(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047513
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】売上比例返済方式ローン管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/03 20230101AFI20230330BHJP
【FI】
G06Q40/02 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156472
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】501093974
【氏名又は名称】ガブリエル サイオン
【氏名又は名称原語表記】Gabriel Scion
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル 西園
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】売上比例返済方式ローン管理システムを提供する。
【解決手段】売上比例返済方式ローン管理システム1において、システムセンタサーバは、ローン申込情報の入力を受け付ける受付部と、ローン利用事業者名義の預貯金口座の取引履歴情報に基づいて、ローン利用事業者の実績売上高を算出する売上実績算出部と、実績売上高に予め設定された貸付限度割合を乗じてローン貸付額を算出し、所定の利息を設定するローン設定部と、ローン申込情報、ローン貸付額及び利息を保存するデータベースと、ローン返済開始日以降の月間実績売上高に予め設定された返済比率を乗じて、ローン貸付額の当月返済金を設定し、当月返済金を累計して求めた返済金累計額がローン貸付額と利息の合計に一致するか否かを判定し、一致したと判定された場合、ローン貸付額に対する返済の終了をローン利用事業者の情報端末に通知する返済管理部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローン利用事業者が使用する情報端末とローン提供事業者が使用するシステムセンタサーバとが通信ネットワークで接続され、前記ローン利用事業者に対するローンの貸付及び回収を管理するローン管理システムであって、
前記情報端末は、前記ローン利用事業者の商取引にともなう入出金を扱う前記ローン利用事業者名義の預貯金口座の取引履歴情報を含むローン申込情報を前記システムセンタサーバに送信し、
前記システムセンタサーバは、
前記情報端末から送信された前記ローン申込情報を受け付ける受付部と、
前記受け付けたローン申込情報に含まれる前記ローン利用事業者名義の預貯金口座の取引履歴情報に記録された商取引にともなう決済代金の入金額及び入金日に基づいて、一定期間の前記入金額を集計した前記ローン利用事業者の実績売上高を算出する売上実績算出部と、
前記算出された実績売上高に、予め設定された貸付限度割合を乗じてローン貸付額を算出し、前記算出されたローン貸付額に対して所定の金利計算を行って利息を設定するローン設定部と、
前記ローン申込情報、前記ローン貸付額、及び前記ローン貸付額に対して設定された利息を記録するデータベースと、
ローン返済開始日以降の前記ローン利用事業者名義の預貯金口座の取引履歴に記録された前記商取引にともなう決済代金の入金額及び入金日に基づいて、月間実績売上高を算出し、前記算出された月間実績売上高に予め設定された返済比率を乗じて、前記ローン貸付額の当月返済金を設定し、
前記当月返済金を累計した返済金累計額が前記ローン貸付額と前記利息の合計に一致するか否かを判定し、
前記返済金累計額が前記ローン貸付額と前記利息の合計に一致したと判定された場合、前記ローン貸付額に対する返済の終了を前記ローン利用事業者の情報端末に通知する返済管理部と、を備えることを特徴とする売上比例返済方式ローン管理システム。
【請求項2】
前記システムセンタサーバは、前記ローン利用事業者名義の預貯金口座が開設された金融機関の口座管理サーバに通信ネットワークを介して接続され、前記ローン利用事業者名義の預貯金口座の取引履歴情報を、前記口座管理サーバから銀行API(Application Programming Interface)を介して取得することを特徴とする請求項1に記載の売上比例返済方式ローン管理システム。
【請求項3】
前記予め設定された返済比率は、月間売上高の金額レンジごとに異なる返済比率が割り当てられており、
前記システムセンタサーバは、前記算出された月間実績売上高に対応する金額レンジに割り当てられた返済比率を、前記予め設定された返済比率に適用することを特徴とする請求項1又は2に記載の売上比例返済方式ローン管理システム。
【請求項4】
前記システムセンタサーバは、前記算出された月間実績売上高が前記予め設定された目標月間売上高の金額レンジ内にある場合、返済比率による計算を行わずに、前記金額レンジに対して予め設定された定額の返済金を前記当月返済金に設定することを特徴とする請求項3に記載の売上比例返済方式ローン管理システム。
【請求項5】
前記システムセンタサーバは、前記ローン返済開始日から前記ローン貸付額に対する返済の終了が確定した日までの期間に基づいて算出された、前記ローン貸付額に対する利息の金利が、法定金利を上回った場合、前記設定された利息との差額を前記事業者名義の預貯金口座に返金することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の売上比例返済方式ローン管理システム。
【請求項6】
