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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047110
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】レンズホルダ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20230329BHJP
   G02B 7/08 20210101ALI20230329BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20230329BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/08 B
H04N5/225 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156049
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 克俊
【テーマコード(参考)】
2H044
5C122
【Fターム(参考)】
2H044BE04
2H044BE10
2H044BE18
2H044DA01
2H044DA02
2H044DB04
2H044DC04
2H044DC09
5C122DA09
5C122EA06
5C122FB03
5C122FB08
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5C122HA75
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】二つのレンズホルダをより安定的に動かすことができるレンズホルダ駆動装置を提供すること。
【解決手段】レンズホルダ駆動装置101は、第1圧電素子8Aの動きによって光軸方向に沿って第1レンズホルダ3Aを移動させる第1圧電駆動部PD1と第2圧電素子8Bの動きによって光軸方向に沿って第2レンズホルダ3Bを移動させる第2圧電駆動部PD2とを備える。第1レンズホルダ3Aは、第1軸部材5Aに近い部分(第1左軸受け部32AL)と第2軸部材5Bに近い部分とを有する。第1圧電駆動部PD1は、第1左軸受け部32ALに配置されるとともに第1軸部材5Aと接触している。第2レンズホルダ3Bは、第1軸部材5Aに近い部分と第2軸部材5Bに近い部分(第2右軸受け部32BR)とを有する。第2圧電駆動部PD2は、第2右軸受け部32BRに配置されるとともに第2軸部材5Bと接触している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定側部材と、
第1レンズ体を保持可能な第1レンズホルダと、
前記第1レンズ体と同じ光軸を有するように配置される第2レンズ体を保持可能な第2レンズホルダと、
前記固定側部材に設けられ、前記固定側部材に対する前記第1レンズホルダ及び前記第2レンズホルダの光軸方向への移動を案内可能な第1軸部材及び第2軸部材と、
第1圧電素子を有し、前記第1圧電素子の動きによって光軸方向に沿って前記第1レンズホルダを移動させる第1圧電駆動部と、
第2圧電素子を有し、前記第2圧電素子の動きによって光軸方向に沿って前記第2レンズホルダを移動させる第2圧電駆動部と、を備えたレンズホルダ駆動装置において、
前記第1レンズホルダは、前記第1軸部材に近い部分と前記第2軸部材に近い部分とを有し、
前記第1圧電駆動部は、前記第1レンズホルダにおける前記第1軸部材に近い部分に配置されるとともに前記第1軸部材と接触しており、
前記第2レンズホルダは、前記第1軸部材に近い部分と前記第2軸部材に近い部分とを有し、
前記第2圧電駆動部は、前記第2レンズホルダにおける前記第2軸部材に近い部分に配置されるとともに前記第2軸部材と接触している、
ことを特徴とするレンズホルダ駆動装置。
【請求項2】
前記第1圧電素子は、前記第1軸部材の軸線の方向と交差する方向に延在しており、
前記第2圧電素子は、前記第2軸部材の軸線の方向と交差する方向に延在している、
請求項1に記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項3】
前記第1圧電駆動部を前記第1軸部材に向けて付勢する第1付勢部材が前記第1レンズホルダに設けられており、
前記第2圧電駆動部を前記第2軸部材に向けて付勢する第2付勢部材が前記第2レンズホルダに設けられている、
請求項2に記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項4】
前記第1付勢部材は、板状金属部材によって構成されるとともに、前記第1レンズホルダに固定される第1固定部と、前記第1圧電駆動部の一面側における離間した二箇所のそれぞれを支持する二つの第1支持部と、前記第1固定部と二つの前記第1支持部のそれぞれとの間に設けられる弾性変形可能な二つの第1弾性変形部とを有し、二つの前記第1支持部の間において前記第1圧電駆動部の他面側と前記第1軸部材とが接触しており、
前記第2付勢部材は、板状金属部材によって構成されるとともに、前記第2レンズホルダに固定される第2固定部と、前記第2圧電駆動部の一面側における離間した二箇所のそれぞれを支持する二つの第2支持部と、前記第2固定部と二つの前記第2支持部のそれぞれとの間に設けられる弾性変形可能な二つの第2弾性変形部とを有し、二つの前記第2支持部の間において前記第2圧電駆動部の他面側と前記第2軸部材とが接触している、
請求項3に記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項5】
前記第1圧電駆動部は、前記第2軸部材から離れた前記第1軸部材の外側に配置されており、
前記第2圧電駆動部は、前記第1軸部材から離れた前記第2軸部材の外側に配置されている、
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項6】
前記第1レンズホルダには、第1磁石が設けられ、
前記固定側部材には、前記第1レンズホルダの移動範囲の全域にわたって前記固定側部材と前記第1磁石との間において光軸方向と交差する方向に吸引力を作用させる第1磁性部材が設けられており、
前記第2レンズホルダには、第2磁石が設けられ、
前記固定側部材には、前記第2レンズホルダの移動範囲の全域にわたって前記固定側部材と前記第2磁石との間において光軸方向と交差する方向に吸引力を作用させる第2磁性部材が設けられている、
請求項1乃至請求項5の何れかに記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項7】
前記第1磁性部材は、前記第1軸部材又は前記第2軸部材で構成され、
前記第2磁性部材は、前記第1軸部材又は前記第2軸部材で構成されている、
請求項6に記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項8】
前記第1磁石は、前記第1レンズホルダにおける前記第2軸部材に近い部分に固定され、
前記第1磁性部材は、前記第2軸部材であり、
前記第2磁石は、前記第2レンズホルダにおける前記第1軸部材に近い部分に固定され、
前記第2磁性部材は、前記第1軸部材である、
請求項6に記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項9】
前記第1圧電駆動部は、前記第1軸部材と接触する金属製の第1接触部材を有し、
前記第2圧電駆動部は、前記第2軸部材と接触する金属製の第2接触部材を有し、
前記第1軸部材及び前記第2軸部材は、前記第1接触部材及び前記第2接触部材よりも硬い金属で構成されている、
請求項1乃至請求項8の何れかに記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項10】
前記第1レンズホルダにおける前記第1軸部材に近い部分は、前記第1軸部材が挿通される第1前側貫通孔が形成された第1前壁部と、前記第1軸部材が挿通される第1後側貫通孔が形成された第1後壁部と、を有し、
前記第1圧電駆動部は、前記第1前壁部と前記第1後壁部との間にある第1空間の内部に配置され、
前記第1空間は、前記第1レンズホルダにおける前記第1軸部材に近い部分に取り付けられる第1カバー部材によって覆われており、
前記第2レンズホルダにおける前記第2軸部材に近い部分は、前記第2軸部材が挿通される第2前側貫通孔が形成された第2前壁部と、前記第2軸部材が挿通される第2後側貫通孔が形成された第2後壁部と、を有し、
前記第2圧電駆動部は、前記第2前壁部と前記第2後壁部との間にある第2空間の内部に配置され、
前記第2空間は、前記第2レンズホルダにおける前記第2軸部材に近い部分に取り付けられる第2カバー部材によって覆われている、
請求項1乃至請求項9の何れかに記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項11】
前記固定側部材には、第1磁界発生部材及び第2磁界発生部材が設けられ、
前記第1磁界発生部材は、前記第1レンズホルダにおける前記第1軸部材に近い部分と対向し、
前記第1レンズホルダにおける前記第1軸部材に近い部分には、前記第1磁界発生部材からの磁界を検出する第1磁気センサが設けられており、
前記第2磁界発生部材は、前記第2レンズホルダにおける前記第2軸部材に近い部分と対向し、
前記第2レンズホルダにおける前記第2軸部材に近い部分には、前記第2磁界発生部材からの磁界を検出する第2磁気センサが設けられている、
請求項1乃至請求項10の何れかに記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項12】
前記第1磁界発生部材と前記第2磁界発生部材とは、光軸方向において互いに一部が重なっている、
請求項11に記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項13】
前記第1レンズホルダ及び前記第2レンズホルダのそれぞれは、光軸方向に貫通する複数の貫通孔を有し、
複数の前記貫通孔のそれぞれは、上方に開く第1溝部と下方に開く第2溝部との組み合わせで構成されている、
請求項1乃至請求項12の何れかに記載のレンズホルダ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レンズホルダ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電素子を用いてレンズホルダを移動させる装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-098580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の装置は、二つの圧電素子を用いて二つのレンズホルダを別々に移動させることができるように構成されている。
【0005】
