(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047282
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】フォトレジストのストリッピング方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/42 20060101AFI20230329BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
G03F7/42
H01L21/30 572B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110601
(22)【出願日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】110135660
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】311005208
【氏名又は名称】▲き▼邦科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】葉 學舜
【テーマコード(参考)】
2H196
5F146
【Fターム(参考)】
2H196AA26
2H196AA28
2H196HA28
2H196LA01
2H196LA02
5F146MA07
(57)【要約】
【課題】フォトレジストのストリッピング方法を提供する。
【解決手段】基板に位置しているフォトレジスト層をパターン化し、基板を露出させる開口部を形成し、第一部及び第二部を有している薄膜を形成する。第一部はフォトレジスト層の上面に位置し、第二部は基板の表面に位置し、第一部にテープを貼着し、テープ及び第一部を除去し、フォトレジスト層の上面を露出させ、フォトレジスト層の上面及び側面にフォトレジスト剥離剤を接触させ、フォトレジスト層をストリッピングする。これによりフォトレジスト剥離剤及びフォトレジスト層の接触面積を増加させ、フォトレジスト層を効果的に除去する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面にフォトレジスト層を形成する工程と、
前記フォトレジスト層をパターン化して開口部を形成し、前記開口部から前記基板の前記表面を露出させる工程と、
第一部及び第二部を有している薄膜を形成し、前記第一部は前記フォトレジスト層の上面に形成し、前記第二部は前記基板の前記表面に形成し、前記開口部から前記第二部を露出させる工程と、
前記第一部にテープを貼着し、前記第一部と前記テープとの結合力を前記第一部と前記フォトレジスト層との結合力よりも強くする工程と、
前記テープ及び前記第一部を除去し、前記フォトレジスト層の前記上面を露出させる工程と、
前記フォトレジスト層の前記上面及び側面にフォトレジスト剥離剤を接触させ、前記フォトレジスト層をストリッピングする工程と、を含むことを特徴とするフォトレジストのストリッピング方法。
【請求項2】
前記薄膜は金属薄膜であることを特徴とする請求項1に記載のフォトレジストのストリッピング方法。
【請求項3】
前記金属薄膜の材質は金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、チタンタングステン合金(TiW)或いは金錫合金(AuSn)であることを特徴とする請求項2に記載のフォトレジストのストリッピング方法。
【請求項4】
前記薄膜は光学薄膜であることを特徴とする請求項1に記載のフォトレジストのストリッピング方法。
【請求項5】
前記光学薄膜の材質は酸化ケイ素(SiOX)または窒化ケイ素(SiNX)であることを特徴とする請求項4に記載のフォトレジストのストリッピング方法。
【請求項6】
前記薄膜はスパッタリングまたは蒸着方式で形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のフォトレジストのストリッピング方法。
【請求項7】
前記フォトレジスト層はポジ型フォトレジスト層であることを特徴とする請求項1に記載のフォトレジストのストリッピング方法。
【請求項8】
前記フォトレジスト層はネガ型フォトレジスト層であることを特徴とする請求項1に記載のフォトレジストのストリッピング方法。
【請求項9】
前記開口部の断面は上部が狭く下部が広いことを特徴とする請求項1に記載のフォトレジストのストリッピング方法。
【請求項10】
前記薄膜の前記第二部は前記フォトレジスト層に未接触であることを特徴とする請求項9に記載のフォトレジストのストリッピング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジストのストリッピング方法(Method of stripping photoresist)に関し、より詳しくは、フォトレジスト剥離剤の接触時間を短縮するフォトレジストのストリッピング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リフトオフパターニング(lift-off patterning)プロセスにおいては、フォトリソグラフィ技術によりフォトレジストを現像してめっきの沈着位置を定義し、薄膜にスパッタリングまたは蒸着を行った後にフォトレジストを除去し、パターンを完成する。リフトオフパターニングプロセスは非エッチング工程であり、プロセスの工程が減少し、且つエッチングによりパターンを形成できない薄膜を製造するために使用でき、例えば光学フィルター膜層または他の光学薄膜を製造する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述した従来の技術では、スパッタリングや蒸着は高温環境で実行するが、フォトレジストは長時間高温に曝されると完全に除去し難くなり、フォトレジストの残留物が後続のプロセスに影響し易い。フォトレジストを完全に除去する場合、フォトレジストと剥離液との接触時間を延長する必要がある。
【0004】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
【0005】