前記システムセンタサーバは、前記月間実績売上高が0(ゼロ)である場合、前記当月返済額は0とするが、翌月以降の月間実績売上高に対して、前記返済比率に所定の上乗せを適用することを特徴とする請求項1又は2に記載の売上比例返済方式ローン管理システム。
【請求項7】
前記システムセンタサーバは、前記月間実績売上高が所定の期間にわたって0(ゼロ)が継続した場合、前記ローン利用事業者の情報端末に一括返済請求を通知することを特徴とする請求項6に記載の売上比例返済方式ローン管理システム。
【請求項8】
前記システムセンタサーバは、前記ローン返済開始日から前記ローン貸付額に対する返済の終了が確定した日までの期間に基づいて、前記ローン利用事業者の信用スコアを算出し、前記システムセンタサーバのデータベースに記録することを特徴とする請求項1に記載の売上比例返済方式ローン管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローンを利用する事業者の売上実績に比例した返済を可能にする売上比例返済方式ローン管理システムに関し、より詳しくは、ローンを利用する事業者の商取引情報に基づいて、ローン貸付額及び利息を設定し、貸付後の月間売上高に比例した当月返済金を設定する方式で返済を管理する売上比例返済方式ローン管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、物品やサービスを提供した対価として売上が計上されても、売掛金が回収されるまでには、一定の時間がかかる。個人事業主や法人経営者が資金繰りを改善するために利用する方法の一つである銀行融資では、過去数年分の決算書が求められるなど提出書類が多く、かつ融資判断に要する時間が長いため、迅速に融資を受けたい事業者にとっては使い勝手の悪い資金調達方法であった。
【0003】
このため、審査期間が短く、簡易な手続きで事業資金を調達する方法として、クレジット取引にかかる合計取引金額に応じて融資を受けられるようにして加盟店のキャッシュフローを改善する方法(特許文献1参照)や、決済代行事業者が加盟店に対して行う融資サービスであるトランザクションレンディングなどが提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1の提案は、クレジットカード等を使用したカード取引を行う加盟店は有用であるが、現金払や、キャッシュレス決済が主体の店舗では有効活用できないという欠点を有していた。また、融資の回収は、当月の合計取引金額に拘らず、先月融資した金額に金利手数料等を加えた金額を引き落とす返済方法であるため、一時的な売り上げ減少等の売上高の変動により、手元資金が不足する虞があった。
【0005】
特許文献2には、決済代行事業者の加盟店にトランザクションレンディングのサービスを行うための融資審査システムが開示されているが、融資を回収する方法には対応しておらず、融資後の資金回収において、売上高の変動によって資金繰りが安定しないという問題は残ったままであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-242429号公報
【特許文献2】特開2019-179402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、特定の決済手段に限定されない一定期間の売上実績に基づいてローン貸付額と利息を設定し、ローン返済開始月以降の月間実績売上高に比例した当月返済金を回収する方式で返済を管理する売上比例返済方式ローン管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による売上比例返済方式ローン管理システムは、ローン利用事業者が使用する情報端末とローン提供事業者が使用するシステムセンタサーバとが通信ネットワークで接続され、前記ローン利用事業者に対するローンの貸付及び回収を管理するローン管理システムであって、前記情報端末は、前記ローン利用事業者の商取引にともなう入出金を扱う前記ローン利用事業者名義の預貯金口座の取引履歴情報を含むローン申込情報を前記システムセンタサーバに送信し、前記システムセンタサーバは、前記情報端末から送信された前記ローン申込情報を受け付ける受付部と、前記受け付けたローン申込情報に含まれる前記ローン利用事業者名義の預貯金口座の取引履歴情報に記録された商取引にともなう決済代金の入金額及び入金日に基づいて、一定期間の前記入金額を集計した前記ローン利用事業者の実績売上高を算出する売上実績算出部と、前記算出された実績売上高に、予め設定された貸付限度割合を乗じてローン貸付額を算出し、前記算出されたローン貸付額に対して所定の金利計算を行って利息を設定するローン設定部と、前記ローン申込情報、前記ローン貸付額、及び前記ローン貸付額に対して設定された利息を記録するデータベースと、ローン返済開始日以降の前記ローン利用事業者名義の預貯金口座の取引履歴に記録された前記商取引にともなう決済代金の入金額及び入金日に基づいて、月間実績売上高を算出し、前記算出された月間実績売上高に予め設定された返済比率を乗じて、前記ローン貸付額の当月返済金を設定し、前記当月返済金を累計した返済金累計額が前記ローン貸付額と前記利息の合計に一致するか否かを判定し、前記返済金累計額が前記ローン貸付額と前記利息の合計に一致したと判定された場合、前記ローン貸付額に対する返済の終了を前記ローン利用事業者の情報端末に通知する返済管理部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
