(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047315
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】乾燥ブクリョウとその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20230329BHJP
F26B 9/06 20060101ALI20230329BHJP
F26B 21/12 20060101ALI20230329BHJP
F26B 21/10 20060101ALI20230329BHJP
F26B 25/22 20060101ALI20230329BHJP
A23B 7/02 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
A23L19/00 101
F26B9/06 Z
F26B21/12
F26B21/10
F26B25/22
A23B7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144946
(22)【出願日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2021155097
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003665
【氏名又は名称】株式会社ツムラ
(71)【出願人】
【識別番号】502000791
【氏名又は名称】兼八産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】弁理士法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土方 野分
(72)【発明者】
【氏名】山本 博章
(72)【発明者】
【氏名】原 延明
(72)【発明者】
【氏名】合野 充泰
【テーマコード(参考)】
3L113
4B016
4B169
【Fターム(参考)】
3L113AA03
3L113AB03
3L113AC51
3L113BA18
3L113CA02
3L113CB24
3L113DA24
4B016LG14
4B016LP08
4B169BA05
4B169HA17
(57)【要約】
【課題】ブクリョウの性状を損なうことなく乾燥させることができ、周年で安定的に乾燥ブクリョウを提供する。
【解決手段】ブクリョウを、6~10質量%/日の水分減少率で、ブクリョウの水分率が28質量%以下となるまで乾燥させることを特徴とする乾燥ブクリョウの製造方法およびこの乾燥ブクリョウの製造方法で得られる乾燥ブクリョウ。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブクリョウを、6~10質量%/日の水分減少率で、ブクリョウの水分率が28質量%以下となるまで乾燥させることを特徴とする乾燥ブクリョウの製造方法。
【請求項2】
ブクリョウの水分率が28質量%以下になった後、更に、10~20質量%/日の水分減少率でブクリョウの水分率が16質量%以下となるまで乾燥させるものである請求項1記載の乾燥ブクリョウの製造方法。
【請求項3】
ブクリョウを、6~10質量%/日の水分減少率で、ブクリョウの水分率が28質量%以下となるまで乾燥させることを特徴とするブクリョウの乾燥方法。
【請求項4】
ブクリョウの水分率が28質量%以下になった後、更に、10~20質量%/日の水分減少率でブクリョウの水分率が16質量%以下となるまで乾燥させるものである請求項3記載のブクリョウの乾燥方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の乾燥ブクリョウの製造方法で得られる乾燥ブクリョウ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブクリョウの性状を損なうことなく乾燥させた乾燥ブクリョウとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブクリョウ(茯苓)はマツホド(Wolfiporia cocos Ryvarden et Gilbertson(Poria cocos Wolf)(Polyporaceae)の菌核である。日本薬局方においては、マツホドの菌核で、通例、外層をほとんど除いたものと定義される。このブクリョウは、塊状を呈し、白色または僅かに淡赤色を帯びた白色で、質は硬いが砕きやすいと収載されている。
