(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047321
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】コエンザイムQ10含有組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/122 20060101AFI20230329BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230329BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230329BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230329BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230329BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230329BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20230329BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20230329BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230329BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20230329BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20230329BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230329BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230329BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
A61K31/122
A61K47/36
A61K47/10
A61K9/20
A61K47/38
A61K47/26
A61K9/48
A61P9/04
A61P9/10
A61P21/04
A61P9/12
A61P9/10 101
A61P3/10
A61P35/00
A61P3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147560
(22)【出願日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2021155240
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】301049744
【氏名又は名称】日清ファルマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】牧田 美希
(72)【発明者】
【氏名】浅田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】前川 智宏
(72)【発明者】
【氏名】池本 裕之
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC11
4C076CC13
4C076CC15
4C076CC21
4C076DD38
4C076DD67
4C076EE30
4C076EE31
4C076EE38
4C076FF32
4C076FF36
4C076FF63
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB27
4C206ZA36
4C206ZA42
4C206ZA45
4C206ZA94
4C206ZB26
4C206ZC22
4C206ZC35
(57)【要約】
【課題】コエンザイムQ10を多く含みながら、錠剤やカプセル製剤の崩壊性が良く、吸収性に優れたコエンザイムQ10含有組成物を提供する。
【解決手段】オクテニルコハク酸澱粉とデキストリンからなる水溶性物質及びグリセリンを含有するコエンザイムQ10乳化物及び寒天を含有するコエンザイムQ10含有組成物であって、コエンザイムQ10を5~50質量%、寒天を10~50質量%含有し、コエンザイムQ10 と寒天の質量比が1:0.5~3である、前記コエンザイムQ10含有組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オクテニルコハク酸澱粉とデキストリンからなる水溶性物質及びグリセリンを含有するコエンザイムQ10乳化物及び寒天を含有するコエンザイムQ10含有組成物であって、コエンザイムQ10 を5~50質量%、寒天を10~50質量%含有し、コエンザイムQ10 と寒天の質量比が1:0.5~3である、前記コエンザイムQ10含有組成物。
