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  • 特開-搾りだし可能な紙容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047567
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】搾りだし可能な紙容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/42 20060101AFI20230330BHJP
   B65D 5/40 20060101ALI20230330BHJP
   B65D 77/06 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
B65D5/42 F
B65D5/40
B65D77/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156543
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安藤 聡真
【テーマコード(参考)】
3E060
3E067
【Fターム(参考)】
3E060AA04
3E060AA05
3E060AB04
3E060BA03
3E060BC01
3E060BC04
3E060CF06
3E060DA17
3E060EA13
3E067AA04
3E067AB26
3E067AC01
3E067BA06A
3E067BA06C
3E067BA12B
3E067BB01C
3E067BB14B
3E067BC07A
3E067BC07B
3E067BC07C
3E067CA04
3E067CA07
3E067EB17
3E067EB27
3E067EE59
3E067FA01
3E067FA04
3E067FB15
3E067FC01
3E067GA01
(57)【要約】
【課題】流体から成る内容物を収容した紙容器であって、この流体内容物が比較的粘度の高いものであっても、容易に搾り出すことができる紙容器を提供すること。
【解決手段】四角筒状の胴部と、この胴部の天部及び底部とで紙容器10を構成する。四角筒状胴部を構成する4枚の胴部片のうち、流体内容物の注出方向に位置する胴部片を正面板11の方向とし、この正面板に対向する胴部片を背面板13とするとき、この背面板に、前記天部から底部に向かう方向に延びる折り罫線(背面側折り罫線)13aを設ける。この背面側折り罫線13aで折り曲げ、紙容器10を潰して内容物を搾り出す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角筒状の胴部と、この胴部の天部及び底部とで構成され、流体内容物を収容する紙容器であって、
前記四角筒状胴部を構成する4枚の胴部片のうち、流体内容物の注出方向に位置する胴部片を正面板の方向とし、この正面板に対向する胴部片を背面板とするとき、この背面板に、前記天部から底部に向かう方向に延びる折り罫線(背面側折り罫線)が設けられていることを特徴とする搾りだし可能な紙容器。
【請求項2】
前記背面側折り罫線が、その天部側及び底部側で、二股に分かれていることを特徴とする請求項1に記載の搾りだし可能な紙容器。
【請求項3】
前記四角筒状胴部を構成する4枚の胴部片のうち、正面板と背面板との間に位置する2枚の胴部片を左右の側面板とするとき、これら左右の側面板の両者に、前記天部から底部に向かう方向に延びる折り罫線(側面側折り罫線)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の搾りだし可能な紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体から成る内容物を収容した紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
紙を主な素材として、液体内容物を収容する容器は周知である。例えば、紙の内面に樹脂層を積層したブランクを組み立てて、ゲーベルトップ型の容器としたものは紙パックの俗称で親しまれている(特許文献1参照)。この容器は、ブランクから容器を組み立てる際に、内面側樹脂層を互いにシールして、液体内容物が漏れることを防止している。液体内容物として飲料を収容する容器として主に利用されており、その代表的な内容物には、ミルク、ジュース、酒類等がある。
【0003】
また、口栓を装着した袋を収容した紙箱も使用されており、例えば、バッグ・イン・ボックスの名称で知られている(特許文献2参照)。この容器は、樹脂製で水密な袋に液体内容物を収容し、この袋を外装の紙箱に収容したものである。そして、袋に装着した口栓を外装箱の外側に突出させることにより、袋を外装箱中に収容したまま、前記口栓から液体内容物を外部に注出することができる。
【0004】
ところで、これら紙容器にあっては、収容される内容物は粘性に乏しい液体であって、このため、容器を傾ければ、口栓その他の注出口から容易に注出することができた。
