(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047314
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】冷却剤媒体と水素との間の分離が改善された燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20230329BHJP
H01M 8/2475 20160101ALI20230329BHJP
H01M 8/04007 20160101ALI20230329BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20230329BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20230329BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20230329BHJP
B64D 33/08 20060101ALI20230329BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20230329BHJP
F28F 21/08 20060101ALN20230329BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/2475
H01M8/04007
H01M8/00 Z
B64C39/02
B64D27/24
B64D33/08
H01M8/10 101
F28F21/08 A
F28F21/08 E
F28F21/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144836
(22)【出願日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】21198725.0
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】311014956
【氏名又は名称】エアバス オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Airbus Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Kreetslag 10,21129 Hamburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック クルトゥス
(72)【発明者】
【氏名】ソウクプ ニコラウス
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H126FF10
5H127AA06
5H127AB04
5H127BA02
5H127BA28
5H127BA33
5H127BA57
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB32
5H127BB39
5H127EE03
5H127EE25
5H127EE29
(57)【要約】
【課題】 冷却剤媒体と水素との間の分離が改善された燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 燃料電池スタックと、ハウジングと、第1の冷却剤ポートと、第2の冷却剤ポートと、冷却剤ポンプ及び冷却剤ポンプと流体連通する熱交換器を有する冷却装置とを含む燃料電池システムであって、ハウジングは上側及び底側を含み、燃料電池スタックはハウジング内に配置され、第1の冷却剤ポート及び第2の冷却剤ポートはそれぞれ、内管と、外管と、内管及び外管の間の間隙とを有する冷却剤管を含み、第1の冷却剤ポート及び第2の冷却剤ポートのそれぞれは、内側端部が外側端部よりも上側に近いようにハウジングを貫いて延在し、第1の冷却剤ポート及び第2の冷却剤ポートは冷却剤ループを形成するために冷却装置及び燃料電池スタックの第1の冷却剤経路に結合される、燃料電池システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタック(4)と、
ハウジング(6)と、
第1の冷却剤ポート(8)と、
第2の冷却剤ポート(10)と、
冷却剤ポンプ(18)及び前記冷却剤ポンプ(18)と流体連通する熱交換器(20)を有する冷却装置(16)と、
