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特開2023-47582換気制御装置、換気制御方法、及び換気制御システム
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  • 特開-換気制御装置、換気制御方法、及び換気制御システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047582
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】換気制御装置、換気制御方法、及び換気制御システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20230330BHJP
   F24F 11/77 20180101ALI20230330BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20230330BHJP
   F24F 110/22 20180101ALN20230330BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20230330BHJP
   F24F 110/12 20180101ALN20230330BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F11/77
F24F110:20
F24F110:22
F24F110:10
F24F110:12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156565
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下町 浩二
(72)【発明者】
【氏名】工藤 隆一
(72)【発明者】
【氏名】本間 瑞基
(72)【発明者】
【氏名】黒木 洋
(72)【発明者】
【氏名】中垣 康平
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD03
3L056BD04
3L260AB15
3L260BA12
3L260CA12
3L260CA13
3L260CA32
3L260CA33
3L260FC03
(57)【要約】
【課題】空気調和装置が配置された室内において、室内の湿度の上昇を抑制する。
【解決手段】換気制御装置1は、エアコン3が配置された室内において、室内の空気を換気する換気扇2を制御する換気制御装置1であって、エアコン3が単位時間当たりに除湿する第1水分量WA1が、換気扇2を動作させることによって室内に流入する外気に含まれる単位時間当たりの第2水分量WA2よりも大きい場合に、換気扇2を動作させる第1制御部111を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置が配置された室内において、前記室内の空気を換気する換気装置を制御する換気制御装置であって、
前記空気調和装置が単位時間当たりに除湿する第1水分量が、前記換気装置を動作させることによって前記室内に流入する外気に含まれる単位時間当たりの第2水分量よりも大きい場合に、前記換気装置を動作させる第1制御部を備える、
換気制御装置。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記空気調和装置から吹き出す空気の流量と、前記換気装置によって前記室内に流入する外気の流量と、前記室内の絶対湿度と、前記空気調和装置から吹き出す空気の絶対湿度と、前記外気の絶対湿度と、に基づき、前記第1水分量が前記第2水分量よりも大きいか否かを判定する、
請求項1に記載の換気制御装置。
【請求項3】
前記室内の温度が前記外気の温度よりも高く、且つ、前記室内の絶対湿度が前記外気の絶対湿度よりも高い場合に、前記換気装置を動作させ、前記室内の温度が前記外気の温度よりも高く、且つ、前記室内の絶対湿度が前記外気の絶対湿度以下である場合に、前記換気装置を停止させる、第2制御部を備える、
請求項1又は請求項2に記載の換気制御装置。
【請求項4】
前記外気の温度が温度閾値以下である場合に、前記換気装置の動作を停止させる第3制御部を備える、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の換気制御装置。
【請求項5】
空気調和装置が配置された室内において、前記室内の空気を換気する換気装置を制御する換気制御方法であって、
前記空気調和装置が単位時間当たりに除湿する第1水分量が、前記換気装置を動作させることによって前記室内に流入する外気に含まれる単位時間当たりの第2水分量よりも大きい場合に、前記換気装置を動作させる第1制御ステップ、
