(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047109
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】座席装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20230329BHJP
A47C 7/72 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156048
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】内田 将
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084JA06
3B084JD07
3B087DE09
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】座席装置を使用する使用者が抱く異物感を軽減しつつ、局所的な振動を使用者に付与できる座席装置を提供すること。
【解決手段】座席装置100は、左右方向及び前後方向に延在するシートカバー2と、シートカバー2の下側に配置されるクッション部材1Cと、クッション部材1Cとシートカバー2との間に設置される振動発生装置6とを備える。振動発生装置6とシートカバー2との間には可撓性のフィルム部材5が配置されている。フィルム部材5は、左右方向の寸法が前記クッション部材1Cの上面の左右方向の寸法の1/2以下となるように、或いは、前後方向の寸法が前記クッション部材1Cの上面の前後方向の寸法の1/2以下となるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向及び前後方向に延在するシートカバーと、
前記シートカバーの下側に配置されるクッション部材と、
前記クッション部材と前記シートカバーとの間に設置される振動発生装置と、を備え、
前記振動発生装置と前記シートカバーとの間には可撓性のフィルム部材が配置されており、
前記フィルム部材は、左右方向の寸法が前記クッション部材の上面の左右方向の寸法の1/2以下となるように、或いは、前後方向の寸法が前記クッション部材の上面の前後方向の寸法の1/2以下となるように構成されている、
ことを特徴とする座席装置。
【請求項2】
前記フィルム部材は、左右方向の寸法が人体接触面の左右方向の寸法より小さくなるように、或いは、前後方向の寸法が前記人体接触面の前後方向の寸法より小さくなるように構成されており、
前記人体接触面は、前記クッション部材の上面において使用者の体表面が接触する部分として予め設定されている領域である、
請求項1に記載の座席装置。
【請求項3】
前記フィルム部材は、左右方向の寸法が前記人体接触面の左右方向の寸法の1/2以下となるように、或いは、前後方向の寸法が前記人体接触面の前後方向の寸法の1/2以下となるように構成されている、
請求項2に記載の座席装置。
【請求項4】
前記フィルム部材は、前記振動発生装置が取り付けられる中央部が、前記中央部の周辺にある周辺部よりも硬くなるように構成されている、
請求項1から請求項3の何れかに記載の座席装置。
【請求項5】
前記中央部には貫通孔が形成されておらず、
前記周辺部には貫通孔が形成されている、
請求項4に記載の座席装置。
【請求項6】
前記クッション部材の上面側には凹部が形成されており、
前記振動発生装置は、前記凹部に収納されている、
請求項1から請求項5の何れかに記載の座席装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、座席装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、振動発生装置が埋め込まれた座席装置が知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-119840号公報
【特許文献2】特開2019-166976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の座席装置では、振動発生装置は、シートカバーの下面に接するようにクッション部に埋め込まれている。そのため、振動発生装置は、シートカバーを介し、座席装置を使用する使用者の体表面に比較的小さい接触面積を介して接触してしまい、使用者に異物感を抱かせてしまうおそれがある。
【0005】
それに対し、特許文献2に記載の座席装置では、振動発生装置は、シートカバーの下側に配置された振動板の下面に接するようにシートクッションの内部に埋め込まれている。この構成では、振動板は、シートカバーを介し、使用者の体表面に比較的大きい接触面積を介して接触する。そのため、振動発生装置は、使用者に異物感を抱かせてしまうのを防止できる。しかしながら、特許文献2に記載の振動発生装置は、局所的な振動を使用者に与えることができなくなってしまうおそれがある。
【0006】
そこで、座席装置を使用する使用者が抱く異物感を軽減しつつ、局所的な振動を使用者に付与できる座席装置を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る座席装置は、左右方向及び前後方向に延在するシートカバーと、前記シートカバーの下側に配置されるクッション部材と、前記クッション部材と前記シートカバーとの間に設置される振動発生装置と、を備え、前記振動発生装置と前記シートカバーとの間には可撓性のフィルム部材が配置されており、前記フィルム部材は、左右方向の寸法が前記クッション部材の上面の左右方向の寸法の1/2以下となるように、或いは、前後方向の寸法が前記クッション部材の上面の前後方向の寸法の1/2以下となるように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