【請求項2】
コエンザイムQ10 を5~35質量%、寒天を10~30質量%含有する、請求項1に記載のコエンザイムQ10含有組成物。
【請求項3】
コエンザイムQ10 と寒天の質量比が1:0.5~2である、請求項1又は2に記載のコエンザイムQ10含有組成物。
【請求項4】
コエンザイムQ10 と寒天の質量比が1:0.5~1である、請求項1~3のいずれか1項に記載のコエンザイムQ10含有組成物。
【請求項5】
コエンザイムQ10 と寒天の質量比が1:1~2である、請求項1~3のいずれか1項に記載のコエンザイムQ10含有組成物。
【請求項6】
さらに、マルトースを5~25質量%、セルロースを5~70質量%含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のコエンザイムQ10含有組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のコエンザイムQ10含有組成物を含有する錠剤。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載のコエンザイムQ10含有組成物を含有するハードカプセル製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コエンザイムQ10を含有するコエンザイムQ10含有組成物に関する。詳細には、コエンザイムQ10の安定性と吸収性に優れたコエンザイムQ10含有製剤を使用し、コエンザイムQ10を多く含みながら、製剤化した場合の崩壊性に優れ、吸収性の良いコエンザイムQ10含有組成物に関する。また、本発明は、前記コエンザイムQ10含有組成物を含有する崩壊性や吸収性に優れた錠剤及びハードカプセル製剤にも関する。特に、本発明の錠剤は、コエンザイムQ10を多く含みながら成形性に優れ、打錠障害やスティッキングなどの問題が生じない点でも優れている。
【背景技術】
【0002】
コエンザイムQ10は、ユビデカレノンまたは補酵素Q10とも呼ばれ、高等動物に存在する補酵素の1種である。コエンザイムQ10は、補酵素として生物活性をもつだけでなく、酸素利用効率を改善させる作用を有するビタミン様作用物質として知られ、エネルギー産生や抗酸化等の作用を有し、種々の健康機能に関与するとされている。
コエンザイムQ10は、臨床的に狭心症、心不全、虚血性心疾患、筋ジストロフィーの症状改善に用いられており、高血圧、動脈硬化、心臓病、糖尿病、癌等に効果があるとされ、疲労回復や運動機能回復等にも有効であると報告されている。
【0003】
このように、コエンザイムQ10は高い生理活性を有しており、もともと生体内に存在するものであるため、安全性も高い物質である。このため、コエンザイムQ10の摂取を目的として、錠剤やハードカプセル製剤等の種々のコエンザイムQ10含有製剤が市販されている。
【0004】
しかし、コエンザイムQ10は融点の低い親油性固体であって、水に難溶性であり、光や熱に対して不安定であって、しかも結晶性が高いため、その製剤化には困難性が伴う。例えば、コエンザイムQ10を高濃度で含有する錠剤の場合、打錠時にスティッキングなどの打錠障害が生じるなど、製剤化上の問題が生じる。また、コエンザイムQ10は脂溶性であることから、コエンザイムQ10を高濃度で含有する錠剤やハードカプセル製剤は崩壊性が低く、その結果、生体内への吸収が低くなるなどの問題がある。
【0005】
一方、錠剤等からコエンザイムQ10を摂取する場合、コエンザイムQ10の含有量が低いと、有効量のコエンザイムQ10の摂取のために大型の錠剤又は多数の錠剤を飲まなければならなくなり、効率的な摂取が困難になる。コエンザイムQ10の効率的な摂取のためには、錠剤中のコエンザイムQ10含有量をできるだけ高く安定したものとして、錠剤等を小型化することが望まれる。
【0006】
特許文献1及び特許文献2には、スティッキングなどの打錠障害の問題に対応するために、コエンザイムQ10と澱粉又はアルファ化澱粉を予め混合しておき、その後でその他の製剤用原料を混合するコエンザイムQ10配合組成物の製造方法において、予備混合後の工程において寒天及び/又はアラビアガムを混合することで、コエンザイムQ10を高含量配合しても、打錠障害やスティッキングなどの問題が生じることがなく、吸収性の良いコエンザイムQ10配合錠剤が得られることが開示されている。
【0007】
特許文献3には、コエンザイムQ10、オクテニルコハク酸澱粉とデキストリンからなる水溶性物質及びグリセリンを含有する水性液体中で乳化されたコエンザイムQ10含有組成物がコエンザイムQ10を高含有量で含むことができて、コエンザイムQ10の安定性およびバイオアベイラビリティーに優れ、コエンザイムQ10含有錠剤またはハードカプセル製剤に利用可能であることが示されている。