を含む、換気制御方法。
【請求項6】
空気調和装置が配置された室内において、前記室内の空気を換気する換気装置と、前記換気装置を制御する換気制御装置と、を備える換気制御システムであって、
前記換気制御装置は、前記空気調和装置が単位時間当たりに除湿する第1水分量が、前記換気装置を動作させることによって前記室内に流入する外気に含まれる単位時間当たりの第2水分量よりも大きい場合に、前記換気装置を動作させる第1制御部を備える、
換気制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気装置を制御する換気制御装置、換気制御方法、及び換気制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
換気装置を制御するための種々の技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の建物換気システムは、風通しの良好な計測点Aにおいて少なくとも温度を計測するA点センサ、風通しの不良な計測点Bにおいて少なくとも湿度を計測するB点センサ、及び屋外において少なくとも温度を計測する屋外センサと、換気装置と、換気装置の運転制御を実行する制御装置を有し、計測点Aの温度と屋外温度との高低の判定制御が実行され、計測点Aの温度が屋外温度よりも高い場合は換気装置が運転され、計測点Aの温度が屋外温度よりも低い場合は、計測点Bの相対湿度と室内相対湿度上限値との高低の判定制御が実行され、計測点Bの相対湿度が室内相対湿度上限値よりも高い場合は換気装置の運転制御が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-219086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の建物換気システムでは、室内の湿度を適正に制御できない場合があった。
例えば、夏場でも外気の温度が低い場合には、空気調和機がサーモオフし、除湿量が低下する可能性がある。また、外気の給気を行うことによって、室内の湿度が上昇する可能性がある。
本発明は、空気調和装置が配置された室内において、室内の湿度の上昇を抑制することが可能な換気制御装置、換気制御方法、及び換気制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る実施形態は、空気調和装置が配置された室内において、前記室内の空気を換気する換気装置を制御する換気制御装置であって、前記空気調和装置が単位時間当たりに除湿する第1水分量が、前記換気装置を動作させることによって前記室内に流入する外気に含まれる単位時間当たりの第2水分量よりも大きい場合に、前記換気装置を動作させる第1制御部を備える、換気制御装置である。
【0006】
また、上記換気制御装置において、前記第1制御部は、前記空気調和装置から吹き出す空気の流量と、前記換気装置によって前記室内に流入する外気の流量と、前記室内の絶対湿度と、前記空気調和装置から吹き出す空気の絶対湿度と、前記外気の絶対湿度と、に基づき、前記第1水分量が前記第2水分量よりも大きいか否かを判定してもよい。
【0007】
また、上記換気制御装置において、前記室内の温度が前記外気の温度よりも高く、且つ、前記室内の絶対湿度が前記外気の絶対湿度よりも高い場合に、前記換気装置を動作させ、前記室内の温度が前記外気の温度よりも高く、且つ、前記室内の絶対湿度が前記外気の絶対湿度以下である場合に、前記換気装置を停止させる、第2制御部を備えてもよい。
【0008】
また、上記換気制御装置において、前記外気の温度が温度閾値以下である場合に、前記換気装置の動作を停止させる第3制御部を備えてもよい。
【0009】
本発明に係る別の実施形態は、空気調和装置が配置された室内において、前記室内の空気を換気する換気装置を制御する換気制御方法であって、前記空気調和装置が単位時間当たりに除湿する第1水分量が、前記換気装置を動作させることによって前記室内に流入する外気に含まれる単位時間当たりの第2水分量よりも大きい場合に、前記換気装置を動作させる第1制御ステップ、を含む、換気制御方法である。
【0010】
本発明に係る更に別の実施形態は、空気調和装置が配置された室内において、前記室内の空気を換気する換気装置と、前記換気装置を制御する換気制御装置と、を備える換気制御システムであって、前記換気制御装置は、前記空気調和装置が単位時間当たりに除湿する第1水分量が、前記換気装置を動作させることによって前記室内に流入する外気に含まれる単位時間当たりの第2水分量よりも大きい場合に、前記換気装置を動作させる第1制御部を備える、換気制御システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、空気調和装置が配置された室内において、室内の湿度の上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る換気制御システムの構成の一例を示す図である。