上述の座席装置は、座席装置を使用する使用者が抱く異物感を軽減しつつ、局所的な振動を使用者に付与できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る座席装置の上面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る座席装置の断面図である。
【
図3】クッション部材に形成された凹部に収容された振動発生装置及びスポンジ部材の上面図である。
【
図4】振動発生装置に固定されるフィルム部材の上面図である。
【
図6】クッション部材上のフィルム部材の配置位置を示す座席装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係る座席装置100について説明する。
図1は、座席装置100の上面図である。
図2は、座席装置100の断面図である。具体的には、
図2は、
図1の一点鎖線(切断線II-II)を含むXZ平面に平行な平面における座席装置100の断面を矢印で示すようにY1側から見たときの図である。具体的には、
図2の上図は、座席装置100の全体の断面図であり、
図2の下図は、
図2の上図における領域R1の拡大図である。
【0011】
図1及び
図2のそれぞれにおけるX1は三次元直交座標系を構成するX軸の一方向を表し、X2はX軸の他方向を表す。また、Y1は三次元直交座標系を構成するY軸の一方向を表し、Y2はY軸の他方向を表す。同様に、Z1は三次元直交座標系を構成するZ軸の一方向を表し、Z2はZ軸の他方向を表す。本実施形態では、座席装置100のX1側は、座席装置100の前側(正面側)に相当し、座席装置100のX2側は、座席装置100の後側(背面側)に相当する。また、座席装置100のY1側は、座席装置100の左側に相当し、座席装置100のY2側は、座席装置100の右側に相当する。そして、座席装置100のZ1側は、座席装置100の上側に相当し、座席装置100のZ2側は、座席装置100の下側に相当する。他の図においても同様である。
【0012】
座席装置100は、主に、シート1、シートカバー2、布部材3、制御部4、フィルム部材5、振動発生装置6、及びスポンジ部材7で構成されている。
【0013】
シート1は、建設機械、車両、鉄道車両、船舶、又は航空機等に搭載されるように構成されている。本実施形態では、シート1は、車両の運転席であるが、助手席であってもよく、後部座席であってもよい。
【0014】
図示例では、シート1は、主に、バックレスト1B、クッション部材1C、及びヘッドレスト1Hで構成されている。シート1は、ランバーサポート又はアームレスト等を含んでいてもよい。
【0015】
バックレスト1Bは、シート1に着座する運転者等の使用者の背中を支持できるように構成されている。クッション部材1Cは、シート1に着座する運転者等の使用者の臀部及び大腿部を支持できるように構成されている。ヘッドレスト1Hは、シート1に着座する運転者等の使用者の頭部を支持できるように構成されている。
【0016】
図示例では、バックレスト1B、クッション部材1C、及びヘッドレスト1Hは何れもポリウレタンで形成されているが、綿、羽毛、又はポリエステル等の他の任意の材料で形成されていてもよい。
【0017】
シートカバー2は、シート1のクッション部材1Cを覆うことができるように構成されている。図示例では、シートカバー2は、クッション部材1Cの上面、前面、左側面、右側面、及び背面を覆うように構成されている。具体的には、シートカバー2は、合成繊維で構成されている。但し、シートカバー2は、皮革、天然繊維、又は再生繊維等であってもよい。シートカバー2は、その上面が使用者(運転者)の臀部及び大腿部に接触するようにクッション部材1Cに被せられている。
【0018】
布部材3は、シートカバー2の肌触り又は手触りを向上させるためにクッション部材1Cとシートカバー2との間に配置される部材である。図示例では、布部材3は、不織布であるが、織布又はフェルト等であってもよい。また、布部材3は、スポンジ等の他の部材で置き換えられてもよい。また、図示例では、布部材3は、クッション部材1Cの上面とシートカバー2との間に配置されているが、クッション部材1Cの前面、左側面、及び右側面の少なくとも一つとシートカバー2との間に追加的に配置されていてもよい。また、布部材3は省略されてもよい。
【0019】
制御部4は、振動発生装置6の動きを制御できるように構成されている。図示例では、制御部4は、電子回路及び不揮発性記憶装置を含む装置であり、振動発生装置6を振動させるための駆動信号を生成し、その駆動信号を振動発生装置6に対して出力できるように構成されている。駆動信号は、例えば、電流信号又は電圧信号等である。制御部4は、コンピュータ等の外部装置からの制御指令に応じて駆動信号を生成するように構成されていてもよく、外部装置からの制御指令を受けずに駆動信号を生成するように構成されていてもよい。なお、図示例では、制御部4は、シート1の外部に設置されているが、シート1の内部に設置されていてもよい。
【0020】
フィルム部材5は、クッション部材1Cとシートカバー2との間に配置される可撓性の薄い部材である。また、フィルム部材5は、シートカバー2の下側で振動発生装置6を保持できるように構成されている。図示例では、フィルム部材5は、合成樹脂によって形成され、クッション部材1Cの上面と布部材3との間に配置されている。なお、フィルム部材5は、ゴム又は金属等、合成樹脂以外の材料で形成されていてもよい。