【0003】
産地の中国では、厚さ10mm程度にスライスされたスライスブクリョウと、1辺8~20mmの立方体状のブロックブクリョウが流通し、一般的に硬く粘り気のあるものが良質と言われている。
【0004】
そして、ブクリョウは乾燥された乾燥ブクリョウの形態で流通されるが、ブクリョウ収穫後の加工工程の中でも乾燥は重要な工程であり、自然環境下での乾燥(日中野外で乾燥させ、夜間は室内に取り込むことを5~7日程度繰り返す)では天候や季節に左右され、カビ、変色、ひび割れ等の品質低下をもたらすことが知られている。
【0005】
また、菌床栽培のブクリョウは、天然のものや原木栽培のものと比較して、ブクリョウ上に土壌がほとんど被らないことから柔らかく、乾燥させてももろく崩れやすくなり、硬度を保ちながら乾燥させることが難しいことも知られている。
【0006】
更に、一般的な乾燥機を用いた乾燥では、急激な乾燥や過乾燥によりひび割れが生じたり、不適切な乾燥でカビや変色などが発生し、品質低下をもたらすことが知られている。
【0007】
そのため、ブクリョウ専用の乾燥機や、これを用いて乾燥庫内40~70℃の熱風を1~10m/sの風速で2~4時間吹き出し、その後の4~6時間加湿し、これを3~4回繰り返す乾燥方法も開発されているが(特許文献1)、この技術でもブクリョウの崩壊率等が高いという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の課題は、ブクリョウの性状を損なうことなく乾燥させることができ、周年で安定的に乾燥ブクリョウを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ブクリョウを特定の水分減少率で乾燥させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は、ブクリョウを、6~10質量%/日の水分減少率で、ブクリョウの水分率が28質量%以下となるまで乾燥させることを特徴とする乾燥ブクリョウの製造方法である。
【0012】
また、本発明は、ブクリョウを、6~10質量%/日の水分減少率で、ブクリョウの水分率が28質量%以下となるまで乾燥させることを特徴とするブクリョウの乾燥方法である。
【0013】
更に、本発明は、上記乾燥ブクリョウの製造方法で得られる乾燥ブクリョウである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ブクリョウの乾燥により生じるカビ、変色、ひび割れ等の品質低下を抑制し、ブクリョウの性状を損なうことなく乾燥ブクリョウを製造することができる。
【0015】
そのため、本発明は、周年で安定的に乾燥ブクリョウを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】参考例1で乾燥後の菌床栽培ブクリョウの外観を示す図である(左:天日干し、右:室内換気乾燥)。
【
図2】市販されている良質なスライスブクリョウ(雲南産)の外観を示す図である。
【
図3】参考例1で乾燥に失敗した乾燥後の菌床栽培ブクリョウの外観を示す図である(左:急激な乾燥でひび割れたブクリョウ、中:温度・湿度調整不足でカビの生えたブクリョウ、右:温度・湿度調整不足で変色したブクリョウ)。
【
図4】実施例1における水分率と乾燥日数との関係を示す図である。
【
図5】実施例2で乾燥後のブクリョウの外観を示す図である(左:菌床栽培、右:原木栽培)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の乾燥ブクリョウの製造方法(以下、「本発明製法」という)は、ブクリョウを、6~10質量%/日の水分減少率で、ブクリョウの水分率が28質量%以下となるまで緩慢に乾燥させることを特徴とするものである。
【0018】
ブクリョウは、もろく、柔らかい性質を持つため、急激に水分率を低下させるような乾燥を行った場合には、硬度が低く、細かく壊れ、商品価値が低くなる。よって、水分率の減少が緩やかになるような、緩慢な乾燥を行うことで、ブクリョウの性状を保ちながら乾燥することができる。