しかしながら、上述の装置では、二つの圧電素子の作動部が同じ一つの駆動軸に接触するように構成されている。そのため、この構成は、二つのレンズホルダを同時に移動させる場合、二つの圧電素子のうちの一方の振動(動き)と他方の振動(動き)とを干渉させてしまい、二つのレンズホルダのそれぞれの移動に悪影響を及ぼしてしまうおそれがある。
【0006】
そこで、二つのレンズホルダをより安定的に動かすことができるレンズホルダ駆動装置を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係るレンズホルダ駆動装置は、固定側部材と、第1レンズ体を保持可能な第1レンズホルダと、前記第1レンズ体と同じ光軸を有するように配置される第2レンズ体を保持可能な第2レンズホルダと、前記固定側部材に設けられ、前記固定側部材に対する前記第1レンズホルダ及び前記第2レンズホルダの光軸方向への移動を案内可能な第1軸部材及び第2軸部材と、第1圧電素子を有し、前記第1圧電素子の動きによって光軸方向に沿って前記第1レンズホルダを移動させる第1圧電駆動部と、第2圧電素子を有し、前記第2圧電素子の動きによって光軸方向に沿って前記第2レンズホルダを移動させる第2圧電駆動部と、を備えたレンズホルダ駆動装置において、前記第1レンズホルダは、前記第1軸部材に近い部分と前記第2軸部材に近い部分とを有し、前記第1圧電駆動部は、前記第1レンズホルダにおける前記第1軸部材に近い部分に配置されるとともに前記第1軸部材と接触しており、前記第2レンズホルダは、前記第1軸部材に近い部分と前記第2軸部材に近い部分とを有し、前記第2圧電駆動部は、前記第2レンズホルダにおける前記第2軸部材に近い部分に配置されるとともに前記第2軸部材と接触している。
【発明の効果】
【0008】
上述のレンズホルダ駆動装置は、二つのレンズホルダをより安定的に動かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】レンズホルダ駆動装置の斜視図である。
図1B】レンズホルダ駆動装置の分解斜視図である。
図2】カメラモジュールの概略図である。
図3】下側部材の分解斜視図である。
図4】軸部材によって支持された可動側部材の分解斜視図である。
図5】軸部材によって支持された可動側部材の上面図及び右側面図である。
図6A】付勢部材によって軸部材に押し付けられる圧電駆動部の斜視図である。
図6B】圧電駆動部の分解斜視図である。
図7】レンズホルダに取り付けられた付勢部材の斜視図である。
図8A】レンズホルダ駆動装置の上面図である。
図8B】レンズホルダ駆動装置の断面図である。
図9A】磁性部材が固定磁石に取り付けられる前の磁界発生部材の分解斜視図である。
図9B】磁性部材が固定磁石に取り付けられた後の磁界発生部材の組立斜視図である。
図9C】磁気センサ及び磁界発生部材の上面図である。
図9D】磁気センサ及び磁界発生部材の右側面図である。
図10】軸部材及び可動側部材の斜視図である。
図11A】レンズホルダの正面斜視図である。
図11B】レンズホルダの背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係るレンズホルダ駆動装置101について図面を参照して説明する。図1Aは、レンズホルダ駆動装置101の斜視図である。図1Bは、レンズホルダ駆動装置101の分解斜視図である。図2は、レンズホルダ駆動装置101が搭載されたカメラ付き携帯機器におけるカメラモジュールCMの概略図である。
【0011】
図示例では、X1は、三次元直交座標系を構成するX軸の一方向を表し、X2は、X軸の他方向を表す。また、Y1は、三次元直交座標系を構成するY軸の一方向を表し、Y2は、Y軸の他方向を表す。同様に、Z1は、三次元直交座標系を構成するZ軸の一方向を表し、Z2は、Z軸の他方向を表す。そして、レンズホルダ駆動装置101のX1側は、レンズホルダ駆動装置101の前側(被写体側)に相当し、レンズホルダ駆動装置101のX2側は、レンズホルダ駆動装置101の後側(撮像素子側)に相当する。また、レンズホルダ駆動装置101のY1側は、レンズホルダ駆動装置101の左側に相当し、レンズホルダ駆動装置101のY2側は、レンズホルダ駆動装置101の右側に相当する。また、レンズホルダ駆動装置101のZ1側は、レンズホルダ駆動装置101の上側に相当し、レンズホルダ駆動装置101のZ2側は、レンズホルダ駆動装置101の下側に相当する。他の図においても同様である。
【0012】
レンズホルダ駆動装置101は、レンズ体LSをレンズ体LSの光軸OAに沿って移動させることができるように構成されている。
【0013】
レンズ体LSは、光学部材の一例であり、1又は複数のレンズで構成される。典型的には、レンズ体LSは、少なくとも1枚のレンズを備えた筒状のレンズバレルであり、その中心軸線が光軸OAに沿うように構成されている。図示例では、レンズ体LSは、ズームレンズを構成する第1レンズ体LS1とフォーカスレンズを構成する第2レンズ体LS2とを含む。
【0014】
レンズホルダ駆動装置101は、筐体HS内に収容された圧電駆動部PD(図4参照)により、レンズ体LSを光軸方向に沿って移動させることができるように構成されている。光軸方向は、レンズ体LSの光軸OAの方向、及び、光軸OAに平行な方向を含む。具体的には、レンズホルダ駆動装置101は、図1B及び図2のそれぞれにおける両矢印AR1で示すように、第1レンズ体LS1を光軸方向に沿って移動させることができ、両矢印AR2で示すように、第2レンズ体LS2を光軸方向に沿って移動させることができる。すなわち、レンズホルダ駆動装置101は、第1レンズ体LS1及び第2レンズ体LS2のそれぞれを光軸方向に沿って別々に移動させることができる。なお、第1レンズ体LS1の光軸と第2レンズ体LS2の光軸とは同一直線上(光軸OA上)に位置している。
【0015】
筐体HSは、固定側部材FBの一部であり、蓋部材1及びベース部材2で構成されている。
【0016】
レンズホルダ駆動装置101は、図2に示すように、ペリスコープ式カメラモジュール等のカメラモジュールCMで使用される。図2に示す例では、カメラモジュールCMは、主に、ミラーMR、レンズ体LS、レンズホルダ駆動装置101、及び撮像素子IS等を含む。ミラーMRは、プリズムであってもよい。図2に示す例では、ミラーMRは、平坦な反射面をもたらすように構成されている。
【0017】
典型的には、レンズホルダ駆動装置101は、図2に示すように、ミラーMRよりも被写体から遠い位置に配置され、ミラーMRで反射した被写体からの光LTを、レンズ体LSを通じて撮像素子ISに到達させるように構成されている。
【0018】
次に、図1B及び図3を参照し、レンズホルダ駆動装置101の概略を説明する。図1Bは、レンズホルダ駆動装置101の分解斜視図であり、蓋部材1が下側部材LMから分離された状態を示す。図3は、下側部材LMの分解斜視図であり、可動側部材MBが固定側部材FB(軸部材5を除く)から分離された状態を示す。可動側部材MBは、軸部材5によってガイドされながら圧電駆動部PDによって光軸方向に移動させられるように構成されている。
【0019】
レンズホルダ駆動装置101は、図1Bに示すように、筐体HS(固定側部材FB)の一部を構成する蓋部材1と下側部材LMとを含む。蓋部材1は、下側部材LMの上面を覆うように構成されている。本実施形態では、蓋部材1は、合成樹脂材で形成されているが、オーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性材料で形成されていてもよい。
【0020】
ベース部材2は、筐体HSの一部を構成する部材である。本実施形態では、ベース部材2は、蓋部材1と同様に、合成樹脂材で形成されているが、オーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性材料で形成されていてもよい。
【0021】
具体的には、ベース部材2は、図3に示すように、収納部2Sを定める有底箱状の外形を有する。そして、ベース部材2は、略矩形筒状の外壁部2Aと、外壁部2Aの下端(Z2側の端)と連続するように設けられた略矩形且つ平板状の底面部2Bとを有する。図示例では、外壁部2Aと底面部2Bとは別々の部材で分離可能に構成され、接着剤等によって一体化されているが、外壁部2Aと底面部2Bとは一つの部材で構成されていてもよい。外壁部2Aは、第1側板部2A1~第4側板部2A4を含む。第1側板部2A1と第3側板部2A3とは互いに対向し、第2側板部2A2と第4側板部2A4とは互いに対向している。また、第2側板部2A2及び第4側板部2A4は、第1側板部2A1及び第3側板部2A3に対して垂直に延びる。すなわち、第1側板部2A1及び第3側板部2A3は、第2側板部2A2及び第4側板部2A4に対して垂直に延びる。第1側板部2A1は、ミラーMRで反射した被写体からの光LTを受け入れるための貫通孔OP1を有する。同様に、第3側板部2A3は、光LTを撮像素子ISに到達させるための貫通孔OP2を有する。また、蓋部材1は、接着剤等によってベース部材2に接合されてベース部材2と共に筐体HSを構成する。
【0022】
また、ベース部材2の第1側板部2A1及び第3側板部2A3のそれぞれには、図3に示すように、回路基板10の端子部10Tを通すための切り欠き2Tが形成されている。この構成により、回路基板10の端子部10Tは、筐体HSの外側に配置される。
【0023】
下側部材LMは、図3に示すように、可動側部材MBとしてのレンズホルダ3と、固定側部材FBとしてのベース部材2及び軸部材5と、位置検出機構DTとを含む。
【0024】
レンズホルダ3は、レンズ体LSを保持できるように構成されている。図示例では、レンズホルダ3は、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂を射出成形することで形成されている。また、レンズホルダ3は、第1レンズ体LS1を保持できるように構成された第1レンズホルダ3A、及び、第2レンズ体LS2を保持できるように構成された第2レンズホルダ3Bを含む。なお、第1レンズホルダ3Aと第2レンズホルダ3Bとは同じ形状及び同じ大きさを有する。
【0025】
ここで、図4及び図5を参照し、可動側部材MBの詳細について説明する。図4及び図5は、軸部材5によって支持された可動側部材MBの図である。具体的には、図4は、軸部材5によって支持された可動側部材MBの分解斜視図である。図5の上図は、軸部材5によって支持された可動側部材MBの上面図であり、図5の下図は、軸部材5によって支持された可動側部材MBの右側面図である。なお、図4及び図5では、明瞭化のため、第1レンズホルダ3Aには粗いドットパターンが付され、第2レンズホルダ3Bには細かいドットパターンが付されている。また、図5では、明瞭化のため、回路基板10及びカバー部材CVの図示が省略されている。
【0026】