【0021】
また、フィルム部材5の下面には、
図2の下図に示すように、締結部材SCによって振動発生装置6が固定されている。すなわち、振動発生装置6は、その上端がフィルム部材5の上面よりも上方に突出してしまうことがないようにフィルム部材5の下面から吊り下げられるように固定されている。振動発生装置6の上端が運転者の皮膚を押して運転者に異物感又は突き上げ感を抱かせてしまうのを抑制し或いは防止するためである。
【0022】
図示例では、締結部材SCは超低頭ネジである。超低頭ネジは、ネジのヘッド部が運転者の体表面に食い込んで運転者に異物感又は突き上げ感を抱かせてしまうのを抑制でき或いは防止できるという効果をもたらす。但し、締結部材SCは、ボルトとナットの組み合わせ又はリベット等であってもよい。また、締結部材SCは省略されてもよい。この場合、振動発生装置6は、接着剤によってフィルム部材5の下面に接着固定されてもよい。
【0023】
振動発生装置6は、運転者に振動を付与できるように構成されている。図示例では、振動発生装置6は、運転者の大腿部の裏側に振動を付与することによって運転者の注意を喚起できるように構成されている。
【0024】
具体的には、振動発生装置6は、制御部4からの制御指令に応じてXY平面に平行な振動軸に沿って振動するように構成されている。より具体的には、振動発生装置6は、X軸に平行な振動軸に沿って振動するように構成されている。但し、振動発生装置6は、Y軸に平行な振動軸に沿って振動するように構成されていてもよい。或いは、振動発生装置6は、Z軸に平行な振動軸に沿って振動するように構成されていてもよく、X軸、Y軸、及びZ軸の何れに対しても非平行な振動軸に沿って振動するように構成されていてもよい。或いは、振動発生装置6は、二つ以上の振動軸のそれぞれに沿って同時に或いは互いに異なるタイミングで振動できるように構成されていてもよい。
【0025】
図示例では、振動発生装置6の筐体は金属で形成されている。但し、振動発生装置6の筐体は合成樹脂等の金属以外の材料で形成されていてもよい。
【0026】
凹部8は、振動発生装置6を収容できるようにクッション部材1Cに形成されている。凹部8は、クッション部材1Cを上下に貫通する貫通孔であってもよい。
【0027】
スポンジ部材7は、凹部8内に収容される振動発生装置6の位置決めを実現できるように構成されている。本実施形態では、スポンジ部材7は、
図2の下図及び
図3に示すように、凹部8の側壁SWと振動発生装置6との間で、振動発生装置6を取り囲むように配置されている。
【0028】
ここで、更に
図3及び
図4を参照し、クッション部材1Cに形成された凹部8内に収容される振動発生装置6とフィルム部材5及びスポンジ部材7との位置関係について説明する。
図3は、クッション部材1Cに形成された凹部8に収容された振動発生装置6及びスポンジ部材7の上面図である。
図4は、振動発生装置6に固定されるフィルム部材5の上面図である。
【0029】
本実施形態では、フィルム部材5は左フィルム部材5L及び右フィルム部材5Rを含み、振動発生装置6は左振動発生装置6L及び右振動発生装置6Rを含み、スポンジ部材7は左スポンジ部材7L及び右スポンジ部材7R(図示せず)を含み、凹部8は左凹部8L及び右凹部8Rを含む。
【0030】
図2及び
図3は、クッション部材1Cに形成された左凹部8Lに収容される左振動発生装置6L及び左スポンジ部材7Lと左振動発生装置6Lに固定される左フィルム部材5Lとを示している。
図4は、クッション部材1Cに形成された左凹部8Lに収容される左振動発生装置6Lに固定される左フィルム部材5Lを示している。そのため、
図2~
図4を参照する以下の説明は、左凹部8Lに収容された左振動発生装置6L及び左スポンジ部材7Lと左振動発生装置6Lに固定される左フィルム部材5Lに関するが、右凹部8Rに収容された右振動発生装置6R及び右スポンジ部材7Rと右振動発生装置6Rに固定される右フィルム部材5Rにも同様に適用される。図示例では、左フィルム部材5Lと右フィルム部材5Rとは同じ形状及び同じ大きさを有し、左振動発生装置6Lと右振動発生装置6Rとは同じ形状及び同じ大きさを有し、左スポンジ部材7Lと右スポンジ部材7Rとは同じ形状及び同じ大きさを有し、左凹部8Lと右凹部8Rとは同じ形状及び同じ大きさを有するためである。
【0031】
なお、
図3では、明瞭化のため、クッション部材1Cの表面(上面)には粗いクロスパターンが付され、左スポンジ部材7Lには格子パターンが付されている。また、
図3は、左フィルム部材5Lの輪郭を破線で示している。
【0032】
図示例では、左振動発生装置6Lは略直方体形状を有するように構成されている。そして、左凹部8Lは、左振動発生装置6Lを完全に収容できる大きさの略直方体形状の空間を提供できるように構成されている。
【0033】
左スポンジ部材7Lは、
図2及び
図3に示すように、左凹部8Lの側壁SWと接触し、且つ、左振動発生装置6Lの側壁と接触するように構成されている。また、左スポンジ部材7Lは、左振動発生装置6Lの側壁の全周を取り囲むように配置されている。
【0034】
左フィルム部材5Lに固定された左振動発生装置6Lは、この左スポンジ部材7Lにより、
図3に示すような上面視で左凹部8Lの略中央に位置決めされる。図示例では、左振動発生装置6Lは、左振動発生装置6Lの後側の側壁と左凹部8Lの側壁SWとの間に間隔GP1(
図2及び
図3参照)が形成されるように左凹部8L内に収容されている。
【0035】
