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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047183
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】在庫管理システム及び保管庫
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20230329BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20230329BHJP
   H04B 1/59 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
B65G1/137 A
G06K7/10 240
G06K7/10 232
H04B1/59
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156135
(22)【出願日】2021-09-24
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 正二
(72)【発明者】
【氏名】栗山 哲
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 功一
(72)【発明者】
【氏名】原 和規
(72)【発明者】
【氏名】京谷 浩平
(72)【発明者】
【氏名】中島 一州
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA01
3F522BB16
3F522BB24
3F522CC09
3F522DD03
3F522DD05
3F522DD23
3F522DD32
3F522EE02
3F522EE03
3F522EE13
3F522EE19
3F522FF02
3F522FF35
3F522FF36
3F522GG03
3F522GG25
3F522GG27
3F522GG44
3F522HH03
3F522HH05
3F522HH22
3F522HH30
3F522HH33
3F522KK02
(57)【要約】
【課題】保管庫内の在庫管理を適切に行うことができる在庫管理システムを提供する。
【解決手段】在庫管理システム100は、保管庫4内に収容する物品に付された無線タグと通信ができるように設けられた庫内の入庫用アンテナ6Aと、出庫のときに無線タグと通信ができるように設けられた庫外の出庫用アンテナ7Aと、入庫用アンテナ又は出庫用アンテナを介して無線タグと通信を行って物品情報を取得する物品情報取得部(タグリーダライタ装置6、7)と、取得した物品情報に基づき、保管庫4の物品を管理する在庫管理装置1とを備え、在庫管理装置1は、保管庫4の扉が開かれている場合、入庫用アンテナ6Aから電波を出力し、扉が閉じられている場合、出庫用アンテナ7Aから電波を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管庫内に収容する物品に付された無線タグと通信ができるように設けられた庫内の入庫用アンテナと、
出庫のときに前記無線タグと通信ができるように設けられた庫外の出庫用アンテナと、
前記入庫用アンテナ又は前記出庫用アンテナを介して前記無線タグと通信を行って物品情報を取得する物品情報取得部と、
前記取得した物品情報に基づき、前記保管庫の物品を管理する在庫管理装置とを備え、
前記在庫管理装置は、前記保管庫の扉が開かれている場合、前記入庫用アンテナから電波を出力し、前記扉が閉じられている場合、前記出庫用アンテナから電波を出力する
ことを特徴とする在庫管理システム。
【請求項2】
前記在庫管理装置は、
前記扉が開かれている場合、前記入庫用アンテナから電波を出力するとともに、前記出庫用アンテナから電波の出力を停止し、
前記扉が閉じられている場合、前記出庫用アンテナから電波を出力するとともに、前記入庫用アンテナから電波の出力を停止する
ことを特徴とする請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項3】
前記無線タグと通信する際の前記入庫用アンテナの電波強度は、前記無線タグと通信する際の前記出庫用アンテナの電波強度より大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項4】
前記入庫用アンテナの個数は、前記出庫用アンテナの個数以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項5】
前記保管庫は、複数の貯蔵室を有し、
前記保管庫の各貯蔵室内に、前記入庫用アンテナが設けられ、
前記保管庫の外面に、前記出庫用アンテナが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項6】
前記物品には、2次元コードが付されており、
前記在庫管理装置は、前記2次元コードの情報を受信した場合、前記在庫管理装置が保持する在庫リストに、前記2次元コードの情報に基づく物品を追加する
ことを特徴とする請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項7】
前記在庫管理装置は、端末装置と通信可能であり、
前記在庫管理装置は、前記端末装置から前記物品の削除要求をもとに、前記在庫リストから前記物品の情報を削除する
ことを特徴とする請求項6に記載の在庫管理システム。
【請求項8】
前記在庫管理装置は、出庫品の出庫リストから発注リストを作成する
ことを特徴とする請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項9】
前記出庫用アンテナは、通信距離が5cm以下の近距離用アンテナである
ことを特徴とする請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項10】
前記在庫管理装置は、前記扉が閉じられたのち、前記入庫用アンテナから電波を設定時間継続して出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項11】
前記在庫管理システムは、さらに、前記保管庫外に配置され、発注の物品の無線タグを読み取る発注用アンテナを有する
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の在庫管理システム。
【請求項12】
物品を保管する保管庫であって、
前記保管庫内に収容する物品に付された無線タグと通信ができるように設けられた庫内の入庫用アンテナと、
出庫のときに前記無線タグと通信ができるように設けられた庫外の出庫用アンテナと、
前記入庫用アンテナ又は前記出庫用アンテナを介して前記無線タグと通信を行って物品情報を取得する物品情報取得部と、
前記取得した物品情報に基づき、前記保管庫の物品を管理する在庫管理装置とを備え、
前記在庫管理装置は、前記保管庫の扉が開かれている場合、前記入庫用アンテナから電波を出力し、前記扉が閉じられている場合、前記出庫用アンテナから電波を出力する
ことを特徴とする保管庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在庫管理システム及び保管庫に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、保管庫の内部を視認することなく保管庫内に保管している物品を知る技術が普及している。特許文献1は、冷蔵庫内に収容する食品に食品情報を記録したRFID(Radio Frequency Identifier)タグを付して貯蔵する冷蔵庫において、冷蔵庫の庫内又は冷蔵庫の庫内と冷蔵庫の庫外の双方にRFIDタグリーダを有することと、当該RFIDタグリーダにより読み取った当該食品情報を蓄積したデータベースを備えることが記載されている。
【0003】
