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特開2023-47255半導体パッケージ構造とそのフレキシブル回路基板
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  • 特開-半導体パッケージ構造とそのフレキシブル回路基板 図1
  • 特開-半導体パッケージ構造とそのフレキシブル回路基板 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047255
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】半導体パッケージ構造とそのフレキシブル回路基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20230329BHJP
【FI】
H01L21/60 311Q
H01L21/92 602A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198024
(22)【出願日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】110135688
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】311005208
【氏名又は名称】▲き▼邦科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】謝 依凌
(72)【発明者】
【氏名】郭 庭宜
(72)【発明者】
【氏名】李 東昇
(72)【発明者】
【氏名】李 佩螢
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044KK03
5F044KK17
5F044KK18
(57)【要約】
【課題】半導体パッケージ構造を提供する。
【解決手段】フレキシブル回路基板及びフリップチップユニットを備え、フレキシブル回路基板はフレキシブル基板及び複数のインナーリードを有している。フレキシブル基板は上面を有し、インナーリードは上面に設置され、且つ第一接続面及び第二接続面を有している。第一接続面は上面に接続されている。第一接続面の広さは第二接続面の広さを超え、フリップチップユニットはチップ及び複数のバンプを有し、各バンプは第一接合面及び第二接合面を有している。第一接合面はチップに接続され、各第二接合面は各インナーリードの第二接続面に接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板及び複数のインナーリードを有し、前記フレキシブル基板は上面を有し、前記インナーリードは前記上面に設置され、且つ第一接続面及び第二接続面を有し、前記第一接続面は前記上面に接続され、前記第一接続面の広さは前記第二接続面の広さを超え、各前記第二接続面の前記広さは各前記第一接続面の前記広さの0.7倍以上であるフレキシブル回路基板と、
チップ及び複数のバンプを有し、各前記バンプは第一接合面及び第二接合面を有し、これら前記第一接合面は前記チップに接続され、各前記第二接合面は各前記インナーリードの前記第二接続面に接続されているフリップチップユニットと、を備えていることを特徴とする半導体パッケージ構造。
【請求項2】
各前記第二接続面の前記広さは各前記第一接続面の前記広さの0.75倍未満であることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ構造。
【請求項3】
各前記インナーリードの前記第二接続面の前記広さは各前記バンプの前記第二接合面の広さ未満であることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ構造。
【請求項4】
各前記第二接続面の前記広さは前記第二接合面の前記広さの0.4倍~0.8倍の間の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の半導体パッケージ構造。
【請求項5】
各前記バンプの横断面は矩形を呈していることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ構造。
【請求項6】
上面を有しているフレキシブル基板と、
前記上面に設置され、第一接続面及び第二接続面を有し、これら前記第一接続面は前記上面に接続され、前記第一接続面の広さは前記第二接続面の広さを超え、且つ各前記第二接続面の前記広さは各前記第一接続面の前記広さの0.7倍以上である複数のインナーリードと、を備えていることを特徴とする半導体パッケージ構造のフレキシブル回路基板。
【請求項7】
各前記第二接続面の前記広さは各前記第一接続面の前記広さの0.75倍未満であることを特徴とする請求項6に記載の半導体パッケージ構造のフレキシブル回路基板。
【請求項8】
各前記インナーリードの前記第二接続面はバンプの接合面に接続するために用いていることを特徴とする請求項6に記載の半導体パッケージ構造のフレキシブル回路基板。
【請求項9】
各前記インナーリードの前記第二接続面の前記広さは前記バンプの前記接合面の広さ未満であることを特徴とする請求項8に記載の半導体パッケージ構造のフレキシブル回路基板。
【請求項10】