軸部材5は、光軸OAに平行な軸線(軸5AX)を有する第1軸部材5Aと、光軸OAに平行な軸線(軸5BX)を有する第2軸部材5Bとを含む。したがって、第1軸部材5Aと第2軸部材5Bとは互いに平行な状態で光軸方向に延びている。図示例では、軸部材5は、一端がベース部材2の第3側板部2A3に形成された溝部2G(図3参照)に嵌め込まれ、且つ、他端がベース部材2の第1側板部2A1に形成された別の溝部2G(図3では不可視)に嵌め込まれるように構成されている。但し、軸部材5は、一端がベース部材2の第3側板部2A3に形成された貫通孔(図示せず)に挿通され、且つ、他端がベース部材2の第1側板部2A1に形成された別の貫通孔(図示せず)に挿通されるように構成されていてもよい。軸部材5は、ベース部材2(第3側板部2A3及び第1側板部2A1)に接着剤によって固定されていてもよい。なお、第1軸部材5A及び第2軸部材5Bは、磁性を有する金属で形成されている。
【0027】
レンズホルダ3は、図4に示すように、レンズ体LSを保持する保持部31と、軸部材5を受ける軸受け部32と、を有する。そして、軸受け部32は、第1軸部材5Aを受ける左軸受け部32Lと、第2軸部材5Bを受ける右軸受け部32Rと、を有する。軸受け部32は、軸部材5の回りにおけるレンズホルダ3の回転を止める回転止めとして機能する。
【0028】
具体的には、第1レンズホルダ3Aは、第1レンズ体LS1を保持する第1保持部31Aと、軸部材5を受ける第1軸受け部32Aとを有する。そして、第1軸受け部32Aは、第1軸部材5Aを受ける左軸受け部32L(第1左軸受け部32AL)と、第2軸部材5Bを受ける右軸受け部32R(第1右軸受け部32AR)とを有する。
【0029】
同様に、第2レンズホルダ3Bは、第2レンズ体LS2を保持する第2保持部31Bと、軸部材5を受ける第2軸受け部32Bとを有する。そして、第2軸受け部32Bは、第1軸部材5Aを受ける左軸受け部32L(第2左軸受け部32BL)と、第2軸部材5Bを受ける右軸受け部32R(第2右軸受け部32BR)とを有する。
【0030】
より具体的には、第1左軸受け部32ALは、図4に示すように、第1軸部材5Aを受け入れ可能な第1貫通孔TH1を有する。同様に、第2右軸受け部32BRは、図4に示すように、第2軸部材5Bを受け入れ可能な第2貫通孔TH2を有する。
【0031】
一方で、第1右軸受け部32ARは、図4に示すように、第2軸部材5Bを受け入れ可能な右方(Y2方向)に開く第1半円形切り欠きCT1を有する。同様に、第2左軸受け部32BLは、図4に示すように、第1軸部材5Aを受け入れ可能な左方(Y1方向)に開く第2半円形切り欠きCT2を有する。
【0032】
レンズホルダ3の二つの軸受け部32の一方には可動磁石4が取り付けられている。可動磁石4は、軸部材5の回りにおけるレンズホルダ3のガタつきを抑制するために配置される部材であり、第1可動磁石4A及び第2可動磁石4Bを含む。
【0033】
具体的には、図4に示すように、第1レンズホルダ3Aの第1右軸受け部32ARには第1可動磁石4Aが取り付けられており、第2レンズホルダ3Bの第2左軸受け部32BLには第2可動磁石4Bが取り付けられている。
【0034】
第1可動磁石4Aは、第1可動磁石4Aと第2軸部材5Bとの間に作用する磁気的な吸引力を利用して第1レンズホルダ3Aの第1右軸受け部32ARの一部を上側から第2軸部材5Bの上面に押し付けることができるように構成されている。
【0035】
第2可動磁石4Bは、第2可動磁石4Bと第1軸部材5Aとの間に作用する磁気的な吸引力を利用して第2レンズホルダ3Bの第2左軸受け部32BLの一部を上側から第1軸部材5Aの上面に押し付けることができるように構成されている。
【0036】
レンズホルダ3の二つの軸受け部32の他方にはカバー部材CVが取り付けられている。すなわち、レンズホルダ3の二つの軸受け部32のうちの、可動磁石4が取り付けられない方にカバー部材CVが取り付けられている。
【0037】
カバー部材CVは、圧電駆動部PDを覆うために配置される部材であり、金属部材14及び合成樹脂部材15を含む。図示例では、カバー部材CVは、第1レンズホルダ3Aに取り付けられる第1カバー部材CV1と第2レンズホルダ3Bに取り付けられる第2カバー部材CV2とを含む。
【0038】
具体的には、図4に示すように、第1レンズホルダ3Aの第1左軸受け部32ALには第1カバー部材CV1が取り付けられており、第2レンズホルダ3Bの第2右軸受け部32BRには第2カバー部材CV2が取り付けられている。そして、第1カバー部材CV1は、第1金属部材14A及び第1合成樹脂部材15Aで構成され、第2カバー部材CV2は、第2金属部材14B及び第2合成樹脂部材15Bで構成されている。
【0039】
より具体的には、第1カバー部材CV1は、第1金属部材14Aをインサートとして金型内に設置した状態で合成樹脂を金型内に射出してインサート成形される。なお、第1カバー部材CV1は、アウトサート成形によって形成されていてもよい。また、第1カバー部材CV1は、金属又は合成樹脂によって一体的に形成されていてもよい。第2カバー部材CV2についても同様である。
【0040】
次に、図6A及び図6Bを参照し、圧電駆動部PDについて説明する。図6Aは、付勢部材13によって軸部材5に押し付けられる圧電駆動部PDの斜視図であり、図6Bは、圧電駆動部PDの分解斜視図である。
【0041】
圧電駆動部PDは、レンズホルダ3を光軸方向に沿って移動させることができるように構成されている。本実施形態では、圧電駆動部PDは、米国特許第7,786,648号に開示された駆動システムを利用する摩擦駆動部の一例であり、圧電素子8、接触部材9、及び回路基板10を含む。
【0042】
圧電駆動部PDは、レンズホルダ3に固定される付勢部材13によって内方(光軸OAに近づく方向)に付勢されて軸部材5に押し付けられるように構成されている。図示例では、付勢部材13は、金属板で形成され、圧電素子8の曲げ振動(後述する円運動)の際に形成される二つの節ND(図6B参照)のそれぞれに対応する部分(内縁部BE)で圧電素子8の外側(光軸OAから遠い側)の表面と回路基板10を介して接触するように構成されている。付勢部材13と圧電駆動部PDとの接合は、例えば、接着剤によって実現される。
【0043】
図示例では、圧電駆動部PDは、図4に示すように、第1レンズホルダ3Aを光軸方向に沿って移動させる第1圧電駆動部PD1と、第2レンズホルダ3Bを光軸方向に沿って移動させる第2圧電駆動部PD2とを含む。そして、第1圧電駆動部PD1は、第1圧電素子8A、第1接触部材9A、及び第1回路基板10Aを含み、第2圧電駆動部PD2は、第2圧電素子8B、第2接触部材9B、及び第2回路基板10Bを含む。
【0044】
付勢部材13は、第1圧電駆動部PD1を第1軸部材5Aに押し付けるように配置される第1付勢部材13Aと、第2圧電駆動部PD2を第2軸部材5Bに押し付けるように配置される第2付勢部材13Bとを含む。
【0045】
図6A及び図6Bは、第1付勢部材13Aによって第1軸部材5Aに押し付けられる第1圧電駆動部PD1を示している。但し、図6A及び図6Bを参照する以下の説明は、第2付勢部材13Bによって第2軸部材5Bに押し付けられる第2圧電駆動部PD2に対しても同様に適用される。第1圧電駆動部PD1と第2圧電駆動部PD2とは同じ構成を有するためである。
【0046】
図示例では、第1圧電素子8Aは、光軸方向(X軸方向)と直交する方向(光軸OAに垂直な方向)であるZ軸方向に延在しており、二つの節NDを有する曲げ振動(円運動)を実現できるように構成されている。具体的には、第1圧電素子8Aは、XZ平面上で第1曲げ振動を実現する第1層とYZ平面上で第2曲げ振動を実現する第2層とで構成される二層構造を有する。第1圧電駆動部PD1は、第1層を構成する圧電素子に対する電圧の印加と、第2層を構成する圧電素子に対する電圧の印加とが適切なタイミングで個別に行われたときに、第1圧電素子8Aの中点が描く軌跡が上面視で回転軸8AXを中心とする円軌道となるように第1圧電素子8Aを曲げ振動(円運動)させることができる。すなわち、第1圧電素子8Aは、その中点が円を描くような動き(円運動)を実現することができる。なお、図6Bに示す例では、回転軸8AXはZ軸に平行である。また、第1圧電駆動部PD1は、電圧の印加が適切なタイミングで行われることにより、円軌道を辿る中点の移動方向(回転方向)をZ1側から見て時計回り方向と反時計回り方向との間で切り換えることができる。すなわち、第1圧電駆動部PD1は、光軸方向に沿った第1レンズホルダ3Aの移動方向を切り換えることができる。なお、第1圧電素子8Aの中点が描く円(円軌道)は、完全な円(真円)ではなく、概略円形状であればよい。
【0047】
図6Bにおいて第1圧電素子8Aの周囲に描かれた点線矢印は、第1圧電素子8Aの曲げ振動(第1圧電素子8Aが撓みながら回転軸8AXの回りにおいて時計回り方向に回転する円運動)を表している。この場合、第1軸部材5Aと接触している第1接触部材9Aを含む第1圧電駆動部PD1は後方(X2方向)に移動する。なお、点線矢印で示されてはいないが、第1圧電素子8Aは、撓みながら回転軸8AXの回りにおいて反時計回り方向にも回転できる。この場合、第1軸部材5Aと接触している第1接触部材9Aを含む第1圧電駆動部PD1は前方(X1方向)に移動する。
【0048】
すなわち、第1圧電駆動部PD1が取り付けられている第1レンズホルダ3Aは、第1圧電素子8Aの中点の回転方向が上面視で時計回り方向のときに後方(X2方向)に移動させられ、第1圧電素子8Aの中点の回転方向が反時計回り方向のときに前方(X1方向)に移動させられる。なお、図示例では、第1圧電素子8Aの中点は、第1曲げ振動の振幅が最大となる点(第1曲げ振動の腹に対応する点)であり、且つ、第2曲げ振動の振幅が最大となる点(第2曲げ振動の腹に対応する点)である。
【0049】
第1接触部材9Aは、第1圧電素子8Aに取り付けられ、第1軸部材5Aと接触するように構成されている。図示例では、第1接触部材9Aは、第1圧電素子8Aの内側(光軸OAに対向する側であるY2側)の表面の全体を覆うように、接着剤によって第1圧電素子8Aの内側の表面に接合されている。第1接触部材9Aは、ステンレス鋼等の金属で形成され、第1圧電素子8Aの曲げ振動(円運動)に応じて曲げ振動(円運動)を行うことができるように適切な厚みで構成されている。図示例では、第1接触部材9Aは、ステンレス鋼で形成された摩擦板である。第1接触部材9Aは、第1圧電素子8Aの延在方向と同じ方向であるZ軸方向に延在している。そして、第1接触部材9Aは、その中央部の外面(Y2側の面)が第1軸部材5Aと接触するように構成されている。具体的には、第1接触部材9Aは、曲げ振動(円運動)の振幅が最大となる部分(曲げ振動の腹に対応する部分)で第1軸部材5Aと接触するように構成されている。また、第1接触部材9Aは、第1軸部材5Aと接触する側(Y2側)の面が曲面形状(円筒形状)となっている。第1軸部材5Aは、典型的には、ステンレス鋼等の金属で形成される。図示例では、第1軸部材5Aは、ステンレス鋼で形成された、光軸方向に延在する円柱状の棒部材である。なお、第1接触部材9Aと第1軸部材5Aとの接触が実現されるのであれば、Z軸方向における第1接触部材9Aの長さ寸法は第1圧電素子8Aの長さ寸法と異なっていてもよい。図示例では、Z軸方向における第1接触部材9Aの長さ寸法と第1圧電素子8Aの長さ寸法とは略同じである。