図2】換気扇、及び換気制御装置の構成の一例を示す図である。
図3】換気制御装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0014】
[1.換気制御システムの全体構成]
まず、図1を参照して、換気制御システム100の全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係る換気制御システム100の構成の一例を示す図である。図1には、方角を示している。例えば、図1の上方向が北であり、図1の右方向が東である。
換気制御システム100は、換気制御装置1と、換気扇2と、室内温湿度センサS1と、外気温湿度センサS2と、吹出温湿度センサS3と、二酸化炭素センサS4と、を備える。
換気制御装置1、室内温湿度センサS1、吹出温湿度センサS3、及び二酸化炭素センサS4は、部屋RMの室内に配置される。換気扇2は、部屋RMの壁面に配置される。
外気温湿度センサS2は、部屋RMの室外に配置される。本実施形態では、部屋RMの室外は、屋外の一部である。すなわち、ベランダBLは、屋外の一部である。
【0015】
部屋RMの室内には、エアコン3が配置される。エアコン3は、部屋RMの北側の壁面に配置される。
具体的には、エアコン3は、室内機31と、室外機32と、を含む。エアコン3の室内機31は、部屋RMの室内に配置される。室外機32は、ベランダBLに配置される。
【0016】
エアコン3は、冷暖房機能を有する。本実施形態では、エアコン3が、冷房運転を実行する場合について説明する。なお、エアコン3は、冷房運転中において、いわゆる、サーモオフ状態になる場合がある。「サーモオフ」とは、部屋RMの室内の温度がエアコン3の設定温度に達すると室外機32が停止することである。「サーモオフ」の状態では、室外機32が停止するため、エアコン3は、室内の空気を循環する送風運転状態になる。サーモオフ状態では、エアコン3によって室内の空気が除湿されないため、換気により室内の湿度が上昇する可能性がある。
エアコン3は、「空気調和装置」の一例に対応する。
【0017】
本実施形態では、空気調和装置がエアコン3である場合について説明するが、これに限定されない。空気調和装置が、除湿機能と、冷房機能とを備えればよい。例えば、空気調和装置が、冷房機能を有する除湿器でもよい。
【0018】
換気制御装置1は、換気扇2を制御する。
換気扇2は、換気扇21と、換気扇22と、で構成される。換気扇21と、換気扇22とは、略同一の構成を有する。換気扇21は、部屋RMの東側の壁面に配置される。換気扇22は、部屋RMの西側の壁面に配置される。
換気扇2は、外気を部屋RMの室内に流入させる。換気扇2は、換気制御装置1と通信可能に接続され、換気制御装置1からの指示に従って、オン及びオフする。
換気扇2は、「換気装置」の一例に対応する。
【0019】
本実施形態では、換気装置が換気扇2である場合について説明するが、これに限定されない。換気装置が部屋RMの室内へ外気を吸気可能であればよい。例えば、換気装置が、ファン等によって、ダクトを介して、外気を部屋RMの室内へ吸入してもよい。
本実施形態では、換気扇2は、換気扇21と、換気扇22と、で構成される場合について説明するが、これに限定されない。換気扇2が、1台の換気扇で構成されてもよいし、換気扇2が、3台以上の換気扇で構成されてもよい。
【0020】
室内温湿度センサS1は、部屋RMの室内に配置され、部屋RMの室内の温度T1及び湿度H1を検出する。
具体的には、室内温湿度センサS1は、室内温度センサS11と、室内湿度センサS12とを備える。室内温度センサS11は、部屋RMの室内の温度T1を検出する。室内湿度センサS12は、部屋RMの室内の湿度H1を検出する。なお、湿度H1は、相対湿度である。
室内温湿度センサS1によって検出された温度T1及び湿度H1は、換気制御装置1へ出力される。
【0021】
外気温湿度センサS2は、室外(例えば屋外)に配置され、外気の温度T2及び湿度H2を検出する。
具体的には、外気温湿度センサS2は、外気温度センサS21と、外気湿度センサS22とを備える。外気温度センサS21は、部屋RMの室外、すなわち屋外の外気の温度T2を検出する。外気湿度センサS22は、部屋RMの室外すなわち屋外の外気の湿度H2を検出する。なお、湿度H2は、相対湿度である。
外気温湿度センサS2によって検出された温度T2及び湿度H2は、換気制御装置1へ出力される。
【0022】