特許文献2の保管庫においては、保管庫の扉が開けられたことを契機として、保管庫内に設置されたタグリーダライタ装置が、保管庫内部の物品に添付された情報記録担体に対して、データの読み出し及び書き込みを行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-319043号公報
【特許文献2】特許第3960093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の冷蔵庫において、入庫時には、操作者は、RFIDタグの付いたパッケージを冷蔵庫の庫内に単に入れるか又はRFIDタグリーダライタが冷蔵庫前面扉にある場合は、冷蔵庫前面にかざすだけでよいとしている。庫内のRFIDタグリーダは、RFIDタグの共振周波数である電波をRFIDタグに定時的に繰り返し送信して該当するRFIDタグの付いた食品からの応答波を読み取りする。これにより応答が無い場合は、当該食品は消費されたものとしてデータベースに記録し、出庫判定している。
【0006】
特許文献2の保管庫は、タグリーダライタ装置を保管庫内に備える。食料品に取り付けられているRFIDからのレスポンスが検出されなくなると、該当食料品が出庫されたと制御部が判定している。
【0007】
一般に、保管庫内で電波を情報記録担体(タグ)に照射する場合、水分を含む食品又は金属製の障害物が電波を偶然遮ることがある。また、庫内のヌル点にタグが配置されて電波が遮蔽された場合は、当該タグが読み取れず、特許文献1及び特許文献2の方式であると「出庫」と誤判定されることが多かった。なお、ヌル点とは、それぞれのアンテナから放射された電波が干渉しあって、お互いに打ち消しあってしまう点のことである。
【0008】
したがって、タグリーダライタ装置が情報記録担体を読み取れない場合、その物品は、保管庫内に存在しないと判断されるのが課題であった。
【0009】
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、保管庫内の在庫管理を適切に行うことができる在庫管理システム及び保管庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明の在庫管理システムは、保管庫内に収容する物品に付された無線タグと通信ができるように設けられた庫内の入庫用アンテナと、出庫のときに前記無線タグと通信ができるように設けられた庫外の出庫用アンテナと、前記入庫用アンテナ又は前記出庫用アンテナを介して前記無線タグと通信を行って物品情報を取得する物品情報取得部(例えば、タグリーダライタ装置)と、前記取得した物品情報に基づき、前記保管庫の物品を管理する在庫管理装置とを備え、前記在庫管理装置は、前記保管庫の扉が開かれている場合、前記入庫用アンテナから電波を出力し、前記扉が閉じられている場合、前記出庫用アンテナから電波を出力することを特徴とする。本発明のその他の態様については、後記する実施形態において説明する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、保管庫内の在庫管理を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る在庫管理システムの構成を説明する図である。
図2】アンテナの位置と扉が閉じているときの電波の状態を説明する図である。
図3】アンテナの位置と扉が開いているときの電波の状態を説明する図である。
図4】アンテナの位置と引き出しが開いているときの電波の状態を説明する図である。
図5】開閉情報の一例である。
図6】読取情報の一例である。
図7】在庫情報の一例である。
図8】アンテナ・センサ設定画面の一例である。
図9】処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10】扉に複数のアンテナを設けた保管庫を説明する図である。
図11】在庫管理装置の他の構成等を説明する図である。
図12】扉に複数のアンテナを設けた他の保管庫を説明する図である。
図13】引き出し式のトレイの形状を説明する図であり、(a)はトレイ手前側の一部を切り欠いた形状、(b)はトレイ手前側に凹部を設けた形状である。
図14】入庫用アンテナと出庫用アンテナの電波の出力タイミングを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以降、本発明を実施するための形態(“本実施形態”という)を、図等を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、キッチンにおいて、冷蔵庫等の保管庫に食品を保管する例である。しかしながら、本発明は、生産現場等、キッチン以外の空間において、食品以外の物品を保管する例にも一般的に適用可能である。
【0014】
(在庫管理システム)
図1は、本実施形態に係る在庫管理システム100の構成を説明する図である。在庫管理システム100は、在庫管理装置1、RFID(Radio Frequency Identifier)タグの情報を読み書きするタグリーダライタ装置6及びタグリーダライタ装置7とで構成されている。タグリーダライタ装置6は入庫用アンテナ6Aを有する。同様に、タグリーダライタ装置7は出庫用アンテナ7Aを有する。
【0015】
在庫管理装置1は、一般的なコンピュータ(サーバ、PC等)である。在庫管理装置1は、中央制御装置11、マウス、キーボード、タッチパネル等の入力装置12、ディスプレイ等の出力装置13、主記憶装置14、補助記憶装置15及び通信装置16を備える。これらは、バスで相互に接続されている。
【0016】
補助記憶装置15は、開閉情報31、読取情報32及び在庫情報33(詳細後記)を格納している。主記憶装置14における入出力処理部21及び在庫管理部22は、プログラムである。中央制御装置11は、これらのプログラムを補助記憶装置15から読み出して主記憶装置14にロードすることによって、それぞれのプログラムの機能(詳細後記)を実現する。補助記憶装置15が在庫管理装置1から独立した構成であってもよい。
【0017】
キッチン3に1又は複数の保管庫4が存在する。ここでの保管庫4としては、冷蔵庫が想定されているが、保管庫4は、冷却機能を有さない食品庫又は食品棚であってもよい。保管庫4は、前記したタグリーダライタ装置6及びタグリーダライタ装置7を有する。入庫用アンテナ6Aは、保管庫4の内部空間の天井等に設置されている。出庫用アンテナ7Aは、保管庫の外側、例えば、引き出しの外部面等に設置されている。
【0018】
本実施形態においては、RFIDタグ52が個々の食品51に添付されており、RFIDタグ内の電子チップは、食品に関する様々なデータ(メーカ名、アイテム名等の情報を示すコード)を記憶している。タグリーダライタ装置6は、入庫用アンテナ6Aを介して、RFIDタグ52に対して電波を照射し、反射した電波を受信することによって、当該データを読み取ることができる。タグリーダライタ装置7は、入庫用アンテナ6Aを介して、RFIDタグ52に対して電波を照射し、反射した電波を受信することによって、当該データを読み取ることができる。
【0019】
在庫管理装置1は、保管庫の扉又は蓋(図示していない)が開かれている場合、入庫用アンテナ6Aから電波を出力し、扉又は蓋が閉じられている場合、出庫用アンテナ7Aから電波を出力する。アンテナが出力している状態でのアンテナの電波強度は、入庫用アンテナ6A>出庫用アンテナ7Aである。入庫時は庫内に設けられた入庫用アンテナ6Aを介して自動認識、出庫の際には扉又は蓋を閉じた際に、保管庫の外面に、かつ、RFIDタグ52をアンテナに触れられる位置に配置された出庫用アンテナ7Aを介して自動認識する。出庫用アンテナ7Aは、タグをタッチ(0~5cm程度の距離)しないとタグを検知できないように、電波強度を小さくする。これにより、出庫時の出庫誤判定を防止する。
【0020】
在庫管理装置1は、ネットワーク2を介して、タグリーダライタ装置6及びタグリーダライタ装置7と通信可能であり、それらの電波照射タイミング及び照射電力を、アンテナ・センサ設定画面61(図8参照)に基づいて制御することもできる。さらに、在庫管理装置1は、ネットワーク2を介して、扉開閉センサ及び引き出し開閉センサ(図示せず)とも通信可能である。キッチン3内の任意の位置に、キッチン3内における人の存在を検知する人感センサ(図示せず)及びキッチン3内の照度を検知する照度センサ(図示せず)が設置されている。在庫管理装置1は、ネットワーク2を介して、これらのセンサとも通信可能である。なお、在庫管理装置1は、保管庫4と一体になっていてもよい。