前記システムセンタサーバは、前記事業者名義の預貯金口座が開設された金融機関の口座管理サーバに通信ネットワークを介して接続され、前記事業者名義の預貯金口座の取引履歴情報を、前記口座管理サーバから銀行API(Application Programming Interface)を介して取得し得る。
前記予め設定された返済比率は、月間売上高の金額レンジごとに異なる返済比率が割り当てられており、前記システムセンタサーバは、前記算出された月間実績売上高に対応する金額レンジに割り当てられた返済比率を、前記予め設定された返済比率に適用し得る。
前記システムセンタサーバは、前記算出された月間実績売上高が前記予め設定された目標月間売上高の金額レンジ内にある場合、返済比率による計算を行わずに、前記金額レンジに対して予め設定された定額の返済金を前記当月返済金に設定し得る。
前記システムセンタサーバは、前記ローン返済開始日から前記ローン貸付額に対する返済の終了が確定した日までの期間に基づいて算出された、前記ローン貸付額に対する利息の金利が、法定金利を上回った場合、前記設定された利息との差額を前記事業者名義の預貯金口座に返金することが好ましい。
前記システムセンタサーバは、前記月間実績売上高が0(ゼロ)である場合、前記当月返済額は0とするが、翌月以降の月間実績売上高に対して、前記返済比率に所定の上乗せを適用し得る。
前記システムセンタサーバは、前記月間実績売上高が所定の期間にわたって0(ゼロ)が継続した場合、前記ローン利用事業者の情報端末に一括返済請求を通知し得る。
前記システムセンタサーバは、前記ローン返済開始日から前記ローン貸付額に対する返済の終了が確定した日までの期間に基づいて、前記ローン利用事業者の信用スコアを算出し、前記システムセンタサーバのデータベースに記録し得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明の売上比例返済方式ローン管理システムによれば、ローン利用事業者の特定の決済手段に限定されない一定期間の売上実績に基づいたローン貸付額及び利息を設定するための処理が自動化される。ローン利用事業者は、決済方法や季節変動等による売上高の変動の影響を受けることなく手元流動性資金を容易に確保することが可能になり、これと同時に月別の返済金も売上高に比例して設定されるので、資金繰りに余裕がもてるようになる。
また、本発明による売上比例返済方式ローン管理システムを利用する事業者は、ローン返済が、売上高に対する定率返済であるので、売上高の一時的な減少等による売上高の変動により返済が困難になるといった問題を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態による売上比例返済方式ローン管理システムのスキームを説明するための図である。
【
図2】本発明の一実施形態による売上比例返済方式ローン管理システムの構成を説明するためのブロック図である。
【
図3】
図2に示すシステムセンタサーバの機能構成を説明するためのブロック図である。
【
図4】本発明の他の実施形態による売上比例返済方式ローン管理システムのスキームを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による売上比例返済方式ローン管理システムのスキームを説明するための図である。
【0014】
本スキームは、本発明による売上比例返済方式ローン管理システムに加入してローンを利用する事業者(借り手)と、ローンを提供する事業者(以下、貸し手)との間で、ローン契約を締結することを前提としている。
【0015】
図1を参照して、本スキームの流れを説明する。本発明の売上比例返済方式ローン管理システムによるローンを利用する事業者(以下、ローン利用事業者という)10は、自らの商取引情報と当該商取引にともなう入出金を扱うローン利用事業者名義の預貯金口座の取引履歴情報とを含むローン申込情報を、ローンを提供する事業者(以下、ローン提供事業者という)30に提出(送信)する。ローン提供事業者30は、受け付けたローン申込情報に基づいて、ローン貸付額及び所定金利の利息(みなし利息という)を設定し、ローン利用事業者10にローン貸付金を支払う、すなわち、融資を実行する。これにより、ローン利用事業者10は、簡易な手続きで、必要な手元流動性の資金を、短い審査期間のうちに確保することができる。
【0016】
一方、ローンの返済は、ローン返済開始日以降に、ローン利用事業者10が、ローン提供事業者30との間で事前に合意された一定比率(返済比率という)を、当月売上(月間実績売上高)に乗じた金額を、当月返済金として返済していき、返済額の累計が事前に合意された元本金利合計額(ローン貸付額とみなし利息の合計額)に到った場合に当該ローン契約が終了(完済)となる。
【0017】
すなわち、本発明による売上比例返済方式ローン管理システムでは、一般的なローンのような、事前に定められた返済期間での定額返済ではなく、予め返済期限を定めないで、売上(実績売上高)に比例した定率返済であることを特徴とする。これにより、予測できない事態によって、売上が急減しても、返済負担が緩和されて、事業存続に資するという効果を果たす。また、業績が上がれば、返済期間が当初の予定よりも短くなり、結果的に金利負担を少なくすることが可能となる。
【0018】
図1に示すスキームにおいて、ローン利用事業者10は、銀行等を含む決済及び/又は分別支払の代行事業者20に、現金払決済を含む商取引の全売上を預託している。そして、そこからローン利用事業者10とローン提供事業者30に売上金を分別支払するスキームである。
【0019】
決済及び/又は分別支払の代行事業者20は、銀行、信託銀行等の金融機関であってもよく、銀行、信託銀行等の金融機関との協業であってもよい。