また、左凹部8Lは、
図2の下図に示すように、上下方向(Z軸方向)における長さ(深さ)が、左振動発生装置6Lの上下方向(Z軸方向)における長さ(高さ)よりも大きくなるように構成されている。すなわち、左凹部8Lは、左フィルム部材5Lの下面に固定された左振動発生装置6Lが左凹部8L内に収容されたときに左振動発生装置6Lの下面と左凹部8Lの底壁BWとが接触しないように構成されている。
図2の下図に示す例では、左振動発生装置6Lは、左振動発生装置6Lの下面と左凹部8Lの底壁BWとの間に間隔GP2が形成されるように左凹部8L内に収容されている。
【0036】
この構成は、クッション部材1Cと左振動発生装置6Lとの直接的な接触により左振動発生装置6Lが発生させた振動がクッション部材1Cに吸収されてしまうのを抑制でき或いは防止できるという効果をもたらす。但し、本発明は、クッション部材1Cと左振動発生装置6Lとの直接的な接触を排除しない。すなわち、左凹部8Lは、左振動発生装置6Lと側壁SWとが接触するような幅及び奥行きを有するように構成されていてもよく、振動発生装置6と底壁BWとが接触するような深さを有するように構成されていてもよい。
【0037】
また、図示例では、左スポンジ部材7Lは、左振動発生装置6Lの下面と左凹部8Lの底壁BWとの間には配置されていないが、左振動発生装置6Lの下面と左凹部8Lの底壁BWとの間に配置されていてもよい。
【0038】
左フィルム部材5Lは、
図4に示すように、周辺部50及び中央部51を含む。そして、図示例では、周辺部50は、中央部51から後方に突出する後周辺部50Bと、中央部51から前方に突出する前周辺部50Fと、中央部51から左方に突出する左周辺部50Lと、中央部51から右方に突出する右周辺部50Rと、を含む。
【0039】
図4では、明瞭化のため、左フィルム部材5Lの周辺部50には粗いドットパターンが付され、左フィルム部材5Lの中央部51には細かいドットパターンが付されている。
【0040】
また、左フィルム部材5Lは、左振動発生装置6Lが取り付けられる中央部51が、中央部51の周辺にある周辺部50よりも硬くなるように、すなわち、撓みにくくなるように構成されている。図示例では、周辺部50には、中央部51よりも柔らかく(撓みやすく)なるように、貫通孔52が形成されている。
【0041】
具体的には、後周辺部50Bには五つの長円形状の後貫通孔52B(第1後貫通孔52B1~第5後貫通孔52B5)が形成され、前周辺部50Fには五つの長円形状の前貫通孔52F(第1前貫通孔52F1~第5前貫通孔52F5)が形成され、左周辺部50Lには五つの長円形状の左貫通孔52L(第1左貫通孔52L1~第5左貫通孔52L5)が形成され、右周辺部50Rには五つの長円形状の右貫通孔52R(第1右貫通孔52R1~第5右貫通孔52R5)が形成されている。
【0042】
但し、貫通孔52の形状は、長円形状以外の形状であってもよい。また、後周辺部50B、前周辺部50F、左周辺部50L、及び右周辺部50Rのそれぞれに形成される貫通孔52の数は、四つ以下であってもよく、六つ以上であってもよい。また、貫通孔52の形成は省略されてもよい。
【0043】
中央部51の前後左右に周辺部50が配置される構成は、中央部51に固定された左振動発生装置6Lがクッション部材1C内に沈み込んでしまうのを抑制でき或いは防止できるという効果をもたらす。周辺部50を含まない構成に比べ、クッション部材1Cの上面と左フィルム部材5Lの下面との間の接触面積を大きくすることができるためである。
【0044】
また、周辺部50が中央部51よりも柔らかい構成は、左フィルム部材5Lと運転者とが(シートカバー2及び布部材3を介して)接触したときに運転者が抱く異物感を和らげることができるという効果をもたらす。クッション部材1Cの変形に応じて周辺部50が比較的容易に変形できるためである。
【0045】
また、図示例では、左フィルム部材5Lは、左右方向(Y軸方向)における後周辺部50Bの長さ(幅WD1)が前周辺部50Fの長さ(幅WD2)と同じになるように、且つ、前後方向(X軸方向)における後周辺部50Bの長さ(奥行きDP1)が前周辺部50Fの長さ(奥行きDP2)と同じになるように構成されている。また、左フィルム部材5Lは、左右方向(Y軸方向)における左周辺部50Lの長さ(幅WD3)が右周辺部50Rの長さ(幅WD4)と同じになるように、且つ、前後方向(X軸方向)における左周辺部50Lの長さ(奥行きDP3)が右周辺部50Rの長さ(奥行きDP4)と同じになるように構成されている。また、左フィルム部材5Lは、左右方向(Y軸方向)における中央部51の長さ(幅WD5)が幅WD1~幅WD4の何れよりも小さく、且つ、前後方向(X軸方向)における中央部51の長さ(奥行きDP5)が奥行きDP1~奥行きDP4の何れよりも大きくなるように構成されている。但し、左フィルム部材5Lは、幅WD1~幅WD5及び奥行きDP1~奥行きDP5のそれぞれが任意の大きさとなるように構成されていてもよい。
【0046】
また、図示例では、左フィルム部材5Lは、XY平面において前後左右の四方向に周辺部50が張り出すように構成されているが、XY平面における任意の四つの方向に周辺部が張り出すように構成されていてもよい。例えば、周辺部50は、中央部51から右斜め前方、左斜め前方、右斜め後方、及び左斜め後方の四つの方向に張り出すように構成されていてもよい。また、左フィルム部材5Lは、XY平面における五つ以上の方向に周辺部が放射状に張り出すように構成されていてもよい。或いは、左フィルム部材5Lは、中央部51から一又は複数の周辺部が渦巻き状に広がるように構成されていてもよい。