【0021】
在庫管理装置1は、スマートフォン等の端末装置80と通信可能であり、在庫管理装置1は、端末装置80から物品の閲覧要求をもとに、端末装置80へ保管庫4の在庫情報33を送信する。在庫管理装置1は、端末装置80からの物品の削除要求をもとに、在庫リストから物品の情報を削除することができる。
【0022】
食品51(物品)に、2次元コードが付されている場合、在庫管理装置1は、端末装置80から読み込んだ2次元コードの情報を受信した場合、在庫管理装置1が保持する在庫情報33に基づく在庫リストに、2次元コードの情報に基づく物品を追加することができる。
【0023】
(アンテナの位置)
図2は、アンテナの位置と扉が閉じているときの電波の状態を説明する図である。図2の保管庫4は、一般的な冷蔵庫である。保管庫4は、上下4段の貯蔵室を有する。図2では、貯蔵室の扉41及び引き出し42は、閉じている。最上段の貯蔵室内側の天井に入庫用アンテナ6Aが設置されている。入庫用アンテナ6Aは、自身の電波照射領域8内に存在するRFIDタグ52を読み取ることができる。扉41は、両開きであり、保管庫4に向かって左側の扉の外面に出庫用アンテナ7Aが設置されている(外面と出庫用アンテナ7Aとが面一(フラット)となるような態様での設置)。出庫用アンテナ7Aは、自身の電波照射領域9内に存在するRFIDタグ52を読み取ることができる。出庫用アンテナ7Aは、タグをタッチ(0~5cm程度の距離に近接)しないとタグを検知できないように、電波強度を小さくしている(タッチはユーザが行う)。在庫管理装置1は、扉41が閉じられている場合、出庫用アンテナ7Aから電波を出力するとともに、入庫用アンテナ6Aから電波の出力を停止している。なお、0~5cmは一例である。また、図2においては入庫用アンテナ6Aと出庫用アンテナ7Aが各々電波を出力する時間帯は扉閉鎖を境界として分割されているが、これは一例であり「(c)アンテナの出力タイミング」にて動作条件の詳細を述べる。
【0024】
図2において、本実施形態では入庫用アンテナ6Aは、最上段の貯蔵室の天井面に下向き(下に電波を照射するように)設置されている。しかしながら、入庫用アンテナ6Aは、最上段の貯蔵室の床面上の位置であって、扉41が開いているときに物品保持手段43をその真下から見上げる位置(図3符号45)に、上向きに(上に電波を照射するように)設置されていてもよい。
【0025】
図3は、アンテナの位置と扉41が開いているときの電波の状態を説明する図である。図3では、扉41は開いており、図2と比較すると、在庫管理装置1は、扉41が開かれている場合、入庫用アンテナ6Aから電波を出力するとともに、出庫用アンテナ7Aから電波の出力を停止している。なお、図3において、保管庫4に向かって観音開きの扉41の右側の扉は略90度開いており、左側の扉は略180度開いている。
【0026】
図4は、アンテナの位置と引き出し44が開いているときの電波の状態を説明する図である。図4では、扉41及び引き出し42は、閉じており、上から3段目の貯蔵室の引き出し44は開いている。上から3段目の貯蔵室内側の天井に入庫用アンテナ6Aが設置されている。入庫用アンテナ6Aは、自身の電波照射領域8内に存在するRFIDタグ52を読み取ることができる。在庫管理装置1は、引き出し44が開かれている場合、入庫用アンテナ6Aから電波を出力するとともに、出庫用アンテナ7Aから電波の出力を停止している。
【0027】
図2図4に示したように、入庫用アンテナ6Aの個数は、出庫用アンテナ7Aの個数以上である。保管庫4は、複数の貯蔵室を有し、保管庫4の各貯蔵室内に、入庫用アンテナ6Aが設けられ、保管庫4の外面に、出庫用アンテナ7Aが設けられている。図2図4においては、各貯蔵室内の入庫用アンテナ6Aは、切替器(図示せず)を介してタグリーダライタ装置6と接続されており、出庫用アンテナ7Aは、タグリーダライタ装置7に接続されている。
【0028】
アンテナの位置、配置及び個数等についてさらに説明する。
(a)入庫用アンテナ6Aの配置
(a1)貯蔵室が扉(ドア)式の場合:(i)冷蔵室最下面(扉を閉じた際のドアポケットの下)、(ii)天井灯付近、(iii)庫内両サイドの壁、のいずれか又はいずれかを組み合わせた配置である。
これらの位置に入庫用アンテナを設けているので、例えば扉の庫内側に収容用のポケットを設けて該ポケットに食品を入庫した場合でも、扉を閉じる際に食品に取り付けたRFIDタグ52が入庫用アンテナ6Aに移動して近づいてくるので、入庫用アンテナ6Aの電波の庫内のヌル点とは異なる位置や、金属物の近傍にRFIDタグ52が配置されていても、入庫用アンテナ6AとRFIDタグ52の距離や角度等が異なる位置に移動するので、入庫用アンテナ6AでRFIDタグ52を認識可能となる。
【0029】
(a2)貯蔵室が引出式(引き出し式)の場合:収容室(野菜室、冷凍室等)手前側天井に配置する。引出の内部に可動式(引き出し可能な)トレイを設けている場合、トレイ手前側の一部を切り欠いた形状、もしくは凹部を設けた形状としている。
【0030】
図13は、引出式のトレイの形状を説明する図であり、(a)はトレイ手前側の一部を切り欠いた形状、(b)はトレイ手前側に凹部を設けた形状である。なお、図13は、上面視した(平面視した)形状である。
【0031】
引出式の貯蔵室の場合、内部トレイのアンテナ下方には空間があるため、トレイ内に食品を配置してもアンテナ下方には空間がある。RFIDタグ52が付いた食品/食材を庫内に入れる際に、RFIDタグ52が移動しながら庫内に配置される。また、トレイに配置されてからも引出しの閉じ込めの際にトレイの引き込みにより、RFIDタグ52が移動しながら入庫される。このため、入庫用アンテナ6Aの電波の庫内のヌル点又は、RFIDタグ52が金属物の影に隠れているのも移動で相対位置が変わり、入庫検知されない誤検知を防止することができる。
【0032】
冷蔵庫の各貯蔵室内に、入庫用アンテナ6Aを設けた場合、各貯蔵室単位で在庫管理ができる。
【0033】
(b)出庫用アンテナ7A(手動タッチ用)の位置
(b1)出庫用のアンテナは、各貯蔵室の出庫を一つのアンテナで共有してよい。アンテナやタグリーダライタ装置の数を抑制できる。
(b2)冷蔵室ドア、回転式の扉の表側に出庫用アンテナ7Aを設けるとよい。回転式の扉の回転軸等に配線(信号線含む)を通す等できるので、設置しやすい。
【0034】
(c)出庫用アンテナ7Aが認識したことの報知
(c1)RFIDタグ52を読み込んだ際に、音やLED点灯/点滅で知らせるのがよい。これにより、ユーザは確実に、読み込んだかを知ることができる。
(c2)端末装置80のスマートフォンに連絡:削除されたものを通知、あるいは最新の在庫リスト(入庫、出庫を更新)を通知する。
(c3)出庫用のタッチ用アンテナの給電開始や給電終了に合わせて、物品の認識と異なるLEDの点灯/点滅、報知音を鳴動させてもよい。ユーザが認識可能か、エラーで認識できないのかが判断可能となる。
【0035】
(d)入庫用アンテナ6Aと出庫用アンテナ7Aの個数
(d1)入庫時は庫内に設けられたアンテナにより遠方までRFIDタグ52を読んで、自動認識可能としている。庫内容積が大きい際、つまり入口の面積が大きい際や、貯蔵室の扉が観音式、あるいは扉が縦に長い場合、貯蔵室入口付近に、複数の入庫用アンテナを設けてもよい。
(d2)出庫用アンテナ7Aは、扉を閉じた際に触れられる位置にアンテナ(認識位置)を1つ配置し、出庫用アンテナ7AにRFIDタグをタッチするとよい。
(d3)入庫用に複数のアンテナを設けているので、入庫の際1つのアンテナでRFIDタグを認識できなくても、他のアンテナでRFIDタグを認識できれば入庫とすればよく、入庫検知を精度よくできる。また、ユーザが複数個のRFIDタグ付き食品を入庫する際に、貯蔵室庫内に配置された複数の棚にランダムに収納したとしても、複数個の入庫用アンテナを設けているので、入庫の際のRFIDタグの未検知を防ぐことができる。