を含む燃料電池システム(2)であって、
前記ハウジング(6)は上側(32)及び底側(33)を含み、
前記燃料電池スタック(4)は前記ハウジング(6)内に配置され、
前記第1の冷却剤ポート(8)及び前記第2の冷却剤ポート(10)はそれぞれ、内管(26)と、外管(28)と、前記内管(26)及び前記外管(28)の間の間隙(36)とを有する冷却剤管を含み、
前記第1の冷却剤ポート(8)及び前記第2の冷却剤ポート(10)のそれぞれは、内側端部(30)が外側端部(34)よりも前記上側(32)に近いように傾けられた方式で前記ハウジング(6)を貫いて延在し、
前記第1の冷却剤ポート(8)及び前記第2の冷却剤ポート(10)は、冷却剤ループを形成するために、前記冷却装置(16)及び前記燃料電池スタック(4)の第1の冷却剤経路(22)に結合される、
燃料電池システム(2)。
【請求項2】
前記冷却剤ポンプ(18)及び前記熱交換器(20)が前記ハウジング(6)の外側に配置される、
請求項1に記載の燃料電池システム(2)。
【請求項3】
前記第1の冷却剤ポート(8)が前記冷却剤ポンプ(18)の下流に配置され、
前記第1の冷却剤ポート(8)の前記内管(26)が前記冷却剤ポンプ(18)と流体連通し、前記第1の冷却剤経路(22)の第1の入口に接続され、
前記第2の冷却剤ポート(10)の前記内管(26)が前記第1の冷却剤経路(22)の第1の出口に接続され、前記熱交換器(20)と流体連通する、
請求項1又は2に記載の燃料電池システム(2)。
【請求項4】
前記燃料電池スタック(4)のアノード出口(58)及びアノード入口(60)と流体連通する水素循環ポンプ(56)をさらに含み、
前記水素循環ポンプ(56)が第2の冷却剤入口(59)及び第2の冷却剤出口(61)を有する第2の冷却剤経路(57)を含み、
前記第2の冷却剤入口(59)及び前記第2の冷却剤出口(61)が前記冷却剤ループの迂回路(54)に配置される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の燃料電池システム(2)。
【請求項5】
前記第2の冷却剤経路(57)を含有する前記循環ポンプ(56)のセクションが前記ハウジング(6)の外側に配置され、
水素と接触する前記水素循環ポンプ(56)のセクションが前記ハウジング(6)の内側に配置される、
請求項4に記載の燃料電池システム(2)。
【請求項6】
前記ハウジング(6)が前記上側(32)に又はそれに隣接して水素放出開口部(40)を含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料電池システム(2)。
【請求項7】
前記冷却剤ループの前記第1の冷却剤ポート(8)、前記第2の冷却剤ポート(10)、及び冷却剤誘導構成要素の少なくとも1つが耐火シールド(29)を含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載の燃料電池システム(2)。
【請求項8】
前記耐火シールド(29)がコーティング及び/又は追加金属シールド(29)を含む、
請求項7に記載の燃料電池システム(2)。
【請求項9】
プラント構成要素の少なくとも1つの水素処理バランス要素が、水素を前記燃料電池スタック(4)に供給するために前記ハウジング(6)内に配置される、
請求項1~8のいずれか一項に記載の燃料電池システム(2)。
【請求項10】
冷却剤を検出するように設計された少なくとも1つの漏れセンサ(35)をさらに含み、
前記少なくとも1つの漏れセンサ(35)が、漏れを知らせるための信号装置(37)と連通しており、
前記少なくとも1つの漏れセンサ(35)が前記第1の冷却剤ポート(8)及び/又は前記第2の冷却剤ポート(10)の前記間隙(36)と流体連通している、
請求項1~9のいずれか一項に記載の燃料電池システム(2)。
【請求項11】
少なくとも1つの電気消費物(52)と、請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの燃料電池システム(2)とを含む乗り物(82)。
【請求項12】
飛行機(82)である、請求項11に記載の乗り物(82)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの燃料電池システム(2)が前記飛行機(82)の加圧エリアに配置される、請求項12に記載の乗り物(82)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムと、そのような燃料電池システムを有する乗り物とに関する。