【0008】
しかしながら、本発明者らが、特許文献3に記載されたオクテニルコハク酸澱粉等で乳化されたコエンザイムQ10含有組成物を使用して、コエンザイムQ10をさらに効率的に摂取できるよう、コエンザイムQ10を高含有する小型錠剤またはハードカプセル製剤の製造を試みたところ、崩壊性や吸収性が十分ではなく、特に錠剤にした場合、打錠性が悪く、しかも製剤化後(打錠後)に経時的に硬度が上昇することで崩壊性が経時的にさらに悪化するという問題があることがわかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006-117626号公報
【特許文献2】特開2007-181441号公報
【特許文献3】特許第4842824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、コエンザイムQ10を多く含みながら、錠剤やハードカプセル製剤の崩壊性が良く、吸収性に優れたコエンザイムQ10含有組成物を提供することである。また、錠剤にしたときに打錠障害などの問題が生じることなく、成形性のよいコエンザイムQ10含有錠剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題は、以下のコエンザイムQ10含有組成物、ハードカプセル製剤及び錠剤によって解決することができる。
(1)オクテニルコハク酸澱粉、デキストリン及びグリセリンを含有するコエンザイムQ10乳化物及び寒天を含有するコエンザイムQ10含有組成物であって、コエンザイムQ10 を5~50質量%、寒天を10~50質量%含有し、コエンザイムQ10 と寒天の質量比が1:0.5~3である、前記コエンザイムQ10含有組成物。
(2)コエンザイムQ10 を5~35質量%、寒天を10~30質量%含有する、(1)に記載のコエンザイムQ10含有組成物。
(3)コエンザイムQ10 と寒天の質量比が1:0.5~2である、(1)又は(2)に記載のコエンザイムQ10含有組成物。
(4)コエンザイムQ10 と寒天の質量比が1:0.5~1である、(1)~(3)のいずれかに記載のコエンザイムQ10含有組成物。
(5)コエンザイムQ10 と寒天の質量比が1:1~2である、(1)~(3)のいずれかに記載のコエンザイムQ10含有組成物。
(6)さらに、マルトースを5~25質量%、セルロースを5~70質量%含有する、(1)~(5)のいずれかに記載の組成物。
(7)(1)~(6)のいずれかに記載のコエンザイムQ10含有組成物を含有する錠剤。
(8)(1)~(6)のいずれかに記載のコエンザイムQ10含有組成物を含有するハードカプセル製剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコエンザイムQ10含有組成物は、コエンザイムQ10を多く含み、錠剤やハードカプセル製剤にしたときの崩壊性が良いため、生体吸収性に優れた製剤を提供することができる。また、錠剤化のための製造時にスティッキングなどの打錠障害が少なく、製剤の成形性の点でも優れている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(コエンザイムQ10)
本発明で用いられるコエンザイムQ10は、生体から抽出されたものや、合成法で製造されたもの、発酵法で製造されたもの等、公知の手段で得られたものが特に制限なく利用できる。本発明のコエンザイムQ10含有組成物中のコエンザイムQ10の配合量は5~50質量%、好ましくは5~35質量%、より好ましくは5~20質量%である。コエンザイムQ10の配合量が50質量%を超えると、成形性や崩壊性が悪くなる。一方でコエンザイムQ10を少なくすると、その効果が得られにくくなる。
【0014】
本発明では、コエンザイムQ10は、オクテニルコハク酸澱粉、デキストリン及びグリセリンと混合して乳化処理されたコエンザイムQ10乳化物として配合される。
【0015】
コエンザイムQ10乳化物は、コエンザイムQ10、オクテニルコハク酸澱粉、デキストリン及びグリセリンを混合し、高速撹拌や剪断処理等を行って、微細な粒子の乳化物を調製する。この際、コエンザイムQ10は室温では結晶であるため、加熱してコエンザイムQ10を溶解した状態で乳化するのが好ましい。例えば、コエンザイムQ10の融点より高い温度である45~90℃でコエンザイムQ10を溶解し、オクテニルコハク酸澱粉、デキストリン及びグリセリンを含む水溶性物質と混合し、次いで公知の手段、例えば高圧ホモジナイザーを使用して乳化物を調製してもよいし、上記水溶性物質を45~90℃の水溶液にしておき、ここにコエンザイムQ10を徐々に加えながら乳化物を調製してもよい。なお、乳化直後は乳化液の状態であるが、これを乾燥して粉末状にしてコエンザイムQ10乳化粉末として、以後の組成物製造に用いるのが好ましい。
【0016】
