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特開2023-47319気象レーダーのためのノイズ除去装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047319
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】気象レーダーのためのノイズ除去装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/95 20060101AFI20230329BHJP
   G01S 7/36 20060101ALI20230329BHJP
   G01W 1/00 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
G01S13/95
G01S7/36
G01W1/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146931
(22)【出願日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0126551
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522367229
【氏名又は名称】大韓民国気象庁
【氏名又は名称原語表記】Korea Meteorological Administration
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】オ ヨンア
(72)【発明者】
【氏名】キム へリム
(72)【発明者】
【氏名】ソク ミギョン
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AE13
5J070AF01
5J070AK28
5J070AK35
5J070BG06
(57)【要約】
【課題】観測情報における正確性を高めるように支援する気象レーダーのためのノイズ除去装置および方法を提供する。
【解決手段】気象レーダーから送信した電波以外の他の外部電波が気象レーダーに受信され発生する電波干渉によるノイズである電波干渉エコーを正常的な気象測定による気象エコーと仕分けてノイズとして検出し、前記電波干渉エコーを除去することができる気象レーダーのためのノイズ除去装置および方法に関する。本発明は、気象レーダーに気象レーダーから送信した電波ではない外部電波が受信され、前記気象レーダーから送信した電波が目標物に反射して受信された反射波と外部電波とお互いに電波干渉によって、気象レーダーのエコー信号に基づいて生成した観測情報に発生する非正常的な電波干渉エコーを正常的な気象関連のエコーと仕分けて正確に検出し、これを効果的に除去して、観測情報における正確性を高めるように支援する効果がある。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノイズ除去装置の気象レーダーのためのノイズ除去方法において、
前記気象レーダーから受信したエコー信号を基にして前記エコー信号に対応するエコーが含まれた一つ以上の観測情報を含む資料情報を生成する資料生成段階と;
前記観測情報に含まれた複数の方位角のうち、一つ以上のエコーが存在する方位角ごとに方位角に対応する一つ以上のエコー別反反射率を平均した平均反射率を算出した後、前記平均反射率が予め設定した電波干渉の判別条件を満たす方位角である関心方位角の個数を算出する方式で、前記一つ以上の観測情報ごとに前記関心方位角の個数を算出して、前記一つ以上の観測情報別の前記関心方位角の個数を電波干渉の発生の可否の判断のための予め設定した基準と比べて、前記資料情報における電波干渉の発生の可否を判断する判断段階;および
前記判断段階を介して前記資料情報に電波干渉が発生した場合、前記資料情報に含まれた一つ以上の観測情報ごとに前記観測情報に含まれた方位角の各々において、方位角に対応する一つ以上のエコー別の差分反射率を平均した平均差分反射率を算出して、前記方位角別の平均差分反射率を基に、前記観測情報から電波干渉可能区間を設定し、前記電波干渉可能区間に含まれる複数の格子を対象に予め設定した臨界条件を適用して、電波干渉によって発生したエコーである電波干渉エコーが格子内に含まれた場合、前記電波干渉エコーを除去する除去段階と、を含む
気象レーダーのためのノイズ除去方法。
【請求項2】
前記エコーは、前記エコー信号に対応する目標物の位置、前記目標物に対応する方位角、前記目標物に対応する高度角、前記目標物に対応する反射率および前記目標物に対応する差分反射率を含むデータからなることを特徴とする
請求項1に記載の気象レーダーのためのノイズ除去方法。
【請求項3】
前記判断段階は、
によって前記平均反射率
を算出して、
前記Zは反射率であって、rは観測半径であって、前記rmaxは最大観測半径であって、前記θは方位角であって、前記φは高度角であることを特徴とする
請求項1に記載の気象レーダーのためのノイズ除去方法。
【請求項4】
前記判断段階は、
前記観測情報に含まれた複数の方位角各々において、
前記観測情報から前記方位角に対応する全ての領域を対象に算出した前記平均反射率である
が予め設定した電波干渉の判別条件による第1条件である
を満たすか、
前記観測情報から前記方位角に対応する領域のうち、視線速度が存在しない領域を対象に算出した前記平均反射率である
が予め設定した電波干渉の判別条件による第2条件である
