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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047364
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】太陽集熱器
(51)【国際特許分類】
   F24S 80/65 20180101AFI20230330BHJP
   F24S 10/70 20180101ALI20230330BHJP
【FI】
F24S80/65
F24S10/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156228
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】520246294
【氏名又は名称】株式会社SAI
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】谷川 巧
(57)【要約】
【課題】軽量化を図ることができるとともに、加熱された液体からの放熱を防止できるようにした太陽集熱器を提供する。
【解決手段】液体流入路21や分割流路22、液体排出路23で構成され、太陽光によって加熱される液体を内部に通すための液体流通部2と、該液体流通部2の側部に設けられるクッション性を有する断熱部材6と、液体流通部2を覆うように前記断熱部材6に密着して設けられ、前記断熱部材6の復元力や、張引部材82などによって張引される樹脂フィルム7とを備えて構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光によって加熱される液体を内部に通すための液体流通部と、
当該液体流通部の表面との間に断熱層を形成するように被覆する樹脂フィルムと、
当該樹脂フィルムを張引する張引手段と、
を設けるようにしたことを特徴とする太陽集熱器。
【請求項2】
前記張引手段が、当該液体流通部の少なくとも両側に設けられるクッション性を有する断熱部材を設けるとともに、当該断熱部材を覆うように樹脂フィルムを設け、断熱部材の復元力によって樹脂フィルムを内側から押圧するように張引させるように構成されたものである請求項1に記載の太陽集熱器。
【請求項3】
前記張引手段が、前記樹脂フィルムに設けられた張引片と、当該張引片に取り付けられる張引部材とを設けて構成されるものである請求項1に記載の太陽集熱器。
【請求項4】
前記液体流通部が、液体流入路から流入した液体を直交方向に複数のパイプを介して流通させ、前記液体流入路の対角位置に設けられた液体排出路から排出させるものである請求項1に記載の太陽集熱器。
【請求項5】
前記液体流通部が、表裏をなす樹脂フィルムの内側に、複数本の平行な溶着部を設けて構成させるものであり、当該平行な溶着部の間に液体を通すようにしたものである請求項1に記載の太陽集熱器。
【請求項6】
前記樹脂フィルムが、上側フィルム要素と下側フィルム要素で構成されるものであり、
当該上側フィルム要素と下側フィルム要素の端部に設けられた接合部材を上下に接合させることにより、前記断熱部材を被覆するようにしたものである請求項2に記載の太陽集熱器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量化と保温性を図れるようにした太陽集熱器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、太陽光を用いて集熱する場合、硬質パネルで構成された太陽集熱器が用いられる。この太陽集熱器は、透明なガラスなどで構成された硬質パネルと、その硬質パネルの内側に設けられたパイプと、そのパイプ内を通る水を加熱させるための黒色系の加熱部材とを備えて構成されるものであって、太陽光によって加熱部材を発熱させ、その熱をパイプ内の水に伝達させるとともに、硬質パネルで囲まれた断熱層内で保温させることによって、パイプからの放熱を防止できるようにしたものである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-138898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような太陽集熱器の表面に設けられる硬質パネルは、非常に重いガラスで構成されているため、全体としての重量が非常に重くなる。このため、このような重量物を屋根などに設置するには時間や労力やコストなどがかかってしまう。
【0005】