【0019】
本発明製法に用いられるブクリョウは、自然から収穫されたものでも、原木栽培、菌床栽培等で栽培されたものの何れでも良い。また、ブクリョウの形状も特に限定されず、例えば、ブクリョウそのもの、スライスブクリョウ、スライスブクリョウを更に細かくしたブロックブクリョウ等が挙げられる。スライスブクリョウとしては、例えば、乾燥前で厚さは乾燥前で30mm以下、好ましくは15~20mmに切断したスライスブクリョウ等が挙げられる。また、ブロックブクリョウとしては、例えば、乾燥前で1辺8~20mmの立方体状のものが挙げられる。スライスブクリョウは、ブロックブクリョウに比べて加工工程が少なく、また、ブクリョウの性状が確認しやすい。一方、ブロックブクリョウは、ブクリョウそのもの、また、スライスブクリョウに比べ体積が小さくなることから、乾燥時間を短くすることができる。
【0020】
本発明製法において、水分減少率は、1日毎のブクリョウのハロゲン水分計等の水分計により求めてもよいし、質量を測定してそれから算出してもよい。
【0021】
また、本発明製法における乾燥が、上記水分減少率を満たしているかどうかは、例えば、乾燥日数Xの時のブクリョウの水分率Yが下記数式1を満たしていることにより確認することができる。なお、式中Aは乾燥前のブクリョウの水分率である。
【数1】
【0022】
このような水分減少率でブクリョウを乾燥させる方法は、特に限定されないが、例えば、送風機を備え、温度、時間、送風の連続・間欠(送風と無風を交互に行う)等を調節できる乾燥機を利用することで行うことができる。このような乾燥機を用いて連続で送風する場合には、送風の温度を考慮しながら送風の風速を調節することで、上記水分減少率を達成することができ、間欠で送風する場合には、送風の温度を考慮しながら送風の風速を調節し、更に送風と無風の間隔を調節することで、上記水分減少率を達成することができる。
【0023】
送風の温度は特に限定されないが、例えば、5~50℃、好ましくは15~30℃である。また、送風の風速は特に限定されないが、例えば、0.1~2m/s、好ましくは0.2~1m/sである。この時、送風がブクリョウに直接あたることが好ましい。なお、間欠で送風する場合には、送風と無風の間隔は30分~3時間、好ましくは1時間~2時間である。
【0024】
なお、本発明製法において、ブクリョウは、脆いため重ねず、エビラと呼ばれるブクリョウを平置きできる棚等に並べて乾燥させることが好ましい。また、このエビラは多段としてもよい。
【0025】
ところで、ブクリョウの乾燥は、ブクリョウの表面を乾燥させる乾燥工程と、ブクリョウの表面にブクリョウ内部の水分をにじみ出させる発汗工程とを繰り返すことで、より効果的にブクリョウの内部まで乾燥させることができるため、間欠で送風することが好ましい。なお、天日干しの場合には、天然の風の間欠により、ブクリョウの乾燥と発汗とを行うが、天候に左右されるため、乾燥に時間がかかったり、常に性状の良い乾燥ブクリョウを製造するのが困難であったが、上記のような緩慢な乾燥における間欠での送風は、上記乾燥工程と発汗工程の両方に寄与するため、常に性状のよい乾燥ブクリョウを製造することが可能となる。これにより、黒ずみやカビが生じにくく、硬度が高い乾燥ブクリョウが得られる。
【0026】
本発明製法において、上記水分減少率でブクリョウを乾燥させる際には、湿度勾配を設けることが好ましい。湿度勾配としては、例えば、90%~20%、好ましくは70%~40%が挙げられる。このように湿度勾配(湿度調節)を設けることで、乾燥初めには恒温恒湿槽を高湿度な状態とし、乾燥を進めるにつれ、低湿度とする。これにより、ブクリョウの水分率に合わせた外部環境を作ることが可能となり、より緩慢な乾燥が可能となる。
【0027】
本発明製法においては、上記水分減少率でブクリョウの水分率を28質量%以下となるまで乾燥させるが、好ましくは25質量%以下、より好ましくは10~25質量%となるまで乾燥させる。
【0028】
上記のようにブクリョウの水分率が上記以下になった後は、更に、10~20質量%/日、好ましくは14~18質量%/日の水分減少率で、最終的な製品となるブクリョウの水分率が20質量%以下、好ましくは16質量%以下となるまで乾燥(いわゆる追乾燥)を行うことが茯苓表面の黒ずみの発生や、カビの発生を低減する点から好ましい。
