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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047625
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】燃料電池用セパレータ
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0213 20160101AFI20230330BHJP
   H01M 8/0221 20160101ALI20230330BHJP
   H01M 8/0226 20160101ALI20230330BHJP
【FI】
H01M8/0213
H01M8/0221
H01M8/0226
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156637
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】309012122
【氏名又は名称】日清紡ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹野 文雄
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA12
5H126DD04
5H126GG06
5H126GG18
5H126JJ01
5H126JJ05
5H126JJ08
(57)【要約】
【課題】 70℃の環境下においても、良好な曲げ強度および曲げ疲労特性を有する燃料電池用セパレータを提供すること。
【解決手段】 黒鉛粉末、並びに主剤、硬化剤および硬化促進剤を含むエポキシ樹脂成分を含む組成物を成形してなり、前記黒鉛粉末の平均粒径d50が、20~80μmであり、かつ、前記黒鉛粉末のレーザ顕微鏡で測定される平均高さが、前記平均粒径d50の30~70%である燃料電池用セパレータ。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒鉛粉末、並びに主剤、硬化剤および硬化促進剤を含むエポキシ樹脂成分を含む組成物を成形してなり、
前記黒鉛粉末の平均粒径d50が、20~80μmであり、かつ、前記黒鉛粉末のレーザ顕微鏡で測定される平均高さが、前記平均粒径d50の30~70%であることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
【請求項2】
ASTM D790に準拠する3点曲げ試験において、70℃の環境下での曲げ強度が、45MPa以上である請求項1記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項3】
ASTM D671 TYPE Aに準拠する平面曲げ疲労試験において、70℃の環境下、応力20MPaでの繰り返し数が1000万回まで未破断である請求項1または2記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項4】
前記主剤が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂およびビフェニル型エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項1~3のいずれか1項記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項5】
前記硬化剤が、ノボラック型フェノール樹脂である請求項1~4のいずれか1項記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項6】
前記硬化促進剤が、2位にフェニル基を有するイミダゾール化合物を含む請求項1~5のいずれか1項記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項7】
前記黒鉛粉末100質量部に対し、前記エポキシ樹脂成分が25~40質量部含まれる請求項1~6のいずれか1項記載の燃料電池用セパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用セパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池用セパレータは、各単位セルに導電性を持たせる役割、並びに単位セルに供給される燃料および空気(酸素)の通路を確保するとともに、それらの分離境界壁としての役割を果たすものである。
このため、セパレータには、高電気導電性、高ガス不浸透性、化学的安定性、耐熱性および親水性などの諸特性が要求される。