一方、このような硬質パネルを薄い樹脂パネルなどで代用することもできるが、このような樹脂パネルを用いた場合であっても、大きな軽量化を期待することができず、また、樹脂パネルを薄くすると、樹脂パネルが撓んでしまい、断熱層が薄くなって内部から熱が奪われてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に着目してなされたもので、軽量化を図ることができるようにした太陽集熱器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の太陽集熱器は、上記課題を解決するために、太陽光によって加熱される液体を内部に通すための液体流通部と、当該液体流通部の表面との間に断熱層を形成するように被覆する樹脂フィルムと、当該樹脂フィルムを張引する張引手段を設けるようにしたものである。
【0008】
このように構成すれば、表面のガラスパネルを樹脂フィルムで代用することにより、全体の重量を軽くすることができるとともに、温度によって樹脂フィルムが伸長した場合であっても、樹脂フィルムを張引させて断熱層の空間を確保し、内部からの放熱を防止することができるようになる。
【0009】
また、このような発明において、張引手段として、当該液体流通部の少なくとも両側に設けられるクッション性を有する断熱部材を設けるとともに、当該断熱部材を覆うように樹脂フィルムを設け、断熱部材の復元力によって樹脂フィルムを内側から押圧するように張引させる。
【0010】
このように構成すれば、断熱部材によって液体流通部内の液体の保温性を高めることができるとともに、その断熱部材の復元力によって樹脂フィルムを張引させることができるようになる。
【0011】
もしくは、別の張引手段として、前記樹脂フィルムに張引片を設けるとともに、当該張引片に取り付けられる張引部材とを設け、当該張引部材を引っ張ることで、樹脂フィルムを張引させるようにする。
【0012】
このように構成すれば、断熱部材の復元力だけでは張引させることができない場合においても、樹脂フィルムを張引させておくことができるようになる。
【0013】
また、このような液体流通部として、液体流入路から流入した液体を直交方向に複数のパイプを介して流通させ、前記液体流入路の対角位置に設けられた液体排出路から排出させるものを用いる。
【0014】
このような液体流通部を用いれば、液体流入路と液体排出路との間のパイプによって、その外側に設けられた断熱部材を支持して、樹脂フィルムを張引させることができるようになる。
【0015】
もしくは、液体流通部として、表裏をなす樹脂フィルムの内側に、複数本の平行な溶着部を設けて構成させるものであり、当該平行な溶着部の間に液体を通すものを用いてもよい。
【0016】
このような液体流通部を用いれば、さらに軽量化を図ることができる。
【0017】
また、断熱部材を圧縮させて樹脂フィルムを取り付ける場合、当該樹脂フィルムを上側フィルム要素と下側フィルム要素で構成しておき、当該上側フィルム要素と下側フィルム要素の端部に設けられた接合部材を上下に接合させることにより、前記断熱部材を圧縮させて取り付けるようにする。
【0018】
このように構成すれば、左右に設けられた接合部材を左右方向に張引させた状態で被覆させることができ、断熱部材を圧縮させた状態で樹脂フィルムを取り付けることが容易になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、太陽光によって加熱される液体を内部に通すための液体流通部と、当該液体流通部の表面との間に断熱層を形成するように被覆する樹脂フィルムと、当該樹脂フィルムを張引する張引手段を設けるようにしたので、表面のガラスパネルを樹脂フィルムで代用することにより、全体を軽量化することができるとともに、温度によって樹脂フィルムが伸長した場合であっても、樹脂フィルムを張引させて断熱層の空間を確保し、内部からの放熱を防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施の形態を示す太陽集熱器を示す図
図2】同形態における分解斜視図
図3図1におけるA-A端面を示す図
図4図1におけるB-B端面を示す図
図5】他の実施の形態における樹脂フィルムを用いた太陽集熱器を示す図
図6】他の実施の形態における樹脂フィルムに張引手段を設けた図
図7】他の実施の形態における液体流通部を示す図
図8】他の実施の形態における液体流通部を用いた太陽集熱器を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