【0050】
第1回路基板10Aは、導電パターンを含む基板であり、外部電源と第1圧電素子8Aとを電気的に接続できるように構成されている。図示例では、第1回路基板10Aは、可撓性を有するフレキシブルプリント基板であり、接着固定部10F、センサ固定部10S、圧電素子固定部10P、及び湾曲部10Wを含む。
【0051】
図示例では、第1回路基板10Aは、図6Aに示すように、接着固定部10Fの外側(Y1側)の表面が接着剤によってベース部材2の第2側板部2A2の内側(Y2側)の表面に固定されている。また、第1回路基板10Aは、光軸方向における第1レンズホルダ3Aの移動に応じて変形して湾曲部10Wの位置を移動させながら第1圧電素子8Aに電圧を印加できるように構成されている。より具体的には、湾曲部10Wは、第1レンズホルダ3Aの後方(X2方向)への移動に応じて後方に移動し、第1レンズホルダ3Aの前方(X1方向)への移動に応じて前方に移動する。また、第1回路基板10Aは、圧電素子固定部10Pの内側(Y2側)の表面が異方性導電性接着剤又は異方性導電性接着膜等によって第1圧電素子8Aに接合されるように構成されている。また、第1回路基板10Aは、センサ固定部10Sが第1付勢部材13Aの外側(Y1側)に位置するようにセンサ固定部10Sの手前側で折り返されるように構成されている。そして、第1回路基板10Aは、第1磁気センサ6A(図3参照)がセンサ固定部10Sの外側(Y1側)の表面に実装されるように構成されている。なお、センサ固定部10Sは、その内側(Y2側)の面が第1カバー部材CV1の外側(Y1側)の表面に接着剤で固定される(図8A及び図8B参照)。
【0052】
図示例では、付勢部材13は、板ばね部材によって構成されている。具体的には、第1付勢部材13Aは、図6Bに示すように、第1レンズホルダ3Aの第1左軸受け部32ALに固定される固定部13Fと、第1圧電駆動部PD1を支持する支持部13Sと、固定部13Fと支持部13Sとの間に設けられた弾性変形可能な弾性変形部13Eとを有する。また、第1付勢部材13Aは、支持部13S及び弾性変形部13Eが第1左軸受け部32ALと接触しないように、固定部13Fを介して第1左軸受け部32ALに固定されている。図6Bを参照する以下の説明は、第1付勢部材13Aに関するが、第2付勢部材13Bにも同様に適用される。第2付勢部材13Bは、第1付勢部材13Aと同じ形状及び同じ大きさを有するためである。
【0053】
具体的には、固定部13Fは、前側固定部13FF及び後側固定部13FBを含み、支持部13Sは、上側支持部13SU及び下側支持部13SDを含む。そして、弾性変形部13Eは、後側固定部13FBと前側固定部13FFとの間に設けられた上側弾性変形部13EU及び下側弾性変形部13EDを含む。そして、前側固定部13FFと後側固定部13FBとは同じ形状及び同じ大きさを有し、上側支持部13SUと下側支持部13SDとは同じ形状及び同じ大きさを有し、上側弾性変形部13EUと下側弾性変形部13EDとは同じ形状及び同じ大きさを有する。すなわち、第1付勢部材13Aは、YZ平面に平行な対称面(第1付勢部材13Aを前後に二分する面)に関して面対称となるように構成されている。また、第1付勢部材13Aは、XY平面に平行な別の対称面(第1付勢部材13Aを上下に二分する面)に関しても面対称となるように構成されている。第2付勢部材13Bについても同様である。
【0054】
支持部13Sは、弾性変形部13EからL字状に折り曲げられてレンズホルダ3が位置する側(Y2側)に突出するように構成されている。そして、支持部13Sの先端には凹部RSが形成されている。凹部RSは、第1レンズホルダ3Aの位置する側(Y2側)が開放された凹部である。具体的には、凹部RSは、上側支持部13SU及び下側支持部13SDのそれぞれの先端に同じ形状で且つ同じ大きさとなるように形成されている。そして、第1圧電駆動部PD1は、図6Aに示すように、一部が凹部RS内に配置されるとともに、凹部RSの内縁部BEに接触した状態で接着剤によって支持部13Sに固定されている。
【0055】
より具体的には、凹部RSは、図6Bに示すように、内縁部BEを挟んで互いに対向する前側縁部と後側縁部とを有する。そして、第1圧電駆動部PD1は、図6Aに示すように、前側縁部と後側縁部との間に配置されている。
【0056】
凹部RSの内縁部BEと第1圧電駆動部PD1とが接触する位置は、曲げ振動(円運動)を実現する第1圧電素子8Aの節NDの位置に対応している。節NDの位置は、第1節ND1の位置及び第2節ND2の位置を含む。図6Bでは、明瞭化のため、節NDの位置には、クロスパターンが付されている。
【0057】
凹部RSの内縁部BEと第1圧電駆動部PD1とが接触する位置(節NDの位置)は、第1圧電駆動部PD1の端部から所定の距離にある位置に対応している。所定の距離は、例えば、圧電駆動部PDの全長の略四分の一の距離である。
【0058】
第1圧電駆動部PD1と支持部13Sとは接着剤によって固定されている。具体的には、第1圧電駆動部PD1(第1回路基板10A)と支持部13Sとは、凹部RSの内縁部BEのところで接着剤によって互いに固定されている。また、第1圧電駆動部PD1の第1回路基板10Aと第1付勢部材13Aとは、前側固定部13FFの接触部AFと後側固定部13FBの接触部ABとにおいて接着剤で固定されている。図示例では、接着剤は、紫外線硬化型の接着剤である。但し、接着剤は、湿気硬化型又は熱硬化型等の他のタイプの接着剤であってもよい。
【0059】
弾性変形部13Eは、図6Bに示すように、支持部13Sから前方(X1方向)に延びる部分と支持部13Sから後方(X2方向)に延びる部分とを有する。具体的には、上側弾性変形部13EUは、上側支持部13SUから前方に延びる部分と上側支持部13SUから後方に延びる部分とを有し、下側弾性変形部13EDは、下側支持部13SDから前方に延びる部分と下側支持部13SDから後方に延びる部分とを有する。また、弾性変形部13Eの延在方向は光軸方向に沿っている。
【0060】
弾性変形部13Eの両端には固定部13Fが設けられている。そして、固定部13Fは、図7に示すように、レンズホルダ3(第2レンズホルダ3B)の軸受け部32(第2右軸受け部32BR)の上端部と下端部とを挟み込むようにして取り付けられている。
【0061】
図7は、レンズホルダ3に取り付けられた付勢部材13の斜視図である。具体的には、図7は、第2レンズホルダ3Bに取り付けられた第2付勢部材13Bの斜視図である。図7を参照する以下の説明は、第1レンズホルダ3Aに取り付けられる第1付勢部材13Aにも同様に適用される。第1付勢部材13Aと第2付勢部材13Bとは同じ構成を有するためである。なお、図7では、明瞭化のため、付勢部材13(第2付勢部材13B)にクロスパターンが付されている。
【0062】
図7に示す例では、第2付勢部材13Bの固定部13Fは、後側固定部13FB及び前側固定部13FFを含む。そして、後側固定部13FB及び前側固定部13FFは何れも上側折れ曲がり部UB及び下側折れ曲がり部DB(図6Aも参照)を有する。そして、第2付勢部材13Bは、一対の上側折れ曲がり部UBと一対の下側折れ曲がり部DBとで第2レンズホルダ3Bの第2右軸受け部32BRの右端部を挟み込むことできるように構成されている。なお、第2付勢部材13Bの第2右軸受け部32BRへの固定は、接着剤によって実現されてもよく、接着材によって補強されてもよい。
【0063】
第2レンズホルダ3Bの第2右軸受け部32BRの右端(Y2側の端部)に固定された第2付勢部材13Bは、第2カバー部材CV2によって覆われる。そして、第2付勢部材13Bの内側(Y1側)に固定された第2圧電駆動部PD2は、第2右軸受け部32BRの第2前壁部FW2と第2後壁部BW2との間にある第2空間SP2の内部に配置され、第2空間SP2は、第2カバー部材CV2によって密閉される。
【0064】
図示例では、第2カバー部材CV2は、第2右軸受け部32BRの上端部に形成された矩形突起部PTが第2金属部材14Bの上板部に形成された切り欠きCUに嵌め込まれ、且つ、第2右軸受け部32BRの下端部に形成された円形突起部(図7では不可視)が第2金属部材14Bの下板部に形成された丸孔BHに嵌め込まれて第2右軸受け部32BRに固定される。第1カバー部材CV1についても同様である。
【0065】
この構成は、レンズホルダ3とカバー部材CVとによって密閉された空間内に圧電駆動部PDを収容することができる。そのため、この構成は、軸部材5と接触部材9との接触によって生成される摩耗粉がその密閉された空間から外に出てしまうのを抑制でき、ひいてはその摩耗粉が撮像素子ISに達するのを抑制できる。なお、第2カバー部材CV2による密閉は、摩耗粉が第2空間SP2から外に出るのを抑制できればよく、空気の出入りが可能な程度の密閉を意味している。
【0066】
次に、図3図8A及び図8Bを参照し、可動側部材MB及び位置検出機構DTについて説明する。図8Aは、レンズホルダ駆動装置101の上面図である。図8Bは、レンズホルダ駆動装置101の断面図である。具体的には、図8Bは、図8Aに示す切断線(破線VIIIB-VIIIB)を含むYZ平面に平行な平面におけるレンズホルダ駆動装置101の断面をX1側から見たときの図である。なお、図8A及び図8Bでは、明瞭化のため、蓋部材1及びベース部材2の図示が省略され、第1レンズホルダ3Aには粗いドットパターンが付され、且つ、第2レンズホルダ3Bには細かいドットパターンが付されている。
【0067】
図8Aに示すように、可動側部材MBは、第1可動側部材MB1及び第2可動側部材MB2を含む。第1可動側部材MB1は、第1レンズホルダ3A、第1可動磁石4A、第1磁気センサ6A、第1カバー部材CV1、及び第1レンズ体LS1を含む。第2可動側部材MB2は、第2レンズホルダ3B、第2可動磁石4B、第2磁気センサ6B、第2カバー部材CV2、及び第2レンズ体LS2を含む。
【0068】
第1可動磁石4Aは、図8Bに示すように、仮想平面VPから離れた位置に設けられている。具体的には、第1可動磁石4Aは仮想平面VP上でない位置(仮想平面VPよりも高い位置)に設けられている。仮想平面VPは、互いに平行な第1軸部材5Aの軸線(軸5AX)と第2軸部材5Bの軸線(軸5BX)とを含む仮想平面である。図8Bに示す例では、レンズホルダ3は、レンズ体LSの光軸OAが仮想平面VP上に位置するように構成されている。また、図8Bに示す例では、可動側部材MBは、光軸OAと第1軸部材5Aの軸線(軸5AX)との間の距離が、光軸OAと第2軸部材5Bの軸線(軸5BX)との間の距離に等しくなるように構成されている。また、図8Bに示す例では、第1レンズホルダ3A、第1可動磁石4A、第1カバー部材CV1、第1レンズ体LS1、及び第1圧電駆動部PD1を含む第1可動側部材MB1は、その重心が仮想平面VP上に位置するように構成されている。第1可動側部材MB1が軸部材5に沿って移動する際の重心回りのトルクの発生を抑制するためである。第2可動側部材MB2についても同様である。具体的には、固定側部材FBとしてのベース部材2は、図3に示すように、底面部2Bを備えている。そして、レンズホルダ3は、図4に示すように、上方が開放されてレンズ体LSを収容する(受け入れる)ことが可能となっている。そして、可動磁石4(第1可動磁石4A)は、図8Bに示すように、仮想平面VPよりも上側(Z1側)にオフセットされた位置に設けられている。なお、可動磁石4は、仮想平面VPよりも下側(Z2側)にオフセットされた位置に設けられていてもよい。