【0036】
(開閉情報)
図5は、開閉情報31の一例である。開閉情報31においては、日時欄101に記憶されている日時に関連付けて、扉欄102には扉が、開閉状態欄103には開閉状態が、アンテナ照射電力欄104にはアンテナ照射電力が記憶されている。
【0037】
日時欄101の時刻は、入庫用アンテナ6A及び出庫用アンテナ7Aが電波を照射した時刻である。ここでは単純化のため、電波が2秒間隔で照射される例を示したが、実際の照射間隔は、それよりも遥に短い“数ミリ秒”である。扉欄102の扉は、保管庫4の扉を一意に特定する番号である。なお、ここでの扉は、引き出しも含む概念である。開閉状態欄103の開閉状態は、扉が開いていることを示す“開”、又は、扉が閉じていることを示す“閉”のいずれかである。
【0038】
アンテナ照射電力欄104のアンテナ照射電力は、入庫用アンテナ6Aの照射電力(欄104a)及び出庫用アンテナ7Aの照射電力(欄104b)である。いずれの単位も“dBm”である。ユーザは、入庫用アンテナ6Aの照射電力及び出庫用アンテナ7Aの照射電力のそれぞれを、扉の開閉状態ごとに設定することができる。入庫用アンテナ6Aの照射電力及び出庫用アンテナ7Aの照射電力は、“照射しない”であってもよい。
【0039】
図5の例では、後記で説明する図8のアンテナ・センサ設定画面の設定情報に基づき、在庫管理装置1が2秒の周期で入庫用アンテナ6A及び出庫用アンテナ7Aの片方又は両方に電波を同時に照射させる。なお、入庫用アンテナ6Aと出庫用アンテナ7Aが片方又は両方電波を出力する動作の詳細に関しては「(c)アンテナの出力タイミング」にて述べる。
【0040】
以降では、わかりやすさのために、最上段の貯蔵室内に存在する食品を管理する例を説明する。この例では、最上段の貯蔵室は、天井面に入庫用アンテナ6Aを有し、前面に観音開きの扉41を有する。扉41の前面に出庫用アンテナ7Aを有する(図2参照)。ユーザが扉41を開けると、入庫用アンテナ6Aから電波が照射される。ユーザが扉41を開け、引き出し42を開けたときでも、入庫用アンテナ6Aから電波が照射される。
【0041】
(読取情報)
図6は、読取情報32の一例である。読取情報32においては、日時欄111に記憶されている日時に関連付けて、アンテナ欄112にはアンテナが、アンテナ受信電力欄113にはアンテナ受信電力が、メーカ名欄114にはメーカ名(食品の製造者/販売者名)が、アイテム名欄115にはアイテム名が、移動欄116には移動フラグが記憶されている。
【0042】
日時欄111の日時は、入庫用アンテナ6A又は出庫用アンテナ7Aが、RFIDタグ52からの電波を受信した、すなわち、RFIDタグ52を読み取った日時である。また、端末装置80(図1参照)からデータを受信した場合はその日時である。
【0043】
アンテナ欄112のアンテナは、“入庫用”、“出庫用”及び“端末”のいずれかである。“入庫用”は、RFIDタグ52を読み取ったアンテナが入庫用アンテナ6Aであることを示す。“出庫用”は、RFIDタグ52を読み取ったアンテナが出庫用アンテナ7Aであることを示す。“端末”は、端末装置80(図1参照)からのデータを受信したことを示す。
【0044】
アンテナ受信電力欄113のアンテナ受信電力は、入庫用アンテナ6A又は出庫用アンテナ7AがRFIDタグ52から受信した電波の電力(強さ)であり、単位は“dBm”である。
【0045】
メーカ名欄114のメーカ名は、RFIDタグ52から読み取られたコードをデータベースと照合して得られた、食品のメーカ名である。アイテム名欄115のアイテム名は、RFIDタグ52から読み取られたコードをデータベースと照合して得られた、食品の名称(普通名詞)である。
【0046】
移動欄116の移動フラグは、在庫管理装置1が庫外から庫内への食品の移動を検知したことを示す“入庫”、又は、庫内から庫外への食品の移動を検知したことを示す“出庫”の何れかである。
【0047】
図6の例は、図5の例に対応している。図6を見ると、例えば以下のことがわかる。
〈2021年9月15日10時00分00秒〉
このとき、扉は開いていた(図5参照)。タグリーダライタ装置6は、入庫用アンテナ6Aを介して、“A社”の“うどん”、“C社”の“ヨーグルト”及び“B社”の“ドレッシング”を読み取った。
【0048】
在庫管理装置1は、10時00分00秒の読取情報を9時59分58秒の読取情報と比較し、“A社”の“うどん”、“C社”の“ヨーグルト”及び“B社”の“ドレッシング”が在庫品であることを確認した。
【0049】
〈2021年9月15日10時00分02秒〉
このとき、扉は開いていた(図5参照)。タグリーダライタ装置6は、入庫用アンテナ6Aを介して、“A社”の“うどん”、“C社”の“ヨーグルト”、“B社”の“ドレッシング”及び“D社”の“瓶ビール”を読み取った。
【0050】
在庫管理装置1は、10時00分02秒の読取情報を10時00分00秒の読取情報と比較し、“D社”の“瓶ビール”が入庫品であることを確認した。
【0051】
〈2021年9月15日10時00分50秒〉
この時、扉は閉じていた。タグリーダライタ装置7は、出庫用アンテナ7Aを介して、“C社”の“ヨーグルト”を読み取った。在庫管理装置1は、“C社”の“ヨーグルト”が出庫品であることを確認した。
【0052】
〈2021年9月15日10時05分10秒〉
このとき、扉は開いていた。タグリーダライタ装置6は、入庫用アンテナ6Aを介して、“A社”の“うどん”及び“D社”の“瓶ビール”を読み取った。在庫管理装置1は、“A社”の“うどん”及び“D社”の“瓶ビール”が在庫品であることを確認した。
【0053】
〈2021年9月15日11時50分30秒〉
在庫管理装置1は、端末装置80(図1参照)から“E社”の“卵”の入庫品として受理した。“E社”の“卵”には、RFIDタグ52が添付されておらず、二次元コードの情報を端末装置80で読取ったもので考えられる。
【0054】
(在庫情報)
図7は、在庫情報33の一例である。在庫情報33においては、日時欄121には時刻が、在庫位置欄122には在庫位置が、メーカ名欄123にはメーカ名が、アイテム名欄124にはアイテム名が、入庫日欄125には入庫日が、摘要欄126には摘要が記憶されている。なお、入庫日欄125は、入庫日時欄であってもよい。
【0055】
日時欄121の時刻は、在庫を確定する時刻である。在庫位置欄122の在庫位置は、保管庫が複数ある場合のその所在である。メーカ名欄123のメーカ名は、図6のメーカ名と同じである。アイテム名欄124のアイテム名は、図6のアイテム名と同じである。入庫日欄125の入庫日は保管庫4に長く滞留していないか等を判断する際に利用される。
【0056】
摘要欄126の摘要は、“入庫”かどうかである。
【0057】
図7の例は、図6の例に対応している。図7を見ると、例えば以下のことがわかる。
〈2021年9月15日10時05分10秒〉の時点で、タグリーダライタ装置6は、入庫用アンテナ6Aを介して、“A社”の“うどん”及び“D社”の“瓶ビール”を読み取っているが、“B社”の“ドレッシング”を読み取っていない。たまたまヌル点にいた場合や、周囲の金属容器などの影響で読み取っていない場合があるため、 “ドレッシング”が保管庫4外にでていると誤認識するのを防ぐため、扉が開いた場合のイベントドリブンでのみ入庫用アンテナ6A出の検知情報を取得し、摘要欄126の“入庫”かどうかを判断する。
【0058】
(アンテナ・センサ設定画面)
図8は、アンテナ・センサ設定画面61の一例である。在庫管理装置1は、在庫管理装置1のユーザから、アンテナ・センサ設定画面61上で、アンテナ等に関する設定を受け付ける。図8における入庫用アンテナ6A、出庫用アンテナ7A及び扉41の位置関係は、図2から図4に示す通りである。
【0059】
ユーザは、通常、入庫用アンテナ6A欄62において“使用する”を選択し、出庫用アンテナ7A欄63においても“使用する”を選択する。図8では、■は選択を、□は非選択を示す。出庫の手続きを、端末装置80(図1参照)だけでする際は、出庫用アンテナ7Aを“使用しない”に設定することもできる。