【0047】
また、左フィルム部材5Lは、中央部51のところで上方又は下方に緩やかに凸となるべく湾曲するように形成されていてもよい。中央部51に固定された左振動発生装置6Lがクッション部材1C内に沈み込んでしまうのを更に抑制し或いは防止するためである。また、中央部51(左振動発生装置6L)と運転者との間の(シートカバー2及び布部材3を介した)確実な接触を実現しながらも、周辺部50と運転者とが(シートカバー2及び布部材3を介して)接触したときに運転者が抱く異物感を更に和らげるためである。
【0048】
また、図示例では、左フィルム部材5Lは、周辺部50の厚みと中央部51の厚みとが同じになるように構成されているが、周辺部50の厚みと中央部51の厚みとが互いに異なるように構成されていてもよい。例えば、左フィルム部材5Lは、周辺部50の厚みが中央部51の厚みよりも薄くなるように構成されていてもよい。
【0049】
また、図示例では、左フィルム部材5Lは、周辺部50と中央部51とが同じ材料によって形成されているが、周辺部50と中央部51とが互いに異なる材料によって形成されていてもよい。例えば、周辺部50は、中央部51よりも柔らかい材料で形成されていてもよい。
【0050】
また、図示例では、左フィルム部材5Lと左振動発生装置6Lとは締結部材SCによって互いに締結されている。具体的には、締結部材SC(
図2の下図参照)としての超低頭ネジは、左フィルム部材5Lの中央部51に形成された丸孔53(
図4参照)に挿通され、且つ、左振動発生装置6Lの突出部60に形成されたネジ孔61(
図3参照)にねじ込まれる。
【0051】
より具体的には、左振動発生装置6Lの上面には、
図3に示すように、上面の右前角部から前方に突出する前突出部60Fに前ネジ孔61Fが形成され、且つ、上面の左後角部から後方に突出する後突出部60Bに後ネジ孔61Bが形成されている。また、左フィルム部材5Lの中央部51には、
図4に示すように、前ネジ孔61Fに対応する位置に前丸孔53Fが形成され、後ネジ孔61Bに対応する位置に後丸孔53Bが形成されている。そして、超低頭ネジの一つは、左フィルム部材5Lの中央部51の右前角部に形成された前丸孔53F(
図4参照)に挿通され、且つ、左振動発生装置6Lの前突出部60Fに形成された前ネジ孔61F(
図3参照)にねじ込まれる。同様に、超低頭ネジの別の一つは、左フィルム部材5Lの中央部51の左後角部に形成された後丸孔53B(
図4参照)に挿通され、且つ、左振動発生装置6Lの後突出部60Bに形成された後ネジ孔61B(
図3参照)にねじ込まれる。
【0052】
なお、締結部材SCは、ボルトとナットの組み合わせ又はリベット等であってもよい。或いは、左フィルム部材5Lと左振動発生装置6Lとは接着剤によって互いに固定されていてもよく、超音波溶着によって互いに固定されていてもよい。この場合、締結部材SCは省略されてもよい。
【0053】
次に、
図5を参照し、フィルム部材5の別の構成例について説明する。
図5は、フィルム部材5の別の構成例を示す図である。具体的には、
図5の上図は、フィルム部材5の別の構成例であるフィルム部材5P(左フィルム部材5PL)の上面図であり、
図5の下図は、フィルム部材5の更に別の構成例であるフィルム部材5Q(左フィルム部材5QL)の上面図である。なお、
図5では、明瞭化のため、周辺部(周辺部50P及び周辺部50Q)には粗いドットパターンが付され、中央部(中央部51P及び中央部51Q)には細かいドットパターンが付されている。また、
図5では、振動発生装置6(左振動発生装置6L)のうちのフィルム部材(左フィルム部材5PL及び左フィルム部材5QL)で覆われた部分が破線で示されている。
【0054】
フィルム部材5と同様に、フィルム部材5Pは、左フィルム部材5PL及び右フィルム部材5PR(図示せず)を含み、フィルム部材5Qは、左フィルム部材5QL及び右フィルム部材5QR(図示せず)を含む。
【0055】
図5を参照する以下の説明は、左フィルム部材5PL又は左フィルム部材5QLに関するが、不図示の右フィルム部材5PR及び不図示の右フィルム部材5QRのそれぞれにも同様に適用される。左フィルム部材5PLと右フィルム部材5PRとは同じ形状及び同じ大きさを有するためである。また、左フィルム部材5QLと右フィルム部材5QRとは同じ形状及び同じ大きさを有するためである。
【0056】
左フィルム部材5PLは、円形の中央部51Pと中央部51Pから全方向に広がる円形の周辺部50Pとを有する点で、
図4に示すように矩形の中央部51と中央部51から前後左右の四つの方向に張り出す四つの周辺部50とを有する左フィルム部材5Lと異なる。また、左フィルム部材5PLは、周辺部50Pに貫通孔が形成されていない点で、貫通孔52が形成された周辺部50を有する左フィルム部材5Lと異なる。その他の点では、左フィルム部材5PLは左フィルム部材5Lと同じである。なお、左フィルム部材5PLには一又は複数の貫通孔が形成されていてもよい。
【0057】
また、左フィルム部材5PLは、左フィルム部材5Lの場合と同様に、中央部51Pに形成された二つの丸孔53P(後丸孔53PB及び前丸孔53PF)に挿通される締結部材SC(
図2参照)によって左振動発生装置6Lに締結されている。
【0058】
この構成により、左フィルム部材5PLは、左フィルム部材5Lによる効果と同様の効果を奏することができる。また、左フィルム部材5PLは、形状が単純であるため、左フィルム部材5Lよりも容易に製造され得るという効果をもたらす。
【0059】