【0069】
図8Bに示すように、位置検出機構DTは、レンズホルダ3の位置を検出する機構であり、磁気センサ6及び磁界発生部材MGを含む。磁界発生部材MGは、固定磁石11及び磁性部材12を含む。
【0070】
磁気センサ6は、磁界発生部材MGが発生させる磁界を検出できるように構成されている。図示例では、磁気センサ6は、巨大磁気抵抗効果(Giant Magneto Resistive effect: GMR)素子で構成され、磁気センサ6が受ける磁界発生部材MGによる磁界の大きさに応じて変化する電圧値を測定し、磁気センサ6が取り付けられたレンズホルダ3の位置を検出できるように構成されている。そして、磁気センサ6は、N極部分が接近するほど大きい電圧値を出力し、S極部分が接近するほど小さい電圧値を出力するように構成されている。但し、磁気センサ6は、N極部分が接近するほど小さい電圧値を出力し、S極部分が接近するほど大きい電圧値を出力するように構成されていてもよい。また、磁気センサ6は、半導体磁気抵抗(Semiconductor Magneto Resistive: SMR)素子、異方性磁気抵抗(Anisotropic Magneto Resistive: AMR)素子、又はトンネル磁気抵抗(Tunnel Magneto Resistive: TMR)素子等の他の磁気抵抗素子を利用してレンズホルダ3の位置を検出できるように構成されていてもよく、ホール素子等を利用してレンズホルダ3の位置を検出できるように構成されていてもよい。
【0071】
図示例では、位置検出機構DTは、第1レンズホルダ3Aの位置を検出する第1位置検出機構DT1と、第2レンズホルダ3Bの位置を検出する第2位置検出機構DT2とを含む。そして、第1位置検出機構DT1は、第1磁気センサ6A及び第1磁界発生部材MG1を含み、第2位置検出機構DT2は、第2磁気センサ6B及び第2磁界発生部材MG2を含む。
【0072】
図8Aに示すように、第1磁界発生部材MG1は光軸方向における長さ(幅)が幅WD1であり、第2磁界発生部材MG2は光軸方向における長さ(幅)が幅WD2である。そして、第1磁界発生部材MG1と第2磁界発生部材MG2とは、光軸方向において、距離DSにわたって重なり合っている。
【0073】
また、図8Bに示すように、第1磁界発生部材MG1は、第1固定磁石11A及び第1磁性部材12Aを含み、第2磁界発生部材MG2は、第2固定磁石11B及び第2磁性部材12Bを含む。また、第1磁性部材12Aは、第1上磁性部材12AU及び第1下磁性部材12ADを含み、第2磁性部材12Bは、第2上磁性部材12BU及び第2下磁性部材12BDを含む。
【0074】
ここで、図9A図9Dを参照し、磁界発生部材MGの詳細について説明する。図9Aは、磁性部材12が固定磁石11に取り付けられる前の磁界発生部材MGの分解斜視図である。図9Bは、磁性部材12が固定磁石11に取り付けられた後の磁界発生部材MGの組立斜視図である。図9C及び図9Dは、光軸方向におけるレンズホルダ3の移動に応じて変化する磁気センサ6と磁界発生部材MGとの間の位置関係を示す。具体的には、図9Cは、磁気センサ6及び磁界発生部材MGの上面図であり、図9Dは、磁気センサ6及び磁界発生部材MGの右側面図である。なお、図9A図9Dは、ベース部材2の第2側板部2A2の内面に取り付けられる第1磁界発生部材MG1に関する。図示例では、第1磁界発生部材MG1は、接着剤によってベース部材2の第2側板部2A2の内面に固定されている。但し、図9A図9Dを参照する以下の説明は、ベース部材2の第4側板部2A4の内面に取り付けられる第2磁界発生部材MG2にも同様に適用される。
【0075】
図9Aに示すように、第1磁界発生部材MG1は、第1固定磁石11A、第1上磁性部材12AU、及び第1下磁性部材12ADを含む。
【0076】
第1固定磁石11Aは、光軸方向と直交する方向であるZ軸方向に二極着磁された永久磁石である。図示例では、第1固定磁石11Aは、光軸方向と直交する方向(Z軸方向)における一端部(上端部)がN極となり他端部(下端部)がS極となるように着磁されている。図9Aでは、明瞭化のため、第1固定磁石11AのN極部分には細かいクロスパターンが付され、第1固定磁石11AのS極部分には粗いクロスパターンが付されている。
【0077】
図9Bでは、第1上磁性部材12AU及び第1下磁性部材12ADは何れも第1固定磁石11Aに接続されている。図示例では、第1上磁性部材12AU及び第1下磁性部材12ADは、接着剤によって第1固定磁石11Aに固定されている。
【0078】
具体的には、第1上磁性部材12AUは第1固定磁石11Aの一端部(上端部)であるN極部分に接続されてN極に磁化され、第1下磁性部材12ADは第1固定磁石11Aの他端部(下端部)であるS極部分に接続されてS極に磁化されている。そのため、図9Bでは、第1上磁性部材12AUには第1固定磁石11AのN極部分と同様に細かいクロスパターンが付され、第1下磁性部材12ADには第1固定磁石11AのS極部分と同様に粗いクロスパターンが付されている。図9C及び図9Dにおいても同様である。但し、図9Aに示す状態では、第1上磁性部材12AU及び第1下磁性部材12ADは何れも第1固定磁石11Aに接続されておらず磁化されていないため、第1上磁性部材12AU及び第1下磁性部材12ADにはクロスパターンが付されていない。
【0079】
図示例では、第1磁性部材12Aは、図9Aに示すように、棒状部BPと、棒状部BPからY軸方向に突出した後でZ軸方向に突出するL字状の突出部PRとを有するように構成されている。具体的には、第1上磁性部材12AUは、上棒状部BPUと、上棒状部BPUから右方(Y2方向)に突出した後で第1固定磁石11A側(Z2方向)に突出する三つの突出部PR(第1上突出部PR1U~第3上突出部PR3U)とを有する。また、第1下磁性部材12ADは、下棒状部BPDと、下棒状部BPDから右方(Y2方向)に突出した後で第1固定磁石11A側(Z1方向)に突出する三つの突出部PR(第1下突出部PR1D~第3下突出部PR3D)とを有する。
【0080】
また、図示例では、第1上磁性部材12AU及び第1下磁性部材12ADは、第1上突出部PR1U~第3上突出部PR3Uと第1下突出部PR1D~第3下突出部PR3Dとが第1磁界発生部材MG1の延在方向(X軸方向)において交互に配置されるように構成されている。
【0081】
具体的には、第1上磁性部材12AU及び第1下磁性部材12ADは、図9Bに示すように、第1磁界発生部材MG1の延在方向(X軸方向)の最も前側(X1側)に第1上突出部PR1Uが配置され、その後側(X2側)に第1下突出部PR1Dが配置され、更にその後側(X2側)に第2上突出部PR2Uが配置され、更にその後側(X2側)に第2下突出部PR2Dが配置され、更にその後側(X2側)に第3上突出部PR3Uが配置され、更にその後側(X2側)に第3下突出部PR3Dが配置されるように構成されている。
【0082】
また、図9Aに示すように、第1上磁性部材12AU及び第1下磁性部材12ADは、第1磁界発生部材MG1の延在方向(X軸方向)における第1上突出部PR1Uの幅M1、第2上突出部PR2Uの幅M2、第3上突出部PR3Uの幅M3、第1下突出部PR1Dの幅M4、第2下突出部PR2Dの幅M5、及び、第3下突出部PR3Dの幅M6が何れも同じになるように構成されている。
【0083】
また、図9Aに示すように、第1上磁性部材12AU及び第1下磁性部材12ADは、第1磁界発生部材MG1の延在方向(X軸方向)における第1上突出部PR1Uと第2上突出部PR2Uとの間の間隔L1、第2上突出部PR2Uと第3上突出部PR3Uとの間の間隔L2、第1下突出部PR1Dと第2下突出部PR2Dとの間の間隔L3、及び、第2下突出部PR2Dと第3下突出部PR3Dとの間の間隔L4が何れも同じになるように構成されている。
【0084】
また、図9Bに示すように、第1上磁性部材12AU及び第1下磁性部材12ADは、第1磁界発生部材MG1の延在方向(X軸方向)における第1上突出部PR1Uと第1下突出部PR1Dとの間の間隔N1、第1下突出部PR1Dと第2上突出部PR2Uとの間の間隔N2、第2上突出部PR2Uと第2下突出部PR2Dとの間の間隔N3、第2下突出部PR2Dと第3上突出部PR3Uとの間の間隔N4、及び、第3上突出部PR3Uと第3下突出部PR3Dとの間の間隔N5が何れも同じになるように構成されている。
【0085】
また、図9Cに示すように、第1上磁性部材12AU及び第1下磁性部材12ADは、第1上突出部PR1U~第3上突出部PR3U及び第1下突出部PR1D~第3下突出部PR3DのそれぞれのZ軸方向(第1固定磁石11A側)に突出した部分の厚みTKが何れも同じになるように構成されている。
【0086】
更に、図9Cに示すように、第1上磁性部材12AU及び第1下磁性部材12ADは、第1上突出部PR1U~第3上突出部PR3U及び第1下突出部PR1D~第3下突出部PR3Dのそれぞれの右側(Y2側)の端面とレンズホルダ3(図示せず)に固定された磁気センサ6(第1磁気センサ6A)との間の間隔GPが何れも同じになるように構成されている。
【0087】
このように、第1上磁性部材12AUと第1下磁性部材12ADとは、同じ形状及び同じ大きさを有する同一部品として形成されている。但し、第1上磁性部材12AUと第1下磁性部材12ADとは、異なる形状又は異なる大きさを有する別々の部品として形成されていてもよい。例えば、第1上磁性部材12AU及び第1下磁性部材12ADは、幅M1~幅M6が互いに異なるように構成されていてもよい。間隔L1~間隔L4についても同様であり、間隔N1~間隔N5についても同様である。また、第1上磁性部材12AU及び第1下磁性部材12ADは、第1上突出部PR1U~第3上突出部PR3U及び第1下突出部PR1D~第3下突出部PR3DのそれぞれのZ軸方向(第1固定磁石11A側)に突出した部分の厚みTKが互いに異なるように構成されていてもよい。間隔GPについても同様である。
【0088】
また、図示例では、第1上磁性部材12AU及び第1下磁性部材12ADは、第1上突出部PR1U~第3上突出部PR3U及び第1下突出部PR1D~第3下突出部PR3DのそれぞれのZ軸方向(第1固定磁石11A側)に突出した部分の先端が、図9Dに示すような右側面視において、第1固定磁石11AにおけるN極部分とS極部分との境界線に達するように構成されている。しかしながら、第1上磁性部材12AU及び第1下磁性部材12ADは、第1上突出部PR1U~第3上突出部PR3U及び第1下突出部PR1D~第3下突出部PR3DのそれぞれのZ軸方向(第1固定磁石11A側)に突出した部分の突出量が互いに異なるように構成されていてもよい。