【背景技術】
【0002】
車両上で電力を生成するための燃料電池システムはよく知られている。燃料電池プロセスにおいて、アノード側に供給される水素と、カソード側に供給される酸素とが組み合わされて水を形成する一方、電流と熱が生成される。適切な動作状態を維持するために、それぞれの燃料電池は冷却装置によって冷却される。例えば、冷却装置は冷却剤を循環し、冷却剤は燃料電池スタックの冷却経路で熱を吸収し、熱交換器を介して熱を放出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
固体高分子電解質膜(PEM)を有する液体冷却式燃料電池システムは、エチレングリコール水混合物などの燃焼性又は潜在的燃焼性冷却剤を使用することが多い。宇宙用途は地上の乗り物又は用途と比較して追加の安全性を考慮する必要があるので、本発明の目的は、燃料電池システムの冷却媒体含有ゾーンと水素含有ゾーンとの間の改善された分離を含む燃料電池システムを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は独立請求項1の特徴を有する燃料電池システムによって達成される。有利な実施形態及びさらなる改善は、従属項及び以下の記載から明らかになり得る。
【0005】
燃料電池スタックと、ハウジングと、第1の冷却剤ポートと、第2の冷却剤ポートと、冷却剤ポンプ及び冷却剤ポンプと流体連通する熱交換器を有する冷却装置とを含む燃料電池システムが提案され、ハウジングは上側及び底側を含み、燃料電池スタックはハウジング内に配置され、第1の冷却剤ポート及び第2の冷却剤ポートはそれぞれ、内管と、外管と、内管及び外管の間の間隙とを有する冷却剤管を含み、第1の冷却剤ポート及び第2の冷却剤ポートのそれぞれは、内側端部が外側端部よりも上側に近いように傾けられた方式でハウジングを貫いて延在し、第1の冷却剤ポート及び第2の冷却剤ポートは、冷却剤ループを形成するために冷却装置及び燃料電池スタックの第1の冷却剤経路に結合される。
【0006】
燃料電池スタックは個々の燃料電池の配置を含み、個々の燃料電池は直列接続など、電気的に互いに接続される。適切な数の個々の燃料電池及び適切な相互接続を提供することによって、所望の電圧レベル及び電流に達することができる。燃料電池の複数のグループを提供し、それらグループを直列及び/又は並列に接続し、所望の電流及び電圧並びに所望の最大出力を達成することも考えられる。
【0007】
個々の燃料電池は固体高分子電解質膜燃料電池として実現することができ、これはアノード、膜、及びカソードからなる配置を含む。そのようなPEM燃料電池の動作温度は一般に50~約80℃又は90℃の範囲であり得る。より高い動作温度の高温PEM燃料電池が存在する。燃料電池スタックはバイポーラプレートとそれらの間に配置された膜のスタックの形態で提供することができ、その結果、複数の個々のPEM燃料電池の直列接続が形成される。バイポーラプレートは、水素、酸素又は空気及び水又は水蒸気の分配のための流れ領域をそれらの各側に含むことは明らかである。バイポーラプレートは燃料電池スタック内部で冷却機能を達成するための内部冷却剤分配流れ領域を含み得る。
【0008】
ハウジングは少なくとも燃料電池スタックを取り囲む筐体として解釈される。それは、水素が燃料電池スタックの直ぐ近くだけに存在し得るので、水素含有空間又はエンベロープを画定する。燃料電池スタックを取り囲むようにハウジングを提供することにより、水素含有雰囲気は明確な空間に制限される。
【0009】
第1及び第2の冷却剤ポートは、流入するチルド冷却剤及び流出する加熱した冷却剤と、燃料電池スタックとの接続部を提供する。したがって、両方の冷却剤ポートは、ハウジングの外側からハウジングの内部空間内に入り燃料電池スタックまで延在する。内側端部がハウジングの上側により近づけて配置されるので、冷却剤はその傾斜に従い、内管と外管との間の間隙を通って下方へ流れ、重力のみによって動かされる。したがって、ハウジングが専用の向きに配置される場合、漏れた冷却剤は常にハウジングから流出し得る。したがって、非常に単純であるが効果的なハウジング内の水素含有雰囲気からの冷却剤の分離方式である。