また、近年の燃料電池は運転中の熱コントロールが重視されるようになり、それに伴いセパレータには高い熱伝導率が要求される。
【0003】
この点、例えば、特許文献1には、バインダー樹脂として、所定のメルトフローレートを有するポリフェニレンスルフィド系樹脂を用いるとともに、平均粒径の異なる大小2種類の黒鉛粒子を用いることで、セパレータ内における黒鉛粉末の空隙率を低減させ、熱伝導率および疲労強度を向上させた燃料電池用セパレータが提案されている。
【0004】
しかし、特許文献1のセパレータは、第一の黒鉛粒子として平均粒径d50が100~150μmの比較的大きな黒鉛粒子を使用しているため、優れた熱伝導性を有する一方、室温での曲げ強度が30~36MPaであり、強度が非常に乏しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-67687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、70℃の環境下においても、良好な曲げ強度および曲げ疲労特性を有する燃料電池用セパレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、所定の平均粒径を有するとともに、平均高さが平均粒径の所定範囲の黒鉛粒子を用いることで、比較的高温においても良好な曲げ強度および曲げ疲労特性を有する燃料電池用セパレータが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
1. 黒鉛粉末、並びに主剤、硬化剤および硬化促進剤を含むエポキシ樹脂成分を含む組成物を成形してなり、
前記黒鉛粉末の平均粒径d50が、20~80μmであり、かつ、前記黒鉛粉末のレーザ顕微鏡で測定される平均高さが、前記平均粒径d50の30~70%であることを特徴とする燃料電池用セパレータ、
2. ASTM D790に準拠する3点曲げ試験において、70℃の環境下での曲げ強度が、45MPa以上である1の燃料電池用セパレータ、
3. ASTM D671 TYPE Aに準拠する平面曲げ疲労試験において、70℃の環境下、応力20MPaでの繰り返し数が1000万回まで未破断である1または2の燃料電池用セパレータ、
4. 前記主剤が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂およびビフェニル型エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種である1~3のいずれかの燃料電池用セパレータ、
5. 前記硬化剤が、ノボラック型フェノール樹脂である1~4のいずれかの燃料電池用セパレータ、
6. 前記硬化促進剤が、2位にフェニル基を有するイミダゾール化合物を含む1~5のいずれかの燃料電池用セパレータ、
7. 前記黒鉛粉末100質量部に対し、前記エポキシ樹脂成分が25~40質量部含まれる1~6のいずれかの燃料電池用セパレータ
を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の燃料電池用セパレータは、黒鉛粉末として、平均粒径d50が20~80μmであり、平均高さが平均粒径d50の30~70%のものを用いているため、黒鉛粉末がセパレータ内で密に充填される結果、70℃の環境下においても、優れた曲げ強度および曲げ疲労特性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る燃料電池用セパレータは、黒鉛粉末、並びに主剤、硬化剤および硬化促進剤を含むエポキシ樹脂成分を含む組成物を成形してなり、黒鉛粉末の平均粒径d50が、20~80μmであり、かつ、黒鉛粉末のレーザ顕微鏡で測定される平均高さが、平均粒径d50の30~70%であることを特徴とする。
【0011】
本発明において、黒鉛粉末の平均粒径d50は、20~80μmであるが、22~80μmが好ましく、30~80μmがより好ましい。平均粒径d50が20μm未満であると、エポキシ樹脂が黒鉛粉末の表面を覆いやすくなり、粒子同士の接触面積が小さくなるため、セパレータ自体の導電性が悪化する。一方、平均粒径d50が80μmを超えると、黒鉛粒子とエポキシ樹脂との接触面積が小さくなり、十分な機械的強度が得られない。
なお、本発明における平均粒径d50は、レーザ回折法による粒度分布測定におけるメジアン径として表される。
【0012】
レーザ顕微鏡で測定される黒鉛粉末の平均高さは、平均粒径d50の30~70%であるが、30~68%が好ましく、30~67%がより好ましい。平均粒径d50に対する平均高さが30%未満であると、セパレータの成形時に黒鉛粉末が厚さ方向に配向しやすくなるため、十分な機械的強度が得られない。また、平均粒径d50に対する平均高さが70%を超えると、セパレータ成形時の黒鉛同士の空隙が大きくなるため、十分な疲労特性が得られない。