決済及び/又は分別支払の代行事業者20は、ローン利用事業者10が行った商取引の、クレジットカード決済、電子マネー決済、銀行振り込み決済、銀行口座振り替え決済、コンビニ決済、代引き決済等現金決済以外の決済の代行を行う。一方、これらの決済機関からローン利用事業者10宛ての決済/分別支払代行口座への入金を受け付ける。
【0020】
ローン利用事業者10における商品やサービス等の販売は、実店舗での販売に限らず、他所での出張販売、インターネット店舗などのバーチャル店舗での販売なども含み、決済及び/又は分別支払の代行事業者20は、ローン利用事業者10における商品又はサービスの販売に伴う現金決済以外のこれらすべての決済の代行を行う。
【0021】
ローン利用事業者10は、また、決済及び/又は分別支払の代行事業者20に、決済が終了した売上代金の、ローン利用事業者10及びローン提供事業者30への分別支払を委託している。
【0022】
図1に示すスキームにおいて、ローン利用事業者10の売上は、現金払決済分も含めて、全て決済及び/又は分別支払の代行事業者20に開設されたローン利用事業者名義の決済/分別支払代行口座に預託され、決済及び/又は分別支払の代行事業者20は、決済が終了した代金(月間実績売上高)について、ローン利用事業者10に支払うと共に、決済代金の所定割合の金額(月間実績売上高に返済比率を乗じた額)を返済金として、ローン提供事業者30に支払う(ローン利用事業者名義の個人口座に振替える)。
【0023】
以下の説明において、ローン利用事業者10の決済及び/又は分別支払の委託先である、決済及び/又は分別支払の代行事業者20を「ローン利用事業者が利用する金融機関」といい、ローン利用事業者名義の決済/分別支払代行口座及び分別支払先となる個人口座を合わせて「ローン利用事業者名義の預貯金口座」という。なお、決済/分別支払代行口座への現金決済売上金の預託は、ローン利用事業者10が自ら預けてもよく、金銭運搬事業者に委託してもよく、金庫機能付きキャッシュレジスタを用いてもよい。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態による売上比例返済方式ローン管理システムの構成を説明するためのブロック図である。
【0025】
図2に示すように、本発明の一実施形態による売上比例返済方式ローン管理システム1は、ローン利用事業者10が使用する情報端末100、ローン提供事業者30が使用するシステムセンタサーバ300、ローン利用事業者10が決済及び/又は分別支払の代行を委託する代行事業者20の口座管理サーバ200(以下、ローン利用事業者10が利用する金融機関の口座管理サーバという)、並びにローン提供事業者30が利用する金融機関の口座管理サーバ400がインターネットや公衆回線網・専用回線等の通信ネットワーク5を介して通信可能に接続されている。
【0026】
本実施形態による売上比例返済方式ローン管理システム1において、ローン利用事業者10が使用する情報端末100及びローン提供事業者30が使用するシステムセンタサーバ300は、市販のPC(パーソナルコンピュータ)等を用いて構成することができ、PCを構成するCPU(中央制御装置)、メモリ、記憶部又はデータベースを構成するハードディスク等の記憶装置、管理用として画像やテキスト等を表示する表示装置、キーボードやマウス、カメラ等の入力装置、及び通信ネットワークとの接続等を行う通信装置その他の説明及びその構成図面は省略する。また、CPUがソフトウェアプログラムを実行し、これらの装置を用いて機能させる各構成部(機能部)については詳細な説明を後述する。
なお、情報端末100は、PCに限定されず、タブレット端末やスマートフォンなどを使用してもよい。
【0027】
以下、本実施形態による情報端末100の構成を詳しく説明する。
【0028】
本実施形態による情報端末100は、ローン利用事業者10が、本発明による売上比例返済方式ローン管理システム1を利用して、ローンの申込みに必要なローン申込情報を入力する入力部110、入力したローン申込情報等を格納する記憶部120、希望するローン条件等を含むローン申込情報をシステムセンタサーバ300に送信する端末通信部130、当月返済金を計算する返済金計算部140、及び最終当月返済金の金額を修正する返済金修正部150を備える。
【0029】
情報端末100の入力部110は、キーボードやマウス、カメラ、記憶媒体読取装置等の入力装置に接続され、ローン利用事業者10が受け取った商取引の決済代金の入金情報、ローン申込みに際しての希望条件等を含むローン申込情報を入力する。なお、情報端末100が、タブレット端末やスマートフォンの場合、入力部110は、タッチパネル(タッチパッド一体型ディスプレイ)と内蔵カメラ等で構成され得る。
【0030】
ローン利用事業者10が使用する情報端末100、及びローン利用事業者10が利用する金融機関の口座管理サーバ200のそれぞれは、図示していないローン利用事業者と取引のあるクレジットカード会社、電子マネー決済会社、バーチャル口座を有する銀行、コンビニ決済会社、代引き決済・物流会社等の各種決済会社等の情報処理サーバと通信ネットワークを介して通信可能に接続される。
【0031】
入力される決済代金の入金情報は、上述の決済機関、決済代行業者、及び電子商取引(EC)サイト運営者からローン利用事業者名義の預貯金口座に振り込まれた入金額及び入金日が記録された取引履歴情報であり、この取引履歴情報は、ローン利用事業者名義の預貯金口座への入金(一般には、入出金)履歴が、口座番号、口座名義人名、及び金融機関名を含むデータ形式で、ローン提供事業者30が使用するシステムセンタサーバ300に送信される。
