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  • 特開-ポータブル発電機用防音装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047240
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】ポータブル発電機用防音装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 1/02 20060101AFI20230329BHJP
   H02K 7/18 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
F01N1/02 E
F01N1/02 B
H02K7/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156207
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】508241602
【氏名又は名称】有限会社エコルート
(74)【代理人】
【識別番号】100133802
【弁理士】
【氏名又は名称】富樫 竜一
(74)【代理人】
【識別番号】100197181
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 泰子
(72)【発明者】
【氏名】菊田昌志
【テーマコード(参考)】
3G004
5H607
【Fターム(参考)】
3G004AA06
3G004BA01
3G004CA04
3G004DA11
3G004GA01
5H607AA04
5H607BB02
5H607FF23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ポータブル発電機の防音装置であって、ポータブル発電機の運転によって生じた排気ガスを円滑に放出する効果が得られるとともに、装着が簡単な防音装置の提供する。
【解決手段】一側面に排気口を有したポータブル発電機の少なくとも上方および四方をそれぞれ覆う壁部材4、5、6、8によって形成した収容空間2を設け、ポータブル発電機の排気口に対向して配置された壁部材5に、ポータブル発電機の排気を流入させる排気流入部11、排気流入部に連通した排気流路10および排気流路に連通し排気を収容空間の外部に放出する排気放出口9を設け、収容空間内にポータブル発電機に当接する誘導手段21を設け、誘導手段によって、排気流入部とポータブル発電機の相対的な配置位置が調整されるようになっていることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側面に排気口を有したポータブル発電機の少なくとも上方および四方をそれぞれ覆う壁部材によって形成した収容空間を設け、
前記ポータブル発電機の排気口に対向して配置された壁部材に、前記ポータブル発電機の排気を流入させる排気流入部、当該排気流入部に連通した排気流路および当該排気流路に連通し前記排気を前記収容空間の外部に放出する排気放出口を設け、
前記収容空間内に前記ポータブル発電機に当接する誘導手段を設け、
当該誘導手段によって、前記排気流入部と前記ポータブル発電機の相対的な配置位置が調整されるようになっていることを特徴とするポータブル発電機用防音装置。
【請求項2】
前記ポータブル発電機の前記排気口が設けられた側面とは反対側の側面を押圧することによって、前記ポータブル発電機と前記排気流入部を近接させる押圧手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のポータブル発電機用防音装置。
【請求項3】
前記ポータブル発電機に対して弾力を伴って接触する開口縁を有したダクトを設け、前記ポータブル発電機の排気口と前記排気流入部の間に生じる空間を覆うように構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のポータブル発電機用防音装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポータブル発電機用の防音装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関を利用したポータブル発電機が発生する騒音の軽減を目的とした特許文献1記載の防音装置がある。この防音装置は、主にポータブル発電機の排気部側を覆う第2のカバー体と、ポータブル発電機の上面および他の側面を覆う第1のカバー体によって構成されたものである。第2のカバー体はポータブル発電機の排気部の位置に開口を設けた排気通路を有しており、この排気通路を介して排気ガスを防音装置の外部に放出するようになっている。