【0029】
上記追乾燥を行うと、さらに水分率が低下し、保存に耐えうるブクリョウとなる。緩慢な乾燥を経たブクリョウは、水分率が低下している。追乾燥として、緩慢な乾燥に比べ温度が高い乾燥条件を実施しても、もろくならず、短期間で乾燥させることができる。なお、追乾燥は、上記した緩慢な乾燥における条件を適宜選択して行えばよい。
【0030】
本発明製法において、全ての乾燥は8日間以内、好ましくは、スライスブクリョウは4~7日、ブロックブクリョウは2~6日で終了させることが、コストの点から好ましい。
【0031】
上記したような(追乾燥も含めた)緩慢な乾燥を行える乾燥機としては、例えば、DEL1-TS11T(兼八産業製)、PR-3KP(エスペック製)等の湿度調節が行える、恒温恒湿槽が利用できる。上記したDEL1-TS11T(兼八産業製)は、エビラ、操作盤、送風機、温湿度計等を備えている。また、PR-3KP(エスペック製)は、エビラ、操作盤、送風機、温湿度計等を備えている。
【0032】
本発明製法は、同じ操作でブクリョウの乾燥方法となることは言うまでもない。
【0033】
本発明製法により、乾燥ブクリョウが得られる。この乾燥ブクリョウは、ブクリョウの乾燥により生じるカビ、変色、ひび割れ等の品質低下を抑制し、ブクリョウの性状を損なうことがない。また、従来の天日干しの製法は、夜露による水分率の上昇や、発汗工程のため、夜間はブクリョウを保管庫に保管し、日中は天日にさらす、といった出し入れの作業が必要であったが、本発明製法によると、乾燥が終了するまでブクリョウを触ることが不要であり、乾燥作業の省人化が図れる。
【0034】
特に菌床栽培のブクリョウを乾燥させた乾燥ブクリョウは、以下の性質(a)~(b)
(a)水分率が20質量%以下
(b)ロードセル法で測定される硬度が60N以上
の少なくともいずれかを有する。この乾燥ブクリョウは従来の菌床栽培のブクリョウと、特に硬度の点で異なり、ひび割れ、カビ、黒ずみ等の改善を図るものである。
【0035】
上記性質のうち、(a)水分率は20質量%以下、好ましく6~16質量%以下である。この水分率は、ハロゲン水分計で測定される値である。
【0036】
上記性質のうち、(b)ロードセル法で測定される硬度は60N以上、好ましくは70N以上である。硬度の上限は約300Nである。この硬度を測定できる装置としては、例えば、ロードセル式卓上硬度計デスクトップチェッカー等が挙げられる。
【0037】
この乾燥ブクリョウは、従来のブクリョウと同様に、利尿作用、健脾(けんひ)、滋養、鎮静、血糖降下等の効果を有するため、例えば、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)釣藤散(ちょうとうさん)、茯苓飲(ぶくりょういん)、五苓散(ごれいさん)、小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、六君子湯(りっくんしとう)当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、四君子湯(しくんしとう)、八味地黄丸(はちみじおうがん)等の漢方処方に利用される。
【実施例0038】
以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明するが本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0039】
参 考 例 1
ブクリョウの乾燥:
ブクリョウを乾燥前に厚さ15mmにスライスしたスライスブクリョウを、表1の条件で天日あるいは室内(換気)で乾燥させた。乾燥後の水分率と硬度をそれぞれハロゲン水分計およびロードセル式卓上硬度計で測定した結果も表1に記載した。水分率、硬度はいずれも平均値である。また、乾燥後の性状も表1に記載した。乾燥後の外観を
図1に示した。また、参考までに良質なスライスブクリョウ(雲南産:厚さ10mm)の外観を
図2に示した。
【0040】
【0041】
このようにスライスブクリョウは、天日干し乾燥では一部でカビが発生し、室内換気乾燥では脆く、表面がざらざらであった。一方、市販されている原木栽培の良質なスライスブクリョウは、表面が滑らかでカビや変色が無く、良好な性状であった。
【0042】