【0089】
図9Cの中央図及び図9Dの中央図は、第1レンズホルダ3Aが図1Bに示す基準位置に位置するときの第1磁界発生部材MG1と第1磁気センサ6Aとの間の位置関係を示す。そして、図9Cの上図及び図9Dの上図は、第1レンズホルダ3Aが基準位置から前方(X1方向)に移動したときの第1磁界発生部材MG1と第1磁気センサ6Aとの間の位置関係を示す。また、図9Cの下図及び図9Dの下図は、第1レンズホルダ3Aが基準位置から後方(X2方向)に移動したときの第1磁界発生部材MG1と第1磁気センサ6Aとの間の位置関係を示す。
【0090】
第1磁気センサ6Aは、第1上突出部PR1U~第3上突出部PR3U及び第1下突出部PR1D~第3下突出部PR3Dのそれぞれが発生させる磁界を検出できるように、第1レンズホルダ3Aに固定された第1回路基板10Aのセンサ固定部10S上に設けられている。
【0091】
第1レンズホルダ3Aが基準位置に位置しているときには、第1磁気センサ6Aは、図9Cの中央図及び図9Dの中央図に示すように、N極部分である第1上磁性部材12AUの第2上突出部PR2Uと部分的に対向している。
【0092】
そして、第1レンズホルダ3Aが基準位置から前方(X1方向)に移動すると、第1磁気センサ6Aは、図9Cの上図及び図9Dの上図に示すように、N極部分である第1上磁性部材12AUの第2上突出部PR2Uから離れ、S極部分である第1下磁性部材12ADの第1下突出部PR1Dと部分的に対向するようになる。
【0093】
また、第1レンズホルダ3Aが基準位置から後方(X2方向)に移動すると、第1磁気センサ6Aは、図9Cの下図及び図9Dの下図に示すように、N極部分である第1上磁性部材12AUの第2上突出部PR2Uから離れ、S極部分である第1下磁性部材12ADの第2下突出部PR2Dと部分的に対向するようになる。
【0094】
上述の位置検出機構DTを利用することにより、第1回路基板10Aに形成された導電パターンを介して第1磁気センサ6Aに接続されている制御装置(図示せず)は、第1磁気センサ6Aが出力する電圧値に基づいて第1レンズホルダ3Aの位置を検出できる。なお、図示例では、制御装置は、筐体HSの外側に設けられているが、筐体HSの内側に設けられていてもよい。
【0095】
図示例では、磁界発生部材MGは、一つの二極永久磁石によって構成されているが、複数の二極永久磁石の組み合わせによって構成されてもよく、一つの多極永久磁石によって構成されてもよく、複数の多極永久磁石の組み合わせによって構成されてもよい。
【0096】
次に、図10を参照し、可動側部材MBの動きについて説明する。図10は、軸部材5及び可動側部材MBの斜視図である。具体的には、図10の上段は、第1可動側部材MB1及び第2可動側部材MB2のそれぞれが基準位置にあるときの主要部材(レンズホルダ3、軸部材5、及びレンズ体LS)の位置関係を示す。図10の中段は、第1可動側部材MB1が最も前側(X1側)に移動し、且つ、第2可動側部材MB2が最も前側(X1側)に移動したときの主要部材の位置関係を示す。図10の下段は、第2可動側部材MB2が最も後側(X2側)に移動し、且つ、第1可動側部材MB1が最も後側(X2側)に移動したときの主要部材の位置関係を示す。
【0097】
図10に示すように、レンズホルダ駆動装置101は、第1可動側部材MB1及び第2可動側部材MB2のそれぞれを光軸方向に沿って別々に移動させることができる。
【0098】
次に、図11A及び図11Bを参照し、レンズホルダ3の詳細について説明する。図11Aはレンズホルダ3の正面斜視図であり、図11Bはレンズホルダ3の背面斜視図である。図11A及び図11Bを参照する説明は、第1レンズホルダ3Aに関するが、第2レンズホルダ3Bにも同様に適用される。
【0099】
上述のように、第1レンズホルダ3Aは、第1保持部31A、第1左軸受け部32AL、及び第1右軸受け部32ARを含む。
【0100】
第1保持部31Aは、光軸OAが通る第1貫通孔RH1を有する。そして、第1貫通孔RH1は、第1前側貫通孔RHF1及び第1後側貫通孔RHB1を含む。図示例では、第1前側貫通孔RHF1は、上方(Z1方向)に開く下前側U字溝部DCFと下方(Z2方向)に開く上前側U字溝部UCFとの組み合わせで構成されている。具体的には、下前側U字溝部DCFと上前側U字溝部UCFとは、前後方向(X軸方向)において隣接するように、且つ、上下方向において互いに反対向きになるように配置されている。同様に、第1後側貫通孔RHB1は、上方(Z1方向)に開く下後側U字溝部DCBと下方(Z2方向)に開く上後側U字溝部UCBとの組み合わせで構成されている。具体的には、下後側U字溝部DCBと上後側U字溝部UCBとは、前後方向(X軸方向)において隣接するように、且つ、上下方向において互いに反対向きになるように配置されている。
【0101】
また、第1左軸受け部32ALは、第1軸部材5Aの軸5AXが通る第1貫通孔TH1を有する。そして、第1貫通孔TH1は、第1前側貫通孔THF1及び第1後側貫通孔THB1を含む。図示例では、第1前側貫通孔THF1は、上方(Z1方向)に開く下前側U字溝部DLFと下方(Z2方向)に開く上前側U字溝部ULFとの組み合わせで構成されている。具体的には、下前側U字溝部DLFと上前側U字溝部ULFとは、前後方向(X軸方向)において隣接するように、且つ、上下方向において互いに反対向きになるように配置されている。同様に、第1後側貫通孔THB1は、上方(Z1方向)に開く下後側U字溝部DLBと下方(Z2方向)に開く上後側U字溝部ULBとの組み合わせで構成されている。具体的には、下後側U字溝部DLBと上後側U字溝部ULBとは、前後方向(X軸方向)において隣接するように、且つ、上下方向において互いに反対向きになるように配置されている。
【0102】
また、第1右軸受け部32ARは、第2軸部材5Bの軸5BXが通る第1半円形切り欠きCT1を有する。図示例では、第1半円形切り欠きCT1は、下方(Z2方向)及び右方(Y2方向)に開く上前側L字溝部URF及び上後側L字溝部URBと上方(Z1方向)及び右方(Y2方向)に開く下側L字溝部DRとの組み合わせで構成されている。具体的には、上前側L字溝部URFと下側L字溝部DRとは、前後方向(X軸方向)に並ぶように配置されている。同様に、下側L字溝部DRと上後側L字溝部URBとは、前後方向(X軸方向)に並ぶように配置されている。
【0103】
このように、第1前側貫通孔THF1及び第1後側貫通孔THB1のそれぞれが一対のU字溝部の組み合わせで構成され且つ第1半円形切り欠きCT1が一対のL字溝部の組み合わせで構成されることにより、第1レンズホルダ3Aは、上下方向に分離される、スライドコアを含まない一対の金型(上側金型及び下側金型)を用いた射出成形によって製造され得る。そのため、この構成は、レンズホルダ駆動装置101の製造コストを低減させることができるという効果をもたらす。
【0104】
上述のように、本発明の実施形態に係るレンズホルダ駆動装置101は、図3及び図4に示すように、固定側部材FB(ベース部材2)と、第1レンズ体LS1を保持可能な第1レンズホルダ3Aと、第1レンズ体LS1と同じ光軸OAを有するように配置される第2レンズ体LS2を保持可能な第2レンズホルダ3Bと、固定側部材FB(ベース部材2)に取り付けられ、固定側部材FB(ベース部材2)に対する第1レンズホルダ3A及び第2レンズホルダ3Bの光軸方向への移動を案内可能な第1軸部材5A及び第2軸部材5Bと、第1圧電素子8Aを有し、第1圧電素子8Aの動き(円運動)によって光軸方向に沿って第1レンズホルダ3Aを移動させる第1圧電駆動部PD1と、第2圧電素子8Bを有し、第2圧電素子8Bの動き(円運動)によって光軸方向に沿って第2レンズホルダ3Bを移動させる第2圧電駆動部PD2と、を備えている。そして、第1レンズホルダ3Aは、第1軸部材5Aに近い部分(第1左軸受け部32AL)と第2軸部材5Bに近い部分(第1右軸受け部32AR)とを有し、第1圧電駆動部PD1は、第1レンズホルダ3Aにおける第1軸部材5Aに近い部分(第1左軸受け部32AL)に配置されるとともに第1軸部材5Aと接触している。また、第2レンズホルダ3Bは、第1軸部材5Aに近い部分(第2左軸受け部32BL)と第2軸部材5Bに近い部分(第2右軸受け部32BR)とを有し、第2圧電駆動部PD2は、第2レンズホルダ3Bにおける第2軸部材5Bに近い部分(第2右軸受け部32BR)に配置されるとともに第2軸部材5Bと接触している。
【0105】
この構成は、第1レンズホルダ3A及び第2レンズホルダ3Bのそれぞれを光軸方向に同時に移動させる場合に、同じ一つの軸部材5を介して第1圧電駆動部PD1の動きと第2圧電駆動部PD2の動きとが互いに干渉し合うのを抑制できるという効果をもたらす。第1圧電駆動部PD1が第1軸部材5Aに接触するのに対し、第2圧電駆動部PD2が第2軸部材5Bに接触するように構成されているためである。そのため、この構成は、第1レンズホルダ3A及び第2レンズホルダ3Bのそれぞれを同時に且つ安定的に動かすことができる。この場合、第1レンズホルダ3A及び第2レンズホルダ3Bのそれぞれの移動方向は、互いに同じ方向であってもよく、互いに反対の方向であってもよい。
【0106】
また、上述の実施形態では、一対のレンズホルダ3(第1レンズホルダ3A及び第2レンズホルダ3B)のそれぞれは同じ形状及び同じ大きさを有する同一部品として構成されている。可動磁石4、軸部材5、磁気センサ6、圧電素子8、接触部材9、回路基板10、固定磁石11、磁性部材12、付勢部材13、金属部材14、及び合成樹脂部材15についても同様である。
【0107】
この構成は、レンズホルダ駆動装置101の部品点数を削減できるという効果をもたらす。
【0108】
また、上述の実施形態では、図4に示すように、第1圧電素子8Aは、第1軸部材5Aの軸線(軸5AX)の方向(X軸方向)と交差する方向に延在していてもよい。また、第2圧電素子8Bは、第2軸部材5Bの軸線(軸5BX)の方向と交差する方向に延在していてもよい。
【0109】
この構成は、軸部材5が円柱形状を有する場合であっても、軸部材5と圧電駆動部PDとを確実に接触させることができるという効果をもたらす。具体的には、この構成は、第1軸部材5Aと第1圧電駆動部PD1とを確実に接触させ、且つ、第2軸部材5Bと第2圧電駆動部PD2とを確実に接触させることができるという効果をもたらす。なお、図示例では、圧電素子8は、軸部材5の軸線の方向(X軸方向)と直交する方向(Z軸方向)に延在するように構成されているが、軸部材5の軸線の方向(X軸方向)と90度以外の角度で交差する方向に延在するように構成されていてもよい。圧電素子8のZ軸方向における長さ(高さ)を小さくすることによってレンズホルダ駆動装置101のZ軸方向における長さ(高さ)を小さくするためである。