【0032】
ローンの申込みにあたって、ローン利用事業者10は、ローン提供事業者30に希望ローン条件を提出する。希望ローン条件の項目には、借り受けたい資金額に相当する希望ローン額、一定期間(例えば、1か月)の間に入金される決済代金の中から返済にあてる金額の割合を示す希望返済比率、利息設定の基礎となる希望ローン返済期間が含まれる。希望ローン返済期間は、返済期限を切るものではなく、ローン利用事業者10が目標ないしは予定とする返済期間である。
【0033】
記憶部120には、入力された決済代金の入金情報、入金情報及び希望ローン条件に基づいて設定されたローン貸付条件、ローン利用事業者10がローン返済時に支払う当月返済金に関するデータ、ローン返済時の最後に支払われる最終当月返済金に関するデータ等が格納される。
【0034】
端末通信部130は、ローン利用事業者10を名義人とする預貯金口座が開設された金融機関の口座管理サーバ200、ローン提供事業者30のシステムセンタサーバ300等との通信ネットワーク5を介した接続、メールサーバ業務を始めとするFTP処理、電話、FAX、及びLANを含む専用回線通信処理を含めて、情報端末100の通信全般を管理する。通信ネットワーク5は、インターネットや公衆電話回線網、専用回線、フレームリレー網、ATM網などの通信路である。
【0035】
ローン利用事業者10によるローンの返済は、希望ローン返済期間の決済代金に対応して決定され、具体的には、所定期間(例えば、1か月)の間にローン利用事業者名義の預貯金口座に振り込まれた又は預託された決済代金の入金額の中から、一定割合の金額がローン提供事業者30に返済金として支払われる。
【0036】
返済金計算部140は、希望ローン返済期間の開始日以降に商取引にともなう決済代金が振り込まれ、入金額及び入金日の情報が入力されると、入力された決済代金の入金額及び入金日に基づいて、所定期間(例えば、1か月)の入金額を集計した月間実績売上高に、ローン申込時に設定された返済比率を乗じて当月返済金を計算する。計算された当月返済金は、記憶部120に格納され、返済金修正部150において確定又は修正される。なお、返済金計算部140への入力は、キーボード又はタッチパネルから直接数値が入力される。
【0037】
返済金修正部150は、記憶部120に格納された希望ローン返済期間の開始日以降の当月返済金を支払日順に累計し、返済金累計額を算出する。
返済金修正部150は、算出した返済金累計額が元本金利合計額よりも少なければ、情報端末の返済金計算部140において計算された当月返済金を確定当月返済金として確定し、最新の確定当月返済金が記載された返済金情報を出力するとともに、端末通信部130を介してシステムセンタサーバ300に該返済金情報を送信する。
【0038】
返済金修正部150は、計算した返済金累計額が元本金利合計額以上であれば、元本金利合計額以上となった時点の当月返済金を最終当月返済金に設定し、最終当月返済金の金額が累計された返済金累計額が元本金利合計額と同額となるように、最終当月返済金が累計される前の返済金累計額と元本金利合計額の差額を、最終当月返済金の金額から差し引いた額に修正する。なお、実際の返済期間が当初の設定(希望ローン返済期間)から大幅に短縮された結果、みなし利息が出資法や利息制限法などの金利制限に抵触する場合は、金利調整(戻し利息)を行う。
【0039】
修正された当月返済金は、返済金情報に確定当月返済金として記載される。返済金修正部150は、当該返済金情報を出力するとともに、端末通信部130を介してシステムセンタサーバ300に送信する。
【0040】
ローン利用事業者10は、返済金情報が出力され、システムセンタサーバ300から当月受取返済金確認情報を受信すると、当該確定当月返済金をローン提供事業者30に支払う。なお、ローン利用事業者10が、ネットバンキングを利用している場合、確定当月返済金のローン提供事業者30への支払いは、情報端末100からローン利用事業者名義の預貯金口座が開設された金融機関の口座管理サーバ200に、ローン提供事業者30の指定する金融機関の預貯金口座が開設されている口座管理サーバ400への振り込み依頼を送信することで、実行されるようにしてもよい。
【0041】
次に、本実施形態によるシステムセンタサーバ300の構成を詳しく説明する。
【0042】
本実施形態によるシステムセンタサーバ300は、ローン提供事業者30が管理するサーバとして使用され、ローン利用事業者10が使用する情報端末100と公衆回線網・専用回線等の通信ネットワーク5を介して接続される。システムセンタサーバ300は、受付部310、データベース320、サーバ通信部330、売上実績算出部340、ローン設定部350、返済管理部360、及びシステム制御部370を備える。なお、データベースは、ハードディスクドライブ(HDD)及び/又はソリッドステートドライブ(SSD)で構成される。
【0043】
図3は、
図2に示すシステムセンタサーバの機能構成を説明するためのブロック図である。以下、
図3を参照しながら、本実施形態によるシステムセンタサーバ300について説明する。
【0044】
受付部310は、通信ネットワーク5を介して接続されたローン利用事業者10の情報端末100から受信した、ローン利用事業者10を名義人とする預貯金口座の取引履歴情報、及び本実施形態による売上比例返済方式ローン管理システムを利用したローンを受けるにあたっての希望ローン条件を含むローン申込情報の入力を受け付ける。受け付けたローン利用事業者名義の預貯金口座の取引履歴情報、及び希望ローン条件のデータは、データベース320に格納される。