【0010】
冷却剤ポンプ及び熱交換器はハウジングの外側に配置され得る。したがって、冷却剤を含有する構成要素の大部分は、ハウジングの外側にある。冷却剤がハウジング内に漏れる危険性はさらに低減される。燃料電池スタックと隣接壁との間の距離(冷却剤ポートの1つがこれを通って延在する)はできるだけ小さいことが考えられる。したがって、ハウジング内部の冷却剤ポートのそれぞれのセクションは、漏れた冷却剤がハウジングに入る危険性をさらに低減するようにできるだけ短い。
【0011】
第1の冷却剤ポートは冷却剤ポンプの下流に配置されてもよく、第1の冷却剤ポートの内管は冷却剤ポンプと流体連通され、第1の冷却剤経路の第1の入口に接続され、第2の冷却剤ポートの内管は第1の冷却剤経路の第1の出口に接続され、熱交換器と流体連通している。第1の入口及び第1の出口は、燃料電池スタックまでの冷却剤経路の長さを低減するために、ハウジング壁においてできるだけ近くに配置されることが考えられる。内管及び外管の両方が燃料電池スタックに接続され、内管は冷却剤を燃料電池スタックに誘導するための専用のものである。
【0012】
燃料電池システムはさらに、燃料電池スタックのアノード出口及びアノード入口と流体連通する水素循環ポンプを含み得、水素循環ポンプは第2の冷却剤入口及び第2の冷却剤出口を有する第2の冷却剤経路を含み、第2の冷却剤入口及び第2の冷却剤出口は冷却剤ループの迂回路に配置される。水素循環ポンプはハウジングの壁に配置されてもよく、ポンプ熱交換器はハウジングの外側からアクセス可能である。例えば、ポンプはハウジング内で側壁に直接配置されてもよい。第2の冷却剤経路を有するポンプ熱交換器はそれぞれの壁の外側に配置されてもよく、ポンプ及びポンプ熱交換器は熱的に結合される。ポンプ熱交換器、ポンプハウジング、取り付け表面及び/又はハウジングの少なくとも局所的なセクションの材料は、銅、アルミニウム又はマグネシウムなど、良好な熱伝導性を有するように選択されてもよい。また、ポンプの熱生成要素とポンプ熱交換器との間の距離は、できるだけ低減され得る。これにより水素及び冷却剤の分離がさらに改善される。
【0013】
上述のように、第2の冷却剤経路を含む循環ポンプのセクションはハウジングの外側に配置され、水素と接触する循環ポンプのセクションはハウジングの内側に配置されることが考えられる。循環ポンプは多部品ポンプハウジングを含み得、ここで部品の1つは第2の冷却剤経路を含み得、ハウジングの外面に取り付けられる一方、ポンプハウジングの他の部品は燃料電池システムのハウジングの内側に取り付けられてもよい。
【0014】
燃料電池システム内でハウジングが上側に又はそれに隣接して水素放出開口部を含み得ることがさらに考えられる。したがって、ハウジングの内部空間に達する水素は、空気よりも軽いので、放出開口部を介してハウジングから逃げることができる。
【0015】
さらに、燃料電池システムにおいて、冷却剤ループの第1の冷却剤ポート、第2の冷却剤ポート及び冷却剤誘導構成要素(coolant leading components)の少なくとも1つは耐火シールドを含む。耐火シールドは溶け落ち時間を延ばすことができる適切な材料の追加の層を含み得る。したがって、耐火シールドは所与の時間枠の間冷却剤管を水素から保護する。このシールドにより、管は水素火炎内で所与の時間耐えることができ、冷却剤流体が水素含有領域にさらに漏れることを防止する。
【0016】
例えば、耐火シールドはコーティング及び/又は追加金属シールドを含み得る。コーティングは、金属誘導体で充填されていてもよい鉱物、有機ハロゲン化合物、有機リン化合物、有機化合物、高分子複合体、及びその他を主成分とする難燃性材料を主成分とし得る。金属シールドは、鋼、モリブデン、ニッケル、白金、チタン、タングステン又はその他から作られた箔又はシート金属を含み得る。また、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、水酸化マグネシウム、及び層状複水酸化物などの金属化合物ナノ粒子を有効な難燃剤として提供することも使用することができる。耐火シールドは好ましくは外管に配置され得る。
【0017】