【0110】
また、上述の実施形態では、図4に示すように、第1圧電駆動部PD1を第1軸部材5Aに向けて付勢する第1付勢部材13Aが第1レンズホルダ3Aに設けられていてもよい。また、第2圧電駆動部PD2を第2軸部材5Bに向けて付勢する第2付勢部材13Bが第2レンズホルダ3Bに設けられていてもよい。
【0111】
この構成は、圧電素子8の動き(円運動)を確実に軸部材5に伝えることができるという効果をもたらす。具体的には、この構成は、第1圧電素子8Aの動きと第2圧電素子8Bの動きとが互いに干渉し合うのを抑制しながらも、第1圧電素子8Aの動きを確実に第1軸部材5Aに伝えることができ、且つ、第2圧電素子8Bの動きを確実に第2軸部材5Bに伝えることができるという効果をもたらす。
【0112】
また、上述の実施形態では、図6A及び図6Bに示すように、第1付勢部材13Aは、板ばね等の板状金属部材によって構成されるとともに、第1レンズホルダ3Aに固定される第1固定部(前側固定部13FF及び後側固定部13FB)と、第1圧電駆動部PD1の一面側(Y1側)における離間した二箇所(第1節ND1及び第2節ND2)のそれぞれを支持する二つの第1支持部(上側支持部13SU及び下側支持部13SD)と、第1固定部(前側固定部13FF及び後側固定部13FB)と二つの第1支持部(上側支持部13SU及び下側支持部13SD)のそれぞれとの間に設けられる弾性変形可能な二つの第1弾性変形部(上側弾性変形部13EU及び下側弾性変形部13ED)とを有していてもよい。この場合、図6Aに示すように、二つの第1支持部(上側支持部13SU及び下側支持部13SD)の間において第1圧電駆動部PD1(第1接触部材9A)の他面側(Y2側)と第1軸部材5Aとは接触していてもよい。同様に、第2付勢部材13Bは、図5に示すように、板ばね等の板状金属部材によって構成されるとともに、第2レンズホルダ3Bに固定される第2固定部(前側固定部13FF及び後側固定部13FB)と、第2圧電駆動部PD2の一面側(Y2側)における離間した二箇所のそれぞれを支持する二つの第2支持部(上側支持部13SU及び下側支持部13SD)と、第2固定部(前側固定部13FF及び後側固定部13FB)と二つの第2支持部(上側支持部13SU及び下側支持部13SD)のそれぞれとの間に設けられる弾性変形可能な二つの第2弾性変形部(上側弾性変形部13EU及び下側弾性変形部13ED)とを有していてもよい。この場合、二つの第2支持部(上側支持部13SU及び下側支持部13SD)の間において第2圧電駆動部PD2(第2接触部材9B)の他面側(Y1側)と第2軸部材5Bとが接触していてもよい。
【0113】
この構成は、付勢部材13によって圧電素子8の動き(円運動)が妨げられてしまうのを抑制できるという効果をもたらす。この構成では、二つの節を有して振動(円運動)する圧電素子8のそれら二つの節のそれぞれの近傍が付勢部材13によって支持されるためである。
【0114】
また、上述の実施形態では、図4に示すように、第1圧電駆動部PD1は、第2軸部材5Bから離れた第1軸部材5Aの外側(Y1側)に配置されていてもよく、第2圧電駆動部PD2は、第1軸部材5Aから離れた第2軸部材5Bの外側(Y2側)に配置されていてもよい。
【0115】
この構成は、レンズホルダ駆動装置101の生産性を高めることができるという効果をもたらす。圧電駆動部PDが軸部材5の内側に配置される場合に比べ、圧電駆動部PDのレンズホルダ3への取り付けが容易に実現されるためである。
【0116】
また、上述の実施形態では、図4に示すように、第1レンズホルダ3Aには、第1磁石(第1可動磁石4A)が設けられていてもよい。この場合、固定側部材FB(ベース部材2)には、第1レンズホルダ3Aの移動範囲の全域にわたって固定側部材FB(ベース部材2)と第1磁石(第1可動磁石4A)との間において光軸方向と交差する方向(Z軸方向)に吸引力を作用させる第1磁性部材が設けられていてもよい。また、図4に示すように、第2レンズホルダ3Bには、第2磁石(第2可動磁石4B)が設けられていてもよい。この場合、固定側部材FB(ベース部材2)には、第2レンズホルダ3Bの移動範囲の全域にわたって固定側部材FB(ベース部材2)と第2磁石(第2可動磁石4B)との間において光軸方向と交差する方向(Z軸方向)に吸引力を作用させる第2磁性部材が設けられていてもよい。図示例では、第1磁性部材は第2軸部材5Bであり、第2磁性部材は第1軸部材5Aであるが、第1磁性部材は、第2軸部材5B以外の不図示の部材であってもよく、第2磁性部材は、第1軸部材5A以外の不図示の部材であってもよい。
【0117】
この構成は、レンズホルダ3のガタつきを抑制できるという効果をもたらす。図8Bに示す例では、第1可動磁石4Aと第1磁性部材との間に作用する磁気的な吸引力は、第1レンズホルダ3Aを第1軸部材5Aの軸線(軸5AX)の回りに回転させようとするトルク(一点鎖線矢印で表される付勢トルクTQ)をもたらす。付勢トルクTQは、第1レンズホルダ3Aの第1右軸受け部32ARを上側(Z1側)から第2軸部材5Bに押し付けるように作用する。また、第1レンズホルダ3Aには、付勢トルクTQ以外にも、第1レンズホルダ3Aの自重が第1レンズホルダ3Aを第1軸部材5Aの軸線(軸5AX)の回りに回転させようとするトルク(自重トルク)が作用する。そして、第1可動磁石4Aは、吸引力によってもたらされる付勢トルクTQの大きさが自重トルクの大きさよりも大きくなるように構成されている。そのため、レンズホルダ駆動装置101がどのような姿勢をとっていても(上下が逆さまになったとしても)、付勢トルクTQと自重トルクとを合成することによって得られる合成トルクは、常に第1レンズホルダ3Aの第1右軸受け部32ARをZ1側から第2軸部材5Bに押し付けるように作用する。すなわち、付勢トルクTQと自重トルクとが同じ向きである場合ばかりでなく、付勢トルクTQと自重トルクとが互いに反対向きであったとしても、合成トルクは常に第1レンズホルダ3Aの第1右軸受け部32ARをZ1側から第2軸部材5Bに押し付けるように作用する。その結果、レンズホルダ駆動装置101がどのような姿勢をとっていても(上下が逆さまになったとしても)、第1レンズホルダ3Aの第1右軸受け部32ARと第2軸部材5Bとは常に接触した状態で維持され、第1右軸受け部32ARと第2軸部材5Bとの間におけるガタつきの発生は抑制される。第1レンズホルダ3Aの第1左軸受け部32ALと第1軸部材5Aとの間におけるガタつき、第2レンズホルダ3Bの第2左軸受け部32BLと第1軸部材5Aとの間におけるガタつき、及び、第2レンズホルダ3Bの第2右軸受け部32BRと第2軸部材5Bとの間におけるガタつきについても同様である。また、この構成は、レンズホルダ駆動装置101の耐落下衝撃性を向上させることができるという効果をもたらす。
【0118】
また、第1磁石(第1可動磁石4A)との間において光軸方向と交差する方向に吸引力を作用させる第1磁性部材は、第1軸部材5Aであってもよく第2軸部材5Bであってもよい。同様に、第2磁石(第2可動磁石4B)との間において光軸方向と交差する方向に吸引力を作用させる第2磁性部材は、第1軸部材5Aであってもよく第2軸部材5Bであってもよい。
【0119】
また、上述の実施形態では、図4に示すように、第1磁石(第1可動磁石4A)は、第1レンズホルダ3Aにおける第2軸部材5Bに近い部分(第1右軸受け部32AR)に固定されていてもよい。この場合、第1磁性部材は、第2軸部材5Bであってもよい。また、第2磁石(第2可動磁石4B)は、第2レンズホルダ3Bにおける第1軸部材5Aに近い部分(第2左軸受け部32BL)に固定されていてもよい。この場合、第2磁性部材は、第1軸部材5Aであってもよい。
【0120】
この構成は、可動磁石4との間で吸引力を発生させる磁性部材を軸部材5とは別に設ける必要がないという効果をもたらす。そのため、この構成は、レンズホルダ駆動装置101の製造コストを低減させることができるという効果をもたらす。
【0121】
なお、第1磁性部材が第1軸部材5Aである場合には、第1磁石(第1可動磁石4A)は、第1レンズホルダ3Aにおける第1軸部材5Aに近い部分に配置されるのが好ましい。また、第2磁性部材が第2軸部材5Bである場合には、第2磁石(第2可動磁石4B)は、第2レンズホルダ3Bにおける第2軸部材5Bに近い部分に配置されるのが好ましい。
【0122】
また、上述の実施形態では、図4に示すように、第1圧電駆動部PD1は、第1軸部材5Aと接触する金属製の第1接触部材9Aを有していてもよい。また、第2圧電駆動部PD2は、第2軸部材5Bと接触する金属製の第2接触部材9Bを有していてもよい。この場合、第1軸部材5A及び第2軸部材5Bは、第1接触部材9A及び第2接触部材9Bよりも硬い金属で構成されていてもよい。
【0123】
この構成は、軸部材5及び接触部材9のそれぞれの摩耗を抑制できるという効果をもたらす。特に、この構成は、軸部材5が接触部材9よりも硬い金属で構成されることにより、軸部材5の摩耗を抑制できるという効果をもたらす。また、この構成は、軸部材5と接触部材9との接触による摩耗粉の生成を抑制できるという効果をもたらし、ひいては、その摩耗粉が撮像素子ISに達するのを抑制できるという効果をもたらす。
【0124】
また、上述の実施形態では、図11A及び図11Bに示すように、第1レンズホルダ3Aにおける第1軸部材5Aに近い部分(第1左軸受け部32AL)は、第1軸部材5Aが挿通される第1前側貫通孔THF1が形成された第1前壁部FW1と、第1軸部材5Aが挿通される第1後側貫通孔THB1が形成された第1後壁部BW1と、を有していてもよい。この場合、第1圧電駆動部PD1は、第1前壁部FW1と第1後壁部BW1との間にある第1空間SP1の内部に配置されていてもよい。そして、第1空間SP1は、第1レンズホルダ3Aにおける第1軸部材5Aに近い部分(第1左軸受け部32AL)に取り付けられる第1カバー部材CV1(図4参照)によって覆われていてもよい。
【0125】
同様に、図4に示すように、第2レンズホルダ3Bにおける第2軸部材5Bに近い部分(第2右軸受け部32BR)は、第2軸部材5Bが挿通される第2前側貫通孔THF2が形成された第2前壁部FW2と、第2軸部材5Bが挿通される第2後側貫通孔THB2が形成された第2後壁部BW2と、を有していてもよい。この場合、第2圧電駆動部PD2は、第2前壁部FW2と第2後壁部BW2との間にある第2空間SP2の内部に配置されていてもよい。そして、第2空間SP2は、第2レンズホルダ3Bにおける第2軸部材5Bに近い部分(第2右軸受け部32BR)に取り付けられる第2カバー部材CV2によって覆われていてもよい。
【0126】
この構成は、軸部材5と接触部材9との接触によって発生する摩耗粉を密閉された空間内に閉じ込めることができるという効果をもたらす。具体的には、この構成は、第1軸部材5Aと第1接触部材9Aとの接触によって発生する摩耗粉を第1左軸受け部32AL(第1前壁部FW1及び第1後壁部BW1)と第1カバー部材CV1とで囲まれた第1空間SP1内に閉じ込めることができ、且つ、第2軸部材5Bと第2接触部材9Bとの接触によって発生する摩耗粉を第2右軸受け部32BR(第2前壁部FW2及び第2後壁部BW2)と第2カバー部材CV2とで囲まれた第2空間SP2内に閉じ込めることができるという効果をもたらす。