吹出温湿度センサS3は、エアコン3の吹き出し口に配置され、吹き出し口から吹き出される空気の温度T3及び湿度H3を検出する。
具体的には、吹出温湿度センサS3は、吹出温度センサS31と、吹出湿度センサS32とを備える。吹出温度センサS31は、吹き出し口から吹き出される空気の温度T3を検出する。吹出湿度センサS32は、吹き出し口から吹き出される空気の湿度H3を検出する。なお、湿度H3は、相対湿度である。
吹出温湿度センサS3によって検出された温度T3及び湿度H3は、換気制御装置1へ出力される。
【0023】
二酸化炭素センサS4は、部屋RMの室内に配置され、部屋RMの室内の二酸化炭素の濃度CRを検出する。二酸化炭素センサS4は、例えば、非分散型赤外線(NDIR: Non Dispersive Infrared)検出方式のように、赤外線の吸収特性を利用して検出する。
二酸化炭素センサS4によって検出された二酸化炭素の濃度CRは、換気制御装置1へ出力される。
【0024】
本実施形態では、換気制御システム100が二酸化炭素センサS4を備える場合について説明するが、これに限定されない。例えば、換気制御システム100が、二酸化炭素センサS4を備えなくてもよい。
【0025】
[2.換気扇、及び換気制御装置の構成]
次に、図2を参照して。換気扇2、及び換気制御装置1の構成について説明する。図2は、換気扇2、及び換気制御装置1の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、換気扇2は、駆動制御部211と、モータ213と、ファン215とを備える。
【0026】
駆動制御部211は、換気制御装置1からの指示信号SGに従って、モータ213の動作を制御する。駆動制御部211は、モータ213をオン及びオフすることによって、ファン215による吸気動作をオン及びオフする。
モータ213は、駆動制御部211からの指示に従って、ファン215を駆動する。
ファン215は、モータ213によって駆動され、部屋RMの室内に外気を供給する。
【0027】
次に、図2を参照して、換気制御装置1の構成について説明する。
図2に示すように、換気制御装置1は、例えば、パーソナルコンピュータで構成され、制御部11と、操作部12と、表示部13と、を備える。制御部11は、換気制御装置1の各部の動作を制御する。
【0028】
制御部11は、プロセッサー11Aと、メモリー11Bとを有する。プロセッサー11Aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)等で構成される。メモリー11Bは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成される。
メモリー11Bには、制御プログラムPGM等のデータが格納されている。また、メモリー11Bは、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)のような記憶装置を備えてもよい。
【0029】
プロセッサー11Aは、単一のプロセッサーで構成されてもよいし、複数のプロセッサーがプロセッサー11Aとして機能する構成であってもよい。プロセッサー11Aは、制御プログラムPGMを実行して、換気扇2の動作を制御する。
【0030】
操作部12は、例えば、キー、スイッチ、LED(Light Emitting Eiode)等を備える。操作部12は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に対応する操作信号を制御部11へ出力する。
【0031】
表示部13は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)で構成される。表示部13は、制御部11からの指示に従って、種々の画像を表示する。表示部13が、タッチパネルで構成されてもよい。この場合には、操作部12に換えて、又は、加えて、タッチパネルがユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に対応する操作信号を制御部11へ出力する。
【0032】
[3.制御装置の機能構成]
図2に示すように、制御部11は、第1制御部111、第2制御部112、及び第3制御部113を備える。
具体的には、制御部11のプロセッサー11Aが制御プログラムPGMを実行することによって、第1制御部111、第2制御部112、及び第3制御部113として機能する。
【0033】
第1制御部111は、エアコン3が単位時間当たりに除湿する第1水分量WA1が、換気扇2を動作させることによって部屋RMの室内に流入する外気に含まれる単位時間当たりの第2水分量WA2よりも大きい場合に、換気扇2を動作させる。