を満たすか判断して、前記第1条件、または、前記第2条件を満たす方位角ごとに前記電波干渉エコーが存在する関心方位角として判断することを特徴とする
請求項3に記載の気象レーダーのためのノイズ除去方法。
【請求項5】
前記判断段階は、前記資料情報が前記一つ以上の高度角と各々対応する前記一つ以上の観測情報を含む場合、前記一つ以上の観測情報のうち、少なくとも一つに含まれた前記関心方位角の個数が3個を超過すると、前記資料情報に電波干渉が発生したと判断し、前記資料情報が前記ボリューム情報である観測情報を含む場合、前記観測情報に含まれた関心方位角の個数が5個を超過すると、前記資料情報に電波干渉が発生したと判断することを特徴とする
請求項1に記載の気象レーダーのためのノイズ除去方法。
【請求項6】
前記観測情報は、観測半径、高度角および方位角と仕分けられる複数の格子を含み、
前記除去段階は、
前記観測情報から方位角ごとに
によって前記平均差分反射率である
を算出して、
前記rは観測半径であって、前記θは方位角あって、前記φは高度角であって、前記nは前記観測情報で前記平均差分反射率の算出に用いられる格子の個数であることを特徴とする
請求項1に記載の気象レーダーのためのノイズ除去方法。
【請求項7】
前記除去段階は、
前記観測情報に含まれた一つ以上の方位角ごとに前記方位角の平均差分反射率が降水範囲として予め指定された値の75%で算出される観測半径から前記方位角に対応する前記観測情報の最大観測半径までの区間を前記方位角に対応する電波干渉可能区間として設定することを特徴とする
請求項1に記載の気象レーダーのためのノイズ除去方法。
【請求項8】
前記除去段階は、
前記一つ以上の方位角と各々対応する一つ以上の電波干渉可能区間ごとに電波干渉可能区間に含まれた複数の格子各々において、
前記臨界条件による
を満たすか、
前記臨界条件による
を満たす格子に前記電波干渉エコーが含まれたと判断して、前記電波干渉エコーが含まれた格子から前記電波干渉エコーを除去して、
前記ZDRは格子に含まれたエコーの差分反射率であって、前記Vは格子に含まれたエコーの視線速度であることを特徴とする
請求項7に記載の気象レーダーのためのノイズ除去方法。
【請求項9】
気象レーダーから受信したエコー信号を基にして前記エコー信号に対応するエコーが含まれた一つ以上の観測情報を含む資料情報を生成する資料生成部と;
前記観測情報に含まれた複数の方位角のうち、一つ以上のエコーが存在する方位角ごとに方位角に対応する一つ以上のエコー別反反射率を平均した平均反射率を算出した後、前記平均反射率が予め設定した電波干渉の判別条件を満たす方位角である関心方位角の個数を算出する方式で、前記一つ以上の観測情報ごとに前記関心方位角の個数を算出して、前記一つ以上の観測情報別の前記関心方位角の個数を電波干渉の発生の可否の判断のための予め設定した基準と比べて、前記資料情報における電波干渉の発生の可否を判断する判断部;および
前記資料情報に電波干渉が発生した場合、前記資料情報に含まれた一つ以上の観測情報ごとに前記観測情報に含まれた方位角の各々において、方位角に対応する一つ以上のエコー別の差分反射率を平均した平均差分反射率を算出して、前記方位角別の平均差分反射率を基に、前記観測情報から電波干渉可能区間を設定し、前記電波干渉可能区間に含まれる複数の格子を対象に予め設定した臨界条件を適用して、電波干渉によって発生したエコーである電波干渉エコーが格子内に含まれた場合、前記電波干渉エコーを除去する除去部と、を含む
気象レーダーのためのノイズ除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気象レーダーのためのノイズ除去装置および方法に関する。より詳しくは、気象レーダーから送信した電波以外の他の外部電波が気象レーダーに受信され発生する電波干渉によるノイズである電波干渉エコーを正常的な気象測定による気象エコーと仕分けてノイズとして検出し、前記電波干渉エコーを除去することができる気象レーダーのためのノイズ除去装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気象レーダー(以下、レーダー)は、電波(電磁波、または、パルス、または、レーダービーム)を送信して、目標物である雨や雪粒子(水象)に反射して戻った信号の受信電力と受信時間を介して観測体積(sampling volume)内の目標物の平均反射強度と位置を測定する装備である。
【0003】
前記気象レーダーは、アンテナを0~360度の方位角と0~90度の高度角を変化させ観測することによって、極座標系(polar coordination)の形式で大気の三次元(ボリューム)的な状態を観測することができる。
【0004】
こうした気象レーダーは、電波を送信した後、目標物に反射されて電波を受信する過程で、気象レーダーの近くに電波を送信する飛行機や他のレーダー装備などによって送信された外部電波が前記気象レーダーに受信されることがあり、これによって、前記外部電波により前記気象レーダーから送信した電波と電波干渉を発生させることがある。
【0005】
これによって、前記気象レーダーから提供する観測情報は、降水のような気象と関する目標物に反射された電波を基に生成した正常的な観測エコーのほかに、電波干渉による非正常エコーが前記観測情報に含まれて現れるようになる。
【0006】