左フィルム部材5QLは、貫通孔が形成されていない周辺部50Qと貫通孔52Qが形成された中央部51Qとを有する点で、貫通孔52が形成された周辺部50と貫通孔が形成されていない中央部51とを有する左フィルム部材5Lと異なるが、その他の点では左フィルム部材5Lと同じである。
【0060】
具体的には、左フィルム部材5QLの周辺部50Qは、後周辺部50QB、前周辺部50QF、左周辺部50QL、及び右周辺部50QRを含む。そして、後周辺部50QB、前周辺部50QF、左周辺部50QL、及び右周辺部50QRのそれぞれは、貫通孔を含まないように構成されている。
【0061】
また、左フィルム部材5QLの中央部51Qは、略矩形環状を有するように構成されている。すなわち、中央部51Qは、略矩形の一つの貫通孔52Qを有するように構成されている。図示例では、貫通孔52Qは、中央部51Qの中央に形成され、その幅及び奥行きは中央部51Qの幅及び奥行きのそれぞれの70%程度を占めるように構成されている。しかしながら、貫通孔52Qは、中央部51Qの中央から外れた位置に形成されていてもよい。また、中央部51Qには、複数の貫通孔52Qが形成されていてもよい。
【0062】
また、左フィルム部材5QLは、左フィルム部材5Lの場合と同様に、中央部51Qに形成された二つの丸孔53Q(後丸孔53QB及び前丸孔53QF)に挿通される締結部材SC(
図2参照)によって左振動発生装置6Lに締結されている。
【0063】
この構成により、左フィルム部材5QLは、左フィルム部材5Lによる効果と同様の効果を奏することができる。また、左フィルム部材5QLは、周辺部50Qの硬さ(撓みにくさ)を左フィルム部材5Lの周辺部50の硬さ(撓みにくさ)よりも大きく(撓みにくく)することができ、反対に、中央部51Qの硬さ(撓みにくさ)を左フィルム部材5Lの中央部51の硬さ(撓みにくさ)よりも小さく(撓みやすく)することができるという効果をもたらす。
【0064】
次に、
図6を参照し、クッション部材1C上のフィルム部材5の配置位置について説明する。
図6は、クッション部材1C上のフィルム部材5の配置位置を示す座席装置100の上面図である。なお、
図6では、明瞭化のため、シートカバー2、布部材3、制御部4、振動発生装置6、スポンジ部材7、及び凹部8の図示が省略されている。
【0065】
図6に示すように、クッション部材1Cは、前後方向(X軸方向)における長さ(奥行き)が奥行きD1となり、且つ、左右方向(Y軸方向)における長さ(幅)が幅W1となるように構成されている。
【0066】
そして、フィルム部材5は、奥行きD2及び幅W2の左フィルム部材5Lと、奥行きD3及び幅W3の右フィルム部材5Rとを含む。
【0067】
左フィルム部材5Lは、クッション部材1Cの前端から奥行きD4だけ離れた位置で、且つ、クッション部材1Cの左端から幅W4だけ離れた位置に配置されている。同様に、右フィルム部材5Rは、クッション部材1Cの前端から奥行きD5だけ離れた位置で、且つ、クッション部材1Cの右端から幅W5だけ離れた位置に配置されている。また、左フィルム部材5Lと右フィルム部材5Rとは幅W6だけ互いに間隔を空けて配置されている。また、左フィルム部材5Lは、クッション部材1Cの後端から奥行きD6だけ離れた位置に配置され、右フィルム部材5Rは、クッション部材1Cの後端から奥行きD7だけ離れた位置に配置されている。
【0068】
図示例では、左フィルム部材5Lの奥行きD2と右フィルム部材5Rの奥行きD3とは同じであり、左フィルム部材5Lの幅W2と右フィルム部材5Rの幅W3とは同じである。また、幅W4と幅W5とは同じであり、奥行きD4と奥行きD5とは同じであり、奥行きD6と奥行きD7とは同じである。
【0069】
具体的には、左フィルム部材5Lは、左フィルム部材5Lに取り付けられた左振動発生装置6Lが運転者の左大腿部の裏側と接触するように配置され、右フィルム部材5Rは、右フィルム部材5Rに取り付けられた右振動発生装置6Rが運転者の右大腿部の裏側と接触するように配置されている。
【0070】
そのため、左フィルム部材5L及び右フィルム部材5Rは何れも、クッション部材1Cの中心CPよりも前側に配置されている。具体的には、左フィルム部材5Lは、奥行きD6が奥行きD4よりも大きくなるように配置され、右フィルム部材5Rは、奥行きD7が奥行きD5よりも大きくなるように配置されている。また、左フィルム部材5Lと右フィルム部材5Rとは、中心CPを通りX軸に平行な線LN1に関して線対称となるように配置されている。また、左フィルム部材5Lと右フィルム部材5Rとは、幅W4及び幅W5が幅W6よりも小さくなるように配置されている。
【0071】
この配置により、座席装置100は、運転者の左右の大腿部に別々に振動を付与できるため、振動発生装置6の振動に基づく様々な情報を運転者に伝えることができる。
【0072】
上述のように、本発明の実施形態に係る座席装置100は、
図1及び
図2に示すように、左右方向(Y軸方向)及び前後方向(X軸方向)に延在するシートカバー2と、シートカバー2の下側(Z2側)に配置されるクッション部材1Cと、クッション部材1Cとシートカバー2との間に設置される振動発生装置6と、を備えている。振動発生装置6とシートカバー2との間には可撓性のフィルム部材5が配置されている。そして、フィルム部材5は、左右方向(Y軸方向)の寸法がクッション部材1Cの上面(Z1側の面)の左右方向(Y軸方向)の寸法の1/2以下となるように、或いは、前後方向(X軸方向)の寸法がクッション部材1Cの上面(Z1側の面)の前後方向(X軸方向)の寸法の1/2以下となるように構成されている。
【0073】