【0045】
受付部210は、キーボード、マウス、カメラやスキャナー等の画像読取装置などの入力装置に接続され、直接ローン利用事業者10の預貯金口座の通帳に記載された取引履歴情報を画像読取装置で読み取り、希望ローン条件をキーボードから入力することも可能である。
【0046】
データベース320は、本発明による売上比例返済方式ローン管理システムを利用するローン利用事業者10の事業情報、ローン利用事業者10が取引する決済機関、決済代行業者、及び電子商取引サイト運営者の事業情報、並びにローン利用事業者10の預貯金口座情報を格納する利用者データベースと、ローン利用事業者10の売上実績情報を格納する売上実績データベースと、設定されたローン条件及び返済金情報を格納するローン返済データベースとを有する。
【0047】
サーバ通信部330は、ローン利用事業者10の情報端末100、ローン利用事業者10が利用する口座開設金融機関の口座管理サーバ200、ローン提供事業者30が利用する金融機関の口座管理サーバ400との接続、メール・サーバ業務を始めFTP処理、電話、FAX、及びLANを含む専用回線通信処理を含めて、システムセンタサーバ300の通信全般を管理する。
【0048】
本実施形態による売上比例返済方式ローン管理システム1のシステムセンタサーバ300は、ローン利用事業者10の預貯金口座の取引履歴情報及び希望ローン条件に基づいて、みなし返済期間、売上高に対する返済比率、ローン貸付額を含むローンプランを設定し、ローンの実行及び回収の管理を行う。
【0049】
システムセンタサーバ300に入力される預貯金口座の取引履歴情報は、本発明による売上比例返済方式ローン管理システム1を利用したローンを受けるにあたって、ローン利用事業者10からローン提供事業者30に提出されるものであり、ローンプランを設定するための基礎データとなるため、少なくとも直近の1年間の履歴であることが好ましい。直近の1年間の履歴を用いることによりローン利用事業者10の実績売上額の変動状況が的確に把握でき、返済金の回収が無理なくできるローンプランの設定が可能となる。
【0050】
本実施形態による売上比例返済方式ローン管理システム1を利用するにあたって、ローン利用事業者10からローン提供事業者30に提出される希望ローン条件は、システムセンタサーバ300に入力されて、ローンプランの設定に用いられる。
【0051】
希望ローン条件の項目としては、希望ローン額、月間売上高に対する希望返済比率、利息計算のための希望ローン返済期間(予定返済期間ともいう)が挙げられる。
希望ローン額は、無理なくローンの返済金の回収が可能なように、例えば、所定期間の売上高の50%とするローン化割合の上限を設けるようにすることが好ましく、予定返済期間についても完済前倒産等のトラブルを避けるため、例えば1年以内の返済期限を設けることが好ましい。
【0052】
売上実績算出部340は、ローン利用事業者10から提出されたローン利用事業者名義の預貯金口座の情報から、商取引にともなう決済代金となる、現金決済による入金額と、決済機関、決済代行業者、及び電子商取引サイト運営者からの入金額と、それらの各入金日に基づいて、過去の一定期間(例えば直近1年)の入金額を集計し、ローンプランの設定に用いる実績売上高を算出して、データベース320に保存する。
【0053】
ローン設定部350は、ローン貸付額及び返済開始日を設定する貸付額設定部352、ローン利用事業者10からの希望ローン額及び予定返済期間に基づいてみなし利息を設定する利息設定部354、ローン利用事業者10の情報端末100にローンプランを通知するローン情報通知部356を有する。
【0054】
貸付額設定部352は、データベース320に保存された予定返済期間及び売上実績算出部340で算出された過去の一定期間の実績売上高を用いて、予定返済期間に対応する前年度実績確定売上高を計算する。
【0055】
続いて、貸付額設定部352は、予定返済期間に対応する前年度実績確定売上高でローン利用事業者10の希望ローン額を除して、前年度実績確定売上高に対する希望ローン額のローン化割合を算出する。
【0056】
例えば、計算された前年度実績確定売上高に対するローン化割合が1より大きい場合、すなわち希望ローン額が予定返済期間の前年度実績確定売上高を上回る場合には、計算する対象期間を延長して、対応する前年度実績確定売上高の計算及び前年度実績確定売上高に対する希望ローン額の割合の算出を行い、前年度実績確定売上高に対する希望ローン額のローン化割合が1より小さくなるまで繰り返す。
【0057】
上述の計算において、計算の対象期間の延長は、1か月単位の延長とすることが好ましく、予定返済期間は1年以内とすることが好ましい。
なお、ローン化割合を1として、上記計算を行うことは、一例であって、これに限定されるものではない。ローン利用事業者の信用度に応じて、ローン化割合は変更され得る。
【0058】
貸付額設定部352は、前年度実績確認売上高に対する希望ローン額のローン化割合が1よりも小さくなる対象期間が見出されると、その期間を予定返済期間とみなして、みなし返済期間に設定し、希望ローン額をローン貸付額に設定する。そして、ローン貸付額をみなし返済期間に対応する前年度の実績確認売上高で除してローン化割合を算出し、これらの設定値をデータベース320に保存する。
【0059】
返済開始日はローン実行日の翌日以降であれば特に制限されないが、決済及び/又は分別支払の代行事業者の支払時期に対応させて、みなし返済期間の開始月の翌月とすることが好ましい。
【0060】