本発明において特に好適なコエンザイムQ10乳化粉末の例としては、例えば、特許文献3に記載された、コエンザイムQ10を、オクテニルコハク酸澱粉とデキストリンからなる水溶性物質及びグリセリンを含有する水性液体中で分散・乳化して、コエンザイムQ10 1~50質量%、グリセリン0.01~10質量%、水溶性物質4~30質量%及び水40~94質量%を含有するコエンザイムQ10含有液体組成物を乾燥して得られる粉末を挙げることができる。
【0017】
(寒天)
寒天は、紅藻海藻などのテングサ属の海藻を日光で漂白した後、温水で抽出、濾過、濃縮、乾燥した物質であり、主成分はアガロースやアガロペクチンなどの多糖類である。寒天は、無味、無臭の粉末状で、冷水、アルコールには不溶で、温水には徐々に溶けて液体になり、増粘剤、崩壊剤など、添加剤として食品に用いられている。
【0018】
本発明者らは、コエンザイムQ10乳化粉末に寒天を適切な量及び比率で配合すると、コエンザイムQ10含有組成物を用いて製造した製剤の崩壊性が向上し、吸収性がさらに向上し、崩壊性及び吸収性の良いコエンザイムQ10配合組成物を製造することができることを見出した。さらに、コエンザイムQ10乳化粉末に寒天を適切な量及び比率で配合したコエンザイムQ10含有組成物は、製剤化後の経時的な崩壊性悪化を抑制することができる点でも予想外の優位性があることを見出した。
【0019】
本発明のコエンザイムQ10含有組成物における寒天の配合割合は、コエンザイムQ10含有組成物100質量%中、10~50質量%、好ましくは10~30質量%である。配合量が少ないと崩壊性改善効果がみられない。多すぎると成形性が悪く、安定製造が難しくなったり、錠剤の損傷が発生しやすくなる。
また、本発明のコエンザイムQ10含有組成物におけるコエンザイムQ10 と寒天の質量は1:0.5~3であるが、1:0.5~2がより好ましく、1:0.5~1や1~2の範囲のものが、特に好ましく使用できる。本発明のコエンザイムQ10含有組成物をハードカプセルの形態にする場合には、コエンザイムQ10 と寒天の質量を1:0.5~1の範囲にしたものは、特に好ましい。
【0020】
寒天が適切な量及び比率で配合された本発明のコエンザイムQ10含有組成物には、マルトースやセルロースのような賦形剤を配合することが好ましいが、なかでも、マルトースを配合したものは、成形性の改善の点、特に経時的な崩壊性悪化を抑制する点で有利であることがわかった。
(マルトース)
本発明に用いるマルトースは、粉末状の市販品を特に制限なく使用することができる。好ましくは5~25質量%、より好ましくは15~20質量%の範囲で配合される。
(セルロース)
本発明に用いるセルロースは、粉末セルロース 結晶セルロース等、粉末状の市販品を特に制限なく使用することができる。好ましくは5~70質量%、より好ましくは20~30質量%の範囲で配合される。
【0021】
(製造方法)
本発明のコエンザイムQ10含有組成物の調製方法は特に制限されないが、例えば、上記コエンザイムQ10乳化粉末、寒天、マルトース、セルロース等を混合して粉末状の組成物を調製することができる。混合工程はコエンザイムQ10の融点を超えない温度、好ましくは品温50℃以下、さらに好ましくは40℃以下で行うと、コエンザイムQ10の安定性をさらに高めることができる。
上記の製造方法は、特許文献1及び特許文献2の方法で必要なコエンザイムQ10と澱粉やアルファ化澱粉との予備混合工程を必要としないので、製造工程を効率化することができる。
【0022】
粉末状の組成物を調製する際には、さらに効果を損なわない範囲において、通常飲食品に配合される任意の成分を加えることができる。例えば、賦形剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、光沢剤、安定剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤、着色料、香料、添加剤、甘味料、酸味料、その他の有効成分(生理活性成分)などを挙げることができる。
【0023】
任意の成分の中で、例えば賦形剤としては、乳糖、精製白糖、マンニトール、ソルビトール等の糖や糖アルコール、コーンスターチ、ばれいしょ澱粉、タピオカ澱粉、澱粉加水分解物、酸化澱粉等の澱粉や変性澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム等の無機塩など、結合剤としては、アラビアゴム、アルギン酸、ポビドン、グァーガム、澱粉、変性澱粉など、流動化剤としては、二酸化ケイ素、タルクなど、滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどを特に際限なく挙げることができる。これらの助剤は、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
(製剤化)