図6に示す例では、左フィルム部材5Lは、左右方向(Y軸方向)の寸法である幅W2がクッション部材1Cの上面(Z1側の面)の左右方向(Y軸方向)の寸法である幅W1の1/2未満となり、且つ、前後方向(X軸方向)の寸法である奥行きD2がクッション部材1Cの上面(Z1側の面)の前後方向(X軸方向)の寸法である奥行きD1の1/2未満となるように構成されている。同様に、右フィルム部材5Rは、左右方向(Y軸方向)の寸法である幅W3がクッション部材1Cの上面(Z1側の面)の左右方向(Y軸方向)の寸法である幅W1の1/2未満となり、且つ、前後方向(X軸方向)の寸法である奥行きD3がクッション部材1Cの上面(Z1側の面)の前後方向(X軸方向)の寸法である奥行きD1の1/2未満となるように構成されている。
【0074】
或いは、左フィルム部材5Lは、幅W2が人体接触面の幅より小さくなるように、或いは、奥行きD2が人体接触面の奥行きより小さくなるように構成されていてもよい。なお、人体接触面は、シートカバー2(クッション部材1C)の上面において座席装置100の使用者の体表面が接触する部分として予め設定されている領域である。使用者の体表面は、例えば、使用者の大腿部及び臀部の表面である。例えば、左フィルム部材5Lは、幅W2が人体接触面の幅の1/2以下となるように、或いは、奥行きD2が人体接触面の奥行きの1/2以下となるように構成されていてもよい。同様に、右フィルム部材5Rは、幅W3が人体接触面の幅より小さくなるように、或いは、奥行きD3が人体接触面の奥行きよりも小さくなるように構成されていてもよい。例えば、右フィルム部材5Rは、幅W3が人体接触面の幅の1/2以下となるように、或いは、奥行きD3が人体接触面の奥行きの1/2以下となるように構成されていてもよい。
【0075】
或いは、左フィルム部材5Lは、幅W2が左大腿部接触面の幅より小さくなるように、或いは、奥行きD2が左大腿部接触面の奥行きより小さくなるように構成されていてもよい。なお、左大腿部接触面は、シートカバー2(クッション部材1C)の上面において座席装置100の使用者の左大腿部が接触する部分として予め設定されている領域である。例えば、左フィルム部材5Lは、幅W2が左大腿部接触面の幅の1/2以下となるように、或いは、奥行きD2が左大腿部接触面の奥行きの1/2以下となるように構成されていてもよい。同様に、右フィルム部材5Rは、幅W3が右大腿部接触面の幅より小さくなるように、或いは、奥行きD3が右大腿部接触面の奥行きより小さくなるように構成されていてもよい。なお、右大腿部接触面は、シートカバー2(クッション部材1C)の上面において座席装置100の使用者の右大腿部が接触する部分として予め設定されている領域である。例えば、右フィルム部材5Rは、幅W3が右大腿部接触面の幅の1/2以下となるように、或いは、奥行きD3が右大腿部接触面の奥行きの1/2以下となるように構成されていてもよい。
【0076】
或いは、左フィルム部材5Lは、幅W2が左臀部接触面の幅より小さくなるように、或いは、奥行きD2が左臀部接触面の奥行きより小さくなるように構成されていてもよい。なお、左臀部接触面は、シートカバー2(クッション部材1C)の上面において座席装置100の使用者の左臀部が接触する部分として予め設定されている領域である。例えば、左フィルム部材5Lは、幅W2が左臀部接触面の幅の1/2以下となるように、或いは、奥行きD2が左臀部接触面の奥行きの1/2以下となるように構成されていてもよい。同様に、右フィルム部材5Rは、幅W3が右臀部接触面の幅より小さくなるように、或いは、奥行きD3が右臀部接触面の奥行きより小さくなるように構成されていてもよい。なお、右臀部接触面は、シートカバー2(クッション部材1C)の上面において座席装置100の使用者の右臀部が接触する部分として予め設定されている領域である。例えば、右フィルム部材5Rは、幅W3が右臀部接触面の幅の1/2以下となるように、或いは、奥行きD3が右臀部接触面の奥行きの1/2以下となるように構成されていてもよい。
【0077】
上述の構成は、使用者が抱く異物感を軽減しつつ、局所的な振動を使用者に付与できるという効果をもたらす。クッション部材1C及びシートカバー2のそれぞれとフィルム部材5との間の接触面積が適切な大きさとなるように設定することにより、使用者がクッション部材1C上に座っているときに振動発生装置6の上端部(フィルム部材5の表面積に比べて小さい表面積を有する部分)がシートカバー2の上面から上方に突き出てしまうのを防止できるためである。換言すれば、クッション部材1C及びシートカバー2のそれぞれとフィルム部材5との間の接触面積が小さいほど、使用者がクッション部材1C上に座っているときに振動発生装置6の上端部がシートカバー2の上面から上方に突出しやすくなってしまうためである。また、クッション部材1C及びシートカバー2のそれぞれとフィルム部材5との間の接触面積が適切な大きさとなるようにすることにより、振動発生装置6の上端部を使用者の体の一部(例えば、大腿部の裏側等)に確実に接触させることができるためである。
【0078】
フィルム部材5は、例えば
図4に示すように、振動発生装置6が取り付けられる中央部51が、中央部51の周辺にある周辺部50よりも硬くなるように構成されていてもよい。すなわち、フィルム部材5は、周辺部50が中央部51よりも柔らかく(撓みやすく)なるように構成されていてもよい。
【0079】
周辺部50が中央部51よりも柔らかく(撓みやすく)なるようにするため、フィルム部材5は、周辺部50に貫通孔52が形成され、その一方で、中央部51には貫通孔が形成されないように構成されていてもよい。或いは、フィルム部材5は、中央部51の厚みが周辺部50の厚みよりも厚くなるように構成されていてもよい。或いは、周辺部50を構成する部分は、中央部51を構成する部分の材料よりも柔らかい材料で形成されていてもよい。