具体的には、第1制御部111は、エアコン3から吹き出す空気の流量F3と、部屋RMの室内に流入する外気の流量F2と、部屋RMの室内の絶対湿度HA1と、エアコン3から吹き出す空気の絶対湿度HA3と、外気の絶対湿度HA2と、に基づき、第1水分量WA1が第2水分量WA2よりも大きいか否かを判定する。
なお、絶対湿度HA1は、湿度H1と、温度T1とから求められる。絶対湿度HA2は、湿度H2と、温度T2とから求められる。絶対湿度HA3は、湿度H3と、温度T3とから求められる。絶対湿度HA1~絶対湿度HA3は、いわゆる「重量絶対湿度」である。なお、絶対湿度HA1~絶対湿度HA3は、いわゆる「容積絶対湿度」でもよい。
【0034】
第1水分量WA1は、エアコン3による潜熱の処理量W1として、次の式(1)で求められる。
W1=WT×D1×F3×(HA1-HA3) (1)
ここで、蒸発潜熱WTは、水が水蒸気に変化するために必要な熱量である。密度D1は、エアコン3から吹き出す空気の密度である。密度D1は、例えば、吹き出し口から吹き出される空気の温度T3及び湿度H3から求められる。
【0035】
流量F3としては、例えば、エアコン3の冷房運転時の流量の設計値を式(1)に入力する。具体的には、例えば、室内の温度T1と、温度設定値とに基づいて、エアコン3の冷房運転時の流量の設計値を求める。温度設定値は、推定値であってもよいし、操作部12からのユーザの操作に基づいて設定してもよい。
【0036】
第2水分量WA2は、換気扇2の換気による潜熱の取得量W2として、次の式(2)で求められる。
W2=WT×D2×F2×(HA2-HA1) (2)
ここで、密度D2は、換気扇2の換気によって流入する外気の密度である。流量F2としては、例えば、換気扇2の設計時に設定された流量を式(2)に入力する。密度D2は、例えば、室外の温度T2及び湿度H2から求められる。
【0037】
本実施形態では、吹出温湿度センサS3をエアコン3の吹き出し口に配置する場合について説明するが、これに限定されない。例えば、絶対湿度HA3として予め設定した値を用いてもよい。この場合には、吹出温湿度センサS3をエアコン3の吹き出し口に配置する必要がなく、換気制御システム100の構成を簡素化できる。
【0038】
このように、第1水分量WA1が第2水分量WA2よりも大きい場合に、換気扇2を動作させる。第1水分量WA1が第2水分量WA2よりも大きい場合には、外気を室内へ流入させることによって、例えば、室内の温度T1が上昇する。よって、例えば、エアコン3をサーモオフ状態から冷房運転状態に遷移させ、室内の空気をエアコン3に除湿させることができる。したがって、外気の室内への流入による室内の湿度H1の上昇を抑制できる。
【0039】
第2制御部112は、室内の温度T1が外気の温度T2よりも高く、且つ、室内の絶対湿度HA1が外気の絶対湿度HA2よりも高い場合に、換気扇2を動作させる。
また、第2制御部112は、室内の温度T1が外気の温度T2よりも高く、且つ、室内の絶対湿度HA1が外気の絶対湿度HA2以下である場合に、換気扇2を停止させる。
【0040】
このように、室内の温度T1が外気の温度T2よりも高く、且つ、室内の絶対湿度HA1が外気の絶対湿度HA2よりも高い場合に、換気扇2を動作させることによって、外気を室内に流入させ、室内の温度T1を低下させると共に、室内の湿度H1を低下できる。
また、室内の温度T1が外気の温度T2よりも高く、且つ、室内の絶対湿度HA1が外気の絶対湿度HA2以下である場合に、換気扇2を停止させることによって、外気の室内への流入による室内の湿度H1の上昇を抑制できる。
【0041】
第3制御部113は、外気の温度T2が温度閾値SHT以下である場合に、換気扇2の動作を停止させる。温度閾値SHTは、例えば、23℃である。
【0042】
このように、外気の温度T2が温度閾値SHT以下である場合に、換気扇2の動作を停止させるため、外気の室内への流入による室内の温度T1の過度の低下を抑制できる。
【0043】
[3.制御部の処理]
次に、図3を参照して、換気制御装置1の制御部11の処理について説明する。図3は、制御部11の処理の一例を示すフローチャートである。
図3に示すように、まず、ステップS101において、制御部11は、各センサの検出値を取得する。
具体的には、制御部11は、室内温湿度センサS1から温度T1及び湿度H1の各々の検出値を取得する。また、制御部11は、外気温湿度センサS2から温度T2及び湿度H2の各々の検出値を取得する。また、制御部11は、吹出温湿度センサS3から、温度T3及び湿度H3の各々の検出値を取得する。また、制御部11は、二酸化炭素センサS4から二酸化炭素の濃度CRの検出値を取得する。
【0044】
次に、ステップS103において、制御部11は、二酸化炭素の濃度CRの検出値が濃度閾値未満であるか否かを判定する。濃度閾値は、例えば、1000ppmである。