この実施の形態における太陽集熱器1は、太陽光を照射させて、液体を加熱させるようにしたものであって、図1から図4に示すように、太陽光によって内部の液体を加熱させる液体流通部2と、この液体流通部2の上面側に第一の断熱層10(図3参照)を有するように設けられる透明の被覆体5と、この被覆体5の側部や底面側に設けられるクッション性を有する断熱部材6と、被覆体5の上面に第二の断熱層11を有するように断熱部材6の外側に密着して設けられ、断熱部材6の復元力によって張引される樹脂フィルム7とを設けて構成されるものである。そして、この第一の断熱層10や第二の断熱層11、断熱部材6によって保温性を高めるとともに、この断熱部材6の復元力によって樹脂フィルム7を張引させて取り付けることで、第二の断熱層11の空間を確保し、内部からの放熱を防止できるようにしたものである。以下、本実施の形態について詳細に説明する。なお、説明において、太陽光が照射される側を上面側とし、これに対向する面側を底面側、また、液体流入路21が設けられる辺側を下辺側、液体排出路23が設けられる側を上辺側として説明する。
【0023】
まず、液体を収容する液体流通部2は、図2に示すように、下辺側に沿って設けられる液体流入路21と、この液体流入路21に対して直交方向に設けられる複数本の分割流路22と、この分割流路22を流れた液体を排出方向に通すための液体排出路23とを設けて構成される。これらの液体流入路21や分割流路22、液体排出路23は、円筒状や矩形状、扁平状の金属パイプなどで構成され、例えば、軽量化を図るためにアルミなどの素材で構成される。
【0024】
この液体流通部2には、太陽光からの熱を吸収するための熱吸収体3が載置される(図4参照)。この熱吸収体3は、太陽光を吸収して熱に変換するような素材が用いられ、例えば、酸化チタンやカーボンブラック、黒クロム、黒ニッケルなどの金属酸化物などを塗布した金属板などで構成される。そして、この熱吸収体3で生じた熱を、液体流通部2の分割流路22に伝達させて、内部の液体を加熱させるようにしている。なお、この熱吸収体3を設ける場合、分割流路22の上半分の面に接触させるようにしておき、分割流路22との接触面積を大きくして、多くの熱を伝達させるようにしている。このとき、分割流路22が円筒状に形成されている場合は、溝31を半円状にしておき、また、分割流路22が扁平状に形成されている場合は、凹状にして、分割流路22の上半分の面に接触させるようにしておく。
【0025】
一方、このように熱吸収体3を載置した液体流通部2の分割流路22の底面側には、保温性の高い断熱部材4が設けられる(図2から図4参照)。この断熱部材4としては、グラスウールや、発泡ウレタンなどのようなクッション性の高い素材が用いられ、分割流路22によって押圧された状態で、分割流路22を退避できるようなものが用いられる。
【0026】
そして、このように熱吸収体3や断熱部材4によって分割流路22を挟み込んだ状態で、この液体流通部2を覆うように被覆体5が設けられ、液体流通部2との間に第一の断熱層10を形成できるようにしている(図3および図4参照)。この被覆体5は、透明な樹脂フィルムなどで形成されるものであって、熱吸収体3の熱を封止させために設けられる。このような被覆体5としては、アクリル樹脂フィルム、PETフィルム、フッ素系樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルムなどが用いられ、少なくとも、液体流通部2の上面側を覆い、断熱部材4の底面側で接合して取り付けられる。
【0027】
このように被覆体5で熱吸収体3や断熱部材6を取り付けた液体流通部2の側面部と底面部側には、断熱部材6が取り付けられる(図2など参照)。
【0028】
このような断熱部材6としては、クッション性の有するグラスウールやロックウール、発泡ウレタンなどで構成され、ここでは、液体流入路21側および液体排出路23側と底面側を一体的に覆う第一断熱部材61と、左右両側辺をそれぞれ覆う第二断熱部材62とを設けて構成される。
【0029】
そして、このような構成のもと、液体流通部2に取り付けられた断熱部材6に密着するような透明な樹脂フィルム7が取り付けられ、被覆体5との間に第二の断熱層11を形成できるようにしている。
【0030】
このような樹脂フィルム7としては、耐熱性や耐候性の高い素材が用いられ、例えば、フッ素系樹脂フィルムなどが用いられる。もちろん、これ以外に、アクリル樹脂フィルム、PETフィルム、ポリカーボネート樹脂フィルムなど、多種態様のフィルムを用いるようにしてもよい。
【0031】