【0013】
本発明における黒鉛粉末の平均高さは、黒鉛粉末10~20mgをガラス板に載せ、(株)キーエンス製レーザ顕微鏡VK-X100を用いて、倍率50倍の対物レンズ(NA値0.55)でガラス板上の黒鉛粉末をスキャンし、次いで、(株)キーエンス製専用解析アプリケーションVK-H1XAのプロファイル計測により黒鉛粉末の粒子高さを測定し、無作為に選んだ50粒子の平均値である。
【0014】
本発明で用いる黒鉛粉末としては、全体として上述した平均粒径d50および平均粒径に対する平均高さを満たす限り、その種類等は特に限定されるものではなく、天然黒鉛、人造黒鉛のいずれを用いてもよい。
人造黒鉛粉末としては、従来、燃料電池用セパレータに用いられるものから適宜選択して用いることができる。その具体例としては、針状コークスを焼成した人造黒鉛、塊状コークスを焼成した人造黒鉛等が挙げられる。
一方、天然黒鉛粉末としても、従来、燃料電池用セパレータに用いられるものから適宜選択して用いることができる。その具体例としては、塊状天然黒鉛、鱗片状天然黒鉛等が挙げられる。
なお、これらの黒鉛粉末は、単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。単独で用いる場合は、本発明に規定される粒径範囲の黒鉛粉末を適宜選択すればよく、2種以上組み合わせて用いる場合は、黒鉛粉末の混合紛として本発明に規定される粒径範囲となればよい。すなわち、それぞれ本発明に規定される粒径範囲の黒鉛粉末を組み合わせて用いてもよく、また本発明に規定される粒径範囲から外れる黒鉛粉末を他の黒鉛粉末と組合せ、混合粉として本発明に規定される粒径範囲となる黒鉛粉末として用いてもよい。
【0015】
一方、エポキシ樹脂成分を構成する主剤としては、エポキシ基を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂単独、ビフェニル型エポキシ樹脂単独、これらの混合物が好ましい。
本発明で用いるエポキシ樹脂のエポキシ当量は、特に限定されるものではないが、180~209g/eqが好ましい。
【0016】
また、硬化剤としては、フェノール樹脂が好ましい。その具体例としては、ノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、アラルキル変性フェノール樹脂、ビフェニルノボラック型フェノール樹脂、トリスフェノールメタン型フェノール樹脂等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
本発明で用いるフェノール樹脂の水酸基当量は、特に限定されるものではないが、95~140g/eqが好ましく、100~115g/eqがより好ましい。
【0017】
硬化促進剤としては、エポキシ基と硬化剤との反応を促進するものであれば特に制限されるものではなく、ホスフィン化合物、アミン化合物、イミダゾール化合物等が挙げられるが、これらの中でも、本発明では、2位にアリール基を有するイミダゾール化合物を用いることが好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられるが、フェニル基が好ましい。2位にアリール基を有するイミダゾール化合物の具体例としては、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール等が挙げられる。
【0018】
また、本発明で用いる組成物には、上記各成分に加え、内部離型剤等の任意成分を適宜配合することもできる。
内部離型剤としては、従来、セパレータの成形に用いられている各種内部離型剤から適宜選択すればよく、その具体例としては、ステアリン酸系ワックス、アマイド系ワックス、モンタン酸系ワックス、カルナバワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】
本発明で用いる組成物において、エポキシ樹脂成分(主剤、硬化剤および硬化促進剤)の配合量は特に限定されるものではなく、黒鉛粉末100質量部に対して10~50質量部が好ましく、20~40質量部がより好ましい。
この場合、主剤に対して硬化剤を0.98~1.08当量配合することが好ましく、0.99~1.05当量配合することがより好ましい。
また、硬化促進剤の使用量は特に限定されるものではなく、主剤と硬化剤との混合物100質量部に対して、0.1~5質量部が好ましく、0.5~2質量部がより好ましい。
さらに、内部離型剤を用いる場合、その使用量は、特に限定されるものではないが、黒鉛粉末100質量部に対して0.01~3.0質量部が好ましく、0.05~1.5質量部がより好ましい。
【0020】