【0005】
しかしながら、内容物が比較的粘度の高い流体である場合には、容器を傾けただけでは容易に注出することができない。このため、これら紙容器に粘性の流体を収容することはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-179841号公報
【特許文献2】特開平7-17566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような技術的背景に基づいてなされたもので、流体から成る内容物を収容した紙容器であって、この流体内容物が比較的粘度の高いものであっても、容易に搾り出すことができる紙容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明は、四角筒状の胴部と、この胴部の天部及び底部とで構成され、流体内容物を収容する紙容器であって、
前記四角筒状胴部を構成する4枚の胴部片のうち、流体内容物の注出方向に位置する胴部片を正面板の方向とし、この正面板に対向する胴部片を背面板とするとき、この背面板に、前記天部から底部に向かう方向に延びる折り罫線(背面側折り罫線)が設けられていることを特徴とする搾りだし可能な紙容器である。
【0009】
本発明に係る容器は、前記背面側折り罫線が、その天部側及び底部側で、二股に分かれていてもよい。
【0010】
また、本発明に係る容器は、前記四角筒状胴部を構成する4枚の胴部片のうち、正面板
と背面板との間に位置する2枚の胴部片を左右の側面板とするとき、これら左右の側面板の両者に、前記天部から底部に向かう方向に延びる折り罫線(側面側折り罫線)が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る容器は、背面板に天部から底部に向かう方向に延びる背面側折り罫線が設けられているため、内容物を注出する際に、この背面側折り罫線で背面板を二つ折りすることにより内容物を搾り出すことができる。内容物は粘性の小さい液体であってもよいが、比較的粘度の高いものであっても、容易に搾り出すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明の第1の実施形態の紙容器に係り、図1(a)はこの紙容器を斜め正面側から見た斜視図、図1(b)は斜め背面側から見た斜視図である。
図2図2は本発明の第1の実施形態の紙容器のブランクを示す展開図である。
図3図3は本発明の第1の実施形態の紙容器に係り、この紙容器から内容物を搾り出す方法を説明するための説明用断面図である。
図4図4は本発明の第2の実施形態の紙容器に係り、図4(a)はこの紙容器を斜め正面側から見た斜視図、図4(b)は斜め背面側から見た斜視図である。
図5図5は本発明の第2の実施形態の紙容器のブランクを示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の具体例を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の紙容器に係り、図1(a)はこの紙容器を斜め正面側から見た斜視図、図1(b)は斜め背面側から見た斜視図である。
【0014】
これら図1(a)及び図1(b)から分るように、この容器10は、ゲーベルトップ型の紙容器である。周知のように、このゲーベルトップ型紙容器10は、四角筒状の胴部と、この胴部の天部15及び底部16とで構成されており、四角筒状の胴部はこの天部15及び底部16で水密に密封されている。
【0015】
そして、その天部の屋根板には口栓が装着されており、内容物はこの口栓から注出される。そこで、前記四角筒状胴部を構成する4枚の胴部片のうち、この口栓の下側、すなわち、底部側に位置する胴部片を正面板11と呼び、これに対向する胴部片を背面板13、正面板と背面板との間に位置する2枚の胴部片を左右の側面板12,14とするとき、背面板13及び左右の側面板12,14のそれぞれに、天部から底部に向かう方向に延びる折り罫線13a,12a及び14aが設けられている。
【0016】
これら3本の折り罫線13a,12a及び14aうち、背面板13に設けられた折り罫線(背面側折り罫線)13aは、内容物を搾り出す際に二つ折りするもので、この背面側折り罫線13aは、その中央13aが天部から底部に向かう方向に延びており、天部側及び底部側の両端では、二股に分かれている。なお、こうして二股に分かれた端部13aは、背面板13の4隅に向かって延びていることが望ましい。
【0017】
また、左右の側面板12,14に設けられた折り罫線(側面側折り罫線)12a,14aも内容物を搾り出す際に二つ折りするものであるが、これに加えて、容器10を把持する際に、持ち易くするものである。そして、これら側面側折り罫線12a,14aも、その中央12a,14aが天部から底部に向かう方向に延びており、天部側及び底部側の両端では、二股に分かれている。なお、こうして二股に分かれた端部12a,14aは、それぞれ、左右の側面板12,14の4隅に向かって延びていることが望ましいが、必ずしも4隅に向かって延びていることを要しない。