これを図1ないし図3を参考にしてより詳しく説明すると、まず、図1に図示のように、電波干渉による電波干渉エコーは、一般的に外部ソースが存在することができる低層(低高度角)を観測する時、任意の一部方位角から主に観測される。こうした電波干渉エコーは、レーダーの極座標上観測する時、反射率(Z)、差分反射率(ZDR)の値が方位角の方向にいくらか一定の形態で現れて、差分反射率が反射率に比べて非常に高いか、相互相関係数(ρHV)が低くて通常的な降水での観測値の範囲を外れるため、レーダーの個別格子(極座標上の距離r、方位角θ、高度角φを有する観測点)単位の判別条件でも気象エコーである降水エコーと仕分け除去することが容易である。
【0007】
視線速度(V)が電波干渉エコーにおいて観測値がないという特徴があるが、降水エコーでも視線速度が一部損失するため、降水の誤除去を防ぐために正常的な観測状態の資料の品質を管理する時には、視線速度を判別条件として使わない。
【0008】
しかし、非正常的電波干渉が発生する時には、図2のように高い高度角まで無作為的な方向から様々な反射率の電波干渉エコーが探知されることがある。
こういった場合、図3に図示のように、相互相関係数と差分反射率の値が降水エコー範囲を含めて幅広く観測されるため、一般的な電波干渉エコーと違って降水エコーと全く仕分けることは難しい。
【0009】
また、こうした非正常的な電波干渉エコーは、海面、チャフ、異常伝播などの他の非気象エコーとも特徴が異なるため、非正常的な電波干渉エコーを降水エコーときちんと仕分けて除去するためには、特化した特性変数と判別条件が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1846294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、気象レーダーに気象レーダーから送信した電波ではない外部電波が受信され、前記気象レーダーから送信した電波が目標物に反射して受信された反射波と外部電波とお互いに電波干渉によって、気象レーダーのエコー信号を基にして生成した観測情報に発生する非正常的な電波干渉エコーを正常的な気象エコーと仕分けて正確に検出し、これを効果的に除去して、観測情報における正確性を高めるように支援することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施例によるノイズ除去装置の気象レーダーのためのノイズ除去方法は、前記気象レーダーから受信したエコー信号を基にして前記エコー信号に対応するエコーが含まれた一つ以上の観測情報を含む資料情報を生成する資料生成段階と、前記観測情報に含まれた複数の方位角のうち、一つ以上のエコーが存在する方位角ごとに方位角に対応する一つ以上のエコー別反反射率を平均した平均反射率を算出した後、前記平均反射率が予め設定した電波干渉の判別条件を満たす方位角である関心方位角の個数を算出する方式で、前記一つ以上の観測情報ごとに前記関心方位角の個数を算出して、前記一つ以上の観測情報別の前記関心方位角の個数を電波干渉の発生の可否の判断のための予め設定した基準と比べて、前記資料情報における電波干渉の発生の可否を判断する判断段階および前記判断段階を介して前記資料情報に電波干渉が発生した場合、前記資料情報に含まれた一つ以上の観測情報ごとに前記観測情報に含まれた方位角の各々において、方位角に対応する一つ以上のエコー別の差分反射率を平均した平均差分反射率を算出して、前記方位角別の平均差分反射率を基に、前記観測情報から電波干渉可能区間を設定し、前記電波干渉可能区間に含まれる複数の格子を対象に予め設定した臨界条件を適用して、電波干渉によって発生したエコーである電波干渉エコーが格子内に含まれた場合、前記電波干渉エコーを除去する除去段階とを含むことができる。
【0013】
本発明に関する一例として、前記エコーは、前記エコー信号に対応する目標物の位置、前記目標物に対応する方位角、前記目標物に対応する高度角、前記目標物に対応する反射率および前記目標物に対応する差分反射率を含むデータからなることを特徴とすることができる。
【0014】
本発明に関する一例として、前記判断段階は、
によって前記平均反射率
を算出して、前記Zは反射率であって、rは観測半径であって、前記rmaxは最大観測半径であって、前記θは方位角あって、前記φは高度角であることを特徴とすることができる。
【0015】
本発明に関する一例として、前記判断段階は、前記観測情報に含まれた複数の方位角の各々において、前記観測情報から前記方位角に対応する全ての領域を対象に算出した前記平均反射率である
が予め設定した電波干渉の判別条件による第1条件である
を満たすか、前記観測情報から前記方位角に対応する領域のうち、視線速度が存在しない領域を対象に算出した前記平均反射率である
が予め設定した電波干渉の判別条件による第2条件である
を満たすか判断して、前記第1条件、または、前記第2条件を満たす方位角ごとに前記電波干渉エコーが存在する関心方位角として判断することを特徴とする気象レーダーのためのノイズ除去方法。
【0016】
本発明に関する一例として、前記判断段階は、前記資料情報が前記一つ以上の高度角と各々対応する前記一つ以上の観測情報を含む場合、前記一つ以上の観測情報のうち、少なくとも一つに含まれた前記関心方位角の個数が3個を超過すると、前記資料情報に電波干渉が発生したと判断し、前記資料情報が前記ボリューム情報である観測情報を含む場合、前記観測情報に含まれた関心方位角の個数が5個を超過すると、前記資料情報に電波干渉が発生したと判断することを特徴とすることができる。
【0017】
本発明に関する一例として、前記観測情報は、観測半径、高度角および方位角と仕分けられる複数の格子を含み、前記除去段階は、前記観測情報から方位角ごとに
によって前記平均差分反射率である