【0060】
ユーザは、入庫用アンテナ6Aについて“使用する”を選択した場合、開扉時の照射電力を欄62aに、閉扉時の照射電力を欄62bに設定することができる。ユーザは、出庫用アンテナ7Aについて“使用する”を選択した場合、閉扉時の照射電力を欄63aに、閉扉時の照射電力を欄63bに設定することができる。一般に、ユーザが食品を保管庫に入庫する際は、一度に多くの品を入れる場合が多いので、広範囲に読み取れることが好ましい。そのため、電波照射強度は大きい方がよい。一方、出庫する際は、基本的にRFIDタグ52をタッチして、又は、近接に近づけて読み取るので、電波照射強度は小さくてもよい。すなわち、“#io>#oc”のように設定する。
【0061】
扉41が開いている期間に保管庫への食品の入庫が検知できる。なお、電波の照射の開始について、扉の取っ手等にタッチセンサ(静電容量センサ)が付されており、ユーザが扉を開けようと取っ手に触れたときに、タッチセンサがオンになって“開”を検知する(つまり電波照射開始)構成でもよい。
【0062】
ユーザは、キッチン内人感センサ欄64において、“使用する”又は“使用しない”のいずれかを選択する。キッチン内に人がいるときにのみ、出庫の処理をしたい場合、ユーザは“使用する”を選択する。ユーザは、キッチン内照度センサ欄65において、“使用する”又は“使用しない”のいずれかを選択する。例えば夜間キッチン内に人が入ってきたときにのみ出庫の処理をしたい場合、ユーザは“使用する”を選択する。
【0063】
キッチン内人感センサ欄64又はキッチン内照度センサ欄65の少なくとも一方において“使用する”を選択する場合がある。この場合、在庫管理装置1は、人感センサによる人の検知を契機として、又は、照度センサによる所定の閾値以上の照度の検知を契機として、出庫用アンテナ7Aの照射電力を出力する。
【0064】
ユーザは、アンテナ電波照射期間欄66において、入庫用アンテナ6A及び出庫用アンテナ7Aの電波照射期間を設定する。通常、ユーザは、欄66b及び欄66fを選択し、欄66bの“[ ]”内に、例えば“1”を入力し、欄66fの[ ]”内に、例えば“90”を入力する。同様にユーザは、キッチン内人感センサ欄64において“使用する”を選択した場合、欄66c及び/又は欄66gを選択し、“[ ]”内に適当な値を入力する。ユーザは、キッチン内照度センサ欄65において“使用する”を選択した場合、欄66d及び/又は欄66hを選択し、“[ ]”内に適当な値を入力する。
【0065】
なお、照射電力については、本実施形態ではユーザが入力することとしたが、ユーザの無線免許要・不要の意向に応じて、保管庫4の提供者が、無線免許要の場合“36dBm”以下、無線免許不要の場合“27dBm”以下の様に法規に合わせて適当な値を設定してもよい。また、ユーザが、強(無線基地局免許に対応している場合)、中(無線基地局申請が不要な場合)、弱(無線基地局申請が不要な場合)のような3段階から選択してもよい。
【0066】
なお、扉41を閉じる間に、扉41に設けた物品保持手段43(ドアポケット)に保管した食品に取り付けられたRFIDタグ52と、入庫用アンテナ6Aとの距離や方向が変化する。このことに応じて、入庫用アンテナ6Aは、RFIDタグ52からの電波をより受信しやすいという特徴も備える。同様に、引き出し44を閉じる間に、引き出し44内に保管した食品に取り付けられたRFIDタグ52と、入庫用アンテナ6Aとの距離や方向が変化する。このことにも応じて、入庫用アンテナ6Aは、RFIDタグ52からの電波をより受信しやすいという特徴も備える。
【0067】
(処理手順)
図9は、処理手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS201において、在庫管理装置1の入出力処理部21は、扉41が開けられたことの検知の有無を判定し、扉41が開けられていない場合(ステップS201,No)、ステップS201に戻り、扉41が開けられた場合(ステップS201,Yes)、ステップS202に進む。
【0068】
ステップS202において、入出力処理部21は、タグリーダライタ装置6に入庫用アンテナ6Aからの電波出力を開始させる。具体的には、入出力処理部21は、入庫用アンテナ6Aから電波を照射させ、反射した電波を受信させる。このとき、入庫用アンテナ6Aは、複数の食品に添付されているRFIDタグを同時に読み取るものとする。
【0069】
ステップS203において、タグリーダライタ装置6は、RFIDタグからの読取り情報を在庫管理装置1の入出力処理部21に送信し、入出力処理部21は、読取情報32として記憶する。
【0070】
ステップS204において、在庫管理装置1の入出力処理部21は、扉41が閉じられたことの検知の有無を判定し、扉41が閉じられていない場合(ステップS204,No(開))、ステップS203に戻り、扉41が閉じられた場合(ステップS204,Yes(閉))、ステップS205及びステップS208に進む。
【0071】
ステップS205において、タグリーダライタ装置6は、RFIDタグからの読取り情報を在庫管理装置1の入出力処理部21に送信し、入出力処理部21は、読取情報32として記憶する。
【0072】
ステップS206において、入出力処理部21は、アンテナ・センサ設定画面61で設定された入庫用アンテナ6Aの設定時間(例えば、欄66bの1秒)を経過したか否かを判定し、設定時間を経過していない場合(ステップS206,No)、ステップS205に戻り、設定時間を経過した場合(ステップS206,Yes)、ステップS207に進む。ここで、ステップS206の設定時間は0としてもよい。
なお、ステップS206の設定時間の詳細に関しては「(c)アンテナの出力タイミング」にて述べる。
【0073】
ステップS207において、入出力処理部21は、タグリーダライタ装置6に入庫用アンテナ6Aからの電波出力を停止させる。
【0074】
ステップS208において、入出力処理部21は、タグリーダライタ装置7に出庫用アンテナ7Aからの電波出力を開始させる。具体的には、入出力処理部21は、出庫用アンテナ7Aから電波を照射させ、反射した電波を受信させる。
【0075】
ステップS209において、タグリーダライタ装置7は、RFIDタグからの読取り情報を在庫管理装置1の入出力処理部21に送信し、入出力処理部21は、読取情報32として記憶する。
【0076】
ステップS210において、入出力処理部21は、アンテナ・センサ設定画面61で設定された出庫用アンテナ7Aの設定時間(例えば、欄66fの90秒)を経過したか否かを判定し、設定時間を経過していない場合(ステップS210,No)、ステップS209に戻り、設定時間を経過した場合(ステップS210,Yes)、ステップS211に進む。
【0077】
ステップS211において、入出力処理部21は、タグリーダライタ装置7に出庫用アンテナ7Aからの電波出力を停止させる。
【0078】
ステップS212において、入出力処理部21は、読取情報32に基づいて、在庫情報33を更新し、ステップS201に戻る。
【0079】
以上説明したように、在庫管理システム100では、保管庫4の入出庫の管理が適切に行える。
在庫管理システム100の機能及び特徴をさらに説明する。
(a)入出庫時のRFIDタグの認識
入庫時は庫内に設けられた入庫用アンテナ6Aにより遠方までRFIDタグを読んで、自動認識できる。
出庫の際には、扉を閉じた際に触れられる位置に出庫用アンテナ7A(認識位置)を配置し、出庫用アンテナ7AにRFIDタグをタッチ(0~5cm程度の距離とし、タッチと呼ぶ)してRFIDタグを検知できるよう、つまり近傍のみ検知可能なように電波強度を小さくする。
入庫時は、ユーザが扉を開けた状態で、RFIDタグが付いた食品/食材を庫内に入れる。その際に、RFIDタグが移動しながら庫内に配置されるので、入庫用アンテナ電波の庫内のヌル点又は、RFIDタグが金属物の影に隠れているのも移動で相対位置が変わり、入庫検知されないのを防止することができる。入庫時に入庫検知されないのを防止することができるので、在庫時の扉が閉じた定常状態や、定時的に在庫リストの更新をする必要がなく、特許文献1及び特許文献2での「出庫」と誤判定するのを防止できる。