二酸化炭素の濃度CRの検出値が濃度閾値未満ではないと制御部11が判定した場合(ステップS103;NO)には、処理がステップS105へ進む。
そして、ステップS105において、制御部11は、換気扇2を動作させる。その後、処理がステップS129へ進む。
二酸化炭素の濃度CRの検出値が濃度閾値未満であると制御部11が判定した場合(ステップS103;YES)には、処理がステップS107へ進む。
そして、ステップS107において、制御部11は、室内の相対湿度である湿度H1が湿度閾値より大きいか否かを判定する。湿度閾値は、例えば、70%である。
【0045】
室内の湿度H1が湿度閾値より大きくないと制御部11が判定した場合(ステップS107;YES)には、処理がステップS109へ進む。
そして、ステップS109において、制御部11は、換気扇2を停止させる。その後、処理がステップS129へ進む。
室内の湿度H1が湿度閾値より大きいと制御部11が判定した場合(ステップS107;YES)には、処理がステップS111へ進む。
そして、ステップS111において、第3制御部113は、外気の温度T2が温度閾値SHTより大きいか否かを判定する。温度閾値SHTは、例えば、23℃である。
【0046】
外気の温度T2が温度閾値SHTより大きくないと第3制御部113が判定した場合(ステップS111;NO)には、処理がステップS113へ進む。
そして、ステップS113において、第3制御部113は、換気扇2を停止させる。その後、処理がステップS129へ進む。
外気の温度T2が温度閾値SHTより大きいと第3制御部113が判定した場合(ステップS111;YES)には、処理がステップS115へ進む。
そして、ステップS115において、第2制御部112は、室内の温度T1が外気の温度T2よりも高いか否かを判定する。
【0047】
室内の温度T1が外気の温度T2よりも高いと第2制御部112が判定した場合(ステップS115;YES)には、処理がステップS123へ進む。室内の温度T1が外気の温度T2よりも高くなはいと第2制御部112が判定した場合(ステップS115;NO)には、処理がステップS117へ進む。
そして、ステップS117において、第1制御部111は、第1水分量WA1が第2水分量WA2よりも大きいか否かを判定する。第1水分量WA1は、エアコン3が単位時間当たりに除湿する水分量である。具体的には、エアコン3が冷房運転時に、単位時間当たりに除湿する水分量である。また、第2水分量WA2は、換気扇2を動作させることによって部屋RMの室内に流入する外気に含まれる単位時間当たりの水分量である。
第1水分量WA1が第2水分量WA2よりも大きくはないと判定した場合(ステップS117;NO)には、処理がステップS119へ進む。
そして、ステップS119において、第1制御部111は、換気扇2を停止させる。その後、処理がステップS129へ進む。
第1水分量WA1が第2水分量WA2よりも大きいと判定した場合(ステップS117;YES)には、処理がステップS121へ進む。
そして、ステップS121において、第1制御部111は、換気扇2を動作させる。その後、処理がステップS129へ進む。
【0048】
ステップS115でYESの場合、すなわち、室内の温度T1が外気の温度T2よりも高いと第2制御部112が判定した場合には、ステップS123において、第2制御部112は、室内の絶対湿度HA1が外気の絶対湿度HA2よりも大きいか否かを判定する。
室内の絶対湿度HA1が外気の絶対湿度HA2よりも大きくはないと第2制御部112が判定した場合(ステップS123;NO)には、処理がステップS125へ進む。
そして、ステップS125において、第2制御部112は、換気扇2を停止させる。その後、処理がステップS129へ進む。
室内の絶対湿度HA1が外気の絶対湿度HA2よりも大きいと第2制御部112が判定した場合(ステップS123;YES)には、処理がステップS127へ進む。
そして、ステップS127において、第2制御部112は、換気扇2を動作させる。
次に、ステップS129において、制御部11は、換気制御を終了するか否かを判定する。「換気制御」とは、図3のステップS101~ステップS127において実行される換気扇2のオン及びオフを決定する制御である。制御部11は、例えば、ユーザからの操作を受け付けて、受け付けた操作に応じて、換気制御を終了するか否かを判定する。
換気制御を終了しないと制御部11が判定した場合(ステップS129;NO)には、処理がステップS101に戻る。換気制御を終了すると制御部11が判定した場合(ステップS129;YES)には、換気制御が終了される。
【0049】