を算出して、前記rは観測半径であって、前記θは方位角あって、前記φは高度角であって、前記nは前記観測情報で前記平均差分反射率の算出に用いられる格子の個数であることを特徴とすることができる。
【0018】
本発明に関する一例として、前記除去段階は、前記観測情報に含まれた一つ以上の方位角ごとに前記方位角の平均差分反射率が降水範囲として予め指定された値の75%で算出される観測半径から前記方位角に対応する前記観測情報の最大観測半径までの区間を前記方位角に対応する電波干渉可能区間として設定することを特徴とすることができる。
【0019】
本発明に関する一例として、前記除去段階は、前記一つ以上の方位角と各々対応する一つ以上の電波干渉可能区間ごとに電波干渉可能区間に含まれた複数の格子各々において前記臨界条件による
を満たすか、前記臨界条件による
を満たす格子に前記電波干渉エコーが含まれたと判断して、前記電波干渉エコーが含まれた格子から前記電波干渉エコーを除去し、前記ZDRは格子に含まれたエコーの差分反射率であって、前記Vは格子に含まれたエコーの視線速度であることを特徴とすることができる。
【0020】
本発明の実施例による気象レーダーのためのノイズ除去装置は、気象レーダーから受信したエコー信号を基にして前記エコー信号に対応するエコーが含まれた一つ以上の観測情報を含む資料情報を生成する資料生成部と、前記観測情報に含まれた複数の方位角のうち、一つ以上のエコーが存在する方位角ごとに方位角に対応する一つ以上のエコー別反反射率を平均した平均反射率を算出した後、前記平均反射率が予め設定した電波干渉の判別条件を満たす方位角である関心方位角の個数を算出する方式で、前記一つ以上の観測情報ごとに前記関心方位角の個数を算出して、前記一つ以上の観測情報別の前記関心方位角の個数を電波干渉の発生の可否の判断のための予め設定した基準と比べて、前記資料情報における電波干渉の発生の可否を判断する判断部および前記資料情報に電波干渉が発生した場合、前記資料情報に含まれた一つ以上の観測情報ごとに前記観測情報に含まれた方位角の各々において、方位角に対応する一つ以上のエコー別の差分反射率を平均した平均差分反射率を算出して、前記方位角別の平均差分反射率を基に、前記観測情報から電波干渉可能区間を設定し、前記電波干渉可能区間に含まれる複数の格子を対象に予め設定した臨界条件を適用して、電波干渉によって発生したエコーである電波干渉エコーが格子内に含まれた場合、前記電波干渉エコーを除去する除去部とを含むことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、気象レーダーに気象レーダーから送信した電波ではない外部電波が受信され、前記気象レーダーから送信した電波が目標物に反射して受信された反射波と外部電波とお互いに電波干渉によって、気象レーダーのエコー信号に基づいて生成した観測情報に発生する非正常的な電波干渉エコーを正常的な気象関連のエコーと仕分けて正確に検出し、これを効果的に除去して、観測情報における正確性を高めるように支援する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来技術による気象レーダーから発生する非正常的な電波干渉エコーを示した図面である。
図2】従来技術による気象レーダーから発生する非正常的な電波干渉エコーを示した図面である。
図3】従来技術による気象レーダーから発生する非正常的な電波干渉エコーを示した図面である。
図4】本発明の実施例による気象レーダーのためのノイズ除去装置の構成図である。
図5】本発明の実施例による気象レーダーのためのノイズ除去装置のノイズ除去方法におけるフローチャートである。
図6】本発明の実施例による気象レーダーのためのノイズ除去装置の観測情報におけるノイズ検出および除去関連の例示図である。
図7】本発明の実施例による気象レーダーのためのノイズ除去装置の観測情報におけるノイズ検出および除去関連の例示図である。
図8】本発明の実施例による気象レーダーのためのノイズ除去装置の観測情報におけるノイズ検出および除去関連の例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参考にして本発明の詳細実施例を説明する。
【0024】
図4は、本発明の実施例による気象レーダーのためのノイズ除去装置(以下、ノイズ除去装置)(100)における構成図である。
図示のように、前記ノイズ除去装置(100)は、気象レーダーと通信するための通信部(110)と、前記通信部(110)を介して前記ノイズ除去装置(100)からエコー信号を受信する制御部(130)および各種情報を保存する保存部(120)とを含めて構成することができる。
【0025】
ここで、前記制御部(130)は、前記ノイズ除去装置(100)の全般的な制御機能を行うことができて、前記制御部(130)のRAM、ROM、CPU、GPU、バスを含むことができて、RAM、ROM、CPU、GPUなどはバスを介してお互い連結することができる。
【0026】
また、前記通信部(110)および保存部(120)のうち、少なくとも一つが前記制御部(130)に含まれて構成することもあるのはもちろんのことであって、前記通信部(110)は、広く知られた様々な有無線通信方式を介して前記気象レーダーと通信することができる。
【0027】