【0080】
また、出庫時には、ユーザが扉を閉じた状態で、出庫用アンテナの近傍にRFIDタグが付いた食品を近づけて、当該RFIDタグを読み取り、適切に出庫を検知できる。
【0081】
複数の食品/食材の出庫時は(冷蔵庫扉を閉める前に)、一旦出庫した食品/食材をカウンタに移動させ、続けて次の品を取り出す場合もある。この場合、出庫の際に、入庫と同様にRFIDタグを認識しようとすると、RWアンテナ(リードライトアンテナ)とユーザの間にRFIDタグ付き食材が存在する時間が短く、ユーザの人体により電波が遮断され、RFIDタグを冷蔵庫に設置したアンテナで読み取れないため出庫の認識ができず、出庫時の在庫判定確度が低下する課題があった。
【0082】
本実施形態例では、出庫の際に一品ずつではあるが、RWアンテナである出庫用アンテナ7Aとユーザの間にRFIDタグを移動できるので、出庫した品のRFIDタグを順に出庫用アンテナ7Aにタッチすれば、確実に出庫を認識できる。
【0083】
また、複数個取り出す際も、一度に手に取って搬出可能な食品数は限られるため、扉(ドア)を解放したままでは出庫の認識をさせにくいため、ユーザが一旦扉を閉じて出庫を認識させることとなり、ドアの開けっ放しにより冷気が庫外へ出ることや庫内へ冷蔵庫周囲の空気が流入することを抑制し、消費電力量増加を抑制できる。
【0084】
(b)出庫用アンテナ7Aの出力
アンテナの出力(電波強度)は、入庫用アンテナ>出庫用アンテナとする。図8に示したアンテナ・センサ設定画面で設定できる。
出庫用は、流通用のRFIDタグ(アンテナサイズ:22×44mm程度)では、10dBm程度での出力でアンテナから5cm程度離れていても認識可能である。0~5cm程度の距離が離れているRFIDタグを認識することを本実施形態ではタッチ認識とする。
出力している状態でのアンテナの電波強度は、前記したように、入庫用アンテナ>出庫用アンテナとなる。つまり、アンテナがRFIDタグを認識する最大距離は、入庫用アンテナ>出庫用アンテナの構成で、入庫の自動認識、出庫のタッチによる手動認識が可能である。
【0085】
出庫用アンテナ7Aは、通信距離が5cm以下の近距離を検知可能なアンテナであるとよい。
例えば、開口面アンテナの場合は、アンテナ長D、用いる電波の波長をλとした場合、近傍界距離R=2D/λである。
よって、D=√(Rλ/2)=√(50・326/2)=90.3mmとすればよい。なお、UHF帯の周波数f=920MHzを使用すると、波長はλ=326mmである。すなわち、タグ読取距離を50mm以内とする場合、開口アンテナ長を90mmとすればよい。なお、アンテナ長はアンテナ構造によって同等の効果が得られるよう変更して問題ない。
【0086】
(c)アンテナの出力タイミング
入庫/出庫用アンテナは各々100ミリ秒オーダーの周期でパルス的に電波を出力する動作を行う。このパルスのタイミングにより、扉/引出し閉鎖後に入庫用アンテナ6Aが電波を放射する時間(ステップS206の設定時間)およびリーダライタの構成は次の通り決定される。
【0087】
図14は、入庫用アンテナ6Aと出庫用アンテナ7Aの電波の出力タイミングを示した図である。図14(1)~(4)各々において、横軸は時刻であり、上側に入庫用アンテナ6Aの出力タイミングを示しており、下側に出庫用アンテナ7Aの出力タイミングを示している。出力タイミングを示した矩形波の上側にて電波を出力し、下側では電波を出力しない。矩形波を構成するパルスの周期は一般的に100ミリ秒オーダーであるが、一例であり他の長さであって構わない。
【0088】
(1)の場合:ステップS206の設定時間はゼロ秒となる。この場合、扉/引出し開放時は入庫用アンテナ6Aのみが電波を出力し、扉/引出し閉鎖後は出庫用アンテナ7Aのみが電波を出力するため、入庫用アンテナ6A用のリーダライタおよび出庫用アンテナ7A用のリーダライタの2個からなる構成、1個のリーダライタおよびリーダライタの出力端に入庫用アンテナ6Aおよび出庫用アンテナ7Aへの接続経路を切り替えるスイッチを挿入する構成のいずれかの構成であることが望ましい。また、図2に示した入庫用アンテナ6Aの電波照射領域8が扉/引出し閉鎖時に出庫用アンテナ7Aの電波照射領域9に一部重複していても構わない。出庫時に入庫用アンテナ6Aがタグを読み取ることがないため、誤判定は発生しないからである。
【0089】
(2)の場合:ステップS206の設定時間はゼロ秒より大きい値となる。この場合、入庫用アンテナ6Aおよび出庫用アンテナ7Aが電波を出力するスロットが重複しないため、(1)の場合と同様に入庫用アンテナ6A用のリーダライタおよび出庫用アンテナ7A用のリーダライタの2個からなる構成、1個のリーダライタおよびリーダライタの出力端に入庫用アンテナ6Aおよび出庫用アンテナ7Aへの接続経路を切り替えるスイッチを挿入する構成のいずれかの構成であることが望ましい。また、図2に示した入庫用アンテナ6Aの電波照射領域8が扉/引出し閉鎖時に出庫用アンテナ7Aの電波照射領域9に一部重複していても構わない。これは次の理由による。
【0090】
まず、電波照射領域8の一部が電波照射領域9と重複した場合でも入庫用アンテナ6Aと出庫用アンテナ7Aが電波を出力するスロットが重複しないため、タグ読取の信号の干渉は発生しない。また、電波照射領域8の一部が電波照射領域9と重複することで、出庫時に保管庫外に存在するRFIDタグを出庫用アンテナ7Aで読取る前後に入庫用アンテナ6Aが読み取った場合は、扉/引出し閉鎖後の在庫判定に用いるRFIDタグ読取結果として出庫用アンテナ7Aでのタグ読取結果の重みづけを重くすることにより、入庫用アンテナ6Aでの誤読取結果を排除できるからである。また、扉/引出し閉鎖後に出庫用アンテナ7AでRFIDタグが読み取れず入庫用アンテナ6Aで読取れた場合は、ユーザが出庫管理を求めなかったケースである(調味料のように出庫後に短時間で再入庫させるため、出庫判定を求めない)ため、本発明で提供する在庫管理の機能を損じることはないためである。
【0091】
(3)の場合:ステップS206の設定時間はゼロ秒より大きい値となる。この場合、入庫用アンテナ6Aおよび出庫用アンテナ7Aが電波を出力するスロットが全部重複するため、リーダライタは入庫用アンテナ6Aに接続されるものと出庫用アンテナ7Aに接続されるものの少なくとも2個から構成される。また、図2に示した入庫用アンテナ6Aの電波照射領域8が扉/引出し閉鎖時に出庫用アンテナ7Aの電波照射領域9と重複しないことが望ましい。これは入庫用アンテナ6Aと出庫用アンテナ7Aが電波を出力するスロットが重複するとこにより、信号の干渉が発生しタグ情報が正確に読み取れなくなる危険性があるためである。よって、扉41または引き出し42または引き出し44の前面に電波遮蔽材である金属物やアルミ蒸着材で被覆された断熱材を配置する構成が望ましい。
【0092】
(4)の場合:ステップS206の設定時間はゼロ秒より大きい値となる。この場合、入庫用アンテナ6Aおよび出庫用アンテナ7Aが電波を出力するスロットが一部重複するため、リーダライタは入庫用アンテナ6Aに接続されるものと出庫用アンテナ7Aに接続されるものの少なくとも2個から構成される。また、図2に示した入庫用アンテナ6Aの電波照射領域8が扉/引出し閉鎖時に出庫用アンテナ7Aの電波照射領域9と重複しないことが望ましい。この理由は(3)にて記載した内容と同様である。
【0093】
なお、扉/引出し閉鎖後の出庫用アンテナ7Aが電波を照射する時間は例えば30秒~1分程度である。図8に示したアンテナ・センサ設定画面で、任意に設定できる。
扉/引出しの開閉情報の取得には扉の開閉センサを利用するとよい。
扉開閉センサ以外に、人感センサ、庫外カメラ、庫内カメラ(扉を開けたとき起動)、タッチセンサを用いて、扉開閉後以外でも出庫(廃棄等の使い切った)認識も可能である。また、出庫用アンテナ7A付近に、出庫用アンテナ7Aを起動させるタッチスイッチ、メカ式スイッチを設けてもよい。
【0094】
