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  • 特開-財務分析システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047574
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】財務分析システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/063 20230101AFI20230330BHJP
【FI】
G06Q10/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156552
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】521124629
【氏名又は名称】株式会社みどりデジタルサポート
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 貴志男
(72)【発明者】
【氏名】濱谷 充信
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】複数会計年度にわたる損益分岐点の推移を提示できる財務分析システムを提供する。
【解決手段】財務分析システムは、複数会計年度分の財務データを記憶する記憶部と、財務データに基づき複数会計年度にわたる所定期間ごとの損益分岐点売上高を求める分析部と、複数会計年度にわたる損益分岐点売上高の推移を示す時系列グラフ31を含む分析結果画面3を生成する画面生成部とを備える。複数会計年度にわたる損益分岐点売上高の推移が提示されるので、損益分岐点売上高が上昇傾向にあるのか、下降傾向にあるのか、容易に把握できる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数会計年度分の財務データを記憶する記憶部と、
前記財務データに基づき複数会計年度にわたる所定期間ごとの損益分岐点売上高を求める分析部と、
複数会計年度にわたる損益分岐点売上高の推移を示す時系列グラフを含む分析結果画面を生成する画面生成部と、を備える
ことを特徴とする財務分析システム。
【請求項2】
前記時系列グラフは前記損益分岐点売上高の移動平均を示す
ことを特徴とする請求項1記載の財務分析システム。
【請求項3】
前記分析部は、前記財務データに基づき複数会計年度にわたる前記所定期間ごとの売上高、固定費、変動費および利益のうちの1または複数を求め、
前記時系列グラフは、複数会計年度にわたる前記売上高、前記固定費、前記変動費および前記利益のうちの1または複数の推移を含む
ことを特徴とする請求項1または2記載の財務分析システム。
【請求項4】
前記分析部は、前記固定費を人件費とその他固定費とに分けて、それぞれを求め、
前記時系列グラフは、複数会計年度にわたる前記人件費および前記その他固定費の推移を含む
ことを特徴とする請求項3記載の財務分析システム。
【請求項5】
前記分析結果画面は、複数会計年度にわたる前記固定費および前記変動費の推移を示す固定費・変動費推移表を含む
ことを特徴とする請求項3または4記載の財務分析システム。
【請求項6】
前記分析部は、前記財務データに基づき複数会計年度にわたる前記所定期間ごと科目ごとの集計額を求め、
前記分析結果画面は、複数会計年度にわたる前記科目ごとの前記集計額の推移を示す科目集計表を含む
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の財務分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、財務分析システムに関する。さらに詳しくは、本発明は、損益分岐点の推移を提示する財務分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業の収益力を示す指標として損益分岐点が知られている。売上高が損益分岐点を超えれば利益が得られ、売上高が損益分岐点に達しなければ損失が発生する。損益分岐点は重要な指標であるから、市販の会計ソフトにも損益分岐点を算出するものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
利益管理において重要なのは複数会計年度にわたる損益分岐点の推移である。例えば、損益分岐点が上昇傾向にある場合には、固定費の削減などに取り組む必要がある。しかし、一般に、会計ソフトは会計年度ごとに集計を行なうことから、損益分岐点の算出も単一の会計年度の値が求められるだけである。複数会計年度にわたる損益分岐点の推移を確認できる会計ソフトは知られていない。
【0004】
本発明は上記事情に鑑み、複数会計年度にわたる損益分岐点の推移を提示できる財務分析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明の財務分析システムは、複数会計年度分の財務データを記憶する記憶部と、前記財務データに基づき複数会計年度にわたる所定期間ごとの損益分岐点売上高を求める分析部と、複数会計年度にわたる損益分岐点売上高の推移を示す時系列グラフを含む分析結果画面を生成する画面生成部と、を備えることを特徴とする。