また、前記気象レーダーは、大気に発射される電波(マイクロ波(Microwave)、または、レーダービーム(radar beam))を生成する送信機と、前記送信機から生成した電波を大気に発射して、目標物から反射された電波を受信するアンテナおよび前記目標物に反射されて前記アンテナを介して受信された電波を増幅させて、エコー(echo)信号として前記ノイズ除去装置(100)に伝送する受信機とを含めて構成することができて、他にも前記アンテナを保護するためのレードーム(radome)と送信電波と受信電波とが移動する導波管などを含めて構成することができる。
【0028】
ここで、前記エコー信号は、受信電波を基に前記受信機によって生成した信号を意味することがあるし、前記目標物は、雲、雨、雪、雹などのような様々な気象要素を含むことができる。
【0029】
また、降水のような気象と関連する目標物に反射された電波を基に前記気象レーダーが生成したエコー信号は、前記ノイズ除去装置(100)を介して生成した観測情報に降水エコーなどのようなエコーとして現れることになる。
【0030】
ここで、本発明で説明する観測情報に含まれるエコーは、前記制御部(130)で前記エコー信号をデジタル処理して生成したデータを意味することができて、前記観測情報は、前記エコーを含む予め設定した複数の格子を含むレーダースコープ(radarscope)画像からなることもある。ここで、前記レーダースコープ画像は、物理的レーダースコープに示される画像を意味するか、仮想のレーダースコープが含まれた画像を意味することもある。
【0031】
また、前記エコー信号は、前記エコー信号に対応する目標物の位置(座標)、前記目標物に対応する方位角、前記目標物に対応する高度角、前記目標物に対応するように測定された反射率、前記目標物に対応するように測定された差分反射率、前記目標物に対応するように測定された視線速度などの情報を含むことができて、前記エコー信号に基づいて生成した前記エコーもまた前記エコー信号と同一の情報を含むことができる。
また、前記エコーの一例として、降水エコー(また気象エコー)、雨(非)降水エコー(また非気象エコー)などのような様々なエコーが含まれることができる。
【0032】
前述の構成で、前記気象レーダーの電波を用いる気象測定過程で前記気象レーダーから送信した電波ではない外部電波が前記気象レーダーに受信されて、前記気象レーダーから送信した電波が目標物によって反射された反射波と前記外部電波との間に電波干渉が発生することができて、前記気象レーダーは、電波干渉によって発生した信号もまたエコー信号で生成することになる。
【0033】
こうした電波干渉によって発生したエコー信号は、観測情報に電波干渉エコーとして含まれて、こうした電波干渉エコーは、前述のように気象と関連する降水エコーの観測を難しくする。
【0034】
従って、こうした電波干渉エコーを降水エコーと仕分けて除去することが必要であるが、そのためのノイズ除去装置(100)の詳細構成を前述の構成を基に以下、図面を参考にして詳しく説明する。
【0035】
まず、図5は本発明の実施例による前記ノイズ除去装置(100)の動作フローチャートである。
これを図4に図示の前記ノイズ除去装置(100)の全般的な制御機能を行う制御部(130)の構成を基に詳しく説明する。
【0036】
まず、前記制御部(130)は、資料生成部(131)と、判断部(132)および除去部(133)とを含めて構成することができる。
まず、前記資料生成部(131)は、前記通信部(110)を介して前記気象レーダーからエコー信号を受信することができて、前記気象レーダーから受信したエコー信号を基にして前記エコー信号に対応するエコーが含まれた一つ以上の観測情報を含む資料情報を生成することができる(S1)。
【0037】
ここで、前記資料生成部(131)は、前記エコー信号をレーダースコープ、または、レーダースコープ関連の画像に示されるデータであるエコーで生成することができ、前記通信部(110)を介して前記気象レーダーから受信した複数のエコー信号と各々対応する複数のエコーが含まれた一つ以上の観測情報を生成することができる。
【0038】
また、前記資料生成部(131)は、特定時間、または、特定時間帯に受信された一つ以上のエコー信号を基にして前記一つ以上の観測情報を含む資料情報を前記特定時間、または、前記特定時間帯に対応するように生成することができる。
【0039】
また、前記資料情報は、一つ以上の高度角と各々対応する一つ以上の観測情報を含むか、全ての高度角におけるボリューム(volume)情報で構成された一つの観測情報を含むことができる。
【0040】
一例として、前記資料生成部(131)は、前記通信部(110)を介して受信される複数のエコー信号を基にして単一高度角に対応する観測情報を相違する複数の高度角ごとに生成し、前記複数の高度角と各々対応するように生成した複数の観測情報を含む資料情報を生成することができる。
【0041】
または、前記資料生成部(131)は、前記通信部(110)を介して受信される複数のエコー信号を基にして複数の相違する高度角別のエコー信号(またエコー)が一つの観測情報に含まれるボリューム情報で構成された観測情報を生成することができて、前記観測情報を含む資料情報を生成することができる。
【0042】
一方、前記判断部(132)は、前記資料生成部(131)から資料情報を受信することができる。
【0043】
また、前記判断部(132)は、前記観測情報に含まれた複数の方位角のうち、一つ以上のエコーが存在する方位角ごとに(方位角各々において)方位角に対応する一つ以上のエコー別の反射率を平均した平均反射率を算出した後、前記平均反射率が予め設定した電波干渉の判別条件を満たす方位角である関心方位角の個数を算出する方式で、前記一つ以上の観測情報ごとに前記関心方位角の個数を算出することができる(S2)。