本発明で用いる組成物は、例えば、黒鉛粉末、主剤、硬化剤および硬化促進剤のそれぞれを任意の順序で所定割合混合して調製すればよい。この際、混合機としては、例えば、プラネタリミキサ、リボンブレンダ、レディゲミキサ、ヘンシェルミキサ、ロッキングミキサ、ナウターミキサ等を用いることができる。
なお、内部離型剤を用いる場合、その配合順序も任意である。
【0021】
本発明の燃料電池用セパレータは、上記組成物を所定の型に入れ、圧縮成形して得ることが好ましい。使用する型としては、成形体の表面の一方の面または両面にガス流路となる溝を形成できる、燃料電池用セパレータ作製用の金型等が挙げられる。
圧縮成形の条件は、特に限定されるものではないが、型温度が150~190℃、成形圧力30~60MPa、好ましくは30~50MPaである。
圧縮成形時間は、特に限定されるものではなく、3秒から1時間程度で適宜設定することができる。
なお、圧縮成形後、熱硬化を促進させる目的で、さらに150~200℃で1~600分程加熱してもよい。
【0022】
本発明において、上記圧縮成形して得られた燃料電池用セパレータ(成形体)には、スキン層の除去や表面粗さ調整等を目的として、粗面化処理を施してもよい。
粗面化処理の手法としては、特に限定されるものでははく、従来公知のブラスト処理や研磨処理などの各種粗面化法から適宜選択すればよいが、エアブラスト処理、ウェットブラスト処理、バレル研磨処理、ブラシ研磨処理が好ましく、砥粒を用いたブラスト処理がより好ましく、ウェットブラスト処理がより一層好ましい。
【0023】
この際、ブラスト処理に用いられる砥粒の平均粒径(d=50)は、3~30μmが好ましく、4~25μmがより好ましく、5~20μmがより一層好ましい。
ブラスト処理で使用する砥粒の材質としては特に限定されるものではなく、例えば、アルミナ、炭化珪素、ジルコニア、ガラス、ナイロン、ステンレス等を用いることができ、これらはそれぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
ウェットブラスト処理時の吐出圧力は、砥粒の粒径等に応じて変動するものであるため一概に規定できないが、0.1~1MPaが好ましく、0.15~0.5MPaがより好ましい。
【0024】
本発明の燃料電池用セパレータは、ASTM D790に準拠する3点曲げ試験において、70℃の環境下での曲げ強度が45MPa以上であることが好ましく、ASTM D671 TYPE Aに準拠する平面曲げ疲労試験において、70℃の環境下、応力20MPaでの繰り返し数が少なくとも1000万回まで未破断であることが好ましい。
また、上記3点曲げ試験において、23℃の環境下での曲げ強度が55MPa以上であることが好ましい。
【0025】
このような曲げ強度および曲げ疲労特性を有する本発明の燃料電池用セパレータを備えた燃料電池は、長期に亘って安定した発電効率を維持することができる。
一般的に固体高分子型燃料電池は、固体高分子膜を挟む一対の電極と、これらの電極を挟んでガス供給排出用流路を形成する一対のセパレータとから構成される単位セルが多数併設されてなるものであるが、これら複数個のセパレータの一部または全部として本発明の燃料電池用セパレータを用いることができる。
【実施例0026】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例における各物性は以下の方法によって測定した。
【0027】
[1]黒鉛粉末の平均粒径d50
粒度分布測定装置(日機装(株)製 MT3000)を用い、レーザ回折法によりメジアン径を測定した。
[2]黒鉛粉末の平均高さ
黒鉛粉末10~20mgをガラス板に載せ、(株)キーエンス製レーザ顕微鏡VK-X100を用いて、倍率50倍の対物レンズ(NA値0.55)でガラス板上の黒鉛粉末をスキャンし、次いで、(株)キーエンス製専用解析アプリケーションVK-H1XAのプロファイル計測により黒鉛粉末の粒子高さを測定し、無作為に選んだ50粒子の平均値を求め、平均高さとした。
[3]曲げ強度
23℃および70℃の環境下で、ASTM D790に準拠した3点曲げ試験により測定した。
[4]曲げ疲労
(1)試験片の作製
厚さ2mmの燃料電池用セパレータの平板を、ASTMD671タイプAの形状に機械加工し、試験片とした。
(2)曲げ疲労測定
繰り返し振動疲労試験機((株)東洋精機製作所製、B50型)を用いて、70℃の環境下で周波数30Hz、応力20MPaで試験片が破断に至るまでの繰り返し数を測定した(最大1000万回)。
【0028】
[実施例1]