ステップS117、ステップS119、及びステップS121は、「第1制御ステップ」の一例に対応する。
【0050】
図3を参照して説明したように、室内の二酸化炭素の濃度CRの検出値が濃度閾値未満ではない場合には、換気制御装置1は、換気扇2を動作させる。したがって、室内の二酸化炭素の濃度CRを低下できる。
【0051】
また、室内の相対湿度である湿度H1が湿度閾値より大きくない場合には、換気制御装置1は、換気扇2を停止させる。なお、湿度閾値は、例えば、ユーザによって所望する値に設定される。よって、室内の相対湿度である湿度H1が湿度閾値より大きくない場合には、室内の湿度H1を低下させる必要がない。したがって、室内の相対湿度である湿度H1が湿度閾値より大きくない場合には、換気扇2を停止できる。
【0052】
また、外気の温度T2が温度閾値SHTより大きくない場合には、換気扇2を停止させる。なお、温度閾値SHTは、ユーザによって所望する値に設定される。よって、外気の温度T2が温度閾値SHTより大きくない場合には、エアコン3を冷房運転させる必要がない。したがって、外気の温度T2が温度閾値SHTより大きくない場合には、換気扇2を停止することによって、室内の湿度H1の上昇を抑制できる。
【0053】
[4.本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係る換気制御装置1は、エアコン3が配置された室内において、室内の空気を換気する換気扇2を制御する換気制御装置1であって、エアコン3が単位時間当たりに除湿する第1水分量WA1が、換気扇2を動作させることによって室内に流入する外気に含まれる単位時間当たりの第2水分量WA2よりも大きい場合に、換気扇2を動作させる第1制御部111を備える。
【0054】
すなわち、第1制御部111は、エアコン3が単位時間当たりに除湿する第1水分量WA1が、換気扇2を動作させることによって室内に流入する外気に含まれる単位時間当たりの第2水分量WA2よりも大きい場合に、換気扇2を動作させる。
第1水分量WA1が第2水分量WA2よりも大きい場合には、換気扇2を動作させ、外気を室内へ流入させることによって、例えば、室内の温度T1が上昇する。その結果、例えば、エアコン3をサーモオフ状態から冷房運転状態に遷移させ、室内の空気をエアコン3に除湿させることができる。したがって、外気の室内への流入による室内の湿度H1の上昇を抑制できる。
【0055】
また、第1制御部111は、エアコン3から吹き出す空気の流量F3と、換気扇2によって室内に流入する外気の流量F2と、室内の絶対湿度HA1と、エアコン3から吹き出す空気の絶対湿度HA3と、外気の絶対湿度HA2と、に基づき、第1水分量WA1が第2水分量WA2よりも大きいか否かを判定する。
【0056】
すなわち、第1制御部111は、例えば、上記式(1)によって、エアコン3による潜熱の処理量W1を算出し、上記式(2)によって、換気扇2の換気による潜熱の取得量W2を算出する。そして、処理量W1が取得量W2よりも大きいか否かに応じて、第1水分量WA1が第2水分量WA2よりも大きいか否かを判定する。したがって、第1水分量WA1が第2水分量WA2よりも大きいか否かを適正に判定できる。
【0057】
また、換気制御装置1は、室内の温度T1が外気の温度T2よりも高く、且つ、室内の絶対湿度HA1が外気の絶対湿度HA2よりも高い場合に、換気扇2を動作させ、室内の温度T1が外気の温度T2よりも高く、且つ、室内の絶対湿度HA1が外気の絶対湿度HA2以下である場合に、換気扇2を停止させる、第2制御部112を備える。
【0058】
すなわち、室内の温度T1が外気の温度T2よりも高く、且つ、室内の絶対湿度HA1が外気の絶対湿度HA2よりも高い場合に、換気扇2を動作させる。したがって、外気を室内に流入させ、室内の温度T1を低下させると共に、室内の湿度H1を低下できる。
また、室内の温度T1が外気の温度T2よりも高く、且つ、室内の絶対湿度HA1が外気の絶対湿度HA2以下である場合に、換気扇2を停止させる。したがって、外気の室内への流入による室内の湿度H1の上昇を抑制できる。
【0059】
また、換気制御装置1は、外気の温度T2が温度閾値SHT以下である場合に、換気扇2の動作を停止させる第3制御部113を備える。
【0060】
すなわち、外気の温度T2が温度閾値SHT以下である場合に、換気扇2の動作を停止させる。
外気の温度T2が温度閾値SHT以下である場合には、エアコン3を冷房運転させる必要がない。したがって、換気扇2の動作を停止させることで、外気の室内への流入による室内の湿度H1の上昇を抑制できる。
【0061】
また、本実施形態に係る換気制御方法は、エアコン3が配置された室内において、室内の空気を換気する換気扇2を制御する換気制御方法であって、エアコン3が単位時間当たりに除湿する第1水分量WA1が、換気扇2を動作させることによって室内に流入する外気に含まれる単位時間当たりの第2水分量WA2よりも大きい場合に、換気扇2を動作させる第1制御ステップ、を含む。