【0003】
上記の防音装置は、別体として設けた第2のカバー体をポータブル発電機に装着した後に第1のカバー体によって全体を覆うように構成されている。これにより、第2のカバー体を別体とすることでポータブル発電機に対する装着が行いやすくなり、ポータブル発電機の排気部と排気通路の接続を良好な状態に保つようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6433102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように従来の防音装置は、要するにポータブル発電機に対して排気通路(第2のカバー体)を装着した後に、別のカバーによって全体を覆うというものであった。しかしながら、同様の防音と排気効果を有しつつ、上記のような第2のカバー体の装着という行程を省略することができれば、防音装置の使用方法がさらに簡単なものとなる。本発明は、ポータブル発電機の運転によって生じた排気ガスを円滑に放出する効果が得られるとともに、装着が簡単な防音装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は以下の構成を有する。すなわち、ポータブル発電機用防音装置であって、
一側面に排気口を有したポータブル発電機の少なくとも上方および四方をそれぞれ覆う壁部材によって形成した収容空間を設け、前記ポータブル発電機の排気口に対向して配置された壁部材に、前記ポータブル発電機の排気を流入させる排気流入部、当該排気流入部に連通した排気流路および当該排気流路に連通し前記排気を前記収容空間の外部に放出する排気放出口を設け、前記収容空間内に前記ポータブル発電機に当接する誘導手段を設け、当該誘導手段によって、前記排気流入部と前記ポータブル発電機の相対的な配置位置が調整されるようになっていることを特徴とする。
【0007】
また、上記のポータブル発電機用防音装置であって、
前記ポータブル発電機の前記排気口が設けられた側面とは反対側の側面を押圧することによって、前記ポータブル発電機と前記排気流入部を近接させる押圧手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
また、上記のポータブル発電機用防音装置であって、
前記ポータブル発電機に対して弾力を伴って接触する開口縁を有したダクトを設け、前記ポータブル発電機の排気口と前記排気流入部の間に生じる空間を覆うように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るポータブル発電機用防音装置は、ポータブル発電機の上方から被せて全体を覆うカバー体を有している。このカバー体は、ポータブル発電機の上方から被せて全体を覆う際に、ポータブル発電機の外形に対するカバー体の装着位置が自動的に調整されるという作用を有している。この調節作用により排気ガスを吐出するポータブル発電機の排気口と、排気ガスを外部に放出するための排気流入部の相対的な位置関係を最適な状態にすることができるという効果を有している。
また、主にポータブル発電機の左右の側面(排気口と吸気口以外の側面)は、これを覆う壁部材との間に適切な空間的隙間が設けられていることが必要である。両者が接触するとポータブル発電機の振動が直接伝わって壁部材自体が大きく振動し、騒音の発生源になってしまうからである。本発明に用いるカバー体は、ポータブル発電機を収容する収容空間内に突出させた当接体によって、ポータブル発電機とこれを覆う壁部材との間に適切な空間的隙間を形成し、これにより騒音を抑制する効果を有している。
また、本発明に用いるカバー体は、ポータブル発電機の上方から覆った後に、ポータブル発電機を押圧する手段を有している。カバー体はポータブル発電機よりも重量が軽いため、一般的なケースでは床やトレー上に載置したポータブル発電機は不動のまま、押圧に伴ってカバー体が移動する。この移動によって、ポータブル発電機と排気流入部を設けた壁部材を近接させるとともに、前述した誘導手段の作用を効果的に発揮させることで、両者の位置関係を最適な状態にすることができるという効果を有するものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るポータブル発電機用防音装置の外観及び使用状態を表した説明図である。
図2】本発明に係るポータブル発電機用防音装置の断面を立体的に表した説明図である。