【0018】
次に、図2はこの容器10のブランクを示す展開図を示している。容器10はゲーベルトップ型の紙容器であり、ゲーベルトップ型紙容器のブランクは周知である。そして、この容器10のブランクは、背面板13及び左右の側面板12,14に背面側折り罫線13aと側面側折り罫線12a,14aとが設けられている点を除き、周知のゲーベルトップ型紙容器のブランクと同様である。そして、このブランクを組み立てて容器10を製造する方法及び内容物を充填して密封する方法も、周知のゲーベルトップ型紙容器の場合と同様である。
【0019】
次に、図3を参照しながら、この容器10に充填・収容された内容物を搾り出す方法を説明する。図3はこの紙容器10から内容物を搾り出す方法を説明するための説明用断面図である。
【0020】
この図3に示すように、例えば片手で両側面板12,14を把持し、その手に力を籠めることにより、両側面板12,14を側面側折り罫線12a,14aの中央12a,14aで谷折りする。この谷折りの際に、側面側折り罫線12a,14aの端部12a,14aにおいても折り曲げられる。そして、このように側面側折り罫線12a,14aの中央12a,14aと端部12a,14aの両方で折り曲げられるため、両側面板12,14は、その側面側折り罫線12a,14aの位置で、容器10の内側に向かって深く沈み込むのである。
【0021】
そして、このように両側面板12,14を谷折りすることに伴い、背面板13が背面側折り罫線13aの中央13aで山折りされる。この山折りの際にも、背面側折り罫線13aの端部13aも折り曲げられる。前述のように背面側折り罫線13aの端部13aは背面板13の4隅に向かって延びているから、両側面板12,14を把持した手に強く力を籠めることにより、背面板13が潰れて平坦になるまでこの背面板13を折り曲げることができる。
【0022】
図3から分かるように、側面側折り罫線12a,14aや背面側折り罫線13aで折り曲げたときの容器10の内容積は、折り曲げる前の状態の容器10の内容積より小さい。そして、この折り曲げによって生じた内容積の減少分だけ、内容物は口栓から外部に搾り出される。なお、前述のように背面板13が潰れて平坦になるまで折り曲げたとき、理論的には内容物の全部を搾り出すことができる。
【0023】
次に、図4は、本発明の第2の実施形態の紙容器20に係り、図4(a)はこの紙容器20を斜め正面側から見た斜視図、図4(b)は斜め背面側から見た斜視図である。また、図5はこの容器20のブランクを示す展開図である
この容器20は、いわゆるバッグ・イン・ボックスの外箱である。前述のように、バッグ・イン・ボックスは、樹脂製で水密な袋に液体内容物を収容し、この袋を外箱に収容したものである。このため、容器20は、水密であることを要しない。
【0024】
この容器20には、袋に装着された口栓を紙容器20の外側に突出させる孔が設けられており、このため、前記袋を容器20に収容したまま、口栓から内容物を容器20の外部に注出することができる。
【0025】
そして、この口栓の下側、すなわち、底部側に位置する胴部片を正面板21と呼び、これに対向する胴部片を背面板23、正面板と背面板との間に位置する2枚の胴部片を左右の側面板22,24とするとき、背面板23及び左右の側面板22,24のそれぞれに、天部から底部に向かう方向に延びる折り罫線23a,22a及び24aが設けられている。
【0026】
これら背面側折り罫線23a及び側面側折り罫線22a,24aは、第1の実施形態に係る背面側折り罫線13a及び側面側折り罫線12a,14aと同様である。すなわち、背面側折り罫線23aはその中央23aが天部から底部に向かう方向に延びている。そして天部側及び底部側の両端では、二股に分かれており、こうして二股に分かれた端部23aは、背面板23の4隅に向かって延びている。
【0027】
また、側面側折り罫線22a,24aも、その中央22a,24aが天部から底部に向かう方向に延びており、天部側及び底部側の両端では、二股に分かれている。図中、「22a」及び「24a」は、こうして二股に分かれた端部を示している。
【0028】
この容器20から内容物を搾り出す方法も、第1の実施形態に係る容器10と同様である。すなわち、両側面板22,24を把持して力を籠めることにより、両側面板22,24を側面側折り罫線22a,24aで谷折りすると共に、背面板23を背面側折り罫線23aで山折りすることにより、内容物を搾り出すことができる。理想的には、二つ折りされた背面板23が平坦になるまで容器20を潰すことにより、内容物の全量を搾り出すことができる。
【符号の説明】
【0029】
10:紙容器
11:正面板
12:側面板
12a:側面側折り罫線 12a:側面側折り罫線の中央 12a:側面側折り罫線の端部
13:背面板
13a:背面側折り罫線 13a:背面側折り罫線の中央 13a:背面側折り罫線の端部
14:側面板
14a:側面側折り罫線 14a:側面側折り罫線の中央 14a:側面側折り罫線の端部
15:天部
16:底部
20:紙容器
図1
図2
図3
図4
図5