【0080】
中央部51の周りに周辺部50が配置される構成は、中央部51に固定された振動発生装置6がクッション部材1C内に沈み込んでしまうのを抑制でき或いは防止できるという効果をもたらす。中央部51の周りに周辺部50が配置されていない構成に比べ、クッション部材1Cの上面とフィルム部材5の下面との間の接触面積を大きくすることができるためである。
【0081】
中央部51の周りに周辺部50が配置される構成は、フィルム部材5と運転者とが(シートカバー2及び布部材3を介して)接触したときに運転者が抱く異物感を和らげることができるという効果をもたらす。中央部51の周りに周辺部50が配置されていない構成に比べ、シートカバー2の下面とフィルム部材5の上面との間の接触面積を大きくすることができるためである。
【0082】
また、周辺部50が中央部51よりも柔らかい構成は、フィルム部材5と運転者とが(シートカバー2及び布部材3を介して)接触したときに運転者が抱く異物感を和らげることができるという効果をもたらす。クッション部材1Cの変形に応じて周辺部50が比較的容易に変形できるためである。
【0083】
クッション部材1Cの上面側(Z1側)には、
図2及び
図3に示すように、凹部8が形成されていてもよい。この場合、振動発生装置6は、凹部8に収納されていてもよい。
【0084】
この構成は、フィルム部材5と運転者とが(シートカバー2及び布部材3を介して)接触したときに運転者が抱く異物感を更に和らげることができるという効果をもたらす。クッション部材1Cによって直接的に振動発生装置6が押し上げられてしまうのを抑制或いは防止できるためである。
【0085】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0086】
例えば、上述の実施形態では、座席装置100は、運転者の左大腿部と接触するように配置された左振動発生装置6Lと、運転者の右大腿部と接触するように配置された右振動発生装置6Rとを有するように構成されている。しかしながら、左振動発生装置6L及び右振動発生装置6Rのうちの何れか一方は省略されていてもよい。また、座席装置100は、運転者の臀部と接触するように配置された第三の振動発生装置を有していてもよい。この場合、座席装置100は、三つのフィルム部材5と三つの振動発生装置6とを含むように構成される。或いは、座席装置100は、運転者の左臀部と接触するように配置された第三の振動発生装置、及び、運転者の右臀部と接触するように配置された第四の振動発生装置を有していてもよい。この場合、座席装置100は、四つのフィルム部材5と四つの振動発生装置6とを含むように構成される。
【0087】
また、座席装置100は、運転者の左大腿部と接触するように配置された二つ以上の左振動発生装置6Lと、運転者の右大腿部と接触するように配置された二つ以上の右振動発生装置6Rとを有するように構成されていてもよい。この場合、座席装置100は、四つ以上のフィルム部材5と四つ以上の振動発生装置6とを含むように構成される。
【0088】
また、座席装置100は、運転者の左臀部と接触するように配置された二つ以上の左振動発生装置6Lと、運転者の右臀部と接触するように配置された二つ以上の右振動発生装置6Rとを有するように構成されていてもよい。この場合、座席装置100は、四つ以上のフィルム部材5と四つ以上の振動発生装置6とを含むように構成される。
【0089】
また、座席装置100は、運転者の臀部と接触するように配置された一つの振動発生装置のみを有するように構成されていてもよい。この場合、座席装置100は、一つのフィルム部材5と一つの振動発生装置6とを含むように構成される。
【符号の説明】
【0090】
1・・・シート 1B・・・バックレスト 1C・・・クッション部材 1H・・・ヘッドレスト 2・・・シートカバー 3・・・布部材 4・・・制御部 5、5P、5Q・・・フィルム部材 5L、5PL、5QL・・・左フィルム部材 5R・・・右フィルム部材 6・・・振動発生装置 6L・・・左振動発生装置 6R・・・右振動発生装置 7・・・スポンジ部材 7L・・・左スポンジ部材 7R・・・右スポンジ部材 8・・・凹部 8L・・・左凹部 8R・・・右凹部 50、50P、50Q・・・周辺部 50B、50QB・・・後周辺部 50F、50QF・・・前周辺部 50L、50QL・・・左周辺部 50R、50QR・・・右周辺部 51、51P、51Q・・・中央部 52・・・貫通孔 52B・・・後貫通孔 52B1・・・第1後貫通孔 52B2・・・第2後貫通孔 52B3・・・第3後貫通孔 52B4・・・第4後貫通孔 52B5・・・第5後貫通孔 52F・・・前貫通孔 52F1・・・第1前貫通孔 52F2・・・第2前貫通孔 52F3・・・第3前貫通孔 52F4・・・第4前貫通孔 52F5・・・第5前貫通孔 52L・・・左貫通孔 52L1・・・第1左貫通孔 52L2・・・第2左貫通孔 52L3・・・第3左貫通孔 52L4・・・第4左貫通孔 52L5・・・第5左貫通孔 52Q・・・貫通孔 52R・・・右貫通孔 52R1・・・第1右貫通孔 52R2・・・第2右貫通孔 52R3・・・第3右貫通孔 52R4・・・第4右貫通孔 52R5・・・第5右貫通孔 53、53Q・・・丸孔 53B、53QB・・・後丸孔 53F、53QF・・・前丸孔 60・・・突出部 60B・・・後突出部 60F・・・前突出部 61・・・ネジ孔 61B・・・後ネジ孔 61F・・・前ネジ孔 100・・・座席装置 SC・・・締結部材