この樹脂フィルム7を取り付ける際には、断熱部材6を圧縮させ、その復元力によって張引させるように取り付けるようにする。このとき、樹脂フィルム7を円筒状に形成しておき、断熱部材6を圧縮させながら、筒状の樹脂フィルム7の軸方向に挿入させてもよいが、このようにすると、断熱部材6を圧縮させながら挿入させるのに時間がかかってしまう。そこで、この実施の形態では、図2に示すように、樹脂フィルム7を上側フィルム要素71と下側フィルム要素72とに分離し、それぞれの端部に設けられた接合部73(73a、73b)を接合させることによって、断熱部材6を圧縮させた状態で樹脂フィルム7を巻き付けられるようにしている。
【0032】
この接合部73は、上辺側と下辺側に沿って設けられるプレート状のものであって、一方側のプレート73aを接合させた後に、他方側のプレート73bを引っ張って断熱部材6を圧縮させて、樹脂フィルム7を取り付けられるようになっている。
【0033】
このとき、このプレート73a、73bには、複数の穴部74が間欠的に設けられており、この穴部74にフックや紐、締結バンドなどの締結体を通して、設置場所に固定できるようになっている。これにより、断熱部材6の復元力だけでなく、締結体の引っ張りによって、樹脂フィルム7を張引させることができるようになる。
【0034】
なお、このような樹脂フィルム7のプレート73a、73bを接合させた場合、左右方向については開口した状態となるが、左右方向については、左右両側に設けられる第二断熱部材62によって、熱を放出させることがなく、また、左右方向に他の太陽集熱器1を連結することができるようになる。また、このように樹脂フィルム7を取り付けた後に、左右側辺について溶着させるようにしてもよい。
【0035】
また、別の態様として、図5に示すように、樹脂フィルム7を周回させ、一端側のプレート73aと他端側のプレート73bを上下に接合させるようにしてもよい。このように構成すれば、樹脂フィルム7の周回によって断熱部材6を圧縮させることができるようになり、樹脂フィルム7の取り付けが容易になる。
【0036】
なお、このように樹脂フィルム7を断熱部材6の復元力で張引させた場合であっても、例えば、真夏の暑い時期などのような高温時には、樹脂フィルム7が伸びて表面が撓んでしまう可能性がある。そこで、図6に示すように、樹脂フィルム7を外面側から張引させる張引手段8を設けるようにしてもよい。
【0037】
このような張引手段8を設ける場合、太陽集熱器1の樹脂フィルム7の側面長手方向に沿って張引片81を設けておき、その張引片81にゴムやバネなど張引部材82を取り付ける。そして、その張引部材82の他端側を、この太陽集熱器1を取り付けるための躯体9に取り付け、その弾性力によって常に樹脂フィルム7を張引させておく。なお、ここでは、張引部材82を躯体9に取り付けるようにしているが、樹脂フィルム7の対向する側面の張引片81を跨るようにゴムなどの張引部材82を取り付けて張引させるようにしてもよい。
【0038】
次に、このように構成された太陽集熱器1の製造方法について説明する。
【0039】
まず、液体流通部2を構成する分割流路22の上面側に熱吸収体3を載置するとともに、底面側に断熱部材4を設けるようにする。
【0040】
そして、その状態で、透明な樹脂フィルム7などの被覆体5で覆い、上面側を周回させて、底面側で接合させて、液体流通部2の上面側に第一の断熱層10を形成する。
【0041】
次に、このような被覆体5で覆われた液体流通部2に対して、液体流入路21や液体排出路23を周回するように第一断熱部材61を取り付ける。これにより、第一断熱部材61が、液体流入路21の上面側から底面側に沿い、分割流路22の底面側を通って、液体排出路23の底面側から上面側に沿って設けられることになる。
【0042】
そして、このように第一断熱部材61で覆った後、液体流通部2の左右の両側辺に第二断熱部材62を取り付ける。
【0043】
そして、このように第一断熱部材61や第二断熱部材62を取り付けた後、これらの断熱部材6を圧縮するように樹脂フィルム7を取り付ける。
【0044】
このように樹脂フィルム7を取り付ける際には、上側フィルム要素71と下側フィルム72要素の端部に設けられた一方のプレート73aを留め具などで接合させ、液体流通部2の液体流入路21もしくは液体排出路23側に密着させる。
【0045】
そして、その状態で、他端側のプレート73bを持って樹脂フィルム7を引っ張り、断熱部材6を圧縮させながら、他端側のプレート73bを留め具などで接合させる。
【0046】
そして、このように樹脂フィルム7で断熱部材6を覆うことによって、断熱部材6の復元力で樹脂フィルム7を張引させるとともに、内部の被覆体5との間に第二の断熱層を形成することによって、内部からの放熱を防止できるようにする。