図3】本発明に係るポータブル発電機用防音装置の内部を透視した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態を図を用いて説明する。図1は、ポータブル発電機Eの外周を覆うポータブル発電機用防音装置(以下「防音カバー」という)1の外観およびポータブル発電機Eに装着する状態を表した説明図であり、図2は防音カバー1の前後に亘る中心線上における断面を立体的に表した説明図である。
防音カバー1は、ポータブル発電機Eの上方および周側面を覆う収容空間2を内部に設けたカバー体3を有しており、ポータブル発電機Eの上方から被せることで全体を覆うようになっている。
防音カバー1の使用に適したポータブル発電機Eは、主として家庭用若しくは防災用を目的としたものであり、人間によって持ち運びできる程度の重量とサイズに形成されたものである。図に示したポータブル発電機Eは、プラスチック製の外装カバーによって全体を覆い、上部に設けた取っ手E1を使用して人間が運搬できるように形成されたものを表している。
【0012】
カバー体3は、ポータブル発電機Eの外形形状に合わせて前後に長い方形体状を成している。前後方向にやや長い形状を有するポータブル発電機Eは、長手方向の一端側(後方側)E3に排気ガスを放出する排気口(図示せず)を有しており、排気口の反対側(前方側)E4にエンジンの駆動に使用する空気を取り入れる吸入部(図示せず)が設けられている。
カバー体3は、一例として上壁4および上壁4に接続された側壁5、6、7、8を四方に有する立方体のような形状を有しており、側壁5はポータブル発電機Eの排気口が設けられた後方側E3を覆い、側壁6はポータブル発電機Eの吸入部が設けられた前方側E4を覆うようになっている。側壁7、8は、ポータブル発電機Eの側面を覆うようになっている。これらカバー体3を覆う側壁4、5、6、7、8は、ポータブル発電機E全体を取り囲み覆う壁部材を構成するものである。
カバー体3はポータブル発電機Eの上方から被せるように装着するものであるので底部は開口している。なお、別途ポータブル発電機Eを載置するトレー(図示せず)を設け、ポータブル発電機Eを覆う状態でカバー体3をトレーの上に載置若しくは固定するように構成してもよい。カバー体3をトレーに固定する場合、トレーにポータブル発電機Eとの嵌合手段や誘導手段を設けたり、トレー上において一定の範囲で自由に移動できるフローティング機構を設けることにより、ポータブル発電機Eの配置位置が自動的に調整できるようにすることが望ましい。
【0013】
側壁5には、収容空間2内においてポータブル発電機Eが発生した排気ガスを外部に放出する排気放出口9が設けられている。側壁5は、内部に排気通路10を有した構造体として形成されており、収容空間2に面した内壁にはポータブル発電機Eの排気口に対向して配置した排気流入部11が設けられている。排気放出口9と排気流入部11を結ぶ排気通路10は、側壁5内に設けた複数の仕切り壁によって屈曲した経路を有しており、燃焼によって爆発的に膨張した排気ガスや発電機構の駆動に伴う騒音の低減するようになっている。
なお、図示した排気通路10は、排気ガスの流路を屈曲させただけの単純な構造を有しているが、防音や吸音に効果のある素材を用いたり、消音機構や強制排気用のファンを内蔵してもよい。
【0014】
排気流入部11を設けた側壁5の内壁側には、一例としてポータブル発電機Eの排気口周辺を覆うように接触若しくは近接する開口縁部12を有した弾力性のある可撓性ダクト13が設けられている。可撓性ダクト13は、収容空間2内に対する排気ガスの漏出を防止若しくは軽減する遮蔽作用と、排気ガスを排気流入部5に誘導する作用を有している。
なお、可撓性ダクト13は、本実施例では図示したような弾力性のあるゴム等の素材によって形成した蛇腹状の伸縮構造を有しているが、収容空間2に対する排気ガスの漏出を防止若しくは軽減するものであれば他の形態や構造を有するものであってもよい。
【0015】
排気放出口9を設けた側壁5の反対側に配置された側壁6には空気取り入れ口14が設けられている。また、側壁6は収容空間2との間に内壁16によって仕切られた空間を設けた2重構造を成しており、この空間は空気取り入れ口14から取り入れた空気の流路15を構成している。
流路15は、空気取り入れ口14から取り入れた空気を、内壁16の下方に形成した開口を空気流入口17として通過させ収容空間2内に空気を供給するようになっている。
なお、図示した流路15は平行に配置した2枚の板状部材によって形成されたものであるが、内部に防音や吸音に効果のある素材や構造体を配置したり、流れる空気の流路を複雑にしたり、強制吸気用のファンを内蔵してもよい。
【0016】