予定返済期間は、特に返済期限として設定されるものではないが、通常1年程度に設定され、手元流動性資金の調達等の目的によって、対象期間を3か月、6か月等の期間を設定してもよい。また、予定返済期間はローン設定、返済管理のしやすさから月単位とすることが好ましい。
【0061】
ローン化割合は特に制限はないが、通常、10%~30%であり、ローン化割合はまた、予定返済期間におけるローン利用事業者の売上高に対するローンの返済比率に反映されるため、返済によるローン利用事業の手元流動資金の不足を防止するために、ローン化割合に上限を設けることが好ましく、ローン化割合の上限としては予定返済期間に対応する前年度の実績確定売上高の50%に相当する値とすることが好ましい。
【0062】
利息設定部354は、ローン貸付額とみなし返済期間に基づいて、予め設定された変換表を使用して、利息を計算し、ローン貸付額に合算した金額を元本金利合計額に設定し、例えば、ローン実行日の翌日を返済開始日に設定してデータベース320に保存する。
【0063】
貸付額設定部352、利息設定部354で設定してデータベース320に保存されたローン貸付額、ローン化割合及び返済比率、返済開始日、元本金利合計額は、ローン情報通知部356からサーバ通信部330を介してローン利用事業者10の情報端末100に送信される。
【0064】
次に、本実施形態によるシステムセンタサーバ300の返済管理部360の機能、動作について説明する。
【0065】
ローンの返済管理を行う返済管理部360は、返済金を計算する返済金額設定部362、返済の終了及び返済期間の延長を判断する返済状況判断部364、設定されたローン貸付額、返済金の返済終了及び返済期間延長を通知する返済通知部366を含む。
【0066】
ローン提供事業者30は、設定したローンプランをもとに、ローン利用事業者10との間でローン契約を締結する。
【0067】
ローン利用事業者10とローン提供事業者30との間で、ローン契約が締結され、当該ローンが実行されて返済期間がスタートすると、システムセンタサーバ300には、ローン利用事業者10の情報端末100から返済期間の開始日(例えば、ローン実行日)以降のローン利用事業者10の預貯金口座の取引履歴情報が送信される。
【0068】
返済金額設定部362は、返済期間の開始日以降のローン利用事業者10の預貯金口座の取引履歴情報に基づいて当月返済金を計算する。当月返済金の計算は、預貯金口座に記載された商取引にともなう決済代金となる、現金決済による入金額と、決済機関、決済代行業者、及び電子商取引サイト運営者からの入金額と、それらの各入金日とに基づいて算出した月間実績売上高に返済比率を乗じて計算する。計算した返済金の金額はデータベース320に保存される。
【0069】
なお、返済金額設定部362は、月間実績売上高に乗じる返済比率として、予め返済開始後に見込まれる売上高(目標月間売上高という)の金額レベルに応じて、異なる返済比率を適用してもよい。例えば、売上高を、10万円以上50万円未満、50万円以上100万円未満、100万円以上のレンジに分けて、各売上高の金額レンジに対して、それぞれ異なる返済比率(10%、15%、20%)を、ローン利用事業者の合意のもとで設定しておく。これにより、売上を伸ばした事業者はより短期間でローンを完済することが可能になり、結果的に金利負担を少なくでき、売上の伸ばす金利面でのインセンティブを付けることができる。
【0070】
他の返済金設定オプションとして、返済金額設定部362は、月間実績売上高が予め設定された目標月間売上高の金額レンジ内にある場合、返済比率による計算を行わずに、金額レンジに対して予め設定された定額の返済金を記当月返済金に設定してもよい。この場合、毎月の売上報告が簡易化されるので、返済に要する手間が省けて返済し易くなるという利点がある。
【0071】
さらに他の返済金設定オプションとして、返済金額設定部362は、月間実績売上高が0(ゼロ)である場合、当月返済額は0とするが、翌月以降の月間実績売上高に対して、返済比率に上乗せ金利に相当する返済比率を適用してもよい。そして、月間実績売上高が所定の期間にわたって0(ゼロ)が継続した場合、予めローン利用事業者の合意のもとに、ローン利用事業者10の情報端末100に一括返済請求を通知するように設定してもよい。
【0072】
返済金額設定部362は、情報端末100から送信された確定当月返済金額と、システムセンタサーバ300側で計算してデータベース320に保存された返済金額とを比較し、両者が一致すれば当月返済金額を決定し、当月返済額確認情報を出力する。なお、両者が一致しない場合は、情報端末100に返済金額見直し依頼を送信する。
【0073】
返済終了を判断する返済状況判断部364は、返済期間開始以降の当月返済金を累計し、返済金累計額が元本金利合計額以上になれば、元本金利合計額以上となった時点の返済金を最終返済金に設定し、返済通知部366に最終返済金が設定されローンの返済が終了することを通知する。
【0074】
返済状況判断部364は、最終返済金が、返済金累計額が元本金利合計額と同額となるよう、元本金利合計額を超過した分は切り捨てた額とし、情報端末100から送信された最終当月返済金と一致すれば最終当月返済金を決定し、当月返済金情報を出力する。
返済状況判断部364は、返済期間を過ぎても返済金累計額が元本金利合計額に到達しなければ、返済期間の延長を、返済通知部366に伝達する。返済期間の延長は、返済金累計額が元本金利合計額に到達するまで続けられる。
【0075】