さらに、プラント構成要素(plant component)の少なくとも1つの水素処理バランス要素(balance)が水素を燃料電池スタックに供給するためにハウジング内に配置されてもよい。プラントのバランス要素は、燃料電池システムが動作することを可能にする複数の補助機器アイテムと理解される。それは冷却装置及び冷却剤誘導管及びラインを含み得る。さらに、それは燃料電池に水素を供給するように構成された水素回路を含み得る。燃料電池システムが空気供給型燃料電池システムである場合、プラントのバランス要素はまた、燃料電池に空気を供給するように構成された空気回路を含み得る。できるだけ多くの水素処理構成要素がハウジング内に配置されることが考えられる。したがって、水素と冷却剤のさらに改善された分離が実現される。
【0018】
燃料電池システムは、冷却剤を検出するように設計された少なくとも1つの漏れセンサをさらに含み得、少なくとも1つの漏れセンサは漏れを知らせるための信号装置と連通し、少なくとも1つの漏れセンサは第1の冷却剤ポート及び/又は第2の冷却剤ポートの間隙と流体連通している。したがって、冷却剤が管の間の間隙に達する場合、それぞれの漏れセンサは漏れを検出し、警報信号が警報装置に送信され得る。これはメッセージをスクリーンに表示すること、電子メンテナンスブックへのエントリーを記憶すること、電子メッセージを作業場、又は、飛行機が本発明による燃料電池システムを含む場合、地上ステーションへ送信することを含み得る。
【0019】
本発明は、少なくとも1つの電気消費物及び上記の少なくとも1つの燃料電池システムを含む乗り物にさらに関する。少なくとも1つの電気消費物は任意の種類の電気消費物であり得る。乗り物は乗り物において推進力を提供するか又は特定の機能を実施するための少なくとも1つの電気モータを含むことが考えられる。少なくとも1つの電気消費物はまた、照明装置、ギャレー装置、娯楽装置及びその他を含み得る。
【0020】
乗り物は飛行機であり得る。燃料電池システムは例示的に補助動力ユニット及び/又は発電機に取って代わってもよく、飛行機内部の主動力バスに接続される。燃料電池システムは、電力をギャレー又はギャレーのグループ又は推進ユニットに提供するなど、幾分隔離された機能を提供するための専用のものであることも考えられる。
【0021】
少なくとも1つの燃料電池システムは飛行機の加圧エリアに配置され得る。しかしながら、少なくとも1つの燃料電池システムが飛行機の非加圧エリアに配置され得ることも考えられる。
【0022】
以下、添付の図面を使用して例示的な実施形態をより詳細に示す。描画は概略的であり、一定の縮尺ではない。同一の参照番号は同一又は類似の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】周辺構成要素を含む燃料電池システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1aは燃料電池スタック4と、ハウジング6と、第1の冷却剤ポート8と、第2の冷却剤ポート10とを含む燃料電池システム2を示す。燃料電池スタック4は複数の個々の燃料電池を含むが、それらはここでは詳細に示されていない。燃料電池スタック4は水素源12から水素を、空気源14から空気を供給される。それらの源は燃料電池スタック4に接続され、部分的にハウジング6を貫いて到達する。冷却装置16が提供され、それは冷却剤ポンプ18と熱交換器20とを含み、それらは第1の冷却剤ポート8及び第2の冷却剤ポート10と結合される。冷却剤ポート8及び10は燃料電池スタック4の内側で第1の冷却剤経路22に接続される。かくして冷却剤ループが提供される。
【0025】
ハウジング6は内部空間24を画定し、ここに水素リッチ雰囲気が燃料電池スタック4の動作中に存在し得る。水素源12は、弁、供給ライン、センサ等の配置を含み得、できるだけ多くの水素処理構成要素が、冷却剤と水素の間の分離を提供するために内部空間24内に配置される。
【0026】
第1の冷却剤ポート8は二重管であり、内管26と外管28とを有し、それらは
図1bにおいて拡大して示されている。内管26及び外管28は好ましくは互いに同心円状に配置される。外管28は金属箔の形態の耐火シールド29を例示的に含む。しかしながら、非金属材料のコーティングも可能であり得る。
【0027】
第1の冷却剤ポート8の内側端部30は、外側端部34よりもハウジング6の上側32の近くに配置され、上側32は底側33の反対側である。同じことが第2の冷却剤ポート10にもあてはまる。したがって、第1の冷却剤ポート8及び第2の冷却剤ポート10は傾けられ、その結果、内管26と外管28の間の間隙36に達する冷却剤はハウジング6から流れ出、重力のみによって動かされる。