【0044】
これにおける一例として、前記判断部(132)は、下記の数式1によって前記平均反射率
を算出することができる。
【0045】
[数式1]
【0046】
ここで、前記Zは反射率(エコーの反射率)であって、前記rは観測半径であって、前記rmaxは最大観測半径であって、前記θは方位角であって、前記φは高度角であることができる。
【0047】
また、前記観測半径および最大観測半径は、前記観測情報の中心を基準とする半径を意味することができる。
【0048】
即ち、前記判断部(132)は、非正常的電波干渉の発生有無を判断するために、特性変数として全高度角の各々から各方位角内の平均反射率を算出して、強い反射率を有する電波干渉方位角の数(関心方位角の個数)を算出することができる。
【0049】
そのため、前記数式1のように近距離で電波干渉エコーの反射率がいくらか弱化する特徴を反映して、観測半径(r)(または観測距離)において加重値を適用し、地形エコーでも高い反射率が観測されることがあるため、これを排除するために地形フィルターが適用された反射率(CZ)を用いる。ここで、資料の品質の低い距離2.5km内の資料は除外するのが好ましい。
【0050】
一方、前述の構成で、前記判断部(132)は、予め設定した前記電波干渉の判別条件を用いて前記関心方位角を識別することができるが、これを詳しく説明する。
【0051】
前記判断部(132)は、観測情報で特定方位角において前記特定方位角に対応する全ての領域を対象に前記数式1によって算出した前記平均反射率である
が予め設定した電波干渉の判別条件による第1条件(下記の数式2)を満たすか判断することができる。
【0052】
また、前記判断部(132)は、前記観測情報で前記特定方位角に対応する領域のうち、視線速度が存在しない領域を対象に前記数式1によって算出した前記平均反射率である
が予め設定した電波干渉の判別条件による第2条件(下記の数式3)を満たすか判断することができる。
【0053】
ここで、前記判断部(132)は、前記特定方位角に対応する一つ以上のエコーを基に前記観測情報で前記特定方位角に対応する領域のうち、視線速度が存在しない領域(また一つ以上の領域)を識別することができる。
【0054】
これによって、前記判断部(132)は、前記特定方位角において判断した結果、前記特定方位角に対応する全ての領域において算出した前記平均反射率が前記第1条件を満たすか、前記特定方位角に対応して、視線速度が存在しない領域を対象に算出した前記平均反射率が前記第2条件を満たす場合、前記特定方位角を電波干渉によって発生したエコーである電波干渉エコー(電波干渉によって発生したエコー信号に対応する電波干渉エコー)が存在する関心存方位角として判断することができる。
【0055】
[数式2]
【0056】
[数式3]
【0057】
また、前記判断部(132)は、前記観測情報に含まれた複数の方位角の各々において、前述の前記電波干渉の判別条件に基づいて前記特定方位角が関心方位角であるかの可否を判断する方式と同一の方式で、関心方位角であるかの可否を判断して、前記複数の方位角のうち、関心方位角に該当する方位角を識別することができる。
【0058】
即ち、毎方位角ごとに平均反射率を算出する時、資料使用条件によって二つの平均反射率
を算出し、各々において第1条件と第2条件を適用して、一つの条件であっても該当すれば電波干渉の方位角である関心方位角として判断する方式である。
【0059】
例えば、地形エコーや強い対流性降水エコーが観測される時にも、方位角平均反射率が60dBZ以上観測されることがあるが、強い(高い反射率)地形エコーは、方位角全体に現れなく、本発明では、地形フィルターが適用された反射率(CZ)を用いることによって地形エコーによる影響は排除した。
【0060】
対流性降水エコーは、方位角じゅう高い反射率で現れることがあるため、電波干渉エコーと誤断する素地があるが、本発明は、これを考えるために方位角の全体領域を用いる平均反射率
においては、降水から観測されることがある方位角平均反射率よりずっと大きい値の臨界値(>60dBZ)を適用する。
【0061】
しかし、高い臨界値は、中強度の電波干渉エコーの発生の判断が難しいという限界があるため、それを補うために視線速度がたいてい有効値を有することのできない電波干渉エコーと異なって、降水エコーの視線速度が一部損失を除いてたいてい有効値を有するという特性を用いて、本発明は、方位角において視線速度のない領域のみを用いる平均反射率
を追加に算出し、相対的に緩和した低い臨界値を適用することによって、中強度の電波干渉エコーも降水エコーと仕分けて判別ができるように動作することができる。
【0062】
前述したところの一例として、図6に図示のように、線形の強い対流性降水でも一方位角じゅう非常に高い反射率が観測されることがある。
このことを考えにいれるために、前記数式2のように方位角平均反射率における電波干渉の判別条件を降水エコーから出ることのない大きい値に定めるか、前記数式3のように電波干渉領域のみを限定して平均値を算出する二つの条件を適用して、前記平均反射率
による特定方位角における電波干渉エコーの存在可否を判断することができる。
なお、図6の内容は、参考図1を参照することでさらに明確に判るものである。
【0063】
前述の電波干渉の判別条件は、対流性降水システムの空間規模を考えて、レーダー観測半径が200km以上(または観測高度角が3.5°以上)であるレーダー資料に適用することができて、各条件の臨界値は、降水エコーからは出ることのない平均反射率値を反映して算定した。