本発明は、上述に鑑みてなされたものであり、その目的は、フォトレジストのストリッピング方法を提供することにある。換言すれば、フォトレジスト剥離剤を接触させる前に、テープを使用してフォトレジスト層に位置している薄膜を除去し、フォトレジスト剥離剤をフォトレジスト層の上面及び側面に完全に接触させることで、フォトレジスト剥離剤が接触する時間を短縮させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基板の表面にフォトレジスト層を形成する工程と、前記フォトレジスト層をパターン化して開口部を形成し、前記開口部から前記基板の前記表面を露出させる工程と、第一部及び第二部を有している薄膜を形成し、前記第一部は前記フォトレジスト層の上面に形成し、前記第二部は前記基板の前記表面に形成し、前記開口部から前記第二部を露出させる工程と、前記第一部にテープを貼着し、前記第一部と前記テープとの結合力を前記第一部と前記フォトレジスト層との結合力よりも強くする工程と、前記テープ及び前記第一部を除去し、前記フォトレジスト層の前記上面を露出させる工程と、前記フォトレジスト層の前記上面及び側面にフォトレジスト剥離剤を接触させ、前記フォトレジスト層をストリッピングする工程と、を含むことを特徴とするフォトレジストのストリッピング方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上述に説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例に係るフォトレジストのストリッピング方法を示す概略断面図である。
【
図2】本発明の一実施例に係るフォトレジストのストリッピング方法を示す概略断面図である。
【
図3】本発明の一実施例に係るフォトレジストのストリッピング方法を示す概略断面図である。
【
図4】本発明の一実施例に係るフォトレジストのストリッピング方法を示す概略断面図である。
【
図5】本発明の一実施例に係るフォトレジストのストリッピング方法を示す概略断面図である。
【
図6】本発明の一実施例に係るフォトレジストのストリッピング方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態によるフォトレジストのストリッピング方法を図面に基づき説明する。
【0010】
本発明に係るフォトレジストのストリッピング方法について
図1から
図6に基づいて説明する。
【0011】
まず、
図1に示すように、基板100の表面110にフォトレジスト層200を形成する。基板100の材質はガラス、セラミック、サファイア、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非結晶シリコンまたは高分子でもよく、フォトレジスト層200はポジ型フォトレジスト層またはネガ型フォトレジスト層である。
【0012】
次は、
図2に示すように、フォトレジスト層200を形成した後、フォトリソグラフィプロセス(lithography)によりフォトレジスト層200をパターン化し、フォトレジスト層200に少なくとも1つの開口部210を形成し、開口部210から基板100の表面110を露出させる。好ましくは、開口部210の断面は上部が狭く下部が広くなっており、即ち、開口部210がフォトレジスト層200の上面220から基板100の表面110にかけて徐々に広くなっている。
【0013】
続いて、
図3に示すように、フォトレジスト層200のパターン化プロセスが完了した後、基板100及びフォトレジスト層200に薄膜300を形成する。薄膜300は第一部310及び第二部320を含み、第一部310はフォトレジスト層200の上面220に形成し、第二部320は基板100の表面110に形成し、且つ開口部210から第二部320を露出させている。好ましくは、薄膜300はスパッタリングまたは蒸着方式で基板100及びフォトレジスト層200に沈着させ、開口部210の断面が上部が狭く下部が広い台形を呈しているため、開口部210の上方の開口部の幅に制限され、基板100に沈着した第二部320がフォトレジスト層200に接触しなくなる。
【0014】
一実施例では、薄膜300は金属薄膜であり、金属薄膜の材質は金属または合金である。好ましくは、金属薄膜の材質は金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)及びニッケル(Ni)等の金属、或いはチタンタングステン合金(TiW)及び金錫合金(AuSn)等の合金である。他の実施例では、薄膜300は金属を含まない光学薄膜(光学フィルター膜)であり、好ましくは、光学薄膜の材質は酸化ケイ素(SiOX)または窒化ケイ素(SiNX)である。
【0015】
続いて、
図4に示すように、薄膜300を形成した後、第一部310にテープ400を貼着する。テープ400は第一部310に平坦に貼着し、テープ400はウェハーを研磨する際に使用する研磨テープであり、ICの保護テープまたは他のテープを保護するために用いられている。続いて、
図5に示すように、テープ400を除去する。第一部310とテープ400との結合力が第一部310とフォトレジスト層200との結合力より強いため、テープ400を除去する際に、第一部310がテープ400と共に除去され、フォトレジスト層200の上面220が露出される。
【0016】
次は、
図6に示すように、テープ400及び第一部310を除去した後、基板100をフォトレジスト剥離剤(photoresist stripper)中に浸漬し、フォトレジスト剥離剤をフォトレジスト層200の上面220及び側面230に接触させることで、フォトレジスト層200を基板100から剥離する。また、開口部210に形成した第二部320がフォトレジスト層200に接触しないため、フォトレジスト層200を基板100から剥離する際に、第二部320が引っ張られて基板100から脱離することがなくなる。
【0017】
好ましくは、フォトレジスト剥離剤は水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH、tetramethyl ammonium hydroxide)またはジメチルスルホキシド(DMSO、dimethyl sulfoxide)を含むフォトレジスト剥離液であるか、アセトン(acetone)、N-メチルピロリドン(NMP、N-methyl-pyrrolidinone)、イソプロパノール(IPA、isopropanol)等の有機溶剤である。
【0018】
本発明のフォトレジストのストリッピング方法はフォトレジスト剥離剤に接触する前に、テープ400を使用してフォトレジスト層200に位置している第一部310を除去し、フォトレジスト層200の上面220を露出させている。これにより、フォトレジスト層200の上面220及び側面230が共にフォトレジスト剥離剤に接触し、フォトレジスト層200とフォトレジスト剥離剤との接触面積が増加している。本発明のフォトレジストのストリッピング方法はフォトレジスト層200とフォトレジスト剥離剤との接触時間を効果的に短縮し、且つ薄膜300が金属薄膜である場合、テープ400により事前に薄膜300の第一部310を除去し、金属を完全に回収する。
【0019】
以上、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0020】
100 基板
110 表面
200 フォトレジスト層
210 開口部
220 上面
230 側面
300 薄膜
310 第一部
320 第二部
400 テープ