出庫時には、入庫用アンテナ6Aの影響を受けにくいため、誤認識しにくい。扉を開かなくても、出庫用アンテナ7AがONできる。また、アンテナは常時電波を出力する必要はなく、扉の開閉等のユーザの動作を検知することで、システム動作開始をイベントドリブン(イベント駆動型)とすることで消費電力増加を抑制できる。本実施形態では、複数個出庫した場合でも、認識できるように扉が閉じた後一定期間検知可能としている。
【0095】
(d)入庫用アンテナ6Aで検知した際の、入庫と在庫の区別
在庫リストに有りの場合、在庫リストはそのままとする。
在庫リストに無しの場合、新規入庫品として、在庫リストに追加する。入庫検知タイミングで、在庫リストに有る庫内の在庫品が、入庫用アンテナ6Aで認識できなくても、「出庫」の誤検知とならない。
【0096】
(e)出庫と入庫の区別
入庫検知タイミングで出庫するものを入庫用アンテナ6Aで認識した場合、扉41を閉じ入庫用アンテナ6Aの受信停止後(給電停止後、アイドリング開始)に、出庫用アンテナ7Aを受信可能(給電開始、アイドリング解除)とし、ユーザが出庫用アンテナ7AにRFIDタグを検知させる。そして、在庫管理装置1は出庫として在庫リストから削除し、在庫リストを更新する。入庫検知タイミングや保管位置により出庫したい食品を入庫用アンテナ6Aで入庫として認識しても、ユーザが出庫した際に出庫用アンテナ7AにRFIDタグを検知させるので、在庫リストから出庫として、適切に更新できる。
【0097】
冷蔵庫から取り出した後、使用後に冷蔵庫に戻すものは、ユーザは出庫用アンテナ7Aで出庫を認識させなくてもよい。
ユーザが出庫の認識させていなくても、入庫を再認識したら入庫/在庫とすればよい。
冷蔵庫から取り出した際に出庫を認識させず、取り出した後(ドレッシングのように)使い切ったため廃棄する際に出庫を認識させてもよい。
在庫リストに有る場合は、在庫リストはそのままとする。在庫リストに無い場合は、新規入庫品として、在庫リストに追加する。ユーザの意図をもって、在庫リスト更新できるので、使い勝手が良いものを提供できる。
【0098】
(f)冷蔵庫に限らず貯蔵庫、図1に示したように、キッチン内の収納庫内の在庫検知でも同様の構成でよい。
【0099】
図10は、扉41に複数のアンテナを設けた保管庫を説明する図である。図10は、図2に比較して、扉41に複数のアンテナを設け、出庫用アンテナ71Aと、発注用アンテナ72Aとした。出庫用アンテナ71Aは、自身の電波照射領域9内に存在するRFIDタグ52を読み取ることができる。発注用アンテナ72Aは、自身の電波照射領域9内に存在するRFIDタグ52を読み取ることができる。出庫用アンテナ71A、発注用アンテナ72Aは、RFIDタグ52をタッチ(0~5cm程度の距離)しないとタグを検知できないように、電波強度を小さくしている。在庫管理装置1は、扉41が閉じられている場合、出庫用アンテナ71A、発注用アンテナ72Aから電波を出力するとともに、入庫用アンテナ6Aから電波の出力を停止している。
【0100】
図11は、在庫管理装置1の他の構成等を説明する図である。図11は、図1と比較して、主記憶装置14に発注管理部23が追加され、補助記憶装置15に、発注情報35が追加されている。
【0101】
出庫の際、出庫用アンテナ71AにRFIDタグ52をタッチする(認識させる)と、在庫情報33に基づく在庫リストから削除する。常備品でないもの、すぐに購入する必要の無いものの場合、あるいは使用した履歴等が分かればよいものであれば、この処理でよいことになる。
【0102】
出庫の際、発注用アンテナ72AにRFIDタグ52をタッチする(認識させる)と、発注情報35に基づく発注リストに登録するとともに、在庫リストから削除する。在庫リストには在庫がなくなった商品が登録されていないため、後日在庫が無くなりそうな商品を思い出しながら発注リストを作成するのは困難である。しかし、前述の方法を用いることで、後日在庫が無くなりそうな商品を思い出しながら発注リストを作成せずに済む。例えば、常備品、欠品を防ぎたい場合、発注リストから発注につなげると、手間をかけずに常備品を切らしたりしないようにすることができる。
【0103】
また、在庫リストを確認して発注リストを作成する際には、残量がどれくらいあったかを確認したりする必要がある場合もある。例えば、出先などで発注リストを作成したり、発注リストを確認する際には、自身で使いかけのドレッシングの残量確認をするのは困難で、発注リストに入れるべきであったかどうかを思いだしながら発注リストを作成するのは困難であった。ドレッシングのような使用後に残量があると冷蔵庫に戻す(使いかけを入庫する)常備品の場合、残量が少なくなった際に発注用アンテナ72AにRFIDタグ52をタッチすると発注リストに登録し、最終的に使い切った際にユーザがRFIDタグ52を出庫用アンテナ71Aにタッチすると在庫リストから削除してもよい。また、冷蔵した状態で使用したいドレッシングなどの食品の場合、ユーザは常時1本以上のドレッシングを冷蔵庫の庫内に保存することもある。在庫リストでは1本のドレッシングを確認できるが、開栓した状態となれば、発注用アンテナ72AにRFIDタグ52をタッチする(認識させる)と、発注リストに登録でき、在庫のドレッシングを使い切る前に、発注リストを確認して補充することもできる。このように、端末装置80(図1参照)のスマートフォン等で、在庫リストや発注リストの確認や設定を可能にしておくとよい。
【0104】
図12は、扉41に複数のアンテナを設けた他の保管庫を説明する図である。図12は、図10と比較して、扉41に複数の発注用タッチアンテナを設けた場合である。すなわち、観音開き式の扉41に、出庫用アンテナ71Aと、発注用アンテナ72A、発注用アンテナ73Aを設けた。
【0105】
例えば冷蔵庫の扉41に、冷蔵庫用と、キッチン内の収納庫内の発注用タッチアンテナを設ける。冷蔵庫の在庫管理は、前述したように出庫用アンテナ71Aと、発注用アンテナ72Aを用いて入庫/出庫/発注を管理する。他方、発注用アンテナ73Aを用いて、収容庫内のモノを、在庫品として発注したい場合に利用する。具体的には、在庫品のラップを使用するにあたり、補充する際に発注するに利用するとよい。
【0106】
在庫管理装置1は、出庫品の出庫リストから発注リストの作成、又は作成した発注リストから発注可能としてもよい。
在庫情報33に基づく在庫リストに登録される食品や食材は、在庫リストで常備品登録(フラグを立てる)可能とし、出庫の記録で発注リストに自動的に登録可能である。
例えば1週間の出庫リストや、任意に設定した(例えば10個)最新の出庫を保存した出庫リストから、ユーザが発注リストに移動可能である。
在庫リストから削除したものを買い物リスト、自動発注リストへの追加/追加のレコメンドを端末装置80に通知してもよい。
発注リストでEC(電子商取引)等へ発注したら、発注リストから発注品は削除する。発注リスト(買い物リスト)にあった食品/食材が、RFIDタグ/QRコードのEPCコード(シリアルナンバー(S/N)付)で新規S/Nの食品/食材の入庫を認識した場合、発注リストから削除可能とする。
特定のECサイトや、発注リストの合計金額が安いECサイト順に発注先をリコメンド可能である。これにより、常備品等の在庫切れ防止、買い物リスト作成の手間軽減、自動発注による買い物の手間/負担軽減ができる。
なお、スマートフォン等の端末装置80に削除されたものを通知、あるいは最新の在庫リスト(入庫、出庫を更新)を通知するとよい。
【0107】
次に、端末装置80と在庫管理装置1との関係に説明する。
本実施形態では、スマートフォン等の端末装置80(図1参照)のカメラにより、QRコード/JANコード等の2次元バーコードを読込み、在庫リストに追加可能である。
(a)入庫検知
(a1)食品51にはRFIDタグ52を備えない場合、QRコード/JANコード等の2次元バーコードを端末装置80のカメラから読込み、在庫リストに加える。電波認識のRFIDと画像認識のQRコード/JANコードが混在した在庫管理システムにおいて、RFIDのRWアンテナによる定時的な在庫確認を必要としないので、RFIDタグ52を備えないものに対してRFIDタグを検知できないため出庫と誤検知することがない。入庫時以外の在庫リストの更新は、出庫時のRFIDタグ52は入庫/出庫(廃棄)の検知やリストの操作タイミングで行えばよく、頻繁な在庫リストの更新を行う必要がない。