【0047】
また、図6に示すような張引片81を設けている場合は、この太陽集熱器1を取り付けるための躯体9と張引片81との間に跨って張引部材82を取り付けて張引させておく。
【0048】
このように上記実施の形態によれば、太陽光によって加熱される液体を内部に通すための液体流通部2と、当該液体流通部2の表面との間に第二の断熱層11を形成するように被覆する樹脂フィルム7と、当該樹脂フィルム7を張引する張引手段8を設けるようにしたので、表面のガラスパネルを樹脂フィルム7で代用することにより、全体の重量を軽くすることができるとともに、温度によって樹脂フィルムが伸長した場合であっても、樹脂フィルム7を張引させて第二の断熱層11の空間を確保し、内部からの放熱を防止することができるようになる。
【0049】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0050】
例えば、上記実施の形態では、液体流通部2の上面側に熱吸収体3を載置させるようにしたが、分割流路22に熱を伝達させるような構成であれば、どのような構成であってもよい。例えば、分割流路22の底面側に熱吸収体3を密着させる方法や、分割流路22自体に熱吸収材を塗布するようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施の形態では、二層の断熱層10、11で保温性を高めるようにしたが、内側の被覆体5を設けることなく、外側の樹脂フィルム7だけで一層の断熱層を形成するようにしてもよい。
【0052】
さらに、図6に示す実施の形態では、張引片81を設けるようにしたが、図3などにおけるプレート73a、73bを張引片81として使用できるようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施の形態では、液体流通部2として、金属パイプなどで構成されたものを用いるようにしたが、図7に示すように、表裏をなす樹脂フィルムの内側を平行に溶着させた溶着部24によって分割流路22aを形成するようにした液体流通部2aを用いてもよい。このとき、溶着部24を端辺まで設けないようにすることで、液体流入路21aや液体排出路23aを形成するようにしておく。また、被覆体5については、図8に示すように、液体流通部2の上辺および下辺に沿って溶着させておく。そして、その液体流通部2と被覆体5との隙間に横フレーム91を挿入するとともに、上下の横フレーム91に跨るように、伸縮可能な縦フレーム92を取り付け、その縦フレーム92の突っ張りによって被覆体5を上下方向に張引させる。これにより、液体流通部2との間に第一の断熱層10を形成する。一方、この被覆体5の左右方向の開口部を封止させる場合は、左辺および右辺に沿って面ファスナー51を取り付けておき、縦フレーム92を周回させた後、被覆体5の表面に設けられた面ファスナー(図示せず)に接合させて封止させる。そして、このように被覆体5を取り付けた後、横フレーム91に断熱部材6を取り付け、この断熱部材6の上から樹脂フィルム7を取り付ける。この樹脂フィルム7を取り付ける場合は、断熱部材6を有するシートの裏面に設けられた面ファスナー75に樹脂フィルム7の面ファスナー73を取り付け、他端側に設けられた張引部材82を、躯体9や断熱部材6を有するシートの裏面側に設けられたリングなどに係合させて張引させる。また、側面については、断熱部材6を有するシートの側面に設けられた面ファスナー74を、縦フレーム92を周回するように巻き付け、樹脂フィルム7の表面側で接合させる。このような構成によれば、液体流通部2を軽量化させることができるとともに、二層の断熱層10、11によって、断熱効果を高めることができるようになる。
【符号の説明】
【0054】
1・・・太陽集熱器
2、2a・・・液体流通部
21、21a・・・液体流入路
22、22a・・・分割流路
23、23a・・・液体排出路
24、24a・・・溶着部
25・・・固定フレーム
3・・・熱吸収体
31・・・溝
4・・・断熱部材
5・・・被覆体
6・・・断熱部材
61・・・第一断熱部材
62・・・第二断熱部材
7・・・樹脂フィルム
71・・・上側フィルム要素
72・・・下側フィルム要素
73a、73b・・・プレート
74・・・穴部
8・・・弾性部材
9・・・躯体
91・・・横フレーム
92・・・縦フレーム
10・・・第一の断熱層
11・・・第二の断熱層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8