黒鉛粉末1(人造黒鉛、平均粒径d50:23μm、平均高さ:8μm)100質量部に対し、エポキシ樹脂(o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、日本化薬(株)製、EOCN-1020-65、エポキシ当量198g/eq)20.4質量部、フェノール樹脂(ノボラック型フェノール樹脂、アイカSDKフェノール(株)製ショウノールBRG-566、水酸基当量103g/eq)10.7質量部、および2-フェニルイミダゾール(以下、2PZ、四国化成工業(株)製)0.25質量部からなるエポキシ樹脂成分をヘンシェルミキサ内に投入し、800rpmで3分間混合して、組成物を調製した。
得られた組成物を燃料電池用セパレータ作製用の金型内に投入し、金型温度185℃、成形圧力36.6MPa、成形時間9秒の条件で圧縮成形し、ガス流路溝を有する240mm×240mm×2mmの緻密質成形体を得た。
次いで、得られた緻密質成形体の全表面に対し、アルミナ研創材(平均粒径:d50=6μm)を用いて吐出圧力0.25MPa、搬送速度1.5m/分の条件でウェットブラストによる粗面化処理を施し、燃料電池用セパレータを得た。
【0029】
[実施例2]
黒鉛粉末1を、黒鉛粉末2(人造黒鉛、平均粒径d50:35μm、平均高さ:23μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを得た。
【0030】
[実施例3]
黒鉛粉末1を、黒鉛粉末3(人造黒鉛、平均粒径d50:50μm、平均高さ:15μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを得た。
【0031】
[実施例4]
黒鉛粉末1を、黒鉛粉末4(人造黒鉛、平均粒径d50:80μm、平均高さ:25μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを得た。
【0032】
[実施例5]
黒鉛粉末1を、黒鉛粉末5(人造黒鉛、平均粒径d50:50μm、平均高さ30μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを得た。
【0033】
[実施例6]
黒鉛粉末1を、黒鉛粉末6(人造黒鉛、平均粒径d50:80μm、平均高さ44μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを得た。
【0034】
[実施例7]
黒鉛粉末1(100質量部)を、黒鉛粉末2(70質量部)および黒鉛粉末3(30質量部)の混合粉末(平均粒径d50:41μm、平均高さ20μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを得た。
【0035】
[実施例8]
黒鉛粉末1(100質量部)を、黒鉛粉末1(70質量部)および黒鉛粉末4(30質量部)の混合粉末(平均粒径d50:39μm、平均高さ12μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを得た。
【0036】
[比較例1]
黒鉛粉末1を、黒鉛粉末7(人造黒鉛、平均粒径d50:18μm、平均高さ3μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを得た。
【0037】
[比較例2]
黒鉛粉末1を、黒鉛粉末8(天然黒鉛、平均粒径d50:100μm、平均高さ10μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを得た。
【0038】
[比較例3]
黒鉛粉末1を、黒鉛粉末9(人造黒鉛、平均粒径d50:50μm、平均高さ40μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを得た。
【0039】
[比較例4]
黒鉛粉末1(100質量部)を、黒鉛粉末1(70質量部)および黒鉛粉末7(30質量部)の混合粉末(平均粒径d50:21μm、平均高さ4μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを得た。
【0040】
上記実施例1~8および比較例1~4で得られた燃料電池用セパレータについて、曲げ強度(23℃、70℃)および70℃での曲げ疲労を測定・評価した。結果を表1に示す。なお、表1中、曲げ疲労の評価における比較例1~4の括弧内の数値は破断時の繰り返し数を表し、例えば、比較例1の0.81は0.81×107回(810万回)を意味する。
【0041】
【表1】
【0042】
表1に示されるように、実施例1~8で作製した燃料電池用セパレータは、黒鉛粉末または黒鉛の混合粉末として、平均粒径d50が20~80μmで、平均高さが平均粒径d50の30~70%の範囲にあるものを用いているため、比較例1~4で作製した燃料電池用セパレータと比べ、70℃の環境下においても優れた曲げ強度および曲げ疲労特性を有することがわかる。