各前記第二接続面の前記広さは前記接合面の前記広さの0.4倍~0.8倍の間の範囲であることを特徴とする請求項9に記載の半導体パッケージ構造のフレキシブル回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ構造に関し、より詳しくは、フレキシブル回路基板を有する半導体パッケージ構造とそのフレキシブル回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
フリップチッププロセスはチップのアクティブ面にバンプを形成し、チップを裏返してバンプとフレキシブル基板上の回路とを接続することで、チップがバンプ及び回路により信号を伝送するようにしている。フリップチッププロセスで形成する半導体パッケージ構造は体積が小さく、湾曲可能であるため、携帯型パーソナルモバイル装置に大量に使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、携帯型パーソナルモバイル装置に使用されるため、フリップチッププロセスの半導体パッケージ構造は体積を縮小する方向に発展している。チップに設けられているバンプでありフレキシブル基板に設置されている回路でさえ、その広さが狭くなる傾向にあるが、但し高電流の許容能力を維持する必要があり、エレクトロマイグレーションに起因する回路の故障がより深刻になった。このため、体積を縮小すると同時にエレクトロマイグレーションの影響を回避することがフリップチッププロセスの半導体パッケージ構造に関して重視されることが問題となっている。
【0004】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
【0005】
本発明は、従来技術の課題を解決する為になされたものである。即ち、本発明の目的は、インナーリードの第一接続面の広さはインナーリードの第二接続面の広さを超え、インナーリードのエレクトロマイグレーションの寿命を効果的に伸ばし、フリップチッププロセス中にインナーピンを接合する際に必要な圧着力を減らし、圧着力が過大であることによる接合シフト(Bond shift)発生のリスクを低下させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の半導体パッケージ構造は、フレキシブル回路基板及びフリップチップユニットを備え、前記フレキシブル回路基板はフレキシブル基板及び複数のインナーリードを有している。前記フレキシブル基板は上面を有し、前記インナーリードは前記上面に設置され、且つ第一接続面及び第二接続面を有している。前記第一接続面は前記上面に接続されている。前記第一接続面の広さは前記第二接続面の広さを超える。また、各前記第二接続面の前記広さは各前記第一接続面の前記広さの0.7倍以上であり、前記フリップチップユニットはチップ及び複数のバンプを有している。各前記バンプは第一接合面及び第二接合面を有し、前記第一接合面は前記チップに接続され、各前記第二接合面は各前記インナーリードの前記第二接続面に接続されている。
【0007】
本発明の別の態様は、半導体パッケージ構造のフレキシブル回路基板である。このフレキシブル回路基板は、フレキシブル基板及び複数のインナーリードを備えている。前記フレキシブル基板は上面を有し、前記インナーリードは前記上面に設置され、各前記インナーリードは第一接続面及び第二接続面を有している。前記第一接続面は前記上面に接続されている。前記第一接続面の広さは前記第二接続面の広さを超え、各前記第二接続面の前記広さは各前記第一接続面の前記広さの0.7倍以上である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、各インナーリードの第二接続面の広さを第一接続面の広さ未満とすることでこれらインナーリードのエレクトロマイグレーションの寿命を伸ばし、半導体パッケージ構造の信頼性を向上している。また、第二接続面の広さを第一接続面の広さ未満とすることでインナーリードがフリップチッププロセス中に必要となる圧着力を減らし、接合シフト発生のリスクを低下させ、半導体パッケージ構造のプロセスの歩留まりを改善している。
【0009】
本発明については、本明細書及び図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例に係る半導体パッケージ構造を示す平面図である。
図2】本発明の一実施例に係る半導体パッケージ構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0012】
図1は、本発明の一実施例に係る半導体パッケージ構造100を示す平面図である。半導体パッケージ構造100はフレキシブル回路基板110及びフリップチップユニット120を備え、フレキシブル回路基板110はフレキシブル基板111と、複数のインナーリード112と、複数の伝送線113と、複数のアウターリード114と、を有している。フレキシブル基板111は上面111aと、インナーリード112と、伝送線113と、上面111aに設置されているアウターリード114と、を有している。本実施例では、フレキシブル基板111の材料はポリイミド(Polyimide)フィルムまたは可撓性、高耐熱性、耐薬品性、及び高絶縁耐力を有している他の材料であり、これらインナーリード112、伝送線113、及びアウターリード114はフレキシブル基板111の上面111aに電気メッキされている銅層がパターン化エッチングを施されることにより形成されている。