側壁6の外側表面には、ネジ軸18とともに、ネジ軸18を回転操作するための回転摘まみ19が設けられている。回転摘まみ19と連動して回転するネジ軸18は、収容空間2内において進退する当接体20に接続されており、回転摘まみ19の回動に伴って当接体20を移動させることができるようになっている。当接体20は、ポータブル発電機Eの表面に当接し押圧できるようになっており、押圧に伴って、ポータブル発電機E若しくはカバー体3が移動し、ポータブル発電機Eの排気部側E3に可撓性ダクト13を近接若しくは密着させる作用を有している。ポータブル発電機Eに接触する当接体20の当接部には、弾力性若しくは吸震のある素材が用いられており、ポータブル発電機Eの振動がカバー体3に伝わりにくくなっている。
なお、当接体20の駆動構造は、前述したネジ軸18、回転摘まみ19によって構成したものに限らず、バネ等の弾性力を利用して駆動、手動による駆動や自動的な駆動など他の方式を採用した構造であってもよい。
【0017】
排気流入部5を設けた側の収容空間の内壁若しくは内壁の近傍には、ポータブル発電機Eの外面に当接し、ポータブル発電機Eに対するカバー体3の配置を適切に誘導する左右一対の誘導手段21、21が設けられている。左右それぞれの誘導手段21、21は、一例としてポータブル発電機Eの排気口側E3の筐体の角付近に接触する傾斜した接触面22を有した部材として設けられている。
誘導手段21の傾斜した接触面22は、ポータブル発電機Eを覆う外装のE2側の両角付近に接触することでカバー体3を中央方向に誘導し、ポータブル発電機Eの排気口とカバー体3の排気流入部5及び可撓性ダクト13が適切な配置となるように調整する機能を有している。
【0018】
本実施例の場合、前述した回転摘まみ19を操作してポータブル発電機Eを押圧することにより、誘導手段21、21の作用によってポータブル発電機E若しくはカバー体3が相対的に移動し、排気口と排気流入部5及び可撓性ダクト13が近接若しくは接触するようになっている。この際、可撓性ダクト13は回転摘まみ19の操作に伴って弾力性を伴いながら変形し、筐体表面に接触若しくは近接することで、収容空間2に対する排気ガスの漏出を低減するようになっている。
【0019】
また、図示しての説明は省略するが、カバー体3の上壁4の内面にポータブル発電機Eの筐体の角付近に接触する傾斜した接触面を有する突出体を設け、ポータブル発電機Eとの接触によってポータブル発電機Eを収容空間2内の適切な位置に誘導するように構成してもよい。また、このような構造を前述した、誘導手段21、23と併設しても設けても良い。
また、カバー体3を構成する上壁4や側壁5、6、7、8を遮音性、防振性の高い素材によって形成したり、内装材として遮音性や防振性の高い素材を配置することによって防音効果が高められている。
また、防音効果を高めるために上壁4や側壁5、6、7、8の肉厚を図示したものよりも厚くする場合もあるが、このような寸法的な修正は求められる仕様に応じて適宜変更される事項であり、本発明の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。
【0020】
なお、市場には様々な形状のポータブル発電機が存在しており、発電の出力に応じてその大きさも異なっている。このような多様なポータブル発電機を想定して、特定の発電機用に最適に設計された着脱できる交換可能な可撓性ダクトを用いる構造にしてもよい。また、前述した誘導手段についても、特定の発電機に適した形状や構造を有したものを形成し、着脱可能に交換できるようにしてもよい。
【0021】
以上説明したように、本発明に係るポータブル発電機用の防音装置は、上方から被せるだけの簡単な装着と、簡単な調節機構によって排気ガスの効果的な排出が行えるという作用および効果を有したものとなっている。
なお、以上の説明は本発明の一例であって、特許請求の範囲を上記の例に限定することを意図したものではない。また、上記発明の実施の形態は、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更、追加、組み合わせ、置き換え、省略等を行うことが可能であり、これらについても特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、ポータブル発電機用の防音装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 ポータブル発電機用防音装置(防音カバー)
2 収容空間
3 カバー体
4 上壁
5、6、7、8 側壁
9 排気放出口
10 排気通路
11 排気流入部
12 開口縁部
13 可撓性ダクト
14 空気取り入れ口
15 流路
16 内壁
17 空気流入口
18 ネジ軸
19 回転摘まみ
20 当接体
21 誘導手段
22 接触面
E ポータブル発電機
E1 取っ手
E3 一端側(後方側)
E4 排気口の反対側(前方側)


図1
図2
図3