【0108】
(a2)シリアルナンバー(S/N)を備えない(製品等は判別可能であるが、RFIDのコード全ては備えないEPCコードに準拠しないもの)をカメラで複数個読み込んだ場合は、読み込んだ枚数と同じ個数を入庫したものとすれば、RFIDと同様に個数管理も可能である。
また、シリアルナンバー(S/N)を備えない(上記同様EPCコードも準拠しないもの)をカメラで読み込んだ場合、在庫リスト上で個数を入力できるようにすればよい。
個数を数値で入力してもよいし、「+」「-」や、「<」「>」等の記号で在庫リスト個数を修正してもよい。
また、シリアルナンバー(S/N)を備えない(上記同様EPCコードも準拠しないもの)をカメラで読み込んだ場合、すでに在庫リストに表示されている物品については、在庫リスト上で個数を数値で入力してもよいし、「+」「-」や、「<」「>」等の記号で在庫リスト個数を修正してもよい。
【0109】
(a3)RFID及びRFIDと同様のコードを記載したQRコードも印刷されたタグ(ハイブリッドタグ)の場合、RFIDタグが断線した場合でも、QRコードを端末装置80のカメラから読込むことで、在庫管理が可能である。
(b)在庫リストの表示インターフェイスから手動/音声認識で削除
端末装置80がスマートフォン、スマートスピーカ(音声認識デバイス)である場合、手動/音声認識が可能である。すなわち、出庫用アンテナ7A以外での出庫検知(入庫はRFIDタグ52の検知、あるいはQRコード/JANコードの画像検知)ができる。
(b1)在庫リストに存在するものは在庫リストから手動で削除してもよい。なお、音声認識を備えたものでは、音声で在庫リストから削除を指示してもよい。例えば、スマートフォンで在庫リストを確認可能である。
(b2)シリアルナンバー(S/N)を備えない(EPCコードも準拠しないもの)を複数個出庫した場合は、出庫した個数を在庫リストから削除すれば同様に個数管理も可能である。なお、在庫リスト上で出庫した個数を数値で入力してもよいし、「+」「-」や、「<」「>」等の記号で増減させて在庫リストを修正してもよい。
【0110】
端末装置80と在庫管理装置1との関係を説明したが、保管庫4に表示装置等を設けて、端末装置80と同様の機能を持たせてもよい。
【0111】
以上説明した本実施形態の在庫管理システムは、次の特徴を有する。
(1)保管庫4内に収容する物品に付された無線タグ(例えば、RFIDタグ52)と通信ができるように設けられた庫内の入庫用アンテナ6Aと、出庫のときに無線タグと通信ができるように設けられた庫外の出庫用アンテナ7Aと、入庫用アンテナ6A又は出庫用アンテナ7Aを介して無線タグと通信を行って物品情報を取得する物品情報取得部(例えば、タグリーダライタ装置6,7)と、取得した物品情報に基づき、保管庫4の物品を管理する在庫管理装置1とを備え、在庫管理装置1は、保管庫4の扉が開かれている場合、入庫用アンテナ6Aから電波を出力し、扉が閉じられている場合、出庫用アンテナ7Aから電波を出力する。これにより、保管庫内の在庫管理を適切に行うことができる。
【0112】
(2)在庫管理装置1は、扉が開かれている場合、入庫用アンテナ6Aから電波を出力するとともに、出庫用アンテナ7Aから電波の出力を停止し、扉が閉じられている場合、出庫用アンテナ7Aから電波を出力するとともに、入庫用アンテナ6Aから電波の出力を停止するとよい。これにより、出庫時の誤検知を防止することができる。
【0113】
(3)無線タグと通信する際の入庫用アンテナ6Aの電波強度は、無線タグと通信する際の出庫用アンテナ7Aの電波強度より大きい。これにより、出庫時の出庫誤判定を防止する。
【0114】
(4)入庫用アンテナ6Aの個数は、出庫用アンテナ7Aの個数以上であるとよい。入庫用に複数のアンテナを設けているので、入庫の際1つのアンテナでRFIDタグを認識できなくても、他のアンテナでRFIDタグを認識できれば入庫とすればよく、入庫検知を精度よくできる。出庫用アンテナ7Aは、扉を閉じた際に、出庫時、ユーザがタグ付きの出庫品を出庫用アンテナ7Aにタッチしやすい位置にアンテナを少なくとも1つ配置し、出庫時の出庫誤判定を防止する。
【0115】
(5)保管庫4は、複数の貯蔵室を有し、保管庫4の各貯蔵室内に、入庫用アンテナ6Aが設けられ、保管庫4の外面に、出庫用アンテナ7Aが設けられている。
【0116】
(6)物品には、2次元コードが付されており、在庫管理装置1は、2次元コードの情報を受信した場合、在庫管理装置1が保持する在庫リストに、2次元コードの情報に基づく物品を追加することができる。
【0117】
(7)在庫管理装置1は、端末装置80と通信可能であり、在庫管理装置1は、端末装置80から物品の削除要求をもとに、在庫リストから物品の情報を削除することができる。
【0118】
(8)在庫管理装置1は、出庫品の出庫リストから発注リストを作成することができる。
【0119】
(9)出庫用アンテナ7Aは、通信距離が5cm以下の近距離用アンテナである。これにより、これにより、出庫時の出庫誤判定を防止する。
【0120】
(10)在庫管理装置1は、扉が閉じられたのち、入庫用アンテナ6Aから電波を設定時間継続して出力することができる。設定時間とは、図8の欄66bで設定される設定時間である。また、設定時間は、図9のステップS206における入庫用アンテナ6Aの設定時間に対応する。
【0121】
(11)在庫管理システム100は、さらに、保管庫4外に配置され、発注の物品の無線タグを読み取る発注用アンテナを有する(図10図11図12参照)。
【0122】
(12)物品を保管する保管庫4であって、保管庫4内に収容する物品に付された無線タグ(例えば、RFIDタグ52)と通信ができるように設けられた庫内の入庫用アンテナ6Aと、出庫のときに無線タグと通信ができるように設けられた庫外の出庫用アンテナ7Aと、入庫用アンテナ6A又は出庫用アンテナ7Aを介して無線タグと通信を行って物品情報を取得する物品情報取得部と、取得した物品情報に基づき、保管庫4の物品を管理する在庫管理装置1とを備え、在庫管理装置1は、保管庫4の扉が開かれている場合、入庫用アンテナ6Aから電波を出力し、扉が閉じられている場合、出庫用アンテナ7Aから電波を出力する。これにより、保管庫内の在庫管理を適切に行うことができる。
【0123】
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0124】
また、前記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウエアで実現してもよい。また、前記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウエアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆どすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。在庫管理装置1の各種情報は、クラウド上に存在していてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 在庫管理装置
2 ネットワーク
3 キッチン
4 保管庫
6 タグリーダライタ装置(物品情報取得部)
6A 入庫用アンテナ
7 タグリーダライタ装置(物品情報取得部)
7A 出庫用アンテナ
8,9 電波照射領域
11 中央制御装置
12 入力装置
13 出力装置
14 主記憶装置
15 補助記憶装置
16 通信装置
21 入出力処理部
22 在庫管理部
23 発注管理部
31 開閉情報
32 読取情報
33 在庫情報
34 発注情報
41 扉
42,44 引き出し
43 物品保持手段(ドアポケット)
51 食品
52 RFIDタグ(無線タグ)
61 アンテナ・センサ設定画面
80 端末装置
100 在庫管理システム
図1
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