【0127】
また、上述の実施形態では、図3に示すように、固定側部材FB(ベース部材2)には、第1磁界発生部材MG1及び第2磁界発生部材MG2が設けられていてもよい。この場合、第1磁界発生部材MG1は、図8Bに示すように、第1レンズホルダ3Aにおける第1軸部材5Aに近い部分(第1左軸受け部32AL)と対向するように配置されていてもよい。そして、第1レンズホルダ3Aにおける第1軸部材5Aに近い部分(第1左軸受け部32AL)には、第1磁界発生部材MG1からの磁界を検出する第1磁気センサ6Aが設けられていてもよい。また、第2磁界発生部材MG2は、第2レンズホルダ3Bにおける第2軸部材5Bに近い部分(第2右軸受け部32BR)と対向するように配置されていてもよい。そして、第2レンズホルダ3Bにおける第2軸部材5Bに近い部分(第2右軸受け部32BR)には、第2磁界発生部材MG2からの磁界を検出する第2磁気センサ6Bが設けられていてもよい。
【0128】
この構成は、第1磁界発生部材MG1と第2磁界発生部材MG2との間の磁気的な干渉を抑制できるという効果をもたらす。第1磁界発生部材MG1と第2磁界発生部材MG2とが互いに離れた位置に設けられているためである。そのため、この構成は、第1レンズホルダ3A及び第2レンズホルダ3Bのそれぞれの移動をより正確に検出できるという効果をもたらす。
【0129】
また、上述の実施形態では、図8Aに示すように、第1磁界発生部材MG1と第2磁界発生部材MG2とは、光軸方向において互いに一部が重なっていてもよい。図示例では、第1磁界発生部材MG1は光軸方向における長さ(幅)が幅WD1であり、第2磁界発生部材MG2は光軸方向における長さ(幅)が幅WD2である。そして、第1磁界発生部材MG1と第2磁界発生部材MG2とは、光軸方向において、距離DSにわたって重なり合っている。
【0130】
この構成は、第1レンズホルダ3Aの移動範囲の長さと第2レンズホルダ3Bの移動範囲の長さとの合計を、レンズホルダ駆動装置101の光軸方向における長さ寸法よりも大きく設定できるという効果をもたらす。そのため、この構成は、第1可動側部材MB1及び第2可動側部材MB2のそれぞれに関して所望の移動範囲を実現しながら、レンズホルダ駆動装置101の小型化及び軽量化を実現できるという効果をもたらす。
【0131】
また、上述の実施形態では、第1レンズホルダ3Aは、図11A及び図11Bに示すように、光軸方向に貫通する複数の貫通孔(第1前側貫通孔RHF1、第1後側貫通孔RHB1、第1前側貫通孔THF1、及び第1後側貫通孔THB1)を有していてもよい。そして、第1前側貫通孔RHF1は、上方に開く第1溝部(下前側U字溝部DCF)と下方に開く第2溝部(上前側U字溝部UCF)との組み合わせで構成されていてもよく、第1後側貫通孔RHB1は、上方に開く第1溝部(下後側U字溝部DCB)と下方に開く第2溝部(上後側U字溝部UCB)との組み合わせで構成されていてもよい。また、第1前側貫通孔THF1は、上方に開く第1溝部(下前側U字溝部DLF)と下方に開く第2溝部(上前側U字溝部ULF)との組み合わせで構成されていてもよく、第1後側貫通孔THB1は、上方に開く第1溝部(下後側U字溝部DLB)と下方に開く第2溝部(上後側U字溝部ULB)との組み合わせで構成されていてもよい。図4に示す第2レンズホルダ3Bに形成された複数の貫通孔(第2前側貫通孔RHF2、第2後側貫通孔RHB2、第2前側貫通孔THF2、及び第2後側貫通孔THB2)についても同様である。また、図11A及び図11Bに示す第1レンズホルダ3Aに形成された第1半円形切り欠きCT1、及び、図4に示す第2レンズホルダ3Bに形成された第2半円形切り欠きCT2についても同様である。
【0132】
この構成は、レンズホルダ駆動装置101の製造コストを低減させることができるという効果をもたらす。第1前側貫通孔THF1及び第1後側貫通孔THB1のそれぞれが一対のU字溝部で構成され且つ第1半円形切り欠きCT1が一対のL字溝部で構成されることにより、第1レンズホルダ3Aは、上下方向に分離される、スライドコアを含まない一対の金型(上側金型及び下側金型)を用いた射出成形によって製造され得るためである。同様に、第2前側貫通孔THF2及び第2後側貫通孔THB2のそれぞれが一対のU字溝部で構成され且つ第2半円形切り欠きCT2が一対のL字溝部で構成されることにより、第2レンズホルダ3Bは、上下方向に分離される、スライドコアを含まない一対の金型(上側金型及び下側金型)を用いた射出成形によって製造され得るためである。なお、図示例では、第1レンズホルダ3A及び第2レンズホルダ3Bは同じ形状及び同じ大きさを有するため、同じ一組の金型によって成形される。
【0133】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に限定されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形及び置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0134】
例えば、上述の実施形態では、第1貫通孔TH1は、図11A及び図11Bに示すように、二つのU字溝部の組み合わせで構成されているが、U字溝部の少なくとも一方はV字溝部であってもよい。第1貫通孔RH1(図11A及び図11B参照)、第2貫通孔TH2(図4参照)、及び第2貫通孔RH2(図4参照)についても同様である。
【0135】
また、上述の実施形態では、第1可動磁石4Aは、第1レンズホルダ3Aにおける第2軸部材5Bに近い部分に固定されているが、第1軸部材5Aに近い部分と第2軸部材5Bに近い部分との両方に固定されていてもよい。第2可動磁石4Bについても同様である。また、第1可動磁石4Aが第1レンズホルダ3Aにおける第2軸部材5Bに近い部分に固定され、且つ、第2可動磁石4Bが第2レンズホルダ3Bにおける第2軸部材5Bに近い部分に固定されていてもよい。
【符号の説明】
【0136】
1・・・蓋部材 2・・・ベース部材 2A・・・外壁部 2A1・・・第1側板部 2A2・・・第2側板部 2A3・・・第3側板部 2A4・・・第4側板部 2B・・・底面部 2G・・・溝部 2S・・・収納部 2T・・・切り欠き 3・・・レンズホルダ 3A・・・第1レンズホルダ 3B・・・第2レンズホルダ 4・・・可動磁石 4A・・・第1可動磁石 4B・・・第2可動磁石 5・・・軸部材 5A・・・第1軸部材 5AX・・・軸 5B・・・第2軸部材 5BX・・・軸 6・・・磁気センサ 6A・・・第1磁気センサ 6B・・・第2磁気センサ 8・・・圧電素子 8A・・・第1圧電素子 8AX・・・回転軸 8B・・・第2圧電素子 9・・・接触部材 9A・・・第1接触部材 9B・・・第2接触部材 10・・・回路基板 10A・・・第1回路基板 10B・・・第2回路基板 10F・・・接着固定部 10P・・・圧電素子固定部 10S・・・センサ固定部 10T・・・端子部 10W・・・湾曲部 11・・・固定磁石 11A・・・第1固定磁石 11B・・・第2固定磁石 12・・・磁性部材 12A・・・第1磁性部材 12AD・・・第1下磁性部材 12AU・・・第1上磁性部材 12B・・・第2磁性部材 12BD・・・第2下磁性部材 12BU・・・第2上磁性部材 13・・・付勢部材 13A・・・第1付勢部材 13B・・・第2付勢部材 13E・・・弾性変形部 13ED・・・下側弾性変形部 13EU・・・上側弾性変形部 13F・・・固定部 13FB・・・後側固定部 13FF・・・前側固定部 13S・・・支持部 13SD・・・下側支持部 13SU・・・上側支持部 14・・・金属部材 14A・・・第1金属部材 14B・・・第2金属部材 15・・・合成樹脂部材 15A・・・第1合成樹脂部材 15B・・・第2合成樹脂部材 31・・・保持部 31A・・・第1保持部 31B・・・第2保持部 32・・・軸受け部 32A・・・第1軸受け部 32AL・・・第1左軸受け部 32AR・・・第1右軸受け部 32B・・・第2軸受け部 32BL・・・第2左軸受け部 32BR・・・第2右軸受け部 32L・・・左軸受け部 32R・・・右軸受け部 101・・・レンズホルダ駆動装置 AB、AF・・・接触部 BE・・・内縁部 BP・・・棒状部 BPD・・・下棒状部 BPU・・・上棒状部 BW1・・・第1後壁部 BW2・・・第2後壁部 CM・・・カメラモジュール CT1・・・第1半円形切り欠き CT2・・・第2半円形切り欠き CV・・・カバー部材 CV1・・・第1カバー部材 CV2・・・第2カバー部材 DB・・・下側折れ曲がり部 DCB・・・下後側U字溝部 DCF・・・下前側U字溝部 DLB・・・下後側U字溝部 DLF・・・下前側U字溝部 DR・・・下側L字溝部 DT・・・位置検出機構 DT1・・・第1位置検出機構 DT2・・・第2位置検出機構 FB・・・固定側部材 FW1・・・第1前壁部 FW2・・・第2前壁部 GP・・・間隔 HS・・・筐体 IS・・・撮像素子 L1~L4・・・間隔 LM・・・下側部材 LS・・・レンズ体 LS1・・・第1レンズ体 LS2・・・第2レンズ体 LT・・・光 M1~M6・・・幅 MB・・・可動側部材 MB1・・・第1可動側部材 MB2・・・第2可動側部材 MG・・・磁界発生部材 MG1・・・第1磁界発生部材 MG2・・・第2磁界発生部材 MR・・・ミラー N1~N5・・・間隔 ND・・・節 ND1・・・第1節 ND2・・・第2節 OA・・・光軸 OP1、OP2・・・貫通孔 PD・・・圧電駆動部 PD1・・・第1圧電駆動部 PD2・・・第2圧電駆動部 PR・・・突出部 PR1D・・・第1下突出部 PR1U・・・第1上突出部 PR2D・・・第2下突出部 PR2U・・・第2上突出部 PR3D・・・第3下突出部 PR3U・・・第3上突出部 RH1・・・第1貫通孔 RH2・・・第2貫通孔 RHB1・・・第1後側貫通孔 RHB2・・・第2後側貫通孔 RHF1・・・第1前側貫通孔 RHF2・・・第2前側貫通孔 RS・・・凹部 SP1・・・第1空間 SP2・・・第2空間 TH1・・・第1貫通孔 TH2・・・第2貫通孔 THB1・・・第1後側貫通孔 THB2・・・第2後側貫通孔 THF1・・・第1前側貫通孔 THF2・・・第2前側貫通孔 TK・・・厚み UB・・・上側折れ曲がり部 UCB・・・上後側U字溝部 UCF・・・上前側U字溝部 ULB・・・上後側U字溝部 ULF・・・上前側U字溝部 URB・・・上後側L字溝部 URF・・・上前側L字溝部
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
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図9D
図10
図11A
図11B