回転数に関連する情報を得てもよい。
また、モータの回転数によらずに保持部材31の高さを検知してもよい。例えばリミットスイッチや光学的センサー等によって、保持部材31の高さを検知してもよい。
【0078】
以上説明した実施形態では、有荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値を、無負荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値で除した値Gによって、物品の重量を判定したが、有荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値から、無負荷時電流積算手段によって算出された電流の積算値を引いた値によって、物品の重量を判定してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 物品保管装置
2 架台部材
6 物品搬送装置
8 トレイ
10a、10b 載置部材
12 下面板(走行路)
22、79 昇降用モータ
31 保持部材
35 昇降部材
38 制御装置
57 収容物
69 車輪(走行輪)