本発明のコエンザイムQ10含有組成物は、様々な形態の製剤とすることができるが、通常は粉末剤、顆粒剤、錠剤、ソフトカプセル又はハードカプセルの形態が好ましく、錠剤又はハードカプセルの形態は特に好ましい。
【0025】
本発明のコエンザイムQ10含有組成物を錠剤の形態とする場合、上記のようにして得られた粉末状の組成物を、常法に従って打錠することで製造することができる。
【0026】
本発明のコエンザイムQ10含有組成物をハードカプセルの形態とする場合、上記のようにして得られた粉末状の組成物又は顆粒状の組成物を、常法に従ってハードカプセルに充填して製造することができる。ハードカプセルの基材は特定のものに限定されるものでなく、一般に使用されているアルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチン等の動物性原料皮膜やHPMC、プルラン、カラギーナン等の植物性原料皮膜を適宜用いることができる。
【0027】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例0028】
(実施例1~6、比較例1~3)
(試料調製方法)
表1に記載の流動性改善剤と滑沢剤(滑沢剤等)以外の粉体原料を30メッシュの篩で篩過して混合後、流動性改善剤と滑沢剤を混合し、卓上型ロータリー式打錠機PIKKOLA-NOVA B-10(エステック製)を用いて回転数10rpm、打錠圧5000N目標で1粒あたり300mgの錠剤を製造した。
【0029】
実施例1~6及び比較例1~3において使用したコエンザイムQ10含有組成物の錠剤に含まれる成分及び実施例及び比較例の結果を表1に示した。実施例及び比較例におけるコエンザイムQ10含有組成物の成分として使用した原料は以下の通りである。
【0030】
(原料)
・コエンザイムQ10乳化粉末(アクアQ10P40、CoQ10含量40%、日清ファルマ製) オクテニルコハク酸澱粉とデキストリン及びグリセリンを含有するコエンザイムQ10の乳化物の粉末
・寒天(崩壊用精製寒天、伊那食品工業製)
・口腔内崩壊錠用セルロース(セオラスOD-20、旭化成製)
・部分α化澱粉(PCS FC-50、旭化成製)
・還元麦芽糖水飴(アマルティMR-100、三菱商事ライフサイエンス製)
・マルトース(サンマルトミドリ、サンマルトS、林原製)
・セルロース(KCフロックW-100、日本製紙製、セオラスUF-F702、セオラスST-100、旭化成製)
・滑沢剤 ステアリン酸カルシウム(太平化学工業製)
・流動性改善剤 二酸化ケイ素(サイロページ720、富士シリシア化学製)
【0031】
(評価方法)
・成形性
打錠時の成形性については、以下の基準によって評価した。
◎:打圧適正、打圧変動なし(±1000N以下)、打錠障害(キャッピング、スティッキング)なし
○:低打圧(3000N以下)、打圧変動、打錠障害(キャッピング、スティッキング)のいずれか1つ発生
△:低打圧(3000N以下)、打圧変動、打錠障害(キャッピング、スティッキング)いずれか2つ以上発生
【0032】
・崩壊性
打錠後、室温で1日間保存後の崩壊性を、「第十八改正日本薬局方」の「一般試験法」の「6.09崩壊試験法」に従って測定した。また、実施例1~4、比較例1、3において製造した錠剤をアルミ袋内に密封して、室温にて表に記載の期間保管した後、崩壊性を評価した。なお、錠剤の場合、崩壊時間30分以下であれば、崩壊性は良好と評価できる。
【0033】
【0034】
表1の結果は、崩壊剤として、セルロース、部分α化澱粉を用いた場合の崩壊性は悪かったが、寒天を用いた実施例では、成形性の良さを保ちながら、崩壊性が優れていることを示している。さらに、マルトースを配合した実施例1~4では、経時的な崩壊性悪化が抑制されていることも確認できる。
【0035】
(実施例7,比較例4,5)
3号プルランハードカプセル(カプスゲル製)内に、表2に示した成分を含むコエンザイムQ10含有組成物を封入して、ハードカプセル製剤を製造し、「第十八改正日本薬局方」の「一般試験法」の「6.09崩壊試験法」に従って崩壊時間を測定した結果を表2に示す。各成分として使用したエリスリトール結晶は三菱ケミカル製であり、他の成分は錠剤のときと同じである。ハードカプセルの場合、崩壊時間15分以下であれば、崩壊性は良好と評価できる。
【0036】
【0037】
表2の結果は、ハードカプセル製剤の場合も、崩壊剤として寒天を用いた実施例では、崩壊性に優れていることを示している。
【0038】
以上のことから、本発明のコエンザイムQ10含有組成物は、高含有量でコエンザイムQ10を含みかつバイオアベイラビリティー及び安定性に優れたオクテニルコハク酸澱粉、デキストリン及びグリセリンを含有するコエンザイムQ10乳化物を使用した場合にも、錠剤やハードカプセルの製剤形態にしても崩壊性が良く、吸収性に優れているので、コエンザイムQ10を効率的に摂取できる製剤とすることができる。