【0013】
図1を参照すると、インナーリード112、伝送線113、及びアウターリード114はその設置領域のみ図示するが、実際には、これらインナーリード112、伝送線113、及びアウターリード114はピッチが極めて狭い微細回路であり、回路はフリップチップユニット120及び外部の電子素子(例えば、ガラス基板、制御回路板等)の間で信号を伝送するために用いている。インナーリード112はフレキシブル基板111に設置されているフリップチップユニット120の領域内に位置し、且つインナーリード112はフリップチッププロセスでフリップチップユニット120と共晶接続するために用いている。アウターリード114はフレキシブル基板111の辺縁に隣接し、アウターリード114は外部の電子素子と電気的に接続するために用いている。各伝送線113は各インナーリード112と各アウターリード114との間に位置し、且つ各伝送線113は各インナーリード112及び各アウターリード114に電気的に接続するために用いている。
【0014】
図2は、フリップチップユニット120及びインナーリード112を接続する側面図である。各インナーリード112は第一接続面112a及び第二接続面112bを有し、第一接続面112aはフレキシブル基板111の上面111aに接続されている。フリップチップユニット120はチップ121及び複数のバンプ122を有し、各バンプ122は第一接合面122a及び第二接合面122bを有している。第一接合面122aはチップ121に接続され、各第二接合面122bは各インナーリード112の第二接続面112bに接続されている。本実施例では、フリップチップユニット120の各バンプ122はフリップチッププロセスの熱圧着により各インナーリード112に共晶接続されている。バンプ122の材料は銅、ニッケル、金、錫、他の金属、或いはそれらの合金から選択されている。
【0015】
図2の部分拡大図に示すように、本実施例では、第一接続面112aの広さW1は第二接続面112bの広さW2超であり、各インナーリード112の横断面が台形を呈し、これによりインナーリード112のエレクトロマイグレーションの寿命が延び、インナーリード112がフリップチッププロセスにおいて必要な圧着力が減少する。好ましくは、本実施例では、各第二接続面112bの広さW2は各第一接続面112aの広さW1の0.7倍以上であり、且つ各第一接続面112aの広さW1の0.75倍未満であり、これによりインナーリードのエレクトロマイグレーションの寿命が延び、インナーリード112がフリップチッププロセスにおいて必要な圧着力が減少する効果が最高になる。
【0016】
表1は、各インナーリード112の各第一接続面112aと各第二接続面112bとの間に各比率で実測して得られたデータを示し、必要な圧着力及びエレクトロマイグレーションの寿命は各第二接続面112bの広さW1を第一接続面112aの広さW1の0.9倍と比較することで取得している。
【表1】
【0017】
表1に示すように、各第二接続面112bの広さW2が各第一接続面112aの広さW1の0.7倍以上であり、且つ各第一接続面112aの広さW1の0.75倍未満である場合、各インナーリード112がフリップチッププロセスにおいて必要な圧着力が低下すると同時にそのエレクトロマイグレーションの寿命が1.32~1.47倍にまで延び、エレクトロマイグレーションに起因する回路の故障を十分回避し、且つその区間は圧着シフト(Bonding shift)の試験をパスし、フリップチッププロセス中に確実に使用可能である。
【0018】
また、本実施例では、各インナーリード112の第二接続面112bの広さW2は各バンプ122の第二接合面122bの広さW3未満であり、各バンプ122及び各インナーリード112がフリップチッププロセス中に対置の僅かな偏差により圧着シフト問題(Bonding shift)が発生するのを回避し、且つ各バンプの横断面は矩形を呈し、強度を高めている。好ましくは、各第二接続面112bの広さW1は第二接合面122bの広さW3の0.4倍~0.8倍の間の範囲であり、通過した電流の密度が需要を満たす前提の下で各バンプ122と各インナーリード112との間で圧着シフト問題が生じないようにしている。
【0019】
本発明は各インナーリード112の第二接続面112bの広さW2を第一接続面112aの広さW1未満とすることでインナーリード112のエレクトロマイグレーションの寿命を延ばし、半導体パッケージ構造100の信頼性を高めている。また、第二接続面112bの広さW2を第一接続面112aの広さW1未満とすることでこれらインナーリード112がフリップチッププロセスにおいて必要となる圧着力をさらに減少させ、半導体パッケージ構造100のプロセスの歩留まりを改善している。
【0020】
以上、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0021】
100 半導体パッケージ構造
110 フレキシブル回路基板
111 フレキシブル基板
111a 上面
112 インナーリード
112a 第一接続面
112b 第二接続面
120 フリップチップユニット
121 チップ
122 バンプ
122a 第一接合面
122b 第二接合面
W1 第一接続面の広さ
W2 第二接続面の広さ
W3 第二接合面の広さ
図1
図2