また、返済状況判断部364は、ローン返済開始月からローン貸付額に対する返済の終了が確定した月までの期間に基づいて、ローン利用事業者10の信用スコアを評価し、システムセンタサーバ300のデータベース320に保存してもよい。この信用スコアは、従前のローンのようにローンを完済したか否かではなく、如何なるスピードで返済したかを計測出来るため、より売上データに則した信用スコアリングとすることが出来る。
【0076】
返済通知部366は、返済金額設定部362で設定した返済金及び返済状況判断部364で判断した返済の終了及び返済期間の延長の有無を、ローン利用事業者10の情報端末100に当月返済金通知としてサーバ通信部330を介して通知する。
【0077】
返済通知部366からサーバ通信部330を介して通知する当月返済金通知は、当月返済金額、返済の終了の有無及び返済期間の延長の有無の他に、ローン貸付額、ローン化割合、みなし返済期間、返済開始日、当月返済金を含む累計返済金額、返済残額を含む。
【0078】
システム制御部370は、上述した各機能部及びシステム全般を制御する。
【0079】
図4は、本発明の他の実施形態による売上比例返済方式ローン管理システムのスキームを説明するための図であり、本スキームにおいても、ローン利用事業者10とローン提供事業者30との間でのローン契約の締結を前提としている。
【0080】
図4を参照しながら、本発明の他の実施形態のスキームの流れを説明する。
【0081】
ローン利用事業者10は、ローン利用事業者名義の預貯金口座が開設された金融機関の口座管理サーバ200(
図2参照)に銀行API(Application Programming Interface)を介してローン利用事業者名義の預貯金口座の取引履歴情報を取得するためのログイン情報と、当該預貯金口座の代理人契約及び代理受領契約情報とを含むローン申込情報を、ローン提供事業者30に提出し、提出されたログイン情報を使って銀行APIを介して取得された取引履歴情報に基づいて、ローン提供事業者30は、ローン貸付額及び所定のみなし利息を設定設定して、ローン利用事業者10にローン貸付金を支払う、すなわち、融資を実行する。これにより、ローン利用事業者10は、簡易な手続きで、短い審査期間により必要な手元流動性の資金を確保することができ、ローン返済開始月以降に、ローン提供事業者30との間で事前に合意された一定比率を、当月売上(月間実績売上高)に乗じた金額を、当月返済金として支払う。
【0082】
返済金の支払についてローン利用事業者10は、ローン利用事業者10が利用する金融機関の口座管理サーバ(以下、ローン利用事業者の口座管理サーバという)200に対し、銀行APIを介して返済金の支払いを依頼し、ローン利用事業者の口座管理サーバ200は、ローン利用事業者10の預貯金口座からローン提供事業者30に対し返済金の支払いを行う。なお、返済金の支払いは、ローン利用事業者の口座管理サーバ200から、
図2に示すローン提供事業者30が利用する金融機関の口座管理サーバ(以下、ローン提供事業者の口座管理サーバという)400に、直接振り込まれてもよい。
【0083】
ローン提供事業者30に対する返済金の支払いは、ローン実行日以降より開始され、ローン利用事業者10が受け取ったローン貸付額とみなし利息との合計額と、ローン提供事業者30が返済を受けた返済金累計額とが一致するまで続けられる。
【0084】
本発明の他の実施形態による売上比例返済方式ローン管理システムにおいて、ローン利用事業者の口座管理サーバ200は、当該金融機関によって承認された預貯金口座の照会機能等を使用可能にするソフトウェアプログラム(銀行APIという)が実行されるコンピュータであって、そのハードウェア構成は公知のものであるため、詳細な説明は省略する。
【0085】
また、ローン利用事業者10が使用する情報端末100、及びローン提供事業者30が使用するシステムセンタサーバ300の機能及び構成は、上述した本発明の一実施形態で説明したものと同一である。
【0086】
本発明の他の実施形態において、ローン利用事業者10とローン提供事業者30との間で、ローン契約が締結され、当該ローンの返済期間がスタートすると、システムセンタサーバ300は、銀行APIを介してローン利用事業者の口座管理サーバ200から返済期間の開始日以降のローン利用事業者名義の預貯金口座の取引履歴情報を取得する。なお、取引履歴情報のうち、対象となる決済機関、決済代行業者、及び電子商取引サイト運営者は、上述した本発明の一実施形態と同様に、データベース320に予め登録された決済機関、決済代行業者、及び電子商取引サイト運営者情報に基づいて、システム制御部370が特定するようにしてもよい。
【0087】
本発明の他の実施形態は、銀行APIを介してシステムセンタサーバ300がローン利用事業者の商取引情報を取得すること以外の動作は、上述した本発明の一実施形態で説明したものと同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0088】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 売上比例返済方式ローン管理システム
5 通信ネットワーク
10 ローン利用事業者
20 決済及び/又は分別支払の代行事業者
30 フローン提供事業者
100 情報端末
110 入力部
120 記憶部
130 端末通信部
140 返済金計算部
150 返済金修正部
200、400 口座管理サーバ
300 システムセンタサーバ
310 受付部
320 データベース
330 サーバ通信部
340 売上実績算出部
350 ローン設定部
352 貸付額設定部
354 利息設定部
356 ローン情報通知部
360 返済管理部
362 返済金額設定部
364 返済状況判断部
366 返済通知部
370 システム制御部