【0064】
ここで、高度角が増加するほど、地球の曲率によって距離により観測高度が増加することによって、強い降水領域が観測される確率が低くなるため、高度角で臨界値を調整(緩和)して、高高度角の電波干渉方位角の探知率を高めようとした。また、雹のように非常に強い反射率極値(>60dBZ)が存在する一部降水領域が含まれる場合、特性変数
に意図する平均値特徴(電波干渉エコーが全距離区間で高い値を有する)が歪曲されることがあるため、反射率を平均する時、適切な上限値(例:
は62.5dBZ、
は52.5dBZ)を適用して、特性変数の汚染によって、誤判断しないように設定した。
【0065】
一方、前記判断部(132)は、前記一つ以上の観測情報別の前記関心方位角の個数を電波干渉の発生の可否を判断するために予め設定した基準と比べて、前記資料情報における電波干渉の発生の可否を判断することができる(S3)。
【0066】
一例として、前記判断部(132)は、前記資料情報が前記一つ以上の高度角と各々対応する前記一つ以上の観測情報を含む場合、前記一つ以上の観測情報のうち、少なくとも一つに含まれた前記関心方位角の個数が3個を超過すると、前記資料情報に電波干渉が発生したと判断することができる。
【0067】
または、前記判断部(132)は、前記資料情報が前記ボリューム情報である一つの観測情報を含む場合、前記観測情報に含まれた関心方位角の個数が5個を超過すると、前記資料情報に電波干渉が発生したと判断することができる。
【0068】
気象レーダー観測は、一般的に360°方位を1°の間合いで一平面を観測し、多くの高度角における観測を行って、極座標系の形で三次元大気における資料を収集する。
【0069】
また、気象レーダーは、9個の高度角におけるボリューム観測を5分の間合いで行って、前記ノイズ除去装置(100)は、各高度角単位(単一高度角であれば資料)で観測情報を処理するか、全体高度角において一つのボリューム資料として観測情報を処理することができる。ここで、本発明では、単一高度角に対応する観測情報で関心方位角の個数が3個を超過するか、ボリューム資料である観測情報で、全体高度角で関心方位角の個数が5個を超過する強い電波干渉方位が探知される場合に、該当時刻の資料情報を非正常的電波干渉エコーが発生した資料と判断するように定めることができる。
【0070】
ここで、前記判断部(132)は、特定資料情報に対応する関心方位角の個数(電波干渉方位角の数)が0と算出されると、前記特定資料情報を電波干渉エコーが発生しない情報と処理することができる。
【0071】
一方、前記除去部(133)は、前記判断部(132)と連動して、前記資料情報に電波干渉が発生した場合(S4)前記資料情報に含まれた一つ以上の観測情報ごとに前記観測情報に含まれた方位角の各々において、方位角に対応する一つ以上のエコー別の差分反射率を平均した平均差分反射率を算出して、前記方位角別の平均差分反射率を基に、前記観測情報から電波干渉可能区間を設定し、前記電波干渉可能区間に含まれる複数の格子を対象に予め設定した臨界条件を適用して、電波干渉によって発生したエコーである電波干渉エコーが含まれた格子を識別することができる(S5)。
【0072】
また、前記除去部(133)は、前記電波干渉エコーが含まれたと識別された格子ごとに格子内に含まれた前記電波干渉エコーを除去する機能を行うことができる(S6、S7)。
【0073】
即ち、前記除去部(133)は、前記資料情報に含まれた観測情報に含まれる複数の方位角の各々において、方位角に対応する一つ以上のエコー別の差分反射率を平均した平均差分反射率を算出した後、前記方位角ごとに算出された平均差分反射率を基に、前記観測情報で電波干渉が発生する可能性の高い電波干渉可能区間を設定した後、前記電波干渉区間に含まれる複数の格子を対象に予め設定した臨界条件を適用して、電波干渉エコーが格子内に含まれるか判断して、電波干渉エコーが含まれた場合、それを除去する機能を行って、前記資料情報に含まれた全ての観測情報を対象に前記機能を行うことができる。
【0074】
ここで、前記観測情報は、観測半径、高度角および方位角と仕分けられる複数の格子を含めて構成することができる。
これにおける一例として、前記除去部(133)は、前記観測情報で方位角ごとに下記の数式4によって平均差分反射率である
を算出することができる。
【0075】
[数式4]
【0076】
ここで、前記rは観測半径であって、前記θは方位角あって、前記φは高度角であって、前記nは前記観測情報で前記平均差分反射率の算出に用いられる格子の個数であることがある。
【0077】
また、前記除去部(133)は、前記観測情報に含まれた一つ以上の方位角ごとに前記方位角の平均差分反射率が降水範囲として予め指定された値の75%で算出される観測半径(r)から前記方位角に対応する前記観測情報の最大観測半径(rmax)までの区間を前記方位角に対応する電波干渉可能区間と設定することができる。
【0078】
即ち、前記除去部(133)は、前記観測情報に含まれた一つ以上の方位角の各々において、前記数式4を介して前記平均差分反射率が前記降水範囲で予め指定された値の75%になる観測半径を算出することができて、前記算出された観測半径と前記最大観測半径との間の区間を電波干渉可能区間と設定することができる。
【0079】
これを介して前記除去部(133)は、前記一つ以上の方位角と各々対応する一つ以上の電波干渉可能区間を前記観測情報に設定することができる。
ここで、前記降水範囲で予め指定された値は5dB未満である値のうち、いずれか一つと設定することができる。