【0028】
内管26は冷却剤供給ライン38に接続され、ライン38は冷却剤ポンプ18の下流に配置され、ポンプは熱交換器20の下流に配置され、それと流体連通する。第2の冷却剤ポート10の内管26は、熱交換器20に接続される。したがって、第1の冷却剤経路22は冷却剤の昇温をもたらし、冷却剤は次に熱交換器20を通って流れ、熱を放散する。冷却剤ポンプ18はチルド冷却剤を冷却剤供給ライン38で内管26へ圧送し、これは次に第1の冷却剤経路22に再び達する。これは連続的に行われ、燃料電池スタック4の連続的な冷却を提供する。
【0029】
ハウジング6の上側32に水素出口40が設けられる。ここに放出管42が配置されてもよく、放出管42は水素が内部空間24から周囲環境へ、又はさらに離れた位置へ流れ出ることを可能にする。水素は空気より軽いので、自動的に水素出口40に達する。
【0030】
図2にも示されるように、燃料電池システム2は水素循環ポンプ56を含み、ポンプ56は第2の冷却剤入口59と第2の冷却剤出口61とを有する第2の冷却剤経路57を有し、第2の冷却剤経路57は冷却剤供給ライン38の迂回路54に結合される。したがって、水素循環ポンプ56もまた冷却剤で冷却され得る。
【0031】
例示的に、漏れセンサ35が間隙36に配置され、信号装置37に結合され、信号装置37は、漏れの可能性を燃料電池システム2のユーザ又は燃料電池システム2が設置される別の実在物のユーザに知らせるスクリーンであり得る。
【0032】
図2は燃料電池システム2をさらに詳細に示す。ここで燃料電池44はブロックが配向された図で非常に概略的に示されている。それはアノード46と、カソード48と第1の冷却経路22と、電気接続装置50とを含み、電気接続装置50は電力バス又はレールに接続される電気インターフェースすなわち接続端子を表す。電気消費物52が燃料電池44に接続され、電流を供給される。
【0033】
第1の冷却経路22は冷却剤ポンプ18及び熱交換器20に結合される。第1の冷却経路22と冷却剤ポンプ18との間に、水素循環ポンプ56を冷却することを可能にする迂回路54が配置される。水素循環ポンプ56はアノード出口58からの過剰水素を水素の供給流れに戻し、アノード入口60に循環することを可能にする。水素循環ポンプ56の上流に、水をアノード排気ガスから取り除くように設計された水分離装置62が配置される。パージ弁64がアノード46を能動的にパージし、パージ弁64は水素出口40、すなわち出口管42に結合される。
【0034】
水素供給弁66が水素源12の下流に配置され、水素をアノード入口60に選択的に供給することを可能にする。カソード48は空気を空気供給源14から受け取り、加湿器68が、カソード出口72からの湿潤カソード排気ガス70を使用して、供給空気を加湿する。空気供給源をカソード入口76の直ぐ上流に配置された第1の遮断弁74で中断することができる。カソード出口72は第2の遮断弁78に直接結合される。過剰な排気は排気出口80から放出される。ハウジング6が、供給弁66、水素循環ポンプ56、水分離装置62及びパージ弁64など、水素処理に関連する構成要素の大部分を取り囲むことが考えられる。
【0035】
図3は加圧される胴体84を含む飛行機82を示す。燃料電池システム2は、加圧される胴体84内に配置され得る。
【符号の説明】
【0036】
2 燃料電池システム
4 燃料電池スタック
6 ハウジング
8 第1の冷却剤ポート
10 第2の冷却剤ポート
12 水素源
14 空気源
16 冷却装置
18 冷却剤ポンプ
20 熱交換器
22 第1の冷却剤経路
24 内部空間
26 内管
28 外管
29 耐火シールド
30 内側端部
32 上側
33 底側
34 外側端部
35 漏れセンサ
36 間隙
37 信号装置
38 冷却剤供給ライン
40 水素出口
42 放出管
44 燃料電池
46 アノード
48 カソード
50 電気接続装置
52 電気消費物
54 迂回路
56 水素循環ポンプ
57 第2の冷却剤経路
58 アノード出口
59 第2の冷却剤入口
60 アノード入口
61 第2の冷却剤出口
62 水分離装置
64 パージ弁
66 水素供給弁
68 加湿器
70 カソード排気ガス
72 カソード出口
74 第1の遮断弁
76 カソード入口
78 第2の遮断弁
80 排気出口
82 飛行機
84 胴体