第2発明の財務分析システムは、第1発明において、前記時系列グラフは前記損益分岐点売上高の移動平均を示すことを特徴とする。
第3発明の財務分析システムは、第1または第2発明において、前記分析部は、前記財務データに基づき複数会計年度にわたる前記所定期間ごとの売上高、固定費、変動費および利益のうちの1または複数を求め、前記時系列グラフは、複数会計年度にわたる前記売上高、前記固定費、前記変動費および前記利益のうちの1または複数の推移を含むことを特徴とする。
第4発明の財務分析システムは、第3発明において、前記分析部は、前記固定費を人件費とその他固定費とに分けて、それぞれを求め、前記時系列グラフは、複数会計年度にわたる前記人件費および前記その他固定費の推移を含むことを特徴とする。
第5発明の財務分析システムは、第3または第4発明において、前記分析結果画面は、複数会計年度にわたる前記固定費および前記変動費の推移を示す固定費・変動費推移表を含むことを特徴とする。
第6発明の財務分析システムは、第1~第5発明のいずれかにおいて、前記分析部は、前記財務データに基づき複数会計年度にわたる前記所定期間ごと科目ごとの集計額を求め、前記分析結果画面は、複数会計年度にわたる前記科目ごとの前記集計額の推移を示す科目集計表を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数会計年度にわたる損益分岐点売上高の推移が提示されるので、損益分岐点売上高が上昇傾向にあるのか、下降傾向にあるのか、容易に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る財務分析システムの全体構成図である。
図2】同財務分析システムの機能ブロック図である。
図3】科目集計データの一例である。
図4】分析結果画面の一例である。
図5】吹き出しを表示した場合の分析結果画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る財務分析システムAAは、サーバ装置1とクライアント端末2とを有する。サーバ装置1とクライアント端末2とは、インターネットなどの通信網を介して接続されている。クライアント端末2の数は特に限定されないが、通常、複数である。
【0009】
サーバ装置1は、CPU、メモリなどで構成されたコンピュータである。サーバ装置1として所謂クラウドサーバを用いることができる。クライアント端末2は、CPU、メモリなどで構成されたコンピュータである。クライアント端末2はシステムの利用者が直接操作するものである。クライアント端末2としてパーソナルコンピュータ、タブレット端末などを用いることができる。
【0010】
図2に示すように、サーバ装置1は、記憶部11、分析部12、画面生成部13および通信制御部14を有する。一方、クライアント端末2は端末アプリケーション21および通信制御部24を有する。これらは、ハードウエアで構成されてもよいし、ソフトウエアをコンピュータにインストールすることにより実現してもよい。また、クライアント端末2はディスプレイなどの表示装置22、キーボード、マウスなどの入力装置(不図示)を有する。
【0011】
通信制御部14、24は、通信網と接続し、データの送受信を行なう機能を有する。通信制御部14、24により、サーバ装置1およびクライアント端末2が通信網に接続される。
【0012】
端末アプリケーション21はシステムの利用者に対するユーザーインターフェースを担う。端末アプリケーション21はウェブブラウザでもよいし専用のアプリケーションでもよい。利用者が端末アプリケーション21を介してサーバ装置1にリクエストすると、サーバ装置1は財務データを分析して分析結果画面を生成する。以下、サーバ装置1の処理を詳説する。
【0013】
記憶部11には複数会計年度分の財務データが記憶されている。財務データは仕訳データでもよいし、仕訳データを科目ごとに集計した科目集計データでもよい。科目集計データは分析部12が仕訳データに基づき所定期間ごと科目ごとの集計額を求めることで生成できる。
【0014】
科目集計データは、例えば、図3に示すデータ構造を有する。科目集計データは、科目コード、科目名、費用区分および所定期間ごとの集計額を含む表形式のデータである。科目コードは科目を一意に特定するコードである。科目名は科目の名称である。費用区分は売上/経費の識別、固定費/変動費の識別、人件費/その他固定費の識別を行なうための区分である。例えば、売上は「0」、人件費は「1」、その他固定費は「2」、変動費は「3」と定められる。なお、人件費とその他固定費とを合計したものが固定費である。また、固定費と変動費とを合計したものが経費である。
【0015】
集計額は所定期間ごと科目ごとに集計した額である。図3に示す例では会計年度ごとの集計額となっているがこれに限定されない。日ごと、週ごと、月ごと、四半期(3ヶ月)ごと、または半期(6ヶ月)ごとの集計額としてもよい。また、移動平均の区間ごとに集計してもよい。すなわち、「所定期間」の概念には移動平均の区間が含まれる。例えば、12ヶ月の月別移動平均を求める場合には、1ヶ月ずつずらした12ヶ月の区間ごとに集計し、集計額を12で割ればよい。なお、移動平均の区間は12ヶ月より短くてもよく、長くてもよい。また、月別移動平均に限定されず、日別移動平均などでもよい。