【0080】
また、前記除去部(133)は、前記一つ以上の方位角と各々対応する一つ以上の電波干渉可能区間ごとに電波干渉可能区間に含まれた複数の格子各々において前記臨界条件による下記の数式5を満たすか、前記臨界条件による下記の数式6を満たす格子を識別して、前記識別した格子に前記電波干渉エコーが含まれたと判断して、前記識別した格子から前記電波干渉エコーを除去することができる。
【0081】
[数式5]
【0082】
[数式6]
【0083】
ここで、前記ZDRは格子に含まれたエコーの差分反射率であって、Vは格子に含まれたエコーの視線速度であることがある。
即ち、前記除去部(133)は、前記判断部(132)と連動して、資料情報に電波干渉が発生したと判断した場合、各々のレーダー観測格子(r、θ、φ)において追加的判別条件を適用して、除去することができる。
【0084】
一例として、図7に図示のように降水エコーと電波干渉エコーがともに観測される時には、追加的前記臨界条件を適用する時、降水エコーを誤判別して除去することがあるため、差分反射率の観測値が降水領域に比べて正(+)、または、負(-)で大きい値を有する電波干渉エコーの特性を用いて毎方位角の電波干渉可能区間(図7の差分反射率の画像の点線(または波線)~観測半径の端(rmax)まで)を決めて、該当区間においてのみ前記臨界条件を適用する方式で、除去部(133)が動作することができる。
なお、図7の内容は、参考図2を参照することでさらに明確に判るものである。
【0085】
ここで、各方位角での降水エコーの端地点(距離)が流動的に決定されるべきであり、前記除去部(133)は、前述の数式4のように10km距離区間における方位角の平均差分反射率値を算出し、その値が降水範囲(<5dB)の75%に該当する地点(距離r)からrmaxまでを電波干渉可能区間と定める。
【0086】
また、前記除去部(133)は、電波干渉可能区間を決定した後、差分反射率と視線速度を判別変数として用いる臨界条件を適用して、各々のレーダー観測点(観測情報の格子が電波干渉エコーであるか判断して、除去する。
【0087】
図8は、本発明の実施例によるノイズ除去装置(100)の電波干渉エコーにおける判別および除去の動作による結果を示した例示で、前記図3の正常観測状態の資料に最適化した既存のレーダー品質管理技術を適用する時、残留の電波干渉エコーを本発明による電波干渉エコーの判別に特化した特性変数と判別条件を介して降水エコーと効果的に仕分けて除去した結果を示す。
なお、図8の内容は、参考図3を参照することでさらに明確に判るものである。
【0088】
こうした正常・非正常観測状態において異なる資料の品質管理技術を適用する本発明の実施例によるノイズ除去装置(100)の動的資料処理技法は、正常観測の不必要で過度の降水エコー損失と非正常観測の電波干渉エコーの残留を解消し、レーダー資料の活用価値をさらに高めることができて、レーダーシステムの観測状態モニタリングとともにリアルタイムレーダー格子基盤の品質管理の性能を向上することによって現業支援技術として活用価値が高いメリットがある。
【0089】
前述のように、本発明は、気象レーダーに気象レーダーから送信した電波ではない外部電波が受信され、前記気象レーダーから送信した電波が目標物に反射して受信された反射波と外部電波とお互いに電波干渉によって、気象レーダーのエコー信号に基づいて生成した観測情報に発生する非正常的な電波干渉エコーを正常的な気象関連のエコーと仕分けて正確に検出し、これを効果的に除去して、観測情報における正確性を高めることができるように支援することができる。
【0090】
本発明の実施例らで説明した構成要素は、例えば、メモリなどの保存部(120)、プロセッサー、コントローラー、ALU(arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサー(digital signal processor)、マイクロコンピューター、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLU(programmable logic unit)、マイクロプロセッサーなどのハードウェア、命令セットを含むソフトウェアないしこれらの組合せ、または、命令(instruction)を行い応答することのできる他のいかなる装置のように、一つ以上の汎用コンピューター、または、特殊目的コンピューターを用いて具現することができる。
【0091】
前述の内容は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であるならば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で修正および変形が可能なはずである。従って、本発明に開示された実施例らは、本発明の技術事象を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術事象の範囲が限定されることはない。本発明の保護範囲は、次の特許請求の範囲によって解釈されるべきであって、それと同等な範囲内にある全ての技術事象は、本発明の権利範囲に含まれると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0092】
100:ノイズ除去装置
110:通信部
120:保存部
130:制御部
131:資料生成部
132:判断部
133:除去部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8