したがって、本実施形態に係る換気制御方法は、本実施形態に係る換気制御装置1と同様の効果を奏する。
【0062】
また、本実施形態に係る換気制御システム100は、エアコン3が配置された室内において、室内の空気を換気する換気扇2と、換気扇2を制御する換気制御装置1と、を備える換気制御システム100であって、換気制御装置1は、エアコン3が単位時間当たりに除湿する第1水分量WA1が、換気扇2を動作させることによって室内に流入する外気に含まれる単位時間当たりの第2水分量WA2よりも大きい場合に、換気扇2を動作させる第1制御部111を備える。
したがって、本実施形態に係る換気制御システム100は、本実施形態に係る換気制御装置1と同様の効果を奏する。
【0063】
[5.他の実施形態]
本発明は上記実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
例えば、本実施形態では、換気制御装置1がパーソナルコンピュータで構成される場合について説明するが、本発明はこれに限定されない。換気制御装置1が、例えば、タブレット端末、スマートフォン等で構成されてもよい。
【0064】
また、図2に示した各機能ブロックのうち少なくとも一部は、ハードウェアで実現してもよいし、ハードウェアとソフトウェアの協働により実現される構成としてもよく、図に示した通りに独立したハードウェア資源を配置する構成に限定されない。
また、制御部11が実行する制御プログラムPGMは、メモリー内の他の記憶部に記憶されてもよい。また、外部の装置に記憶された制御プログラムを、通信部等を介して取得して実行する構成としてもよい。
【0065】
また、図3に示すフローチャートの処理単位は、制御部11の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。図3に示すフローチャートに示す処理単位の分割の仕方や名称によって実施形態が制限されることはない。また、制御部11の処理は、処理内容に応じて、更に多くの処理単位に分割することもできるし、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。また、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【0066】
また、換気扇2の制御方法は、換気制御装置1が備えるプロセッサー11Aに、換気扇2の制御方法に対応した制御プログラムPGMを実行させることで実現できる。また、制御プログラムPGMは、コンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体に記録しておくことも可能である。
記録媒体としては、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD、Blu-ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリー、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、記録媒体は、換気制御装置1が備える内部記憶装置であるRAM、ROM、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。
制御プログラムPGMをサーバ装置等に記憶させておき、サーバ装置から換気制御装置1に、制御プログラムPGMをダウンロードすることで、換気扇2の制御方法を実現することもできる。
【符号の説明】
【0067】
100 換気制御システム
1 換気制御装置
11 制御部
11A プロセッサー
11B メモリー
111 第1制御部
112 第2制御部
113 第3制御部
12 操作部
13 表示部
PGM 制御プログラム
2、21、22 換気扇(換気装置)
211 駆動制御部
213 モータ
215 ファン
3 エアコン(空気調和機)
31 室内機
32 室外機
BL ベランダ
CR 濃度
D1、D2 密度
F2、F3 流量
H1、H2、H3 湿度
HA1、HA2、HA3 絶対湿度
PGM 制御プログラム
RM 部屋
S1 室内温湿度センサ
S11 室内温度センサ
S12 室内湿度センサ
S2 外気温湿度センサ
S21 外気温度センサ
S22 外気湿度センサ
S3 吹出温湿度センサ
S31 吹出温度センサ
S32 吹出湿度センサ
S4 二酸化炭素センサ
SG 指示信号
SHT 温度閾値
T1、T2,T3 温度
W1 処理量
W2 取得量
WA1 第1水分量
WA2 第2水分量
WT 蒸発潜熱
図1
図2
図3