【0016】
分析部12は、記憶部11に記憶された財務データに基づき、複数会計年度にわたる所定期間ごとの損益分岐点売上高を求める。ここでいう損益分岐点売上高は所定期間における経費と同義である。したがって、図3に示す科目集計データを用いる場合には、費用区分が1、2、3の科目の集計額を合算すれば損益分岐点売上高を求めることができる。
【0017】
分析部12は、損益分岐点売上高に加えて、財務データに基づき複数会計年度にわたる所定期間ごとの売上高、固定費、変動費および利益のうちの1または複数を求めてもよい。図3に示す科目集計データを用いる場合には、費用区分が0の科目の集計額を合算すれば売上高を求めることができる。費用区分が1、2の科目の集計額を合算すれば固定費を求めることができる。費用区分が3の科目の集計額を合算すれば変動費を求めることができる。また、費用区分が0の科目の集計額の合算値(売上高)から費用区分が1、2、3の科目の集計額の合算値(損益分岐点売上高)を減算すれば利益を求めることができる。
【0018】
分析部12は、固定費を人件費とその他固定費とに分けて、それぞれを求めてもよい。図3に示す科目集計データを用いる場合には、費用区分が1の科目の集計額を合算すれば人件費を求めることができる。費用区分が2の科目の集計額を合算すればその他固定費を求めることができる。
【0019】
なお、分析部12が損益分岐点売上高などを求める期間は、特に限定されず、日、週、月、四半期(3ヶ月)、半期(6ヶ月)、年度などが挙げられる。また、分析部12は損益分岐点売上高などの移動平均を求めてもよい。例えば、12ヶ月の月別移動平均を求める場合には、1ヶ月ずつずらした12ヶ月の区間ごとに損益分岐点売上高などを求めればよい。
【0020】
画面生成部13は分析部12の分析結果を示す分析結果画面3を生成する。分析結果画面3は、例えば、図4に示す態様である。分析結果画面3は時系列グラフ31を有する。時系列グラフ31は横軸が時間、縦軸が金額の折れ線グラフである。時系列グラフ31には損益分岐点売上高推移線L1が含まれている。時系列グラフ31の横軸は複数会計年度にわたっている。そのため、損益分岐点売上高推移線L1は複数会計年度にわたる損益分岐点売上高の推移を示している。
【0021】
時系列グラフ31には、売上高推移線L2、固定費推移線L3、人件費推移線L4、およびその他固定費推移線L5が含まれてもよい。売上高推移線L2、固定費推移線L3、人件費推移線L4、およびその他固定費推移線L5は、それぞれ、複数会計年度にわたる売上高、固定費、人件費、およびその他固定費の推移を示す。なお、各推移線L1~L5は移動平均を示してもよい。
【0022】
変動費は損益分岐点売上高と固定費との差分として把握できる。また、利益は売上高と損益分岐点売上高との差分として把握できる。これに代えて、変動費および利益の推移を折れ線で明示的に示してもよい。
【0023】
分析結果画面3は固定費・変動費推移表32を有してもよい。固定費・変動費推移表32は複数会計年度にわたる固定費および変動費の推移を表形式で示したものである。図4に示す例では、固定費、その他固定費、人件費、変動費、および固定費と変動費との合計を会計年度ごとに示している。
【0024】
分析結果画面3は科目集計表33を有してもよい。科目集計表33は複数会計年度にわたる科目ごとの集計額の推移を表形式で示したものである。科目集計表33に表示される値は科目集計データから直接または演算して得られる。
【0025】
分析結果画面3はクライアント端末2に送信され端末アプリケーション21の表示画面として表示装置22に表示される。これにより、利用者が分析結果画面3を閲覧できる。
【0026】
図5に示すように、利用者が時系列グラフ31の特定のデータ点を選択した場合に、そのデータ点の詳細情報を示す吹き出しBを表示してもよい。図5に示す例では、2021年度の売上高、損益分岐点売上高、固定費、その他固定費、人件費の値を示している。これにより、利用者が具体的な数値を確認できる。なお、データ点の選択は、特に限定されず、マウスクリック、マウスオーバーなどによる選択でよい。
【0027】
分析結果画面3には複数会計年度にわたる損益分岐点売上高の推移が提示される。そのため、利用者は損益分岐点売上高が上昇傾向にあるのか、下降傾向にあるのか、容易に把握できる。この情報に基づき、固定費の削減などの対策を講じることができる。
【0028】
また、損益分岐点売上高などの推移を移動平均として表示すれば、年次決算の完了を待たずに、月次決算ベースで損益分岐点売上高などの推移を表示できる。あるいは、日次決算ベースで損益分岐点売上高などの推移を表示できる。そのため、損益分岐点売上高などの推移を迅速に把握できる。
【0029】
なお、サーバ装置1が有する機能の一部または全部をクライアント端末2が担ってもよい。したがって、財務分析システムAAはクライアントサーバシステムに限定されず、スタンドアローンでもよい。
【符号の説明】
【0030】
AA 財務分析システム
1 サーバ装置
11 記憶部
12 分析部
13 画面生成部
14 通信制御部
2 クライアント端末
21 端末アプリケーション
22 表示装置
24 通信制御部
3 分析結果画面
31 時系列グラフ
32 固定費・変動費推移表
33 科目集計表
図1
図2
図3
図4
図5