なお、予備試験により、ブクリョウは例えば50℃以上で1日で乾燥させるといった、急激な乾燥ではひび割れを起こし、温度・湿度の調整不足であるとカビが生えたり、変色することがわかっている(
図3)。
【0043】
実 施 例 1
ブクリョウの乾燥:
菌床栽培ブクリョウを厚さ15mmにスライスしたスライスブクリョウをエビラに載せ、表2に記載の恒湿恒温槽および乾燥方法を用いて乾燥させた。全ての送風の風量は0.1~1m/sとした。また、乾燥方法NO.6の間欠送風は運転:停止=2:1時間を24時間を繰り返し行った。乾燥方法NO.7の間欠送風は運転:停止=1:1時間を72時間、その後運転:停止=2:1時間を48時間行い、その後50℃追乾燥を運転:停止=1:2時間を12時間、その後、運転:停止=1:1時間を12時間で行った。表3に結果を示したひび割れ率、カビ率、黒ずみ率、30℃LED照射後黒ずみ率は以下のようにして測定(評価)された。なお、30℃LED照射後黒ずみ率とは、乾燥ブクリョウを長期保管した状態を模した保管方法であり、粉割れ、通常黒ずみが増すことが分かっている。また、硬度については参考例1と同様の測定を行った。実施例1における水分率と乾燥日数との関係を
図4に示した。
【0044】
<ひび割れ率>
乾燥させたスライスしたブクリョウの総数の内、割れているスライスしたブクリョウの割合。
<カビ率>
乾燥させたスライスしたブクリョウの総数の内、カビが生えているスライスしたブクリョウの割合。
<黒ずみ率>
乾燥させたスライスしたブクリョウの総数の内、黒ずみがあるスライスしたブクリョウの割合。
<30℃LED照射後黒ずみ率>
LED(照度:1800Lx)を備えた庫内に、乾燥させたスライスしたブクリョウ片を入れ、LED照射下、30℃で3日間以上保管した後、ブクリョウ片の総数の内、黒ずみがある片の割合。
【0045】
【0046】
【0047】
この結果から、ブクリョウを、6~10質量%/日の水分減少率で、ブクリョウの水分率が28質量%以下となるまで乾燥させることにより使用に耐えうる乾燥ブクリョウが得られることが分かった(乾燥方法NO.6:7.6質量%/日、NO.7:7.3質量%/日(水分率が22.8質量%となった後16.0質量%/日で追乾燥)、NO.8:9.7質量%/日)。特にブクリョウの水分率が28質量%以下となるまで乾燥させた後、更に10~20質量%/日の水分減少率でブクリョウの水分率が16質量%以下となるまで追乾燥を行うことにより、より良い乾燥ブクリョウが得られることが分かった(乾燥方法NO.7)。また、乾燥の際の温度が8℃では15℃よりも乾燥日数が長くなり、また、乾燥も不十分になることも分かった。
【0048】
実 施 例 2
スライスブクリョウの乾燥:
菌床栽培または原木栽培ブクリョウを厚さ15mmにスライスしたスライスブクリョウをエビラに載せ恒湿恒温槽(DEL1-TS11T(兼八産業製))を用い、実施例1の表3の乾燥方法NO.7の条件で乾燥させた。これらの外観を
図5に示した。また、これらについて水分率、硬度を測定した。その結果を表4に示した。また、比較として、参考例1の乾燥ブクリョウの測定値もあわせて記載した。
【0049】
【0050】
この結果より、本発明製法によれば、菌床栽培あるいは原木栽培のブクリョウのいずれでも良質な乾燥ブクリョウが得られることが分かった。また、特に菌床栽培のブクリョウを乾燥させた乾燥ブクリョウは、従来の乾燥ブクリョウに比べ、水分率が低く、硬度が高くなり、カビや表面の凹凸が抑えられ、良質なブクリョウなった。
【0051】
実 施 例 3
ブロックブクリョウの乾燥
菌床栽培または原木栽培ブクリョウを一辺が10mm~12mmのブロック状になるようにカットしたブロックブクリョウをエビラに載せ恒湿恒温槽(DEL1-TS11T(兼八産業製))を用い、実施例1の表3の乾燥方法NO.7の条件で乾燥させた。また、これらについて水分率、硬度を測定した。その結果を表5に示した。また、比較として、原木栽培ブクリョウの天日干しの測定値もあわせて記載した。
【0052】
【0053】
この結果より、本発明製法によれば、菌床栽培あるいは原木栽培のブロック状のブロックブクリョウのいずれでも良質な乾燥ブクリョウが得られることが分かった。また、特に原木栽培のブロックブクリョウを乾燥させた乾燥ブロックブクリョウは、従来の天日干しの乾燥ブロックブクリョウよりも硬度が高く仕上がる傾向にあることが分かった。